小柄でマイペースな妹・未遊は、昔から可愛かった。妹としてだけでなく一人の女の子として。

そんなある日、親から二人は血がつながっていないと明かされる。驚く妹をよそに、俺は内心で歓喜した。この異常だと思っていた感情は素直にぶつけていいのだと。

「お兄ちゃん……話あるんだけど」

だからその夜、妹が部屋にやってきたとき——俺は思わず押し倒してしまった。

これは、後先考えなしの兄と、ちょっとコミカルで面倒くさがりやの妹のドタバタ純愛ラブコメ。

※ノクターンノベルズでも公開中

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義妹と初めてセックスした次の日。性懲りもなく中出しエッチする話

 朝、洗面所で歯を磨いていると、のそのそと妹がやってきた。

 

「お兄ちゃんおはよー」

「おふぁお」

 

 眠そうな目をこすりながら妹の未遊(みゆ)が隣に立つ。

 

(相変わらず……寝ぐせすごいな)

 

 黒髪ロングが、お笑いのコント番組みたいにボサボサだ。

 

 毛先が跳ねまくってるのがコミカルで面白い。

 

 未遊は寝ぐせを直そうともせず、「ふぁ」とあくびをしながら歯ブラシに歯磨き粉を乗せた。

 

 鏡を見れば、20センチ以上は身長差のある兄と妹が、並んで歯を磨いている。

 

 未遊が長いまつ毛をふせ、目をつぶったまま歯ブラシを動かす。寝ぼけ顔のくせに目鼻立ちが整っているせいかアホっぽく見えない。

 

 シャコシャコと二人分の歯磨き音が、洗面所に響く。

 

 まったくもって、いつもの朝だ。

 

「今日はいつにもまして髪が爆発してるぞ」

 

 先にうがいを終えた俺が、なかば感動しながらつぶやく。

 

 すると未遊もガラガラぺとうがいをし、初めて目を開け、鏡をぼーっと見つめた。

 

「お兄ちゃんがくしゃくしゃにするからじゃん……」

 

 うんざりしたように発したその一言で、心臓が跳ねる。

 

 俺は昨晩、この小さい頭を撫でまくった。飽きることなく何度も。

 

 つい細い首筋や、白いTシャツをささやかに膨らませる胸元にも目が行ってしまう。

 

「あー、高校生活は順調か?」

 

 気まずさをごまかすように、話題を変える。

 

「まだ高校入って二日しか経ってないのに、順調とかわからんし……」

「まあ、そっか」

 

 未遊がやっとこさ黒髪をブラシでとかし始める。面倒くさそうに「あ゛~」と声を上げているのが面白い。

 

 妹は朝にめっぽう弱い。

 

 ほとんど目をつぶったまま洗面所に来て、目尻を下げながらルーティンをこなす。ぱっちり二重の瞳が開かれるのは朝ごはんを食べ始めてからだ。

 

 年のわりに小柄で、マイペースな妹。

 

 そんな気まぐれ猫みたいな未遊に、不覚にもドキドキし始めたのはいつからだっただろうか。

 

「遅刻すんなよ」

「んぁ~」

 

 俺はいつものように妹の髪を軽くポンポンすると、洗面所を出た。

 

 普段どおりの朝。いつもの兄と妹。

 

 ただ違うのは、昨日の夕飯のとき、実は俺たちの血がつながっていないことを両親から明かされたこと。

 

 そしてその晩、妹から義妹になった未遊を、犯したことだ。

 

 

 

 

 俺が3歳の頃に、両親は再婚したのだという。俺は父さんの、未遊は母さんの連れ子だったらしい。

 

「……マジすか」

 

 夕食の席で、未遊はポカンとつぶやいた。

 

 だけど俺のほうは、どこか冷静に受け入れていた。

 

 親が再婚したときのことは覚えていない。でも今思えば、ある日突然、母さんと赤ん坊の未遊がやってきた……ような気もする。

 

 ただその時、父さんから「お前の妹だぞ」と言われて嬉しかったのは覚えている。

 

 未遊は最初から可愛かった。俺は兄として、普通に可愛がった。

 

 でも彼女が成長するにつれ、なんとなく違和感を覚えるようになった。

 

 いつも能天気で気が抜けていて、鈍感で、そのくせ人見知りな未遊から目が離せない。

 

 最初は妹可愛さによるものかと思ったが、女の子らしくなっていく体付きや、艶っぽくなっていく黒髪、間の抜けた顔や小生意気な笑み、よく見るとアイドルみたいに整った顔立ち、ゲームしよ~と低いテンションで誘ってくる声に、胸の奥が高鳴るようになった。

 

 なんというか、実の妹とは思えない。

 

 普通に可愛い女の子だと脳が錯覚してしまう。

 

 なので両親から血がつながっていないと聞かされたときは、驚くよりも納得感のほうが強かった。いや正直いうと——。

 

(よっしゃああぁぁぁっ……!)

 

 心の中で歓喜していた。俺のこの異常だと思っていた感情は、素直にぶつけてもいいのだと。

 

 

「お兄ちゃん……話あるんだけど」

 

 だから深夜、未遊が部屋にやってきたとき。

 

 俺は思わず彼女をベッドに押し倒してしまった。

 

「おわっ? えッ、ちょっ……お兄ちゃんっ、んむッ——」

 

 気づいたら未遊の唇を奪っていた。

 

 想像していたよりも百倍柔らかくて、頭がぼうっとして、夢中で唇を押し付けてしまった。

 

「ちょっ、んぅッ——、お兄ちゃん、なにっ、んッ、ぅぅッ……まっ、タンマ、お兄ちゃんてば」

 

 怒りのこもった口調で我に返り、慌てて唇を離す。

 

「あ…………すまん」

「すまんって……えっ、なにこれどんな状況……!?」

 

 部屋の電気は点いていない。だから未遊が今どんな顔をしているのはほとんど見えない。ただ、うろたえているのは痛いほど分かる。

 

「すまん、血がつながってないんだって思ったら、つい……弾みで」

「えぇ~……」

 

 未遊が困ったように目尻を下げたのが、辛うじて見えた。彼女の困り眉と呆れたようなため息に、どんどん理性が戻ってくる。

 

 やってしまった。

 

 いくら能天気な未遊でも、両親から聞かされた事実にはショックを受けたはずだ。きっと不安もよぎっただろう。これから「血のつながらない兄妹」として、どう接していくべきかを相談するため俺の部屋に来たのだ。

 

 なのに俺は、こともあろうにいきなりキスをして、彼女の戸惑いを上塗りしてしまった。

 

「ごめん、ほんとごめん未遊」

「えぇ……なんでお兄ちゃんのほうが困った感じなの……」

 

 未遊が困り眉のまま目を閉じる。目尻がさらに下がり、困ってるのはこっちなんだけどと表情で伝えてきた。

 

「なんつーか、まぁ、これで俺の気持ちは伝わっちゃった……よな」

「いやわからんて……お兄ちゃんいつも行動が突飛だからさぁ」

 

 はぁ、と未遊が大きなため息をつく。

 

 そうだった。未遊は人一倍、鈍感で、色恋なんて自分には無関係だと思っている節がある。

 

 ましてや昨日まで実の兄だと思っていた相手に、突然こんなことをされたり言われたりしても、ピンとくるわけがない。

 

「まぁ、未遊とこういうことしたいって、ずっと思ってたっつーか」

「え、いやぜんぜんわからんし」

 

 すまん未遊……実は俺も気持ちを整理しきれていない。

 

 感情が先行して押し倒してしまったが、俺も戸惑いはある。

 

 ならば整理してから行動に移せよという話だが、思い立つ前に動いてしまうのが俺の悪い性分だったりする。ほんとすまん。

 

「お兄ちゃんさぁ」

 

 未遊が呆れを通り越し、うんざりしたような口調でつぶやく。

 

「こういうことしたいって、どーいうこと?」

「あ~……つまりはまぁ、未遊を抱きたい的な」

「はぁ~……そういう感じかぁ……」

「嫌か? いや嫌だよなっ、当然か」

「私、これからどうする的な相談しにきたんだけど」

「だよな、すまん」

「まぁ……いっか。うん、してもいいよ。はい」

「え?」

 

 未遊が仰向けのまま脱力した。

 

 目尻を下げきって、もうどうにでもして~と言わんばかりの態度に、俺のほうがポカンとしてしまう。

 

 でもそうだった。

 

 未遊は人より驚きやすくて「え、やだ」「むりっ」と反射的に口にするくせに、いざ事が起こると、こっちが拍子抜けするくらいすんなり受け入れる。

 

 (いさぎよ)いというか、極度の面倒くさがりというか。

 

 だけどその切り替えの早さは見ていて面白くて……そういうところも、俺は可愛いと思ってしまう。

 

「あー……お兄ちゃん、あのさ」

「なんだ?」

「お兄ちゃん力強いから、やさしく頼む……」

 

 まるで介錯をお願いする武士のような言い方だ。覚悟を決めたというより、面倒だから考えるのを諦めたみたいな感じがすごい。

 

「ああ、そりゃうん、もちろん」

「私、どうしてたらいい? 服脱ぐの?」

「あー、俺が脱がすからいい。未遊は自然にしててくれれば」

「自然にって言っても、緊張してるんすケド……」

「だよな。なるべく上手くする。っつっても俺も初めてだから、(つた)なかったらすまん」

「私も初めてなんすけどぉ……」

 

 困りきったように未遊が言う。見慣れた困り眉がやっぱりコミカルで、可愛い。

 

(てかこれ……なし崩しとはいえ、一応受け入れてくれてるんだよな。いや本当に面倒なだけかも)

 

 ただ、未遊が本当に嫌がっていたら分かる。伊達に十数年一緒にいない。

 

「キス、するけどいいか?」

「ぇ、キスっ ……あ、さっきしちゃったのか。ならうん、どーぞ」

 

 ため息まじりに、投げやりな感じで未遊が言う。

 

 俺は枕元に広がった黒髪をかき集めるように、小さい頭を撫でた。

 

 なるべくリラックスできるよう繰り返し髪の流れをなぞってから、ゆっくり唇を近づけていく。

 

「んっ……」

 

 未遊の唇は、さっきよりも強張っていた。

 

 だけど何度かついばんでいるうちに、はぁとため息をついて柔らかくなった。

 

 少しだけ開いた唇の内側を確かめるように、口先を押し込んでみる。一線を越えてしまったのだと今さらながら実感する。

 

 口づけをしながら、彼女のほっそりとした体へ手を走らせた。

 

「んッ」

 

 未遊の唇がまた強張る。

 

 手のひらの感触を頼りに、胸のあたりを触ってみる。

 

 こんなことなら電気を点けておけばよかった。こう暗がりだと、小柄な未遊の全体像がつかみづらい。

 

「んぅッ……」

 

 むに、と明らかにおっぱいらしき膨らみを揉むと、未遊が喉奥を鳴らした。

 

 Tシャツの下にリアルな体温を感じる。未遊はノーブラだった。本能的に指先が乳首を探してしまう。

 

 すぐにクニとした感触の、柔らかいとも硬いともいいがたい突起を見つける。キスをしながら揉んでいると、心なしか(つぼみ)の硬さが増していく。

 

 未遊の乳房は、俺の手のひらにすっぽり収まるサイズ感だった。Cカップくらいだろうか。もっと小さいかと思っていたので、意外な揉み心地にドキドキする。

 

 というか未遊のおっぱいを揉んでいるという状況がもうやばい。頭に血がのぼって理性が飛びそうだ。

 

「お兄ちゃん、おっぱいは……ちょっと」

「すまん、嫌だったか?」

 

 勘弁して~といわんばかりの声色に、慌てて手を離す。

 

「イヤってか、あちこちくすぐったくて……」

「胸がか?」

「胸もそーだし、なんか体全部ぅ……」

 

 また困り眉だ。

 

 そういえば未遊は極度のくすぐったがり屋というか、敏感というか、誰かに肩を叩かれただけで「うぇ!?」と大げさなリアクションを取ることがよくあった。

 

 なんか急に、未遊の体へどう触れればいいか分からなくなる。

 

「……」

「お兄ちゃん?」

「いや、ちょっとためらってる。いろいろ」

「なんだよそれ~……じゃーやめる? 私も眠いし」

 

 またしてもうんざり顔。

 

 未遊はさっきからずっと困り眉のまま目を閉じている。今にもあくびをしそうだ。そういえばこの妹は夜もめっぽう弱かったんだった。でも——。

 

「やめたくない。……もう挿れてもいいか?」

「いれる?」

「そう、挿れたい。未遊の中に」

「あー……いれるって、いれるのか」

「抱くってそういうことだろ」

「なんか痛そうだぁ……」

 

 未遊がうへぇ~みたいな声を漏らす。

 

 そりゃいきなり兄に挿入されるなんて、義妹になったとはいえ普通にうへぇ~な状況だろう。我ながら突然すぎるし。未遊はもちろん俺だって心の準備ができていない。

 

 だけど、頭より先に体が動いてしまう俺の本能が、今抱かないと色々うやむやになってしまうと訴えている。

 

「少しでも痛かったらやめるから……いいか?」

「うー、まぁいいけどさぁ、お兄ちゃん避妊するやつとか持ってるの?」

「持ってない。でも外に出すよ」

「えぇ~……」

 

 はぁ、と大きいため息をついた未遊が、また脱力する。

 

 放っておいたら本当に眠ってしまいそうだ。

 

 俺は急いで自分のズボンとトランクスを脱ぐと、未遊のハーフパンツに手を掛けた。

 

「うぅ、くすぐったぃ~」

 

 彼女が目尻を下げながら、口の端もへの字にしているのが分かった。

 

 ハーフパンツを脱がし、いよいよ下着も脱がしていく。

 

「未遊、ちょっとお尻上げて」

「え~……」

 

 面倒くさそうに未遊が腰をちょっぴり浮かせる。その隙に布地を下ろし、するすると太ももを通していく。

 

 つま先からパンツを抜くと、そのまま彼女の両脚を開かせ、すでに勃起しまくっている股間を近づけていった。

 

 暗くてよく見えないので、ペニスの感覚を頼りに目的の場所を探す。

 

「ひぃ、うぅ……」

 

 亀頭の先がアソコのあたりに触れるたび、未遊が変な声を上げた。くすぐったそうで、それがやけにエロい。

 

 ヌチュ、と先端がそれらしい割れ目に埋まった。すごく濡れている。本能的にここがそうなんだとしっくりくる。

 

 小さくて狭い。でも押し込んだら深く挿入できそうな感じがした。

 

「未遊、ここか?」

「多分そこぉ……」

「痛くないか?」

「うぅ、大丈夫だと思う」

 

 声色は大丈夫ではなさそうだが、妹が大丈夫だと言うのだからそれを信じよう。

 

 というかもう挿入したくてたまらない。ぬるぬるした割れ目が亀頭に吸い付いてきて、尻の奥らへんがゾクゾクしっぱなしだ。

 

「じゃあ、挿れてくぞ」

「あ゛ぅ……あ、あぅッ、いッ、つぅっ……」

 

 チンコが未遊の膣中を押し広げていく感覚。

 

 俺は息ができなかった。思わず奥歯を噛みしめる。熱くて窮屈な未遊のマンコがぎゅうっと肉棒を締めてきた。

 

「ぐ……まだ半分くらいだけど、痛いか?」

「いたっ……い、ような、苦しいようなっ……」

「深く挿れないほうがいいか」

「んっ……ぁ、でも……大丈夫かも」

「どっちだ」

「あぁ、うん……慣れてきた。いいよ、もっと挿れても」

「マジか」

 

 相変わらず事が起こると思いきりがいい。

 

 正直この状態でも射精してしまいそうなほどの快感なので、その先に進んでいいと言われるのはありがたい。

 

 というか未遊の(ちつ)がぎゅうぎゅうペニスを締め付けてきて限界だ。

 

 俺はゆっくりと腰を埋めていった。

 

「ぅっ、あぅッ……」

 

 股間が未遊の下腹部と密着する。根元まで深く挿入したという証だ。

 

(なんだこれ、チンコもってかれる)

 

 俺のペニスが収まっているのが不思議なほど未遊の膣内は狭い。もう無理と言わんばかりに膣肉が締まる。細くて小さい体なのに、いやだからこそなのか未遊のマンコは圧迫がすごかった。

 

「全部挿れたけど、平気か」

「う、くっ……へいきじゃない」

「一度抜くか?」

「んッ……へいき」

「どっちだ」

「平気っ……ちょっと、あッ……動かんでぇ」

「いや動いてないぞ」

「うそだぁっ……びくびくって、してる」

「それは、未遊の中がすごいからチンコが勝手に」

「ふぅぅ、っ……うん……じゃあ、動いていいよっ……」

「いいのか」

「ゆっくり……」

「キスしながらでもいいか?」

「それはむりぃ……息できない」

「わかった、でも俺も余裕ないから抱き締めるかも」

「うぅ、それはおーけぃ……」

 

 俺は前のめりに体を倒していった。すると未遊の股がさらに開いていく。下腹部がぴたりと密着し、お腹同士もくっつく。

 

「あぁっ、んぅぅぅッ……」

 

 肉棒がさらに深くまで埋まり、膣内が驚いたようにぐねぐねと絡みついてきた。最奥まで挿入したと思っていたのに、さらに奥があったらしい。

 

「締め付け、やばい」

 

 まるで亀頭が引っ張られているような、竿全体が吸引されているような感じだ。おまけに膣口がペニスの根元をきゅうきゅうと締めてくる。

 

 セックスって、こんなに気持ちいいのか。

 

 いや、これは名器ってやつなのかもしれない。しかも俺の長年の思いまで乗っかっているのだから、気持ちよくないわけがない。

 

「ちょぉっ……お兄ちゃ、重たいぃ」

「う、すまん」

 

 気持ちよすぎて未遊を押し潰してしまっていた。慌てて体を浮かすと、その空間で彼女の胸が上下する。

 

 汗で張り付いたTシャツに、可愛らしい突起が浮き出ていた。

 

「はぁ、は……ぁっ、んッ……も、動いてる?」

「いや、これから」

「えぇ……」

「未遊、腰動かすから、ちょっとつかまってろ」

「うぅ、そうする」

 

 俺は未遊の体をかき抱いた。彼女も俺の首に腕を回してしがみつく。

 

 俺たちにはけっこうな身長差と体格差がある。腰を動かしたら未遊は衝撃で飛んでいってしまいそうな気がしたのだ。

 

 こうして抱き締めると、あらためて彼女の細さや小ささを実感する。

 

 同時に愛おしさのような感情が込み上げてきた。

 

「未遊、いくぞ」

「うっ……あぅッ——」

 

 軽く腰を動かしただけで、未遊の(あご)が上向いた。

 

 ジュブと音が鳴り、股間が未遊のお尻を叩く。

 

 正真正銘のセックスだ。俺は今、正常位で未遊を犯している。

 

 ゾクゾクとした快感がこみ上げてくる。全身が震える。気持ちいいとかそういう次元じゃない。(オス)としての本能が燃え盛り、全部をこの小さい体にぶつけたくなってしまう。

 

 俺はまた腰を引き、ゆっくり押し込んだ。

 

「んぅッ、んっ……あぅっっ」

 

 腰を引き、少し勢いをつけて押し込む。

 

「いぅッ、ん゛ぅッ——」

 

 パン、とアダルト動画みたいなピストン音が鳴り、未遊がくぐもった声を上げた。

 

 やばい。これはやばい。腰が止まらない。

 

「未遊、もうちょっと激しくしていいか」

「んぅっ、もぉ、じゅうぶん激しいっ……」

「だめか?」

「だめじゃっ、ないけど」

「すまん、ちょっと加減するの無理だ」

「あ゛ぅっっ、ん゛っうぅッ——」

「声、もうちょい抑えて。さすがに父さんたちに聞こえる」

「無理いうなぁっ……ッ」

「キスするか? 声抑えられる」

「じゃぁ、キスするぅぅ……」

 

 ふえぇ、と未遊がげんなりしたような表情を浮かべる。

 

 キスが嫌なのではなく、どっちにしろ息が苦しくなるの嫌だぁとか思っている顔だ。

 

 可哀想だが、俺としては念願の未遊とのキスハメの好機だ。それを逃したくない。

 

「んッ……む、ぅ……んっぁッ、んむぅっ……ん゛っんぅぅッ——」

 

 未遊の小さい唇を奪い、しゃぶりつくようなエロいキスに移行していく。

 

 腰も小刻みに動かし、ベッドの反動を利用してどんどん出し入れを激しくする。

 

 妹の膣内が相変わらず強く締め付けてくる。窮屈なのに滑りがいい。愛液があふれて潤滑油みたいになっている。味わったことのない摩擦でチンコが甘く痺れていく。

 

「あっ、ん゛ぅッ、おにいちゃっ……んぁっ、んっむッ……ん゛っん゛っんっんッ……」

 

 ディープキスの合間に互いの火照った息が混じり合う。

 

 下腹部からパンパンと小気味いい音が鳴る。ベッドが聞いたことのない軋み音を発している。

 

 その全部がとんでもなくエロい。これを俺と未遊が生み出しているなんて信じられない。

 

(もう、出るっ……!)

 

 腹奥からこみ上げてきた射精感がペニスに押し寄せる。

 

「うッ、ぐぅっ……!」

 

 全身がカッと熱くなり、先端から熱いものが流れ出た。ビュルルルッと未遊の膣内へと注がれていく。思わず彼女を強く抱き締め、精巣に残った精子をひり出す。

 

 未遊の膣内がぎゅううっと締まり、彼女自身も何かを察知したかのようにしがみついてきた。

 

 正常位でかき抱いたまま、ひたすらに精液を送り出す。未遊の子宮に塗りたくるように腰を押し付け、何度も尻奥をすぼめ、空っぽになるまで中出しを試みる。

 

 未遊を孕ませているという事実に恍惚とする。愛しい女の子に種付けをしている実感がたまらない。

 

 

 ペニスの脈動が徐々におさまってくる。

 

 なのに膣内はキュンキュンと収縮して精をねだってきていた。

 

(未遊………………あっ!)

 

 やってしまった。

 

 我に返り、密着していた唇を離す。

 

 未遊が「ぷは」と息継ぎをした。

 

「……悪い。中に出した」

「えぇ……」

 

 彼女が予想よりも低いテンションで応答した。

 

「……」

「出しちゃったの、ぜんぶ?」

「全部」

「……お兄ちゃん、後先考えなさすぎだってぇ……」

「面目ない」

「はぁ……まぁいいよ。明日アフターピルってやつもらってくる」

「俺も行くか?」

「いいよ、子どもじゃないし」

 

 未遊がめんどくさいなぁという表情になる。

 

「責任取るから」

「うーん、とりあえず抜いてぇ……さすがに眠気やばい」

「お、おう」

 

 ペニスを引き抜くと、未遊は「ぁぅっ」と妙にエロい声を漏らした。

 

「なんかあふれてきたよぉ……」

「拭いたほうがいいよな。あれ、ティッシュどこだっけ」

「もー体動かん……お兄ちゃん拭いて~」

「任せろ」

 

 暗がりの中で、彼女の割れ目にティッシュをあてがう。俺の白濁液やら未遊の愛液やらを拭きとると、そのたびに小さい腰がビクンと震えた。

 

「綺麗にしたぞ」

「うぅ~……もー寝るぅぅ……」

「あ、ああ、おやすみ」

「ほい、おやすみぃ」

 

 未遊がのっそりと起き上がり、緩慢な動きでパンツとハーフパンツを穿いた。

 

 ゆっくりとベッドから降り、立ち上がる。

 

「お兄ちゃん」

「ん?」

「セックスってハード……」

 

 ふわぁぁ、と未遊が大きなあくびをして、ふらふらと部屋を出て行った。

 

 

 

 

 彼女がいなくなった真っ暗な部屋で、しばらくぼーっとする。

 

(俺、未遊を抱いたんだ……よな)

 

 熱い膣内の感覚を鮮明に覚えている。あの信じられないほど気持ちのいい射精の余韻も残っている。

 

 想像の数百倍柔らかかった唇も、Tシャツ越しだったけど触り心地のよかったおっぱいも、抱き締めた体の小ささも、髪から香ったシャンプーの匂いも、揺するたびに口端から漏れる可愛い声も、全部たった数分前に味わったものだ。

 

 なのに未遊の反応があまりにあっさりしていたので、夢でも見ていたんじゃないかという錯覚に陥る。

 

 だけど。

 

 ——責任とるから。

 

 自然と口から出たあの言葉は、嘘じゃない。

 

「俺は責任をとる」

 

 もう一度口にしてみる。言葉がすとんと腹に落ちた。

 

 のそのそとトランクスとズボンを穿き、俺はそのままベッドに倒れ込んだ——。

 

 

 

 

『未遊~、まだシャワー浴びてるの? 早く出ないと遅刻するわよ~』

『ん~』

 

 部屋の外から母さんと未遊の声が聞こえてきて、俺はハッと顔を上げた。

 

 股間が張り詰めている。俺は勃起しながら昨晩のセックスを思い出していたらしい。

 

 いつもなら一足先にリビングで朝飯を食っている時間だ。

 

 だけどさっき洗面所で未遊と顔を合わせ、なんとなく気まずくて部屋にこもってしまった。

 

 自分から押し倒しておいて勝手な兄だと思う。

 

「……メシ食うか」

 

 俺はテントを張っていた股間を落ち着かせてから、リビングへと向かった。

 

 

 

 

「あら、お兄ちゃんも今日は寝坊助ね」

「お前、今日は大学ないのか?」

 

 食卓にはすでに母さんと父さんがいた。

 

「ああ、今日は午後に講義があるだけだから」

 

 テーブルにつきながら、妙に上機嫌な母さんをちらりと見る。

 

(母さん……も、血がつながってないんだよな)

 

 その事実を知っても、母さんはいつもの母さんとしか思えない。

 

 特別に見えるのは、未遊だけだ。

 

「そういや、今日は二人とも会社休みなん?」

 

 両親とも普段着のまま、ずいぶんゆったりとしている。いつもなら二人ともスーツを着込んでバタバタしている時間帯だ。

 

「ああ、今日は母さんも俺も有給取ったんだ」

「え、なんで」

「うふ、お父さんがね、たまには夫婦水入らずでどっか行こうって」

「ああ……」

 

 二人は、未遊が高校に入ったタイミングで事実を明かそうと決めていたらしい。それを昨晩果たしたことで、やっと肩の荷が下りたのだ。

 

 俺たちが思いのほかすんなり事実を受け入れたから、すごく安心したのだろう。二人の表情からそれが伝わってくる。

 

「帰るの多分深夜になるから、夕飯は未遊と二人で食べてね」

「りょーかい」

「兄妹でいろいろ積もる話もあるでしょ」

「ああ、そういうこと」

 

 両親なりに、俺たちのことを気遣っているらしい。

 

 でもごめん。

 

 積もる話どころか俺は昨晩、未遊を押し倒してセックスして、あろうことか中出しまでしてしまった。

 

 両親の様子から見て、昨晩のことは気づかれていない。

 

 不思議なことに罪悪感は湧かなかった。責任を取ると決めた以上、いつかは両親にも明かすつもりだ。

 

 昨晩のことも。

 

 今日、親がいないこの家で、俺がまた未遊を押し倒してしまうだろうことも。

 

 

「学校いくー」

 

 玄関のほうから間の抜けた声が聞こえてきた。

 

「あら未遊っ、朝ごはんは!?」

 

 母さんが立ち上がったので、俺も一緒に玄関へ向かう。

 

 長袖の制服ブレザーを着た未遊が、靴のつま先をトントンと鳴らしているところだった。

 

「遅刻しそうだからもう行くよ」

 

 まだちょっぴり眠そうだ。だけど黒髪のロングは綺麗に整えられ、二重の目元も開いていた。

 

 なんかひさびさに未遊の起きている顔を見た気がする。

 

 そしてすごく魅力的に見える。

 

(未遊ってこんなに色っぽかったか……?)

 

 小柄であどけなさがあって、どこか小生意気な雰囲気のある妹。

 

 なのに今は、すごく女の子っぽく感じる。それは多分俺が、女の子として抱いたからだ。

 

「じゃー、いってきます」

 

 突っ立っている俺と母さんに、未遊が片手を軽く上げてニカッと笑う。

 

 いたっていつも通りの態度に拍子抜けする。

 

 ドアが開くと温かい春風が流れ込み、未遊の黒髪をふわりと揺らした。

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

「じゃー、いってきます」

 

 お兄ちゃんとお母さんに言って、家を出る。

 

 昨日と同じ通学路。昨日と変わらない気温。春の匂い。

 

 なのに昨日より、そよ風がくすぐったい。

 

 きっとお兄ちゃんのせいだ。

 

 昨日の夕飯のとき、私とお兄ちゃんの血がつながっていないと聞いて、普通に驚いた。今まで一ミリも、実の兄妹じゃないなんて疑いもしなかった。

 

 お兄ちゃんを一言で表すなら、世話焼きとか、無害な兄って感じだと思う。

 

 小さい頃から可愛がってくれた記憶しかないし、仲は悪いほうじゃないし、喧嘩もしたことない。だからって私の言い分をなんでも聞いてくれるわけでもなく、それはよくないんじゃないかとか、きちんと(さと)してくれるような……そんな、普通の兄だった。

 

 だからまあ、昨日も、お兄ちゃんに相談すればなんだかんだいい感じに気持ちの整理をつけさせてくれるんだろうなー、なんて軽い気持ちで部屋に行った。

 

 そしたらまさか、あんなびっくりが起きるなんて。

 

 普通、血のつながりがないって判明したその日に、妹を押し倒す兄なんていない……はず。

 

 しかもまさかキスされて、体中さわられて、挙げ句にあんなこと。

 

(まあ私も、途中でめんどくさくなって……受け入れちゃったんだよなぁ。めっちゃ眠かったし——)

 

「おわ」

 

 強い風が吹いて、自分の髪で視界が覆われる。

 

「はぁ~……髪切ろうかな」

 

(それもめんどいなぁ)

 

 髪を手ぐしで直していると、お兄ちゃんに何度も撫でられた感触がよみがえる。

 

(うぅ……アソコがジンジンする……)

 

 今朝、起きたときからそうだった。

 

 痛みはなかった。入れられたときも痛かったのは最初だけで、あとはなんか埋め尽くされる感じがして、ぼーっとしてふわふわして、視界がずっと縦に揺れてて、薄暗い中にお兄ちゃんの必死な顔が見えて、なんだか、なんというか、別にいいかなって思って。

 

 そんで朝、洗面所に行ったらお兄ちゃんがいて、いつもみたいに歯を磨いてた。

 

 相変わらず背高いなーなんて思ったら、妙に気恥ずかしくなって、目を閉じてお兄ちゃんを見ないようにした。でもたまに薄目を開けると、歯を磨いてる腕が見えたりして。

 

 別にマッチョってわけじゃないけど、お兄ちゃんは昔部活で鍛えてたから腕はそれなりに太くて、わりと体格もよくて——まあ私が小さいからそう見えるだけかもだけど、でもところどころ筋肉質で骨ぼったくて、そのくせ顔は無害な感じというか、ぱっとしないというか。

 

 もうちょっと垢抜けたら大学でモテるんでは、と思ったりすることもあるけど、まあそれはお兄ちゃんの自由だし、変に眉毛とか整えだしたら私も困るし。今の自然な感じのほうが私はまあ……。

 

(……私、お兄ちゃんとエッチしちゃったのか)

 

 なんていうか、私とシてるときのお兄ちゃんは、すごくこうなんというか、なんというか……あ゛ぁ~~~なんだこの感じ。

 

「考えるのよそ。私では処理しきれん」

 

 ふん、と鼻から息を吐き、小走りで学校へ向かった。

 

 高校入学二日目で遅刻したらシャレにならんし。

 

 

 

 

「はぁぁ~、やっと終わったぁ……」

 

 終業のチャイムが鳴ったと同時、机に突っ伏す。

 

 今日一日、体があちこちダルいし眠たい。おかげでまた友だちを作りそびれた。でもいい。今は惰眠をむさぼりたい。

 

「おい未遊、放課後に昼寝すんなよ」

「……加地かぁ~」

 

 ちょっとだけ顔を上げると、前に座るいがぐり坊主の男子がムッとしていた。

 

「俺で悪いかよ」

「べつに~、加地かぁーと思って」

「んだよそれ」

 

 加地は、数少ない同中(おなちゅう)の仲間だ。しかも中学3年間ずっと同じクラスというよしみ。

 

 おまけに私の苗字が香椎(かしい)のせいで、加地はいつも前の席だった。だから席替えをするまではこうして前後の席で駄弁(だべ)るのが、年度初めの恒例になっている。

 

「加地はさぁ」

「あん?」

「部活決めた?」

「あー俺、バスケ部入るつもり」

「え、野球やんないの、中学のときみたいに」

「あぁ……ちっと背伸ばしたくて」

「バスケやると背伸びるんか。私もバスケやろーかなー」

「お前が背伸びたら意味ないだろ」

「は、なんで」

「いや……特に意味はねーけど」

「入学早々、ヘンなやつ」

「未遊に言われたくねーわ。授業終わりにいきなり寝始めるヤツがいるかよ」

「まーなぁ~、ふぁ」

「でっけーあくび」

「いろいろあんだよぉ~、私にだって」

「……悩みとかか?」

「まぁそんなとこ」

「へ~、お前悩みとかないヤツだと思ってた」

「ぶっとばすぞー」

「こえ~」

「うそこけ」

 

 なんてくだらないやり取りをしつつも、加地はなんだかんだ友だち思いというか、多分ぼっちな私を心配してくれている。いいやつだ。

 

「なぁ、未遊ってさ」

「んー?」

「誰かいねーの? ほら、付き合いたいなーとかカッコいいなーとか思う奴」

「へぁ……!?」

 

 思わず体を起こし、意味もなく辺りを見回してしまう。気づけば教室には誰もいなかった。

 

(びっくりしたぁ……)

 

 加地からまさかの恋バナをされるとは思ってもみなかった。しかもそういうのに無縁な私なんかに。

 

「お前……相変わらずリアクション独特よな」

「加地がいきなり変な話するからだろ~」

「んで、いねーの、そういう相手」

「えぇ……いないよそんなん」

「そっか、よかったわ。なんかライバル多そうだし、俺が一番乗りって感じか」

「加地ぃ、話が見えないんすケド」

「未遊って超鈍感よな」

「鈍感で悪かったなー」

「お前さ、約束覚えてる?」

「約束? 約束……ごめん覚えてない」

「はぁ~……知ってた」

「なんかすまん」

「この前の卒業式んとき、言っただろ、高校入って彼氏できそうになかったら俺がなってやろうかって」

「あぁ~そんなジョーダン言ったね、そいや」

「あれ俺、マジだったんだけど」

「…………ん゛ん? えっ、は?」

「俺、未遊と付き合いたいんだけど」

「ほぁ!?」

 

 思わず体が後ろに引く。

 

「あいてっ」

 

 椅子が後ろの机にぶつかって背中を打ってしまった。痛い。

 

「やっぱそーいうリアクションだよな、お前」

「な、なな、なんで……?」

「なんでって……そりゃ、そういう反応とかいちいち可愛いっつーか、顔とかも、可愛いってか好みだし」

「か、かわっっ……えっ、はあ!?」

「そうやってすぐ顔赤くなるとことかさ、人付き合いとか苦手とか言いながら、なんでか自分からめっちゃ話しかけにいくとことか、いっつもダルそうで眠そうなくせに理科の実験とか意外に真剣にやってたりとか……とにかく見ちゃうんだよお前のこと!」

「まっ、ま……ちょ、タンマ! え、いや、中学んときそんな素振りなかったじゃん」

「鈍感すぎて気づかなかっただけだろっ。……俺が好きなのなんて多分、学校中に知れわたってたぞ。なのにお前のこと狙ってる奴とかいてよ、気が気じゃなかったっつーか。このクラスにも何人か目付けてる奴いそーだし、俺だって焦ってんだよ!」

「え……ちょ、ま、ちょまっ……」

 

 これは。

 これは、マジなやつだ。

 

 生まれて初めて告白されてしまった……しかも加地に。

 

 えっと、あー、どうしよ……。

 え、どうしよ。

 

 どうやって断れば。

 

 あれ、断るのか私。

 

 加地はいいやつだし、普通に好きなんだって伝わってくるし、気も合うし多分付き合ったらそれなりに楽しい……はず。

 

 おかしいな。

 いつもの私だったら、考えるのも面倒だし、とりあえず付き合ってみるかなんて、思ってる……気もするんだけど。

 

 なんか、加地と……ていうか今誰かと付き合うの無理だ。なんでか想像できない。

 

「ごめん無理ぃ……」

「……はぁ、お前さぁ……そんなうんざり顔で断るヤツがあるかよ」

「え、私そんな顔してる……?」

「してるよ。はぁ……めっちゃ困った~って顔してる」

「えぇ、ごめんっ!」

「いやいいよ。未遊のそういうとこも俺……いやっ、やっぱムカつくわ」

「う、ごめん……」

「でも絶対そうなんだろ? お前、うだうだするわりに決断めっちゃ早いし」

「うん、無理ぃ……」

「いやしょんぼりしたいの俺のほうなんだけどっ」

「ごめん……」

「はぁ……ちなみに理由って聞いていいか。てか聞く権利あるよな、勇気振り絞って告白したんだし」

「えぇ……」

 

 理由……理由。

 

 なんで、こんなに無理なんだろう。

 言葉にするの難しい……めんどい。けど、それは加地に失礼だ。ちゃんと言葉にしなきゃ。

 

 理由、理由……。

 

「多分、気になる人いる……んだと思う」

「すげー曖昧だな……俺そんな曖昧な奴に負けたんか」

「う~、ごめん」

「いいってもう。ちゃんと言ってくれたし、まぁ俺も諦めつく……のかこれ」

「わかんない」

「まーいいや、未遊の困った顔見てたら諦めつきそうな気がしてきた」

 

 ちょっとだけ、気まずい沈黙が流れる。

 

「んじゃ、俺部活行くわ。初っ端で遅刻とか先輩たちに目付けられそうだしさ」

「あ、うん……あっ、私もバイトだ」

「は? 未遊バイトすんの?」

「うん、今日からコンビニのバイト」

「マジか、初めて聞いたわ。お前バイトしたいとかちっとも言ってなかったじゃん」

「あぁ、春休み中にふと思い立って、応募してみた」

「なんで」

「高校生だし、新しいこと始めてみるかなって」

「っ……んだよその爽やかな笑顔。お前ほんとさ、表情ころころ変わるよな。切り替え早いっつーか。三分前に俺のこと振ったの忘れたんか」

「忘れてないってぇ……」

「だからすぐふにゃっとした顔すんなって。おま……ほんと相変わらずだよなぁ」

「……ちなみにそれって、褒めてないよねぇ……?」

「当たり前だろ。んじゃな」

「おー……」

 

 いつもみたいに手を振ると、加地はふいっと無視して教室を去っていった。

 

「あ゛ぁ~~~」

 

 机にどてっと突っ伏す。

 

 ほんと色々うまくいかない。加地が告白をしてくれて、私も一応ちゃんと向き合ってみた、つもりだ。だけどなんか……なんかうまくできなかった気がする。自分が不器用なのは知ってる。でも治し方が分からないから困った。

 

 あーだめだ。

 私、私のことばっかり悩んでる。こんなやつ、誰が好きになるっていうのか。あ゛ぁ~~……。

 

「…………バイトいこ」

 

 うだうだ考えても仕方がない。今は目の前の、そう……コンビニバイトをしっかりこなさないと。

 

 私はカバンを手に取ると、小走りで教室を出た。

 

 バイト初日に遅刻はぜったいシャレにならない。

 

 

 

 

「ぁ、いらっしゃいませ」

 

 背すじをぐっと伸ばし、来店したお客さんに挨拶をする。

 

 店長に簡単なレクをしてもらって、軽く実践して、君なら大丈夫そうだねなんて言われて、バイト開始二時間で私はもう一人でレジに立っていた。

 

「いらっしゃいませ、こちら温めますか?」

「あ、はい……えっとじゃあ、温めで」

「はい、温めますね。こちら合計で2450円になります」

「あっ、はい」

「3000円お預かりします。お釣り550円ですね」

 

 店長に言われたとおり相手の目を見て、にこやかな笑顔で、しっかりとお釣りを渡す。

 

「あっ……はい、どうも」

「温め、もう少々お待ちください」

「はい、待ちます……」

 

 チンとなった電子レンジから熱々のお弁当を取り出し、お客さんに手渡す。

 

 こうやってあくせく働いていると、無駄なことを考えずに済むから楽だ。

 

 自動ドアが開いて、新しいお客さんが入ってくる。

 

「ぁ、いらっしゃいませ」

「未遊」

「うぇっ、お兄ちゃん……」

 

 私の初バイト姿を冷やかしに来たらしい兄を見て、どっと気が抜ける。

 

(なんで来たんだよぉ……)

 

 軽く店内を回ったお兄ちゃんが、買い物カゴを持ってレジに近づいてきた。

 

 幸運なことに他のお客さんはいない。店長もバックヤードに下がっている。

 

「ハァ……」

「いや、お客さんに向かってため息はなくないか」

「だって(あに)だしぃ……」

「兄でも客だぞ」

「へーい。お弁当温めますかぁ……」

「くく、そんな困り顔で接客する店員いないぞ」

「笑うなよぉ……疲れてんの~」

「ああ、お疲れさま。お弁当と、これも温めで」

 

 お兄ちゃんがカゴの中にある小箱を指差す。

 

「これ、コンドームじゃんかぁ……」

「ばっっかッ、普通に口にすんなって」

「なんでコンドーム温めるんだよぉ……」

「……未遊も、冷たいの嫌だろ」

 

 お兄ちゃんがちょっぴり恥ずかしそうに横を向く。

 

 ああ、これ……またするぞって、ことか。

 

 なんでだか目を閉じてしまう。きっと今の私はすごく眠そうな顔をしている気がする。

 

 せっかく、あんまり考えないようにしてたのに。

 

「別に私が使うわけじゃないし」

「お前に……使うもんだろ」

「えぇ……」

「それ、どういうリアクションなんだ」

「私にもわかんないよぉ……」

「とりあえずお会計」

「3040円です~……」

 

 お兄ちゃんが3100円を出してきたので、お釣りは60円。

 

 手のひらを下から包み、しっかりと渡す。

 

「ぁ……」

 

 お兄ちゃんの手が、汗ばんでる。

 

 大きな手のひらが……ドクドクいってる。

 

 あれ、ちがう。

 ドクドクしてるの、私の手……心臓。

 

 あれ。

 私。

 お兄ちゃんに——。

 

「じゃあ、先帰ってるわ」

「あ、お兄ちゃんちょっとタンマっ……」

「ん? どうした」

 

 どうした……どうしたんだ私。

 なんでお兄ちゃん引き止めて。

 

「あのさ、相談が……あるっていうか」

「相談? ……外で待ってたほうがいいか?」

「うん、よろしく頼む……」

「わかった」

 

 お兄ちゃんが店を出ていく。駐車場のポールに腰掛けてスマホをいじりだしてる。

 

 なんでか、ずっと見てしまう。

 

 相談することって……なんかあったっけ。

 なんか、なんでだかお兄ちゃんに帰ってほしくなくて……あれ?

 

「香椎さーん、今日もうそろそろ上がってい~よ~」

「あ、はいぃっ」

 

 バックヤードから店長に声を掛けられ、思わず変な声で返してしまった。

 

 

 更衣室に引っ込んで、学校の制服に着替える。

 

 後ろで結んでいた髪を解くと、結んでいたところがうねっていた。

 

 ——今日はいつにもまして髪が爆発してるぞ。

 

 今朝のお兄ちゃんの言葉を思い出して、慌てて髪をブラシでとかす。そうしないとエッチのときになんか言われそうな気がする。

 

「あ……」

 

(私、帰ったらお兄ちゃんとまたエッチするんだ)

 

 お腹の奥があつい。アソコがジンジンする。

 

 心臓の音がうるさい。顔が火照って汗が出る。お釣りを手渡したときの手の感触が残ってる。今朝、歯を磨いてるときの姿を思い出す。初めてのキスをされたときの唇の感触。強引なくせにおっかなびっくり胸を触ってきたときの大きな手。抱き締められたときにこもった熱。がっしりした体にぎゅっと絞られるみたいな圧迫感——気持ちよさ。私の中に入ってきたときの窮屈な感じ、頭の奥が沸騰する感じ。中をこすられたときの痺れ、奥に当たったときの衝撃。揺すられるたび電気が走ったみたいに震える体。じんわり広がっていくような快感。お腹がくっついたときのお兄ちゃんの腹筋の硬さ。お兄ちゃんの……気持ちよさそうな、苦しそうな、情けない声。責任とるっていった、言葉。いつも、ずっとそばにいたお兄ちゃん。ほんのたまに、よそよそしい感じで接してきたときの違和感。ゲームしてて肘が当たっちゃったときの恥ずかしそうな横顔。今もきっと、コンビニの外で待ってる後ろ姿。

 

 胸が苦しい。

 

 ——とにかく見ちゃうんだよお前のこと!

 

 加地の言ってたことが、ストンとお腹の下に落ちていく。初めての感情がそこから上ってくる。

 

「私、お兄ちゃんのこと……好きなんだ」

 

 ロッカーの扉についてる小さい鏡で、髪をとかす。

 

「あっ、あぁ、あ゛ぁ~~~」

 

 ぜんぜん髪がまっすぐにならない。

 

 落ち着かない私の心みたいに。

 

 何度とかしても、心臓がバクバク跳ねて、お兄ちゃんの顔が浮かんでしまう。

 

 私が切り替え早いなんて、ぜったい嘘だ。

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 コンビニの駐車場で未遊を待ちながら、俺の心臓は早鐘を打っていた。

 

 まずコンビニの制服が可愛すぎた。

 

 普段着でもなく制服でもない、ちょっと大人びた雰囲気をまとった未遊。

 

 おまけに黒髪を後ろで結んでいるから、彼女の整った顔立ちが際立っていて、顔自体も小さくて……思わず見惚れてしまった。

 

 いつもは気の抜けた顔をしているくせに、ゲームに夢中になってるときにふと見せる真剣な横顔とか、勉強をしているときの真面目な表情とか、何かを決断したときの顔つきに、何度息が止まりそうになったか分からない。

 

 俺の前に会計をしていたらしきお客も、入口ですれ違ったとき、レジにいる未遊を横目でじっと見ていた。

 

 彼女はまったく自覚なさそうだが、ちょっと犯罪的な可愛さだ。

 

 だから最初から、未遊を外で待ってるつもりだった。

 

 ——あのさ、相談が……あるっていうか。

 

 潤んだ目で、ほんのり赤らんだ顔でそう言われ、いよいよ心臓が停止するかと思った。

 

 未遊を女の子として好きなのは自覚していたが、こんなにどうしようもないほど焦がれてしまっているなんて思わなかった。もう訳が分からない。

 

「お兄ちゃん、バイト終わったよー」

 

 気づけば隣にちょこんと未遊が立っていた。

 

「お、おう……」

 

 いつもの制服姿なのに、無性にドキドキする。

 

 夕焼けに照らされる顔が妙に色っぽいし、黒髪もちょっと乱れてるし、暑いのかブラウスのボタンが上二つ外れてるし、おでこはほんのり汗ばんでるし、ほっぺたも耳も夕焼けと同じくらい赤い。

 

 大きな黒目もさっき以上に潤んでるし…………目が合ったら恥ずかしそうに逸らすし。

 

 なんなんだこの可愛い生き物は。

 

「帰るか」

「う……うん」

 

 心臓が口から飛び出るんじゃないかと思うほどバクバクしながら、俺はとりあえず家へと歩き出した。

 

 

 

 

「……」

「……」

 

 なぜか俺たちは無言だった。

 

 未遊はさっきから俺の一歩後ろを歩いている。

 

 不審に思って振り返ると、彼女はビクッと肩を震わせ立ち止まり、驚いたように目を見開き、髪を手ぐしでとかしだす。

 

 めちゃめちゃ態度がぎこちない。間違いなく昨晩のセックスのことを意識しているのだろう。

 

 だったらなんで朝出て行くときはあんなにケロッとしていたんだ。意味が分からない。

 

 分からないが、とてつもなく可愛い。

 

「あ、あ~未遊さ、相談ってなんだ?」

「え、相談っ……!?」

「いやお前が言ったんじゃん」

「あ、うぅ~、相談、相談かぁ…………あ!」

「思い出したんか」

「えっとさ、さっき、加地に告られた」

「は!? 加地君って、あの野球部の坊主の?」

「そう、坊主の」

「ついにか……」

 

 あの野球少年が未遊に気があったのは知っていた。

 

 前にばったり道で会ったときも、ずっと未遊のほうばっかり見ていたし。

 

 未遊も中学のときはよく加地がチビだのなんだのからかってくると愚痴っていたし、そのくせ何度も野球の試合に誘われると嘆いていた。未遊は面倒がって一度も試合観戦に行かなかったが。

 

 そんなあからさまな態度なので、おそらくクラス中——いや学校中に加地君の思いは知れ渡っていただろう。

 

 だけど未遊はそういった方面に驚くほど鈍い。しかも多分、加地君が周りを牽制しまくって他の男子が手を出さないようにしてきた。それが余計に、未遊の鈍感さに拍車をかけたのだ。

 

 そんな彼女にしびれを切らした加地君は、高校に上がったタイミングを好機と捉え、告白する。

 

 きっと未遊も未遊で、初めての告白という突然のイベントにうろたえ、迷い、途中で面倒くさくなってとりあえずOKしてしまう。

 

 ……そんな気がしていた。

 

 だから、その前に未遊を、強引にでも俺のほうへ意識を向けさせることができてよかった。ギリギリで間に合った。

 

 たとえ未遊が冷静になって、考えをめぐらして、あらためて俺を軽蔑して嫌いになったとしても——俺は彼女の初めてを奪った。中出しまでした。そして責任をとると腹に決めた。

 

 誰にも、未遊を渡すつもりはない。

 

「あのぉ……お兄ちゃん?」

「ああごめん、考えごとしてた。そんで、告られて未遊はなんて返事したんだ?」

「無理ぃ……って断った」

「……そっか。なんかごめんな」

 

 振り返り、苦笑いを浮かべて詫びる。

 

「う゛っ……」

 

 未遊が顔を真っ赤にして、うろたえたような顔をした。

 

「それ、どういう感情の顔だよ」

「お兄ちゃんが、そんな顔で見てくるからじゃん……」

「……」

 

 気恥ずかしそうに顔をそらし、未遊がまたも髪をいじりだす。

 

(…………可愛いかよっ!)

 

 なんだ。なんなんだ。

 こんな表情も態度も今まで見たことがない。朝の未遊と同一人物とは思えない。朝も可愛かったが今はさらに千倍可愛い。意味が分からない。死ぬ。死ぬほど可愛い。

 

「さ、帰ろ、お兄ちゃん」

「お、おう」

 

 未遊がニカッと笑い、今度は俺の前を歩き出す。

 

 どこか吹っ切れたような感じだ。ついさっきまで顔を赤くしていたのに、相変わらず切り替えが早い。

 

 夕暮れのそよ風に、未遊の長い黒髪がたなびく。ふんわりと甘くてドキドキする匂いがただよってきた。

 

「今日、夕ご飯なにかな」

「……あ」

 

 ごめん未遊。言い忘れてたけど今日は親二人とも深夜までいないんだ。

 

 

 ◇

 

 

「たっだいまぁ~……」

 

 気が抜けてるんだか抜けてないんだか分からない未遊の声が、静かな玄関に響く。

 

 リビングに行くと、当然だが親の姿はなかった。

 

「あれ、お母さんいない?」

「あー未遊。今日二人とも深夜まで出かけてる」

「え゛ッ……!」

 

 未遊が弾かれたように後ずさる。

 

 俺と二人きりだと知って明らかに何かを察したのだろう。

 にしても相変わらずコミカルなリアクションだ。

 

 俺は小さくため息をつくと、リビングのソファーに座り、その隣をトントンと叩いた。

 

「兄妹で積もる話もあるだろって、気をきかしてくれたんだよ」

「あぁ、そゆことか」

 

 未遊が素直に隣へ腰を下ろす。

 

 あんなに大げさに俺から後ずさったくせに、いつもみたいに肘が当たる距離で座る。

 

 こういう能天気で無防備なところも、昔から気が気ではなかった。

 

「で、あらためてなんだけど俺は未遊のこと、あー……そういう目で見てる」

「えぅっ……」

 

 未遊はしゃっくりみたいな声を上げて、そのままフリーズしてしまった。昨晩のダルそうな反応とは大違いだ。

 

 てっきり「そういう目ってどういう目?」なんて聞いてくるかと思ったが。

 

 まあ……さすがの未遊も理解(わか)ったのだろう。昨晩さんざん理解(わか)らせたわけだし。

 

「……うん、わかった」

理解(わか)ったか」

「うん、いろいろわかった」

 

 未遊がはっきり言って、俺を見上げてきた。

 

 口を大きく開いて奥歯まで見える。どこかすっきりした表情だ。この妹は何か腹をくくったときに、よくこの顔をする。

 

 というか、頬がまだほんのり染まっていて、汗のしずくがブラウスの胸元へ流れ落ちて……エロい。

 

 唇が妙に色っぽく見えて、凝視してしまう。

 

「お兄ちゃんさ」

「あ、うん、なんだ?」

「ちょっと、キスしてみてもいい?」

「えっ……いやもちろんいいけど、どういう心境の変化だ」

「うーん、確認」

 

 未遊がソファーの上で膝立ちになり、俺と視線を合わせる。

 

 彼女の小さい手が俺の頬をつかみ、ハッとするほど可愛い顔が近づいてくる。俺が目を閉じるより先に、未遊がまぶたをぎゅっと閉じた。

 

「んッ——」

 

 えいやと言わんばかりのキス。

未遊の唇は強張っていて、なのに押し付けられるとふんわり柔らかい。

 

 彼女の眉間にシワが寄っている。いったい何の確認なのか分からないが、キスに没頭したくて俺もまぶたを閉じる。

 

 彼女は唇を密着させたまま動かない。なのにじんわりと柔らかい感触が広がっていく。念願の、未遊からのキス。その事実だけで頭の後ろがぼうっと痺れてしまう。

 

「ぷはっ……」

 

 未遊が酸素を求めるみたいに唇を離した。

 

「……確認はできたのか」

「うん、できた」

「そうか」

「うん……」

 

 じっと見つめると、彼女の大きな黒目が逸れた。恥ずかしそうに頬を赤らめ、黒髪の跳ねた毛先をいじりだす。

 

 もう我慢できない。

 そう思うより先に、俺は未遊の腰に手を回してぐいっと引き寄せていた。

 

「次は俺の番な」

「うぇッ……」

「嫌か?」

 

 顔を近づけると、そのぶん彼女も顔を離す。

 

「イヤってか……お風呂とか、入りたいっていうか……ッ」

「抱くこと自体は嫌じゃないんだな」

「それは、まぁ……イヤでは、ないっす」

 

 照れたように腕で顔を隠す未遊が可愛くて、俺は小さい体を無理やり抱き寄せた。

 

「あ、ちょっ、タンマ、タンっ……んむッ——」

 

 

 

 

 

 

 

 

「——んっ……ぁッ、お兄ちゃっ……んッ、ぁぅッ」

 

 リビングに、未遊の聞いたことのない可愛い声が響く。

 

 彼女が何かを言おうとするたびに唇を塞ぎ、半開きになった歯列の隙間に舌を差し入れ、小さい舌を舐める。

 

「んぇ……ぇ、ぇあっ……ぁッ、おにいっ……ん゛っ、んぅぅッ……」

 

 舌先をじゅるっと吸い上げると、未遊の喉奥からくぐもった音が漏れる。小さい肩がビクビクと震え、ほんとに敏感な体なんだなと興奮する。

 

「ぁ、やぁっ……ん、んひぅっっ……ひぅッ」

 

 ブラジャー越しにおっぱいを揉むと、小動物みたいな声を発した。可愛い。俺の(つたな)い愛撫で感じているのがたまらない。

 

 ソファーで襲い出してからもうずいぶん経つ。

 

 床にはさっき脱がした紺色ブレザーと、いつのまに脱げたのか分からない紺色ソックスが片方落ちていた。

 

 未遊のブラウスはボタンが外れ、胸元が左右に開いている。ブラウス自体も脱げかけで、ほっそりとした白い肩が露出していた。

 

 水色の、ゴムっぽい素材でできたブラジャー。

 

 それが彼女の可愛らしい乳房を包んでいる。ブラジャーごと揉めば、マシュマロのような儚げな柔らかさと、お餅のような弾力が同時に味わえた。

 

 ブラの肩紐に指を掛け、下にずらす。

 

 ぴっちりとバストを覆っていたカップに空間ができ、本来の乳房の形が際立った。綺麗なお椀型で、なんとなく上向いている感じがする。

 

「あっ、えぇっ……おっぱい、見るのっ?」

「昨日の夜は、暗くてよく見えなかったから」

「えぇ~……」

 

 困ったように眉尻を下げるのが可愛い。この勘弁して~みたいな顔を見ていると、ついイジめたくなってしまう。

 

 俺は未遊に覆いかぶさるような体勢になり、彼女の体をソファーに深く寄りかからせた。小さい頭もソファーに埋まり、これで手を添えなくても唇をむさぼれる。

 

「未遊、舌出して」

「ふぇぇ……」

 

 もう諦めましたと言わんばかりに小さい舌が差し出される。

 

 俺は顔全体を押し付けるように唇を奪うと、未遊の舌を舐め上げた。

 

「んぅ、ん……れぁッ、ぇぁッ、ぇぁぁ……」

 

 彼女の舌が観念したように俺の舌に(もてあそ)ばれる。

 

 とろけそうなほど柔らかい粘膜が気持ちいい。じゅる、じゅると唾液が混ざり合い、未遊の小さい口端からこぼれる。

 

 それを舐め取り、その隙に酸素を取り込んでいた唇を再びむさぼる。

 

 未遊の意識をキスに集中させながら、俺はあくせく彼女の背中に手を回し、ブラのホックを外すことに成功した。

 

 このまま上半身を裸にしたい。だけど半脱げになったブラウスを取り去るのが意外に難しく、先にブラジャーを脱がすことにした。

 

 床にブラジャーを落とす。未遊の口内で絡ませていた舌を解き、口を離す。

 

 つーっと伸びた唾液の糸が垂れ、彼女の無垢な胸元に落ちた。

 

「っ——」

 

 思わず息をのむ。

 

 ソファーに、上裸をさらした未遊が寄りかかっていた。

 

(これが……未遊のおっぱい)

 

 細くて、真っ白な上半身。

 その胸元に、丸いお椀型のふくらみが二つ。

 その真ん中で、小さい桃色の乳首がピンと上向いていた。

 乳首を淡い乳輪が(ふち)取っているのが、とんでもなくエロい。

 

 未遊はぎゅっと目をつぶり、はぁはぁと苦しそうに吐息を漏らしていた。

 それに合わせて胸元が上下している。

 

 脱げかけのブラウスが二の腕に引っかかっているのも、エロさに輪をかけている。

 

「未遊、胸、舐めていいか?」

「え……舐め……」

 

 彼女が言い終える前に、俺は白いおっぱいにしゃぶりついていた。

 

「あぅッ……ぁっ、ん゛んぅぅっっ……!」

 

 真っ先に乳首を口に含むと、未遊はこれまでにないほどくぐもった声を上げた。

 

「ひぅっ、あっ、あんッ……ぅあっ」

 

 クニとした乳首を口の中で転がし、乳輪ごと舐め上げる。そのたびに彼女の背中が浮く。

 

 舌先で乳輪をぐるぐるなぞるように舐め回し、ちゅうと吸ってみる。

 

「やぁッ、ぁんっ……」

 

 視界は白い乳肌でいっぱいだが、未遊が顎を上向けたのが分かった。

 

 柔肌に埋まっている鼻先が温かい。こうして直に顔をくっつけると彼女の体温の高さが分かる。

 

 吸い込めば、甘くてドキドキする匂いが鼻腔を満たす。

乳首を吸引すると、甘みと汗のしょっぱさが口内に広がる。脳が美味しいと錯覚する。

 

(これ、病みつきになりそう)

 

 夢中で乳首を味わっていると、口内でふやけてきたのを感じた。なのに硬さはさっきより増していて、コリコリとした舌触りだ。

 

「うぅッ、ちゅうちゅう吸うの、やだぁ~……あ゛ぅぅぅ……」

 

 ビクン、ビクンと二度、未遊の体が跳ねた。

 

 驚いて顔を上げると、彼女は「ぁぅ、ぁぅ」と喘ぎながら眉間にシワを寄せていた。

 

(未遊、イったのか……?)

 

 この反応だといまいち分からない。

 

 立ち上がって、見下ろしてみる。

 

 未遊は小さく震えながら、時おり顔をしかめていた。

 

 やはり、イったのだろうか。

 ……分からない。

 

 たださっきより汗をかいているし、耳も真っ赤だ。

 俺の涎れまみれになった乳首も尖り立っているし、細い腰もビクビクと動いている。

 

「ぁ、ぁぁ~……」

 

 未遊が助けて~と言わんばかりの声を漏らし、腰がソファーをずり落ちる。

 

 そのせいで紺色スカートがめくれ、彼女の白いパンツがあらわになった。

 

(濡れてる……)

 

 アソコの部分が染みて、ぐっしょりと濡れていた。

 

 ドクンと心臓が跳ねる。男の本能が燃え盛っていくのを感じる。

 

 もっと未遊を気持ちよくして、はっきり分かるくらいイかせたい。何度もイかせて(とろ)かしたい。

 

 俺は急かされるようにシャツを脱ぎ、ズボンとトランクスを下ろして全裸になると、彼女の背後に回り、ソファーにどっかりと腰を下ろした。

 

 今にもソファーから滑り落ちそうな未遊をひょいと抱き上げると、そのまま俺の股へと座らせる。後ろから抱っこをするような体勢だ。

 

 こうすると、彼女の体躯の小ささや細さを実感する。

 

「ん、ぇ……あれ、お兄ちゃん、いつのまに……脱いだの」

 

 涙に濡れた横目で見てくるのが、すごくエロい。

 

 ちょうど顔の近くにあった未遊の小さい耳に舐めると、それだけで「ひぁ」と彼女が肩を震わせた。

 

「未遊、下もさわっていいか」

「もしかして、パンツ脱がす……?」

 

 吐息混じりの消え入りそうな声がそそる。

 

「そうしないと(いじ)れないだろ」

「えぇ……まっ、あ゛ぁぁぁ~~……」

 

 ぐいとパンツを脱がしていくと、未遊がなんともやるせない声を漏らした。離れていく下着との別れを惜しんでいるような声色だ。

 

 膝を曲げたりさせて、なんとかパンツをつま先から抜くと、そのまま白い太ももをつかんで左右に開かせた。

 

「うそぉ……」

 

 未遊が戸惑いの声を漏らす。

 

 彼女は今、いつも家族とくつろいでいるリビングで、俺の膝に大股開きで座らされ、スカートもめくり上げられ、局部を大胆にさらしている状態だ。ブラウスもほとんど脱げかけ白い上半身もさらしている。

 

 相当に恥ずかしい格好のはずだ。

 

 というか俺のほうを振り向き、恥ずかしいよぉ……と横目で訴えてきている。

 

 俺はといえば、もちろん恥ずかしい。全裸でソファーに座り、妹にこんなエロいことをしている罪悪感もある。

 

 だけどそれ以上にゾクゾクするような背徳感がやばい。いけないことをしているという興奮で鼻息が荒くなる。

 

 それもこれも、ほとんど裸で片方だけソックスを穿いている未遊がエロ過ぎるのと、勃起したペニスが彼女のお尻に押し付けられている快感のせいだ。

 

 俺は未遊の肩越しに彼女の下半身を見下ろしながら、局部がはっきり見えるようにスカートをさらにめくり上げた。

 

「えぇぇっ……」

 

 露出した自身のアソコを見て、未遊が情けない声を漏らす。

 

 そこへ、俺の腕がゆっくり伸びていった。そして。

 

「あッ、ふぁっ……ッ」

 

 ぴちゃ、と濡れる割れ目に指をひたした瞬間、未遊の腰が大きく震えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「——あぅっ、あっ、やんっ……あッ、まっ、だめっ、ん゛ぅッ、んっ、あっ、あっあぁッ……」

 

 静まり返ったリビングに、未遊の艶っぽい喘ぎ声が響いていた。

 

 他に聞こえるのは苦しそうな彼女の吐息、時おり息を詰まらせたような声、そして——未遊の膣をピチャピチャといじる音だけ。

 

 多分、かれこれ1時間くらいはこの体勢でずっとマンコを愛撫し続けていた。

 

 片手をあてがい、膣のビラビラを左右に開くように動かし、膣口を小刻みにタッチして愛液を跳ねさせる。

 

 膣穴の上のあたりに小さな肉粒——クリトリスも見つけた。そこを指でちょんちょんとさわり、震わせるように揺らすと未遊が甘ったるい声で鳴くのも知った。

 

 不意に全身を力ませ、ふっと脱力するを繰り返しているので、何度かイったのだろう。

 

 マンコを愛撫していないほうの手は、こちらも休みなくおっぱいをいじっていた。

 

 下からすくい上げ、寄せ集めてから手のひらで包む。強めに握ったら「ん゛ッ」と痛がったので、揉む力は気をつけるようにした。

 

 クリトリスを刺激しながら乳首を捏ねると、未遊はひときわ可愛い声を上げ、小さい体をビクビクと震わせる。それがたまらなくて、さっきからこの攻め方だけを続けている。

 

 未遊としても予測できる責めになったからか、イってから次にイくまでのあいだにポツポツ会話できるくらいにはなっていた。

 

「未遊の胸って、手の中におさまってちょうどいいよな。何カップあるんだ?」

「え……Cの……」

「やっぱCカップか」

「なにがやっぱなの……あっ、ん゛んッ……ゆび、入れちゃっ」

「未遊のマンコ、すごく狭いな」

「ん゛っ、うぅッ……お兄ちゃん、指太いぃ……」

 

 未遊の膣内が、中指をきゅうきゅうと締め付けてくる。窮屈ですごい圧迫感だ。昨日ここに俺のチンコが根元まで入っていたなんて信じられない。

 

「……そろそろ、挿れていいか?」

「むしろ、はやく入れてよぉ……」

「挿れてほしいのか」

「ちがっ……くない、けど……昨日は、もっと早かったじゃんかぁ」

「昨日は余裕なかったからな」

「私は、今もっ、余裕ない……んぅッ」

 

 指を引き抜くと、未遊が甲高い声を上げた。

 やばい。早く挿入したい。

 

「このまま挿れるぞ」

 

 俺は彼女の細い腰を持ち上げると、ギチギチに勃起した肉棒をあてがった。ヌチュ、と亀頭の先が濡れた割れ目に当たる。

 

 そのまま未遊の腰をゆっくり下ろしていくと、肉竿が熱い粘膜に包まれた。

 

「あぁッ、あぁぅっっ——ッ」

 

 ジュブと愛液があふれ、彼女のお尻が俺の股間に乗っかる。その瞬間ペニスの根元を膣口がきゅうっと締め付けてきた。

 

「うッ……未遊のすごい、締まって」

 

 背面座位で挿入したまま、俺はしばらく動けないでいた。

 

 未遊の膣内が昨日よりキツい。動いていないのに中がぐねぐね蠢いてペニスに絡みついてくる。隙間なく肉棒に密着して、昨日よりもフィット感がすごい。未遊のマンコが俺のチンコの形に馴染んでいる気がする。

 

「動く、ぞ」

 

 彼女の腰を少し持ち上げ、落とす。

 

「あぁんッ……ああぁっ……」

 

 ぎゅうと肉棒が絞られて射精感が上ってくる。

 

 また腰を持ち上げ、今度は腹筋に力を入れて股間を突き上げる。

 

「あぅッ——ん゛うぅぅっ」

 

 バチュンと水っぽい音が響き、未遊が切羽詰まった声を漏らす。さんざん愛撫してもう知っている。これは彼女がイったときの声だ。

 

 バチュ、バチュと何度か突き上げていると、背面座位のピストンに慣れてくる。俺は腰の力だけで未遊に出し入れすることにした。彼女は体重が軽いので弾ませるのが簡単だ。

 

「あぁッ、あんッ、これっ、奥っ……あたるっ、うぅッ、ん゛んんんっ——ッ」

 

 未遊を股間で跳ねさせながら、両手を胸元に回して乳首をつまむ。すりすりと擦りながら抽送を繰り出し、何度も何度もイかせる。

 

 未遊の体が跳ねるたびに黒髪が宙に浮き、俺の鼻先をくすぐる。汗の混じった甘い匂いに鼻腔をついて脳がくらくらする。

 

 やがてすぐに尻奥から熱いものが込み上げてきた。

 

「未遊、出すからな、奥に」

 

 気持ちのよすぎる膣内にしごかれ、精液がドクドクと尿道を上ってくる。そして——。

 

「ぐっ、うぅぅっ……!」

 

 ビュルルルッと凄まじい勢いで射精が始まった。噴き出た精液が未遊の子宮へ流れ込んでいく感覚。彼女の腰を股間に落とし、ぐぐっと押し付けて亀頭で膣奥を押し上げる。

 

「ん゛ぅッ、うぅぅぅっ————ッッ」

 

 未遊の最奥がきゅうっと締まった。ぎゅうぎゅうと肉棒を締め付けて精子を吸い上げていく。精巣から塊のような精液がビュクッビュクッと放たれ、快感で頭が真っ白になった。

 

 俺は小さいお尻をつかみながら、ひたすらに精を注ぎ続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ——1回の射精で俺の衝動がおさまるわけもなく。

 

 俺はぐったりしてしまった未遊を、たいした休憩も取らずに再び犯していた。

 

「……んっ、はぁっ……あッ、んぅッ、んっんんッ……」

 

 向かい合ってキスをし、というより強引に彼女の口内に舌を差し入れ絡ませ、上下にピストンする。

 

 床には白いブラウスが落ちている。俺は未遊をこちらに向かせ、抱き締め、対面座位の体勢で弾ませていた。

 

 もはや未遊が身に着けているのは片足に紺色ソックスだけ。

 

 お互い全裸で体の前側を密着させ、互いの胸元をこすり合わせる。彼女の柔らかい乳房が押し潰され、コリとした乳首が胸板をくすぐってくる。肌と肌の触れ合う摩擦が気持ちいい。未遊と素肌を合わせている実感がたまらない。

 

「ぁっ、ぷぁ……」

 

 ひさしぶりに唇を離す。

 

 目の前で上下に揺れている未遊の顔を見つめる。

 

 可愛い困り眉。

 目はうっすら開いていて、潤んだ瞳の焦点が合っていない。

 頬には涙が流れ、口端からは涎れがこぼれている。

 半開きになった口からは熱い吐息と掠れた喘ぎ声。

 さっきから執拗に頭を撫でているせいで、綺麗な黒髪はくしゃくしゃに乱れて浮いていた。

 

 未遊の体から力は抜けきっている。

 ピストンのたびに弾みで手足が動くような状態だ。

 

 なのに膣内だけは求めるように肉棒を締め付けてくるのだから、彼女の体は不思議だ。

 

「未遊、また……出るッ」

「ん……だしてぇ……」

 

 絞り出すようなその声で、射精の導火線に火がつく。

 

「んむっ、れ……ぇぁっ、んッ、んうぅぅっ——ッッ」

 

 小さい体をかき抱き、未遊の口内を舌でかき混ぜる。彼女がえび反りのような体勢で俺の激しいキスを受け止める。

 

「うっ、ぐぅっ……!」

 

 熱い膣内で肉棒が跳ね、ビュルッと出がらしのような精子が発射された。ドクドクと股間が脈を打って尻の奥が何かを送り出そうと収縮する。凄まじい快感だ。

 

「未遊、俺の未遊っ……」

 

 情けない声を漏らしながら、俺は射精を終えたペニスをいつまでも彼女の奥へ押し当て続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……お兄ちゃん……セックスって、ハードだぁ……」

 

 仰向けになった俺の上で、うつ伏せで寝っ転がった未遊がポツリとつぶやいた。心底疲れきったような、うんざりした声だ。

 

「すまん、ちょっとやり過ぎたかも」

「お腹へったよぉ……」

 

 未遊が俺の胸元へ顔を埋める。

 

 さっきから彼女は俺にしがみついている。抱きついたままでいたいというより、この体勢のまま動けないのだろう。

 

 でも俺としては未遊のほうから抱きついてきているみたいで、このままにしている。

 

「そういえば夕飯食ってないな。でもこんなこともあろうかとコンビニ弁当買ってあるぞ」

「あぁ……だからさっきお弁当二つ買ったんだ」

「まあな」

「でも、コンドームは使ってない……」

「すまん、つい」

「後先考えなさすぎだってぇ……」

「いや後先は、考えてる。いつか親に言うつもりだし」

「えぇ、なんて……?」

「娘さんを俺にくださいって」

「……それ、私も同席する?」

「まあ、恥ずかしいよな」

「ってか、気まずいよそれ……」

「ずっと一緒に暮らしてきた家族だしな。実の親に妹をくれって言うような感じだわ」

「それ」

 

 やっと体力が戻ってきたのか、未遊がゆっくり体を起こした。細い腕が震えていて、生まれたての子鹿みたいだ。

 

「私、部活入ろうかなぁ……」

「え、何部?」

「運動部……体力つけないと、お兄ちゃんに殺される」

「いやっ、今日はその、加減を忘れてしまったというか、未遊とのセックスがよすぎて加減できなかったというか……でも今後は優しめにするから、無理して入らなくてもいいぞ」

 

 はぁ、とうんざりしたようなため息をついた未遊が、俺の腰にまたがる。

 

「私も、お兄ちゃんひぃひぃ言わせたいんだよぉ……」

 

 いつもの困り眉で、ふえぇ……という感じの声。

 

 そんな彼女が可愛くて、また股間が(たかぶ)りそうになる。

 

 こんなに可愛い未遊を見られるなんて……本当に事実を明かしてくれた両親には感謝しかない。

 

 あれ、両親といえば。

 

「……やべっ、父さんと母さんそろそろ帰ってくる」

「えぇ……」

 

 時計を見ればもう夜の12時過ぎ。

 

 深夜と言っていたから、もうすぐにでも帰ってきておかしくない。

 

「未遊、動けるか」

「うん、まぁ……」

「とりあえず風呂入れ。制服とかは俺が片付けておくから」

「ぁぃ……」

 

 ゆったりとした動作で未遊が廊下のほうへ歩いていく。

 

 俺は急いで脱いだ服を着込むと、床に散らばった未遊の制服をまとめ、下着を拾い、リビングの窓を開いて換気を始めた。

 

 洗面所に行くとお風呂場に未遊の気配がない。先に自分の部屋へ戻ったらしい。

 

 とりあえず未遊の下着を洗濯機へ放り込み、制服を持って彼女の部屋へ向かう。

 

 ちょうど部屋から未遊が出てきた。

 

 グレーの地味なスウェット上下に身を包んでいる。

 

「お前、いちいちパジャマ着たのか。裸のまま風呂に行けばよかったのに」

「あぁ……たしかに」

 

 目がほとんど閉じている。眠気で頭が働いてないのだろう。

 

 すると——玄関でガチャリと音がした。

 

 

「——あら、二人ともまだ起きてたの」

 

 先に入ってきた母さんが、廊下で硬直している俺と未遊を見て目を丸くする。

 

「って未遊、あなた汗だくじゃない!? どうしたのよ」

「あぁ~……えっと、寝てたらこのパジャマ暑くて、起きちゃって……今からお風呂入ろうかなぁと」

 

 寝落ち寸前の未遊にしては上出来な言い訳だ。

 

「あらそう。じゃあ早く入っちゃいな」

「はぁい……」

 

 ふらふらと洗面所へ向かう未遊を見送りつつ、俺も自分の部屋へと向かう。

 

「じゃ、俺も寝るよ」

「ああ待て」

 

 父さんに呼び止められてドキリとする。

 

「……なに?」

「未遊とは、話せたのか」

「ああ、うん……まあ、話せたよいろいろ」

「そうか。ならいいんだ。……お前たちは血がつながっていなくても家族だ。兄貴として、しっかり妹を守ってやるんだぞ」

「……当たり前だろ」

 

 兄というより恋人……将来の結婚相手としてだけど。

 

 若干の後ろめたさを感じつつ自室に戻り、ベッドにダイブする。

 

 次の瞬間にはもう、俺の意識はシーツの底へ沈んでいた。

 

 

 ◇

 

 

 翌朝。

 

 洗面所で歯を磨いていると、のそのそと義妹がやってきた。

 

「お兄ちゃんおはよぉ……」

「おふぁお」

 

 眠そうな目をこすりながら未遊が隣に立つ。

 

「……今日の寝ぐせはすさまじいな」

「お兄ちゃんがくしゃくしゃに……ってもういいか。今日髪切るし」

「え、切るのか」

「切る。風強い日とか邪魔だし。なんか面倒くさくて切ってなかっただけだし」

「そうか」

 

 鏡越しに、未遊の長い黒髪を眺める。

 

 彼女のことだから一度決めたらばっさりカットするのだろう。

 今日の夕方には見事なショートカット美少女へと変わっているはずだ。

 

「これが最後かと思うと、そのボンバーヘアーも名残惜しいな」

「お兄ちゃん長いほうが好き?」

「どっちの未遊も好きだぞ」

「あんがと」

「お、おう」

 

 未遊が俺の目を見てニカッと笑い、ぱしゃぱしゃと顔を洗いだした。

 

 おかしいな。てっきり「ふぇ!?」みたいなリアクションが見られると思ったのに。

 

 それに朝にしては未遊の言葉がハキハキしてるし、目もしっかり開いている。

 

 なんというか、またしても吹っ切れた感じだ。

 

 俺はこの切り替えの早さに、どこまでついていけるのだろう。

 

 できることなら一生、そばで、日に日に変わっていく未遊を見守りたい。

 

「ふぅ、お兄ちゃんごめん、タオル」

「はい」

「さんきゅー。あ、今日こそアフターピルもらってくる」

「俺も行くか?」

「いいよ、子どもじゃないし」

「……そうか」

「あー、あとさ」

「おん?」

「親に話すの、もうちょい待ってよ」

「ぜんぜんいいけど、どんくらいだ?」

「できれば、私が結婚できる年になる……くらい?」

「あと3年くらいか」

「うん……お母さんもお父さんも、聞いたらきっとびっくりするだろうし」

「びっくりってか、ひっくり返るかもな」

「それまではバレないように、こっそりエッチしよーよ」

「お、おう」

「私もお兄ちゃんに負けないように、体力つけるし」

「お、おう……頑張れよ」

 

 未遊が「ん」とお腹に力を込め、パンチを繰り出す前みたいな格好で拳を握る。

 

「おしっ……!」

 

 押忍の掛け声みたいに未遊が腹から声を出す。

 

 その姿がやっぱりコミカルで、つい吹き出しそうになってしまう。

 

 というかまあ、全部ひっくるめてめちゃめちゃ可愛い。

 

「でも未遊、すげー感じやすいから体力つけても意味ないかもな」

「もぉ……水差さないでよぉ……」

 

 ふえぇ、と困り眉になった義妹の頭をポンポンと撫で、俺は一足先にリビングへ向かった。

 




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