5. 赤錆の檻(おり)
戦闘の余韻も冷めやらぬ中、新たな報告が司令官の顔色をさらに悪くさせた。
「ほ、報告! 赤錆色の砂嵐が最大規模に発達! シャトルの離陸は不可能です!」
「……はぁ」
セレスティーナは窓の外の砂嵐を見つめ、静かに、しかし深い拒絶を込めて息を吐いた。
「困りましたわね。たかだか気象現象ごときで、連合のスケジュールに遅延が生じるなんて」
司令官が平身低頭して謝罪しようとするのを、彼女は手元のデータパッドを操作しながら優雅に制した。
「謝罪は不要です、司令官。天候はあなたの管理下にはありませんから。……それよりも、今夜の“待機場所”を確保してください。わたくしたちが万全の状態で業務を再開できるよう、最大限、配慮していただけますわね?」
言葉こそ丁寧だが、そこには「不快な環境を用意したらタダでは済まさない」という強烈な圧力が込められている。
本来なら、監査を終えてさっさと快適な軌道ステーションへ戻るはずだったのだ。
こんな鉄錆とオイルの臭いが染み付いた最前線で、一夜を明かす羽目になるとは。
「え、ええ! もちろんです! 士官用居住区の最上階を空けさせます!」
レベッカは、強張る司令官の肩を軽く叩くような仕草で、苦笑いを浮かべた。
「悪いわね、司令官。彼女、肌の調子にはうるさいのよ。……ま、私たちもこんな砂だらけの場所で一晩過ごすのは想定外だったけど」
そして、怯える護衛兵(伍長)の方を向き、少し声を潜めてウインクしてみせる。
「(……そんなに堅くならないで。あとで、こっそりいいお酒の一本でも差し入れてくれたら、私のほうでうまくとりなしてあげるわよ)」
伍長は、レベッカのその自然体な態度に、少しだけ救われたような顔をした。
だが、彼らはまだ知らない。
この嵐による「足止め」が、より深い地獄への入り口であることを。
6. 静かなる浸食
その夜。
基地の機能は回復に向けた作業に追われていたが、CEU兵舎だけは静まり返っていた。
生き残った少女たちは、泥のように深い眠りに落ちていた。
昼間、兵士に虐待され、戦闘で仲間を失いかけた、あの少女も例外ではない。
基地の静寂を、金属の天井裏を這う、ごく微かな摩擦音だけが破っていく。
戦闘の混乱に乗じて、すでに基地内部の最も安全な場所――居住区のダクト――に潜り込んでいた、影。
それは、戦闘能力を持たない、全長50cmほどの「シスト・インジェクター(卵運び)」。
獲物(女性)が発するオルガ・フェロモンを感知し、繁殖のためだけに最適化された「生体機械」だった。
カサ…という音と共に、CEU兵舎の天井の通気口が、内側から静かに押し開けられる。
シスト・インジェクターは、その無数の機械脚で天井に張り付いたまま、獲物を探査する。
――ターゲット捕捉。
昼間の陵辱と、戦闘の恐怖。その二重のストレスにより、眠っていてもなお、あの少女から漏れ出るオルガ・フェロモンは、他の個体よりも遥かに濃厚だった。
それは、無音で天井を渡り、少女の真上へと移動する。
そして、重力に従い、その小さな蕾(つぼみ)のような身体を、少女の無防備な股間めがけて正確に落下させた。
「……ん……?」
少女は、股間に落ちてきた、何か冷たくて硬いものの感触に、夢うつつで眉をひそめる。
だが、彼女がそれを現実として認識する前に、シスト・インジェクターは「開花」した。
ガシッ!!
「―――ッ!?」
蕾の上部が展開し、鋭利な「拘束アーム(鉤爪)」が複数伸び、少女の下腹部と太ももの内側を、まるで万力のように強力に締め付け、物理的に固定する。
「な……に……ぁ……!」
声にならない悲鳴が漏れる。だが、それも遅かった。
拘束が完了した蕾の中心部から、それまで隠されていた「産卵管(挿入器官)」が露出する。
脈動する生体組織と、冷たい金属繊維が螺旋状に組み合わさった「肉のドリル」が、少女のオマンコをこじ開け、その奥深くへと、ゆっくりと、しかし確実に挿入されていく。
「―――ッ!?! あ、あああああああああああああああっ!!!!」
深夜のCEU兵舎に、鼓膜を引き裂くような絶叫が響き渡った。