全ての女性に幸せを。それが誓恵病院のスローガンだ。

冷酷な弁護士の夫からのモラルハラスメントに悩む都内在住の31歳の妻、麻里子。夫に強引な子作りを強要される日々を脱するため、麻里子は密かに熊本市内の病院の「内密妊娠外来」を訪れる。

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内密妊娠 今日だけはあなたの奥さん

 日中の仕事を終えた弁護士事務所の片隅で書類を整理している私に、夫は背後から耳元に囁(ささや)きかけた。

 

「麻里子(まりこ)。……今夜、付き合え」

「……何にですか?」

「そんなことも言わないと分からないのか?」

「……いえ」

 

 それでいい、と夫は言って、私に鍵を掛けるのを任せてさっさと事務所を後にした。

 

 父親と共に弁護士事務所を経営する彼はいついかなる時でも残業をせずに帰るのがポリシーだけど、少し前まで家に帰ってくるのはいつも21時過ぎだった。

 

 夫のカバンにしばしば性風俗店の名刺が入っているのを見て安堵していた日々は、ここ最近になって終わりを告げた。

 

 

 帰宅すると夫は既に夕食を済ませて入浴していて、私はマンションのリビングのテーブルに放置されたインスタントラーメンの食器を片付けた。

 

 シャワーだけで身体を洗って出てきたらしい夫は洗面所の流し台で歯を磨いていて、今朝使った食器も入れて食洗機を回し始めてから着替えを持っていこうと廊下に出た私はちょうど歯磨きを終えた夫と鉢合わせた。

 

「あなた、晩ご飯はあれでいいの?」

「あれとは何だ。今日は忙しくなるからさっさと食事を済ませて何が悪い」

「……ごめんなさい」

「さっさと風呂に入って寝室に来い。悪いがお前の夕食は後にしてもらう」

「……分かりました」

 

 夫はそう言うと私の右肩に右肩をぶつけながらさっさと寝室へと歩いていって、私は涙をこらえながら彼を待たせないようシャワーだけで入浴を済ませて歯を磨いた。

 

 

 浴室から出てバスローブを身にまとい、長い髪を簡単にまとめて寝室に入ると、そこでは夫がうたた寝をしながらベッドに寝転んでいた。

 

 普段から寝起きのいい夫は私がドアを開けた音を聞いてベッドから起き上がり、床に立ち上がると私に歩み寄って両肩を正面からつかんだ。

 

 31歳になって少し肉が落ちにくくなった私の身体は身長180cm以上ある夫の大きな両手で軽々と押され、私はそのまま突き飛ばすようにしてベッドに仰向けに押し倒された。

 

 バスローブは既にはだけていて、少し前にカップサイズが1つ上がった乳房の谷間が白い衣の間からこぼれ落ちる。

 

 この部屋に入ってから全裸だったらしい夫は私の身体の上に四つん這いになって、バスローブを引きちぎるかのようにして乱暴に脱がせた。

 

 何も抵抗できない私に夫は嗜虐(しぎゃく)的な笑みを浮かべると豊かな乳房に両手を乱暴に押し当てて、まるで子供が玩具を弄ぶかのように双球を揉みしだき始める。

 

 

「この歳になっても乳だけは立派だな」

「……ありがとうございます」

「誰も褒めていない。こんなものさえなければ、俺の人生はあそこで挫折(ざせつ)せずに済んだんだ」

 

 何を勝手に。

 

 そう思う一方で、夫には夫の事情があったことは私にも分かっていた。

 

 

「俺はあの時人生を間違えた。だからお前みたいな下賤(げせん)な女と今こうしている」

「下賤な女と子供を作っていいんですか?」

「うるさい、口答えするな。俺は女に暴力は振るわない主義だ」

 

 夫はそう言いながらも私の両側の乳頭を両手の指先でつねり上げて、私は快感よりもずっと大きな苦痛を感じて顔を歪めた。

 

 

「お前は本来ならば俺の性のはけ口ですらない。何が悲しくて31にもなった事務員の女を抱かないといけない。これも日本の婚姻制度のせいだ」

「……」

「俺に贖罪(しょくざい)をしろ。未来ある大学生を誘惑して身体で弁護士の妻の地位を得たことを恥じろ。そうでなければ黙って愛液を垂れ流していろ」

 

 無表情で寝転んでいる私の眼前に雄々しい怒張を見せ付けながら、夫は憎悪に満ちた表情で私にそう告げた。

 

 今から起こることは目覚めたまま見た悪夢だと思うことにして、意識をあえて遠のけた私はかつて過ごした日々を思い返した。

 

 

 私が夫である彰(あきら)に出会ったきっかけは、大学時代のテニスのサークル活動だった。

 

 慶應大学法学部のテニスサークルに所属していた夫は日本女子大学家政学部に在籍する1学年下の学生だった私とインカレサークルの交流で知り合って、飲み会で彼とお互いの友人同士も含めて盛り上がった私はその日、彼に徒歩で自宅まで送ってもらうことになった。

 

 その時20歳になったばかりでまだアルコールに慣れていなかった私は足取りもおぼつかない状況で、そんな私の肩を抱きながら彰はちょっとそこで休んでいこうかと言った。

 

 彼の目線の先には路地裏にひっそりと建ったラブホテルがあって、泥酔していてもその言葉が意味することは私にも分かっていた。

 

 行為の最中に酔いが回ってきた私にはその最中の記憶がなくて、彰がちゃんと避妊をしていたのかどうかは今となっては彼にしか分からない。

 

 それからしばらくして私は突然の嘔気をきっかけに妊娠検査薬を使って、人生で初めての相手だった彼の子供を身ごもったことを悟った。

 

 そして彰に再び連絡を取ろうと私がサークルの先輩に相談した時、私は彰が父親の親友の娘である大学の同級生と婚約していることを知った。

 

 

 本当に俺の子なのかと驚いて言った彰に私はそんなに疑うなら羊水検査でも何でも協力すると言って、窮地に立たされた彰は信頼している弁護士の父親に全てを打ち明けた。

 

 あの彰の父親とは思えないほど温和な人格の弁護士は私の実家に菓子折りを持参して謝罪に訪れて、麻里子さんに中絶の意思さえなければ私は父親として彰に責任を取らせますと言った。

 

 私は必死で頭を下げるお父さんと気まずそうな表情をしている彰を見て、お腹の子は私が彰さんと一緒に幸せにしてみせますと答えた。

 

 

 あの時に中絶を選んでおけば、誰も傷つかずに済んだのかも知れない。

 

 

 私のお腹の中にいた男の子は妊娠後期の定期健診で心拍の停止を指摘されて、そのまま大学病院に救急搬送された私は産婦人科の医師から子宮内胎児死亡という診断を下された。

 

 手術室で人工的に娩出された赤ちゃんは既に亡くなってから何日も経っていて、病院から提案された病理解剖の結果、私の子供は原因不明の臍帯狭窄のため胎内で亡くなったということだけが分かった。

 

 ショックで立ち直れない私を彰のお父さんは私の両親と一緒になって必死で励ましてくれて、お腹の子が亡くなった以上は離婚したいと私の前で切り出した自分の息子に激昂して平手打ちを食らわせた。

 

 そんな舅(しゅうと)への申し訳なさもあって私は彰との婚姻生活を継続することを選んだけど、それからの私を待ち受けていたのは夫から冷酷な扱いを受け続ける日々だった。

 

 

 もう一度彰の子供を妊娠したいと私がいくら望んでも、彰は私との性交渉を拒否し続けた。

 

 彰自身はその歪んだ性格から元々それほど子供が欲しいとは思っていなくて、弁護士事務所は成績優秀な姉の息子に継がせると言い放ってお前とは二度と寝ないと宣言した。

 

 私相手に発散できない性欲を彰は性風俗店で好きなように発散していて、お父さんには麻里子とは2人目を中々授からないからもう子作りは諦めたと嘘をついていた。

 

 

 そんな夫が豹変したのは翌年に中学受験を控えていた甥が数か月前にバイクにはねられて死亡したからで、貴重な後継ぎを失った彰は今更になって私に子作りを強要し始めた。

 

 妊娠周期を申告させられて何度も強引に身体を組み伏せられ、私は彰の精液を体内に受け入れ続けた。

 

 

 この地獄の日々は、私がいずれ2人目の子供を授かるまで続く。

 

 そうなれば私は再び夫に求められることはなくなって、あの夫の子を弁護士事務所の後継者として育てる日々が始まる。

 

 その日が来るのは……

 

 

「……嫌っ!!」

「はあっ?」

 

 いつの間にか私の両側の大腿を両手で押し上げ、膣内に怒張を突き立てようとしていた夫に私は叫んだ。

 

 必死で両脚を振って彰を離れさせ、ベッドの上で毛布に身体をくるむと私は荒く呼吸しながら夫に告げた。

 

 

「……ごめんなさい、私今日は体調が悪いんです。本当に今日だけは許してください」

「仕方ないな、俺だって別に好きでお前を抱きたい訳ではない。次の排卵周期でいい」

 

 夫は舌打ちをしながらそう言うと、全裸のまま寝室を出ていった。

 

 それから夫は再びスーツを着て外出して、その日は翌朝まで帰ってこなかった。きっと私に放出できなかった精液を性風俗店で発散していたのだろう。

 

 

 もう限界だった。私は彰の、あんな夫の性奴隷になるために生きてきた訳ではない。

 

 休日の朝、彰がまだ寝ている間に彼のスーツにアイロンをかけながら、私は少し前にインターネットで知った電話番号に連絡を取ることにした。

 

 

 

 その2週間後、私は高校時代の友人と温泉旅館に行くと嘘をついてトランクに荷物をまとめて家を出た。

 

 アリバイ作りのために事前に友人から送ってもらったメッセージをスマートフォンで見せても彰は何の興味もない様子で新聞を読んでいて、もはや私の浮気を疑うほどの愛情さえも残っていないということはよく分かった。

 

 

 飛行機に乗った私が降り立ったのは熊本空港で、1泊するためだけの安いビジネスホテルにトランクを預けた私は最低限の荷物だけを持ってタクシーに乗り込んだ。

 

 こんな時期に女性一人で旅行とは珍しいですねと話す気さくな運転手さんに笑顔で答えながら、私は友人のお見舞いに行きたいので熊本市内の病院まで走ってくださいと頼んだ。

 

 

 「誓恵病院 SEIKEI HOSPITAL」と縦書きで書かれた白い看板の前でタクシーを降りて、私は事前に案内を受けていた時間外出入口へと歩いた。

 

 インターホンを鳴らしてフルネームと生年月日を伝えると建物の中から若い女性の看護師さんが出てきて、私は他に誰の姿もない薄暗い病院の通路を看護師さんに先導されて歩いた。

 

 

 小さめのテーブルを挟んで椅子が2つだけ置かれた簡易的な診察室のような部屋に通され、私は看護師さんから今のうちに読んでおいてくださいと書類を手渡された。

 

 そこには事前に都内の産婦人科診療所で受けた血液検査や超音波検査の結果が記されていて、これまで夫以外の男性を知らない私は性感染症には罹患していなかった。

 

 夫は性風俗店では一応避妊をしているのだろうかと思いながら超音波検査の画像に目を通していると、診察室のスライドドアを誰かが開ける音がした。

 

 

「失礼します……」

「あっ……先生ですか?」

「ええ、誓恵(せいけい)病院産婦人科勤務医の鷹村(たかむら)と申します。今日はよろしくお願いします……」

 

 鷹村と名乗ったその男性は古びてしわの寄った白衣を無造作に身にまとっていて、長めの黒髪はあまり整えられていないのか所々に寝癖が立っていた。

 

 黒縁の眼鏡の向こうに見える顔は30代前半ぐらいに見えて、口元からのぞく綺麗な白い歯に加えて髭もちゃんと剃られていて清潔感は最低限保たれていたけど、私は想像していたイメージからはかけ離れた「担当医」の姿に緊張を隠せないでいた。

 

 

「こちらこそ、その……今日はよろしくお願いいたします……」

「あまり緊張なさらなくて大丈夫ですよ、今日1日で終わることですので。どうぞリラックスしてお掛けください」

「ありがとうございます」

 

 鷹村先生は気難しそうに見えて話し始めると明るい性格のようで、緊張して席から立っていた私は先生の言葉に少し安心して再び椅子に腰掛けた。

 

 

「それでは処置室に移る前に、術前のインフォームド・コンセントを行わせて頂きます。ところで、今日は何とお呼びすればよろしいでしょうか?」

「えっ? あっ、じゃあ、麻里子さん……でお願いします」

「分かりました。では私のことも今日1日は鷹村さんとお呼びください。先生などと呼ばなくていいですからね」

「そうなんですね、ではそうさせて頂きます」

 

 野暮ったくて不器用そうに見えるルックスでも、彼が一人の男性として私を少しでも安心させようとしていることはその親切な態度と笑顔からよく分かった。

 

 

「まずは検査結果の説明に移ります。とはいっても特筆するようなことはなくて、麻里子さんは血液検査で調べられる限りどの性病にも罹患されておらず抗リン脂質抗体など不妊症の原因となる検査項目もいずれも陰性でした。これはともかく喜ばしいことです」

「ええ、よかったです」

「それでは時間ももったいないので、早速施術内容のインフォームド・コンセントに入ります。まず、本日の施術は一人の自由な個人の女性としての麻里子さんの同意のみに基づいて行われます。麻里子さんはあくまでご自身の意思に基づいて当院での施術を希望されたということでよろしいですね。また、施術はどのようなタイミングでも担当医および当院に対して中止もしくは中断を要求することができ、その場合でも費用は変更されませんがそれ以外に麻里子さんに不利益が生じることは一切ないことを誓約いたします。そして……」

 

 鷹村さんは聞き取りやすい話し方で私に施術の内容について事前の説明を行って、1つ1つの項目ごとに私から直筆の署名と捺印を受け取っていった。

 

 この病院は全国の女性に今回の「施術」も含めた生殖医療に特化したサービスを提供し続けてきただけあってか、鷹村さんは手際よく私にインフォームド・コンセントを行っていく。

 

 

「お疲れ様でした。これで施術に必要なインフォームド・コンセントは全て完了となりますが、施術の前に何かご質問されたいことなどはございませんか?」

「ええと……あの、これは失礼な質問かも知れないんですけど……」

「いえいえ、何でもどうぞ」

「ありがとうございます。その……当院の医師の施術は成功率100%と会員用のページで拝見したんですけど、あれは本当なんですか? 医療に100%ってあるのかなって……」

 

 事前に専用のIDとパスワードを教えられてログインした誓恵病院の「会員用ページ」に記されていた内容について恐る恐る質問した私に、鷹村さんは頷くと口を開いた。

 

 

「ええ、麻里子さんのご心配はもっともで、医療行為に100%ということは通常ございません。ただしこれまでの所という条件を付ければ100%という表現は当然許容され、少なくとも私が施術を行った女性に関してはこれまで成功率は100%です。とはいっても他の男性との関係によるものが含まれないかは保証できませんが」

「そ、そうなんですね。全然鷹村先生……いえ鷹村さんの腕を疑った訳じゃないんです。純粋に興味があっただけで」

「僕の腕に興味ですか? そんなことを言ってくださったのは麻里子さんが初めてです。僕もちょっと嬉しいです」

 

 お互いのツボにはまったのかそれから2人でテーブルを挟んで向かい合ったままひとしきり笑って、私はいよいよ「処置室」に移ることになった。

 

 

 鷹村さんが案内した部屋には高級そうな白い布で覆われた丸いベッドが置かれていて、その両側には扉に「男性用」「女性用」と書かれた浴室があった。

 

 先に失礼しますと言って男性用の浴室の脱衣所に入っていった鷹村さんに、私は少しだけ寂しさを覚えながら女性用の浴室に入った。

 

 脱衣所には加湿器と暖房がよく効いていて、浴槽には既にお湯が張られていた。

 

 備え付けの高級そうなシャンプーとリンスとボディソープで丁寧に全身を洗って脱衣所の洗面台で歯を磨くと、私はバスタオル1枚だけで身体を包んで緊張しながら処置室内に戻った。

 

 

 そこで待っていたのは先ほどまでとは打って変わって凛々しく見える全裸の鷹村さんで、ボサボサの長い黒髪は櫛で丁寧に整えられていて白衣の下に隠れていた身体は筋骨隆々だった。

 

 黒縁の眼鏡は外されて裸眼になっていて、ベッドに横になっている彼の姿は先ほどまでの鷹村さんとは別人のように見えた。

 

 そんな雄々しい男性の魅力に溢れたルックスで、鷹村さんは少し緊張した面持ちをして私を毛布の中に招き寄せていた。

 

 

 心が脈打つのを感じながら、私は31歳の身体を包んでいたバスタオルを処置室の床に落とした。

 

 そして胸元を右手で少し隠しながら丸いベッドに歩み寄って、鷹村さんが広げていた毛布の中に静かに潜り込んだ。

 

 鷹村さんの男性の象徴はこれから始まる出来事を予見してか既に屹立(きつりつ)していて、夫のものよりもさらに大きいそれの先端はベッドに入った私の太腿に軽く触れていた。

 

 

「それではこれより、誓恵病院産婦人科の『内密妊娠』外来の施術を始めます。最後に改めて確認ですが、麻里子さんは本日の施術に同意されますか?」

「……もちろんです」

「ありがとうございます。それではよろしくお願いします。痛かったり苦しかったりしたら本当にいつでも言ってくださいね」

「はい。……今日だけは、あなたの奥さんにしてください」

 

 鷹村さんは私の返答を聞くとゆっくりと頷き、毛布の中で私の少し肉の付いた上半身を優しく抱きしめた。

 

 それからお互いの顔の側面を触れ合わせたまま優しく抱き合って、私の身体を傷つけないようにぎゅっと抱きしめた鷹村さんのたくましい身体を私も全力で抱き寄せた。

 

 

「キスしてもいいですか?」

「ええ、よろしくお願いします」

 

 事前の希望調査で確認されているのに鷹村さんは改めて私にそう尋ねて、私が少し緊張しながら答えると私の唇をゆっくりと優しく奪った。

 

 歯磨き粉のミントの香りが残る鷹村さんの唇からは優しい味がして、私が自分から鷹村さんの唇を舌でつつくと鷹村さんは私の背中を右手で優しく撫でながら私の口内にゆっくりと舌を入れてくれた。

 

 嬉しさで胸が一杯になった私はそれからは気が済むまで鷹村さんとディープキスを交わして、私と舌を舐め合わせている間に鷹村さんの男性の象徴はさらに大きく膨らんでいった。

 

 

 少し呼吸が苦しくなってディープキスを終えると、鷹村さんは私の背中に右腕を回して私を優しくベッドに腰掛けさせた。

 

 そのまま鷹村さんは私の背後に回り込んで、柔らかいお尻に力強く押し当たる鷹村さんの怒張に私は自分の秘所から愛液がにじんでくるのを感じた。

 

 

「それでは麻里子さん……その、お胸を触らせてもらってもいいでしょうか? あの、すっごく大きくて綺麗だなって……」

「あらあら、鷹村さんったらお世辞が上手ですね。私こそ鷹村さんになら好き放題されてみたいです」

「それは光栄です。じゃあ今から優しく触るので、痛かったり気持ち悪かったりしたらすぐ言ってくださいね。本当に素敵だ……」

 

 鷹村さんはそう言うと私の豊かな乳房を両手で優しくたぷたぷと持ち上げて、先端にある乳頭を逞しい指の間で優しくこすった。

 

 時折先端を指で押したり乳頭の周囲を人差し指で円を描くようにくすぐったりしながら鷹村さんは私の乳房を本当に優しく揉みほぐして、その度に私の喉からは切ない声が漏れていた。

 

 

「あっ……んんっ……」

「麻里子さん、綺麗だ……僕は本当に幸せです。首を舐めてもいいですか?」

「えっ、ええ……どうぞ……ひゃんっ!」

「れろれろれろ、麻里子さんの肌の味美味しいです。軽くかじっても?」

「お願いします……あああっ!!」

 

 鷹村さんは背後から私の豊かな乳房を堪能しながらごつごつとした舌で私の首筋を舐め回し、その興奮でとろけそうになる私の首を甘咬みしてくれた。

 

 こんな優しいセックスの快感を味わったのは人生で初めてで、私は今のこの幸せな瞬間がずっと続けばいいのにと思った。

 

 

 私の首筋を夢中になって舐めながら乳房をたぷたぷと持ち上げては軽く揉みほぐす鷹村さんに私の秘所は既に愛液でまみれていて、鷹村さんの怒張の先端からも粘液が溢れて私のお尻に塗りつけられていた。

 

 このままでは快感で死んでしまいそうと思って、私は鷹村さんにおねだりをすることにした。

 

 

「鷹村さん大好き……その、嫌でなかったら……私のここを指で……」

「分かりました。こちらこそ麻里子さんのいちばん大事な所を触らせて頂きたいです。指を中に挿れてもいいですか?」

「ぜひ……お願いします……」

 

 私が喘ぎ声を上げながら答えると、鷹村さんは背後から私の秘所に筋肉のよく発達した指を伸ばした。

 

 

 鷹村さんは人差し指の先端で私の秘所を優しく刺激し、クリトリスをつつくように円を描いて軽く押した。

 

 そして鷹村さんの中指の先端が腟内に挿し込まれ、私はその瞬間に快感で窒息しそうになってしまった。

 

 

「っ……! 鷹村さん、それすっごく気持ちいいです……もっとしてぇ……」

「僕もそろそろ我慢の限界かもです。でも麻里子さんにもっと気持ちよくなってほしいです。麻里子さん、愛してる……」

 

 それから私は天国のような気分を味わって、鷹村さんの優しい指使いに何度も絶頂に達しそうになってしまった。

 

 鷹村さんは右手で私の秘所を刺激しながら再び私の首筋を舌で舐め上げ、左手で私の両側の乳房を交互に揺さぶってぷるぷると震えさせた。

 

 でも本当に絶頂を感じるのは鷹村さんに挿入されてからにしたいと必死で快感をこらえて、私は鷹村さんに全身を委ねることにした。

 

 

「鷹村さん、鷹村さん……私もこれ以上は無理です。鷹村さんのでっかいので、私をめちゃくちゃにしてください……」

「分かりました。でも痛かったり疲れたりしたらすぐに言ってくださいね。……前からがいいですか? それとも後ろから?」

「前からがいいです。鷹村さんと正面から向かい合って、鷹村さんの赤ちゃんを妊娠したいです……」

「ありがとうございます。じゃあ、ベッドに寝転んでくださいね……」

 

 鷹村さんはそう言うと私の背中に腕を回しながら私を優しくベッドに仰向けに寝かせて、私は愛液がとろとろと溢れ出す秘所に恥ずかしさを感じながら鷹村さんに全身をさらけ出した。

 

 鷹村さんの怒張の先端も既に粘液にまみれていて、先端から分泌された粘液は糸を引いて私の太腿に垂れ下がってくるほどだった。

 

 

「それでは今から挿れますけど……本当にいいですね? ここからは中断が難しくなりますけど……」

「ええ、ええ……。鷹村さん、早く私を孕ませてぇ……」

「承知いたしました。では……あ、あ、あああっ……麻里子さんっ……」

 

 私が最後の同意の意思を伝えると鷹村さんは私の膣口に怒張の先端を優しくあてがい、そのまま巨大なそれをゆっくりと私の体内に挿し込んだ。

 

 夫のものよりもずっと大きいそれが腟壁を押し拡げていく間に私の全身を快楽の雷が突き抜けて、私は既に声にならない喘ぎ声を上げた。

 

 

「っ……! あっ……! ああああっ……!!」

「大丈夫ですか麻里子さん、痛くないですか。僕は麻里子さんの腟内(なか)が気持ちよすぎて……」

「痛くないです、すっごく気持ちいいです……! んああっ……! 鷹村さん、ぱんぱんしながらおっぱい触ってもらえませんか……?」

「え、ええ……柔らかい……麻里子さんのおっぱいすっごく柔らかいよ……まるで女神様みたいだ……」

「そんなこと言ってもらえるなんて……あ、あ、あああああっ! 私もう死んじゃいそう……」

 

 鷹村さんは私のおねだりを聞き入れて私の膣内に腰を打ち付けながら私の乳房を両手で激しく揉みしだき、全身を突き抜ける快感に私は気を失いそうになってしまう。

 

 激しいピストン運動でぷるんぷるんと揺れる私の乳房に鷹村さんは興奮すると私の腟内に挿入したまま勢いよく乳首に吸い付き、ごつごつとした舌で優しく乳頭を舐め回す。

 

 腟内から流れ込んでくる激しい挿入の快楽と優しく乳首を舐め回される快感のギャップで私の脳はとろけそうになっていて、辛うじて声が出る間に私は鷹村さんに最後のおねだりをした。

 

 

「もうだめ、もう限界です……鷹村さん、私の腟内(なか)にいっぱい出して、私を授精させてくださいっ……」

「ありがとうございます。麻里子さん、僕の子供を孕んでくださいね。ラストスパートかけますね……」

「はいっ! あっ、はっ、ああんっ!! 鷹村さん好き、鷹村さん大好きいっ!!」

「僕も愛してますっ!! 麻里子さんっ!!」

 

 鷹村さんがそう叫んだ瞬間に、私は両脚で鷹村さんの腰を強く抱きしめた。

 

 その瞬間に鷹村さんは私の腰に最大の力で怒張を打ち付けて、その瞬間に放出された鷹村さんの分身は私の身体の一番奥へとどくどくと流れ込んでいった。

 

 

 鷹村さんは私の腟内に少しずつしぼんでいくそれを優しくこすりつけ、白濁した液体を少しでもその中に残そうとしているようだった。

 

 それからはピロートークをする前に再び激しく鷹村さんと抱き合って、お互いの身体を舐め合ったり鷹村さんの大きめの頭を乳房の間に挟んであげたりした。

 

 赤ちゃんのように私の乳首に吸い付いてくる鷹村さんの姿に私はずっと忘れていた母性を思い出して、鷹村さんと愛し合いながら頭の中は優しさでいっぱいになっていた。

 

 その後は女性用の浴室に2人で入って湯船に浸かりながら鷹村さんとお互いの身体を洗い合い、お互い身体を清めてからもう1回だけ鷹村さんと身体を重ねた。

 

 先ほど大量に射精したばかりとは思えないほどの量の分身を膣内にどくどくと注がれながら、私は今日きっと鷹村さんの子供をお腹に宿すのだろうと思った。

 

 

「鷹村さん……今日の私、これまでの人生で一番幸せでした。このまま死んじゃってもいいぐらい……」

「そんなこと言わないでください。僕は麻里子さんのような女性を幸せにするためにこの内密妊娠外来を担当しているんですから」

「そうですよね……。鷹村さん、私あなたのことを本当に好きになっちゃったかも。鷹村さんの子供を妊娠できたら、その……」

「お気持ちは分かります。僕だって……いえ、今はその話はよしましょう。……麻里子さん、この指輪をあなたにプレゼントします」

「指輪?」

 

 ピロートークの最中に、鷹村さんはベッドの近くの棚に置かれていた指輪を私に差し出した。

 

 指輪にはよく見るとネックレスのように金属の細い紐が通されていて、鷹村さんはその紐を右手で持つと私に指輪を見つめるように言った。

 

 

「鷹村さん……嬉しいけどちょっと眠いです……」

「いいんですよ麻里子さん。僕も麻里子さんのことはずっと忘れませんから……」

 

 そのまま私の意識は夢の彼方に遠ざかっていって、私は幸せな気持ちで頭がいっぱいになったまま鷹村さんの胸板に身体を委ねた。

 

 

 

 

 そして目覚めた私は別の病室の寝台に服を着たまま寝かされていて、近くの椅子では最初に私を出迎えてくれた若い女性の看護師さんが笑顔で私の目覚めを待っていた。

 

「おはようございます、施術は先ほど無事に終了しましたよ。今ご気分は悪くないですか?」

「あっ、いえ、全然……あの、本当に終わったんですか?」

「ええ、担当医が無事に処置を行いました。担当医のお名前は覚えていらっしゃいますか?」

「先生の名前ですか? えーと……」

「いえ、思い出せなくて大丈夫ですよ。それでは本日はありがとうございました。治療費はクレジットカードで前払い頂いておりますのでこのままお帰り頂いて結構です。こちらの指輪のネックレスは記念品ですのでどうぞお持ち帰りください」

「ありがとうございます……」

 

 看護師さんはそう言うと私を再び非常出入口に案内してくれて、私は施術の最中のことも担当医の先生の名前も思い出せないけど幸せな気持ちで病院を後にした。

 

 その後は熊本市内で女一人だけの旅行をささやかに楽しんで、翌日の昼には飛行機に乗って東京へと戻った。

 

 

 

 その数か月後、私のお腹は人生で2人目の子供を妊娠して大きくなっていて、私は今日も身重の身体で弁護士事務所で働いている。

 

「おい麻里子、今日はそろそろ上がっていいぞ。これから出産まで残業は俺に任せておけ」

「いいんですか?」

「いくらお前みたいな女の子供でも俺の子供に変わりはないからな。今度も流産されたら親父に示しがつかないし、それに……いやまあ面倒な話はいい。さっさと帰って晩飯でも作っておけ」

「ありがとうございます、旦那様」

「何だいきなり気持ち悪いな。それじゃあ気を付けて帰るんだぞ」

 

 2人目を妊娠してから彰は少しだけ私に優しくなって、どういう心境の変化があったのかは分からないけど私にとってはもはやどうでもいいことだった。

 

 

 だって、この子は私の子であっても彰の子ではないのだから。

 

 

 

 

 熊本県熊本市にある誓恵(せいけい)病院の産婦人科には、夫のモラルハラスメントに悩む既婚女性を対象とした「内密妊娠外来」が設けられている。

 

 そこでは男性の担当医が受診した女性に対してインフォームド・コンセントを行った上で授精を施行し、施術中の記憶は術後の催眠療法により消去される。

 

 

 医療は全ての人のためにあり、そして産婦人科医は全ての女性を救うために日夜医療現場で奮闘している。

 

 全ての女性に幸せを。それが誓恵病院のスローガンだ。

 

 

 (END)


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