彼女の練度が大台に乗った日。
そして、少女は別の大きな一歩を踏んだ。
今回は艦隊これくしょんから、自分の大好きな艦娘である木曾についてのお話を書かせて頂きました。
お楽しみいただければ幸いです。
「……いよいよ、か」
足元の非常灯に照らされたドアノブに手をかける前に、最低限の艤装を身に着けたまま俺は小さくつぶやいた。
目の前にあるドアの先に、提督の寝室がある。誰も入ったことのない未知の世界に、足を踏み入れようとしている。これから何が起きるかは、なんとなくだが察しはついていた。が、同時に期待もしていた。
僅かに腫れた目尻がまだ熱を帯びている。こんな顔でも彼はがっかりしないだろうか。
……いや、するわけないか。意を決して、そのドアノブを回した。
――――――――――――――――――――――
二、三時間前、提督が俺を司令室に呼び出した。入ってみるとそこには他の艦娘はおらず、いつもの無精髭を剃り落とした提督が一人立っていた。
「なんだ、作戦か?」
と問いかけると、彼は「そうだな。確かに作戦の一つだ」と笑ってこう続けた。
「だが今回は若干自分の私情を交えたものだ。それでもいいか?」
「ああ、勿論だ」
そう答えると提督は後ろで組んでいた手を前に差し出した。何かを両手に包んでいる状態のまま、提督は話し始めた。
「実は今日、艦娘のさらなる強化プランが導入された。いまから渡すのはあくまでその為の装飾品だが……これを渡すのは形状が形状なだけに、少し勇気が要る」
そう話す提督の頬が仄かに赤らんだ。そして以前の事を思い出すように、眼鏡越しの目が遠くを見る。
「木曾、お前はこれまでよく戦ってくれた。目と鼻の先にまで深海の輩に追い込まれた状況を少しずつ覆し、時には裏方に回り、そして時には艦隊を率先してあの悪夢のような海域を征服した」
その彼の目が俺の目に向けられた。
「そして何より、俺が思い悩んでいた時にお前は常に励ましてくれていた。本当に、ありがとう」
「ふふ、改まっていう必要もないことだろ」
「こういう時ぐらいしか言えないことなんでね」
再び彼ははにかむ。
「この感謝の気持ちと、お前への信頼の証。今から渡すものには、その二つにもう一つの感情を込めている」
「ほう」
「……お前への恋慕だ」
そういって提督は上から何かを包んでいた手を、ゆっくりと引き上げた。藍色のビードロの箱の中で、銀色に光る金属の輪っかが光っていた。
「……これは……」
「赤煉瓦から交付された『強化プラン用の装飾具』だ。だが、形状が形状だからな……相応の覚悟が要る」
赤らんだままの提督の顔だが、真面目な顔つきに変わっていった。俺の表情からもゆるみが消える。
「お前を真に愛しているからこそ、この指輪を渡したい。これまでの限界を超えて、まだ見ぬ海域をお前と共に進みたい。少々乱暴な指揮をするかもしれないが、それでも俺について行ってくれるか?」
斜に構えた様子のない、真剣な態度と眼差しが、俺に向けられた。どこまでも真面目な、嘘のない瞳だ。普段から見ていた彼らしからぬ、真剣さだ。
「……ふふ」
嬉しい。とても嬉しい。でも、なんだかしっくりこない。提督がいつもらしくない。フランクさがどこにもなく、石のようにガチガチな彼はどこか滑稽だった。
「あっはははは!」
思わず、俺は笑ってしまった。
「……どうした?」
「はは、すまない。不謹慎だけどさ、ふふ、あははっ」
「どうやら堅苦しすぎたようだな……」
腹を抱えて笑う俺をよそに、提督は若干拗ねたように顔をしかめた。少し笑い過ぎたな。フォローする言葉を探さねば。
「ははっ……でもさ、俺もお前の……」
違う。俺に惚れ込んだ、そして俺が惚れた彼に今この呼び名は相応しくない。
「……いや、貴様の指揮は高く買っているんだ。驚くほど作戦が上手く決まるし、何より戦っていて気分がいい。それだけでもこの指輪をもらう理由としては十分だ」
「そうか、ならよかった」
拗ねた彼の表情が戻り、幾分か安心した。今度は俺からも愛の式辞に答えなければ。
「それに……恰好だけは一丁前な俺を、貴様は信じて戦わせてくれた。側にいさせてくれた。それが……嬉しくてたまらないんだ」
着任したての頃の、編成や戦力不足に頭を抱えていた彼の姿を思い出す。ボロボロになりながら、旗艦なのに味方を庇ったことを思い出す。そんなカッコつかない俺を帰投するなり真っ先に抱きしめてくれた彼を思い出す。新しい艤装を身に着けた俺を満足げに見る彼を思い出す。
自分の声が少し湿っぽい。笑顔を作って続ける。
「ありがとうな、提督。俺も……、……」
おかしいな、言葉が出ない。「愛している」って言うだけなのに、急に喉から声が出なくなって、顔の表面ばかりが熱くなっていく。
「お、俺は……お前、が……」
振り絞る声が震えるばかりだ。眼帯に覆われていない目尻が熱い。なぜだ、なぜ声が出ない。なぜたった六つの音を伝えられない。
「お前、が……、?」
言葉が詰まったままの俺を、提督はそっと抱き寄せた。
「……だろ?こういうこと言うのって、かなり勇気が要るって」
俺をあざ笑うわけでもなく責めるわけでもなく、提督は優しく囁くだけだった。
「……はは、ざまないな……人のこと笑っといて、これはないよな……」
「いいって、そんな些細なこと」
眼帯の裏が熱い。視界がぼやけてきた。提督の肩に、大きな染みを作りそうだ。
「……想いを伝え返そうとした時点で、お前はよく頑張った。その言葉は、もっと先に取っておこう」
「提督……!」
提督が一層強く抱きしめると同時に、堪えが効かなくなった。顔を彼の胸に押しつけるや否や、情けない俺の声ばかりが耳に飛び込んできた。微笑みながら宥めるような彼の声が聞こえたような気がしたが、何を言っていたのかよくわからなかった。
「……少しは落ち着いたか?」
「ああ、有難うな……」
胸元がびしょびしょになった彼にお礼を言うが、その原因が俺だと思うとこっぱずかしくて直視できなかった。
「それと……悪いな、制服を汚してしまって」
「なぁに気にするな。こんなもん『カミさんに泣かれましたって』理由つければ『アホか貴様』の一言と始末書少しで洗濯に出させてもらえるさ」
提督は普段と変わらない調子で笑ってみせた。
「そうだ、手袋を取って左手を出しておくれ」
「あ、ああ」
革の手袋をそっと外す。涙をぬぐっていない、汚れのない手袋から出てきた左手を彼の前に差し出した。その手を彼の左手が掴み、右手が俺の薬指を覆った。手が退けられるとそこには銀色の光沢を放つ指輪がはめられていた。
「やっぱりこうして普段の調子で渡すのが一番だな。変に気負いしなくていい」
照れることなく提督は笑った。
「ふふ、それもそうだな」
俺の口からも自然な笑い声がついて出た。改めて嵌められた指輪を見つめる。
「……いいねぇ、こういうの」
思わず感嘆の声が漏れた。この従属感が、不思議と心地いい。まるで提督の肩にもたれかかっているような、体重を預けているような気分だ。
「……それとだ、木曾」
指輪に目を奪われていた俺を、提督は呼び戻した。
「なんだ?」
「……もしよければ、あとで俺の部屋に来てほしいんだが……」
再び提督の頬が仄かに赤く染まっていた。
「いいかな?」
思えば彼は艦娘を自室に呼んだことはない。個人的な用事も含めてほとんどの用事をこの司令室で済ませてきた。そんな彼が、このケッコンユビワを渡した状態で自室に誘うとしたら……目的は一つしかないだろう。
「……何言ってんだ。俺たちの間柄だろ」
よし、今度はいつもらしい返事ができた。
「こういう時ぐらい、強引に誘ってくれてもいいんだぜ?」
「じゃあ言い換えるぞ。後で俺の部屋に来い、以上だ」
「ああ!」
俺は威勢よく答えて、司令室を後にした。
――――――――――――――――――――――――――――――
「お、早かったな」
少し散らかっている部屋のベッドに、提督は座っていた。彼は俺の腫れぼったい目尻に気を留めることもなく、軽く部屋を見渡してはばつが悪そうに笑う。
「もう少し片付けたかった所だが……すまないね、こんな部屋で」
「いいさ、気にするほどでもない」
マントを脱いで畳み、帽子を取って俺は彼のすぐ横に腰かけた。自室のものより若干硬い敷布団だが、スプリングが入っているのか体が上下に揺れる。俺たち艦娘には少々贅沢な代物だ。
「おっ。このベッド、バネが入ってるのか?」
柄にもなくはしゃいでしまい、弾みをつけてベッドを軽く揺らす。
「ははっ、まぁそうだがくれぐれも揺らし過ぎるなよ。このバネ結構脆いからな」
「わかってるって」
またじゃれるようにベッドを揺らす俺を提督は口では諭すものの、笑いながら見ていた。そして俺が揺らすのをやめると彼はその顔のまま俺に問いただした。
「さて、今日お前をここに呼んだ理由は……なんとなく察しはついているよな?」
「おいおい、まさか女の俺に言わせるつもりかい?」
「まさか。でもな、いざ言うとなると照れくさいというか恥ずかしいというか……」
ややしどろもどろな提督の返事が返ってきたが、決心を決めたようにこう続けた。
「木曾、お前を抱かせてくれないか」
きわめてシンプルな、ムードもくそもないお願いだった。だが、下手に遠回しに伝えられるよりはよっぽどマシだった。
「ああ、そのために来たんだからな」
にっ、とはにかんで俺も答えた。すると突然提督の顔が俺の視界を遮った。唇に、何か柔らかいものが押し付けられていた。一瞬何が起こったのか自分でもよくわからなかったが、それがキスだと気づくのに時間はかからなかった。
「んっ、ん……」
唇だけが触れ合う接吻。しかしどこかぎこちなく互いにそれを押し付けあうばかり。
「むぐっ、ふ……ぅう……」
舌を差し出そうにも唇が固く塞がれて身動きが取れない。だが、この僅かな面積から送られてくる熱量が心地よくて離れたくない。
「んっ、むぅ……」
提督の唇が後ろへと離れそうになったのを追いかける。まだ味わわせてほしい、と答えるように今度は自分から体重をかけようとした。
すると提督の唇がいきなり開いた。押し付けあうように重なっていた俺の唇もそれに合わせて開き……
カンッ、と鋭い音を立ててお互いの歯がぶつかった。
「うっ!?……っはあっ、はあっ……」
思わず唇を離すと自分が思っていた以上に酸欠だったのか、俺はすぐさま荒い息を繰り返した。
「おい、大丈夫か?」
「大丈夫だ、ちょっと無理しすぎたらしい」
心配げな提督の目が俺の目に映った。すぐに笑顔をつくってそう答えた。
「ならいいんだが……。しかし悪いな、こういうのは初めてで」
「そんなのお互い様だろ。俺もがっつきすぎた。だから今度は……」
少し照れながら呟こうとするのを提督が遮る。気配を消したように近づいた彼の左手が俺の背中にあてがわれる。
「へっ?」
「お互いゆっくり、な?」
すっと俺の顔に近づいて、また俺の唇を奪った。
重ねた唇を互いにそっと開く。
「ん……ふ……んん、んっ
提督の舌がそっと口に潜り込み、俺の舌先と軽くキスをした。
「んぁ……ふん……ぁむ……ぁあ」
焦らすような舌同士のバードキスをしたのち、提督の舌が俺の歯をゆっくりなぞる。くすぐったくて払いのけようと舌を動かしてもするりとかわされておいかけっこをするばかり。ようやく追いついたと思えばその場で絡め取られる。そして唾液を交換する。ゆっくり、ところどころつっかえながら口で交わした愛撫は一瞬のような永遠のような、不思議な時間を醸し出した。
「あぁ……はぁ、はぁ……なぁ提督」
唇が再び離れたころには、俺の中でどろどろとした熱いものがぐるぐると渦を巻き始めていた。眼帯の裏に涙とは違う湿っぽさが漂い、古傷がふやけていく。
「ん、どうしたんだ?」
ほんの少し息遣いが荒くなった提督。長い接吻もいいのだが、それだけでは物足りない。
「そのさ、……キス、だけでいいのかい?」
「……まさかお前から誘ってくるとはな」
ふっ、と提督が笑った。
「俺から誘ったっていいだろ、ぅあっ!?」
俺の会話が終わらないうちに、提督の手が俺の左胸を包んだ。
「これが良かったのか?」
提督は喋りながら指に圧力をかける。
「はぅ、あ、いきなりは……あっ……」
不慣れな手つきで俺の片胸を制服越しに揉むその手は少し勢いが足りないが、時折俺の弱いところを掠り、堪らずうわずった声を漏らしてしまう。
「なるほど……この辺りか?」
探りを入れるように彼の指が俺の胸の上を這う。くすぐったいようで、時折「熱の渦」を加速させるような鈍い電流が胸から走る。提督がアタリを付けてまさぐりだしたのか、そんな一撃が頻度を増して俺を上気させた。
「そんなこと、俺に聞くな……あっ、ああっ!?」
提督の指が胸の尖端を捉えたとき、自分でも聞いたことのない甲高い声が口から飛び出した。
「お?今の場所か」
「そんな、やめ、ふあ、ぁああっ!」
悪戯めいた笑みを浮かべた提督が俺の乳頭を、下着や制服の上から指で執拗に責め始めた。彼がそこを押すたびに、まるでスイッチを入れる度に動き出す玩具のように、俺の体は逃げ出そうと勝手に背をそらす。しかし背中から支える彼の手に行く手を阻まれ、愛撫が途絶えることはなかった。
「だいぶ反応がいいな。そんなに良いのか?」
乳首への刺激を続けながら、提督の手は再び乳房を揉み始める。その揉む感覚がそのまま、俺の中の熱いものを握られているような感覚に駆られる。
「だからなんで、俺に聞くんだ……はあ、ああ……っ」
口が開きっぱなしになり、熱情がそこから漏れ出ていく。唇が焼けそうな熱い吐息が、室内の温度を上げていっているようだ。
「手を潜らせるぞ」
悪戯な笑みを浮かべたまま、淡々と提督は言葉を口にする。胸への愛撫が一旦止み、その手が腹の上へと降りる。彼の指がそっと臍のあたりに触れたとき、疼くような感覚がその奥からこだました。
「はぁ……くあぁ!」
「どうした、大丈夫か?」
「……なんでもない、続けていいぞ……」
臍の裏側から起こった劣情がそっと下方に伝播していく、甘い痺れのような感覚にさいなまれながら、息が整わないまま心配する提督を宥めるように声をかけた。
「そうか……続けるぞ」
彼の手がセーラー服の中に潜り込み上に向かう。疼きの発信元から手が離れていく感覚に、寂しさに似た切なさが胴回りを締め付ける。しかし、再び胸の頂へ彼の指が近づく感覚に、不思議と心が高鳴る。
「おや?このブラ……ワイヤーはないのか?」
「え?ああ……締め付けが少なくて楽なんだ」
「なるほど。こういうものもあるもんだな……面白い」
勝負下着……ではないが、普段から身に着けているお気に入りの胸当てを興味深そうに提督は触っていた。乳房の下丘をそれ越しにまさぐる指の感覚が、少々もどかしい。
「ん……あぁ……」
息をつかせない愛撫寄りの触り方とは違い、好奇心の表れた手による接触はほどよい心地よさがあった。微睡(まどろ)みを呼ぶ様な安心感がある一方で、腹の奥で渦巻いていたマグマが燻り、じれったさが意識を覚醒させる。
「提督……そろそろ……」
「ああ、さすがに遊び過ぎたか」
じゃれていた提督の手が止み、提督の指がすでに硬直していた尖端を弾いた。
「あぐっ!……はぁ……あぁぁ……!」
再び電流のような甘い衝撃が体中を巡る。顎の力が抜け、快楽が喘ぎに姿を越えて口から逃げ出す。劣情の渦はいよいよ勢いを増し、更なる逃げ場を探し出していた。
「ああ……提督……んっ、んんぅっ!!」
再び提督が俺の唇を奪った。うめき声すら遮られ、快楽が体の中で暴れだし身をよじった。そんな俺をものともせず提督は右手を動かし、ブラジャーの背後を取った。紐で結ぶ形式だとすぐに分かったのか蝶結びの紐を掴むと、俺の身をよじる勢いに任せて解いてしまった。カップと膨らみの間にできた隙間から僅かに冷えた空気が入り込んで屹立は更に固くなっていく。
「んんっむ、ふぅっ、んぅむぅっ、ふぅっ!」
提督の舌も動き出す。大蛇が飛び掛かるように口腔へとなだれ込み、すかさず俺の舌を緩く締め上げる。抱擁とも拘束とも判別のつかない巻きつきや舌先での細かい刺突が、僅かに漏れるうめきを増幅させる。
「んんっ!ふんんぅう!」
胸当てを解いた提督の手が肋骨をなぞって乳房の下縁に触れた。絶頂へのカウントダウンが頭の中で鳴り響く。
「んぅぅうっ、ふぅうっ!」
首にぶら下がるだけのブラジャーの裏側に彼の指が入り込む。徐々に徐々に、充血して硬直したその先へと近づく。
「んんんっ!!ふっ、んぅうっ!」
人差し指の腹が乳輪を引っ掻くようになぞる。予備動作のように背を軽く反らすのを逃がさぬように提督の唇が俺の舌を吸い上げる。そして、紅がかった桜色の尖端を、思い切り押し込まれた。
「んうううぅぅぅああっ!!!」
雷霆の一撃が乳首へ、劣情のマグマへ落とされた。目の奥に閃光が走る。海老の腹のように背骨が反れ、接吻すら引き剥がして絶頂の叫びを初めて上げた。
「はあ、ああぁ………」
ふっと全身の力が抜けた。それと同時に、腹の奥の熱が下腹部を滑落していった。ショーツのクロッチ部分がジワリと秘部に張り付いた。
瞳の焦点がぼやける。目の前にいるはずの提督が、二重にぶれて見える。絶頂の余韻は五感をも蝕んでいた。
「…………そ……」
提督の声が微かに聞こえる。声も聞こえず、返すこともできないわずかな時間が過ぎると、意識が急激に冴えてきた。
「おい木曾、どうした?」
「あ、ああ……気をやってしまったらしい」
まだ力が上手く入らず、提督の支える腕にもたれながら答える。
「そうか……少々休みながらやった方がいいか……」
休みながらやる……?そうか、まだこれは前戯の途中だった。下着こそ紐を緩められたものの、まだ衣服を脱いですらいない。
「ああ、その事なんだが……提督。明かりを消してもらえないか?」
衣服を脱ぎ、生まれたままの姿を彼の前に見せる。下着や眼帯すらも取り払いさらけ出すという行為に、今になって抵抗が生まれた。
「ん、何でだ?」
「……恥ずかしいんだ、俺の裸を見せるのがな」
眼帯の下には消えることのない切り傷の跡がある。女性の象徴ともいえる乳房はお世辞にも大きいと言えるものでもなく、華奢で筋肉の浮きかけた四肢も女性らしいものとは言えない。腕に至っては提督の方が細い。こればかりは単に彼の腕が貧弱なだけだが……。
「恰好こそスカートを穿いてみせたり、ヘソも出してみたり、内股を意識するようにはしてるけど、それでもやっぱり俺には女性としての魅力が欠けている。そんな肢体をおめおめと晒すのはお前に申し訳ないんだ」
それを聞くと提督はなぁんだ、という顔をして笑った。
「お前の指揮官はお前の体にケチをつけるような器の小さい奴じゃないぞ」
しかし、彼はこう続けた。
「だが、お前の意見にケチをつけるような奴でもない。いいぞ、ここからは暗闇の中でしよう」
「ああ、頼む」
そして提督は部屋の明かりの電源に手をかけた。
「……と言いたいところだが、あの窓から漏れる非常灯だけはどうしようもない。それだけは勘弁してくれ」
そう言いながら消灯すると、廊下に面したすりガラスから淡く乱反射した橙色の光が差し込んだ。部屋を照らすには弱すぎて、提督の姿もなにかの物陰にしか見えない。
「この程度なら、問題ない」
そういって汗ばんだ制服ともはや用を成していない胸当て、そして最後の武装である船底を模したブーツを脱いだ。錘から解放された脚は軽く、ひんやりとした夜の空気が、火照った下着だけの体を冷やす。紐を解かれたブラジャーと乳首が掠り会うたびに、濡れたショーツの裏側が軽くざわめき、俺が女であることと、そんな俺が提督の手で達せられたことを実感した。
おぼろげな明かりに照らされた提督もまた、制服を脱いでいるようであった。暗闇の中でハンガーを探していたのか、俺が脱いでいる間に少々カチャカチャした音が聞こえていた。
「俺が脱いでからにすればよかったかもな」
最後に眼鏡を外すと提督はそれを机に置いて、ベッドで座っている俺の隣に座りこんだ。
「ようやく目が慣れてきた。うっすらとだがお前の姿が見える」
「それは俺もだよ、提督。……あまり締まった体ではないんだな」
「これでも痩せたほうなんだ、そう言ってくれるな」
淡い光の影が示す彼の姿は、最新鋭と名高い例の軽巡よりもだらしない肉が多くついている。だが、彼の外見に惚れたわけではないのだ。信頼しあう関係だったからこそ、お互い腰布一枚でこうして夜を共にしているのだ。
「ま、もう少し絞れよ。お前はしっかり食事をとりすぎるからな」
「参ったなぁ。お諫めとして、胸に刻んでおく」
やや不摂生な生活を突っ込まれた彼は苦笑いを浮かべた。
「それじゃ、続きといこうか」
「ああ」
俺たちは再び口づけを交わした。一度の小休憩を挟めたおかげか、それとも少し勝手を覚えたせいか、接吻は遮二無二なものではなく緩急のあるものになっていた。互いに軽く舌をぶつけ合い、隙間が開けたところから相手の口に自分のものをねじ込む。俺も提督の口腔を擽り、今度は攻めの姿勢で彼に体重を預けていた。
「んむっちゅ、ふんぅ、はふ……」
舌同士の抱擁を解き、そのまま提督の下顎をなぞる。綺麗に剃られているのか、細かい凹凸が舌先で感じられた。
「おっと、だいぶ積極的だな」
愉快そうな彼の声と共に顎が細かく揺れる。
「いつまでもやられっぱなしではいられないからな、れろっ、れろっ……」
「んっ、くすぐったい」
彼に答えつつ舐める個所を首筋に移すと言葉通り、くすぐったそうに首をよじった。
「へぇ、提督は首が弱いんだな。れろれろ……」
「くっ、これはたまらん」
舌先を激しく往復させるとさらに首をよじった。そんな提督をよそに、俺は舌を少しずつ下へと移らせた。首元から鎖骨、そして胸板。ついでに乳頭も舌で責める。胸に汗腺が多いのか、汗特有のしょっぱさが胸板から感じられた。酸味を僅かに帯びた体臭も、彼の胸元に顔をうずめると鼻をくすぐってくる。
「ん……」
そのまま胸のあたりで舌を漂わせ続けていると、提督の手がそっと頭の上に置かれ、俺の頭をそっと撫でた。
「ここまでお前が甘えてくるのも珍しいな」
「れるっ、そうか?特に甘えているというわけじゃないんだが……」
「なんだ、思い違いか」
少し残念そうな声で提督は答えた。
「あー悪い……お詫びじゃないが、今からアレしてやるから拗ねないでくれよ」
「拗ねてないさ。で……アレって何だ?」
「これを今から、な」
俺はそっと提督の下着の上から、既に硬くなったものを手で触れた。ボクサーブリーフという物だろうか、伸縮性のあるその薄い下着越しに、熱く滾った剛直が脈を打っていた。
「うっ……お手柔らかにな」
くすぐったい表情とはまた別の顔で提督は穏やかに言った。
「ああ、酷いようにはしないさ」
そういって俺は再びその逸物を撫でた。ゆっくりと上下に指をなぞったり、手のひらで先端を回すように撫でたり。部屋が暗く実物がどんな外見をしているのかまるで分らないが、とにかく熱を持った硬いものなのは分かった。そしてそれを触っていると、くつろいでるような、それとも何かを堪えているような小声を提督は漏らした。
「お前も感じてるのか?」
「ああ、とてもいい」
感嘆の息を漏らすように提督が答える。こんな姿の提督を見る事こそ珍しい。
「だがこれだけじゃあ物足りないな」
「つまりもっと激しくしろってことか?」
「うーん、少し違うな。強弱というよりは、方法がね」
提督の手が、彼の陰茎を布越しに触る俺の手を持ち、握らせるよう俺の手を動かした。
「砲塔を磨くように、扱くのがメインだ。さっきの愛撫もアクセントにはなるんだがね」
「へぇ、けっこう細かいもんだな」
「それと、この状態では扱くに扱けないだろう。取り出してみせてくれ」
そういうと提督はベッドから立ち上がり俺の方を向いた。先ほどまで触っていたそれはちょうど俺の眼前に移動した。雄の臭いが、ツンと俺の鼻を刺す。
「注文も多いんだな……わかった」
提督の指示通り、彼の逸物を下着から顔を出させる。怒張したそれはボクサーブリーフを下ろすや否や跳ね上がり、再び俺の目の前に現れた。先ほどの匂いが更に強くなり、俺の鼻腔をくすぐる。再び、俺の中で熱いものがつむじ風のような小さい渦を作り始めた。
(これが……提督の……)
微かな陰影だけが彼の肉棒の形を映す。彼の股間からすっと伸びた円筒状の熱い棒は途中で一回り太くなりそこから細くなっていく、槍そのものだった。ごくり、と俺は生唾を飲みながらまじまじと見つめていた。
「あまり見つめられてもなぁ」
提督のボヤキに合わせてその剛直は軽く上下した。
「ああ、すまない……少し見とれていた」
詫びながら俺はそっとその熱い槍に手を触れた。下着越しに触れた時よりも、それが脈打つのを強く感じる。そして槍の柄を右手でつかみ、ゆっくりと腕を前後させた。くっ、とまた提督が感嘆の息を漏らす。
「これでいいのか?」
「ああ、その調子だ」
そんな会話を交わしつつ、右手で彼の竿を扱きつづける。握っているうちに彼のそれはさらに熱を帯び、膨張していく。彼の息遣いは少しずつ荒くなり、雄の匂いが一層増してゆく。
この匂いだ。体が知らず知らずのうちにこの匂いを求めている。提督の肉棒の、その先端からこの匂いが、俺の鼻すら通り抜けて、口の中すら満たしたとき、俺の熱情の渦が加速する。湿った下着の奥で、秘部の裂け目がひくひくと疼く。
もしこの肉棒を、亀頭を口に含んだら、俺はどうなるのだろう。さっきのように痴態を晒すのではないだろうか。しかし、今のような暗闇で達したところで、腑抜けた顔を見られることもない。羞恥心以上に、彼の放つフェロモンらしきものに俺は惹かれていた。
「はぁ……はぁ……」
どちらからともなく漏れる溜め息。真冬の部屋の中で、二人の体から溢れ出す熱が思考を凍らせる。本能に導かれるままに、俺の唇は彼の亀頭の鈴口と、口づけを交わした。
「うっ!木曾、なにを……」
「いいだろ……噛みはしないさ」
いきなりの口淫に驚く提督をよそに、彼の亀頭にそっと唇を這わせる。手淫を滞らせることなく、幼子が棒付き飴を舐めるがごとく、それ全体を舌で舐(ねぶ)った。時折先端から滲み出る汁が、汗に似てしょっぱい。その香りが、また俺の渦をかき回す。
「んん……れる……っちゅっ……」
「ああ……いいぞ……、くっ」
再び彼の逸物が脈打つ。脈打つと同時に塩辛い汁が一滴、また一滴とこぼれる。匂いと味の引力のままに、俺は亀頭を丸ごと口の中に含んだ。
「くぁあっ……!」
情けない声を提督が上げた。雄の匂いが、むせ返りそうなほどに口の中に広がった。腹の奥の疼きが一層強くなる。口に含んだ亀頭を舐め回しながら、俺の手は提督の竿を離れ、下へと向かっていった。
「んちゅっ……むふっ……んんっ……」
既に濡れそぼったそこに下着越しに触れると快感が走る。胸を責められた時と同じように電流が走り、提督への口淫が一瞬止まる。腹の奥が脈打つように心地よさを響かせ、口中に広がった提督の匂いをより強く感じさせる。もっともっとと求めるように、舌を暴れさせ、ショーツに現れたスジを人差し指の腹でなぞった。
「んっ、んふっ、んんっむっ……」
「うあっ!……木曾、ずいぶん激しいな……うっ」
嬌声を押し殺すように提督のペニスを舐める俺とは逆に、彼は息を荒げて小さく呻く。彼の先走り汁と秘裂への自己愛撫を、本能のままに貪る。舌だけでなく喉の奥が彼を求め始め、それに従うように上体を揺らす。
「っあっ!何もそこまで……くぅうっ!」
彼の呻きが大きくなり、剛直の脈が速くなる。それに呼応して股を弄る指のストロークもペースが速くなる。理性にノイズが走り、徐々に歯止めが効かなくなっていく。
「んうっ、ふぅうっ、んむっふ、ぁむぅっ、んうぅっ」
提督の放つ、雄の臭気がもっとほしい。腹の奥の渦がぐるぐると渦巻き、その目がもっと寄越せと脳髄に訴えかけてくる。彼のモノを咥える口の動きも速度を増し、喉の奥に亀頭が当たっていく甘美な圧迫感を味わう。
「ま、待て!これ以上は……出る……っ!」
途切れ途切れの彼の声も耳に入らない。強く脈打ち、尿道口を開いて汁を滾々と流すそれに取りつかれたかのように、一心不乱に口全体で彼を愛撫した。疼く恥部を撫でていた指も、割れ目の奥を触ろうと円を描くようにそこを擦った。
「んんっ、れるっ、んっ、んっ、んっ、んっ!」
「くっ…………ぁあっ!!」
呻きが一層強くなった瞬間、彼の怒張が一回り大きくなり、熱い液体が口の中に放たれた。同時に俺の秘部も軽く達し、痙攣がそこから背中を駆け上がり、脳髄を蕩けさせた。
「んっ、んっ、んっ……」
ただ熱い、ひたすら熱い粘度の高い液体が俺の舌を、口腔を、喉を焼いて腹の奥へ下っていく。軽い絶頂に浸っている間は嗅覚や味覚すら遮断され、その味を感じることもできなかった。ただ本能が求めるがままに、俺は目の前で息を荒げている提督の精液を腹で感じていた。
(これが提督の味……?)
そんな一抹の疑問が脳裏をよぎった時、舌や鼻腔を刺すような苦みと雄臭さが俺を襲った。
「げっほ、げっほっ!うぇっほ、えっほ!!」
味蕾をズタズタにするような苦み。珈琲すら満足に飲めない俺に耐えられるはずがなかった。ベッドに突っ伏し、えずきに似た咳に苛まれた。
「おい、大丈夫か?」
「いや……大丈夫だ、もう平気」
苦みがあるとは聞いていたが、ここまで苦いとは予想外だった。軽い絶頂の余韻からくる脱力感と、想像以上の苦みに圧倒されて、俺はそのままベッドにへたり込んでしまった。
「あまり大丈夫では無さそうだが……まぁいい。そのまま仰向けになれるか?」
「ああ」
けだるさが続く中、ごろりと転がって天井を向く。窓越しの非常灯が照らす提督の部屋の天井はどこか殺風景だが、自分の部屋もさっぱりしたものであることを思い出す。思えば壁に立てかけているものも俺と同じで殆どない。自分たちはどこか似た者同士らしい。
「さてと、お返しだ」
「ふああっ!?」
絶頂を迎えたばかりのはずの提督はもう既に動き出していた。身動きのうまく取れない仰向けの俺の脚の前に座っては足首を掴み、楽々と開脚させてきた。殆ど見えていないことは重々承知しているが、唯一身に着けている肌着のクロッチ部分に大きな染みを作ってしまった姿を見られるのは、羞恥心に駆られるに十分な代物だった。
「そんなに驚くことじゃないだろ」
「い、いやだっからって!」
「それとも、何かはしたないものでも見られてしまったか」
「うっ、うぅ……」
図星を突かれ言葉が詰まる。勝手に頬の表面温度が上がっていく。
「はは、まぁ気にすることじゃないさ」
「気にするわ!……ひぅっ」
提督の指が俺の内太腿に触れた。最初は膝に近い位置を触っていたが、その指は徐々に股間へと近づいていく。
「んくっ、んんっ……」
ああ、このまま提督に、誰にも触れられたことのない場所を、胸にされたようにまさぐられるのだ。それだけで俺の腹の奥はわななき、彼の逸物を口に含んでいた間自らの指で焦らされ続けていた恥部は、太腿を触られただけでもうごめいた。
「……おや、濡れているな?」
「えっ、嘘っ!?」
まだ太腿しか触られていないのに、提督は濡れていると言ったのだ。多少の汗はかいているかもしれないが、思い浮かぶものは一つしかない。
「つまり……なるほど」
殆ど見えない提督の顔が意地悪く笑ったように見えた。
「どうやらお前はすぐに濡らすエロい女らしいな」
「う、うるさい!」
「否定はしないんだな」
揚げ足を取るような返し文句を口にしつつ、彼は指で股の付け根をなぞる。腹の奥がピリピリと痺れるような感覚が起こる。
「ち、違っ……ぁあっ!」
「ここもだ……じっとりと、な」
敏感な場所と足の付け根の間を、圧力をかけるようになぞられる。ゆっくり、ねっとりと、重みのある愛撫が、じれったいほど丁寧に施される。そのすぐそばの縦裂から、じわりと熱いものがまた一滴零れた。
「あっ……んくっ……ふうっ……はぁぁ……」
秘部に触れることなく、下着にすら触れることなく、その僅かな隙間に提督は指圧をかける。ただ押すだけでなく、外側にずらすようにも押しては、秘蜜の扉を軽く開ける。隙間が開けると、熱く渦巻く欲望の渦から、粘度を増した愛液が襞を這う様に下りてきて、既に濡れきった蒼い下着にまた染みを作った。指が舞うたびに、艶を帯びた吐息が、俺の口から洩れていく。
「ああ……提督……ふああっ!!」
提督の指が、濡れそぼったショーツの中央に、ほんの少し埋められた。まるで彼の指から電撃が放たれたように、腹の奥へと快感が走る。
「随分とぐっしょりしてるな」
「くう……んっうぅ……あっ……ぁあ……」
彼の意地悪な問いかけに碌に答えることもできず、下着に浮かび上がった溝にそって撫ぜられて押し殺した嬌声を漏らすばかりだ。仰向けの大勢で、何もお返しできずに、ただただ今にもふっと宙に浮きそうな意識をつなぎとめるように体を縮めこんで俺は小さく喘いでいた。
「ところで、この硬くなっているものは……」
「ひっ、ひえぁあっ!?て、提督、そこはぁっ、ぁあっ!!」
クレバスの上で、ひそかに硬度を増していた陰核をつつかれて、柄にもなく上ずった声をあげる。そこに触れられるたびに、頭の奥にすら快感の稲妻が走り、尿意にも似た絶頂の兆しが脳内を駆け巡る。
「ここが、なんだ?」
「だから言わせ、ふぇ、ふわあっ!!」
「ほれほれ」
意地悪く訊いておきながら、彼は俺の秘芯をくりくりと弄る。そのたびに背筋が勝手に湾曲し、ふわりと浮く感覚に苛まれる。手足をばたつかせてもがこうにも、四肢を寄せていないと意識が体をすり抜けて虚空に逃げていきそうで動かしたくない。ひたすら腕をちぢこめては、背筋を前へ後ろへと曲げるだけだった。
「あ、あああ!!もう、やめろよぉお!!」
強すぎる快感に精神が耐え切れず、弱音を吐きながら俺は提督に懇願した。脳髄の奥に火が付いたようで、この甘い煉獄から逃れたくて仕方がなかった。
「はいはい。さて、この下はどうなってるのっと」
あっさりと請願を受け入れた提督は淫らな突起への愛撫を止め、指をなぞりすっと俺の下着を取りにかかる。濡れそぼったクロッチから鼠蹊部を上っていき、紐状になっている腰布の側部に手をかけた。
「これも……紐か?」
「……ああそうだ」
再び羞恥が顔に浮かぶ。ブラジャーと同じで締め付けの少ない下着にしていたが、紐を用いた下着を使っていると、特に提督に知られる恥ずかしさはなかなか堪える。輪郭が仄かに浮かぶ彼の顔を、俺は直視できなかった。
「……いい趣味じゃないか、俺は好きだぞ?」
「うるさい!」
フォローのようなフォローになってない彼の返事に俺はぶっきらぼうに答えた。笑うようにため息をつく彼の顔はまだ直視できない。視線を合わせない時間が少しばかり続いた後、彼は蝶結びにしてあった下着の結び目の片方をそっと解いた。腰に巻きついていたパンティの一部がふっと肌を離れ、敷布団の上に音も立てずに落ちた。露わになった臀部が冷える。
「っ……」
「……脱がすぞ」
そのままもう片方も解かれる。そして前面を覆う、布地の部分がめくり返された。蒸れたそれが取り払われた、じっとりと濡れた陰部もまた冷気を受けて、その奥の縦に裂けた秘肉が震える。
「ぁあっ……提督……」
「なるべく痛いようにはしない。なるべくな」
「なるべくって、はあっ……!!」
彼の指が、大陰唇の溝をそっとなぞる。敏感な場所を初めて他人に直に触られて、淫らな吐息が肺の奥から溢れ出す。呼気と共に腹の奥から愛液が、溝の奥からジワリと表に現れる。
「すごいな……どんどん溢れてくるぞ」
彼の指先が溝に埋まり、内側に秘めた赤く充血している粘膜の上を滑る。ビリビリと甘い電流はより強力になり、膣襞から全身へと快感が拡散していく。足の指先も屈曲してしまっている。
「はあっ……あっ……あっ、くあっう!」
落ち着いていた呼吸が再び乱れ始める。冷気が胸の奥に吸い込まれたかと思えば、すぐに火傷しそうな熱さになって体から出ていく。脳髄の奥が蕩け始めて、視界がぼやけてくる。
「て、提督……ふぁ、ああああっ!!!」
意識がもうろうと仕掛けた瞬間、股間に雷霆が落ちてきたような感覚があった。そして感じられたのは、なにか棒状のものが、俺の体内に潜り込んだ様な感覚。蜜壺の入り口から自分ではない何者かが侵入し、敏感な襞にピタリと接している。
「痛まないか?」
悲鳴に近い嬌声をあげていた俺に提督が優しく問いかけた。そして俺の胎内で細いものが小さくうごめいた。
「あ、ああ……あっ、……痛くは、ない……」
痛みというよりは異物感に近い、でもそれでいてなんだか心地よい感覚だ。その細いものが提督の指であると悟ったとき、膣肉はひとりでにそれを締め付けた。
「おや、むしろ良かったようだな」
「へっ、あっ、ああっ!!」
安心したのか提督はその指をもぞもぞと動かした。圧力がかかるたびに快楽が背筋を導火線のように辿り、押し当てられた媚肉は抑え込もうと締め付けを強くする。彼の指もそれに負けじと、じたばたと動いては柔肉を甘く引っ掻く。
「そんな、だめっ、ぐりぐりはっ、ひやっ、ああっ!!」
指の腹が通って行った場所からは、その愛撫に答えるよう汁が滲み出て、さらに奥の方にある源泉から漏れる液体と混ざり合っては彼の指と俺の膣襞の間を縫い、彼の褥を濡らしてゆく。その指がもがくほどに、淫らな下の口腔は形を変えてそれに吸い付いてゆく。
「まだ余裕があるな」
そう言って提督はもう一本の指を俺の膣口へとねじ込んだ。殆ど外部からの侵入を許したことがないそこも、彼の愛撫で骨抜きにされてはあっさりと二本目を飲み込み、その奥にある膣肉がその襲来にわなないた。
「ああああっ!!そんなっ、二本も入れたら……」
「大丈夫だ、お前のここはこれくらいって食らいついてきてるぞ」
「やあんっ、ああっ!あっ、そ、そこはっ、くああっ!!」
提督の日本の指が暴れるように動きだし、全身に響くような快感を媚肉が放つ。視界が汗か涙かわからない液体で滲み、彼の輪郭が溶けたようにぼやける。Gスポットをグリッとえぐられ、再び訪れようとしている絶頂の予兆に全身が震えた。
「これが、なんだっ?」
「うああああっ!!」
再び彼が急所を指で穿つと、そこから脳の奥へとまた電流が走る。俺の意思に関係なく足が思いきりベッドを蹴って腰が跳ね上がり、指が挿し込まれた股間を提督の眼前に晒してしまう。包皮に包まれた硬い秘芯が彼の吐息を敏感に感じてしまい、更に高みに近づいていく。
「ははっ、そんなによかったか。じゃあアレを試させてもらおうかな」
再び意地の悪い笑みを浮かべた提督はもう片方の手を、深緑色をした恥毛が薄く生えたデルタ地帯に乗せてすっとずらした。それに合わせて敏感な実が顔を出し、部屋の冷気と彼の吐息に揉まれては早く触ってくれとその存在を誇示した。
「ひゃっ、まて、そこはっ……」
俺の制止を聞くこともなく、無言で彼はむき出しのクリトリスを唇で包んだ。
「うあああっ!!?」
今まで感じたことのないようか快感の一撃が撃ち込まれた。重力に逆らってしまうような感覚に襲われ、手足でベッドのシーツを必死につかむ。そして提督は陰核を唇で挟んで吸い上げた。
「よせっ、吸うな、吸うなぁっ!あっう、うあっ、あっ、いやっあああ!!!」
快感の小爆発が起こり、真っ暗なはずの部屋に閃光が走ったようにすら錯覚する。触れられていない乳首からもビリビリと快感が生まれ、まだ指を包んでいる膣襞がギュッと締まり、より彼の責めを感じてしまう。
「ああっ、提督っ、くぅっ、駄目だ、これ以上は……ひやっ、てい、あっ、うああっ!?」
吸い上げに加えて、彼の舌が陰核を捉えて舐め回す。視界がぐるぐると回りだし、警告音が頭の中で鳴り響く。絶頂が再び目前に迫る。腹の奥で渦巻いていたマグマが、一気に陰部から迸ろうとしていた。
「ああっ、うあっ、もうっ、で、出るうっ!!!」
俺のわめき声に「構わん」とでも答えるように、提督は尖端を思い切り舐り吸い上げた。
「ああっ、あっ、……ああああああああ!!!!!」
陰核が爆発したように快楽をばらまき、絶頂の波が俺を包んだ。背中は更に反り返り、勢いよく噴出した潮と愛液が提督の顔を汚した。間欠泉のように噴き出しては、そのたびに時間が一瞬止まる。それが終わると全身の力がより一層抜けてしまい、歪んだ視界のまま動けずに、クレバスに埋まった彼の指を握りしめるように締め付けていた。
「…………」
やってしまった。粗相だ。よりによって提督の目の前で、いや提督の顔に向かって盛大にぶちまけてしまった。
「……もしもーし」
失禁して汚してしまった顔を拭き終わった提督が話しかけるが、とても今の状態じゃ話せない。俺を好きだと言った提督に不躾な真似をしているうえに、自分が漏らした姿をその彼に見られた羞恥が、俺の顔をくしゃくしゃにして合わせる顔もない。顔を手で覆い、ともすれば恥ずかしさでむせび泣きそうになるのを堪えるばかりだ。
「まあさっきのはなんだ、生理現象だから仕方ないさ」
「で、でもよ……」
「それに俺が故意にやった結果なんだ。お前に非は一切ない」
そう言って提督は顔を覆う手をそっと取り払った。彼の顔は目の前にあり、俺が浴びせた愛液と尿の匂いが漂ってくる。その顔に嫌味はなく、純粋に笑っているように見えた。
「むしろしてやったり、という気分だな」
「……全く、お前というやつは……」
やっぱり顔を合わせるのはばつが悪い。杞憂に肩透かしを食らったことや、なお残る羞恥心もあって俺は顔を横に向けた。
「よがってくれたなら俺は十分だ」
「むう……」
「んじゃ、さてと」
他愛ない、微々たる痴情のぶつけ合いを切り上げるかのように提督が言う。
「ここまで濡らしたが……正直言ってここからうまくできる自信はない」
そうか、まだこれまでのは前戯にすぎなかったんだ。これから提督の股間でそそり立っている、あの雄の匂いを放つ肉棒が、俺の胎内をかき分けていく。それを思い出したかのように、腹の奥がまた渦を作り上げた。
「怖いことを言うようで悪いが、初めては痛むものらしい。覚悟はできているな?」
「……何言ってんだ、お前は」
少しずつ羞恥から立ち直り、俺はいつものように勇ましい調子で声をかけた。
「仮にも俺は艦娘だぞ?海の波にのまれては戦い、もっぱら怪我して帰ってくるんだ。痛みなんて日常茶飯事、そうだろ?」
痛みが好きなわけでもなければ、破瓜を恐れていないわけでもない。ただ、今は彼が欲しいのだ。気をやるような性感も心地いい。なにより、今まで寄り添い続けてきた彼に、プロポーズで泣くほど好きだった彼に、今まで以上に近くに接し、そして繋がって一つになるのだ。恐怖なんて吹き飛んでしまう。
「だから遠慮するなよ、さっきみたいにやりたい放題やればいい」
「わかった。ではその前に一つお前にお願いしたいことがある」
そう言って彼は両手を俺の頭に添えた。その指は傷跡を、そして変色して金色になった瞳を隠す眼帯の紐にかかっていた。
「お前のその眼帯、外させてくれ」
「……この下はあまり他人に見せるようなものじゃないんだが……」
「構わん。ありのままのお前が見たいんだ」
そのまま飾り緒のあしらわれた眼帯が外される。黄金色の瞳と、汗でふやけた古傷が冷やされる。
「うん、悪くない」
暗闇から解き放たれて眩しさすら覚える金の右目と、薄明りに馴れた碧の左目は、何も包み隠さない俺の顔を見て満足げにほほ笑む彼の顔を捉えていた。奇特の目を向けた様子は微塵もなかった。
「むしろ気に入ったぐらいだ」
「おいおい、ほめたところで何も出ないぞ」
「こっちは何かしら出してくれそうだがな」
「ふあっ……」
不意に提督が自身を俺の秘部にあてがい、軽く上ずった声が出てしまう。彼の言葉通り愛液がちょろっとクレバスを伝った。いよいよ処女を失うと思うと、体が緊張し産道が狭まる。
「ま、普段通り気楽にいこうか」
それを察してか知らずか、提督はそっと俺に声をかけた。
「あ、ああ。それが一番だな……」
ややぎこちなく笑いながら俺が返すと、提督はそっと指で陰唇を開き、蜜壺の穴にその亀頭を塞ぐようにあてがった。
「っ……」
「とにかく力を抜くんだ、いいな」
「分かってる、分かって……くああっ!」
受け答えで油断をしているうちに、提督のペニスが俺の胎内へと潜り込み始めた。かつてない大型の物体が侵入をせき止めようと、膣襞がきゅっとそれを締め上げる。しかし、潤滑液にまみれたそこが彼を押しとどめることはできずズルズルと侵入をゆるしてしまう。
「ああっ……あぐっ……!」
股間の周りの肉が引っ張られるような鈍痛が最も敏感な場所に降りかかると同時に、強い異物感が俺の脳裏を埋め尽くす。鋭い痛みを想像していただけに、予想外の刺激に戸惑うとともに苦悶の表情が隠せない。
「大丈夫……もう、少しだ……っ!」
入り口を開いた彼の手も今は俺の腰を掴み、逃がすまいと彼のもとへと引き寄せる。彼の剛直は静かに俺の膣内へと沈んでゆく。
「……よし、全部入ったぞ」
ものの数秒の出来事だったが、未知の経験や苦痛はそれを何倍にも引き伸ばしていた。
「そ、そうかい……」
体の中から肺腑を押しつぶされたような圧迫感の中、やや掠れたような声で俺は提督に答えたが、彼はそれを聞くや否や不安げな顔をした。
「大丈夫か?」
「あ、ああ……こんなもん、平気だ……っ」
戦闘で負傷した時のような鋭い痛みは殆どないが、体の穴を拡げられるという不慣れな刺激は苦しさの塊だ。強がって返事をするも、喋るたびに鈍痛が言葉を遮る。彼の剛直の拍動すら、俺の膣を無理やり拡げている。
「とても平気な顔ではなさそうだな……引き抜くか?」
そう言って提督はゆっくりと腰を少しだけ後ろに下げた。彼の亀頭の根元にある雁首が、まだ男を知ったばかりの膣道をガリガリと抉る。堪らず音を上げるように声をかける。
「っつうっ!!よ、よせ……」
「随分キツく締めつけるな……わかった」
苦痛に顔をゆがめる俺とは対照的に、陰茎への心地よい刺激に顔をゆがめる提督は物惜しげな顔もせずに抽送をすぐにやめた。お預けを食らった彼のそれは、その存在を示すように俺の中で脈打つ。
「ははっ……ごめんな。せっかく入ったのによ……」
「気にするな。むしろ初めてなのによく全部入ったもんだ。よく頑張ったよ、お前は」
掠れ掠れ詫びる俺の頭を、提督は宥め褒めるように撫でた。
「これくらい、当然だっ……っつぅ、まだ痛むな」
ふと頬が緩んだすきに鈍痛が割って入ってくる。若干和らいではきたが、まだ苦悶の表情が顔から消えない。
「無理するな。痛くなくなるまでこうしてじっとしているぞ」
「……ありがとうな」
肝心な時に決まらない。不意に、目頭が熱くなる。
「……提督」
「なんだ?」
「……こんな調子だけどさ……俺、こうやって……お前を受け入れて、一つになれたの、本当に嬉しいんだ……でも、こんな調子でグダグダになってよ……」
変に声が上ずる。眉間の奥から、ジワリと熱いものが湧き出してくる。ぽつぽつと、言葉を紡ぐ。
「さっきのプロポーズでも、俺……お前に……、……お前はちゃんと、言ってくれたのに……俺は……」
下瞼や鼻の横に伝った涙を、提督はそっと指ですくってこう答えた。
「その答えなら、もう聞いているぞ」
「えっ……」
「さっきの司令室の時も、お前は今みたいに泣きながら言っていたぞ。『ごめんよ、好きってちゃんと言えなくって』ってな」
「……ええっ!?」
予想外の話に涙が止まった。
「さすがにその時に突っ込みを入れるのは野暮だと思ったから言わなかったが、今回はちょっと堪えきれなかったな」
笑いながら話す彼の前で、戸惑いながら顔を紅潮させる。
「それこそ野暮ってもんだ……」
少し拗ねた風を装って、視線を少し反らした。全く格好のつかない返事だったらしいが、伝えられたならそれでもいいような気がする。彼なら、カッコ悪い俺でも文句は言わないのだろう。
「さて、これだけじっと待って泣きでもしたら痛みも引いただろう。調子はどうだ?」
「ん?ああ、すっかりへっちゃらだ」
彼の逸物を包む膣肉は少し慣れてきたのか痛みを訴えなくなっていた。むしろ刺激の少なさに退屈を覚えたのか、じれったくて仕方ない。じわじわと蜜を染み出させては、抽送を促していた。
「なぁ、そろそろ……」
「そろそろ、なんだ?」
意地悪く提督が笑う。物欲しげに腰をもぞもぞと動かし、再び彼におねだりをする。
「また言わせるのかよ……。この体勢じゃ俺からは動けないんだ、だから……な?」
「ははは、了解」
そっと、彼の腰が動き出した。雁首が肉襞を抉る感覚がいまは苦痛ではなく、甘く腰を砕いていく。自然と口が開き、媚びた声が喉の奥から流れてゆく。
「あっ……あぁ……あぁっ、提督……んぅっ」
今こうして俺の中を動いている物体は、本当にさっきの凶器と同じだったのか。疑ってしまうほどに、彼のストロークが気持ちいい。愛おしさのあまり、それを逃がさないように締め付けてしまう。
「あぁ……よく締まるな……いいぞ……」
ポツリと呟くと、彼は腰を動かすペースを上げた。剛直がより激しく進退し、亀頭が膣襞を掻きむしるたびに、甘い電流が背筋を通り抜け、脳髄と子宮を痺れさせてゆく。苦悶で歪んでいた顔が、あふれかえる快楽で再び歪んでいく。声にならずに逃げそびれた快感が、汗へ愛液へと姿を変え、提督のベッドに飛沫を作る。
「ああっ……あっ!いいっ……んあっ!」
彼の腰の動きが加速していく。意識に桃色のノイズがかかり、うめき声が抑えられない。硬くしこった乳首と陰核が再び主張をしはじめ、彼の体が掠る度に性感のシャワーが脳裏へと降りかかる。多幸感が体を包みだし、再び俺をどこかへ吹き飛ばそうとしていた。
「あっ、提督、ていとくぅっ!んあっ、あっ、あぁあっ!!」
暗闇でもはっきりと見えていた提督の姿に悦楽の靄がかかる。激しいピストン運動をする彼の陰茎の拍動が敏感に感じられて、脈打つごとに視界の片隅に一瞬閃光が浮かぶ。呼吸が速く激しくなって、息苦しさと心地よさが一緒に襲い掛かってくる。また、絶頂の大波が近づこうとしていた。
「ああっ!もう俺っ……!!……え……?」
提督の抽送が小さくなっていき、止まってしまった。俺を包もうとしていた大波は目の前で小さくなって消えてしまった。
「な、なんでいきなり止めるんだよ……」
欲望の渦の流転は止まらぬまま、満たされぬ切なさが全身を刺すように疼かせる。彼の逸物に速く動けと、膣壁が催促をするように締まり、媚を売るような目の目尻に涙を薄ら溜めて、俺は提督に声をかけた。
「悪いな、少し疲れてしまってね」
半分意地悪そうに、半分息苦しそうに提督は声を返した。俺の胎内に埋められた陰茎からは、彼の足が震えていることを伝えてきた。
「勘弁してくれよ……こんなんじゃ、俺……」
甘い快楽を取り上げられ、駄々をこねる子のような気分に苛まれ、わがままが口から零れる。あまりのじれったさに自分から動きたくなってしまい、もぞもぞと太腿を彼の脇腹に擦り合わせる。
「それなら、少しの間代わりに動いてくれるか?」
そう言うと提督は俺の背中を抱き上げて、横にごろりと寝返った。俺の体が上になる間、遠心力に任せて子宮が引き伸ばされたような感覚が、僅かな快感を生む。
「ふあっ!?」
「どうだ、これなら動けるだろ?」
抱き寄せてきた腕を解き、彼はそっと俺の両肩に手を置いて華奢な体を浮かせた。
「あ、ああ……動いてみる」
速くこの疼きを取り払いたくて、すっと上体を起こし、提督の股間の上に構える。少し押しを上下させると、彼の剛直が肉襞を擦り、心地よい電流が走りだした。
「んっ、ふぅ、あっ、ああっ、あんあっ!」
動けば動くほど勝手に快楽があふれていく。結合部は俺の愛液でべとべとに汚れ、互いの恥毛がぐっしょりと濡れる。お預けを食らったせいか、腰振りの歯止めが効かず、口から舌がだらしなく出てきそうになる。
「ははっ、気に入ってくれたようだね」
「ああっ!これっ、いいっ、んんっ、あっ……」
亀頭が蜜壺の最深部、子宮の入り口に当たった瞬間、脳髄の奥に快感の一撃が撃ち込まれた。
「あぁぁぁぁぁあっ!!!」
快楽の渦の中心がいよいよ彼のモノを見つけ出し、そこから距離を置くまいと鈴口へのキスを続けているようだった。桃色の嵐が意識を掻きみだす一方で、これ以上動くともう止まらないという予感すら覚えた。
「ん?どうした」
「あ……て……提督、今動いたら、俺……」
本能を抑える理性の堤防は決壊寸前だった。今ここで少しでも体を動かせば、提督の腰の上で力尽きるまでよがり狂い、暴れ喘ぎそうだ。
そんな暴走寸前の、俺の碧と金色の二眸に目を合わせた提督は、また悪巧みをした笑みを浮かべていた。
「動いたら、どうなる?」
彼のやや太い腰が、リフトのように軽々と俺を挙上した。再び始まろうとしている抽送の予感に秘肉がわななく。
「だ、駄目だ……まだ……、っあああっ!!」
提督は勢いをつけて俺の胎内を突き上げ、僅かに宙に浮かせると腰をベッドに沈めた。俺の体は重力に任せて落下し、そのまま子宮口と鈴口が接吻を交わした。
「ああっあっ、提督、ていとくぅっ!」
上体を彼の胸板の上に倒し、そのまま彼に抱きつく。理性の堤防が轟音を立てて砕け散り、本能の濁流に飲まれながら腰を上下に振る。聞きなれない水音が結合部から鳴り響き、耳までもが性感帯のように淫らな音に反応しては、快楽を増幅させる。
「ぐぅっ、な、なんだ?」
「あうっ、ていっ、とくっ、俺っ、腰が、止まらねぇ!!」
何かに耐えるような彼の声が聞こえる。顔をぐちゃぐちゃにしながら、一心不乱に腰を振っては逸物の拍動を貪り、その胸元で喘ぎ喚き、淫靡な蜜を撒き散らす。膣襞が彼の亀頭に何度も最奥を抉られ、膀胱やクリトリスの裏が、その雁首に引っ掻き回され、快感の高圧電流が背筋を灼きながら脳内へと走る。甘い磁気嵐に揉まれ、思考もままならず、なりふり構わず雌獅子のように振る舞うことしかできなかった。
「いいぞっ、そのまま動け……、くうっ!」
褥の上で暴れ狂う俺を宥めるどころか煽るように、彼は俺の尻を掴んでは少し乱暴に圧力を加えて愛撫する。円を描くように撫でまわしては、彼の剛直を咥えこむ淫肉を手助けするかのように左右から圧迫する。下半身の激しい快楽の奔流に呼応して、唇が、乳頭が、寂しさを露骨に訴える。
「くぁうっ、ひっ、んいっ!提督、キ、キスしてくれぇ……、んっ、んむぅっ!」
喘ぎ喘ぎ、嬌声の最中に接吻を乞うと、声を詰まらせながら提督が唇を覆った。すぐにお互いの口が開き、互いを求めあうように二本の下が激しく絡み合う。腰の下では二つの草原が、互いの淫らな唾液で濡れながらぶつかり合う。胎内で子宮口と亀頭が何度も衝突しては、俺を絶頂へと追い詰めようとしている。
「んむっ、ちゅっ、んんっ、んあっ、あっ、ああっ、うああっ!」
背中が反り始め、せっかく交わしていた接吻が解けてしまう。既に体のいたるところで爆発を起こしている快感が叫びに近い嬌声に変わって、先ほどまで抱擁を交わしていた舌と共に口から溢れ出す。目がチカチカしだし、ただひたすら高みに上りつつあった。
「あああっ、ていとくっ、また俺っ、もうっ、いっ、いくっ、ああうっ!!」
「ああっ、ならイけばいいっ、それっ!」
腰周りに回されていた提督の手がそこをがっしりと掴んでは、遮二無二に暴れる俺の腰を下へと幾度となく叩きつけられる。子宮がぐいっと持ち上げられる感覚がして、今までの絶頂で弾けてきた快感が何度も何度も襲い掛かってきた。
「やあっ!もうっ、だめっ、んぎぅっ、あううっ、あっ、ああ゛っ、ああ゛あ゛っ!!」
視界がぐるぐると回転し始め、方向感覚もなくなる。ただ快楽を享受してはけたたましく嬌声をあげ、愛液を飛び散らせるばかりだ。もう、絶頂が近いのか、そこを越えたのかすらわからない。背筋の湾曲が強くなっているような感覚が微かにするほかは、気持ちよさで脳内が埋め尽くされている。
「こっちも限界だっ、一緒に、な!?」
「あ゛あ゛っ!うんっ、いっしょ、いっしょおぉっ!!」
膣肉が痙攣し、子宮口が激しく打ちつけられ、彼の陰茎が一回り膨張する。射精の予感が二人には感じられた。
「これでっ、とどめだっ……ぐぅうっ!!」
力任せに提督が俺を下に押し下げた。怒張したその業物が子宮口を穿ち、純白のマグマがゼロ距離で放たれた。
「うあ゛あ゛あ゛ああああああああぁぁぁぁっ!!!!」
絶頂が訪れ、未曽有の快感が俺を引き裂いた。獣の咆哮の様な声をあげ、陰茎を強く締め上げ、大量の潮を噴射しているのを感じたところで、俺の意識はブツリと途切れた。
「……悪いな、また盛大にやってしまって」
シーツはおろか、提督のだらしない腹にまで粗相してしまったと聞かされ、俺はまた彼から視線を外した。どうやってかは知らないが、俺が気を失っている間に彼はシーツも敷布団も取り換えていた。部屋の電灯は灯されていて、俺は裸のまま毛布に包まれながら、寝間着姿の提督の足元に視線を落としていた。
「はっはっは、気にするな。あれだけ乱れてくれたなら男冥利に尽きるってもんだ」
快活な調子で笑い声をあげた提督は、そのままベッドに歩み寄り俺の近くに腰かけて問いかけた。
「さて、このまま寝てしまうか、それとももう一ラウンドと行くか。どうする?」
「……体力の限界だ」
腹の奥はまだくすぶっており、もう一度彼と体を重ねたいとは思っていたが、全身のだるさや眠気がそれに勝っていた。あと一度やれば気をやれば、そのまま眠ってしまって明日に響きそうだ。
「分かった。じゃあこのまま寝るか」
そう言って提督は電気を消し、毛布に潜り込んできた。取り換えている間に冷えていたであろうその体はどこか暖かく、それに惹かれてか俺は一糸まとわぬその肌を彼に寄せていた。
「……なぁ、提督」
ぽつり、と彼に問いかける。
「……いつもはあんな風に振る舞っているのに、肝心なところで尻込みして、結局お前に後始末をさせてしまうような、こんな俺を、お前は受け入れてくれるか……?」
「勿論だ。今までの借りを返せるのなら尚更大歓迎だ」
提督の顔がこちらを向く。
「木曾、お前は俺の前で、自分の振る舞いたいように振る舞えばいい。上官としてじゃなく、一人の男として、それを許そう」
彼の手が動き、俺の頭を撫でる。ふと擦れた乳首が、甘く痺れる。彼の言葉と甘い電流が、優しく背筋を走る。
「……少々高圧的な物言いで悪いな」
「……いや、悪くない。ゾクっとしたぜ」
互いに自然と笑みがこぼれた。そして、互いに唇を重ね合わせた。
ああ、これは明日動けなくなるなと思いながら、再び俺は彼と体を重ねた。
さて初めての作品でしたがいかがでしたか?
このような長めの作品は久しぶりでしたので文章の表現にまだ甘さがあるかもしれません。
今後も精進しつつ、こちらに顔を出させて頂きますゆえ……
何卒、よろしくお願いします。