シン…と静まり返ったシェルターに、外から音が聞こえ始める。
銃声は、もう聞こえない。
ただ、何かが金属の床をゆっくりと這い回る、粘つくような音。
そして、ガリ…ガリ…と、硬いもので扉を引っ掻く音。
「そんな…馬鹿な…」
老整備士の一人が、扉の監視センサーを見て呟いた。
「扉の外に…いる…」
ドオォォン!!
凄まじい衝撃がシェルターを揺がした。
叩いているんじゃない。扉が、悲鳴を上げている。
ギィィィ…ミシミシッ…!
この分厚いチタン合金が、まるで巨大な缶詰のように、ゆっくりと「こじ開けられて」いく音がする。
「だめだ…」
「いや…いやぁぁ…!」
絶望の中、扉の隙間が広がり、そこから「それ」が滑り込んできた。
さっきモニターで見た「影」。
ゼノブルード・ライダー。
濡れた黒い外骨格と、脈動する生体組織が融合した、悪夢そのもの。
シェルター内の誰もが、金縛りにあったように動けない。
ライダーは、私たちを見渡した。
そして、信じられないことが起こった。
ライダーは、腰を抜かしている老整備士たち…男性には、目もくれなかった。
泣き叫ぶ子供たちも、まるで存在しないかのように「スルー」した。
「それ」は、まっすぐに…私だけを見ていた。
「ひっ…」
なぜ、私だけ。
…ああ、そうか。私は…パイロット訓練生。
この中で唯一、オルガシステムに「適性」がある…。
「来るな…!」
恐怖に任せて、護身用に持っていた9mmピストルを構え、引き金を引いた。
乾いた発砲音。
弾丸は、ライダーの胸部に命中し、カチン、と硬い音を立てて、床に転がった。
傷一つ、ついていない。
「あ…ぁ…」
絶望が、思考を塗り潰す。
ライダーは、ゆっくりと私に近づき、抵抗する間もなく組み伏せられた。
引き裂かれる戦闘服の音。
「いや…っ! やめ…!」
声にならない叫びが、喉の奥で凍りつく。
次の瞬間、私の臀部…アナルに、氷のように冷たく、鋭利な何かが突き立てられる、想像を絶する激痛が走った。
「―――――ッ!!」
脊髄を直接焼かれるような感覚。
全身の自由が、一瞬で奪われる。指一本、動かせない。
声も出ない。
ただ、目だけが見開かれたまま、私を犯す「それ」を見ている。
痛みと恐怖で意識が朦朧とする中、私の視界の端で、「それ」のもう一つの器官…太く、おぞましい産卵管が、私の股間…オマンコへと、ゆっくりと差し向けられていくのが見えた。
(だめ…だれか…タカシ…)
ズ…、と音を立てて、それが私のオマンコ(膣壁)を押し広げながら侵入してくる。
肉が引き伸ばされる生々しい感覚。
でも、不思議と痛みは麻痺していた。
アナルから送り込まれる制御信号が、私の痛覚すらも支配しているようだった。
あるのは、ただ、異物が自分の最も奥深く…聖域を侵していくという、絶対的な「屈辱」と「恐怖」。
産卵管は、止まらない。
膣の奥…子宮の入り口(子宮頸部)に、硬い先端がゴリ、と突き当たる。
「それ」は、私の体が拒絶するのも構わず、容赦なく、私の「子宮」そのものへと、その先端をねじ込んだ。
「―――――ッ!!」
声なき絶叫。
子宮の内部を、異物が直接かき回す、不快感と違和感。
そして、次の瞬間。
ドクン、と。
私の体の中で、何かが「産み落とされた」。
冷たく、硬く、そして生命力に満ちた「何か」…卵(シスト)が、私の温かいはずの子宮の奥深くに、確実な「異物」として植え付けられた。
…ああ。
私は、「苗床」にされた。
産卵を終えたライダーは、ゆっくりとオマンコから産卵管を引き抜いた。
けれど、アナルに突き立てられた「神経の杭」は、抜かれなかった。
それは、私を支配し続ける「鎖」。
ライダーは、私を組み伏せたまま、そのおぞましい頭部を持ち上げた。
シェルターの隅で、腰を抜かして震えている老整備士たち…「苗床」にはなれない、あの「男たち」に、初めて視線を向けた。
(まさか…)
ライダーの黒い外殻が、キィ、と軋む音を立てる。
(やめて…! もう、誰も殺さないで…!)
私の意識は、まだここにある。
アナルを杭で貫かれ、子宮に卵を産み付けられ、完全に麻痺させられたこの体の中で、私はまだ「生きている」。
ライダーは、知っているのだ。
このシェルターの中で、最も守るべき「苗床(わたし)」が、今、ここに在ることを。
そして、あの男たちが、その「苗床」にとっての「潜在的な脅威」であることを。
私を支配する冷たい鎖を通じて、ライダーの本能が、私の脳に直接流れ込んでくる。
『―――苗床(コレ)ヲ、守レ。脅威(アレラ)ヲ、排除セヨ―――』
「ひ…、ひぃ…」
「ば、化け物め…!」
一人の整備士が、恐怖に抗うように、ピストルを撃った。
カチン、と弾かれる音。
…それが、「攻撃」の合図だった。
私を組み伏せたまま、ライダーの上半身だけが、ありえない速度で動いた。
「それ」は、私を守るように覆いかぶさったまま、その強靭な「爪」のついた腕の一本を、ピストルを撃った整備士に向かって伸ばす。
「あ…?」
整備士の喉が、いともたやすく貫かれた。
そして、ライダーは、私という「重り」を抱えたまま、床を滑った。
もちろん、「挿入したまま」。
(いや…いやあああああああっ!)
私は、自分を犯した怪物に守られながら、仲間たちが殺されていく様を、特等席で見せつけられた。
一人のサイボーグ義手が引きちぎられ、もう一人が壁に叩きつけられる。
ライダーの戦闘力は、私のオルガエネルギーで強化されていた。
私の「恐怖」が、仲間を殺す「燃料」にされていたのだ。
数分後。
シェルターは、完全な静寂に包まれた。
残ったのは、血の匂いと、粘液の匂い。
そして、アナルを貫かれ、子宮に異物を抱えたまま、か細い呼吸を続ける「私」だけ。
ライダーは、脅威を排除し、満足したように、私を抱えたままシェルターの隅に移動し、動かなくなった。
私を支配する「杭」は、抜かれないまま。
地獄のような72時間の「待機」が、始まった。