「田中と水野は分かり合えない」の水野ひろなちゃんと、「うちのメイドがウザすぎる」の鴨居つばめさんと、「ヨルムンガンド」のバルメさんが、格闘ゲーム「ファイティングレイヤー」の舞台で戦う話です。まぁリョナ話なんですが。
田中と水野は分かり合えないというラブコメ漫画をマガジンポケットで読んでいまして、ヒロイン水野ひろなちゃんが、スゲェ腹筋というかシックスパックの持ち主で。物語が終わったので、忘れない内に腹筋を滅茶苦茶にしたいと。・・・AIが発達したらイラストにしたいですよね。私、絵上手く無いので。
1人だと寂しいので鴨居つばめさんとバルメさんを巻き込みました。腹筋繋がり。
ファイティングレイヤー。90年代後半の格ゲー。マイナー。でも、嬲る舞台としては良いかな?3つのルートに分かれてちょうど良いし。
腹串刺しにされても死なず、立ち上がる素晴らしい格ゲー。格ゲーって大抵そうですが。
胸も攻撃しよう。水野ひろなちゃんは結構胸大きいし。
とか書いていたら、文字数が多くなり・・・。文字数多いから読む人少ないんですよね・・・。リョナだから?・・・私の人生否定しないで下さいよ。

1 / 1
腹筋筋肉女リョナ短編

当初高校2年生であり、短距離走選手である私、水野ひろなと、陸上部後輩の高校1年田中瞬とのすれ違い恋愛話は、私が告白して、それでも田中は勘違いし続けて、グダグダのまま、ひとまず区切りになった。・・・今では私は大学4年だ。オリンピック選手候補でもある。田中という男は、未だに私を恋愛対象として見ていない。「どんな髪型が似合う?」と聞いて、走りやすい髪型と勘違いして「スキンヘッドが良いです。」とか言う馬鹿だ。

・・・だから好きだ。

だから、未だにキスすらしていない。もう成人過ぎたんだよ?お互いに。でも、関係は一応進展したんだ。下の名前で呼び合う。それだけ。

田中・・・いや、瞬に告白しようと思ったきっかけ?私は、腹筋が凄く発達しているんだ。主にシックスパックの箇所が。

そこを瞬に思いっきり平手打ちさせた。・・・私、喘いだんだ。

と言うのも、私は短距離走ばかり熱中していて、性知識なんてまるで無くて、瞬を見ていて子宮が疼いているのを病気ではないかと思っていた。子宮が疼くから瞬に腹を叩かせた。励ましで肩を叩く様にとか適当な事言って。

そうしたら最高記録だ。あはは。

 

水野ひろなは、どこにでもいる女だから、容姿をいうと、髪は黒髪で、前髪を揃えていて、肩まで伸ばした後ろ髪を結んでいる。胸や尻は・・・結構大きい。乳房が男性の手の平くらいある。よく着ている胸までの袖なしレーシングシャツが乳房の形に盛り上がっている。よく着ているブルマみたいなレーシングタイツは尻の形を強調している。

よく運動選手で胸が大きいと馬鹿にされる。・・・仕方がないだろう、成長してしまうんだから。目は大きくて目力が強いとよく言われる。女子からモテる。

そして、腹筋をよく言われる。「何でそんなに鍛えたの?」って。鍛えたら、そうなったとしか言えない。その位凄まじく割れていて、シックスパックが目立つ。格闘家じゃないんだから。

・・・そう、私が戦うなんて、その時は思ってもいなかった。

 

ある早朝、瞬と2人で競技場を借りてトレーニングしていた。・・・実質デートだ。私だけそう思っている。瞬はトレーナーの仕事に就くらしい。だから私に付き添ってくれている。私達の関係ってこれ以上進呈無いのかなと思うと切なくなって、また腹筋が疼く。

瞬がドリンクを買いに行ってくれた。

しばらくすると、私は足音が聞こえたので、振り向いた。・・・なんか足音がおかしいな?

・・・振り向いた所に西洋甲冑の巨人がいた。2メートル以上の。

そして、片手で血まみれの瞬を引きずっていた。

「あ・・・あああ・・・あああああああああ!!!!!」

私の頭は混乱した。そんな声しか出せなかった。

甲冑の巨人は瞬をゴミのように放り投げた。・・・瞬はピクリとも動かない。

・・・私はブチ切れた。何も考えもせず、甲冑に向かって走って行き、そのまま跳び蹴りを喰らわせた。喧嘩なんてした事が無いのに。そして甲冑には何のダメージも無く逆に私が反動で吹っ飛んで倒れた。

・・・甲冑に片手で頭を掴まれた。軽々と持ち上げられた。

私は睨んだ。唾を吐きかけた。・・・甲冑は私の腹を殴った。

ボズゥッ!「ぐは・・・。」

生まれて初めて腹を殴られた。腹筋を鍛えているのに、こんなに痛く苦しいなんて・・・。

私は、目線を下に下ろした。私の腹筋に甲冑の拳が半分めり込んでいる。何の役にも立たないのか私の腹筋は。何の為に鍛えていたんだ。

・・・甲冑に連続で腹を殴られた。

ドゴッ!「がふっ!」ズドッ!「あうっ!」ドボォ!「が・・・!」ゴボォ!「ごはっ!」

私の隆起したシックスパックが段々とへこんで潰れていくのが分かる・・・。

腸の部分まで拳が入っているのが分かる・・・。

激痛で気絶しそうだ。・・・駄目だ。気絶したら瞬が殺される。助けるんだ・・・。

数十回くらい殴られたのだろうか。私は虚ろな目で涎を垂れ流している。嘔吐しないのが不思議だ。

甲冑は更に私の腹を殴った。

ドズゥ!「ご・・・。」ボゴォツ!「がはぁう!」ドブゥ!「ごぶふぅ!」・・・

私の背骨まで拳が触れているのが分かる。そんなにめり込むのか、私の腹は。

背中も膨らんでいる気がする。痛い。痛すぎる。一撃ごとに吐いている血痰の量が凄まじい。

私のレーシングシャツは吐いた血で真っ赤だろう。

・・・数百回殴られたと思う。私は放り投げられた。

「がはっ!ごぶぅ!」倒れた状態で血を吐き続けた。

・・・甲冑が、瞬を連れて行くのが見えた。

「・・・止めろ・・・。私は、まだ生きている・・・。ごはっ!私が相手だ・・・。」

倒れたままで無様に叫んでいた。私は瞬より年上だから恋人でありお姉さんな気持ちなんだよ。最愛の弟兼恋人が自分の目の前で連れて行かれる。悔しくて涙が止まらなかった。口から吐く血の量がどんどん多くなっていく。

・・・意識が消えていくのが分かった。死ぬのか・・・。何百回も殴られたもんな。畜生。生まれ変わったら格闘家になりたいよ。私は愛する人を守れないまま終わるのか・・・。

 

 

目が覚めた所は、競技場ではなかった。何処かの森。

何人かに囲まれて、目が覚めた。・・・私を見ている奴らは人ではなくて、一つ目の怪物だった。

「ははは・・・。私は恋人を守れなかった罪で地獄に来たのか・・・。」

「違いますよ?」

女性の声が聞こえた。そっちの方を見た。・・・怪物以上に目を疑った。

その女性は、明らかにサイズがきつそうな体育着とブルマ姿だった。変態だった。

「あなた、水野ひろなさんですよね?ニュースでも結構出てるメダル候補の新人短距離選手の。そして、大切な人を誘拐された・・・。」

「何で・・・知っているの・・・?」

「私も同じ境遇なんですよ。・・・皆殺しにしてやりたい・・・。」

変態女・・・。もとい、その後に自己紹介された鴨居つばめという女性は、元自衛隊員で今ではある家のメイドをしているそうだ。肩まで掛かる黒髪を後ろに結んでおり、全身筋肉ムキムキだ。でも、胸は大きい。そして右目に眼帯をしている。

彼女は、大切な主人であるミーシャという少女を誘拐された。彼女の元には甲冑が数人来たらしい。奮闘するも数の力に負けて、気が付いたら誘拐されていた。

その直後に、この一つ目の怪物達、実は被り物で人間だった。全員がカプリッチョという名前。彼らに助けられたらしい。

そして彼らに聞かされた。かつて、ファイティングレイヤーという格闘大会があって、彼らの1人が参戦した。理由はその会場の島が彼らの故郷で、追い出されたから。

しかし、敗退し、故郷奪還は出来なかった。そして、その格闘大会を主催している存在は、今度は強い魂を集めているらしい。瞬もミーシャという少女も、その為に誘拐された。私達を参加させる為に。・・・格闘大会主催者を『存在』と言ったのは、人間では無いらしいからだ。

「そんな下らない事で瞬は誘拐されたのか・・・。でも、私は戦う事すら出来ない・・・。悔しい・・・。」

「ひろなさん。強くなりたいですか?」

もう1人女性がいた。胸までしか無い黒いノースリーブを着た長身の外国の女性。黒髪セミロングで、スパッツを履いている。何より全身の筋肉が凄まじい。腹筋以外の筋肉が、私以上に発達している。そう・・・腹筋だけは私も負けないつもりなんだよ・・。そして胸が大きい。外国の女性なのに日本語が流暢だ。

「私は、バルメといいます。軍人の様な事をしています。私は2番目に大切な人を誘拐されました。ヨナという弟のような存在。許せない・・・。殺してやる・・・。」

「彼女も、私も、大切な人を誘拐され、強くなる為に、カプリッチョと手を組みました。その方法は、一言で言えばドーピングです。」

つばめさんが言った。ドーピング。アスリートはこの言葉を、方法を嫌悪すべきだ。

だが、私は瞬を助ける事を優先したかった。

「ドーピングでも構いません。強くなりたいです。」

「では、これを食べて下さい。」

キノコを出された。

「これはですね?カプリッチョが製作したいわゆる超人になるキノコ。残念ながら、カプリッチョ達はこれを食べても強くならなかった。潜在能力の高い女性しか強くなれないから。

だから、私達を助けたんです。・・・ちなみに、食べると凄まじい激痛に何時間も耐えないといけません。私とバルメさんは、苦痛に耐えて、今までの何倍も強くなりました。

・・・もう一度言いますが、激しい苦痛が伴います。死ぬかもしれない。」

「覚悟しています。」

私はキノコを食べた。

「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!がぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

身悶えて叫び続けた。何時間も。全身を引き裂かれる様な痛み。

・・・数時間経過した。痛みがどんどん引いて、何とも無くなった。代わりに力が満ち溢れている感覚がある。

「よく頑張りましたね。ひろなさん。早速試し割りをしましょう。」

案内されたのは、私の身長の数倍ある巨大な岩。

「一撃で粉々にして下さい。」

無茶苦茶な事を簡単に言われた。・・・でも、出来る気がした。私はパンチを見舞った。

岩が爆発した様に吹き飛んだ。

「こんな力が・・・。」

「お見事です、ひろなさん。」

バルメさんが、私に近づき・・・。私の腹を隠していたナイフで深々と刺した。

「か・・・。」

激しい痛み。痛覚はそのままなのか。というか、私はこれでは死ぬ。そう思っていた。

ナイフが引き抜かれた。激しい出血があるはずが・・・。みるみるうちに傷が治っていく。

「これがキノコのもう一つの力。ほぼ不死身。ひろなさんを発見した時、あなたは死ぬ寸前でした。その為キノコをかなり薄めた薬を飲ませ、傷を回復させました。

・・・でも、これはファイティングレイヤーの主催者の目論み通りだと思います。私達を強くして、贄にする。・・・だから、私達は大会で勝ち続けて主催者を倒すしかない。」

「そのファイティングレイヤーっていつ行われるんですか?」

「1日後。」

早っ。怪力と不死身だけで何とかなるものなのか?疑問だった。

私が疑問に思っている事を察したのか大会説明をされた。

大会は6回戦う。巨大な城の中で行われ、1つの部屋で戦いに勝つと、次の部屋に行ける。ゲストは私達しかおらず、3人で行動が許されている。他の選手は待ち構えている。

「ただし、4回目のステージは3つに分かれています。3人共に行動して、行かなかった部屋に人質がいるかもしれない。なので、3人で分かれて進むしかないのです。

更に、そのステージで戦う相手は人間じゃない。鷹、虎、鮫を選択します。」

「もう、格闘大会じゃないんですが・・・。」

「更にその先は、中ボスで、片目盲目のボクサー、ジョー・フェンディ。サイボーグみたいな傭兵、プレストン・エージャックス。伝説のプロレスラー、クレメンス・クライバー。だったけど、前回3人とも負けて格下げになりました。多分4回目より前に出てきます。レスラーのクレメンスは辞めました。理由は、これは聞くと腹が立つけど、いたぶれる技が無いから。」

「本当に私達生贄なんですね・・・。」

つばめさんとバルメさんが何度も「ぶっ殺す」と言っていたが、私も殺意が沸いた。嬲り返してやる。

 

私達は、カプリッチョの飛行機で、・・・何故か知らないけど、この人達飛行機持っていて運転できるんだ、それに乗って何処かの海外の島にある試合会場の城に向かっている。パスポートなんて無い。どうせ相手は人間じゃないんだ。警察が頼りになるとは思えない。法律なんて無視だ。私達がぶちのめす。

そして、私は青色の胸までの袖なしレーシングシャツと同じ色のほとんどブルマみたいなレーシングタイツで。短距離走じゃないけど、これが私の戦うスタイルなんだ。

つばめさんは、サイズの小さい体育着とブルマで。攫われた女の子の私物で「お嬢様と共に戦いたいので」という理由だった。・・・勝手に持ち出して、やっぱり変態だよね?

バルメさんは、黒いノースリーブとスパッツで、ナイフを数本所持している。

絶対に助け出すから。無事でいてね、瞬。

 

 

・・・飛行機で、敵の城1階に思いっきり突っ込んだ。死んでいないのが不思議だ。

カプリッチョ達は飛行機の修理をし、私達は城の中に向かう。

四角形の闘技場がある広間に出た。1回戦の場らしい。

広間に男がいた。空手着みたいな胴着を着て、胴着の装飾に荒波が描かれている。

「彼は加藤鉄雄という前大会優勝者です。しかし、消息不明に。・・・雰囲気からして、洗脳されています。

ここは、私が出ます。彼は突き攻撃が得意な空手家。蝶の様に舞い蜂の様に刺す私なら凌げるでしょう。」

そう言って、つばめさんが闘技場に昇った。途端に闘技場四方にバリアみたいなものが張られた。

逃げられない様に、私達が手出しできない様にするつもりだろう。

そして、戦いが始まった。加藤鉄雄の手刀や突きが物凄い速さで繰り出され、つばめさんは華麗に捌いていく。ビシバシドン等の物凄い衝撃音で広間が震えている。動体視力も発達しているらしく、かろうじて見えるが、明らかに人のスピードを超えている。恐らくパワーも。

加藤鉄雄が突きを振るう・・・と見せかけて、つばめさんの両肩を掴み頭突き。よろけるつばめさんの正面で力を溜めている。

「あれは彼の最大必殺技、『荒行事』です。力を溜めて殴りつけます。最大まで力を溜めたら、超人でも1撃で死にます。」

「そ、そんな、バルメさん冷静に言わないで・・・。しっかりして!つばめさん!」

駄目だった。加藤鉄雄に腹を殴られて、つばめさんが空中のバリアに叩き付けられた。

「ぐはっ!」

そして、それだけで終わりではなかった。衝撃音がいつまでも連続で響き、つばめさんの腹筋のあちこちがボコボコへこんでは再生を繰り返している。

ドン!ドゴ!ボズ!ズド!バズ!ドブ!

「ぐおっ!がはぁ!ぐ!おぐぅ!ぐはっ!・・・。」

「あれは釘パンチとかいう技と同じですね。連続で衝撃が来るという。」

加藤鉄雄は飛び上がって、つばめさんの両胸、両肩、両二の腕、下腹部の部分、両太ももに打撃を与えた。

ベゴン!バゴン!ボスン!ボゴン!ドボウ!・・・

「ごはぁっ!ぐふっ!ぐぉぉぉぉぉぉ!!!!ごぼぉ!うぐぅ!・・・」

つばめさんの両乳房がねじ曲がるようにへこんでは元に戻るのを繰り返している。肩がボキボキ折れて変形を繰り返している。腕も折れては再生を繰り返す。ベコベコに潰れている膣からおびただしく血が流れている。子宮も潰れているだろう。太もものあちこちが陥没して凄まじく変形している。打撃を与えられていない背中も各所で陥没を繰り返している。骨が、肉が、潰れる音がはっきりと聞こえる。つばめさんは凄まじい勢いで血を吐き続けている。

無茶だ・・・。いくら再生しているとはいえ、苦痛に耐えきれず死んでしまう・・・。

私はバリアを壊そうと滅茶苦茶に叩いたがビクともしない。

「バルメさん!助けに入りましょう!つばめさんが死んでしまいます!」

「・・・ひろなさん。つばめさんを信じましょう。それが仲間です。もしここで死ぬならば、彼女の大切な人への思いはその程度と言う事・・・。」

脳筋理論凄まじい。飛行機の中でバルメさんと会話していたが、このバルメさんの話す内容は暗殺方法ばかりだった。脳筋と暗殺って矛盾している様な・・・。でも、彼女が協力してくれないと私にはどうする事も出来ない・・・。

「大丈夫ですよ・・・。ひろなさん・・・。ぐぶ・・・。もうすぐ慣れますから・・・。」

血を吐きながら、体中から砕ける音を出しながら、微笑みながら、つばめさんが言った。

・・・分かりました、信じますよ、つばめさん・・・。

30分経過した。普通の人間なら1~2分で肉体が粉々に砕け散る音を出していた、つばめさんが動き出した。

「うぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!なめんなぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

バギバギバギという音を出して、つばめさんが磔状態から身を乗り出して飛び上がって着地。

次の瞬間には、加藤鉄雄に接近し、頭と胴体と片脚が横一線になる蹴り、トラース・キックというらしい、で吹っ飛ばした。バリアを突き破って加藤鉄雄は場外に落ちた。

バリアが完全に解け、壁だった向こう側の扉が開いた。つばめさんが勝ったんだ・・・。

「はぁ・・・。はぁ・・・。はぁ・・・。ごふぅ!」

しかし、つばめさんの損傷も凄まじい。傷はすぐ再生する筈なのに、彼女の身体のほとんどがベコベコだ。生きている方がおかしい。体育着もブルマも血で真っ赤だ。

「つばめさん・・・。」

「すみません・・・。回復に集中すれば治ると思うんで・・・。それまで背負っていただけますか?」

私はつばめさんを担いだ。意外に軽かった。そして全身見えない程度に傷跡だらけだった。

この人は、私の想像も出来ないほど過酷な人生を歩んできたんだろうな・・・。

そう思いながら、先に進んだ。

・・・ちなみに加藤鉄雄はバルメさんに拷問されて正気を取り戻し、入口へ向かい飛行機修理を手伝っている。

 

 

次のステージは、庭園の中の闘技場だった。

その部屋に入ろうとした途端、無数の弾丸が私達目掛けて飛んできた。バルメさんがナイフで全弾叩き落とした。

撃ったのは、闘技場に立つレザー服を着た緑色ショートヘアの危険な目つきの女。両手に拳銃を持っている。もう格闘ではない。

「彼女は、ジャニス・ルチアーニという殺し屋です。前大会に出ましたが、その後消息不明に。・・・彼女は洗脳されていません。元からこういう危険な人間です。

私が相手をしましょう。」

バルメさんが闘技場に昇った。やはり即バリアが張られる。

「キャハハハハ!あんたから血祭りにしていーの?」

バルメさんは返答せず素早く移動して、ジャニスの全身各箇所を切り刻んだ。斬ったら即距離を置く事を繰り返している。ジャニスの出血が凄い。明らかに動脈とかを狙っている。

「テメェ・・・。」

「喋っている時間はありません。即、終わらせます。」

バルメさんがジャニスに近づいた途端・・・

爆音がして、バルメさんが吹き飛んだ。

「がはっ!・・・か・・・。」

倒れて呻いているバルメさん。腹から煙が上がり、腹筋のあちこちが焼け焦げている。

「あっはー?真面目に対人用の殺し技使っているから、こうなるんだよー?」

ジャニスの腕近くに空間の穴が空いていて、そこからバズーカ砲が出ていた。

「ごはっ!・・・なるほど・・・。あなたはもう、人を辞めたという事ですね・・・。」

「そう!主催者がくれた素敵な力!・・・お前らも人の事言えねぇだろ?こんな至近距離でバズーカに撃たれて死なねぇとかさぁ!」

バルメさんが腹部を押さえながら立ち上がった。そして、ダッシュでジャニスの元に近づこうとして

ズブゥ!ドズゥ!

「が・・・あう・・・。」

バルメさんの両胸にいつの間にか深々とナイフが突き刺さっていた。

「はーい!これがアタシの超能力。アタシ近距離で戦うの苦手なんだよね。だから負けた。

悔しかったから、こういう超能力くれるって聞いて即契約した。

アタシはあんたに近づかない。あんたを離れたところから滅多刺し。アヒャヒャヒャヒャ!」

ジャニスがレザー服の袖の中からナイフを取りだしては刺す真似をする。するとナイフが消え、バルメさんに突き刺さる。

両太ももに数カ所。ザシュドシュズブズボズブ!

「ぐあ!あう!くう・・・。ぐおおお!」

腹筋のシックスパックに各1カ所計6カ所。ドズズボズブドチュドスズボ!

「おごぉ・・・。ごふ!ぐぅぅぅぅ!」

脇腹両側各3カ所。膣のど真ん中、下腹部、臍、鳩尾。・・・念の為書いておくが、全て刃渡り15センチ以上のナイフが根元まで突き刺さっている。

ズブズボドズグジュズボ・・・・!

「ご・・・お・・・。あうぅぅぅぅ!!!ぐはっ!ごはっ!」

背中全体に20本以上のナイフが突き刺さる。両腕にも8本ナイフが。肩に各2本。

ドズドズズドズブゥズボォ・・・!

「くはっ!ぐぅ!く・・・ううん・・・。」

胸に更にナイフが加わった。真ん中3カ所。乳房に2本追加。乳房の上下に計4本。

ズジュズドシュドドズゥ・・・

「ごぼぼぼぼぼ!ごふぅぅぅぅぅ!!!」

バルメさんは針山のようにナイフが突き刺さり凄まじい血飛沫を上げている。口から止めどなく血を流し続けている。もう駄目だ。こんな激痛、人間は耐えられない。死んでしまう・・・。

「私もこの通り傷が治りました。バルメさんを信じましょう。」

私から離れたつばめさんが呟いた。いつの間にか傷が回復している。体育着とブルマの血の跡も消えて新品同然だ。

「ぐ!うぉぉぉぉぉ!!!」

バルメさんが叫び声を上げて、大の字のようなポーズになった。ズボッ!ズボッ!と次々にナイフが抜けていく。

「彼女は全身の筋肉を使って、ナイフを押し出しているんですよ。」

つばめさんが言った。そんな無茶な・・・。でも、ナイフは全て抜け落ちた。傷もすぐ治っていき・・・。

バンバンバンバンバンバンバンバンバンバン!

「ぐは・・・!ごは・・・!」

バルメさんの全身に丸い穴が空いて血を噴き出している。

ジャニスがいつの間にか銃を両手に掴んで空中へ打ち出している。それが彼女の能力で、バルメさんに被弾しているのだ。

「あひひひひひ!!!ばんばんばんばんばんばん!!!」

ジャニスは自分で発射音を言いながら笑っている。拳銃の弾丸も無制限であるらしく、いつまで経っても鳴り止まない。

「ごは・・・!あお・・・!」

・・・バルメさんが天を仰ぎながら棒立ちになっている。被弾は止まない。胸と肩と背中と腹と腕と太ももから血飛沫を上げて。駄目だ。いくら死なないとしても、反撃に転じる隙が無い。バルメさんの大きな乳房はグチャグチャだ。鍛えられた腹筋も穴が繋がって内臓が見えている。

それでもバルメさんはジャニス目掛けて走り出した。撃たれ続けながら。内臓をボトボトこぼしながら。

「ひっ!く・・・来んなよテメェ!」

ジャニスはまたバズーカ砲を撃った。・・・バルメさんはそれを掴んだ。

そして、ジャニスに接近し、彼女の口をこじ開けて、砲弾を無理矢理入れて爆発させた。

爆音と気持ち悪い肉がはじける音がして、ジャニスの身体が倒れた。首から上は無い。

バルメさんの両腕の肘から先も無かった。・・・それもすぐに生えてきたが。

「・・・先程の発言、撤回します。私の方が人間じゃないですね。人間辞めていますね。」

バルメさんの表情は切なげだった。

・・・私は目の前で人が惨たらしく殺されたのに、何の感情も抱いていなかった。いいんだ、瞬を救う為なら鬼になってやる。人間なんて辞めてやる。

次のステージへの道が開いた。

 

 

次のステージは溶鉱炉に浮いている闘技場だった。流石にこの身体でも溶岩に落ちたら死ぬだろう。

そして、闘技場で待っていたのは2人だった。明らかに人間で無くなっているのが分かった。

1人はサングラスをかけた黒人ボクサー。1人はサイボーグ姿の軍人っぽい男。その2人の姿を入れ替え続けている。

「彼らが、前に言ったジョーとエージャックスです。ここは、私とつばめさんで出ます。」

つばめさんとバルメさんが、闘技場に立った。バリアが張られる。私はまた見学だ。

私に手を汚させたくないという彼女達の優しさなんだろうか?

・・・次は私が出ると言おう。私は足手まといになるのは嫌いだ。

・・・次は動物で3人別行動になるのを思い出した。でも、獣を殺すのと人を殺すのでは覚悟が違いすぎる。これはエゴだけど。

つばめさんとバルメさんが速攻で向かっていった。

相手2人はジョーに変身。ガード状態でつばめさんとバルメさんの殴る蹴るに耐えている。良い感じだ、これなら倒せる。

ジョーが、つばめさんとバルメさんにクリンチした。休む気か。と思ったら、何か2人を揺すっている。

「あはぁ!おふ・・・くう!あ・・・あん!そんな・・・こんな事で気持ちいいなんて・・・。お嬢様、申し訳ありません・・・。お嬢様に初めてを捧げて子を妊娠するつもりだったのに・・・。」

つばめさんが喘いでいる。何が起きているんだ?・・・そして、女性同士では子供を産めないよ?つばめさん・・・。

「お・・・おふぅ・・・。あん!あお・・・ん・・・。このジョーは、クリンチで相手と自分を回復させる技術を持っています・・・。はぁう!そして相手が油断した所を攻撃・・・。自分だけ回復・・・。しかし、こんな無様な・・・。ココ・・・申し訳ございません・・・。あなたの子供を産めない身体になりました・・・。」

こんな状況でも説明してくれるバルメさん。でも、飛行機内で聞いたけど、ココ・ヘクマティアルという彼女の主人は女性だ。だから子供産めないって・・・。いや、でも、超人化出来るキノコがあるなら、まさか・・・。

1時間くらい、つばめさんとバルメさんの喘ぎ声を聞いていた。

油断していたら、ジョーはエージャックスに変身。2人の胸の真ん中と腹の真ん中に爆弾を設置。距離を置いて爆破。

凄い爆音が鳴り、つばめさんとバルメさんの胴体は内臓が浮き出た状態になった。血まみれの肺が動いており、腸がボロボロ千切れてこぼれている。

「ごぼぼぼぼ!ごぶぅ!」

「がふぅぅぅぅ!!!ごぼ!」

つばめさんとバルメさんが凄まじい勢いで血を吐いている。滝のようだ。

エージャックス2人は、次の攻撃に。ワイヤーをつばめさんとバルメさんの首に巻き付け、更にワイヤーを天井に引っかけ、吊り上げる。

「ぐが!ぐぉぉぉぉぉ!!!!ごふぅ!」

「あ・・・ぐ!かぁ・・・ぐぶ・・・。」

首吊り状態で、苦しんでいるつばめさんとバルメさん。どうにか脱出できないのか・・・。

つばめさんとバルメさんが、共にワイヤーを手で千切った。当然手はズタボロだ。ボトボト指が落ちている。その状態でエージャックスに向かう。エージャックスはジョーに変身。守備か攻撃が得意な方に入れ替えを繰り返していく戦法なのか。

完全防御のジョーに、つばめさんとバルメさんがやる事は同じだった。ほとんど指が無い両手でジョーの肩を掴んで思いっきり投げ飛ばした。

ジョー2人はバリアを突き破り、溶鉱炉のマグマに落ちていった。

・・・次のステージの道が開いた。

「すみません、少し休ませて下さい・・・。はぁ、はぁ、はぁ。」

「私もです。ぐ・・・。流石に内臓丸見えはキツいですね・・・。」

私は2人の側に寄って見守るしか無かった。なんて役に立たないんだ私は。

 

2人は30分も立たずに、傷を再生させた。服の血も消えている。

次のステージに向かった。

やはり、3つの入口に分かれていた。鷹、虎、鮫のシンボルマークが道の壁に描かれている。

「ひろなさん。あなたは鷹のステージに進んで下さい。最も攻略しやすいのが鷹です。」

「はい・・・。」

頷くしか無かった。やっぱり私は配慮されている。

「これは配慮ではありません。信頼しているのですよ。仲間として。最も攻略しやすいといっても、普通の人間ならすぐに殺される相手です。勝って下さい。」

「は・・・はい!」

心を読まれた。その上で励まされた。そうだ。私は自分が出来る限界まで戦おう。ここは競う場じゃ無い。協力する場だ。

「それでは、私は虎に行きます。虎殺しをしてみせますよ。」

「では、私は鮫ですね。・・・というか、最初から私は鮫を選ぶつもりでした。最も攻略しにくいのが鮫です。私達の中で戦闘経験が最も多いのが私です。安心して下さい。」

つばめさんが虎に、バルメさんが鮫に向かう。私には、つばめさんとバルメさんに力量差があるように見えなかったが、戦い慣れている人にとっては、差があるのが分かるのだろう。

私達3人共、別々のルートへ進んだ。

 

 

・・・待っていたのは只の鷹じゃなかった。全長4メートルくらいの巨大鷹だった。

闘技場は、四方共、底が見えない程の縦穴空間の上に作られていた。闘技場から落下したら終わりだ。

入口から闘技場まで10メートル。助走無しで軽く跳んだ。それだけで、10メートルも跳躍できた。

鷹が急に襲ってきた。速い!私はあっという間に両肩を掴まれて空中に持ち上げられ、50メートルくらい上空から闘技場に落とされた。

「ごは!」

物凄い衝撃だ。高層ビルの上から落ちたのと同じだから当然だ。身体が痺れて動けない・・・。

鷹は動けない私を両脚で器用に拘束した。今の私は、両腕を頭の上に伸ばされて、両脚を並べて、両手首と両足首を鷹に踏みつけられている。

鷹が私の腹や胸をくちばしで突き刺してきた。

ドズッ「うぐっ!」ズボッ!「あうっ!」ドスッ!「おぐぅっ!」ズドウッ!「が・・・あ・・・。」・・・

子供の時見たウルトラマンタロウを思い出した。タロウが鳥の怪獣になすすべ無く、くちばしでめった刺しにされて死ぬシーン。似たような事を、私はやられている。私の乳房から噴水の様に血が上がっている。胸は他の箇所も刺されて穴だらけで。シックスパックは、わざわざご丁寧に1個1個潰していっている。出っ張っているからな。さぞ潰し甲斐があるんだろう。

そのシックスパックの1つに思いっきりくちばしを突っ込まれた。身体の中の何かを掴まれた。嫌だ・・・。止めてくれ・・・。

ズルズルズルズルズチュル!

「あ゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙!!!!がぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

腸を引きずり出された。そして鷹は美味そうに喰っていく。内臓の再生速度が速いのか腸は後から後から出てきては鷹に喰われていく。地獄だ。

そして手足を拘束されて何も出来ない。死なないから鷹が飽きるまで永遠にこのままなのか・・・。

嫌だ。私が嬲られるより、瞬を助けられないのが嫌だ。配慮される、頼りっぱなしは嫌だとさっき思ったばかりじゃないか!

「・・・舐めんなよ、鳥野郎。」

私はグチャグチャの腹筋を使って跳ね上がった。両手両脚の拘束が揺らいだ。手足を抜いた。

そのまま鷹にくっついて背中に回り、チョークスリーパーを首にかけた。首締めくらい私でも知ってんだよ。

勢いよく飛び回る鷹。無駄だよ。絞める為にこの体勢になった訳じゃ無い。折る為だ。

物凄い音が鷹の首から鳴り、鷹は遙か下に落ちていく。私は離れて闘技場に着地した。

・・・胸や腹部に穴が空いて腸が無くなっている事を思い出した。

「うげぇぇぇぇぇ!!!!!ごぼぼぼぼ!!!」

大量に血を吐いた。胸からも腹からも物凄い出血で。

ごめんなさい。つばめさん、バルメさん。10分だけ休ませて・・・。

 

 

鴨居つばめという女は、変態に見えるが、変態である。

よく言うでしょう?自覚を持っていればそうじゃないって。

そして、私とお嬢様の物語の本編で戦闘シーンはほぼ無いが、私は強い。

だから、お嬢様を誘拐できる奴なんて、この世にいないと思っていた・・・。

なんて愚か!だからこの様な失態を犯すのだ!

今頃お嬢様は、泣き崩れ、私に助けを求めているだろう・・・。

そして私は散々傷ついてでも救出し、お嬢様からご褒美の愛撫を受けるのだ。ぐへへ。

さて、虎のステージに来た。やってやろうか、虎殺し。

・・・何もいない?

ズバァッ!

「ぐ・・・!う・・・!」

次の瞬間には、私は腹から胸にかけて鋭い2つの刃で切り裂かれた。血飛沫があがる。

目の前にいたのは虎じゃなかった。

「お前は、ハサミジャガー!」

ジャガーは虎では無い。詐欺行為しやがって。・・・なんでこいつ知っているか?仮面ライダーV3なんて子供の頃よく見ているじゃないですか。

とにかく、虎対策から頭を切り替えて、怪人対策に・・・。

あれ?何だか身体が・・・。

「ぐぼっ!ごはっ!」

血を吐いた。体中の細胞がギシギシいっている。そうだ、こいつは毒を持っていたんだった・・・。

ろくに動かせない私の肉体を、ハサミジャガーは嬉しそうに切り刻んでいく。

ズバッ!「がうっ!」ザシュッ!「う・・。ぐ・・・。」ドシュバジュ!「あぐぅ!」・・・。

全身血まみれです。お嬢様の体育着を着ていなければ死んでいた・・・。ありがとうございます、お嬢様。

ドズゥ・・・。

「ぐ・・・う・・・」

腹をハサミジャガーの両腕の刃で貫かれました。私の腹筋の装甲をこんなに容易く突き破るなんて・・・。ハサミジャガーは刃を引き抜きました。

ズボォッ!

「おうぅぅぅ・・・。」

私は腹部の傷口を押さえながら前屈みで立っています。背中から血が吹きだしているから無意味なんですけどね。くそ・・・反撃を・・・。

「はぁぁぁ!」

殴りかかりました。やはり動きが鈍い・・・。ハサミジャガーの両腕を突き刺す構えにしました。狙いは私の両胸・・・。すぐ分かりました。・・・反応できませんが。

ズチュゥ!ズブブブ・・・ドバァッ!

「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ぁ!!!がふっ!ごぼ・・・。」

・・・今、私は大きな乳房を両方とも貫かれて、ハサミジャガーに宙づりにされています。胸からおびただしく出る血・・・。口からも洪水の様に血を噴き出して。

・・・おかげで毒が抜けましたよ。

ハサミジャガーの刃を手で掴んでへし折りました。更に、両胸から引き抜く。

ズブズブズブ・・・ズボォ!

「ん・・・くぅぅ・・・。ぐはぁ!はぁ・・はぁ・・・はぁ・・・。」

ハサミジャガーは得物を失って動揺しているようですね。ここで必殺技です!

「喰らえっ!ミーシャキィィィィィック!!!!」

お嬢様の名前を冠するライダーキック。相手は死ぬ。ハサミジャガーは爆散しました。

「ごふぅぅぅぅぅ・・・。ごぼぉ!ごふぅ!」

情けない事に、勝利の余韻に浸る余裕も次のステージに行く余裕もありませんでした。胸と腹貫かれたので。・・・少し休憩します。

 

 

私は、ヨルムンガンド計画を、ココが実行していない世界線のバルメです。

この計画内容を見れば、誰もが「絶対に人類は遠からず破滅する」と思うでしょう。ココを盲信する私ですら、そう思うのだから。

ヨルムンガンドという物語は、独善的な平和の為に未来を切り捨てる選択をココがした時点でバッドエンド確定なんですよ。

・・・だが、それはどうでも良い事。今の私がIFの存在でも、私は私の責務を全うする。そして、同じ境遇になった2人の友の為に、力を振るいましょう。・・・雑念は捨てた。

そして私は今、海中の中にいます。ここが、鮫のステージです。

ファイティングレイヤーで鮫が段違いに強い理由は、隙が無く、体力が高い点。ほとんどの格闘家が接近戦しか手段が無い中で、鮫は攻撃を喰らいながら接近。相手に噛みつきダメージを喰らわせ、身を翻して防御と同時にダメージを与える。その情報は入手し、対策はしてあります。

・・・目の前に通常のホオジロサメの5倍以上の大きさで、3つの頭を持ち、下半身がタコの足のような鮫が現れました。何だこれは。

呆けていたら、一気に接近され、両腕を左右の鮫の頭に噛まれた。更に中心のサメが、私の胸や腹を囓って喰らっている。

グチャグチャグチャボキグジョボキグジョ・・・。

「あ゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙!!!!ごぼぉぉぉぉぉ!!!」

私の肉が、血が、内臓が、海中を漂っている・・・。

何度もサメの身体を蹴った。鮫肌というのは本当だ。蹴る度にすり切れていく。そして、タコの触手に両脚を拘束された。

ブチ。

・・・何だこの音は。私の太ももから?まさか・・・。

ブチブチブチブチブジュルゥ!

「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ぁ!!!!!お゙お゙お゙お゙お゙お゙ぉ!!!!!」

私の股関節から先の肉や骨が千切れ落ちた。

・・・同時に両腕も喰われた。

「あ・・・か・・・・。」

・・・私は四肢切断状態で海中を漂っている。更に胴体は臓物をまき散らして・・・。もう鮫は私に飽きたのか無視していますよ・・・。はは・・・。餌の価値も無いのか・・・。

意識が消えかけている・・・。流石に限界か・・・。ココ・・・。私はヨナを救えませんでした・・・。

・・・走馬灯からココの説教を何度も聞かされました・・・。はは・・・。そんなに言われたら・・・。

興奮するじゃないですか!

「おぉぉぉぉぉぉ!!!!手足生えろぉぉぉぉ!!!!!」

手足を生やした。胴体も、乳房も腹筋も瞬く間に再構成されていく。

鮫が驚いて私の方に泳いできた。・・・いいモノあげましょうか?

鮫の左右の口に、私が腰に付けていた拳銃を突っ込んでぶっ放す。先に死んだジャニス・ルチアーニの遺品ですよ。この銃自体が弾数無制限の様ですね。出来れば使いたくなかったですよ。あんなトリガーハッピーの遺品なんて。でも、手段選んでいられる相手ではないようです。

鮫の左右の口が血を吐いて離れました。鮫自体逃げようとしている。逃がしません。

銃を撃ちまくって下半身のタコの足を吹っ飛ばしていく。残るは上半身。中央の頭だけですかね?泳ぎが遅くなっていますよ、鮫さん。追いつきました。頭に躊躇無く何発もぶっ放す。

・・・鮫は海底に落ちて動かなくなりました。

どうやら私の勝ちですね。出口が開きました。進みます。

・・・信じていますよ。ひろなさん、つばめさん。

 

 

「あれ?」

「おやぁ?」

「ん?」

私達は合流した。そう、事前の話ではこの先は3人の中ボスの筈なんだ。

それが無く、巨大な空間に私達は入った。そのままエレベーターの様に上昇していく。

「どうやら、中ボスは止めた様ですね。

遂にボスです。ボス=主催者は、ボルド・イグニッシオという貴族風の服を着て、髭も髪型も貴族風の男。

ですが、人間ではありません。そして、その攻撃方法も人間では無い。変態と言っていいでしょう。壁を登って空中から切り裂く。突然飛びついてきて喉に噛みつき、そのまま走り回る。股間にマシンガンがあり、放出。」

「「うわぁ・・・。」」

私とつばめさんはドン引きした。・・・変態のつばめさんですらドン引きした。

「何より厄介なのが頭をガードするポーズを取った後、相手と入れ替わり、相手の攻撃を模倣した反撃を出す事です。突然出してくるので対応困難。対策としては、一撃の威力が高い攻撃をしない事です。反撃されたら、私達が大ダメージです。」

私は提案した。

「そのボルドって人と話し合いできませんか?なんでこんな事をするのか。」

「いいですけど・・・。勧めませんよ?相手は異常者です。ろくでもない回答が出るに決まっています。」

エレベーターが止まった。黒い壁で周囲を囲まれた四角形の巨大な空間。ここが最後のステージ。

何も無いところから、ぼんやりと人の形が出てきて、それが件のボルド・イグニッシオの風貌になった。両腕を後ろ手に組んでいる。

「ボルド・イグニッシオ!私達に何の様なんだ!瞬達を返せ!」

私は叫んだ。

・・・ボルドは上半身を半回転させる様に捻りながら前屈みになった。顔が上下逆になって気持ち悪い。そしてそのまま発言した。

「え~?話した筈なんですけど~?聞いてないのかな~?

私ぃは、強い魂がぁ、大好物でぇ。それを食べるのが大好きなんですよぉ。

前の大会ではぁ。男ばっかりでぇ、クッッッソ不味かった!

だから~、今度は女の魂にした~の。という事で、ボロクソにやられて~魂差し出して~ね?」

・・・本当に聞くんじゃなかった。こいつ最悪すぎる。

「3対1です。ボコボコにしましょう。」

バルメさんが当然の提案をした。

「え~?・・・3対4だよ~?」

「え?」

瞬間移動の様にボルドの前に3人の甲冑が現れた。3人ともランスという長くて太い槍を持っている。

「そういえば、こいつらがいた!」

「ん~?正確には違うなぁ。君達を襲ったのは白いランスナイトでしょ~?これは、それを集め束ねて強力にした真ランスナイト!甲冑が白から青紫になっているでしょ?君達を襲ったのより遙かに強いわけでぇ~。ズドズド串刺しにされまくってくれると嬉しいなぁ~?」

・・・次の瞬間につばめさんが、真ん中のランスナイトの仮面兜に飛び膝蹴りを入れた。

「・・・いいから、お嬢様返せ。クズが。」

「そこにいるよぉ~?」

「え・・・?」

仮面兜が砕けて、中から現れたのは、虚ろな目の少女だった。

「お嬢・・・様・・・?」

つばめさんは当然の様にショックであり・・・ランスの一撃で思いっきり腹を串刺しにされた。

ズドゥゥ!

「か・・・は・・・。おじょう・・・さま・・・。」

ランスはつばめさんの腹のほとんどを潰した。ランスを根元まで腹部に突っ込んで。上半身と下半身はわずかな肉でしか繋がっていない。・・・そして、つばめさんが全く動かない。腕をだらりと下げて、貫かれた腹と背中から、血がおびただしく出るのに任せている。

「つばめさん!しっかりして!」

「無理・・・です・・・。お嬢様が私を刺した・・・。いえ、お嬢様の意思では無い事は分かっています・・・。でも・・・身体が動きません・・・。生きているのが辛い・・・。」

私は無理矢理でもつばめさんを引っこ抜こうと駆け寄った時に、別のランスナイトが現れた。ランスを水平に持って、私の腹を貫こうと突き出した。

私は受け止めた。・・・そして、この中身も想像できた。

私を貫こうとしているランスナイトの仮面兜が外れて、虚ろな目の瞬の顔が出た。

私の力がどんどん抜けていき、ランスが私の腹筋にズブッと音を立てて差し込まれていく。

「瞬・・・。私は、お前を助けに来たんだよ?目ぇ覚ましてくれよ・・・。」

ズブブブブ・・・

「瞬・・・。せめて何か言ってくれ・・・。私の名前を言ってくれ・・・。」

ズブブブ・・・ズボァァ!

「ひろな・・・先輩・・・。」

ズブブブブ・・・

私もランスの根元まで腹を貫かれ、そのまま宙づりにされた。

もう腹部はほとんど残っていない。再生する気配も無い。血が出まくっている。口からも。

もう、どうでもいいや・・・。どうでも・・・。

 

 

私、バルメは二丁拳銃の銃口をボルドに向け撃ち続けた。

ひろなさんとつばめさんは、遠距離攻撃が無いので言わなかったが、こいつは遠距離攻撃では攻撃の入れ替えが出来ない。ガードしているが、このまま削っていくだけだ。

ナイトランス最後の1体が立ち塞がった。構わず頭部を蹴り飛ばした。

やはり、ヨナだった。

「ひっどいなぁ~?君。大切な人じゃ無いのぉ~?」

「調査不足ですね。私の大切な人はココ!ヨナも大切ですが、月とすっぽんとかいう奴です!」

ヨナのランスナイトを無視して、ボルドに近づいた。獣のように引っ掻く連撃が来たが、全て捌いた。やはりこいつの格闘技術は奇抜なだけで基礎がなっていない。

ボルドの頭に銃口を突きつけた。

「これで終わりです。さようなら。」

「・・・私を撃つのか?バルメ。」

ボルドの姿がココに変わった。そんな・・・。

ズドォゥ!

「ごはぁ!がぁぁぁぁぁ!!!!!」

背後から腹部をランスで貫かれた。ズブズブと私の腹からランスが伸びていく。

ズブズブズブゴチュグチュグチュ・・・

「ぐぅぅぅぅぅ!!!舐めるなぁぁぁぁぁ!!!!!」

私はランスを掴んで這い出ようとした。ぐいぐい動いて腹と背から血飛沫を上げながら。口から血を溢れさせながらギリギリ歯を食いしばる。

「バルメ。私の為に死んでくれないか?」

私の動きが止まった。ボルドはココの姿のままだった。違う。こいつはココじゃ無い。違うんだ・・・。

でも・・・。身体が言う事を聞いてくれません・・・。このまま死んで楽になっていいですよね・・・?

私は抵抗を止めた。ランスの半分まで来た身体は、ズルズルと元の根本まで後退していく。血を噴き出しながら。頭を下に傾けて涙を流しながら。

 

 

走馬灯が見えてきたんだ。私と瞬の思い出が。

私が走るモチベーションを上げる為と言って、私は瞬に、私の腹を叩けと命令し、瞬は引っ叩いた。

痛かったよ?こんな痛みに比べれば痒い程度だったけど。

でも、瞬は思いっきり引っ叩いた。手形が私の腹筋に残るくらいに。

その時、私はときめいた女の顔をしていただろうなぁ。瞬は気が付きもしなかったが。

・・・そうだよ。私はこの馬鹿に気が付かせなきゃならないんだよ。

私の想いを。私の愛を!

 

「・・・いい加減、目を覚ませ。この馬鹿がぁぁぁぁ!!!」

私はランスを叩き折った。そしてぶっこ抜いた。

「ごふぅ!はぁっ!はぁっ!・・・瞬、スゲェ痛いだろうが我慢しろ・・・。」

腹に穴が空いている状態で、私は瞬の鎧を思いっきり殴った。簡単に鎧は粉々になり、瞬は壁に吹っ飛んでいった。

瞬の鎧は粉々になり、つばめさんと、バルメさんと、知らない女性に変身しているボルドに当たった。

 

「・・・はは。そうですよね。私は、お嬢様がいけない事をした時は説教しました。今度はお嬢様に何の落ち度もない。けれど、お嬢様が私に死ねと命じたと思いこんだ、愚かな私を罰しなければなりません!」

つばめさんがランスをたたき折る。そしてぶっこ抜く。

「がはっ!お嬢様・・・。お目覚めの時間ですよ・・・。」

つばめさんは、ご主人のミーシャという少女が入った鎧を抱きしめて持ち上げた。

「ぐぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」

そしてベアハッグっていったっけ?あの要領で抱きしめたまま、粉々に鎧を砕いた。

・・・落ちてくるミーシャちゃんをつばめさんは抱きしめた。腹に穴が空いたままで。

 

「そうですよ・・・。ココがこんな下らない事で死ねと命ずる筈がありません。」

バルメさんもランスを砕いて、腹からぶっこ抜いた。

「待て!バルメ!私の言う事が聞けないのか!」

「聞けませんよ。偽者。」

バルメさんは、そのまま後ろに回し蹴りを放って、ヨナと呼ばれる少年が入ったランスナイトを打ち砕いた。

・・・落ちてくるヨナ君をバルメさんは優しく受け止めた。やはり腹に穴が空いたままで。

 

「チィッ!」

ココという女性の姿のままでボルドが壁から壁へ跳躍していった。凄いスピードだ。

「ひろなさん!後方上空から来ます!」

バルメさんが叫んだ。うん、わかっているよ。元の姿に戻ったボルドが凄い勢いで私を切り裂こうと落下してくるのが。

でもね?何となく出来そうな気がしたんだ。

私は、半回転して後方のボルドの顔面に蹴りを入れた。

オーバーヘッドキックがさ!

ボルドは、壁に激突した。

「何でかなぁ?何でかな?おっかしいなぁ?なんで上手くいかないの?」

ボルドがそんな戯言を言っている向かいに立って、私達は横一列に並んだ。腹部はもう完全に再生している。

「さぁ、お仕置きの時間ですよ?」

「お嬢様を利用した罪、万死に値します!」

「私さ。今まで人を殴った事無かったんだよね。でも、今は、本気でお前をぶちのめしたい!」

私達は駆け出した。

 

「あっはぁ!」

ボルドが立って頭の後ろで両手を組んで、股間を出して、そこからマシンガンの弾が無数に発射された。

ズドズボグジュズボブジュ・・・

私達の肩や胸や腹や脚に無数に着弾した。痛い。でもそれで止まる私達じゃ無い。

私達はボルドを3人同時に蹴ろうとし・・・、停止した。

ボルドが入れ替えの態勢を取っていたから。

ボルドが構えを止めて、私達の方を向いた。

「あれ・・・?」

直後に、バルメさんがボルドの顔面を、つばめさんがボルドの胸を、私がボルドの腹を殴って、そのまま壁に突っ込んでいった。これは私達の身長順だ。

バゴォ!ドガァッ!ボゴォ!・・・

「おげぇぇぇぇぇぇえぇぇ!!!!」

部屋を突き破りまくって私達は進む。城の外に出た。やはりここは城の最上階。

下を見る。様々な建物がある。今まで通過したステージが。求めた部屋に向かってそのまま跳んでいく。殴りながら。

ドゴォォ!

部屋突入。やはりここだ。溶鉱炉のステージ。

「待って!待ってよ~?人質には傷を治して、丁重に食事を出したんだよ?これでマグマ叩き込みって酷くない?あがががががあぁぁぁぁぁ!!!!」

「「「黙れよ、クズ野郎!!!」」」

3人揃って拳を振り抜いた。ボルドは溶鉱炉に落ち、叫び声を上げながら沈んでいった。

私達は、闘技場に着地。

「皆さん、まだ終わりじゃ無いですよ。人質救出しなければ。」

「言われなくとも!」

「分かっております!お嬢様ー!」

私達は、大切な人を救出した。

ミーシャちゃんは、つばめさんの姿を見て絶叫した。つばめさんが抱きつくのに抵抗していた。やっぱりそういう関係なんだ・・・。

ヨナ君は照れてそっぽを向いていた。バルメさんは笑顔で頭を撫でていた。

私は、瞬を抱きしめた。さぁどうする?

「先輩・・・?何がどうなっているんですか?なんで泣いているんですか?」

瞬・・・。お前はそういう奴だよ・・・。

 

 

事件後、私はキノコの力を『封印』してもらった。消した訳じゃ無い。

こんな力を走るのに使いたくない。ドーピング検査に引っかかるのもごめんだ。

でも、またこんな事が起きたら、私は瞬や大切な人の為に、この力を使うんだ。その為、封印。

ボルドの城は、バルメさんの組織によって爆撃された。バルメさんの組織は、やはり武器商人だそうだ。

「実は、私達は世界を根本からひっくり返す計画を考えていた事もあったんですよ?」

「へぇー。」

つばめさんが言った。私は何も言えなかった。バルメさんと敵対するなんて嫌だ。

「もし、またそうなったら・・・止めに来て下さいね?」

「安心して下さい。安らかに、ぶっ殺します。」

私は何も言えなかった。そんな未来が起きない事を願うばかりだ。

なお、ボルドの城、というか島はカプリッチョ達が故郷奪還した。加藤鉄雄は島に残って修行している。カプリッチョは誰でも超人化するキノコを開発し、自分達で食べ、加藤鉄雄に無理矢理喰わせた。その力を平和の為に使って下さい。

 

・・・そして数ヶ月後、私はオリンピック代表選抜予選を通過して、代表選手として開催地に行く。瞬も一緒だ。トレーナーだし。

空港に2人が来てくれた。

つばめさんはメイド姿で、ミーシャちゃんと共に。私は、ミーシャちゃんに走り方を教えている。ミーシャちゃんは私には素直だ。

・・・その為、つばめさんに最近嫉妬の目で見られている。

バルメさんとヨナ君と、ココさんが来た。・・・正直に言うと、私はこのココさんを一目見て怖いと思った。

・・・いつの間にか、ココさんが私のすぐ側まで来ていた。

「安心して下さい。あなた達の戦いを、あなたの走りを見て、私は人類を見直す事にしました。当面は。私にほんの少しの希望を与えたのは、あなたとつばめさんですよ。」

「・・・当面、という言い回しが気になるんですが。」

握手した。・・・冷たい手だった。

そして、飛行機に乗り込む。瞬とは隣の席だ。

「なぁ・・・瞬・・・。オリンピックが終わったら、結婚してくれないか?」

「はぁ?」

「駄目か・・・?」

「いえ・・・。駄目ではないですけど・・・。速くないですか?まだ付き合ってもいないのに・・・。」

私は瞬を思いっきり平手打ちした。

こいつは駄目だ。わかり合えない。

だから、一生かけて付き合うんだ。このわかり合えない男を、私、水野ひろなは愛し続けるから。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。