午後のお茶の頃合い。ランドリューがまだ日の高いうちに屋敷に戻るのは久しぶりのことだった。
「おかえりなさいませ」
執事のルーグが外套と杖を受け取り恭しく礼をする。しかしランドリューの視線はその頭の上をすり抜けていく。何かを探すように見渡して。
「クローディアは、また街に……?」
「は。奥様でしたら、いまは庭の方で……」
「あぁ、そうか。わかった」
いつもならランドリューが戻ったとなればクローディアはどこからでも出迎えに駆け付けてきていたものだ。しかし庭からとなればそうすぐには難しいだろう。今頃使用人がランドリューの帰りを伝えに走っているところかもしれない。
「茶を」
「かしこまりました」
ランドリューはしばし広間のソファで待つことにした。
運ばれてきた茶をゆっくりと飲んで、それを飲み終えても、しかしクローディアは姿を見せることがなかった。
ランドリューの眉根が寄っていく。
苛立ちからか、組んだ足の上でトントントンと指がリズムを刻む。
(なぜだ? 誰もクローディアに私の帰宅を伝えていないのか?)
これ以上待つのも無為に思えて、ランドリューは自ら庭に出て行った。
広い庭の薬草園の中で、クローディアは薬草摘みをしているところだった。
「クローディア……!」
ランドリューが少しばかり早足に歩み寄りながら名を呼ぶと、クローディアが弾かれたようにびくりと肩を跳ねさせ驚いたようにランドリューを見る。
「まぁ、貴方。どうなさいましたの?」
「ど、どうもこうも。君が、いつまでも来ないから」
「薬草を摘み終えたら、ご挨拶に伺う予定でしたのよ」
そう言って微笑むクローディアの態度は、ランドリューから見ても随分とよそよそしいものだった。
いつも煌めいた星空のようだった黒い瞳は、ランドリューをちらと一瞥するだけで見つめ合うこともない。
白い頬を薔薇色に染めていた、あどけなく可憐なあの姿をいまは見せようとしない。
ランドリューは狼狽えた。
言葉を失くし、ただ立ち尽くす。
「奥様、このくらいで良いでしょうか」
「シオン、ちょうどいい量ね、ありがとう」
クローディアが微笑みかける先は、濃い茶色の癖毛の少年だった。見るからに使用人である少年に、やけに気安いその態度にランドリューは眉を顰める。
「そろそろ休憩にしてお茶にしましょうか、シオン」
「は、はい。ではすぐに用意致します」
そう言って細々と働く少年を見ながら、ランドリューの顔はどんどん険しくなっていく。
「クローディア! なぜそのような下男の小僧に茶の支度などさせるのだ!? 侍女はどうした。伯夫人たる者が男の使用人を小姓のように連れ回すなど慎みのない真似を……! おまえもおまえだ、弁えぬか」
ランドリューの厳めしく鋭い眼差しに射すくめられ、シオンはビクリと震え立ち尽くした。
「も、もうしわけ……」
「貴方! そんな風に頭ごなしにシオンに怒らないで。私がこの子に無理を言って着いてきてもらったの。薬草に詳しいのよシオンは。お茶だってとても上手だわ。……私が誰に手伝ってもらおうと私の自由でしょう。……シオン、あっちに行きましょ」
クローディアが憤然と食ってかかるような勢いでランドリューに口答えし、シオンの手を取って薬草園の向こうに歩き去っていく。
ランドリューは、愕然として言葉を失い、その場にまた立ち尽くすしかできなかった。
(クローディアが……私に……口答えした……)
これまでクローディアはずっとランドリューに従順だった。楚々としておとなしく淑やかであったのだ。
ふらふらと失意に落ち込み、ランドリューは自室に引き返すしかできなかった。
――
緑むせ返る薬草園の片隅で、クローディアはシオンに微笑む。
「ここに、ね、ボタンがあるわ。これを外してちょうだい」
長い黒髪を持ち上げ、うなじを晒して言う。
シオンはソバカスの浮くまだあどけない顔を紅潮させ、ごくりと喉を鳴らした。
「お、奥様……ですが……こ、こんなこと……」
「いいのよ、シオン。さぁ」
クローディアに促され、シオンはかすかに震える指先を伸ばしてブラウスのボタンに手を掛ける。
緊張した指先はボタンを外すのに手間取る。
「ん、ふふ……くすぐったい」
クローディアの肩が震え、笑い含みの声が漏れる。
ようやく外されたボタンに、肩からするりとブラウスが脱げていった。
クローディアはシオンに向き直る。張りのある豊満な胸を前に、シオンはごくりと生唾を飲み込んだ。
「好きにしていいのよ、シオン……」
「あ、ぁ、……お、奥様っ」
シオンはその柔らかな乳房に手を伸ばし、そっと触れた。ふに、と指先が埋まり、乳房が手の中で形を変えていく。
「あっ……ん……」
ぴくりと震え、甘い声を漏らすクローディアに、シオンはとうとう堪え切れぬ衝動のままに押し倒して。
「お、奥様……ぼ、僕っ……」
「ん、……いいの、よ。……シオン」
クローディアは微笑みながらシオンの手を取り、ブラウスのホックを外させる。ぼろりとこぼれ落ちる大きな胸に、シオンがまた唾を飲み込んだ。
柔らかな胸の谷間に顔を埋め、やわやわと手で揉みしだき、胸の先のツンと立ち上がった果実にむしゃぶりついて飴を舐めるように舌で転がし吸い付き啜る。若さゆえの性急さで行われるそれに、クローディアは、
「あっ……んぅ……! ぁっ」
喉を仰け反らせ、切なげな官能の声を漏らす。
「んぅっ、奥様っ……奥様っ……」
ちぅちぅと貪るように胸を執拗に吸い付きながら、シオンが興奮したように上擦った声を出し、昂り硬くなったモノをグリグリとクローディアの体に擦り付けた。
「は、ぁっ……ぁあ、ん……シオン、シオン……」
クローディアが身を起こし、優しい声でその名を呼びながら張り詰めるズボンのベルトを緩め、昂りを解放してやる。
ぼろんと勢いよく反り返るモノからは、既に透明な先走りが溢れ、テラテラと光っていた。
まだ少年の、昂り。
「シオン、可愛いわね。……私が、全部教えてあげるわ」
「あ、お、奥様……!」
クローディアは大きな胸の谷間にまだ少年のモノを挟み込み、やわやわと上下に扱く。
「アッ……ぁあ!」
それだけでシオンは早くも達しそうになり、悲鳴にも似た声を漏らした。
ちゅう、とクローディアの唇が胸の谷間から覗く先端に口付ける。ジワジワと先走りに濡れてひくつく先端にそのまま吸い付き、胸で扱くと共にぢゅっぢゅっと舌で刺激した。
「アァアッッ……!」
シオンの体がビクビクと震え、腰が反り、脈打つ昂りからドクドクと溢れ出すものがクローディアの口の中に流れ込んだ。
「ん……っ」
その苦味にクローディアの眉が微かに寄る。
「は、ぁ、ぁ、お、奥様……奥様……ぼ、僕……ご、ごめんなさい……すみませんっ」
精を吐き出し冷静になったシオンが、焦り慌てたように両手をついて跪く。そのふわふわの癖毛を優しく撫でながら、クローディアはその耳元に囁いた。
「いいのよ。ね、次は……こっちも、試してみる?」
跪くシオンの目の前で、スカートをたくし上げ、クローディアが自らの手で割り開くその秘所は。
トロトロと溢れ出る蜜に濡れ、少年の欲を煽る。
「あ……」
シオンはもう何度目かもわからない唾を飲み込み、吐き出した直後だというのにすでに硬く天を向くそれに突き動かされて。
「奥様……!」
薬草園の片隅で、淫靡な水音と嬌声が緑の中に染み込んでいった……。
――
「ウッ……! ば、莫迦なっ、私は、こんなことをしている場合ではっ」
ガリガリと一心不乱にペンを走らせていたランドリューは、思わず我に返って頭を抱える。
しかしその股間では張り詰めたモノが主張してもいた。
「嗚呼、ぅう……っ」
勃つべき時には勃たぬのに、と思いながら、ランドリューは自らの手で己を慰めるのだった。
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