聖暦2060年、冬。
あの屈辱の卒業式から、ちょうど一週間が経過していた。
第1管区の最上層に位置するジンの新居に、軍の特殊搬送車両によって厳重に梱包された工業用コンテナが運び込まれた。
「特等検体、搬入します」
作業員の無機質な声と共にスライド式の診察ドックが滑り出し、そこに固定された素材が姿を現した。西園寺レイカ。工場の暗室で過ごした168時間に及ぶ徹底した成形工程により、彼女の肉体は自立した人間から、高効率な生体部品へと完全にフォーマットされていた。
全身の産毛は根絶され、陶器のような滑らかさを強制された白磁の肌。調整によって自力の運動機能を完全に封じられた肢体は、もはや自分の意思で指先一つ動かすことはできない。唯一残された長い黒髪は、導電率を高める特殊オイルによって金属的な光沢を放ちながら、銀色の糸のようにドックへ広がっている。
全裸で晒されている彼女の肢体には、最終検品を終えた証として、両胸の先端と秘部の中心に、「Type-L / SC-001 適合検査合格」と記された銀色の封印シールが貼り付けられていた。それは彼女が最高級のラグジュアリー・モデルとして、邸宅のメインフレームに接続される準備が整ったことを示している。
ジンは無言のまま彼女の顔に手をかけ、口元を覆っていた輸送用の暫定的な猿ぐつわを外した。本格的な接続を前に、口腔内の粘膜状態を確認するための事務的な作業である。一週間ぶりに顎の自由を取り戻した彼女は、地を這うような掠れた声で、人間としての最期の言葉を漏らした。
「く、が……やま……。わ、私を……ころ……して……っ」
それは、かつて女王のように君臨していた彼女が放った、最初で最後の敗北宣言だった。ジンは彼女の言葉に一切の感情を動かさず、指先で彼女の胸の封印シールを無造作に引き剥がした。
「ぁ、あぐっ……!」
工場での薬物調整により異常なまでに感度を高められた粘膜が、剥離の衝撃に撥ね、彼女の背中が弓なりに反る。
続いて、ジンは秘部を覆う銀色の型式シールを剥ぎ取った。
剥き出しになった粘膜が冷たい外気に触れ、彼女の肢体は屈辱的な震えに襲われる。
「ん、あ……っ、いやぁ……!」
本人の拒絶とは裏腹に、指先が触れる程度の刺激すら増幅され、彼女の秘部はすでに白濁した蜜を溢れさせていた。それは、彼女の身体がすでに主人のための発電体として目覚め始めている証拠だった。
最後に、ジンは彼女の肛門に深く差し込まれていた、クリスタル製の輸送用止栓を一掴みにし、躊躇なく引き抜いた。
「ひ、ぎぃ、あぁっ!!」
内臓をかき回されるような喪失感と、拡張されきったそこを冷たい空気が通り抜ける不気味な感覚。プライドの高い彼女の顔は、生理的な快感とあまりの辱めに真っ赤に染まり、白目を剥いて痙攣した。
「残念だが、その権限はもう君にはない。君の価値は、これから死ぬまで、俺のために機能し続けることにある」
ジンが冷徹に言い放つとクレーンが作動した。彼女の肉体はリビング中央のマザー・タンクへと導かれ、薄紅色の高感度伝導ゲルが満たされた水槽の中へ、全裸のままゆっくりと沈められていく。
ここからが、統合産業規格 ISO-6900 ヴィーナス・ロックに基づく真の接続である。
水槽の底から、邸宅の主電源へと直結された水晶製V-Probeがせり上がる。それは蜜に濡れた産道を再び満たし、彼女の最も奥深くまでを貫き、子宮という名の燃焼室へと到達した。同時に、壁面から伸びた炭素繊維製A-Probeが、空洞を晒したアナルへと侵入し、先端がアンカー状に展開して彼女の骨盤を内側から物理固定した。
「あ、が、ぁ……あああああッ!!」
そして、口には銀色のオーラル・ユニットが挿入され、彼女の顎を完璧に固定した。これによって彼女の肉声は永遠に封じられ、絶叫は家の全家電を動かすためのシステム稼動パルスへと変換される。
ジンの指が、タブレットの承認ボタンをスワイプした。
「イニシャライズ、開始」
その瞬間、彼女の脳内に膨大な邸宅管理OSが流れ込んだ。私は西園寺レイカという自意識は、生体ポートから送り込まれる電圧の波によって、主人に奉仕し、家を管理するマザー・ユニットの機能へと書き換えられていく。
天井のスピーカーから、感情を排した、しかし気品のある合成音声が響いた。
『システム、起動。マザー・ユニット……認証成功。……おはようございます、マスター』
リビングの照明が彼女の心拍に合わせて脈打ち、空調が彼女の呼吸を吸い込み始める。かつて自分を見下していた女王は、今や彼の一言で熱を発し、彼のために計算を行い、彼の帰宅を待つだけの家そのものへと、完全に再構築されたのである。