澤野睦(サワノムツ)はキレていた。レズだと完全に認知される切掛を作った村山千鳥(ムラヤマチドリ)にキレ散らかしていた。
 だが、そんな嫌っている千鳥から睦は誘われる。「セックスしよっ!」と。
 思い悩む睦。思春期であるが故に、恋人なんて見つからないと半ば諦めているが故に、セックスという行為に惹かれてしまう。
 果たして童貞女子の睦は、嫌っている相手からの誘惑を断る事が出来るのか。

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レズバレ

 

 

 

 女同士はエグいエロ話をする、というのは割と知られていると思う。

 でも、だからといって異物を受け入れるかというとそうではない。

 お嬢様学校だってそれは同じ。やっぱり私はここでも孤立した。レズなんて気持ち悪いんだとさ。

 

 きっかけは何だったか。

 あぁそうだ。性の対象が女だって気付いたのが小学生高学年の頃。当時は誰々ちゃん好きー、で済ませられていた。

 だけど中学生にあがった頃、それは洒落にならなくなっていた。

 女が女を好きになるなんて、親愛や友情以上の感情を抱くなんて駄目なんだとさ。

 だから孤立した。友達という友達から避けられて陰口を叩かれた。卒業する頃にはレズの澤野(さわの)なんて不名誉な仇名で有名になっていたものだ。

 

 まぁ、そんな状況が針の筵だったのは当然の事で、私は両親にお願いして遠くの、私の事を誰も知らない学校に行かせてもらえる事になった。

 両親は私の性癖……性癖?……を理解してくれて、良い意味で好きにすれば良い、と言ってくれた。本当に、有り難い。

 

 さて、そんなこんなで遠くの学校……何故かお嬢様学校だった……に入学し、新しい生活を送ろう、レズだと打ち明けないよう、レズだとバレないよう、慎ましく生きていこう、そう決意した。

 

 まぁ、結果的にバレたんだけど。

 

 女子、というか人間は異物に対する嗅覚が鋭い。

 恐らく私も警戒心が足りなかったんだろうけれど、視線、所作、そういったものから疑われ始め、いつの間にか、澤野(さわの)睦(むつ)はレズ、というのが広まっていた。

 

 で、孤立した。

 

 だけど流石はお嬢様学校、出来ている人間が多い。一定以上の距離は取られるけれど、必要な時は話しかけてくれるし、明確に疎外したりしない。

 だから、あまり思い出したくない中学生活より遥かにマシな生活を送る事が出来ていた。

 このまま無難に卒業して、大学に行けば私を受け入れてくれる人だって見つかるだろう、そう思っていた。

 

 そんなある日、私のクラスに転入生が来た。

 

「村山(むらやま)千鳥(ちどり)です。よろしくお願いします」

 

 一言で言えば、かわいらしい子だった。

 綺麗な髪、透き通るような肌、快活そうな瞳、胸は平坦だけど均整の取れたスタイル。お人形さん、とでも言うべきか。

 

 そんなだから、まぁ、ちょっとだけ、惹かれてしまった。

 

 だけど、無難に生きなければならない、そんな感情を抱いてはならない、そんな願望を抱いてはならない、そう自戒した。

 だってこれ以上浮きたくないし。何も知らない転入生に手を出した、なんて外聞が悪過ぎる。そうなったら流石のお嬢様学校とはいえ明確に疎外、攻撃してくるだろう。

 だから、距離を取って慎ましやかに生きていこう。

 

「隣、よろしくね」

 

 まぁ今朝から隣に増えた空いている席の時点で気付いていたのだけれど距離を取るなんて不可能だった。

 隣て、かわいい転入生が隣て。心なしか皆が村山さんを可哀想な目で見ている気がする。実際私も可哀想だと思うよ、分かる。

 

 花が咲いたような笑顔。

 これが、無関心でいよう、という表情に変わるのはいつだろうか。

 

 

 

「澤野さんってレズなの?」

 

 だからと言って翌日いきなりそんな事聞く?

 

「い、いきなりなんて事聞くんですか」

「だって皆そう噂してたけど誰も確かめてないって言うから」

 

 だからと言って直接そんな事を本人に聞く?

 なんだこの女、かわいい顔して頭おかしいんじゃないか?

 

「で、で? どうなの?」

 

 心なしか教室内が静かになっていた。皆、私達の会話を聞き逃さないようにしている。

 あぁ、嫌だ嫌だ。

 

「……どうだって良いじゃないですか」

 

 回答を間違えた気がする。これじゃ肯定しているようなものだ。

 これで私はレズ認定された。今まであやふやにされていたものが、ここで詳らかにされてしまった。

 

「うーん……」

 

 本当になんなんだこのクソ女。

 人が秘密にしておきたいものを暴いておいてその態度。流石の私もコレは不快だ。

 

「で、それが村山さんに何の関係があるんですか?」

 

 だから、明確に悪意を乗せてそう問いかけた。

 

「ん? いや、だから皆そう言ってるけど誰も確かめてないらしいから。事実じゃないのにそういう噂を流すのって嫌じゃない?」

 

 けど、このクソ女はアッケラカンとそう言い放った。

 

「誰しも秘密にしておきたい事くらいあります。それをわざわざ暴いて楽しいですか?」

 

 だからヤツの目を真正面から睨みつける。

 

「楽しくないよ」

 

 だけど、ヤツは怯まなかった。

 

「でも、勝手な噂を流しているのはもっと楽しくない」

 

 そして、周りに聞こえるようにして、そう言い切った。

 ……あぁなるほど。転入初日にして隣の女はレズだ、と吹き込まれたのか。

 しかしそれが事実であるのは間違いなさそうなのだけれど、誰もそれが本当に事実であるのか確かめていない。

 つまり、イジメに近しい、悪意しかない噂話、のように受け取ったのか。

 あぁそれはなんとも、

 

「その勝手な噂が本当だった、と知って満足ですか?」

 

 なんとも腹立たしい。

 正義感で動いたんだろう。だけどそんなの迷惑千万、要らない善意に他ならない。

 

「満足というか……不健全じゃない?」

「は?」

 

 なんだけど、よく分からない言葉に意気を削がれてしまった。

 

「んーなんて言うのかな……こう、もやもやするの嫌いなんだ」

 

 不健全。もやもや。本当に意味が分からない。

 村山千鳥、ただのクソ女じゃない。電波とか天然が入ってるんじゃないか?

 

「……あ、そっか。私の秘密も暴露しないとなのか」

「は?」

 

 いやだからなんなんだこの女?

 ついていけない。このスピード感についていけない。もはやレズバレした事すらどうでも良いレベルでコイツが理解出来ない。

 

「実は私もレズです」

 

 そして、なんと、驚愕の、告白。

 あー、なんだ?

 

「バカにしてるんですか!」

 

 キレていいやつだなコレは?

 

「え、なんで怒るの⁉︎」

「そうとしか思えませんよこのクソ女!」

「クソ女ぁ⁉︎」

 

 あ、淑女にあるまじき言葉を言ってしまった。けどいいや。

 

「人が秘密にしている性癖を自分勝手に暴いて! 公にしなくていいものを詳らかにして! 挙句の果てにレズ⁉︎ 人をなめるのも大概にしてください!」

 

 教室中に怒声が響いてるけどそんなの知らん。このクソ女をどうにかしてやらなければならない。

 

「え、だって、私ホントにレズ……」

「だからなんなんですか! そんなのどうでもいいですよ!」

「えぇぇ……」

「私に同情でもしましたか⁉︎ 私と一緒だと言えば慰めになるとでも思いましたか⁉︎ レズだというのなら! 私の気持ちだって分かるでしょう⁉︎」

 

 あぁ、なるほど、自分で言ってようやく気付いた。半端な気持ちで同情されているのがこの上なく腹立たしいんだ。

 なのにクソ女はまだ続ける。

 

「レズ同士仲良くして欲しいなって……」

「はぁ⁉︎ 貴女みたいなクソ女となんて嫌に決まってるでしょう⁉︎」

 

 気付けば教室はシン、と静まり返っていた。

 クソ、何もかも面倒臭い。

 何が面倒臭いって、教室の入口に立っている先生が目を丸くしているのが何よりも面倒臭い。

 

「……っ」

 

 だから、わざと音を立てて椅子に座ってやった。

 それを機に、固まっていた空気が動き出す。皆が席に着き始め、先生が教室に入ってきて、最後に、クソ女が形容し難い表情で隣の席に座った。

 

 だけど、危惧していたような面倒な事には案外ならなかった。事なかれ主義万歳である。

 

 

 

「澤野さん、おはよう」

 

 いや面倒くせぇなこのクソ女。

 昨日の今日で普通に挨拶してくるヤツがいるか? ほら周りの連中もマジかコイツみたいな目してるぞ。

 

「…………」

 

 だから当然の如く無視。知るかこんなクソ女。

 

「むー。おーはーよーうー!」

 

 面倒くせぇなこのクソ女⁉︎ わざわざ真正面に移動してこっちの目を真っ直ぐに目詰めて挨拶してきやがったホント何考えてんだこのクソ女!

 

「挨拶は返した方が良いと思うなー」

 

 そして説かれる道理。殺してやりてぇ。

 

「おはようございますクソ女、黙れ」

 

 だからニッコリと笑ってやった。

 なのに、なのにこのクソ女、

 

「むふん」

 

 満足そうな顔して隣に座って授業の準備し始めやがった。正気か?

 

 

 

「ねぇ澤野さん」

「…………」

 

 休み時間になると同時、クソ女はやたらウキウキしながら話しかけてきた。すげぇ嫌な予感がする。

 

「ねぇ澤野睦さん」

「…………」

 

 だから当然無視。

 

「睦さん睦さん」

「…………」

 

 なんで下の名前呼びになった、うぜぇ。

 

「むっちゃん」

「死ねば?」

 

 思わずヤツを直視して言い放ってしまった。なんだこのクソ女、ヘイト稼ぎが上手過ぎる。

 

「あは、むっちゃんって呼んでいい?」

「良いわけ無いでしょう、黙れクソ女」

「クソ女呼ばわりやめてくれたらやめまーす」

「無理」

「じゃあ私も無理ー」

 

 殺してやりてぇマジで。めっちゃケラケラ笑ってるし、死んでくれねぇかなホント。

 

 

 

「むっちゃん、むっちゃん」

「…………」

「おっぱい大きいよね」

「殺すぞ」

 

 なんでコイツは毎日こう殺したくなる発言を繰り返すのか。

 

「揉ませて?」

「死ねば?」

 

 会話を成立させていない筈なのに、クソ女はウキウキしながらにじり寄って来る。マジかコイツ。

 

「こう、ちょっとで良いから」

「来るな死ね」

「とりゃー!」

 

 聞けよ。

 

「ふおおおお」

 

 逃げるのも癪だったからそのまま席に座ってたらマジでコイツ触ってきやがった。

 

「あがっ⁉︎」

 

 だから本気で脳天を殴った。

 

「おごごごご、超痛いんだけど⁉︎」

「死ねっ!」

 

 我ながら、面と向かって人に死ね死ね言うのはどうかと思う。思うけれどコイツなら別にいいや。

 

 

 

「昨日はすみませんでした」

 

 クソ女にも罪悪感というものはあるらしい。殊勝な態度で謝ってきた。

 まぁ、私も暴力を振るってしまったわけで、少し後ろめたかった事だし、許してやらんでもない。

 

「私のおっぱいも揉んでいいから!」

 

 そうはならんやろ。胸張んなドヤ顔すんな殺すぞ。

 

「まな板」

「んなっ⁉︎」

 

 だから肉体的特徴を端的に表現してやった。もうコイツ相手なら何言ってもいいやマジで。

 

「せ、成長途中なだけですぅー!」

「……はっ」

「鼻で笑われた⁉︎」

 

 せめて人並みに膨らんでから誘って来い。

 

 

 

「むっちゃーん」

 

 毎日毎日クソ女はアホな事を言ってくる。

 

「むっちゃんむっちゃん!」

 

 こっちはクソクソ死ね死ね言ってるのに、何も効いてませんよ的な感じで寄ってくる。

 

「むーっちゃーん!」

 

 おかげでなんか周囲の目も変わってきた。なんか最近私に同情的ですらある。違う、そういう目を向けられたいわけでもないんだ。

 

「むっちゃん」

 

 だんだんこっちも真面目に相手するのが面倒になってきて、最初にあった悪感情も薄れてきた。その代わり現在進行形の悪感情は色濃いのだけれど。

 

「むっちゃー!」

 

 しかしなんでコイツは私にこんな絡んでくるんだ?

 

「おいクソ女」

「はいはーいクソ女じゃありませーん」

「私に惚れてんのか?」

 

 だから放課後、呆れ顔で問い掛けてやった。悪意マシマシで。敬語? コイツ相手にそんなもの要らん。

 

「…………」

 

 なのに急に押し黙りやがった。なんなん。

 

「アレか。こっちがこんなに拒否しているのに寄ってくるって、それは私にベタ惚れで仕方がないって事だよな」

 

 はんっ、と鼻で笑いながら有り得ない話を振る。どうせコイツはレズ弄りに嵌っている性悪に違いない。だから有り得ない、だから悪意マシマシ。

 

「…………」

 

 なのに黙ったまま。

 ……というか待て、顔真っ赤になってきてるんですけど。

 

「……クソ女、お前まさか」

 

 いや待て、待って?

 

「……ぇ、ぅ」

 

 なんで吃る。おま、待て、は?

 

「じゃ、じゃあまた明日ー!」

 

 そう言って、クソ女は脱兎の如く逃げ出した。

 

「……えぇぇ」

 

 思わずポカンだわ。

 いつもは遠巻きにしているクラスメイトさえポカンとしている雰囲気を感じる。

 だよね。あんだけ私に拒否されてるくせに恋心を抱いてるだなんてそんなアホな事……。

 

「さ、澤野、さん」

「……え? あ、はい」

 

 ポカンしてたらクラスメイトからおずおずと声掛けられた。珍しくて思わず反応が遅れてしまった。

 いやさっきのクソ女見た? ちょっとどういう事なのか思いっきり話振りたい。振らないけど。

 

「さっきのは、その」

 

 あ、そっちから振ってくれるの? 助かるわ、ちょっと話に華咲かせようぜ。

 

 

 

「良くない、と思う」

 

 

 

「……は?」

 

 いや、え、は?

 意味が分からない。良くないってどういう事。

 なんて混乱していたら、周囲に少しずつ人が寄ってきた。

 

「もうちょっと、こう、優しくしてあげて?」

「ちゃんと名前で呼んであげるとか」

「いつまでもクソ女じゃ可哀想だよ」

「ツッケンドンな態度じゃなく……」

「死ね死ね言い過ぎ」

「待って」

 

 口々にいろんな事を言われる。そんな事態が珍し過ぎて動転してしまう。どういう事態なのコレ。

 

「あのね、澤野さん」

「は、はい」

「千鳥ちゃんが澤野さんのこと好きって、知ってるよね?」

 

 …………は?

 

「え、固まった」

「嘘、まさか」

「気付いて、なかった?」

「じゃあ好意関係無しに純粋に嫌ってた……?」

「不憫過ぎる」

「ま、待ってください」

 

 処理出来ない。ちょっと、あの、どういう事。

 

「クソ女が」

「千鳥ちゃん」

「む、村山が私の事を、好き?」

 

 いや、それは有り得ないでしょ。こんだけ嫌われてるのに私の事を好きって、メンタルどうなってんの。

 

「うん。だから側から見て不憫で……」

 

 だったら、そりゃ、そう、なる、わな? いやでもそもそも私を好いているという前提がおかしくない?

 なので話を詳しく聞いてみた。

 

 そして分かった事。

 クソ女、私の事が好き過ぎるらしい。だから何を言われてもめげずに私に言い寄ってきてたらしい。

 で、オープンレズなアイツは私と違って正常な交友関係を築けていたらしく、友達も普通に出来ていたらしい。で、周囲にそれを言いまくっていたらしい。

 曰く、好き過ぎて辛い、と。

 元々一目惚れだったらしいのだけど、そんな女が実は自分と同じレズ。それはもうテンションが上がったらしい。

 ので、ついあんな行動に出てしまったらしい。好きが止まらなくて止まれなかったのだとか。

 で、好きなものは好きなので何を言われても効かないという無敵状態だったらしい。

 

 ……いや、いやいやいや。

 

「無理がありません……?」

「千鳥ちゃん可哀想って話ずっとしてたんですよ」

「えぇぇ……」

 

 いくらなんでもクソ女呼ばわりするほど嫌ってたら好意も打ち砕かれるんじゃなかろうか。

 

「だから少しは優しくしてあげて欲しいなって」

 

 というかそもそもだな。

 

「……皆さん私の事、レズの事避けてましたよね? どういう吹き回しです?」

 

 って事なんだけど。放課後始まってから濃過ぎるんだけど。

 そんな私の問い掛けに対し、少し顔を歪ませる一同。そうだよ、お前ら私の事避けてたじゃん、レズの事嫌ってたじゃん、なんなん?

 

「……その」

「なんです?」

「千鳥ちゃんが可哀想過ぎてもうどうでもいいかなって……」

 

 どうでもよくねー。私が疎外されてた原因がどうでもいいってお前らマジちょっとどういう事なんだ。

 

「今までの事はごめん。だけど、少しは千鳥ちゃんと向き合って欲しいなって」

 

 そう言って、皆は私に謝罪した。

 ……いやまぁ、中学時代に比べれば遥かに平和な日々だったから別に良いんだけど。だから許すも許さないもあんまり無いんだけど。

 

 クソ女と、向き合えって言われたって……。

 

 

 

「おはようむっちゃんセックスしよっ!」

 

 コレと向き合えって?

 思わず教室中を見渡したけど全員顔を背けやがった。なんなんだお前ら。

 

「今までずっと隠してたけど! 好きです!」

 

 お、おう、そうですか。

 

「だからまずはセックスしてお互いの事を知ろう!」

 

 ねーよ。

 どうすんだよ、クソ女のネジ外れちまったぞ、誰が責任取ってくれるんだ。あ、外したの私か。

 仕方ない、責任取るか。

 

「クソおん……」

 

 って発言しようとした瞬間、周囲から視線が突き刺さった。お前らホント……。

 

「……村山」

「っ! はいなんでしょう!」

 

 なんで苗字読んだだけでそんな嬉しそうなんだよお前……。

 

「しねーよ」

「えええええええええええええ!」

「うるせぇ死ねよ」

 

 だから悪態つく度に視線向けてくんの止めろオーディエンスども。

 

「でもほら! 興味あるでしょセックス」

 

 だからコイツのメンタルどうなってんだ、鋼過ぎんだろ。めげろよ。

 

 ……だがしかし、困った事がある。

 興味、あるに決まってる。

 いやだって、こちとらレズを拗らせた年頃の女子。レズセックスというものに対してめっちゃ興味津々。しかも出来る事なら学校で制服えっちとか超したい。今したい。すぐしたい。

 

「むふん」

 

 なんて、表情に出さずに考えてたらクソ女が謎のドヤ顔。

 

「やっぱり興味あるんだぁ」

「はぁ⁉︎」

 

 別に図星突かれて動揺なんかしてないし。

 

「澄ました顔してもセックスの魅力には勝てないよむっちゃん!」

 

 何言ってんだコイツ。だけど正直セックスはしたいから困る。

 ……っていうか、セックス、コイツと?

 改めて……出来るだけ呆れたような表情を作りながら……クソ女の顔を直視する。

 見た目は好みなんだよなぁー……お人形さんみたいで可愛いんだよなぁー……ちっぱいなのも解釈一致ぃー……これがクソ女でさえなければなぁ。見た目は良いんだけど中身がクソうぜぇというか……。

 

 …………いや待て、うざい、だけなのか?

 

 嫌い、じゃないのかそこは。

 確かに嫌いだった。嫌いだった筈。なのにいつの間にか嫌いではなくなっていた……? ただクソうぜぇだけで、嫌いでは、ない?

 そんなバカな事があるものか。うざいなら嫌いだろう。

 いやでも、コイツが啼いてるのを見るのは面白い、かも、しれない? と思える時点でなんかおかしいんだよな。うん?

 

「ね、ね、むっちゃん。私、ネコがいい。むっちゃんは?」

 

 タチが良いです。ってそうじゃねーよ。そういう問題じゃねーよ。

 っていうかおい聴衆共、ひそひそ話してんじゃねーよ。ネコの意味をネットで調べるな。

 

 あぁもう。

 

「とりあえず、だな」

「うんっ!」

「時と場所を考えろクソ女」

「っ! はーい!」

 

 うわぁ、時と場所を考えたらこの話して良いんだぁ、みたいなツラしてやがる。

 放課後になるや否や速攻で帰ろ。

 

 

 

「って考えてるんだけどそうは問屋がおろさないよむっちゃん!」

 

 うぜぇ。

 帰らせろよ。教室の入口を塞ぐんじゃねーよ。

 おい待てクラスメイト共。千鳥ちゃん頑張って、ファイト、じゃねーよ止めろよ。不健全だろ。不純同性交遊だろうが。んで声援を送った端から帰ってくのなんなの? 私もそこ通せよ。

 

 という訳で、クソ女と二人っきりになってしまった。

 

「……ねぇ、むっちゃん」

 

 そして神妙な顔付きで話し始めるクソ女。

 なんだ、何言い出すんだ。

 

「……制服えっちって、今しか出来ないんだよ?」

 

 クソ真面目な顔して言う台詞じゃねーだろうが。

 っていうか、クソ。コイツの言ってる事は正しいんだよ。制服えっちは確かに今しか出来ねーんだよ。腹立たしい事に。

 コイツでさえなければ。今誘惑されているのがコイツでさえなければ一も二もなく飛びつくってのに……!

 

「という訳でむっちゃん、キスしよう」

「ヤダよ」

「即答ぅ」

 

 お前となんかキスする筈ねーだろうが。それはもっとこう、大好きな人とするもんだろうが。ファーストキスの相手くらい選ばせろ。っていうか話を飛躍させんなっつってんだろうが。

 

「分かった。分かったよむっちゃん」

 

 溜息を吐くクソ女。いや溜息吐きたいのこっちだってんだよ。

 

「脱げばいいんだね?」

「は?」

 

 どうしてそうなった。

 ……なんてツッコミを入れる暇もなく、コイツは制服のボタンを外し始めた。待てや。

 

「むふん」

「っ!」

 

 中から現れた白いブラウスについ目が引き寄せられていると、くすりと笑うクソ女の声がした。

 この程度の事に気を取られたなんてクソ忌々しいにも程がある。というかそれを悟られたという事実が更にクソ腹立つ。

 だから顔が赤くなっていくのを自覚しながら、全身全霊でクソ女を睨みつけてやった。

 

「むっちゃん」

 

 だけど、ヤツは言った。

 

「おねーさんの服の下がどうなってるか、知りたい?」

「死ね」

「え、ひどくない?」

 

 どうしてコイツはこうなんだ……! 黙ってれば本当にまともどころか好みド直球なのに……!

 

 あー。

 あーもう、どうでもいいや。キレた。私はキレました。

 

「脱げ」

「え?」

「いいから脱げ」

 

 ドッカリと椅子に座って頬杖をつく。そしてそのまま顎をしゃくって先を促した。

 

「え、え?」

 

 固まってんじゃねーよ。セックスしよっつったのお前だろーが。

 

「あ、ぅ……こ、心の準備が、ですね?」

 

 心の準備出来てねーのにセックス言ってたのかよ。どこまでコイツは私をバカにすれば気が済むんだ。

 

「知らん。脱げ」

 

 だから私は言ってやった。セックスしてやる、と。いや実際言ってないけど、言ったようなもんだし。

 

「……っ」

 

 だけどその意図は十二分に伝わったらしい。

 ヤツは息をのんで顔を真っ赤にさせて、

 

「ぅ、うん……」

 

 ぽおっとした表情でブラウスのボタンに手を掛け始めた。

 

 一つずつ、上から一つずつボタンが外されていく。

 首元が顕になる。けれどそれ以上肌は見えない。ボタンを外した程度では肝心な部分が見える筈がない。

 

「……ぇ、と」

 

 ボタンが、全て外された。

 けれどヤツはそこで動くのをやめた。いや、動けなくなった。

 

「前、開けろ」

 

 だから促してやった。お前の服の下に興味がある、と言ってやった。

 

「……っ」

 

 私の声が届くと同時、ヤツはぶるっ、と身体を震わせた。

 

 …………アレか? さっきも思ったけど、コイツ、私から命令されて興奮してない?

 

「わか、った……」

 

 なんて事を考えていると、ヤツはぎこちない動きで、ブラウスの前をくつろげ始めた。

 

 現れたのは装飾の多い白。

 セックスしよう、と本気で誘いをかけるつもりだったのか、少し本気が見える下着。

 そんな白を、ヤツは恥ずかしくてたまらない、という表情でこちらに曝け出してきた。

 

 正直、欲情した。

 何度も言うけど、コイツの見た目は本当に好み。そんな女が、恥ずかしそうに下着を見せつけてくる。そんな状況、興奮しない筈がない。

 

「な、なにか言ってよぅ……」

 

 だから視姦する。ヤツの言葉なんか無視して、この素晴らしき光景を脳に焼き付ける。

 首。鎖骨。胸。白。お腹。ヘソ。

 上から下まで、全てが綺麗で、とんでもない程えっちだった。

 

「むっちゃぁん……」

 

 泣きそうな声でこちらを窺ってくるクソ女。

 だけど前を拡げた姿勢はそのまま。私が開けろと言ったから、それに素直に従っている。

 

 その事実で、何かが、キレた。

 

「……ブラ」

「っ! ぅ、ん」

「上にあげろ」

「っ⁉︎」

 

 見飽きる事なんて決してあるわけがない光景。

 だけど、それ以上に、見たい。

 女の子の、生のそこが、見たい。

 コイツなら、従う。私の言う通りにする。

 

「は、ぃ」

 

 だから、ヤツは、震える手で、白の下着を、ゆっくり、ずり上げ始めた。

 

 まな板と形容した事のある胸は、案外膨らんでいた。その膨らみが、だんだんと顕になっていく。

 見るだけで柔らかいと確信出来るような丸みが、徐々に徐々に面積を大きくしていって、

 

「んっ……」

 

 ついに、肌の色とは異なる色彩が、現れた。

 

「どう、かな……?」

 

 どうも何もない。

 えっち。たまらなくえっちだった。

 

「こっちに来い」

「え?」

「いいから」

 

 だから、だから、だから、耐えられない。

 

「んぅ……っ!」

 

 固い動きで、だけどのぼせたような表情で、ヤツは近付いてきた。いや、来させた。

 だから、だから、耐えきれなかった私は、震える手をヤツの胸に伸ばしていた。

 

「は、ぅ……」

 

 柔らかかった。案外膨らんでいたその胸は、果てしなく柔らかかった。

 沈み込む、なんて事は無いけれど、触れていて心底幸せになる感触がする。

 

「ぁ……ゃ……」

 

 だから、両手で胸を包み込んだ。

 両方の手に、幸せな感触が返ってくる。そのまま動かさない、なんて不可能。緩やかに、恐る恐る手を動かして幸せの塊を揉み込んでいく。

 

「んっ……んっ……」

 

 悩まし気な吐息が微かに聞こえる。コイツは今、私の愛撫で感じている。その事実で、頭が沸騰しそうになる。

 つい手に力が入ってしまいそうになる。けれど、そんな事をしてしまったら幸せが壊れてしまいそうな気がして、必死に自制する。

 

 だから、もっと触れてみたい場所に、触れる事にした。

 

「ぁんっ!」

 

 肌の中で色彩の違う場所。赤いぽっち。

 そこを、摘んだ。

 

「んっ……んっ……んっ……!」

 

 そのまま、きゅむきゅむと弾力を楽しむ。

 自分のものを触った事なんて幾らでもある。けれど、胸の膨らみもそうだったけれど、人のを触るのは、別格。

 もう、感触がえっちだった。ここはえっちな場所なんだ、と確信した。

 

「ぁっ、やんっ……! は、んぅっ……!」

 

 それが、だんだんと硬くなっていく。私の愛撫で、明確に感じている。だからもっと止まらなくなる。

 コリコリとした感触を楽しみながら、摘んだり、左右に軽く捻ったり、弾いたり、思いついた愛撫を端から端まで試していく。

 

「んんっ……! ぁっ、あっ……!」

 

 その度に、ヤツは身体を震わせる。

 ぴくん、ぴくん、と私の指から逃げるようにして背を丸める。けれど決定的には逃げず、ずり上げた下着を押さえながら私の愛撫を受け入れるがままになっている。

 

 いやらしい。

 コイツはなんていやらしいんだ。

 私なんかの命令に従ってこんなえっちな格好をするなんて、もっと分からせてやらないといけない。そうに決まっている。

 

「……スカート、まくれ」

「っ!」

 

 だから、さっきよりも低い声で、命令した。

 だけどヤツは目を見開くだけ。

 

「あんっ⁉︎」

 

 だから、胸先を抓って分からせてやる。

 

「まくれ」

「ぁっ、やっ、んっ! わかった、からぁっ!」

 

 コリコリの感触がたまらない。思わず夢中になってしまう。

 そんな風にして乳首で楽しんでいると、ヤツはスカートの端を掴んで、

 

「ん……っ!」

 

 ゆっくりと、そのヒラヒラを腰元までまくり上げた。

 

「……っ」

 

 思わず、手が止まる。思考が停止する。

 好みの女の子が、胸を曝け出し、スカートをたくし上げて、パンツを見せつけている。

 えっちに過ぎて、カァッと頭が熱くなる。おかしくなる。

 

「あっ⁉︎」

 

 だから自然と、手が純白の上に着地していた。

 

「……ぁ、や、やだっ」

 

 だから、気付いた。

 濡れてる。指先から、くちゅ、っとした感触が、返ってきた。

 ヤツが慌てた様子で私の手を握ってくる。たぶん恥ずかしいから、だと思う。

 けれど、私にえっちな姿を見せつけて、えっちな愛撫を受け入れて、えっちに感じている女の子が目の前にいて、止まれる筈がない。

 

「んあっ⁉︎」

 

 だからわざと、濡れてる中心を下着越しに掻き回してやった。

 

「あっ! やっ、だめぇっ!」

 

 くちっ、くちっ、といやらしい音が鳴る。私が女の子を感じさせた、という事実で頭が焼き切れそうになる。

 もっと、もっと、もっと。もっとコイツを感じさせたい。下着からいやらしい蜜が溢れるくらい、どろどろにしてやりたい。

 

「ぁ……」

 

 だから、くちゅくちゅはおしまい。

 

「ああっ!」

 

 だから、もっと感じろ。

 

「んぁああっ! だめっ! そこだめぇっ!」

 

 ダメなものか。下着越しでも分かるほど小さなぽっちが硬くなっているのが分かる。

 感じている。やっぱり感じている。そして期待している。ココを気持ちよくして欲しいと期待している。

 

「ふぁああっ! あんっ! んんぅうっ!」

 

 だから最初から気持ちよくなれ。

 優しく触るなんてしてやらない。ゆっくり撫でるなんてしてやらない。

 

「んんっ! んんっ! んんんんっ!」

 

 カリカリ。柔らかいあそこの中で一番硬くなってる場所を集中的にカリカリ。

 身体が出来上がっているんだから、このくらい大丈夫。

 だってこんなにも気持ちよさそうに喘いでいる。こんなにも気持ちよさそうに腰を前後させている。

 

「やあっ! ぁあっ! だめっ! こんなの、すぐっ! んぁああっ!」

 

 ヤツが更に前屈みになる。

 顔を真っ赤に染めながら腰を引き、イヤイヤをしながらピクピクと身体を震わせる。

 けれどスカートは自分でたくし上げたまま。そのままずっと愛撫して欲しいと言っている。

 だからもっとカリカリする。

 下着越しでも分かるくらい硬く張り詰めているぽっち。そこを目掛けて全力でカリカリする。

 それは痛みなんて送る筈がない。だってコイツの顔は蕩けていて、もっとして欲しいって言っている。

 だから、身体も表情もそう言っているんだから、もっとずっとしてやる。

 

「あっ、あっ、あっあっあっ!」

 

 ヤツの踵が浮く。足がふらつく。腰が引ける。

 だけど逃げない。あそこをこっちに押し付けてくる。

 もう恥ずかしいなんて感情は見受けられない。気持ちいいという感情しか伝わってこない。

 眉根を寄せながら、悩ましい表情でこっちに訴えかけてくる。

 イきそうです、と。

 イって良いですか、と。

 だから、

 

「イけ」

 

 その言葉で、心底嬉しそうな表情を浮かべた。

 

「あっんんんっぁあああああああああっ‼︎」

 

 その瞬間、ヤツの腰が逃げた。

 お尻をくんっ、と後ろに勢いよく引き、そのままぷるぷると小刻みに震える。

 踵が浮き、次の瞬間には降ろされ、カツン、カツン、と不規則に音がなる。

 スカートをたくし上げていたその両手には全力がこもっているのか、握っている箇所を中心にして大きく皺が寄っている。

 

「はあっ! はあっ! はあっ!」

 

 荒く息を吐いている。顔を真っ赤に染めて、呼吸を整えようとしている。

 全身が、淡く赤に染まっている。胸の先っぽも、心なしか先程より真っ赤になっている。

 脚は震えていて、その間から雫が落ちていく幻覚すら見える。

 だから、

 

「村山、来い」

 

 そんな姿に、いたく興奮した。

 

「ふぇ……?」

「いいから、来い」

 

 こっちの言葉を理解していない顔。

 

「あっ……」

 

 だから、その腰を引き寄せた。

 もう、待てない。こっちの命令に従うのなんて、待ってられない。

 

「ああっ⁉︎」

 

 ふらふらの腰が射程圏内に入るや否や、私はパンツの中に手を差し込んだ。

 

「あっやっ、だめぇっ!」

 

 どろどろだった。

 おもらししたんじゃないかと思うほど、ヤツの下着の中はどろどろだった。

 というか、そんな事よりも。

 

「んぅ……っ!」

 

 ふにふにしている。

 これが、おまんこ。

 他人の、おまんこ。

 どろどろで、ぬるぬるで、やわらかくて、えっちで、えっちで、えっちで。

 

「は、ぁぁぅ……っ!」

 

 まぜまぜ。おまんこまぜまぜ。

 えっちなおつゆでいっぱい。くにゅくにゅしてて、くちゅくちゅで、くちょくちょで、もっと、もっと、もっと。

 

「んんっ、んんっ、んんっ……!」

 

 いれたい。いれたい。いれたい。

 おまんこのなかに、いれたい。

 ぜったいきもちいい。

 ぜったい。ぜったい。ぜったい。

 

「ぁ……」

 

 ぜったいダメに決まっている……!

 

「ひぁあああああああっ⁉︎」

 

 だから、ぬるぬるになった指先全体を使って、硬いぽっちを全力で苛めた。

 

「ああぁぁあっ! んんぅううううっ!」

 

 えっちなお汁でいっぱいのパンツの中だから、揃えた指先を左右に動かすだけでえっちな音が鳴る。

 だけどそれ以上に、このぬるぬる愛撫が気持ちよくて仕方ない、という声が耳元から伝わってくる。

 

「ふぁああっ! ああっ! あぁぁあっ!」

 

 ヤツはもうスカートをたくし上げてなんていられなかった。

 膝がガクガクと震えて、今にも崩れ落ちそうな身体を支えるようにして、私の両肩に手をついている。

 

「むっちゃん! むっちゃ、あっぁああっ!」

 

 至近距離で私を見詰めながら、こちらに呼びかけてくる。気持ちよくて仕方がない、と訴えかけてくる。

 だから、横方向にいじめていたものを、円を描くような動きに変えた。

 

「んぁぁあああああああっ!」

 

 急激に、内股になった。

 それは気持ち良過ぎるからダメ、と主張している。

 

「あっあっあっああっ ! あぁぁあっ!」

 

 だから強める。くにゅくにゅくにゅくにゅっとカッチカチのぽっちを掻き回す。

 その度にビクビクビクッと身体は跳ね、踵が何度も浮き、腰が引け、両手に力が入り、下着の中からいやらしい音が響いてくる。

 

「むっちゃん! ちゅー! ちゅーしたいっ! んむぅうううっ!」

 

 だから、した。

 

「はぁむっ! んちゅうっ! はぁんんっ!」

 

 柔らかい唇。とろとろの舌。熱い吐息。

 蕩けまくったヤツの顔を超至近距離で眺めながら、頭がぽおっとする快感を味わう。

 

「んんんんんぅぅううううううっ‼︎」

 

 そんな最中、ヤツの踵が全力で浮いた。

 目端には涙が浮いている。

 焦点が合ってなくて、どこかを見ている。

 

「んんんんっ⁉︎」

 

 だから、こっちを見させた。

 

「じゅるっ‼︎ んっちゅむっ‼︎ ぷあっ! あああぁぁあっ‼︎ もうイった‼︎ イったからぁっ‼︎」

 

 知らない。こっちを見ろ。もっと見ろ。

 イけ。私の指でイけ。

 

「はぁああぅうううっ‼︎ だめだめだめだめっ‼︎ またっ‼︎ またっ‼︎」

 

 踵が何度も浮く。

 膝が笑っている。

 両手に力が入る。

 でも身体はそのまま。私に捧げたまま。

 

 だから村山。

 

「ああっ‼︎ ああっ‼︎ ああっ‼︎ んんぁぁああああっ‼︎ はぁあんんっ‼︎ んっんっんっんぁぁああああぁぁっぁあああああああっ‼︎」

 

 今度は、私の目を見ながらだった。

 

 

 

「はあっ! はあっ! はあっ!」

「…………」

 

 耳元から荒い呼吸が聞こえる。

 さて。

 さて。

 さて。

 

「はあっ……! はあっ……! むっちゃ、むっちゃん……やば……」

 

 どう言い訳しようか。

 

「へへ、うぇへへへ……」

 

 どうしてこうなったんだったか……あぁそうだ。なんかイラついて、脱げっつって、あとは流れでこうなったのか。どんな流れだよ。

 

「既成事実ゲット……!」

 

 そうね。そうっすね。なんかキスもしちゃったしね。

 

「むっちゃん……」

「……んだよ」

「好きだよ……」

「私はそうでもない」

「ええええええええええええええ⁉︎」

 

 あ、つい反射で応えてしまった。けど事実だからなぁ。

 

「セックスしたじゃん!」

「あー、した、な」

「ノリノリだったじゃん!」

「あー、そう、な」

「ちゅーそっちからしてくれたよね⁉︎」

「あー、ね」

 

 アレなんだよ。セックスしたかっただけであって、別にコイツの事なんて好きでもなんでもないというか。

 

「え、こうさ、セックスした相手だとちょっと特別に見える的なの、無いの?」

「……あー?」

 

 改めて、至近距離にいるコイツの顔に焦点を合わせる。

 綺麗な顔。あ、額に汗かいてる。ってそうじゃない。

 

 ……好き、ねぇ?

 

「分からん」

「えぇぇ……」

 

 いやだって、なんか、なんだろ。それで惚れるとかちょろ過ぎてアホみたいじゃん。

 

「まぁいいや」

 

 だけど、何かに納得したのか、ヤツは私から離れた。

 

「またセックスしよ、むっちゃん」

「は?」

 

 そして、理解出来ない事を言った。

 

「何回かしてる内に私のこと好きになってくれるかもしれないし」

 

 服装を整えながら、これまた理解出来ない事を続ける。

 

「それに、セックス楽しかったでしょ?」

「ぅ……」

 

 だけど、それは、理解出来てしまって。

 

「だからさ、またセックスしようよ」

 

 あっけらかん、と言い放たれる。

 気持ちよかったよね。楽しかったよね。

 でもそのうち好きになってね。

 そんな想いがこもった言葉が、言い放たれる。

 

「……変な女」

「むっちゃんみたいなチョロい女には言われたくないなー」

「なっ⁉︎ いやだって、アレは不可抗」

「脱げよ……キリッ」

「殺すっ! 死ねっ!」

「きゃーこわーい! じゃあむっちゃんまた明日ねー!」

 

 そうして、ヤツは軽やかな足取りで教室を出ていった。

 

 ……あー、なんだ。

 学校の教室で、制服えっち、しちゃった、な。

 

 

 

「おはようむっちゃん!」

 

 翌日。

 あんな事をしたというのにコイツは何も無かったかのように接してくる。いや事後も似たようなもんだったな。

 

「むー! お、は、よ、う!」

「うるせークソ女」

「むふん」

 

 今日も観衆が私の言動に目くじらを立てているけど知らん。

 

「……ねね、むっちゃん」

 

 そんな中、クソ女が耳元に口を寄せてきた。なんだ鬱陶しい。

 

「放課後、またセックスしよ……?」

 

 鬱陶しいけれど、その、なんだ。

 

「今度は……下着、脱ぐからさ……?」

 

 おま、それは、直接その、見れるというか。

 

「むふん」

 

 あ、コイツ今私の事からかった。

 

「死ね」

「え、なんで⁉︎ そんな要素あった⁉︎」

 

 あったに決まってる。

 だってそう言い張らないと、セックスの魅力に抗えない。

 

 

 


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