タイトルどおりです。戦うことを生きがいとして世界が平和になることをずっと願っていたエルフさんが、うっかりエロトラップダンジョンに入ってしまってふつうに触手のえじきになっちゃった。

いちおう戦闘要素もあります。
……ぶっちゃけエルフ要素薄いかも。

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単話です。エロから見たい場合は2600文字付近にある『―――――――――――――』から読み進めること。


凄腕冒険者エルフさんがエロトラップダンジョンでうっかり完全メス堕ち苗床になっちゃう話。

「すげえ──」

 

 背後で誰かが声を漏らした。

 

「ドラゴンを、一撃でやっちまいやがった」

 

 私は刀を鞘に納めて、目の前に落ちた竜の首を見る。

 成長を済ませた赤龍だった。全長は30メートル、全身を覆った鱗の硬度はすでに通常の鋼を軽く越えていて、巨爪の力は人ひとりなら軽く押しつぶせる。

 

 ……まあ、私には関係のない話だった。

 首と胴体が泣き別れた赤龍から刀を引き抜いて、軽く振って血を振り落とす。

 

「そこの村人」

「えっあっはい! 御用でしょうか英雄様」

「すまないが、本街までの馬車を用意してくれないだろうか。復興の手伝いができればよかったのだが」

 

 私が到着するころにはすでに、赤龍が村のほとんどを壊滅させていた。村人の多くは爪に引き裂かれ、あるいは喰われ、残った人々も門戸を硬く閉ざしていた。今うしろにいる”彼”が飲み込まれる直前に到着できたのは、不幸中の幸い……と言えるだろうか。一週間も早ければ、被害ゼロも夢ではなかったことが嫌でもよぎる。

 

「……申し訳ない。到着が遅れてしまって」

「いっ……いえいえいえ! むしろ滞在されないんですか!? 少しでもお礼を──」

「すまない。同じように仕事が溜まっていてな」

 

 好意はありがたいが私にもてなしを受けているヒマはない。もちろん口上に述べたこともあるが、……やはり私が幸せになってしまっては、間に合わなくて救えなかった命に合わせる顔がないというのもある。

 死とは、大きい。永く生きるほどに生が重たくなっていく。

 

「えっ……ええと、そういうことでしたら……すぐに呼んできます!」

 

 男性は踵を返して入口のほうへ駆けて行った。私が来るときに使用した馬車は龍の気配を察してすぐさま逃げて行ってしまったが、あの調子ならほどなくして戻ってくるだろう。私がここにきて、まだ10分も経っていないからな。

 

 

 

 ▲▽▲

 

 

「ダンジョンの発生か」

「はいっ」

 

 三時間か四時間ほどあと、私はギルドに戻ってきていた。

 いわゆる”S級”と分類される等級に分類されてから、私の依頼はおそろしい量に増えている。さっきのような討伐依頼が最も多く、二番目に多いのが──

 

「未確認ダンジョンの等級査定! いやあ感慨深いなあ、私担当の冒険者であるセレニールさんがあっという間にS級になんて──」

「ラミラ」

「はいっ!?」

「資料を」

「はい~……あのですねセレニールさん、誰にでもそんな態度とってたら一生行き遅れて幸せになんて生きるなんて夢のまた夢ですよ~~……」

 

 専属の受付嬢(ラミラ)はすぐ奥に引っ込んで、資料の束を持って戻ってくる。すでにまとまっているあたり、緊急性は中ほどととらえるべきか。

 

「はい、これがダンジョンの詳細ですー。等級はだいたいC~Bくらいって予想されてまーす」

「ありがとう。すぐに用意して行ってくるよ」

「……え赤龍倒した直後ですよね?? 休み一日くらい取ったほうが──」

「私が幸せである条件は、みんなが幸せであることだからな」

「えぇ~……気を付けてくださいねー……」

 

 ラミラに小さく手を振って、私はダンジョンへ向かった。

 

 ▲▽▲

 

「……ここが目的地か」

 

 私はくだんのダンジョンにたどり着いた。

 見た目はふつうの洞窟だ。山の真ん中あたりにぱっくりと空いていて、奥にたき火を作ればかなり過ごしやすくなると思う。……もっとも今は異常性のせいで、考えなしにキャンプなんかすれば首と胴体が断裂するだろうが。

 

「それでは」

 

 刀を抜く。刃を倒して、

 

「殲滅する」

 

 突入。ダンジョンの入り口をくぐったその瞬間に、奥からわらわらと敵が押し寄せてきた。

 

「触手型、スライム型、ヘビ・オオカミ・小竜──……おおむね報告通りだな。小竜がいるからB~Aくらいで再申請をしておこう」

 

 トップスピードで走りながら襲い来る敵を切って切って切って、どんどん奥へ進んでいく。構造は幸いにも一本道のようで、かつ一層のみ。この調子なら十分もすれば最奥に到達できるだろう──そこで相当な距離を歩んだ私へ、ひときわ大きな敵が降ってきた。

 

「!」

 

 とっさに敵を蹴って宙返りする。後ろ三メートルほどのところへ着地しつつ、私は刃の先を敵に向けた。

 

「……ボスモンスター、か」

 

 大きな触手だ。入口あたりでたむろしていたものがひざ丈ほどだったのを鑑みれば、私の数倍はあろうこの巨躯は相当に異常な個体だ。ダンジョンの主とみて間違いないだろう。

 

 蹴ってみた感触的に、”切り裂ける”敵ではない。薄ピンク色の表面は強い弾性を持っていて、相当な圧力でなければ内部まで刃は通らないだろう──”突く”必要がある。柄を頬のあたりまで引き下げたところで、

 

「!」

 

 触手が私のほうへ伸びてきた。速い。もう目の前まで伸びてきた──触手の側面に刃をうち当て力を加える。軌道を変え損ねて頬に切り傷が浮かぶが、そこはどうでもいい。延ばされた触手に沿うようにして走り込み、本体に肉薄した。

 

「これで──終わりだッ!」

 

 そのまま本体の中心へ刃を貫くと、触手は灰になって消滅した。

 

「……思ったよりも疾かったな。速く処理できてよかった」

 

 全身タイツのような服に、局部と急所だけ隠したライトアーマーからわかるように私の防具はかなり薄い。「速く・強く」を主戦術としていて、最初から敵の攻撃を受けることは想定していないからだ。刃に近い顔付近へ攻撃が来たからよかったものの、あれが心臓狙いであったらどうだったろうか──思い出すだけでゾッとする。

 

「仕方がない。このへんで切り上げて報告まとめと──」

 

 ぴちょんと背中に液体が落ちた。すわ酸の類かと身をすくめるが、そういうわけではないらしい。

 洞窟にたまった水が雨のように落ちてくることはよくあることだ。あまり気にしなくても──いやしかし粘っこい液体だ。思わず上を見上げて、

 

「なっ」

 

 私は口をつぐんだ。

 

 そうだ。そもそも触手は上から降ってきた。最初から上を警戒すべきだったのだ。後悔する私をよそに、周囲の地形がぐねぐねと変質していく──私の足元にぽっかりと大穴が開いた。

 

「視界がすべてがピンク色に……! 壁も天井もすべて、あの触手だったのか──」

 

 急いで出口へ向かうも、もう遅い。自由落下をどうにかする術は師匠も教えてはくれなかった。頭に血が上る感触とともに、私は意識を手放した。

 

 

 ────────────―

 

「っ……私は、どれだけ眠っていたんだ」

 

 頭がぐわんぐわんとする。体の各部位にダメージはないらしい──幸いにもダンジョンのぬめっとした床が、私をキャッチしてくれたらしかった。

 

 ……いや、刀がない。落ちるとき上に置いてきたらしかった。

 

「…………防具が残っているのは、不幸中の幸いというべきか」

 

 もっとも全身タイツとライトアーマーだけでは、この状況を切り抜けるには心細い。できるだけ早くの脱出を試みる必要がありそうだ。

 

「ひとまず」

 

 ピンク色の壁がずっと向こうまで続いている。ダンジョンの最奥まで進めばワープクリスタルがあるはずだから、それに触れば形成を立て直せるだろう──いちるの希望に賭けて、私は奥へと進むことにした。

 

「しかし」

 

「しかしここは、やけに暑い」

 

 タイツの中が蒸れている。日の光が届かないというのに、どうしてここはこんなに暑いんだ?

 

「……脱ぎたいがまあ、まだいいだろう」

 

 今怖いのは不意打ちだ。薄布一枚とはいえ私にこれを脱ぐという選択肢はない。壁に手をつきながら進むと、足首ほどの高さまで液体が溜まった小道にぶつかった。

 

 こういうのは酸の疑いがある。靴を履いていようと酸は通してしまうので、私はいちど靴を脱いだ。浸して金属浸食がないことを確認してから、私はゆっくりと足をつける──冷たい。通気性を重視して側面に肉抜きを施したのがあだになったらしく、数秒もしないうちに私の足はびしょぬれになった。

 

「毒でないだけマシとしよう。……気持ちはすごく悪いが」

 

 地面は触手のようなピンク色のぶよぶよであることに間違いはない。本当に困ったら裸足になろう──五メートルもすると水たまりは完全になくなったので、その心配は杞憂に終わった。

 そこから少し開けて、広めの廊下のようになっている場所に出た。

 

「……なんだこれ」

 

 壁の各所から突起が生えている。両側の壁、天井、ひいては床からまんべんなく浮かんでいて、まるで棘でも生えてきそうだ。

 

「慎重に行くか」

 

 私が一歩を踏み出したところで、

 

 ぎゅん、と。

 

「…………」

 

 後ろの水たまりに倒れこむようにして、私はなんとか回避した。気持ち悪いのが両手・腰・背中へ伝わっていくが、そんなことはいい。

 

「光線が、飛んできた」

 

 光線は高等級の攻撃だ。主要に扱うモンスターの種類そのものは少ないが、ダンジョンのトラップとして設置されているだけで強い脅威になりうる。場合によってはS級に再分類される可能性も──問題は、あ(・)の(・)突(・)起(・)か(・)ら(・)飛んできたという点だ。

 

「……あれを、この先ずっとか……?」

 

 廊下の先は見えない。突起の数もわからない。……非常にまずい。

 

「駆け抜けるしか、ないな」

 

 水たまりのような地面であることが気に食わないが、ぐっと踏み込む。走り抜けると想定通り、私が通った場所を光線が格子状に通って行った。

 

「! これなら当たることもなさそうだッ……な?」

 

 確認のために後ろを向いたのがよくなかった。ピンク色の地面が少しだけ盛り上がっていることに気が付かず、私は少しだけ背を反らす──

 

 びっ。

 

「んっ────♡!?」

 

 光線が背中を掠めていった、と思う。

 背中が焼けるように熱いが、しかし、痛みの類は感じない。いやそれよりも今の声は──

 

「まずい、回避が──!」

 

 ぴゅん、ぴゅん、ぴゅん、ぴゅん。

 

「ん゛~~~~──っ♡♡!?」

 

 へたりと地面に座り込んでしまう。まずい、まさかこれ、いやこの場所は──

 

「エロトラップダンジョ──んお゛っ♡♡」

 

 ダンジョンの多くは冒険者を血肉として食らい、発展を行う。本街の中心にある”大迷宮”だとか、あとは天(あま)つ国の”大和城”もそうだ。

 今回あたったのが、それと違うほう。

 目的は不明。来訪者すべてに身体的快楽を与え、ダンジョンの虜囚にする。

 

「回っ……うぴっ♡♡♡!?」

 

 頭がちかちかする。乳房を撃ち抜かれたのか? 防具越しに撃ち抜かれてこれなのだから、”もし直接あてられたのなら”──なんて妄想にとらわれる。

 

「じっ♡かし、このお゛っ程度なら♡♡っ、なんとか耐えられるう゛♡♡」

 

 立った時の腰から上には光線が複雑に飛び交っている一方で、足元をはいずっていれば当たるのはせいぜい一、二本だ。『絶頂して足を止めてしまう』──なんて醜態もさらさないで済む。

 

「イ゛っける♡もうちょっとでぇ、安全地帯があ゛っ♡♡」

 

 そこで、本日三度目くらいの後悔をした。

 いくら殺傷能力のない光線とはいえ、質量も何もないわけではない。少なくとも防具に損傷は入っていたのだ──ずっとピンク色の床にこすりつけていた胸当てが、ぼろりと崩れていく。

 

「っあマズ──」

 

 ”このダンジョンはワザと冒険者を這いずらせ、防具の自壊を狙っていたのだ”──気づいた時には、もう遅かった。地面すれすれ、這いずっていた私の乳首の真横に、新たな突起が生えてくる。

 

「っいや゛」

 

 ぴゅん、ぴゅん。

 

「っ」

 

 意外と何も感じないな、と思った。

 しかし体が動かない。

 疲労でもたまっていたのだろうかと場違いに思案する私を横に、もういちど光線が射出された。

 

 ぴゅん。

 

「あ゛っぐ♡♡♡♡────!?」

 

 タイツにシミを広げながら、私は体を大きく震わせた。思わず地面を掴もうと指に力が入るが、ぬめりとした地面がそれを許さない。

 

 まずい、快楽が逃せない──。

 

「イぐのはぁあ゛っ♡♡、イくのはだめだっっ♡♡、戻ってこれなくなる♡♡♡♡ぐっ」

 

 なんとか足に力を込めて回避する。足の裏に光線を浴びながら壁に手をつくと、そこはもう違う部屋らしかった。

 ひとまず、光線エリアから抜けられたことに安堵する。

 

「ふっ♡、ふーっ♡、なんとか……なんとか耐えられた……♡♡」

 

 この部屋には突起がないらしい──と気づいた瞬間、股を覆っていたライトアーマーがぼろりと崩れた。

 もし、一瞬遅かったら? この部分を光線で打ち抜かれていたら? 背筋をぞくぞくと何かが駆け上がっていく感触に駆られる。

 

「っとりあえず、向こうに行かなくては──」

 

 余談だが。

 エロトラップダンジョンは、『小部屋(チェンバー)』と呼ばれる部屋に分かれているとされている。水たまりの部屋、光線の廊下、ここが三つ目。それぞれにひとつのギミックと『カテゴリマスター』なる小さなダンジョンマスターのような存在がいて、中のギミックで来訪者が絶頂するとそれを嗅ぎつけて追ってくるのだとか。

 追いつかれるまでに別の小部屋(チェンバー)に逃げられなかった人物は、そのカテゴリマスターの餌食になってしまうのだとか。

 

 ……まあ、本当に餌食になったなら戻ってこれるわけはないし、半分くらいは迷信であると思っていたが。こういう状況に巻き込まれた以上は、あらゆる可能性を考慮に入れなくてはならない。

 

 壁に背中を預け、クリアリングしてから角を曲がる。刀もなくダンジョンを通り抜けられるとは思えないが、しておくのとしておかないのでは話が違う。

 

「……しかし、ここは暑いな」

 

 水たまりの部屋も同じように暑かったが、ここはさらに数段暑い。タイツを浮かして肌に風を滑り込ませるが、あまり効果があるようには思えなかった。

 

「まあ、どうせ防具はなくなってしまったからな。タイツのあるなしはあまり変わらないだろう」

 

 タイツの一部を裂いていく。袖(脇の部分がとんでもないことになっていた)、首、太もも、そして胸と股────

 

「……? ?? エロトラップダンジョンなら、少しでも局部は守っているべきでは……?」

 

 気づいた時にはもう、タイツを引き裂く手が止まらなかった。ついにはサラシと白いパンツ、穴だらけのタイツだけを纏っている。

 

「? まあ、まだ下着はある。タイツくらいどういうこともあるまい」

 

 それでも、不安が拭えるわけではない。サラシを上から手で押さえながら、私は先へ進んでいく。

 

 

 エロトラップダンジョンは各部屋のギミックをいち早く理解するのが肝要だ。さっきで言えば光線、一個前のものは──通り過ぎた今はわからないが、エロトラップダンジョンである限りはあそこも何かあったのだろう。

 ここのトラップは、さて──三度ほど曲がり角を曲がったところで、ようやくその答えがわかった。

 

「ラフレシア、か……?」

 

 赤地に緑の斑点が浮かんだ、見るも恐ろしい巨大花。構成する三つの花弁はわずかに胎動しているように見える──胎動に合わせて、ピンク色のガスが噴出した。

 

「! 媚薬ガスか! マズ──……ぁっ♡?」

 

 とっさに口を押えるのも間に合わなかった。私の意識はくらくなって、だんだんと闇の底へ沈んでいく。

 

 これもさっぱり余談だが、媚薬ガスは吸い込まずとも地肌に触れるだけでたいへん危険だ。なんでもない場所が性感帯になって、足裏なんかが触れれば歩くだけで潮を吹いてしまう。ついでに体の一部でも触れれば勝手に軽い催眠がかかって、もっとガスに触れられように自分をだまし始める。私がタイツを破り捨てたのはこれが原因だ。

 

 そして、まあ、手遅れというわけで。

 

「はっ♡……はっ♡……あっ、んっぐ♡♡っあ……♡」

 

 パンツに手をかける──タイツの余りが邪魔だ。体をぴっちりと覆ったタイツの穴に指をかけても、ガスで浮ついた頭のせいでうまく脱ぐことができない。かしゅ、かしゅ、かしゅとタイツをひっかく音ばかりがあたりに響く。

 そこで、うっかり。

 本当にうっかり、地肌を強く爪でえぐってしまった。

 

「びっ♡♡やあぁああ♡♡」

 

 間抜けな声があたりに響く。まさしく絶頂寸前のラインギリギリまで高められたメスの声で、しかし”うっかり絶頂できなかったメスの声”でもある。

 

 そこまで行くと、少しだけ頭が冷えた。

 

 いや、冷静さを取り戻したわけではない。冷静になって、タイツを破り捨てた。

 脱ぎ捨てる必要はなかったのだ。パンツが露出するところまで破り捨てればよかった。さっきよりも穴だらけになったタイツを放って指をかけ、一気にずり下す。銀の橋がぷつんと架かって切れた。

 

「……ぁは……♡」

 

 すでにとろとろだった。

 そりゃそうだ。そもそも媚薬ガスは『一小部屋(チェンバー)一ギミック』の制約を抜けて各小部屋に充満する。落とし穴から落ちてきたところ、水たまりの部屋、そしてあの、忌々しい光線の部屋にも存在しているのだ。

 媚薬ガスにしつけられ切ったからだが、今さら興奮していないだなんて無理がある。

 

 きゅうっと鼠径部に力がこもる。自慰なんて久しくしていないが、うまくできるかどうかなんて考えるべくもないだろう。……ただ本能に、身を任せればいい。

 

 ぐりゅっと指が膣内を擦った。

 

「~~~~~~っ♡♡♡♡」

 

 ぷしゅっと透明な液体が噴出する。まだ絶頂には達していない。絶頂には達していないが、それは私に性の悦びを思い出させるには十分だった。

 

 あれは百年と数十年ほど前だっただろうか。私は自慰というのを覚えて、それはそれはたくさんシた。

 ひどいときは二か月くらいぶっ続けで行ったように思う。半年のうち6割を自慰行為で消費したのちようやく、私は今の冒険者生活を始めた。

 

(マスターが、くる)

 

 理性ではわかっている。

 太ももに力が入って、膝がすこしだけ浮くような感覚。背筋がふわふわして、ぱちぱちと脳内が弾けていく。普段使わない角度で使わない力の入れ方をしているからか、人差し指がわずかに痛い。──ぜんぶぜんぶ、絶頂間際の感覚だ。達するだけで、私の人生はもう終わってしまうのかもしれない。

 

(だめだ)

 

 理性ではわかっている。

 

(だめだ、だめだ)

 

 わかっている、はずなのに。

 

(だめ──)

 

 私は大きく息を吸い込んでしまった。

 

「づっあ♡♡」

 

 ぷしゅ。

 

 幕切れというにはあまりにも短く中途半端な絶頂を迎えて、私はまた意識が深く沈んでいった。

 

 

 ▲▽▲

 

 

「っ……ここは?」

 

 次に目を覚ますと私は違う場所に移動していた。媚薬ガスは充満していないらしく、……どうやら体からも抜けきっているようだ。残った性感もわずかに太ももが痙攣するばかりで、いや、ほかに性感がないとそれすら気持ちが悪い。

 ぼんやりした視界を無理やり開ける。周囲は例のピンク色、タイツは破かれ防具はすっかり喪失し、パンツもどこかへ消えている。

 

 しかし残った課題はそこではなく、

 

「吊り下げられている……? っ」

 

 触手のようなものに捕まえられていることだった。ピンク色のぬめぬめしたものは私が最初のほうに切り捨てたダンジョンマスターのものと同一らしく、弾力のある肉体が私の抵抗を無為にしている。あらゆる方法を用いて脱出を図るも、まったくの無意味らしかった。

 

「っくそ、どうして私はあんなことを──」

 

 脳裏に絶頂の瞬間が映る。

 あれをして気絶さえしていなければ、こうして捕らわれることもなかっただろうに。

 

 はあ、くそ。

 後悔しても仕方がない。いぜん刀がないことには変わりないが、ここからどうにかして脱出する方法を見つけなけれ──?

 

 ぴちょん。

 

 私の首筋に液体が落ちた。

 粘性がある。

 酸ではない。

 水たまりの部屋にあった液体のようだ。

 先ほど私が切った、触手の分泌液に似ている。

 

「まさか」

 

 足元から、左右の壁から、天井がすべて、私が今まで見た何のモンスターよりも大きい触手のカタマリが顔を出した。すべてくだんの液体をまとっていて、ぬらぬらてらてらと光っている。

 

「まさかまさかまさかッ──」

 

 目の奥が白くなったように感じたのは、これから行われる責め苦に対して思ったことではない。

 エロトラップダンジョンにいるモンスターの分泌液は、すべて媚薬であるとされている。

 私はどれだけ液体を被った?

 入口のモンスターの返り血、触手の分泌液なんかは気にすることもなく踏みつぶしていったし、落とし穴の液体が触手の分泌液だとするなら、私の足はもう使い物にならない。

 

 最初から勝てるはずなどなかったのだ。その事実に目がくらむ。

 

 二本の触手が伸びてくる。ばっくりと口が割れていて、瞳孔のような器官が見て取れた──目? 触手に目があるのか?

 ともかく目のような形をした二本が私の周りを取り囲み、上から下、股下やときに胸を至近距離から見つめてくる──見つめるだけで、何をするわけでもない。

 

「……?」

 

 まあ、それだけなら。

 見られるだけなら、何というわけでもない。

 

 目の次に来たのは細い管のような触手だった。巨大な本体から数ミリほどしかない触手が伸びてくるのは強いギャップを感じるが、しかしか細いイメージしか見て取ることはできない。

 

「ふん、それだけか」

 

 そのていどの責め苦なら私にも耐えることができるだろう。ゆっくりと脱出方法を考える様子が──

 

「……見るな。あっち行け」

 

 私の足元からこちらを観察していた眼の触手が邪魔に感じて、身をよじって蹴りを繰り出す。あたることはなかったが、目は急いで後退していった。

 細い触手は私の後ろへ回り込んで、さらしをゆっくりと剝ぎ始めた。三十秒もしないうちに私の乳首が外気にさらされる──寒い以外の感想はない。

 

「この拘束さえ外してしまえば、あるいは……」

 

 脱出を思案している私に、こんどは先ほどよりも少しだけ太くなった触手が数本やってくる。うぞうぞと全身をはい回り、私の体にくだんの液体を塗り広げていく。

 

「ふん」

 

 私には秘策があった。

 さっきは脱出の手立てもないように絶望して見せたが、こと媚毒については全く問題ない。私は一度受けた毒を無効化することができる──つまり、この触手が行っていることはまったくのムダ。体がぬめつく以外のものはない。

 

「しかしこいつら、胸ばかりだな。……そこまで膨らんでもいないものを弄って楽しいんだか」

 

 ラミラの胸はわかりやすく大きい。あれを弄ぶ楽しさはわからないでもないが、私の胸はふくらみがわかるかどうかのラインだ。胸のあいだを通ったり、ほんの小さなふくらみの下側を擦ったり、あるいは揉んだり(というよりも押したり?)することに何の意味があるのだろうか。

 触手の愛撫は胸のあらゆる場所をまさぐってはいたが、しかしその頂点だけは触れることはない。

 

「んっ……ふ、ぅ。このくらいならなんてことはないな」

 

 この触手のほとんどは媚薬の部分にあると、私は早々に見抜いていた。つまりはこの場合、少しだけうざったい感覚がずっと付きまとっているだけで、たいした障害では──む、

 

「新しい触手か」

 

 先ほどさらしを取っ払ったものよりもさらに小さい。もはや触手というよりも”針”とするのが近いだろうか。硬質のそれが私の胸へ、乳首へ近づいて、

 ぷちっ、と。

 

「……?」

 

 乳首の先に突き立った。

 

 今度ばかりは本当にわからない。何か注入されている気がする……? 私に例の媚薬は効かないから、それでいいなら全くの問題はないが。

 

 全くの問題はない。

 

 ……全くの問題は……

 

 …………全くの…………

 

 ぷしっ。

 

「!? ♡♡……!!? ♡」

 

 体が少しだけのけぞる。”快感によるものだ”と気が付いた時には、私は乳首から白い液体を噴出していた。

 

「にゃにっ……!? ♡♡妊婦でもないのにッ……か♡♡♡!?」

 

 考える間もなく出る。胸が少しでも押されるたびに出る。ほんのちょっぴりでも快感が与えられるたびに出る。

 

「っはー……♡ っあ、…………まさか……新しい媚毒ぅ──……っ♡♡♡」

 

 頭には嫌な可能性がよぎっていた。

 知能の高い魔物は敵によって戦い方を変えていく。今までの私であれば、そういう相手にも先手必勝で刺し貫けさえすれば問題はなかったが、こうして拘束されている以上は戦い方も何もない。

 もし、触手の中で新しい媚薬が調合されているとしたら。

 私の「一度受けた毒の類を無力化できる」能力も、裏を返せば「新しい毒には全くの無力」に違いない。

 

 まずい。

 まずいまずいまずい。

 

「見るな……っあ♡」

 

 さっきの目が乳首を至近距離から見つめている。ヘンな気分になってきて、私の体はまた達してしまう。

 

「っ♡♡あれはまた、べつの触手かぁ゛♡♡──」

 

 口がばっくりと割れていて、その中には小さなつぶつぶがびっしりと生えそろっている。

 

「そんなもので♡♡今乳首を吸われてしまったらっ……♡♡」

 

 ぱく、っと。

 

「ンい゛っぐっ……♡♡?!」

 

 触手の中で乳首が跳ねている。あの小さなつぶつぶの一つ一つが擦り上げ、吸いついたり舐めたりしているのだ。……耐えられるはずもなく、私は母乳を吐き出してしまう。

 

「出てるぅ♡♡出てるっ出てる♡♡♡ゔー……っ♡♡♡♡」

 

 びゅーっ、びゅーっ、びゅ~~…………。

 

 そのまま三十秒ほど吸われ続けたあと、とつぜん触手は口を離す。「んあっ♡」と甘い声を上げたのは本当に私だろうか。──思考がうまくまとまらない。

 どちらにせよ、下を向きながら唾液を垂らすことのほか動くことができない。ひくひくと物欲しげに動く膣口から愛液がこぼれているのもまた、どうしようもなかった。

 

 ぞ、と巨体が動く。

 

 みるみるうちに私に迫ってくる。次はどんな責め苦が待っているのだろうかと思う私の顔へ、ひときわ大きな触手が伸びてきた。

 

「……?」

 

 最初、何をしたいのかわからなかった。ひときわ肉感のつよいそれはピンク色どころか赤黒く脈打っていて、しかも全面にいぼが生えている。触手が顎を持ち上げて視界をふさぐように顔に置いてきたから、否が応でも見てしまう。

 

「まさか」

 

 一時的に阿呆になっていた私の頭が急速に冷え始める。

 これは”見せつけて”いるんだ。

 今から手籠めにするだろうメスに、自慢の肉棒の形を見せつけているんだ。

 

「やめろっ! そんなもの入らないし、私は感じたりなどしないぞ! ……ぅおわっ」

 

 気づいた時には触手に体を持ち上げられ、女性器を見せつけるような形で固定されていた。足の向こう、もはや自由に動かすこともかなわなくなった足の向こう側で、またあの目のような触手がこちらをじっと観察している。私の体というよりも、もっと明確に「女性器」をだ。

 

「……見るな」

 

 くちゅ。

 

「見るな、見るなっあ♡」

 

 つぷ、

 

「見ないでっえ♡♡あ゛~~~~~~っぐ♡♡♡♡」

 

 ぷち──づぶぶぶぶ──!

 

 こちゅん。

 

「っぁ゛♡♡?! お゛っ……ぁ~~~~♡♡♡♡ い゛っ♡あ゛っ♡、あ゛っ♡♡、やめ゛っ、やめろお゛♡♡揺らすな♡♡、突くなぁっ♡♡」

 

 中に入ってくるのも、奥へたどり着くのも、……私が絶頂するのも、すべて一瞬の出来事だった。抵抗むなしく我慢も甲斐なく、あっけなく絶頂した私にまた強い快楽が襲い掛かる。

 

「~~~~~~っぐ♡♡♡♡イ゛っでる♡♡イ゛ってるから、もうやめっ──」

 

 こちゅん、ぐりぐりぐり。

 

 何をされてるのかは自明だった。

 膣の奥、女としてもっとも触られてはいけない場所──子宮の入り口をなぶられ抉られこね回されて、あさましく絶頂を重ねている。

 ぱちぱちと神経の数本が切れる。視界のほとんどが白く染まって何もかもが考えられなくなった。

 

「ぁへっ……? ♡♡」

 

 今、何を言おうとしたんだっけ。そうだ抵抗を──抵抗の、言葉を──耐えてさえいれば、……耐えてさえいれば、私よりも強い冒険者たちが助けに来てくれるはずだ。私の上には八人のつわものがいるから、そのうちの二人だけでもいい。二人だけでも来てくれれば、私は助かるは──じゅっ?? ♡♡

 

 ひときわ強く、ごつんと奥をえぐられた。それはまだいい。いやよくはない。よくはないが、私が次に察知したことに比べればまだマシだ。

 

「射精(だ)すつもりなのか──っあ♡♡本当にダメだ♡戻れなくなってしまう♡♡♡ほんどお゛────♡♡♡♡っ」

 

 耐えてさえいれば、

 

 耐えていたら、希望も────

 

 意識は情けなく、白濁の流れに呑まれた。

 

 びゅく~~~~っ♡♡、びゅるるるびゅぶぶ♡♡~~…………

 

「ほお゛っ♡♡、べっ♡♡……ん゛~~──……っ♡♡♡♡♡」

 

 射精(だ)されている。膣内に思い切り出されている。

 孕んだ? 子供? 母胎? ──イヤな考えが頭をよぎるが、現実はもっと過酷なものだった。にゅぽんと音を立てて男根が引き抜かれると、子宮に収まりきらなかった液体が零れ落ちる。

 

「耐えるっ♡……わりゃひは、耐えっ♡♡──ぇ?」

 

 男性と”そういう経験”がない私にも、精液が白濁としたものあることはわかっている。ならば、抜かれたときにこぼれる液体は白くあるはずだ。

 これはまるで、白というより”透明”────

 

「ぁっ……♡これ、じぇんぶ、媚薬……♡♡っ!?」

 

 いまさら「すでに無効化した媚毒である」ことを願うのも手遅れだろう。これもすべて、この触手が新たに調合したものに決まっている。少量でさえ私に自慰行為を強要したり母乳を噴出させたりしたものが、これだけあったら──

 

「い゛っぐ──あ♡もしかして──ぇっ」

 

 さらに、ぶっとい触手が向こうからやってくる。さっきのよりも一回りか二回りほど大きく、カリ首のエラもさらに凶悪になっている。さっきのは”ちょっと赤黒い”ていどだったのが、今やもう、淫水焼けして真っ黒だ。きっとこれで数えきれないほどのメスを落としてきたのだろう。

 

 そしてまた、一人がそこに加わることになる。

 

「……っ♡」

 

 下腹部にぴとりと肉棒が添えられる。お腹ごしに子宮をぐりぐり♡と押さえつけられて、私はあさましくも軽く絶頂した。今はまだ理性が保てているが、あと数十分もすれば私は廃人になってしまうだろう──もはや命がないことを突き付けられて絶望する私へ、またさらに触手が伸びてくる。

 

「っ……さっき母乳を搾ってきた触手、か……♡」

 

 それが二本、そっと胸に当たる。身をよじれば包まれそうな距離でありながら、しかし触手は動こうとはしない。

 

 ”待っている”。なけなしの本能でそう感じた。”私が堕ちるのを、待っている”。

 

「まだだ……まだ、耐え……っ」

 

 おなかに当たっていた触手の先端がぱくりと分かれ、中から数ミリ大の触手が数十本ほど生えてくる。……いちど中に入れてしまったが最後、子宮の奥の卵巣、さらにはその奥にある卵子すら捕食されてしまうに違いない。

 

 ……違いない、だろうな。

 

 そこまでして、私はふと、「耐えていてどうなるのだろう」と想像した。

 想像してしまった。

 ここで耐えたとて今触手が襲ってこないのは彼らの温情だ。彼らのきまぐれで襲われてしまうことだってあるだろう。もしきまぐれなどなくても、私が残り数十分で廃人化してしまう未来が変わるわけではない。

 

 ならせめて、この状況を少しでもよく受け取るべきではないだろうか──?

 なら、体を明け渡してしまったほうが幸せになるのではないだろうか……?

 

「……ぁは…………」

 

 手を縛っていた拘束がほどけていくが、私が落下することはない。背中をあまたの触手たちが支えているからだ。私はそっとおなかの上の肉棒を撫で、そのままそっと下に手を伸ばし、

 

「快楽の新境地、見せてください──♡」

 

「わたしに──ああして冒険者として生きてきたなら一生見れなかっただろうしあわせ、味合わせてください──……♡♡」

 

 自分の手で、女性器を開いて見せた。

 目の触手はずっと、私のものを見つめていた。

 

 つぷ。

 

「っ」

 

 ずぶぶ──

 

「♡」

 

 ぷちゅうう──

 

「ぉ゛」

 

 

 

 すとんっ♡♡

 

「ぅ゛♡」

 

 視界がはじけた。

 白目から戻れなくなる。

 鼻血をぷしゅっと噴き出して、次の瞬間には自分の母乳を頭からかぶっていた。

 

 しょおおおお──……

 

 股座から黄金の液体もこぼれ始めて、とうどう全身からあらゆる液体が流れることを抑えられない。

 

「い゛お゛っ♡♡、ぅあ゛~~♡、っぎ、ぁ、ゃ~~~~♡♡♡♡────っ♡♡、ぃ゛ぐ♡、イ゛っでる♡♡、触手さまの愛撫でっグ♡♡~~──……♡♡」

 

 胸、膣内、奥、ありとあらゆるすべての性感帯を弄られている。もはやイくことも止められないし、まさか止めるつもりもない。

 

(屈服して──ぇっ♡♡あ゛っイく♡♡くっぷくして、よかったぁ゛っ♡♡♡♡)

 

「イ゛ぐ♡♡う♡♡っ♡♡ぇ゛お~~~~♡♡ぁぐ、ぁ? っぁ? みみくちゅくちゅやめひぇ? ♡♡にゃにもかんがえれなくなりゅ♡♡♡♡っ──」

 

 耳に細い触手が入って、何やら中をかき回されている──わからない。わからないけど、ずっと気持ちがいい。

 ぷしゅ、ぷしゅ、ぷしゅっと潮を吹く。イったらしい。わからない。もう快楽以外、なにも──

 

「あっクる♡♡おっきいのクる♡♡♡はらむぅ♡♡触手様の子はらむの゛~~♡♡♡♡」

 

 

 

 肉棒がひときわ膨らんで、

 

 

「♡♡♡♡♡♡」

 

 

 びゅうううう~~っ、ぶびゅるるるる~~──♡♡、どぶぴゅぅあぷ~~~~♡♡♡♡

 

 

「っぉ゛あ゛~~~~♡♡♡♡ん゛い゛~~~~~~っっ♡♡♡」

 

 

 これでよかったんだ。

 戦士としての誇りとか、みんなの平和がどうとか、そんな幸せはどうでもいい。

 昔の私は知っていたのだ。自分の欲が赴くまま、女としての快楽をむさぼることこそが幸せであると。こぶしを振り上げるのではなく、指でおまんこほじくってることこそが正しいのだと。

 

 まあ、つまり、

 

 

 

「ひぁわひぇ~~……♡♡」

 

 

 そういうことだった。


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