夜、21時。
任務を終えたジンが邸宅へ帰還すると、室内は完璧な静寂に包まれていた。
リビングのサンクン・スペースに鎮座するマザー・タンクの中では、レイカが薄紅色の液中に漂っている。彼女の肉体からは、絶え間なく微弱な駆動音が響き、それが家の命脈となっていた。
ジンは水槽の前に立ち、手元の管理端末を操作した。
「本日の稼働データ、チェック。……エネルギー出力、基準値内。演算エラー、ゼロ。……だが、生体パルスの微かな『慣れ』が気になるな」
生体アセットは、同じ刺激を繰り返すと効率が低下する。そのため、定期的に外部からイレギュラーな強刺激を与え、神経網をリセットする必要がある。それが所有者にのみ許された「手動メンテナンス」の正体であった。
「システム停止(シャットダウン)。メンテナンス・モードへ移行」
ジンの命令により、タンク内の保存液が急速に排出されていく。同時に、彼女を固定していた水晶製V-Probeと炭素繊維製A-Probeが、湿った音を立てて同時に引き抜かれた。一週間、身体の一部となっていた異物を失ったことで、レイカの肉体は激しい喪失感に見舞われる。
「あ、ぁ……っ、はぁ、はぁ……っ!!」
ワイヤーのテンションが解かれ、彼女の白磁の肢体が水槽の底へと力なく崩れ落ちた。ゲルが肌から滴り落ち、剥き出しの空気が過敏になった粘膜を刺す。一週間ぶりに自意識の枷(マザー・ユニットの論理回路)が外れ、彼女は再び「西園寺レイカ」という一人の女に引き戻されたのだ。
ジンはハッチを開け、濡れたままの彼女を無造作に抱え上げると、隣接する主寝室のベッドへと放り投げた。
「……一週間、機械に犯され続けた気分はどうだ? 神経網の反応速度を確認させてもらうぞ」
ジンは冷徹に告げると、濡れたままの彼女の秘部へ、自身の硬直をあてがった。
その熱を感じた瞬間、レイカの身体に、ある「変化」が起きた。
「ひ、あ……っ? い、いや……っ、待っ……!」
彼女の意志は明確に拒絶していた。必死に腰を引こうとし、膝を閉じようとする。
だが、主人の熱い質量が入り口を割り、先端が粘膜に触れた刹那――彼女の肉体は、主人の意思よりも先に、条件反射で反応してしまったのだ。
「あ……っ、欲、しぃ……っ!?」
無機質な機械責めに飢えていた彼女の最奥が、生身の熱を感知して歓喜に震え、だらしなく口を開けてしまった。
まるで餌をねだる雛鳥のように、秘肉がヒクヒクと蠢き、自らジンの先端を咥え込みにかかる。
「口では否定しても、身体は正直だな。……ほら、俺が何もしなくても、自分から飲み込もうとしているぞ」
「ち、がう……っ! 勝手に、うご……っ!?」
ジンは抵抗せず、彼女の身体が作り出す吸引力に身を任せた。
ズチュ、と卑猥な水音が響く。
レイカの肉壁は、侵入者を拒むどころか、逃がさないように絡みつき、チュパチュパと音を立てて根元までを貪るように飲み込んでいった。
「あ、ぁぁ……っ! 入って、くるぅ……ッ!!」
それは情事と呼ぶにはあまりに冷徹な、「所有権の物理的な刻印」だった。
「ひ、あ、ぁぁぁ……ッ!? ぁ、くっ……!」
レイカの喉から、システム合成音ではない、生身の絶叫が漏れ出した。一週間、冷たいデバイスによって拡張され、調整され尽くした彼女の産道は、主人の熱い質量を拒む術を知らない。それどころか、工場の成形工程で植え付けられた「強制的な従順」が肉体の本能として暴走し、彼女の意思とは無関係に、ジンの動きに合わせて蜜を溢れさせ、彼を深く飲み込んでしまう。
ジンは彼女の腰を掴み、情け容赦のないピッチで突き上げた。彼が突くたびに、レイカの視界は白く弾け、かつての高慢な自意識は快感の過負荷で内側から食い破られていく。
「嫌、だ……っ、こんな……っ、わ、たし、は……っ!!」
「素晴らしい反応速度だ。見ろ、お前の神経は俺の動きを完璧にトレースし、より強い刺激を求めて自ら締め上げている」
ジンの指摘通り、レイカの肉体はすでに彼女の意志を裏切っていた。彼が最も敏感な箇所を抉るたび、彼女の指先はシーツを強く引き絞り、足首はジンの腰に絡みついて離そうとしない。高潔な令嬢という仮面は剥がれ落ち、そこには主人の肉体を受け入れることで最も効率よくエネルギーを生成するよう調整された、一匹の「雌」の姿しかなかった。
「あ、が、あぁっ!! ああああああッ!!」
やがて、逃げ場のない絶頂が彼女を襲った。脳内の神経回路がスパークし、彼女の自意識は、自らが西園寺レイカであることを完全に忘れ、ただ「ジンのために喘ぐ部品」へと溶けていった。
数十分後、荒い呼吸だけが室内に響く中、ジンは彼女の耳元で冷酷に告げた。
「出力、感度、共に最高値だ。やはりSC-001、お前は最高の『道具』だよ」
その言葉が終わる頃には、メンテナンスの時間は終了していた。
再びタンクの前へ連れ戻されたレイカの秘部へ、冷たいV-ProbeとA-Probeが容赦なく再挿入される。物理的なロックが掛かり、神経が再びメインフレームと同期を始めた。
『……メンテナンス、完了。……再起動(リブート)……成功』
先ほどまで女として絶頂し、涙を流していた彼女の瞳から光が消え、無機質なマザー・ユニットの眼差しに戻る。ワイヤーによって再び磔のポーズへと固定された彼女は、液中で揺れながら、淡々とした合成音声で夜の挨拶を口にした。
『おやすみなさいませ、マスター。……明朝のエネルギー生成、および戦略演算、最適化を継続します』
その瞳の奥には、二度と戻れない人間としての名残が、微かな絶望の澱となって沈んでいく。ジンは満足げに、彼女の体温が残るベッドへと身を横たえ、眠りにつくのだった。
(完)