うすほそで、つるぺたで、この娘ぜったいおれのこと好きじゃん……。な女の子にメロメロにされたいひと、集まれー⭐︎ 白狼雪ちゃんはとっても健気で天真爛漫な押し倒され待ち誘い受けロンリーガール。小悪魔ノリでぐいぐいくるくせに男の色気に免疫ナシ。可愛い。好きな男の子のためなら精液ごっくんもシてくれます。えらいね。可愛がってあげてください。冬田舎ハートフル青春純愛いちゃいちゃえっち短編。
※ノクターンノベルズにも投稿しております

1 / 1
ノクタにも投稿してます。


★以下、本編★

 つやつやした白金の毛並み、吊り目だが眠たげなアーモンド色の瞳、ほそい眉、ながい睫(まつげ)、ミステリアスな微笑、華奢な手足に相応の矮躯(わいく)をした彼女は白狼(しらかみ) 雪(ユキ)といって相思相愛のクラスメート。

 という体(てい)。

 

「いっしょ帰ろ」

 

 と彼女がいった。

 おれはうなずく。

 放課後のまだ明るい下校道で飛行機みたいに両手を持ちあげ縁石を平均台にして遊ぶ彼女へおれは、きょうはどこか寄り道するの、とたずねた。

 

「カラオケ行きたい」

 

 おれは音痴だ。

 

「ならわたしだけ歌う」

 

 いざ歌わせてみると音痴具合は彼女も大差なかった。

 へたくそ。

 

「ひどいな。じゃ代わってよ」

 

 マイクを受けとって声を入れる。

 おれもとんとんの出来。

 しかし彼女は自分で歌っているときより楽しそうに身体を揺らして、やかましい合いの手を入れてくる。

 

「意外とイケるじゃん。みどころあり」

 

 どこらへんが。

 

「うろおぼえパートで声ちっちゃくなるとこ」

 

 くたばれ。

 

「ひど。女の子に」

 

 なら口塞げ。

 

「なんじゃそりゃ」

 

 サイドメニューのフライドポテトをつまみながら白狼は、指の先についた塩味をぺろりと舐める。

 そしてストローを吸いメロンソーダで胃袋に流しこむ。

 おれもひとつまみもらった。

 うまい。

 

「どう。美味しいでしょ」

 

 まるで自分の手柄みたいにいう。

 

「注文したのわたしだからね」

 

 マイク貸して、と白狼がいった。

 おれは従う。

 受けとると彼女は、新しく入れた曲のメロディに飛び乗って歌いはじめた。

 ジャンクなつくりのラヴソングを。

 すこぶるよい声で、ワンテンポずれた歌い出しで、オクターヴ外れの調子で。

 

 

 

 ながながと経緯を話すよりぴたりとはまる言葉があっておれたちの関係性は以下のひと言に集約できる。

 共生関係。

 相反するもの同士が利害の一致から築く。

 

「知ってる。百年くらい前はね、このへんの山にはまだオオカミがいたの」

 

 知らない。

 

「地元民め」

 

 よそ者め。

 

「もちっと興味もったほうがいいよ。せっかくいいところ住んでるんだから」

 

 白狼はおおきく息を吸って吐いた。

 慎ましやかな胸がふくらみ、肺が清浄な酸素で満たされ、用無しの二酸化炭素を吐き出す。

 小児喘息だった彼女にとっては不純物のすくない大気を満足に呼吸できるだけで祝福なのだ。

 

「オオカミ、みてみたいなあ。白い毛並みのりっぱなオオカミ。わたしの苗字とおんなじの」

 

 郷土資料館に行けば剥製があるだろうな、とおれはいった。

 

「生きてるのがみたいの。ちがい、わかんないかなぁ」

 

 まったく。

 

「ありゃ。ひねくれもの」

 

 帰り道にある橋の架かった小川にたどり着くと彼女は、きまって水底を泳ぐ河鱒の魚影を探す。

 時折、魚(うお)が跳ねる。

 白狼はアルミ製の欄干からあぶなっかしく身を乗り出すのでおれは、首根っこを先んじて掴んでおく。

 

「あは。過保護」

 

 実際に水に落ちたやつを見たことがなければしない。

 

「あれはだいぶむかしだよ。もうしないの」

 

 白狼が唇を尖らせていった。

 どうだかな、とおれはいった。

 

「もし落っこちたらさ。また助けてくれるの」

 

 いや。

 こんどこそ動かなくなるまで傍観(ぼうかん)している。

 

「ひど。きちく」

 

 ゆるやかに流れる川面が薄黄色の陽光にきらめきもっとも水の冷たい場所を泳ぐ生成途中の世界地図に似た斑点模様の魚の背鰭(せびれ)がゆらめく、おれたちは時間を忘れてそれを眺める。

 くだらない雑談をする。

 話すのは彼女で聞くのはおれだった。

 

 あ、と突然、白狼がいった。

 そしておれの背に隠れる。

 通行人。

 クラスメートだった。

 そいつはよう、と気さくに声をかけてくる。

 すこし会話していると白狼が袖をちょんと掴んで、おれが一言ことわるとそいつは消えた。

 白狼はまだおれの背中に隠れたままだ。

 

 もう行ったよ、おれはいった。

 白狼はひょこりと顔をみせる。

 

「ごめんね。急かしちゃった」

 

 べつに。

 すでに陽は傾いて帰り道は染料で染めたみたいにとっぷり夕暮れ色だった。

 魚、いなくなったな。

 

「……そうだね」

 

 白狼はすこし寂しげに微笑む。

 

 

 

 白狼を家まで送ってからおれも自宅に戻った。

 父は寡黙にろくろを回し土を捏ねている。

 おれは夕食を支度した。

 しばらくすると父が食卓にやってくる。

 淡々と箸を進めていると父は、週末、といって言葉をつなげた。

 

 家を空ける。

 展覧会。

 

 ああ。

 そう。

 

 任せる。

 わかった。

 

 やりとりを終えてからおれは、食器を片付ける。

 片手間にメッセージを白狼に送った。

 返事はすぐきた。

 

『朝イチで迎えにきてね』

 

 了承、と答える。

 

 早朝、朝靄(あさもや)、青を帯びた空気をすりぬけて自転車を漕ぐ。

 白狼の家のまえに着く。

 彼女は初冬らしい温もりのある出立ちで戸口の外にいて、おれの姿をみとめると、ちいさく袖を振った。

 

「やっほ。待ちくたびれ」

 

 まだ陽が出たばかりだろうが。

 

「会えない時間が一日千秋なの」

 

 白狼は自転車の荷台に腰かける。

 そしておれの腰に手を回す、ほそやかでなよい腕にも関わらずしがみついたらテコでも離れない。

 

「そういえば。どう」

 

 どうってなにが。

 

「いつもとちがう感じしない。わたし」

 

 つやつやしてるな。

 

「おろしたての勝負服」

 

 そう。

 

「反応うすい。きずつく」

 

 そういってもな。

 

「じゃ行こ。出発進行」

 

 地面を蹴ってペダルを踏んだ。

 

 

 

 勝手知ったる我が家をおもう存分にくつろいで白狼は、てきとうな茶菓子をつまみつつ、ここ、と隣をぽんと叩いた。

 

「ね。こっちきてよ」

 

 いかない。

 

「どうして」

 

 だっておまえ、スキンシップはげしい。

 

「いいじゃん。もっとなかよくしよーよ」

 

 じゅうぶん仲いいだろ。

 

「お。めずらしくデレた」

 

 そんなつもりはない。

 

「またまた。照れ屋さんめ」

 

 おれは白狼のそばに行った。

 彼女はすかさずおれの膝に頭を乗せてくる。

 膝枕。

 

「かたい」

 

 じゃ退いてくれ。

 

「枕は高反発がすき」

 

 ああそう。

 

「お菓子たべさせて」

 

 ほらよ。

 

「おいし」

 

 あとで知らんぞ。

 

「ふとらない体質なの」

 

 昼うどんでいいか。

 

「かき揚げもつけて」

 

 なら手伝えよ。

 

「はあい」

 

 白狼が短く返事する。

 おれは立ちあがって台所にむかう。

 手早く材料を切って粉と混ぜる、そのあいだに油の準備を済ませておき温度を見計らってさっと揚げる。

 白狼はちょこまかと背後から覗き込むが危なっかしいので油は任せたくない。

 麵を茹でてもらうと彼女は、てきぱきと手伝った。

 

「なんかいいね。こういうの」

 

 そうか。

 

「うん。共同作業はたのしい」

 

 キッチンが狭い。

 

「田舎あるある注文住宅ふかしぎ間取りだねえ」

 

 そういう意味じゃない。

 

「じゃどういう意味」

 

 さあな。

 

 器に盛りつけたうどんを啜る白狼をぼうっとみつめているとまるで、恥じらうようにあっちむいて、といった。

 おれは首をかしげつつ従う。

 ずるずると音がした。

 

「なんか時間がゆっくりしてる」

 

 いつもそんな風なことをいう。

 

「それだけ心を許してるってこと」

 

 そうか。

 

「反応うすい。きずつく」

 

 じゃなんて返せばいいんだ。

 

「ふふ。困ってる」

 

 ああそうだ。

 困ってる。

 

「ならもっと困らせちゃおう。えいっ」

 

 白狼はおれの器にある食べかけのかき揚げを盗み取ってぱくりと食べた。

 

「おいひい」

 

 食い意地。

 感心しないな。

 

「お行儀わるかったね。ごめん。わたしのあげるから」

 

 食べかけはいらん。

 

「えー。間接キス」

 

 よけいにいらん。

 

「ひどいな。じゃどうするの」

 

 根にもつことにする。

 

「うわ。陰湿」

 

 好きにいえ。

 

「へへ。じゃあどうすることもできないようにしよう。はい、あーん」

 

 なんだよ。

 白狼は自分のかき揚げをおれに差し出す。

 箸のさきにのったきつね色の衣まとう季節の味覚。

 

「くち開けて」

 

 いらんといった。

 

「いいから」

 

 仕方なく従う。

 うまい。

 

「どう。美味しいでしょ」

 

 まるで自分の手柄みたいにいう。

 

「作らせたのわたしだからね」

 

 おれは肩をすくめる。

 

 

 

「ねね。なにしてるの」

 

 なんでもいいだろ。

 

「よくないよ。おうちデートなのに。かまってよ」

 

 すこしくたびれた。

 

「ねね。ねねね」

 

 しつこい。

 おれはデコピンする。

 白狼は嬉しそうに額を押さえる。

 

「ふふ。怒った」

 

 

 

 さいきんどう。

 

「んとねえ。ふつう」

 

 ふつうか。

 ならよかった。

 

「へへ。でしょ」

 

 おれの膝に座った白狼が、頤(おとがい)を逸らしておれを見上げる。

 ふわふわの髪の毛がくすぐったくてこそばゆい。

 

「最近はちょっかいかけてくるひともすっかり減ったし。よそ者も安心ですよ。功を奏したねえ、偽装カップル大作戦」

 

 だな。

 

「いやあ。持つべきものは幼馴染。地縁と結びつきのつよい、頼りがいのある」

 

 現金なやつ。

 

「褒めてるよ。まじめに」

 

 そうなの。

 

「うん。なんなら本物カップル格上げも考えてる」

 

 冗談だろ。

 

「うん。冗談」

 

 といって白狼は体重をおれに預けた。

 膝の上の彼女はすっぽりと腕のなかにおさまる程度に小柄で、住処を追われ行き場をなくし放浪のすえ血の絶えた食肉目の生き残りにのみ現れる孤独の相から切り取った色を瞳に宿している。

 

「ごめん。うそいった」

 

 なにが。

 

「じつは、けっこう本気」

 

 さっぱりとした声だ。

 しかし裏側に硬質なゆらぎがある。

 おれは、それってかけひきってやつ、といった。

 

「うん。そう。そうなの。恋のかけひきごっこ。どう、どきどきした」

 

 すごく。

 おれは白狼の額にキスをした。

 

「ひゃっ。な、なにっ」

 

 おれもからかってみた。

 どう、感想は。

 

「……」

 

 なぜ逃げる。

 

「……さいあく。ばか」

 

 ならよかった。

 デコを両手でおさえうらめしそうに不機嫌する白狼の表情をみて、おれは笑った。

 

「こういうこと、だれにでもシてるのかな」

 

 だったらどうする。

 

「きらいになる。いー、だ」

 

 なだめるのには、すこし時間がかかった。

 

 

 

「お風呂あがりました」

 

 わかった。

 

「このおうちのシャンプーはしっとりするよ」

 

 そうか。

 

「はやく入ってよね」

 

 言われるまでもない。

 おれは脱衣所で服を脱ぎシャワーでからだを流しためた湯船に浸かった。

 まだ新品の風呂だった。

 父は家のことにとんと疎いから、業者の手配はおれがした。

 水回りをリフォームしたのは古民家特有の症状によるもので板張りの檜が、いいかげん寿命だったから入れ替えたのだが、機能的な白いバスタブもタイルの床も慣れるのには時間がかかりそうだった。

 扉むこうから声がする。

 

『お背中お流ししましょっか』

 

 のぞくなよ。

 

『しないよそんなこと。もう』

 

 ドライヤーで髪を乾かし歯磨きをすると白狼は、ようやくいなくなる。

 おれはゆっくりと湯船から出る。

 からだを拭いて服を着る。

 髪を乾かして歯を磨く。

 まだ明るい居間にむかう。

 

「ん……」

 

 白狼はソファで寝そべって居眠りをしていた。

 やすらかな寝顔で。

 パジャマの裾がめくれてへそがみえる。

 薄着だ。

 おれはさっさと乱れた着衣を整えてから毛布をかける。

 すると彼女は半目をあけた。

 

「ちょっと。おふろ長い」

 

 起きたなら自分で布団に行けよ。

 

「やだ。だっこして運んでほしいの」

 

 おれは断った。

 

「なんで」

 

 重いから。

 

 白狼はぽこぽことおれの腹を拳で叩いた。

 

「じゃいっしょの布団で寝よ。せっかくのお泊りなんだし」

 

 おまえは泊りをなんだとおもっているんだ。

 

「不純異性交遊の絶好チャンス。邪魔者(ほごしゃ)がいないならいうことなし」

 

 おれは呆れた。

 あきれ果てて指で白狼のデコをつついた。

 

「いたい」

 

 まぬけなこといってないで寝ろ。

 

「ふん。かまととぶっちゃってさ」

 

 またデコを指でつつく。

 すんでのところで躱される。

 そして白狼が甘噛んだ。

 ぱくりと。

 嚙む力はほんとうに微弱で、ほとんどしゃぶっているのと大差なかった。

 ゆっくりと離れる。

 指先が唾液で濡れている。

 白狼がいった。

 

「せいいっぱい誘惑しているわけなんだけど」

 

 効果はいまひとつだったな。

 

「こっちきてよ。おひざのっけて」

 

 おれは白狼のとなりに座る。

 彼女はあっさりと親密圏をすり抜けて、おれの正面にまたがって、くすぐったいぐらいに抱きしめる。

 

「つかまえた」

 

 まるで犬科のけものだった。

 彼女は情熱的にキスをした。

 くちびるとくちびるで。

 

 接吻。

 口吸い。

 くちづけ。

 古風な呼び方をしてもその本質は変わらない。

 

 古典的な男女の情の交換だ。

 彼女は白い肌を耳の先までまっかに染めてそれから、じっと目をあわせていった。

 

「すこしは本気つたわった」

 

 ごっこ遊びは卒業か。

 

「そっちこそどうなのさ」

 

 おれはうなずく。

 白狼はまるでなんでもないことのように澄まし顔で振る舞っている。

 冷静さを装っている。

 なんだかとても可愛らしかった。

 

「……いますごく心臓が破裂しそうなの」

 

 いかにもそんな風な顔をしてる。

 

「どんな顔。ばか」

 

 おれもやりかえすことにした。

 ほっぺにキス。

 次に首筋。

 うなじ。

 動物が異性の匂いを嗅ぐときみたいに、鼻先を擦りつけて愛撫する。

 

 白狼は、ぶるりと背筋を震わせた。

 

「ふ……。くす、ぐ……っ……たぃ……」

 

 いやか。

 

「いやじゃ、ない。けど……」

 

 おれは次第に手つきを大胆にする。

 髪を梳き、頭を撫で、服のボタンを外していく。

 ぷつり、ぷつり、はだけるまでの猶予時間はひどく緩慢に時間が流れた。

 

「あ。ちょっと」

 

 どうかした。

 

 たずねると彼女は、くちびるをとがらせていった。

 

「でんき。消してよぅ……」

 

 おれは鷹揚(おうよう)にうなずいた。

 彼女の手を引いておれの部屋へ。

 えものを咥えて巣穴に運ぶけものみたいに。

 

 電気を消しておく。

 敷布団はあつらえたばかりのように清潔だ、それは日々のたまものだったがすべてこの日のためにあるようにおもえた。

 

「ん……」

 

 彼女が指で指図する。

 おれは白狼の服を脱がせる。

 上から順番にパジャマのボタンを外して、若草色の下着があらわになる、寄せて上げる補正機能付きブラはフロントホック。

 

「さわっ、て……」

 

 いわれるがまま下着のうえから胸にふれる。

 慎ましい肉感だった。

 起伏にとぼしい。

 しかしまちがいなく女の子のからだつきだ。

 線が細く、華奢で、しかしやわらかい脂肪がふっくらとついている。

 かたちがよかった。

 指先をすべる絹生地の感触と装飾の凹凸、そしてくびれた肉体の起伏。

 

「ぁ、ふっ……」

 

 白狼が深く息を吐いた。

 右手を噛んで声を堪えているようだった。

 いじわるしてやりたくなる。

 

「ん、ふあ……っ、あ。……く、ふ……。ぅー……♥」

 

 どうして我慢してるの。

 

「ん……♥ どうして、って……。そりゃあ、恥ずかしい、し……」

 

 おれはフロントホックを外した。

 あらわになる白い乳房。

 その先端はほのかな桜色。

 ツンと尖った生意気な頭を薬指で弄ぶとか細く、甘い声で啼いた。

 

「きゅ♥ ぅん……♥ ぁ♥ ……♥ ちょ、ぉ……♥ ゃ、だぁ……♥」

 

 内股をもぞつかせて白狼は、ささやかな抵抗に転じる。

 おれはしつこく食い下がる。

 弱弱しく恥じらう声がもっと聴きたかった。

 淡い色の乳輪のふちをていねいになぞりあげて、それから、焦らしたあとのご褒美をほのめかすように掠めるだけの予告愛撫。

 

「は、ふ……♥ ぅぅ、ぅ……♥」

 

 困り眉と羞恥の顔で白狼は、熱い吐息を漏らした。

 濡れている。

 幼げな印象の童顔が、まじりっけなく無垢にみえる。

 彼女は、いかにも被虐嗜癖のある娘みたいに期待まじった垂れ眉で、あるいはレストランで名前の知らない料理の仔細をたずねるみたいに好奇心のある顔でいった。

 

「…………こっぴどくいじめるつもりなの」

 

 そりゃもうもちろん。

 

「どんなふうに、いじめるきなの」

 

 どうんなふうにしてやろうか。

 とりあえず指や舌で濡らしてやって、ほら、こことか。

 

「ひゃっ♥」

 

 白狼は肩を跳ねさせる。

 不意打ちで陰核をショーツのうえから指で撫でた。

 ぷっくりとふくらんで悪目立ちしていたからだ。

 出る杭を打つ。

 

 濡れるクロッチ。

 それから、とんとん、と大人がたばこの箱底を叩くみたいに根のほうを刺激してやる。

 つん、とんとん、とん、つん、とん。

 まるで下品なモールス信号。

 受信すると女の子の腰が跳ねる、浮く、制御不能になって乱れて男のものになる。

 

 クロッチ越しに割れ目の場所を再度撫でると舟形の染みになる。

 鼠色のガイドラインに従って。

 二本の指で割ってみる。

 くぱり♥ と。

 すると控えめに貝の口を開いた欲求不満の処女淫穴が、布地のむこうでひくついた。

 

「くぅん、ん♥ ぁ、そばない、でっ♥」

 

 だっておもいしろいかおをするから。

 

「だからどんなかお、って……♥ ……きゃふっ♥」

 

 ゆるく甘勃起した雌の突起を丹念にいたぶり倒す。

 指先で転がし、先端を、爪先でかりかりと甘く掻いてやる。

 ひゅっ、と呼吸をする音がした。

 白狼のしろい喉からだった。

 おれは下唇を舐めて狙いを定めた。

 

 ここ、弱いんだ。

 

「ん♥ んんっ♥ んぅ♥ はふ♥ そこ、ばっか、りぃ♥ ゃあ、っ♥ ィ、……っ………~~~~ッ♥」

 

 じたばたと悶えるほそい生脚。

 ゆるりと膨らむ筋肉がきゅっと緊張してすぐ弛緩する。

 絶頂していた。

 ぱちぱちと白んだ瞳。

 惚けて半開きになったくちびる。

 再び口を吸う。

 舌同士絡めあうとまるで自分と彼女が解けていく夏日の薄氷(うすらい)がごとくおもえた。

 

「ぷぁ、はっ♥ はっ……♥ も、ぃ、いったんきゅうけい……♥」

 

 おれはうなずいた。

 休憩をとる。

 彼女は体力があるほうではなかったし、それに、白狼がいうことは絶対的な言葉に聞こえたからだ。

 まっしろな肌はちろちろと生火で炙(あぶ)ったように朱に染まっている。

 

 水、飲むだろ。

 

「ん。ありがと」

 

 おれはボトルの水をもってきた。

 そして彼女に手渡すと、くっと顎を持ちあげて飲む。

 ごくりごくりと脈動する喉。

 口の端から滴がこぼれて、浅い谷間をつるつると転げ落ちてそして闇のなかへと消えていく。

 

「んく、ぷは。も、なんかさ。緊張かな。からからになっちゃって」

 

 おれももらっていい。

 

「ん。いーよ」

 

 おれはボトルを受けとって飲んだ。

 白狼がいじわる声でいった。

 

「間接キス。お味はどう」

 

 うまいよ。

 

「え。それはなぜ」

 

 間接キスだからじゃない。

 

「…………」

 

 なに。

 

「い、いつになく素直じゃん。どしたの」

 

 そうやってからかってるとひねくれるんだ。

 ひねくれてほしいわけ。

 

「ごめんごめん」

 

 おれは白狼の頬っぺたをひっぱる。

 横に伸びる。

 赤ちゃんみたいにすべすべしている。

 

「ひっはらにゃいで」

 

 おれは手を離した。

 白狼は頬を指でしばらく摩ると、ひらめいて、小悪魔的な一面を覗かせる。

 

「じゃおかえし。今度はこっちの番ね。けちょんけちょんにしたるから」

 

 白狼は雌のオオカミさながらの俊敏さでおれの喉笛に飛びこむと、のしかかって顔を舐めた。

 そして指が男根に伸びる。

 そっと添えられる。

 添えるだけだ。

 動かしはしない。

 それは将棋盤で行う駒のとりあいがみせる静寂な攻防に似ている。

 いまだけ、おれは食われる側だった。

 

「ん、べー……♥ へふ……♥」

 

 空中戦で舌を絡める。

 ピクニックキス。

 飛行機がドッグファイトするみたいに、もつれあって離れない。

 お互い映画かなにかの見様見真似だった。

 たらたらと唾液がこぼれ落ちる。

 空中給油と呼べばいいのか。

 銀色の橋が架かってすぐ崩落する。

 

「ん、れる♥ ちゅ♥ ちゅっ♥ ぷはっ♥ ふふっ。こっちも、気ぃ抜ぃひゃ、らめらから……♥」

 

 下腹部で控えていた伏兵が動く。

 空戦の膠着をみて痺れを切らしたようだった。

 まるで勇み足で考えなしの前進にもおもえたが、どうせこの場はアドリブ合戦だ。

 機敏なほうが勝つ。

 

 ゆっくりと撫であげられる。

 指先の調べ。

 痺れに似た鈍い快感が腰のあたりにわだかまる。

 

 天と地の二面作戦に怯んだおれは、たまらず呻き声をあげた。

 

「ん……。きもち、いい?」

 

 おれはうなずいた。

 

「そ。じゃ、この調子で……ひゃう♥」

 

 されるがままとは、いっていない。

 おれは白狼の耳を甘噛んだ。

 そしてぱくりと食べてしまう。

 舌で犯す。

 じゅるじゅると唾液を啜る音を響かせると、音敏感な彼女は、とたんに腰砕けになってへなりと力が抜けてしまう。

 

「ぅふう♥ そ、れぇ♥ 反、則……ぅ…………♥ ぁ、ぁ♥」

 

 続けて。

 

「ん、ぅぅ……♥ わか、った……♥」

 

 まるでいいなり人形の従順さで、白狼は、手淫愛撫を続行した。

 けっこうきもちがいい。

 

「ん……ふふっ♥」

 

 なに。

 

「動画でたくさん勉強したの」

 

 それで。

 

「意外とテクニシャンでしょ」

 

 意外となんだな。

 

「むう。からかって。すぐひいひいいわせるんだから」

 

 より滑らかにするために唾液が投与される。

 一滴、二滴、彼女の舌先から理科実験の滴定がごとく。

 

「ん、べー……♥ こんらかんひ、かな……♥」

 

 じゅうぶん濡れた。

 ゆびわっかで扱く音に水気が乗りはじめる。

 滑り気が増す。

 

「はっ………♥ はっ…………♥ はー…………っ♥ ぁ……♥」

 

 互いの熱と息遣いのみが暗闇のなかでよすがだった。

 白狼の指使いは淀みなくおれの快楽中枢を刺激してやまず、次第に男のツボを心得てゆく。

 陰嚢を這う。

 幹を撫ぜる。

 えらの張った亀の頭の輪郭を人差し指で明らかにして、我慢汁の滲む鈴口をちょんちょんと可愛がる。

 狂おしいほどの射精感がこみあげて、しかし彼女はひょいとそれをとりあげてしまう。

 

「……ふふ♥ じらしってやつ。どお」

 

 すごく生殺しの気分だ。

 

「もっときもちよくしてほしいの」

 

 おれはうなずいた。

 

「んー……♥ どうしよっかなぁ……♥」

 

 なにか条件があるわけ。

 

 たずねると白狼は、とても楽しそうな表情でうなずく。

 天真爛漫な笑顔だ。

 そして照れてれと言葉を続けた。

 

「そう。そうなの。条件があるの」

 

 いってみてよ。

 

「えっとね。えとね。明日から毎日わたしにおはようのちゅーをすること」

 

 それで。

 

「ん。ってしたら、ぎゅってすること。こう、ちからいっぱいぎゅーって」

 

 かまわないけど。

 

「じゃあねじゃあね。朝いちばんでモーニングコール。寝るまえも電話して、寝落ちするまでつなげとくの。それからね」

 

 まだあるの。

 

「いちばん重要なのをまだいってない」

 

 なに。

 

「雪(ユキ)ってよんで。ふたりのときは」

 

 おれはぎゅっと抱きしめて名前を囁いた。

 

 これでいい。

 

「もっと」

 

 何度も何度も囁いた。

 

「まだ足りないから射精(だ)させたげない」

 

 雪。

 

「…………ん♥」

 

 最後のひと押しが加わった。

 ぐっと握られて射精した。

 白濁が彼女の手のひらを染める。

 背筋がぶるりと震えた。

 脱力が波のように伝播して、腰からすっと熱が引き、かわりに、きみょうな愛おしさが胸に去来する。

 

「…………いっぱいでたね」

 

 白狼はいたずらっぽく笑って、指についた白濁をぺろりと舐めた。

 

「にがい。おいしくない」

 

 まるでおれのせいみたいにいう。

 

「だってだしたのきみだからね」

 

 おれは彼女の髪の毛をくしゃくしゃにした。

 

 

 

 

 静止した夜にひたる。

 激しい愛撫はいったんなしにして、ただお互いの裸身を擦りつけあうまだるっこしいペッティング。

 この遊びが接触面積が増えるほどたのしくなることは、だれに教わったわけでもなく知っていた。

 なめらかな感触に歓喜する手。

 指。

 男の心を揺さぶる吐息と気配。

 すがりつくように絡められる腕と脚。

 どれほどにくっつき密着したところで完全な一にはならずお互いの隙間には埋めがたい虚無と虚空と孤独があってさながら宇宙の星々と同様だった。

 

「もっとくっつこ」

 

 ん。

 

「わ。かたい。一回だしたら終わりじゃないんだ」

 

 ひとによるんじゃないか。

 

「ふうん。えいっ」

 

 ん。

 くすぐったいな。

 

「うりうり」

 

 おれは仕返すことにした。

 

「ひゃわ。ど、どこ舐めてるのさ」

 

 どこだとおもう。

 

「そ、そのう……んひゃ。 ふ。ぅん。んぃ……♥ ま、股のあいだの……♥ んんっ♥」

 

 秘所を舌で舐(ねぶ)ってみる。

 クンニ。

 いろいろ手際よく進めるためには湿らせておくのは重要だとおもって、だからそうした。

 しかしすでにねっとりと愛液の蜜を垂らす下の口はひっくり返した壺のありさまだった。

 甘い蜜を啜る。

 

「きゃふ♥ ちょ、っとぉ……♥ そこ、ばっかりぃ……♥ ずる、ぃいぃ……♥」

 

 甘やかすように突起を舌で撫ぜると白狼は、華奢なからだをびくつかせ、とろんと瞳を潤ませる。

 くちびるで咥えこむ。

 噛むふりをする、びくんと腰が跳ねる。

 もうすっかり味を覚えてしまっている。

 

 予備動作でもこれだ。

 ほんのすこし悦楽の味を匂わせただけで期待で股をもぞもぞとしている。

 淫乱なのだ。

 つがいを誘う発情期さながらに。

 腿の間はべっとりと濡れ雌のけものの求愛フェロモンで嗅げば神経が苛立つほどだった。

 

 おれは彼女の股座から顔を離した。

 白狼は、腰の抜けたよろよろでベッドの端に逃げこんだ。

 そしてぴったりと膝を閉じ上目遣いで威嚇する。

 

「ぅぅー……♥ もぅ……このいじわる……」

 

 きらい。

 

「んーん。すき」

 

 そう。

 

「うん。すき」

 

 おれは、その飾りっ気のない言葉にすこし怯む。

 そこに隙をみたようだった。

 彼女はまた噛みつくみたいにふところに、飛びこんでくる。

 そして、そのフレーズを繰り返し口ずさむ。

 

「すき。すき。すきーっ」

 

 なに。

 

「愛情表現」

 

 おれも同じようにしたらいいわけ。

 

「いいよ。したいようにしてるだけ。うう、すきだーっ。すきー。すーきっ。へへっ」

 

 なんだか、ずっといわれると。

 くすぐったい気分だな。

 

「ずーっとおもってても口に出さないようにしてたの。その分をいま取り返すの」

 

 そういって彼女はしばらく、呪文みたいにすき、すき、と連呼する。

 ぐりぐりと胸板に頭を擦りつけて。

 したいようにさせておく。

 

 そろそろ満足した。

 

「まだむり。もうちょいむり」

 

 そうなの。

 

「うん。すきなの。ぜんぶ吐き出さないと耐えられないの」

 

 じゃめいっぱいがんばれ。

 

「うん。そーする」

 

 白狼はおれの胸に張りついて、愛の言葉を囁き続ける。

 すき。

 だいすき。

 あいしてる。

 そのたびほつれた感情線が結びなおされる、おれたちの関係性が再定義されてゆく。

 

 偽物の恋人。

 共生関係。

 相反するもの同士が利害の一致から築く。

 そこから、さらに一歩進んだ場所へ。

 名前はまだない。

 言葉にするのはもうすこしあとになりそうだった。

 

 華奢なからだを抱きしめる。

 

「わ。どしたの。さむい」

 

 愛情表現。

 

「そのかえしわたしのパクリじゃん」

 

 だめ。

 

「いーよ」

 

 うん。

 

「でも意外。じつは、甘えんぼだったりする」

 

 かもしれない。

 おれはうなずいた。

 

「……そこで素直になるのは卑怯じゃん。ばか」

 

 

 

 とうとうすべて準備が整うと、白狼は完全な無口だった。

 ふだんの饒舌は見る影もない。

 正常位。

 なにか言おうとして口を開いては閉じてしまう。

 おれはゴムを取り出してはめた。

 

「………ぁ」

 

 薄皮一枚挟んだことが不満みたいだった。

 それもまたたきの間に霧散してしまう。

 

 先端が、入り口にふれた。

 水の音がした。

 くちゅり♥ と、極小の泡が弾ける。

 

「…………ぅくっ♥ ……………ぅぁ……」

 

 挿入。

 そして破瓜。

 身構えたまま白狼は、ゆっくりと薄目を開けた。

 

「ぁ、はは……。ぇと。おもったより」

 

 ならよかった。

 

「まだいってないじゃん」

 

 あんまり痛かったらぐずってすぐ泣きついてくるはずだから。

 

「ぅぅー。そこはかとなくャなきもちぃー……」

 

 ジトっとした三白眼をつくって彼女は、やせ我慢を口にした。

 まだ肩で息をしていた。

 目の端に涙が溜まっている。

 そっと抱きよせて静止する。

 密着するのは好きだった。

 

「ぅ。うごいていい、よ」

 

 ほんとうに。

 

「……ん。うそ。ちょっぴりだけ」

 

 わかった。

 

「…………キスして」

 

 キスをした。

 

「まだ痛いから慰めて」

 

 ようくがんばったな。

 

「痛いの痛いの飛んでけして」

 

 してやった。

 

「………も、だいじょぶ」

 

 そ。

 

「うん。うごいても、ぜんぜんへーき。遠慮なく」

 

 そういわれてもむずかしい。

 涙ぐんでいるし。

 なのでちょっとずつ腰を動かしはじめる。

 前後に、はずみをつけないよう慎重に。

 

「ん、っ…………ふっ………。んー…………」

 

 ぎしぎしと床かベッドが軋む音。

 ちょっと身じろぎ。

 あて感を微調整する感じで。

 白狼は、絡みついたまま器用に腰を動かして、おさまりのよい場所をみつけたようだった。

 おれは低速で腰を動かし続けた。

 そして反応をじっくりと観察する、月明かりが彼女の肌を白く照らし熱によって赤く染まったすがたをまじまじと。

 

「ん…………♥」

 

 鼻を抜ける媚声。

 吐息の質がわずかに変わった。

 こつん♥ と。

 奥を小突いた瞬間に。

 

「ぅ♥ んん……♥ ん♥ は、ぁう…………♥ そ、こ……♥ なに……?♥」

 

 たぶんここらへんじゃない。

 

「くふっ……ぅ……♥ ゆびで、させるっ、………んぅ……♥ ものなの……?♥」

 

 おれはお腹のうえから弱点らしきを指圧して、肉棒でねじりこむように圧迫刺突。

 腰を使うのに便利だから彼女の脚を片方つかんで持ち上げた。

 そして背面側位に移行する。

 このほうが深く刺さる。

 つまりてきめんだ。

 その予想はあたっていた。

 

 ここ、いいんだ。

 

「か、はふっ♥ ん゛っ♥ そ、かも……♥ んぅう、ぅ♥ ぅ♥ うんっ♥」

 

 前後する腰の音に水気が濃くなってきた。

 粘り気も増す。

 それはだんだんと感じている証拠だった。

 あからさまなほどではないけれど、やがて抽送をはやめていく。

 片手間に勃起した陰核を弄ることにした。

 くるくると浅く焦らして、ピンと小指で弾いてしまう。

 

「あ♥ ひゃぁ、ぁ、ん♥ ん♥ そ、それっ♥ ん♥ だ、だめっ♥」

 

 どうして。

 

「い、いまっ♥ んぅ゛♥ な、なんかっ♥ あ、ったま、バチバチって、ぇ♥」

 

 イきそうなんだ。

 

「ぅ、ぁ゛んぅ……♥ そ、かもしれな、ぃ♥ だか、らぁ……♥」

 

 イけよ。

 

「ひっ……♥ だ、めぇ♥ みみもと、でぇ♥ ボソっ、てぇ♥ するの、禁止ぃ……♥」

 

 イけったら。

 

「ぁ、ぅぅぅ……♥」

 

 イけ。

 

「ぅぅぅぅうううっ♥」

 

 まるで好きな子の心を言葉で犯しているきもちだたった。

 囁き声で命じるたび、肩をびくつかせて泣きじゃくる雪の、涙を、甘露がごとく舐めて、啜り、さながら巣で番(つが)うけだもの二匹の乳繰りあい。

 おれは獰猛(どうもう)さを露呈しつつあった。

 隠していた獣欲が、蓋をしていた感情が、徐々に解き放たれつつある。

 身を委ねることにする。

 

「ま、だ………ぁ……♥ だ、めぇ……♥」

 

 どうして。

 

「…………」

 

 どうしたの。

 

 たずねた。

 すると雪は、おれの腕のなかにすっぽり収まる華奢な少女は、このように口にした。

 

「はじめて、は……♥ ぃ、っしょが、いぃ……♥」

 

 脳みそに甘い針がたつ。

 そして心臓にまで到達する。

 その針にはかえしがついている。

 けっして抜けない。

 おれはまんまと罠に踏みこんだ愚かなけだもので、針に染みこんだ毒が頭に回って切ない疼痛が胸を叩いた。

 

「だめ…………?♥」

 

 ん。

 わかった。

 

「ん、は♥ ぁ♥ あーっ♥ あ♥」

 

 すでに彼女は声を抑えなくなっていた。

 前後する。

 正常位に回帰する。

 両手に恋人つなぎの枷をする。

 愛撫、くちづけ、お互い同時に達するくらいのスピードで。

 フィニッシュが近づくと彼女は、おれの腰に脚を回す、ほそやかでなよい脚にも関わらずしがみついたらテコでも離れない。

 

 もうそろそろだ。

 

「ん♥」

 

 いいか。

 

「ん♥♥」

 

 雪。

 

「ん♥♥♥」

 

 好きだ。

 

「…………~~~~~~~ッ♥♥♥♥♥」

 

 ぐっと、腰が浮いた。

 射精。

 青い感情でできた鏃(やじり)が胸をすり抜けて、彼女の心臓にまで到達する。

 たぶん胸の高まりまで届いている。

 ばくばくと。

 

「ぁ、は………ふ…………ぅー……♥」

 

 しばらく抱き合っていた。

 なにかが結実した充実感のあとはぐったりとした疲労感が襲ってくる。

 

「……おもたい」

 

 いまどくよ。

 

 おれはどいた。

 

「そっちじゃない」

 

 じゃどっちなの。

 

「こっち」

 

 みずからの股座に指を這わすと白狼は、残留していたコンドームを取り出してぷらんぷらんと宙に揺らす。

 たっぷりと白濁している。

 そして膨らんだ中身を勲章みたくとても誇らしげにいった。

 

「こってり搾り取ってあげたわけ」

 

 まるで手玉に取ったみたいにいう。

 

「誘ったのわたしだからね」

 

 雪は得意げに笑った。

 

 

 

「あむ」

 

 ちょっと。

 

「ふぁに」

 

 なぜくわえる。

 

「おそうぢふぇあってやふ」

 

 くすぐったいな。

 

「れるれるれろれるもごもご」

 

 白狼は口淫でおれの股座に顔をうずめた。

 そしてねっとりとした舌遣いで絡みついた精液をこそぎ取るとなんとか飲みこんだ。

 

「ん、く……♥ ぷは。まずいっへば」

 

 なら味あわなきゃいいのに。

 

「わたし尽くすタイプなの」

 

 そうか。

 

「もうちょっとだけ舐めていい」

 

 どうして。

 

「もうすこしでコツがつかめそうなの」

 

 いいよ。

 

「ん……。はふ、れ、ぇー……♥ ん、ちゅる………♥」

 

 横髪を耳にかけて彼女は、丹念なフェラチオを行ってみせた。

 舌先で亀頭をなぶり。

 かとおもえば張ったエラをちょんとんとくすぐり。

 鈴口をぺちぺちとノックする。

 我慢汁(カウパー)を啜る。

 

「ん、ふ…………♥ ろーぉ……♥」

 

 すごくいいよ。

 

「せんふある」

 

 おれは頭を撫でた。

 

「もっほひて」

 

 もっと頭を撫でてあげる。

 

「んー……♥」

 

 すでに半勃起になっていた。

 そそりたつやいなや彼女は、準備万端に股を開いた。

 

「ん♥ 二回戦かいし」

 

 もう休んだほうがいいんじゃない。

 

「どうして」

 

 腰をいわしても知らないぜ。

 

「そうなったら明日いちにちお姫様抱っこしてもらうから」

 

 挿入。

 今度は対面座位で。

 雪はつながった部分のみえる体位が好きみたいだった。

 

「ん……顔みちゃ、ヤ……♥」

 

 どうして。

 

「はずかし、ぃ……」

 

 なのにおれの顔は覗いてくるのか。

 

「……だってすきだし」

 

 あそう。

 

「うん」

 

 動くよ。

 

「…………ぁ♥」

 

 ゆするようなグラインド。

 奥を小突けば感じるのはわかっていたから、それ以外の弱点を探した。

 膣口近くの浅瀬。

 なかほどにある襞(ひだ)のうねうね。

 膣天井。

 Gスポットは、あっさりとみつかった。

 おれは苛烈に責め立てた。

 

「きゃふ♥ ん♥ あ♥ あーっ♥ そ、こぉ……♥ だ、め♥ 禁止ぃ♥」

 

 すぐ禁止する。

 

「ぅうぅ♥ ぐすっ♥ だめ、だってばぁ……♥」

 

 もうイくの。

 

「ん♥ んーん♥ ん♥ あっ。だ、めだ、がまん、でき、な、ぁ♥ あ♥」

 

 止めた。

 

「ぁ、ふぅ…………?♥ な、んでぇ……♥」

 

 じらしってやつ。

 どう。

 気分は。

 

「ぅ。ぅぅぅ。ぅぅううぅ……♥ い、いぢわる……♥」

 

 おれは根にもつタイプだから。

 

「ぃ、陰湿ぅ……♥ ん゛っ……♥」

 

 油断したところを奇襲する。

 スローストロークで鈍く打つ。

 狙う先は浅瀬と膣天井。

 ぬるっと引き抜いて浅瀬を引っかけ、カリ高で天井をぞりぞりと削りあげ、奥をごりごりと突くフルコース。

 雌の泣き所をつかんだ以上、おれが有利だった。

 

「はむ♥ ん、ひゃ♥ ふぁ、にぃ……♥」

 

 舐めて。

 

「ん……♥」

 

 雪のくちびると歯列の隙間に指先を飛びこませ、そのまま指へと奉仕させる。

 すごい征服感があった。

 指先に熱い舌が絡んでそれは弄べる玩具だった、ねちゃねちゃと唾液が滴ってあごまで濡れた。

 

「くひの、なひゃで……ぁふ♥ ん……♥ めひゃくひゃ、ひないでよぅ……♥」

 

 なかが狭い。

 

「そ、なの……♥」

 

 うん。

 

「わたひのこと、なんれもひってるんだ、ね……♥」

 

 お互いさまだ。

 

「ん♥ そーかも……♥」

 

 いままさに再度恋に堕ちたとでもいいたげな仕草で雪は、おれに甘えて抱きついた。

 そして噛む。

 それは肩や、二の腕や、胸や腹や指でえものにつけるマーキングであるようだった。

 

「これでほかの女は手出しできないでしょ」

 

 みたら恐れをなすだろうな。

 

「もうそろ動いてよ」

 

 体位変えたいな。

 なにか希望はある。

 

「えっとね。そだな」

 

 もぞもぞとする。

 そしておもいつくと挑発的な表情をする。

 

「じゃーん♥」

 

 雌のつがいが尻を向けて左右に振る。

 後背位(バック)。

 そこからは、まさにけものの交尾だった。

 汗にまみれ。

 うんざりするほど互いを求めあう。

 肉欲。

 または恋慕か思慕。

 執着。

 それに類するもの。

 小ぶりな尻をつかんでおもむくままに打ち付ける。

 射精。

 

「ん、ん…………っ♥ ふう♥ ふうっ♥ ねっ♥ ま、まだっ♥ おわっちゃ、や♥」

 

 この淫乱。

 

「あ。ひどい。女の子に」

 

 ならこの物欲しそうな穴塞げ。

 

「なんじゃそりゃ……ひゃんっ♥」

 

 おれはゴムを変えて三度目の挿入。

 

「♥」

 

 ずぶずぶと肉の海に沈むがごとく肉棒は、襞襞の波に揉まれてしゃぶりあげられる。

 雪のなかは狭くて短いのにどんどん飲みこもうとする。

 すぐ奥につく。

 こつん♥ とノックしてやると最奥の宮がうやうやしく降りてくる。

 ちゅ♥ といちばん奥でキスをする。

 つ♥ と頬を撫ぜるとすりすりと甘えてくる。

 

「ン。も……ィ…………♥」

 

 ちいさく雪はイッた。

 ふるふるとうなじが震えるのでわかりやすかった。

 そのからだを自分に縫い留めるかのように抱擁し射精する。

 とうとう打ち止めだった。

 

「ぁ……ふ………ぅ♥」

 

 そのまま、奥にグリグリと押しつけて。

 まるで犬のセックスみたいに。

 このうすいポリエチレンの安全弁がなければ確実に孕んでいたのだろうな、と確信できる具合だった。

 ゆっくりと抜く。

 ゴムを外して口を縛る。

 何発も出したのにずいぶん濃いままだった。

 彼女とバッチリ目があう。

 

「はふ、は……あははっ♥ おかし……♥」

 

 なにが。

 

「すごく可愛い顔してた」

 

 そっくりそのまま返してやるよ。

 

「わ。どしたの。すなお」

 

 さっきからしつこいな。

 

「ひねくれてほしいわけ」

 

 あそう。

 

「わたしの王子さまは不愛想なのがギャップなの」

 

 明日からもっといじわるにしてやる。

 

「うん。ぜひそーして。コロッと態度変わったら、えっちしたってすぐばれちゃうからね」

 

 そうだな。

 

「でもみんなにバレないところでは、すっごく甘やかしてほしいの。もうべたべたに」

 

 むずかしいな。

 

「つまりいつもどおりでいいってことっ」

 

 彼女はそう告げると、まるで恥ずかしそうにすべて後片付けをはじめる。

 そして毛布にくるまった。

 おれは後ろから抱きしめた。

 

「眠くなるまでなにか話して」

 

 そう話題もないけどな。

 

「そう」

 

 いつもいっしょにいるわけだし。

 

「それもそうだ」

 

 そっちはなにかあるわけ。

 

「あるよ。たくさんある。いままで話そうとおもってたけどいえなかったことがいーっぱいある」

 

 そうか。

 

「でも明日に取っとく」

 

 うん。

 

「おやすみ」

 

 おやすみ。

 

 

 

 †

 

 

 

 オオカミはどうだった。

 剥製だけど。

 

「んとねえ。ふつう」

 

 ふつうか。

 ならよかった。

 

「へへ。でしょ」

 

 デートスポットへえらぶには郷土資料館は、すこし退屈だった。

 そもそも地元だ。

 目新しい話はどこにもない。

 

「そうでもない」

 

 白狼がいった。

 彼女はおれの手を握っている。

 

「わたしの知らないキミのかお。たくさんみれたよ」

 

 そうかな。

 

「そうだよ」

 

 にやりと笑って彼女は、おおきく息を吸って吐いた。

 慎ましやかな胸がふくらみ、肺が清浄な酸素で満たされ、用無しの二酸化炭素を吐き出す。

 

「キミと過ごす一分一秒がわたしにとって祝福なの」

 

 そうか。

 

「すきだよ」

 

 さっぱりとした声だ。

 しかし裏側に硬質なゆらぎがある。

 うん、おれもだ、と答えた。

 

「んむっ」

 

 キスをする。

 それはくっつけるだけの初心なくちづけだ。

 しばらくくっついていた。

 ようやく離れると白狼は、へなへなとしゃがみこむ。

 

「不意打ち……禁止ぃ……」

 

 

 

 帰り道にある橋の架かった小川にたどり着くとおれは、水底を泳ぐ河鱒の魚影をみつける。

 さっそく、魚(うお)が跳ねた。

 白狼はアルミ製の欄干からあぶなっかしく身を乗り出すのだがおれは、手をつないでいるから気にしない。

 

「あは。いるいる。二匹いる」

 

 そうだな。

 ちがう模様のやつが二匹。

 

「二匹なら、寂しくないよねえ」

 

 二匹なら、と白狼がいった。

 おれはうなずく。

 微笑むと彼女は、なつかしい童謡の調べをうたいだす。

 古き世の営みをなぞる子守唄を。

 すこぶるよい声で、迷いのない歌い出しで、寄り添い生きるなかまのけものをやさしい息吹で愛撫して。

 

 

 

 かつてこの地にはオオカミが棲んでいた。

 気高き白い毛並みを靡(なび)かせ走るすがたをみることができた。

 川べりで泳ぐ魚影をみつめるすがたも。

 人のいない山間にあってついには血の絶えたものの。

 二度とこの地には戻らないものの。

 

 幾年の月日を経てまた番(つがい)のけものが巡りあうとふるき世界の残り香たちは、とわにことほぐ祝福の歌を静かに口ずさむのだった。

 

<了>




いい感じだったら感想とかくださいー。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

【R18】鬱気味の男が、後天的性転換症候群に罹って美少女になった親友に何やかんやあって救われる話(作者:雨之月詠)(オリジナル:現代/恋愛)

▼タイトル通り▼ノクターンノベルズにも載せてます


総合評価:471/評価:8.35/短編:1話/更新日時:2026年04月09日(木) 17:08 小説情報

【R18】いつも冷たく凛とした退魔師のキミが妖魔の毒で発情して帰って来た話(作者:らぴらぴ先生)(オリジナル:ファンタジー/恋愛)

任務から帰宅したユキメは、その真っ白な肌を紅潮させて倒れてしまった。▼伝統ある対妖魔装束、ミニスカート型戦闘巫女服が汗ばんでいて、むんむんとユキメのメスの匂いが立ち昇る。▼「⋯⋯死に際に、妖魔が、針を⋯⋯女を無力にする……発情の……」▼それを聴いたボクは――……


総合評価:1515/評価:8.71/短編:1話/更新日時:2026年07月08日(水) 17:01 小説情報

【R18】義妹と初めてセックスした次の日。性懲りもなく中出しエッチする話(作者:月見ハク)(オリジナル:現代/恋愛)

小柄でマイペースな妹・未遊は、昔から可愛かった。妹としてだけでなく一人の女の子として。▼そんなある日、親から二人は血がつながっていないと明かされる。驚く妹をよそに、俺は内心で歓喜した。この異常だと思っていた感情は素直にぶつけていいのだと。▼「お兄ちゃん……話あるんだけど」▼だからその夜、妹が部屋にやってきたとき——俺は思わず押し倒してしまった。▼これは、後先…


総合評価:820/評価:8.61/短編:1話/更新日時:2026年04月20日(月) 21:43 小説情報

【R18】淑やか名家落窪生真面目令嬢が自分を愛してくれるツヨオスに外堀埋められて毎日よしよしされて生と性を実感する話~(作者:ぽぶきち)(オリジナル:ファンタジー/恋愛)

『特異体質を発症したせいで家のなかで冷遇されまくった結果50年間コールドスリープで封印されていた元名家令嬢』が自分を愛してくれるツヨオスにすべてを与えられたのに本人がそれを自覚せずいまだに口説いてくるのでブチ犯してわからせようとするが普通に逆転されてイチャラブズボズボえっちでお嫁さん確定する話。


総合評価:341/評価:9/短編:1話/更新日時:2026年08月23日(日) 11:39 小説情報

【R18】爆乳クールな性処理メイドは独り立ちを絶対許さない~濃厚フェラとケダモノ交尾でヤリ部屋同棲確定です~(作者:紺真淡希)(オリジナル:現代/日常)

主人公、億万財 金満は大学進学を機に一人暮らしを決意した。▼大富豪の息子である彼は平凡な暮らしに憧れ、親の反対を押し切って六畳一間の借家暮らしをはじめたが……金満が幼い頃から仕えてきた専属メイド、雛菊が有無を言わさず同行する。▼屋敷に戻るよう告げる主人公に対し、雛菊は表情ひとつ動かさず淡々と。▼「ご主人さまの、獣じみた性欲……おひとりでは処理もできないでしょ…


総合評価:1561/評価:9/短編:1話/更新日時:2026年05月10日(日) 00:00 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>