鬱蒼とした森を笠をかぶった長髪の女剣士がひとり歩いている。
足元まで伸びた菖蒲色の髪は先端の方で軽く束ねられている。腰に帯びるのは積み重なった歴史を感じさせる連なったつくりの鞘三本。身にまとっている衣装こそ青色を基調としていて目を引くような華やかさだったが、陽光のほとんど差し込まない森にあっても変わることのない凛とした立ち姿が彼女の強さを暗に物語っていた。
妖眼の相剣師ことフルルドリスである。
教導国家ドラグマの騎士団長でありながら拘束されたフルルドリスは部下のテオとアディオンの助力を得て国を脱し、大霊峰相剣門に逃げ延びた。そして、彼女はその地で半烙印化した聖痕を封じるに至る。復調したフルルドリスは不穏な気配の迫るドラグマを救うべく、部下ふたりと共に大霊峰を後にし、まずは大砂海ゴールド・ゴルゴンダを目指した。
その道中、三英の相剣師――フルルドリスとテオ、アディオンの三人――は幼い女の子と出会う。
少女は、隠れ住んでいる集落の近くに見たこともないモンスターが多数現れたため、助けを求めに行く最中であった。
しかし、それに応えられ得る相剣師たちが住まう大霊峰相剣門までは遠く、幼い子の足では辿り着くのに少なくない時間がかかってしまうのが明らかだ。
妖眼たちは話を聞き、女の子が暮らす集落を一刻でも早く救うため、相剣師として加勢することを決意した。
もちろん三人も道を急ぐ身ではあったが、困っている人を見て見ぬふりをして通り過ぎることなど到底できるはずもなかった。彼らにとってはドラグマにおける立場から一時的にでも離れられていたことも渡りに船だったに違いない。
とはいえ、一刻の猶予さえも許されないのもまた事実である。
そこで軒轅の相剣師――テオとアディオン――が女の子を護衛しながら集落に送り届け、妖眼の相剣師が森に巣食っているというモンスターたちの殲滅に単身で乗り出したのだった。
くしゃり、と妖眼が地面に落ちた木の葉を踏んだ音が木々の生い茂る森にやけに大きく響く。
彼女がその気配を鋭敏に察知して振り向きながら飛び退いた直後、死角から袈裟懸けに振り抜かれた凶刃がぶんと鋭い音を立てながら空を切っていた。
現れたのは、妖眼の相剣師をして見上げるほどの巨躯でありながら細身のカマキリ型の異形だ。枯れ葉を思わせる薄緑色の体表と鎌と化した腕が特徴的なそのモンスターはフライングマンティス。背部に見える飛行も可能な二対の羽が荒々しく揺れ、獰猛な光を帯びた赤い両眼が妖眼を捉えていた。
「なるほど、確かに見たことのない。だが――――遅い」
妖眼の唇がそう発したときには、フライングマンティスと相対していたはずの彼女の姿はすでにその背後にあった。
いつの間にか抜かれていた剣が腰に鞘に納められると同時に描かれるは金色の花びら舞う一閃の軌跡。
その具現に呼応するかのように、モンスターの巨躯は遅れてふたつに分かれ、その上半分がずずっと滑るように地面に向かって落下した。
聖痕を封じたというのに一切の衰えを感じさせないあまりの絶技。
それはフルルドリスが四肢に宿った聖痕に驕ることなく弛まぬ研鑽を積んでいたことの証左であり、フライングマンティスも絶命するその瞬間まで斬られた事実に気付いていなかったに違いない。
「相剣師の戦い方がこれでよいのかは分からないが、私の剣は通じそうで何よりだ」
妖眼は斬ったモンスターには目もくれず、靄が薄くかかった森の深奥を推し量るように見遣る。
耳にしたこともない鳴き声が木々の奥から幾重にも木霊して響き、清澄だったはずの空気もいつの間にか重くねっとりとしたそれに変質していた。
まるで広がる森自体が一体のモンスターと化したかのようだと思いながらも、お札に半分覆われた妖眼の顔に絶望の色は一切見られなかった。
*
その後も襲い来るモンスターの数々――たとえば大きく伸びた太い牙が目を引く非常に凶暴な獣型のモンスターや剣を手にした頭部のない人のようでありながら馬や魚と合わさったようなモンスター――を倒しながら進み続けた妖眼の相剣師はついに樹木の海を一度抜け、その先で洞窟を発見した。
見上げるほどに高い山の麓を穿ったようなそれは然程奥深くなさそうであったが、怪しい気のようなものがその中から漏れ出ているのを妖眼は感じ取っていた。とはいえ、それだけで異変の原因が洞窟の奥にあると判断するのは些か早計と言えよう。
しかし、いままで戦ったようなモンスターと一線を画すような存在が潜んでいることは大いにあり得ることだった。
妖眼は迷うことなく鞘から剣を引き抜くと、それを構えながら怪しい気の溢れ出る洞窟に足を踏み入れる。
途端、薄く漂っていた気の濃さがぐっと増すが、彼女はどのような奇襲にも対応できるように絶えず警戒しながら突き進んでいく。
「これが異変の元凶……、なのか?」
洞窟の最奥、充満する気が霧のように立ち込める開けた空間で妖眼の相剣師が遭遇したのはでっぷりした獣だった。
四肢を無造作に投げ出して寝ているその姿は、脂肪を蓄えて大きく膨らんだ腹部と相まって、まるで山のようだ。模様の描かれた黒い表皮の腹が上下するのに合わせて、地鳴りのようないびきが洞窟内に轟いている。首回りを中心に見える鮮やかな色合いの毛並みと長い鼻が特徴的なモンスター、No.41 泥睡魔獣バグースカである。
妖眼は警戒して剣を構え直すが、涎を垂らしながら寝ているあまりにも無防備な魔獣の姿を目の当たりにして、拍子抜けしたように感じてしまったことは否めなかった。
(……いかんな。このモンスターが森で戦ったものたちにはない力を秘めていること自体は間違いないというのに。むしろ、ここまで侵入されていながら何故寝たままなのかが分からないが、好都合だ。
目を覚ましてしまうより前に、雷撃で――)
彼女が手にしている剣に力を込めようとしたそのとき、不意に洞窟内が静寂に包まれた。
地鳴りのようないびきを響かせていたバグースカが目を覚ましたのである。
そして、事態が悪い方へと転じたのであれば、判断を躊躇う余地などあるはずもない。
妖眼が構えていた剣を反射に任せて振り抜く――――よりも先に、魔獣が顔をのっそりと上げ、彼女に向かって息を大きく吐いた。
「くっ、これは……っ!」
バグースカの吐息を真正面から浴びてしまい、妖眼はついにその正体に気付く。
魔獣が放出している臭気は、浴びた相手を酩酊したような状態に陥れて眠気を誘うそれだったのだ。実を言えば、バグースカがずっと泥酔したようであるのも、放出している臭気でバグースカ自身が酔っているからにほかならない。
洞窟から漏れ出ていた怪しい気もバグースカの放つ臭気であり、妖眼の相剣師は気付かない内からそれを少しずつ吸い込んでしまっていたからこそ、正体を見抜くのがあまりにも遅れてしまったのだった。
「私は、いつの間にこんなにも酔って――。だが、まだだッ!」
上気したように顔を真っ赤に染めた妖眼は気を吐き、今度こそ剣を振り抜く。
しかし、それは眠っている魔獣の巨体に当たるどころか、明後日の方に空を切っていた。
(……っ、身体が全然思うように動いていない。何か手を打たねば、このままでは――)
彼女はかぶりを振って頬を手で叩くが、視界はぐにゃりと歪んでブレ、水平であるはずの地面も不安定に揺れ続ける。酔いによって火照った身体が奮起する思考をそっと包み込んで緩ませ、鋭く結ばれていた唇の合間から色っぽさを滲ませた吐息が漏れ出ている。
バグースカの臭気を浴びてしまってから、瞼の重みは加速度的に増すばかりだった。
「まだ、まだ戦わなければにゃらないというのに。ぐっ、駄目だ。眠くぅ……」
覗く顔半分の表情を抗うように歪ませた妖眼の身体がふらふらと大きく揺れ、すらりと伸びた足同士がもつれるように絡み合う。
その手から剣が離れて落ちるのと同時に、彼女の意識もまた深い闇の奥底に沈んでいった。
*
どさり、と倒れ落ちる音を聞き、バグースカは閉じていた瞼を薄く開ける。
先ほどまで息を巻いていた剣士、妖眼の相剣師が仰向けに寝そべって寝息を立てていた。
圧倒的な存在感を誇る乳房が潰れるように広がり、それを覆う布地が呼吸に合わせて上下に揺れている。すらりと伸びた四肢は無造作に投げ出されていたが、彼女の身体つきは一振りの剣のように研ぎ澄まされながらも豊かな曲線を描いていた。かぶっていた笠は倒れた拍子に脱げ落ち、菖蒲色の長い髪がヴェールのように洞窟の地面の上に可憐に広がっている。
無防備にさらけ出された妖眼の寝顔はおよそ半分近くをお札で覆われているが、それは妖眼の相剣師という存在の美を損ねるどころか背徳的かつエキゾチックな色気を添えてさえいるようであった。
しかし、バグースカは魔獣であるが故に、人間の外見について美醜を感じる感性をおおよそ持ち合わせていなかった。それでも、魔獣であるからこそ、敵対しているものの強弱については極めて敏感だった。
その点において、妖眼の相剣師は間違いなく強者である。
彼女の剣が数多の異形や悪を倒し、世界の趨勢にさえ多大な影響を与え得ることは疑いようがない。いまバグースカがうつらうつらしていられるのは地の利と運が味方した結果に過ぎず、それらがほんの少しでも欠けていたら容易に倒されていたに違いない。そんな予感をバグースカの野生としての本能に訴えるだけの強さを彼女は漲らせていた。
だが、いかな強者も眠っていては無力だ。
妖眼を眠らせて生殺与奪の権を握ったバグースカは、必ずしも強者とは言えないかもしれないが、間違いなく勝者だった。そして、敗北した女剣士は眠りに落ちていて、何があろうともしばらく目を覚ますことはない。
そのような状況が魔獣の獣欲を刺激するのは極めて当然のことだった。
だらしなく蓄えられた脂肪と体毛によって埋もれるように隠れていたバグースカのペニスが屹立して姿を見せる。
それは人間の成人男性の肉棒よりも優に一回りは太く、どことなくゴツゴツした見た目と相まって、樹木の幹を思わせた。また、特筆すべきなのはその長さだ。バグースカの生殖器は大きく反るように伸びていて、先端は魔獣の胸部の辺りまで届きそうなほどであった。
バグースカはのそっと起き上がり、緩慢な動きで寝たままの妖眼に近づく。そのまま鋭い爪が光る腕を振り下ろし、彼女の着ている衣装を縦に引き裂いた。
陶磁のように透き通った肌、たわわに実った乳房、力強くありながら柔らかさも湛えた身体つき。目にした者すべてを間違いなく感嘆させる妖眼の美しい肢体が眼前で露わになるが、バグースカはそれには一切目もくれない。
その頭にあるのは、沸き上がり続けている繁殖欲を満たすこと――それだけだった。
「ぐっ……、……っ!」
魔獣が大きく膨らんだペニスを妖眼の秘裂に捻じ込む。乾き切ったままの膣壁がそれを拒むように押し返すが、バグースカは腰を強引に押し進めて"最も剛き聖女"の膣内をみちみちと押し広げていく。
しかし、それでも妖眼の体内に埋没しているのは半分にも満たないのだから、魔獣の生殖器がいかに長大かが窺い知れよう。
彼女の唇から反射的に漏れるうなされているような苦悶の声を聞きながら、獣は己の獣欲を満たすためだけに腰を乱雑に振り始める。
暗い洞窟内に擦れるような乾いた音が間断なく響き、蜜壺から愛液が溢れ出るにつれて、それは徐々に湿り気を帯びていった。
「っん……、ぐぅ! くっ……っ、お゛っ!!♥」
バグースカのペニスによって妖眼の子宮口が抉じ開けられて貫かれ、彼女は濁った嬌声を漏らしながら身体を大きく跳ねさせる。
ひと際強い反応に気をよくしたのか、魔獣はそのまま長い生殖器を妖眼の子宮に届かせ、ナカを掻き回すように抽送を繰り返す。でっぷりした体躯が眠りに落ちたままの妖眼を抱き潰し、だらしなく開いた口から絶え間なく吐き出される臭気が彼女の整った顔をむわぁと覆った。涎がお札の上にぼたぼたと垂れ落ちて染みを生じさせるが、妖眼は一向に目を覚まさない。
「ん゛ぉ……ぉ゛っ!♥ お゛っ、っ゛お……お゛ッ!!♥ オ゛っ、んお゛……オ゛ぉ゛っっ!!♥」
それどころか、魔獣が腰を振る度に、まるで壊れた再生機器のように濁った嬌声ばかりを上げ続ける。
その様は無様で滑稽なようにも見えるが、そんな単調な反応こそバグースカの中に込み上げている支配欲をこれ以上ないくらいに充足させた。
すなわち、それはこんなにも誇り高く強そうな女剣士を最早よがり狂うだけの雌に堕としたということなのだから。
バグースカがピストンを更に速め、洞窟内が重く淫猥な水音ばかりに満たされる。結合部からは体液が勢いよく飛び散り、地面の上に小さな水たまりを幾つも作っていた。
昂った衝動がついに弾けようとしているのを感じ、獣は抽送を繰り返し続けている腰を暴力的に叩きつける。欲望のままに打ちつけられたペニスが妖眼の腹部をボコォと持ち上げ、彼女が身体を大きく震わせた。
魔獣の生殖器は続けざまに妖眼の子宮口を貫き、その奥を抉って掻き回す。
「ぬぉ゛っ、ぉ゛ん……お゛っっ!!♥ お゛お゛っ、お゛っ、ン゛お゛ッ……お゛っ、お゛ォ゛お゛~~~っ゛っ゛っ゛!!!♥♥」
バグースカのペニスが轟くような射精音を響かせん勢いで吐精し、それが妖眼の子宮に直接注ぎ込まれ続ける。魔獣とも呼ばれるモンスターの射精が容易く終わりを迎えるはずもなく、ようやく落ち着いた頃には彼女の引き締まった腹部がぽっこりと膨れ上がっていた。
獣はそんな光景にこそ満足したと言わんばかりにペニスを妖眼の膣内からようやく引き抜くと、薄く黄ばんだ精に塗れたペニスを大きく振るって眠ったままの妖眼の頬をペチンと叩いた。
打たれた拍子に彼女の顔が軽く揺れるが、目は覚まさない。バグースカが吐いた臭気を何度も真正面から浴びてしまったことによって、その眠りは最初の頃よりも深くなっているのかもしれない。
バグースカは体液をべっとりと塗りたくるように妖眼の顔にペニスの先端を何度も押しつけ、腰をゆっくりと引いた。あまりにも長い生殖器は引きずられるように後を追い、さらけ出されている妖眼の肌の上に薄黄色の這ったような軌跡をだらぁと描く。
妖眼の秘裂からも愛液と混ざり合ったバグースカの精がごぼりと逆流して溢れ出ていた。
しかし、それほどの量の精を吐き出したにも関わらず、魔獣の生殖器は十分な硬さを帯びたままだ。それどころか、繁殖欲が些かも萎えていないことを示すかのように、長大なペニスは大きく跳ねて揺れている。
バグースカが交尾を再開するため、妖眼の相剣師にゆっくりと覆い被さる。
再び聞こえ始めた彼女の濁った嬌声は洞窟内にいつまでも響き続けていた。