※この作品はR-18です。

オルガ・コード・ゼノ(OCZ)   作:XYZ_L

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OCZ『赤錆色の監査(オーディット)』7. 冷たい観察者

7. 冷たい観察者

医務室に駆けつけた一行の目の前には、地獄があった。

ベッドの上で、少女がシーツにくるまり、全身をガタガタと痙攣させている。

 

「どきなさい」

 

レベッカが医療兵を押しのけ、シーツを荒々しく剥ぎ取った。

 

「……!」

 

伍長が息を呑む。

少女の股間は赤く腫れ上がり、太ももには鋭利な鉤爪の痕が食い込んでいた。

 

そして何より異様だったのは、彼女の下腹部が、まるで臨月のように不自然に膨らみ、内側から何かが蠢いていることだった。

 

「……遅かったわね」

 

レベッカが吐き捨てる。

セレスティーナは、データパッドの生体スキャナーを少女の腹部に向け、その結果を冷徹に読み上げた。

 

「ゼノブルード、カースト3、シスト・インジェクターによる植え付け(Implantation)を確定。……この“資源”は汚染されましたわ」

 

「そ、そんな……! 助けられるはずだ! まだ生きている!」

 

伍長が叫ぶ。

昼間、あんなに勇敢に戦った少女が、こんな無様な姿で終わるなど信じたくなかった。

 

セレスティーナは、その兵士を理解不能なものを見る目で一瞥した。

 

「助ける? 非合理的ですわね。この個体はもはや『人間』ではなく、貴重な『培養検体(インキュベーター)』にカテゴリー変更されました」

 

彼女はデータパッドを操作しながら、淡々と次の手順を検討する。

本来ならば、即座に専門の研究施設へ移送するのが手順だ。

 

「……ただちにこの個体を、軌道上の『回収艦(ラボ)』へ緊急搬送すべきですが」

 

彼女は窓の外を一瞥した。赤錆色の砂嵐が、基地の防壁を叩き続けている。

今日一日は、蟻一匹外には出られない。

 

「……そうですわね、この天候では」

 

セレスティーナは小さく、しかし深く嘆息した。

 

自分の管理下で、予定が狂うこと。

美しいサンプルが、最適な環境で管理されないこと。

それが彼女の美学に反するのだ。

 

だが、ここで手をこまねいてサンプルを腐らせるわけにはいかない。

 

「……仕方ありません。搬送が可能になるまで、当基地で『隔離・観察』を行います。……そこの、あなた」

 

彼女は顎で医療フレームをしゃくった。

 

「彼女を透明な隔離カプセルに移しなさい。……直ちに」

 

少女は全裸にされ、ガラス張りの隔離室で、医療用フレームに四肢を固定された。

特に股間は、観察と排出(出産)のために、強制的にM字開脚の状態に固定され、膨らんだ腹部と赤く腫れた性器が、ガラス越しに丸見えになっていた。

 

「あ……あぁ……お腹、熱い……動いてる……!」

 

少女の悲鳴が響く。

本来なら48時間かかるはずの孵化プロセスが、ライダーのフェロモンや過度のストレスにより、爆発的に加速していた。

 

「……素晴らしいデータですこと」

 

セレスティーナは、ガラスの向こうの地獄を、眉一つ動かさずに観察していた。

 

「……防音壁の出力を上げてください。悲鳴はデータ分析のノイズになります」

 

レベッカもまた、ガラスに手を当て、少し寂しげな目をしていた。

 

「……キツそうね。あの子、昼間の戦闘ではすごくいい動きをしてたのに。……ま、これもこの星の“現実”ってわけか」

 

彼女は記録係の兵士に、努めて明るい事務的な声で指示を出した。

 

「記録係、カメラの角度がズレてるわよ。しっかりと、最後まで見届けてあげなさい。それが、彼女へのせめてもの手向けよ」

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