極限の地獄で、人間の欲望と効率が交錯する。
赤錆色の惑星テラ・ノヴァ。
AIの「目」である二人の監査官が、最前線基地の非効率を糾弾するために降臨する。
しかし、異星生命体の襲撃と、基地の裏側で繰り返される生体資源の部品化という地獄は、彼女たちの冷徹な論理を揺るがす。
権威を脱ぎ捨て、本能に従え。
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女の子の立場が低めのオルガ・コードの世界ですが、それでも優秀な女性はそれなりの立場にあるようです。
過酷な前線でセレスティーナたちは何を見るのでしょうか?
OCZ『赤錆色の監査(オーディット)』1. 鉄錆と官能
赤錆色の監査(オーディット)
1. 鉄錆と官能
聖暦2060年、惑星テラ・ノヴァ。
連合軍突入基地、降下パッド。
ゴウウウ、と地鳴りのような音が大気を揺らす。
赤色矮星の弱々しい光が、恒常的に吹き荒れる「赤錆色の砂嵐」に拡散し、世界は常に薄暗い夕焼けに沈んでいた。
砂嵐の中から、鈍色の機体――連合軍の標準輸送シャトルが姿を現し、強風に煽られながらも、重々しく降下パッドに着陸する。
タラップが開き、最初にその赤錆色の砂塵を踏んだのは、汚れ一つない黒銀のハイヒールだった。
カツ、と無機質な床を叩く音が、風の轟音にかき消される。
「……最低の空気ですわね。呼吸フィルターを通しても、鉄錆の味がしますわ」
セレスティーナ(ID: C-05)。
連合上層部の血を引く「ご令嬢」タイプの監査官。
そのプラチナブロンドの髪は、AIが設計したかのように完璧なストレートロングで、吹き荒れる砂嵐の中でも、見えない力場に守られたように乱れていない。
彼女が纏う「監査官用スーツ」は、連合の黒銀基調の軍服を、その任務の特異性ゆえに歪めたデザインをしていた。
身体のラインを完璧に誇示するタイトな軍服ドレスは、深く切り開かれた胸元から覗く乳房を、重力を無視した完璧な半球を描く「美術品」のように「展示」している。
その肌は、赤錆色の世界にあって、病的なまでに白く、陶磁器のように冷たい。
「“空気”が最低なのは、今に始まったことじゃないわ。この星も、私たちの仕事もね」
次に降り立ったのは、レベッカ(ID: R-77)。
元エースパイロット上がりの実力派だ。
赤みがかった栗毛を無造作なツインテールにまとめているが、数本の後れ毛が砂嵐に弄ばれている。
彼女のスーツも同型だが、その印象は全く異なる。
胸元の露出は、セレスティーナの「展示品」とは違い、過酷な戦闘経験を物語るかのように生々しい「重み」を感じさせ、その豊満な谷間の肌には、かつての空戦で刻まれた微かな傷跡が見える。
降下パッドのゲート前には、二人の男が砂嵐の中で直立不動で待っていた。
一人は、この基地の最高責任者、マイルズ司令官。
初老の男だ。整えられた軍服の肩には、払い切れなかった赤錆がこびりついている。
その顔には、終わりのない防衛戦と、上層部からのプレッシャーによって刻まれた深い皺と、心労による白髪が目立つ。
彼は脂汗を滲ませながら、完璧な敬礼を捧げ、砂嵐の中で声を張った。
「両監査官閣下。ご着任、心より歓迎いたします。私がここの指揮を執る、マイルズ司令官です」
「……伍長、入港認証(オーソライズ)を」
「はっ!」
もう一人、護衛任務に就く伍長が、緊張で身体を硬くして一歩前に出た。
まだ若い。二十代前半だろうか。
支給品のボディアーマーは、度重なる戦闘で塗装が剥げ、ところどころ凹んでいる。
フルフェイスのバイザー越しに見える瞳は、エリートである監査官への畏怖と、慣れない任務への不安で揺れていた。
彼はハンディタイプの生体認証スキャナーを握りしめ、まずセレスティーナの前に進み出る。
彼女はデータパッドから視線を上げることさえせず、ただ、コートの裾を指先で僅かに払った。
それは「許可」の合図だった。
伍長は、赤錆色の砂がヘルメットを叩きつける音を聞きながら、ごくりと唾を飲み込む。
彼は「規律(プロトコル)」に従い、その場に片膝をついた。
目の前にあるのは、汚れを知らない黒銀のハイヒールと、圧倒的な権威。
そして、彼女の股間部――AIの代理人としてあらゆる機密区画のゲートを通過するための「認証(ログイン)」機能が組み込まれた、極薄のシースルー素材の聖域に、スキャナーをゆっくりと近づけた。
青白いスキャンライトが、ナノ・ファブリックを透過し、その下にあるクリトリスチップのIDを読み取る。
ピッ...
[ID: AUDITOR C-05... CLEARED]
伍長は、セレスティーナの完璧な半球の乳房と、そこから漂う冷ややかな香水に気圧され、視線をどこにやるべきか迷いながら、即座にレベッカへと向き直る。
「……さっさと済ませてちょうだい。砂で目が痛いわ」
レベッカは、砂嵐を少し眩しそうに睨みつけながら、自らスカートの裾を無造作に捲り上げた。
彼女のスーツは、砂と汗でシースルー部分が肌に張り付き、オマンコの割れ目のラインを生々しく浮かび上がらせている。
そこには、セレスティーナのような人工的な冷たさはなく、生きている人間の体温と、ムレた匂いがあった。
伍長は再び膝をつき、その官能的で生々しい光景に、ドギマギとしながらスキャナーをかざす。
ピッ...
[ID: AUDITOR R-77... CLEARED]
「に、認証完了しました、司令官!」
「ご苦労」
マイルズは、伍長の震える手を無視して、基地の巨大な防爆ゲートへ二人を促した。
「さあ、中へ。……伍長、これより両閣下の護衛任務に就け。我々が“非効率”でないことを証明しろ」
「はっ!」
(……クソが。始まったぜ、地獄の“お山歩”がよ……)
護衛兵は、二人の監査官の背後につきながら、内心で悪態をついた。
ゲートが開き、基地内部のオイルと消毒液の匂いが、赤錆色の砂嵐の匂いと混じり合った。
「まずは、あの“撒き餌(ベイト)”たち……CEU(オルガダイバー)の兵舎から監査しますわ」
セレスティーナの冷たい声が、疲労した二人の男たちの緊張を一層高めさせた。