※この作品はR-18です。

マネージメント   作:ハルバードマカロン

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★ドラマの練習

 その日は、とある打ち合わせがあって、俺と彩恵は午前中から外に出ていた。

 夕方になってようやく、その打ち合わせが終わり、事務所に戻ってきて、ちょうど出勤してきた灯と合流したのだが……。

 

「帰ってきてからずっと頭抱えてますけど、どうしたんですか?」

「さあ……? 俺もどうしたんだって聞いてるけど、ずっとあんな感じだ」

 

 椅子の上であぐらをかき、絵に描いたように頭を抱えて憔悴している彩恵に、俺も灯も首を傾げた。

 彩恵にもこの会話は聞こえているはずなのに、彼女はこちらを一瞥もせず、ずっと何かに苦しんでいる。

 

「ドラマの打ち合わせだったんすよね。特番の」

「ああ。一話ポッキリの二時間ドラマ。同性愛を絡めた女子高生バンドの話なんだが、実際に演者が演奏するシーンなんかもあって結構、気合入ってそうだった。ちなみに彩恵は主人公のバンドの一員で、ギター担当の先輩」

「ギターぐらいならサラッと弾けそうっすけど」

「実際オーディションの時は課題曲の弾きっぷりで監督に気に入られたんだ。ああなるほどの不安要素はないと思う……」

 

 はずなのに。

 彩恵は口を開く様子もなく、下を向いたまま。

 灯も多少心配になったようで、顔色を窺いながらそっと近づく。

 

「あやめさーん……。おつかれーっす……。調子はどうっすか?」

「……最悪な気分があんたのせいで邪悪になった」

「なんで私のせいやねん」

「はあ……困った。由々しき問題よ」

「ギター役なんて彩恵さんにピッタリじゃないっすか。ド派手に決めちゃってくださいよ」

「演奏なんかどうでもいい。それより困った問題があるの」

「濡れ場シーンがあったり?」

「んなわけねえだろ」

 

 さすがに口を挟んで否定した。

 ストーリーの大まかな流れは聞いたし、台本も目を通している。そんなシーンがあったらさすがにうちの事務所が黙っていない。

 しかし、彩恵はため息を吐いて灯に頷いた。

 

「ある意味正解かもね」

「え?」

「その……あるのよ。ストーリーの中盤で。私が主人公にキスするシーンが」

 

 灯と俺は顔を見合わせた。

 そして同時に。

 

「「で?」」

「由々しき自体じゃない! そもそも私アイドルでしょ⁉︎ なんでキスシーンなんてあるのよ!」

「ファン心理を考えると男性とのキスはNGだが、今回、主人公も女の子だし同姓同士なら大丈夫かなって。なんなら一部界隈が盛り上がりそうじゃないか」

「人気アイドルの百合シーンはバズる」

「それに向こうも言ってただろ。実際に唇を合わせる必要はないって」

「そうだけど……」

 

 彩恵が難しい顔で肯定した。

 灯が「どういうことっすか?」と、俺の顔を見上げる。

 

「ライブハウスで、主人公と二人で作曲しているときに、不意に彩恵側から迫るんだ。でも、カメラと二人の間に上手いこと機材が配置されてて、その機材のせいで二人の顔が隠れる。だから体の動きとかその後の主人公の反応で、キスしたんだなって視聴者はわかるが、隠れる以上、演者は実際に唇を合わせる必要がないってわけ」

「なるほど。ならいいじゃないっすか」

「でもリアルを追求するなら、一瞬でも合わせたほうがいいとも言ってたわ」

「確かに彩恵さんに実際にキスされたとなると、お相手さんの生の反応が見れそうっすね」

 

 ふむふむと、灯が頷く。

 

「キスひとつにそこまで躊躇う必要あるか? 所詮ドラマのワンシーンだぞ」

「…………チッ」

「舌打ち⁉︎」

 

 彩恵の舌打ちなんて聞いたことがなくて、思わず素っ頓狂な声を上げた。

 と、そこで俺のスマホが震える。上司からのメッセージだ。

 

「悪い。ちょっと席外す」

 

 そう言い残して、俺は会議室を後にした。

 戻ってきた時には彩恵の機嫌が治っているといいのだが。

 

 ————————————

 

 パタンとドアが閉まって、お隣さんの姿が見えなくなった。

 二人きりになった会議室で、私は彩恵さんに振り返る。

 

「……ま。所詮ドラマのワンシーンとはいえ、貴重な乙女のファーストキスをポイ捨てするのに気乗りしない、ってのはわかりますけど」

「……別にそんなこと言ってない」

「普通に顔近づけるだけでいいんじゃないっすか? 普段から言ってるでしょ。ファンとかどうでもいいって。作品のクオリティとか世の中の反応とか無視して、適当に済ませちゃってくださいよ」

「……それができたらこんなに悩まないわ」

 

 そう言って彩恵さんはカバンを漁って、一冊の本を取り出して私に渡した。

 

「小説?」

「今回のドラマの原作本よ。学生の時からファンでずっと読んでた」

「あー……」

 

 つまり原作ファンである以上、ドラマのクオリティにはこだわりたいという気持ちがあるわけだ。これは難儀な話になってきた。

 

「確かにこれは難しい二択っすね」

「唇まで合わせるとタガが外れてもう止まらなくなると思って、なんとか避けていたマネージャーとの接吻を解禁すれば無事解決するのだけど」

「許さねえぞ、ゆる穴アイドル。私だって同じ理由で我慢してるのに」

「あんたみたいなのがいるからそうもいかない」

 

 睨みつけてみたけど、涼しい顔で受け流された。

 

「撮影までに練習もしたいし……ああ、どうしたらいいのよ、これ……」

「なーんでオーディション受けちゃったんすか? 原作知ってるならそういうシーンがあるって知ってたでしょ」

「私の好きな作品の好きなキャラクターを私以外が演じるとか殺意湧く」

「ほんっとに面倒くせえ!」

 

 なんもかんも自分で招いた事態だ。自業自得すぎる。

 

「一応……解決策がないこともないのよ」

「どんな?」

「私とあんたで……キスする」

「死んでも嫌っす」

「私も殺してでも嫌」

「死ぬの私だけじゃないっすか……」

 

 自分だけ生き残りやがって。

 

「でもこれが私が出せる唯一の妥協案よ。あんたと唇合わせるなんて想像しただけで昨日の夕飯出そうになるけど、ファーストキスをどこぞの女優にポイ捨てするよりはマシ。あんただって、自分の身を犠牲にさえすれば私に抜け駆けされずに済むんだから、アリでしょ」

「嫌だ。嫌すぎる。お隣さん盗られるのは嫌だけど、彩恵さんにキスされるのはもっと嫌」

「冷静に考えて、私のお尻舐めたくせに、キスを嫌がってるのおかしくない?」

「…………」

 

 やばい。それを言われるとそうだな、って思っちゃう。

 何やってんだ過去の私。 

 

「でもあれはプレイの一貫というか、お隣さんの情欲を煽りたかっただけで……」

「なら私とのキスもそういうことにすればいい」

「はい?」

 

 いいことを思いついたという顔で、ふんぞり返る彩恵さん。

 私のこめかみに冷や汗が伝った。

 

 ————————————

 

 我が家の寝室。カーテンを閉め切り、リビングとのドアも閉じて外と隔離された空間に、二人の演者が難しい顔で台本を読んでいた。

 それぞれベッドの右端と左端に腰掛け、背中を向け合っている。明るい電球の下、二人ともどこか浮かない表情で、なんなら背中越しに相手を威圧しているように見える。

 

「……本当に台本の読み合わせ、なんだよな?」

 

 念のため訊ねた。

 

「ええ。あなたはスマホで撮影していればいいから」

「ああ……マジでやるんだ」

 

 彩恵は真剣な顔で頷き、灯は絶望したように天井を仰いだ。

 二人は学生服姿だった。灯は普段通っている学校の制服を。そして彩恵は灯の持っていたブレザーのコスプレ衣装を借りて、演じる役柄に見た目を近づけている。

 彩恵の学生服姿なんて滅多に見られない。彼女が二十一歳なのも踏まえると、なんとも味わい深い姿で個人的にはとても気に入っている。

 

「……見過ぎ」

「すいません」

 

 さすがにガン見しすぎたようで、彩恵に注意された。

 彩恵は呆れた顔をして、台本を閉じ、「やるわよ」と灯に声をかけた。

 灯は深々とため息を吐き、台本を床に置いてパチンと自分の頬を叩いた。

 

「……覚悟はできました。いきましょう」

「何だ覚悟って。彩恵の相手の代役やるだけだろ? 実際にキスするわけじゃるまいし」

「…………」

 

 俺の発言に灯と彩恵は複雑な表情で黙りこくった。

 何だこの空気。てっきりセリフを読んで例のキスしたっぽい演技をするだけだと思っていたのだが……もしかして、もしかしたりするのだろうか?

 そんな俺の心のざわめきには答えず、二人はベッドに座ったまま役に入った。

 

 ・

 ・

 ・

 

「にしても、先輩がうちのバンド入ってくれて助かりました。私は独学で勉強したので、ちゃんとした理論もわからないから、先輩みたいな、きちんと音楽学んだ人の意見聞きたかったんですよねー」

 

 灯が楽譜をチェックしている風を装いながら言うと、彩恵がふふっと笑う。

 

「きちんとって言っても、音楽家の親の言うこと適当に聞いてただけだけどね」

「でもそのおかげで、私たち助けられてますし。いつも感覚でやっちゃうから、コンテストとかでも厳しい評価ばっかりで……」

「私はガチガチに理論で固めた音楽より好きよ。特にあなたのキーボードは今まで聞いたどの音よりも好き」

「え、えー。そんなに褒めても何も出ませんよー。えへへ……」

 

 灯が恥ずかしそうに腕を摩る。

 その仕草と表情に、彩恵は僅かに唇を噛んだが、灯は何も気づかずに楽譜を見つめたまま。

 

「……好きよ」

「あ、ありがとうございます。演奏褒められることないので嬉し——」

「マキちゃん」

 

 役の名前を呼ばれ、楽譜を見ていた灯が顔を上げたその瞬間、彩恵が彼女の唇を奪った。

 はっと息を呑む音。

 僅かに触れるだけのキス。

 灯の目は見開かれ、彩恵は吹っ切れたようにクールな眼差しだった。

 そっと口と口が離れる。

 

「びっくり、した?」

「は、はい。事故……じゃないんですよね?」

「……事故だと思ったなら、やり直させて」

「待っ——」

 

 再度キス。

 一度目より長く、溶け合うような、より密着した口づけ。

 互いの耳元が赤く染まっていき、永遠にも感じる甘い時間が流れ、そして——。

 

 ・

 ・

 ・

 

 限界を迎えた二人が咄嗟に離れ、お互い背中を向けながら地面に膝をついた。

 彩恵が顔を青ざめさせて口を押さえる。

 

「うっ、おえ……っ!」

「えづくなよ。灯が可哀想だろ」

 

 そう言って灯を見ると、

 

「げぷっ……! げえぇ……」

 

 灯の方がより酷かった。女の子の口から出ちゃいけない音を出している。

 

「お前らなあ……」

「ううっ……どうしてこんなことに」

「……まだ、練習しなきゃ……」

「どんだけお互いのこと嫌いなんだよ」

 

 そしてなぜそこまでして、演技練習をするのか。

 二人は口元を拭って、もう一度座り直す。

 

「だ、ダメね。演技の前にそもそもキスに慣れてなさすぎる。動きもぎこちなかったし」

「どうすんすか……。演技経験ないのにセリフ読まされてるの、地味に恥ずかしいんすけど」

「セリフは置いといて……。キスを……」

「あああああ〜……結局そうなるのかあ……。でもプレイの一環と思えばまだギリ耐えられるか……?」

「プレイ?」

 

 灯から気になるワードが出てきたが、灯は答えず部屋の電気を間接照明に切り替えた。

 薄暗い、夜の気配に包まれる中、灯と彩恵は顔を突き合わせる。

 

「やるわよ」

「へい……」

 

 力無い返事の灯の顎を指で摘んで顔を上げさせ、彩恵はゆっくりと顔を近づける。

 

「んっ……」

 

 二人とも目を強く瞑り、三度の接吻。

 俺の持っているスマホに、ぎこちない動きと表情が記録される。

 

「っふ……んっ、……ちゅ……」

「…………っ、あ…………ん…………」

 

 彩恵が角度を変えながら、何度も啄む。

 くすぐったいのか、嫌悪から来る悲鳴なのか、灯の口から小さな音が漏れる。

 何だかとても、見てはいけないものを見せられている気がする。

 女の子同士のキスを間近で見るなんて、当然初めての経験で、それが俺を無視して何度も繰り返されているとなると、不思議と満たされるものがある。

 ガールズラブとか、百合、みたいな概念に興味がない俺のような人間ですら、目の前で行われている行為を、“良いもの”として、認識してしまっていた。

 

「んっ、む…………ちゅ、あ…………んむ……」

 

 彩恵が常に主導権を握って、灯を離さまいと唇を重ね続ける。

 灯は顔を真っ赤にしながら、受け入れて、チラリと俺の顔を見た。まるで、どうですか? と言いたげな目で。

 

「…………い、いいと思う。わからんけど」

「むっ、ちゅ…………ふっ、う…………もっと、見て……」

 

 灯は彩恵の背中に腕を回して、より強く密着する。

 彩恵は眉間に皺を寄せつつ、更にワンステップ先へと進んだ。

 

「……ちゅるっ、ん……んむぅ……ぢゅる…………っん、あ…………」

「うっ、ん⁉︎ …………あ、彩恵さ……んぢゅ…………やあ…………」

 

 彩恵が舌で灯の唇を撫でた。

 灯は嫌がりつつも、舌を出し、彩恵と唾液を塗り合うように重ね合わせる。

 女学生同士の、深い絡み合い。

 それまではお芝居の練習や、ちょっとしたお試し程度だったものが、急激に生々しさを醸し出した。

 

「これ、どこまで行くんだよ……」

 

 思わず訊いたが、二人とも答えない。時折俺の顔を見ながら、ただずっと舌を絡ませ合う。

 唾液を飲み込むタイミングや、呼吸のタイミングが掴めないのか、口の端から糸を引いて、制服に垂れる。

 

「ぢゅむっ、ん……ぢゅるるっ、あ…………灯ちゃん、もっと…………んむぅ……」

「ん、ふっ……あ、あむっ…………ううっ……ぢゅぅ…………」

 

 次第に羞恥とは違う意味で、二人の顔が火照ってきた。

 女の顔を、キスの相手に向けて見せ始める二人に——苛立ちを覚えた。

 立ち入ってはいけない領域に、混ざりたくて仕方がない。何より、こんなにも美しい光景は、男として汚したくなる。

 不純な想いが湧き立つ俺に、灯が気づいたようで、ようやく彩恵から顔を離した。

 

「っぷは……! ふふっ。お隣さんイライラしてる。百合の間に入りたくて仕方ない顔だ」

「撮影のための真面目な練習だから、邪魔されると困るんだけど……まあ、オカズにするぐらいならご自由に」

 

 楽しげに口元を緩ませ、二人は見せつけるように舌と舌を伸ばした。

 舌と舌が、空中でベッタリとくっつく。更には両手を恋人繋ぎにして、俺を完全に除け者にし、二人だけの空気を作る。そうやって、俺を沸き立たせるつもりだ。

 悔しいが、まんまとその手に乗っかった。

 

「チッ。無視すんなよ」

 

 俺はベッドに上がるとベルトを緩め、膝立ちになりながら二人の間に息子を割り込ませた。

 百合の咲く花園に、無遠慮に竿を突っ込み、絡み合う舌に押し付けた。

 

「んぢゅっ、んあ……もうっ♡ レズキスの横からおちんぽ捩じ込むなんて、最悪っす♡ せっかくの甘い雰囲気が一気にオス臭くなったあ……♡」

「れろっ、むちゅぅ……♡ 灯ちゃんの唾液が、マネージャーのちんぽ汁の味になっちゃった♡ これじゃフェラしてるのかキスしてるのかわかんないじゃない……♡」

 

 文句を垂れながら、二人は嬉しそうに俺の竿越しに相手の舌を貪る。

 カリ首をほじくりながら、向こうから伸ばされた舌を唇で優しく食(は)んで、我慢汁ごと、唾液を飲み込む。その様をスマホ越しに眺めながら、行為をエスカレートさせていく。

 

「もっと絡んで」

「ぢゅぷっ……ん、これ以上、どうやって……」

「普通にレズプレイしてくれればいいから」

「普通じゃないけど、それ……」

 

 躊躇いながらも、彩恵は灯の制服のボタンを外した。灯は顔を強張らせつつ、拒むことはせず、同じように彩恵のネクタイを緩めてシャツをはだけさせる。

 お互い、シャツの前ボタンを下まで外されて、ブラが露わになる。

 名残惜しいが、一度二人から身を引くと、彼女たちは俺に見られながら相手の胸を弄り始めた。

 

「んっ、ふ……ん…………彩恵さん、おっぱいデカ……」

「そっちこそ、見た目よりあると思うんだけど。ていうか、私より感度良い気がする……っん、あっ」

 

 ブラの隙間から指を滑り込ませて、刺激して。刺激されて。

 細かい吐息が行き来する。

 良い具合に高まってくると、灯が彩恵をそっと押し倒した。

 彼女のブラを捲り上げると、ピンと張ったピンクの頂点に勢いよくかぶりつく。

 

「んむっ……! ぢゅるるるっ! んむじゅうう……乳首、エロいっすね……。赤ちゃん返りしちゃう」

「ふっ、う……がっつきすぎ……。あ゙っ♡ 噛まないで……」

 

 灯に責められ、彩恵がモゾモゾと足を動かす。

 シーツがシワ寄り、スカートがヒラヒラと乱れる。

 いがみあっていた二人が徐々に本気で没頭し始める姿は、鮮烈だった。

 彩恵の顔の横まで移動して、顔の前で自分の竿を擦り上げる。彩恵は真っ赤に腫れ上がった竿の先端を見つめながら、クンクンと鼻を鳴らす。

 

「ううっ、あ……♡ マネージャーのオナニー見せつけられながら、乳首しゃぶられるとか……頭バカになる♡」

「お隣さんのガチオナ、初めて見たかも。ぢゅっる、んちゅぱっ。もっとおっぱい吸い出してあげますねー。ぢゅるるるるっ!」

「あっ、あっ、やあ……ん゙ん゙っ!」

 

 灯が遠慮のない音を立てて、彩恵の胸を啜った。

 彩恵が腰を浮かせながら、瞬きを繰り返して、切なげな顔を見せる。

 その恥辱と、快感と、悦楽の混じった表情にとどめを刺され、息子が大きく脈打った。

 

「っ……!」

「んあっ♡ ああ……はあ…………あっつい……。せーえき……たくさん♡」

 

 彩恵の額を、頬を、唇を散々に穢す。

 奥から残ったものも絞り出して、彼女に垂らして、端正な顔を台無しにした。

 

「こんなに出すなんて。まーた新しい癖開いてないっすか?」

「想像以上にクる。暫くトレンドになりそう」

「あららー。私も楽しかったっすけど」

「満足しているところ悪いけど、まだ終わってないわよ」

 

 もう終わったと、完全にオフモードに切り替えていた灯に、彩恵がティッシュで顔を拭きながら言った。

 灯は「へ?」と、疑問符を浮かべ、その一瞬の隙に今度は彩恵が灯を押し倒した。

 

「やられっぱなしが一番気に食わない。イジメ倒してあげる」

「年下らしく遠慮しときますんで、先輩マジ勘弁してくださ——」

 

 ワナワナと震える灯だったが、彩恵が止まるはずもなく、彼女はいきなり灯のスカートの中に手を突っ込み、ショーツを剥ぎ取った。

 ノーパン状態になった灯の股の間に入り、グッと腰を持ち上げる。

 大股を開いて、天井に向けて何も履いてない股間を曝け出す体勢になった灯は、一瞬で真っ赤に顔を染めた。

 

「ちょ⁉︎ こ、これ……!」

「マングリ返しっていうの? わかんないけど、全部丸見えね。女の子のとこも、マネージャーに開発されたところも」

「い、いや……っ!」

 

 顔を両手で隠す灯に、彩恵は口角を上げながら、ヒクついた菊門に唇で触れた。

 

「ちゅっ♡」

「ひゃうっ⁉︎ 彩恵さん、ダメぇ……!」

「あんたもこの前私の舐めたでしょ。お返し。……むちゅぅ……ちゅ、れろ…………♡」

 

 優しくくすぐるような口使いを披露する彩恵。

 その度に灯の身体が打ち上がった魚のように震えては、鳴き声を響かせる。

 

「ちゅ……ん、むぅ…………れろれろれろれろれろ♡」

「やめて……。お隣さん、見ないで……」

「はい、お仕置き。私がせっかく可愛がってるのに、お隣さんばっか意識しちゃうなんて、失礼でしょ」

 

 拗ねた口調で、彩恵は先ほどの練習と同じく、舌を灯の"口"に差し込んだ。

 

「……むう、ぢゅるるっ。んじゅぷっ、んあ……むちゅううぅ…………♡」

「う、あ……うう……っ」

 

 ディープな音に、灯はもう完全に顔を腕で隠して何も見ない、聞かないようにした。

 そうして自分を守ろうとする彼女が愛らしくて、俺はじっとしていられなかった。

 

「隠すなよ。せっかく可愛いのに」

「んぶっ⁉︎ んぐっ、ごっ…………お゙っ……♡」

 

 灯の腕を無理やり解かせ、片手で両手首を押さえつけると、空いた上の口に竿を捩じ込んだ。

 一気に喉の奥まで貫いて、道具のように扱い抜く。

 灯は頬に涙を伝わせながら、暴力的な身体の使われ方を受け入れた。

 

「んごっ、おぐっ、ん、ひゅっ、ん゙お゙ぅ…………♡」

「ふふっ。上も下も虐められて苦しそ。頑張って耐えてね。……じゅるるるるっ、れろれろれろれろれろぉ……」

 

 ギュッと目を瞑った苦悶の表情は、普段決して見ることのできない顔で、酷なことに、俺や彩恵の衝動を加速させるものでしかなかった。

 上がり続けるボルテージ。

 彩恵の愉悦に満ちた笑い声。

 拷問にも近い苦しみを与えられる灯の姿。

 あっという間に、俺は残弾をチャージし終わっていて、愛玩として使っていた灯の口にグッと一層強く差し込んだ。

 

「灯っ!」

「ん゙ん゙ん゙っ‼︎ んぐっ、お゙お゙っ、う、ごっほっ…………おえっ…………!」

 

 中に容赦なく発射すると、灯はえづき、咽せて、口から唾液と白い精を出してしまった。

 それでもできる限りの量を胃の中に押し込んで、息を切らして虚な目で天井を見つめていた。

 

「はあ……はあ……あ…………」

「あ」

 

 持ち上げていた腰を、彩恵がゆっくりと下ろすと、だらんと力なく放り出された灯の股から、ぷしゅっと小水が吹き出してシーツにシミを作った。

 灯は自分で気づいてすらいないのか、止めようともしない。

 彩恵は少し迷った結果、自分のスマホで彼女のその無防備で無様な姿を撮影して、『嫌がらせ』と称して灯本人のスマホにその画像を送りつけた。

 

 

 

 しばらくして正気を取り戻した灯が、自分のスマホを見て絶叫したのち、一週間、俺と彩恵に口を聞いてくれなかったのはまた、別のお話。

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