※この作品はR-18です。

オルガ・コード・ゼノ(OCZ)   作:XYZ_L

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OCZ『残響、あるいは苗床』3-4

3.

【 孵化(ふか)まで、残り 71時間 】

時間は、地獄のような遅さで過ぎていく。

ライダーは、私を胸部に固定し、自らも休眠状態のような静けさに入った。

私は、この怪物の「付属品」にされたのだ。

 

(寒い…)

 

シェルターの空調は生きているのに、体の芯が凍えるように寒い。

 

違う。

寒いんじゃない。「吸い取られている」んだ。

 

私のオマンコ…その奥の子宮で。

あの「卵」が、私の体温と、血液と、そして生命力の源であるオルガエネルギーを、まるでスポイトで吸い上げるように、ゆっくりと、だが確実に「培養」の糧にしている。

 

私が生きていることが、あの怪物の「次」を育てている。

その実感が、私を狂わせそうだった。

 

(…タカシ…)

 

こんな暗くて冷たい場所で、絶望に飲み込まれそうになると、いつも思い出す。

…兄さんの、無骨だけど優しい、機械じゃない方の「手」を。

 

私が、初めてオルガマシンの適性診断で「A判定」をもらった日。

コロニーで唯一のオルガマシン訓練生になれると決まって、私は有頂天だった。

 

でも、タカシは、嬉しそうじゃなかった。

 

『…リナ。お前は、戦わなくていい』

 

夜の居住区のバルコニーで、彼はそう言った。

 

『俺みたいなサイボーグ兵が、泥とオイルに塗れて死ぬのが仕事だ。お前は…お前みたいな女の子は、笑って、花でも育ててりゃいいんだ』

 

『何よ! 私だって、みんなを守れるかもしれないのに!』

 

『守る? …馬鹿を言うな』

 

彼は、機械じゃない方の手で、私の頭を乱暴に撫でた。

 

『お前が守るんじゃねえ。俺たちが、お前を「守る」んだ。…だから、絶対に、無茶だけはするなよ』

 

あの時の、タカシの手のひらの温かさ。

それが、今、こんなにも遠い。

 

(ごめん、なさい…タカシ…)

(私、あなたの忠告、守れなかった…)

(私、もう…「守られる」側じゃなくて、「苗床」に、なっちゃった…)

 

熱い涙が、麻痺した顔(からだ)とは無関係に、頬を伝っていく。

その涙すら、子宮の中の「何か」の、栄養になってしまうような気がした。

 

 

4.

【 孵化まで、残り 48時間 】

二日が経過した。

麻痺した体でも、生理的な限界は訪れる。

 

(…おしっこがしたい…)

 

そう思った瞬間だった。

 

「―――――ッ!?」

 

アナル(脊髄)の「杭」を通じて、強烈な電流のようなパルスが走った。

私の意思とは関係なく、膀胱の筋肉が強制的に弛緩(しかん)させられる。

生暖かい液体が、抵抗する間もなく、拘束された戦闘服の隙間から流れ出て、私と、私を抱えるライダーの外骨格を濡らした。

 

「あ…ぁ…」

 

声にならない嗚咽(おえつ)が漏れる。

排泄すら、管理されている。

私は、もう人間ですらない。

ただの、生かされている「生命維持装置」。

 

ライダーは、苗床(わたし)の体内環境を「最適化」するために、不要な老廃物を強制的に排出させたのだ。

その冷徹な「合理性」が、私の最後の尊厳を粉々に打ち砕いた。

 

子宮が、痛い。

いや、痛いというより、「重い」。

 

まるで、オマンコの奥に、熱を持った鉛の塊を押し込まれているかのようだ。

あの「卵」が、急速に成長しているのが分かる。

 

時折、ドクン、と。子宮の中で「それ」が脈打つ感覚が、下腹部から全身に伝わる。

 

(もうすぐ…もうすぐ、これが生まれる…)

 

恐怖が、一周して「諦観」に変わる。

誰も助けになんて来ない。

 

タカシも、整備士のおじさん達も、みんな「これ」に殺された。

そして、私のお腹(子宮)から、彼らを殺した「これ」と、同じものが生まれようとしている。

 

皮肉だわ。

 

私は、オルガマシンのパイロットになりたかった。

でも、オルガ適性があったからこそ、私は「苗床」に選ばれた。

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