催眠アプリで好きにさせた女が、俺に抱かれたくて泣いているけど、まだ抱かない 作:kokoko146666
オリジナル:現代/恋愛
タグ:R-18 催眠 アプリ 現代 学園 ハッピーエンド
だがある日、彼は図書室で『催眠アプリ』を拾う。 復讐のつもりで打ち込んだ「俺を好きになれ」という命令。
翌日から、傲慢だった美桜は透の顔を見るだけで赤面し、放課後の教室で自ら服を脱ぎ、四つん這いで「抱いてほしい」と泣いて縋るようになる。
だが、透は彼女を抱かない。 「次はもっと上手におねだりしてみろよ、犬」 これは、偽りの支配から始まる真実の恋の物語。歪んだ命令の先に、彼女が隠し持っていた『本当の秘密』を、俺はまだ知らない。
「結城先輩、今日も美人っすね!」
「やべー……マジで、顔面国宝じゃん……」
昼休みの中庭に、男子たちのざわめきがこだまする。
中央に座っているのは、
言わずと知れたこの学園の“顔”──結城 美桜。
長く艶のある黒髪、切れ長の瞳。
くっきりした口元と、少しだけ意地の悪そうな笑み。
制服は誰よりも正しく着ているのに、
それだけで淫靡に見えるのは、たぶん顔が良すぎるせい。
「美桜さーん、次の講義、いっしょに行きません?」
「え、今日ヒマ?じゃあ教室まで荷物持ちますよ!」
取り巻きの男子たちが競うように声をかけて、
彼女はそれに「うん、お願い♡」と、ほんの少しだけ笑って返す。
その笑顔で、またひとり、男が恋に落ちる。
──でも、それは表の顔。
俺が中庭を通り過ぎようとしたその瞬間、
ふと、美桜と目が合った。
……しまった。
そう思った時にはもう遅い。
「……あれ??」
彼女の声が、スピーカーみたいに通る。
その場にいた何人かが、視線をこっちに向ける。
「いたんだ? てか、……なに、こっち見てたの?気持ちわる」
ざわ……と周囲の空気が揺れる。
「ほんっと、なんでこの学園入れたんだろ。
虫みたいな存在感だよね」
言葉に毒はある。
でも、笑顔は崩れない。
取り巻きの男子も「やべー」と笑いながら、
俺の肩を小突いて通り過ぎていく。
ああ、いつも通りの光景だ。
美人で優等生で、男子人気トップ。
でも──本性は、こんなふうに人を踏みつけて笑う女。
俺は視線を落とし、無言でその場を離れる。
心臓が痛いわけじゃない。
慣れてる。言い返す気もない。
ただ──
(……あの顔が、“好きです”って言うところを見てみたい)
そんなことをふと思った。
冗談みたいな、くだらない妄想。
けれど──その日の放課後。
俺の手に渡った一つのスマホが、
その妄想を、“命令”に変えることになる。
◆
放課後の図書室。
人影もまばらな静寂の中で、俺はプリンターの列に並んでいた。
たった一枚のプリントを出すためだけに、無駄に長い時間を費やす場所。
でも、ここだけは誰の声も、視線も届かない。
……そう思っていた。
印刷が終わり、席を立とうとしたとき、
隣の机に、誰かのスマホがぽつんと置かれているのに気づいた。
画面がついている。ログイン状態のまま、ロックもかかっていない。
思わず覗き込む。
《スキルアプリ:命令式催眠 ver1.03》
起動中:対象の名前を含んだ命令文を入力してください
※スキルは一度発動すると対象の潜在意識に影響を与えます。
「……は?」
アプリのデザインは、ゲームのようでいてどこか無機質。
悪ふざけにしては妙に作り込まれていた。
スクリーンの下に、“最後の入力履歴”が残っていた。
【例】:橘あやか は 市川直人 を好きになる
冗談だろ。
でも──もし、本当に効くとしたら。
背中に、ひやりとした汗がにじむ。
ふと思い浮かんだのは……あの女。
結城美桜。
あの顔で、あの声で──俺の名前を呼んで、
「好き」って言ったら。
くだらない。
でも、言葉はもうキーボードに打たれていた。
【入力】:結城美桜 は 白石透 を好きになる
+ 白石透 に対してエッチな命令に逆らえなくなる
“送信”ボタンを、指が押していた。
──ピロン。
軽い通知音と同時に、画面に表示される。
《スキル発動成功》
対象の潜在意識に反映されました。
発動時間:翌朝以降の最初の接触時より有効
「…………」
嘘みたいに軽い音。
ゲームと変わらないUI。
だけど──何かが変わってしまった気がした。
本当に効くなら、明日からあいつは俺を好きになる。
しかも、“エロい命令”には逆らえない。
まさか。
いや、でも──
そのままスマホを閉じて席を離れる。
空っぽの図書室が、どこまでも静かだった。
◆
「……あれ? 透くん、おはよ」
……透くん、だと?
教室に入った瞬間、結城美桜がこちらを振り返って笑いかけてきた。
笑顔。まっすぐ目を見て。口角がやや下がり気味の、柔らかいやつ。
……あの女が?
「……おはよ」
ぎこちなく返した声に、美桜は嬉しそうに頷く。
「いつもより早いじゃん。もしかして、あたしと同じバスだった?」
「……いや」
「そっか、偶然かぁ。でも、なんか嬉しいかも」
──なにこれ。
昨日まで「虫」「存在しない扱い」だった相手が、
いきなりまるで“友達以上”みたいなテンションで距離を詰めてくる。
教室の空気もどこかおかしい。
まわりの男子たちも美桜のテンションに驚いてるのか、静かにこっちを伺っている。
「ねぇ、今日の一限、めんどいね」
「……透くんって、ノート綺麗そう。見せてくれたり、する?」
机越しに前かがみで話しかけてくる。
胸元、空いてる。
昨日と同じ制服なのに、どこか……いやらしく見える。
「見せてもいいけど」
「やった♡」
その一瞬。
ふと、笑顔がふるえる。
目線が、俺の唇に落ちた──ように見えた。
(……効いてる)
確信した。
アプリは本物だ。
催眠は、成功している。
そして次の瞬間──
「ねぇ、放課後……時間ある?」
その声が、かすかに熱を含んでいた。
「ちょっとだけ……話したいこと、あるから」
◆
放課後。
教室には、俺と結城美桜──ふたりだけだった。
窓の外は夕焼けが差し込んでいて、
黒板の影が床にゆっくり伸びていた。
美桜は、俺の机の前で立ち止まると、
ゆっくりと振り返った。
「……来てくれて、ありがとう」
その声は、普段のあの威圧感とはまるで違う。
上ずって、震えて、熱を孕んでいた。
「なぁ、美桜」
透けかけた夕陽の中、俺は一歩だけ前に出た。
「……おまえ、俺のこと好きなの?」
「……うん」
小さく、でも即答だった。
「……すごく、好き。……どうしようもないくらい」
嘘みたいに素直な声だった。
でも……それは催眠のせいだ。
言わせたのは、俺だ。
命令したのは、俺の指だった。
だけど──目の前の彼女の顔は、
泣きそうで、必死で、
本当に俺を求めているようにしか見えなかった。
「……抱いてほしいの?」
「……うん。だめ、かな……?」
声が小さくなる。
唇を噛んで、視線を伏せて──
そのまま、美桜は制服の第一ボタンに指をかけた。
「脱ぐ、ね……?」
「……ああ。脱いでみろよ」
「……うん」
──カチ。
最初のボタンが外れる音が、やけに大きく響いた。
2つ、3つ。
リボンが外れて、白いブラウスの下から、
ブラのレースが透けて見えた。
恥ずかしそうに目を逸らしながら、
それでも美桜の指は止まらない。
スカートのホック。
左の太ももをなぞるようにして、制服が床に滑り落ちる。
「……ねぇ、透くん。
ここで、していいから……」
彼女は、机に手をついて、
自分から脚を開いた。
「見て……すっごく濡れてるの、わかる……?」
パンツの奥に指を這わせ、
くちゅっ……と音が鳴った。
指を見せつけるように俺へ向ける。
「お願い、透くん……抱いて……っ。わたし、もうおかしくなりそうなの……っ」
俺は、机の縁に腰をかけて、
腕を組んだまま、彼女を見下ろした。
そして、言う。
「……じゃあ、“犬のポーズ”してみろよ」
「……え……?」
「四つん這い。俺のことが好きで、抱いてほしいんなら、
“発情したメスのマネ”してごらん?」
美桜は、一瞬固まった。
でも──ゆっくりと、しゃがみこみ、
脚を開いて、手のひらと膝を床につけた。
制服の裾が背中から落ちて、
下着のラインがむき出しになる。
「……こ、こう……?」
「そうそう。……よくできました」
美桜の背中が震えていた。
でも──そこには、確かに快感と、屈辱と、期待が入り混じっていた。
「これで……いいの……?」
「……おいで、美桜」
俺が指をくいっと曲げて呼ぶと、
彼女は少し戸惑ってから、ゆっくり四つん這いで近づいてくる。
制服はすでに脱ぎ散らかされ、
下着姿のまま、床を這って近づいてくる姿は──
かつて“虫”と罵った女王とは、到底思えなかった。
「……好き、だよ。ほんとに……」
唇を噛みながら、
彼女は俺の目の前で、じっと膝を揃えて座り込む。
「お願い……抱いて。透くんのこと……ずっと考えてて……
もう、私、おかしくなりそうで……♡」
「じゃあ……“お手”」
「……え?」
「犬でしょ? 俺のこと好きな、発情したメスなんだろ」
「…………っ」
顔を真っ赤にして、美桜は俯く。
でも──俺を睨んだり、拒んだりはしない。
催眠は、確かに効いてる。
今の彼女には、“命令”に逆らう選択肢がない。
「ほら。言って。“透くん、大好きです。わたし、お手します”って」
「……っ……透くん……大好き、です……
わたし……お手……します……」
震える声と共に、
右手が恐る恐る上がる。
指先は、微かに汗ばんでいた。
俺は、それを軽く叩いてみせる。
「よしよし。じゃあ……“おすわり”」
「……っ」
美桜の身体が、小さくびくんと跳ねた。
羞恥と快感が入り混じって、
息の端から、あえぎ声が混じっている。
「お、おすわり、……します……♡」
ゆっくりと膝を曲げ、正座の体勢に。
太ももの内側が、かすかに濡れていた。
「今度は、“抱いて”って言ってみろよ」
「……透くん……私を抱いて……?」
彼女の声は甘く、でも泣きそうで、
今にも俺に飛びつきそうだった。
でも──
俺は、ふっと立ち上がった。
「──やっぱ、いいや」
「……っえ?」
「そう簡単にやらせねぇよ。
お前がどれだけ“俺のこと”好きでもな」
美桜の目が、絶望でにじむ。
「……じゃ、またな。次はもうちょい、尻尾ふってこい」
教室を出る直前、彼女が後ろから震える声で叫んだ。
「透くん……透くん、お願い……抱いてよ……っ
わたし、こんなに……好きなのに……っ!!」
俺は、振り返らなかった。
この命令地獄の先に、
“本物の好き”が生まれるのなら──
その日まで、俺はまだ、抱かない。
◆
翌朝の教室。
昨日と同じはずの場所。
昨日と同じ制服。
昨日と同じクラスメイトたちのざわめき。
……なのに、空気がまるで違っていた。
美桜は、俺の席のすぐ隣に座っていた。
普段なら絶対に近づいてこない。
──むしろ、避けていたはずの距離。
でも今は、自分から俺の半径30cmに入り込んで、
まるで“恋人”みたいに、俺の顔を見つめている。
「……おはよう、透くん」
声が小さい。
でも甘い。
唇の端を噛みながら、
少しだけ伏し目がちに笑うその顔は──
先日までの“学園の女王”じゃなかった。
「なぁ、昨日のこと……覚えてる?」
「……うん。全部、覚えてる」
即答だった。
「私、自分で脱いだの。
机の前で、脚、開いたの。
“おすわり”も、“お手”も……全部」
「恥ずかしくなかったのか?」
「……めちゃくちゃ、恥ずかしかった」
美桜は、吐き出すように言う。
「でも、それ以上に……
“抱いてもらえる”って思ったら、
なんか、身体が、勝手に動いちゃったの……」
「“好きにさせた”だけで、
あなたが何もしなくても、私、こんなに……」
自分の胸元を抱くようにして、
美桜が俺の肩に顔を近づけてくる。
「ねえ……今日、する?」
「放課後、また……してくれるなら、私、なんでも──」
その瞬間。
──俺は、美桜の耳元に、口を近づけた。
そして、囁く。
「じゃあ、“おちんちん舐めさせて”って頼んでみろよ」
びくっ……と、彼女の肩が跳ねる。
頬が真っ赤に染まり、
口元が、かすかに開いた。
「……い、いま、ここで……?」
「聞こえなかったな。
放課後にしてほしいなら、今すぐ言ってみなよ」
美桜は、一度、ギュッと目を閉じる。
そして、絞り出すように──
「……透くんのおちんちん……舐めさせてください……」
「よく言えました。
……じゃ、放課後、楽しみにしてるわ」
──この“好き”が、催眠のせいだろうと関係ない。
本気になるまで、抱いてやらない。
でも──
身体ごと、心の奥を暴いていくことだけは、止めない。
◆
放課後の教室。
カーテン越しに差し込む夕陽が、机と椅子を長く影にしていた。
空気は静かすぎて、
ドアの開閉音ひとつでも、心臓に響くようだった。
ガラッ、と俺が入ると、
その音だけで、彼女の背中がピクリと跳ねた。
結城美桜──学園の絶対的女王だったはずの女は、
今、四つん這いになって床に這いつくばっていた。
制服のジャケットは椅子にかけられ、
シャツの袖はたくしあげられて、スカートの下からは太ももが覗いている。
「……透くん。今日も、来てくれてありがとう」
頭を下げたまま、息を飲むようにそう言う。
昨日と同じ。
いや、昨日よりも、深く、素直に、“従いたがっていた”。
「おいで、美桜」
椅子に腰をかけながら呼ぶと、
美桜は膝を滑らせるように近づいてきた。
その姿はまるで──忠実な犬だった。
「“お手”」
ぴくん、と指先が震えた。
美桜は小さく息を呑み、俺の足元で手を差し出す。
「……透くん、大好きです。お手……します」
その声には、確かな恥じらいがあった。
でも、喜びもあった。
命令をもらえたことに、素直に嬉しがっている声だった。
俺はその手を軽く叩く。
「よし。次、“おすわり”」
彼女は膝をついて、おとなしく正座した。
制服のスカートがわずかにめくれて、下着のラインが見えそうで──
でも、それを直す素振りは一切なかった。
「……っふ。はぁ……♡」
息が熱い。
この時点ですでに、美桜は身体の奥で発情しかけていた。
「いい子だな、美桜」
頭を一度だけ撫でてやると、
彼女の肩がまた、ぴくりと震えた。
静寂のなか、俺の声だけが響く。
「……次、“ワン”って鳴いてみろ」
正座したままの美桜が、一瞬だけ目を見開いた。
でも、命令されたことをすぐに理解して、
ぎゅっと膝の上で拳を握る。
「……っ、わ、ワン……」
「そんなの、聞こえない」
「っ……ワン……っ♡ ……わん、わん♡……」
顔が真っ赤になりながら、
それでも美桜は繰り返す。
「ワン♡……あ、ぁ……♡ わん……」
言うたびに、声の端に熱が混ざっていく。
“鳴くだけ”の行為が、
こんなにも彼女を乱しているのが、わかる。
「──“待て”」
俺がそう言った瞬間、
美桜の声がピタッと止まった。
「……は、い……っ、ま、待て……します……♡」
俺は立ち上がり、
ズボンの前を静かに開ける。
布越しに勃ちあがった竿を引き出し、
そのまま──彼女の顔のすぐ前へと突き出した。
美桜の目が、自然と見開かれる。
視線が、ぴたりとそこに釘付けになる。
「……透くん……」
「待て、だぞ?」
「…………っ♡」
ほんの数センチ先にある“それ”に、
彼女は目を潤ませながら、小さく鼻を動かす。
「く、くん……♡ ……匂い、だけで……だめ……♡
わたし、もう……いっちゃいそう……♡」
身体は動かさない。
でも、内腿が小刻みに震えているのがわかる。
“触れていないのに、絶頂寸前”──
それは、命令に従うことが快感になっている証だった。
「本当に舐めたいのか?」
「……うん、……ううん、ちがう……っ」
「……?」
「舐めたい、じゃない……っ」
彼女は顔を伏せ、震えながら──
自分で言い直す。
「……この、すけべな……雌犬に……
透くんの、おちんちん……舐めさせてください……♡」
羞恥と熱と、絶望がにじんだ声。
でも、その奥には確かに、愛されたいという本音が見えた。
俺は彼女の震える姿をしばらく見下ろしてから、
ゆっくりと腰を落とした。
目の前。
正座している美桜は、顔を真っ赤に染め、
自分で発した言葉の余韻に身体を震わせていた。
「……よく言えたな、美桜」
そう言って、
彼女の頭に手を伸ばす。
髪を撫でると、彼女は一瞬目を閉じて、
安心したように身体をゆるめた。
ポン、ポン、と軽く頭を叩く。
「じゃあ──“一回だけ”な」
「……え?」
「ひと舐め。たったそれだけ。
その代わり、丁寧にな」
「……っ、う、うんっ♡」
美桜は、舌を潤しながら、
膝でにじるようにして俺の前に這い寄る。
そして──
ほんの少し、口を開けた。
目を細め、
唇の間から、濡れた舌先がのぞく。
「……いただきます……♡」
ぺろ──
舌先が、先端を一度、なぞるように触れた。
わずかに震えながら、
美桜が目を閉じ、そのひと舐めに全感情を込めるように集中していた。
「ん……♡」
舐めた舌を引っ込め、唇をそっと閉じたあと、
彼女はうっとりした表情で俺を見上げてくる。
「ありがとう……透くん……
すごく、美味しかった……♡」
それは、涙ぐむほど純粋で、
でも、どうしようもなくいやらしい声だった。
「……いい子だな、美桜」
俺はもう一度、頭を撫でた。
そして、
そのまま立ち上がる。
「──今日は、もう帰るわ」
「……え……?」
美桜の顔が、ぱっと曇る。
「や、だ……っ 今日は、もっとしてくれるんじゃ……っ」
「“一回だけ”って言ったよな?」
俺は笑って、教室の扉へと歩き出す。
「明日、もっと上手に鳴けたら──
次は“二舐め”させてやるよ」
「…………っ」
後ろから、美桜の小さな声が聞こえた。
「……うぅ、好き……好きだよ、透くん……♡
もっと、褒めてほしかった……♡」
◆
翌朝。
いつもと変わらない教室。
教卓に置かれた連絡プリント。窓の外の青空。
そして──俺の隣の席に座っている、首にリボンを巻いた美桜。
いや、正確に言えば──
リボンじゃない。
それは、赤いレザーの首輪だった。
白いシャツの襟を少し開き、
ネームタグもない、無地の“本物”。
見間違えるはずがない。
「……何、その首輪」
問いかけると、美桜は少しだけ顔を赤くして、
そっと髪をかき上げる。
「……これ、ね。ネットで見つけたの。
……飼ってくれるって言ってたから……♡」
視線を落としながら、
恥ずかしさと嬉しさの混ざった笑みを浮かべる。
「昨日、頭撫でてくれたでしょ?
……だから、もっと“犬”になれたら、
透くんに褒めてもらえるかなって……」
俺は、言葉を失った。
そこにいるのは、
もう“命令された女”じゃなかった。
自分の意志で、命令に従いたくなっている
──そんな顔だった。
「透くん、今日も……“ご褒美”くれる?」
机の下、制服のスカートがわずかに揺れる。
太ももをぴたりと揃えたその脚が、
わずかに震えていた。
「……今日は、二舐め?」
「うん……♡ 昨日みたいに……
ひと舐めだけじゃ、足りなかった……」
「……ご褒美が欲しいなら」
俺は、彼女の首輪のリングを人差し指で軽く弾いた。
「放課後まで、“ちゃんとお利口”でいろよ」
その瞬間、美桜の瞳がとろけた。
「……うん♡ ……ワン、って鳴いてもいい?」
「鳴くな。……他の奴に怪しまれるだろ」
「……はぁい♡」
◆
放課後の教室。
最後のチャイムが鳴ってから、誰もいなくなったフロアに、
スニーカーの足音が響く。
扉を開けると──
そこには、今日もちゃんと、
四つん這いで待っている女がいた。
首輪。スカート。汗ばんだ太もも。
そして、伏せたままの視線。
結城美桜は、すでに俺のことを“主人”としか見ていない。
誰よりもプライドが高かったはずの女が、
今はその目を潤ませながら、教室の床に這いつくばっている。
「……透くん」
顔を上げた彼女は、首輪のリングをそっと指で押さえながら、甘えた声で言った。
「今日も、ちゃんと犬にするって、約束だよね……?」
「……ああ」
俺は机に鞄を置いて、椅子に腰を下ろす。
その動きを確認しただけで、美桜の腰がぴくりと跳ねる。
期待と緊張と快楽が入り混じって、
もう“命令待ちの身体”になっていた。
「じゃあ、“ワン”」
「……わんっ♡」
即答だった。
昨日よりも声が大きく、素直だった。
「もっと情けなく」
「わんっ♡ わんっ♡ わ、ん……っ♡」
声が震える。
恥ずかしさと、嬉しさと、期待のすべてが、
あえぎに混じって濡れ出している。
「……“お手”」
美桜は、四つん這いのまま手を上げて、
俺の太ももにそっと乗せてくる。
「……透くん、大好きです。お手……します……♡」
「よし」
俺はその手の甲をポンと叩き、
軽く、優しく撫でた。
それだけで、美桜は細く息を吐いて、
恍惚とした表情を浮かべる。
「じゃあ、美桜──今日の“ご褒美”が欲しいなら、こっち向けよ」
俺が椅子を引いて、腰を少しだけ前に出すと、
美桜はすぐに顔を上げ、うつ伏せのまま、膝で近づいてきた。
息が浅い。
喉が鳴っている。
ご褒美──
そう言われただけで、もう“舐められる”と決めつけてる顔。
俺はゆっくりとズボンの前を開け、
半勃ちの竿を引き出して、
そのまま──美桜の顔すれすれに突き出した。
「……っ♡」
彼女の鼻先に、俺の先端がふれるかふれないかの距離。
目を細めて、口が開きかけた瞬間──
「──“マテ”」
びくっ。
肩が大きく跳ねて、
美桜はその場で硬直した。
「……っは、……ま、待て……っ♡」
呟くように、命令を反芻しながら、
彼女は舌を引っ込める。
でも、目線は逸らせない。
「いい子だな、美桜。……偉いぞ。
ほら、俺の匂いだけ──じっくり嗅いでみろよ」
「……っはい……♡」
美桜は、膝を進め、鼻先でゆっくりと、俺の竿をなぞるように動かす。
「く、くん……♡ ん、くぅ……っ、すご……♡
透くんの匂い……濃くて……頭、くらくらする……♡」
顔を赤くしながら、鼻を鳴らす。
その動きは、もう完全に、
“犬”だった。
「よし。……舐めるのは禁止。
でも──自分の、触っていいよ」
「……えっ、……ほんとに?」
「ああ。
匂いだけでイけるなら、どうぞって感じ」
美桜は、震える手をスカートの下へ滑り込ませる。
ぐちゅっ──♡という水音が、制服越しにも漏れた。
「んっ、あ、あぁ……♡ やば、ちょ、だめ……♡
これ……やばい、透くんの匂い、だけで……っ♡」
腰が揺れる。太ももが痙攣する。
“触っている”というより、
すでに“おさえられない”という動きだった。
「イっちゃえよ、美桜。
好きな男の匂い嗅ぎながら、勝手に果ててみろ」
「やっ、あっ♡ イっ、イっ……ちゃ……っ♡♡♡」
びくんっ!と背筋をのけぞらせ、
彼女は床に手をついたまま、ビクビクと震えながら果てた。
顔のすぐ前には、俺の竿。
でも──一度も触れさせていない。
彼女は、
“欲しかったものに触れられずにイく”ことが、快感になっていた。
びくん、びくん……っ!
床に崩れ落ちた美桜の太ももが、まだわずかに跳ねている。
下着はすでにぐっしょり濡れていて、スカートの内側は粘液が糸を引いていた。
「ふぅ……♡ んっ……だめ、まだ、びくびくする……♡」
透の竿は、美桜の目のすぐ前。
けれど──透はそれをしまいもせず、
美桜の脚の間にしゃがみ込んだ。
「よく頑張ったな。……ご褒美だ」
「……えっ? ……ご褒美……?」
パンツの端を、透の指がずらす。
そして──
ぬるんっ……♡
一瞬。
ほんのひと舐めだけ。
その舌先が、クリトリスの真上を撫で上げた。
「……ッッ♡♡♡ ひあっっ♡♡♡ な、なに……今のっ……♡♡♡」
美桜の身体が、爆発するように跳ねる。
背筋を反らし、机の脚に膝をぶつけても気にせず、
シーツもない教室の床で、派手に痙攣しながら果てる。
「だ、だめっ♡♡♡ ひと舐めとか、やばっ……っ♡♡♡
い、イッ……♡♡♡ イッちゃってるのに、また……♡♡♡」
透は静かに舌を引き、
笑いながら立ち上がる。
「ふた舐めとは言ったけど、
俺のを舐めさせるとは言ってないよな」
そして──
再びしゃがんで、
クリを“もう一舐め”。
ぬちゅっ♡
「やぁっ♡♡♡ やだっ♡♡♡ やばいっ♡ また、くるっ……♡♡♡」
腰を引いても、快感が追いかけてくる。
涙もよだれも混ざって、彼女は崩れるように床に伏せた。
「……も、だめ……なにこれ……なんで、こんなに……♡♡♡」
そのまま透は、ズボンを整えて、無言で鞄を持ち上げる。
「え……? 帰っちゃうの……?」
声は弱く、息を引きずるようにして、震えていた。
透は振り返らずに、ただ一言だけ吐き捨てる。
「──そろそろ、犬も飽きてきたな」
扉が静かに閉まる。
残された美桜は、
脚を開いたまま、床に崩れて、泣きそうな声でつぶやいた。
「……捨てないで……透くん……
私、もっと……ちゃんと、鳴けるから……♡」
◆
教室の空気が、少しだけ違っていた。
透がいつもの席に座ると、
すぐ隣に、美桜が座ってきた──いつも通りの笑顔で。
だけど……今日の彼女は、
どこか、震えていた。
「……透くん、おはよう」
声のトーンは柔らかく、
でも、視線は落ち着かない。
袖口を握る指が、ずっと小刻みに動いていた。
「……どうした、美桜」
透がそう訊ねると、
美桜は耳まで真っ赤にしながら、
小さな声で言った。
「……今日、つけてきたの。……自分で」
「……つけた?」
「……中に、……おもちゃ、入れてきたの」
「…………」
沈黙。
透が何も言わないでいると、
美桜は恥ずかしそうに顔を伏せたまま、言葉を重ねる。
「……昨日、“犬も飽きた”って言われたの、
ずっと、頭から離れなくて……」
「わたし……ただの犬じゃなくて、
“透くんに飼われたい女”になりたくて……っ」
机の下で、スカートの中に手を差し込み、
ぐっ……と膣奥を締めるような仕草をする。
「……ちゃんと、入ってるよ?
中で、透くんのこと考えて……
もう、朝から、いっぱい反応してる……♡」
震える声が、透の鼓膜をくすぐる。
「だから、今日も……ちゃんと、“わたしのこと”、見てほしいの……♡」
涙ぐんだ瞳が、
“抱いてほしい”ではなく──
“見捨てないで”と叫んでいた。
◆
2限目の講義中。
教室の時間は、静かに進んでいた。
窓の外では風が葉を揺らし、
黒板にはつまらない数式が並んでいる。
でも──俺の隣に座る美桜は、
そのどれにも集中していなかった。
「…………っ」
机に肘をついて、顔を隠している。
でも、よく見れば、頬が赤い。
そして……その膝の奥。
スカートの奥で、
太ももがずっと小さく震えていた。
「(……おもちゃ、ほんとに入ってんのかよ)」
俺は、美桜の左手にあるシャーペンに目をやりながら、
口を開かずに、そっと言葉を落とす。
「……“締めて”。中で、俺の形を思い出しながら」
その瞬間。
美桜のペンが、“ピクッ”と止まった。
「っ……♡」
声は出さない。
でも、目が大きく見開かれ、
教科書の隙間から、うっすらと涙の粒が光った。
「(次──5秒だけ、前を刺激しろ。外から、軽くな)」
指示を出すと、美桜は机の下に手を滑らせ、
ゆっくりと太ももを押さえるように触れる。
スカートの奥、クリトリスの位置を、
シャツの袖越しに軽く圧迫する。
「っっ♡♡……ぁ、っく……♡」
かすかに唇が開いて、
息が止まったように見えた。
「(そのまま、“イきたい”って思ってみろ)」
内腿が、わずかに開く。
椅子の上、制服の中、
おもちゃを咥えた膣が、
主人の命令で震え出す。
そして──
「……っ♡っ♡♡……っ、んっ……♡♡」
美桜は、授業中の教室で、
声を出さずに、びくんっ!と小さく跳ねた。
机の下、パンツの中。
おもちゃ越しに絶頂が突き抜けて、
指先がノートに走らせた文字が、波打つように乱れる。
隣で、俺は一言だけ呟いた。
「(……いい子)」
その一言に、
美桜の頬を一筋の涙が伝う。
「(……ありがとう、透くん……♡)」
◆
放課後の教室。
誰もいない、静まり返った空間。
窓の外では夕日が沈みかけていて、
カーテンの隙間から入る光が、机の縁を赤く照らしていた。
その光の中、
結城美桜は、今日も机の横で正座していた。
背筋をぴんと伸ばし、両手は膝の上。
まるで“ご主人の指示を待つ犬”のように、
目を伏せて息を整えている。
透が席に座ると、彼女の肩がぴくりと動いた。
「……今日も、ちゃんと、待てたよ」
「そうか。じゃあ──ご褒美、やるか」
「……うん……♡」
美桜の表情に、わずかに笑みが浮かぶ。
透は机に肘をつきながら、少し目を細めて訊いた。
「今日は、何が欲しい?」
美桜は、すこしだけ考えるように唇を噛み、
意を決したように顔を上げた。
「……あのね。……今日は、キス……してほしいの」
その声は震えていた。
いつもの命令に従う快楽じゃない、
“お願い”に近い声だった。
透は一瞬だけ沈黙し、静かに口元を緩めた。
「じゃあ──口、開けろ」
「……え?」
「“キス”ってのは、色んなやり方があるんだよ」
美桜は目を見開いたあと、
少し頬を赤らめ、素直に口を開けた。
「……んっ……」
唇を少しすぼめて、目を閉じる。
キスを待つ少女の姿そのものだった。
けれど──
透は唇を重ねなかった。
代わりに、
自分の口内にわずかに溜めた唾液を、
そのまま……ひと滴、彼女の口内にたらした。
ぽたり──
「……っん♡♡」
美桜の身体がぴくんと跳ねた。
味も、香りも、
唇すら触れられていないのに、
“彼の中の一部”が、今、自分の中に入ってきた。
それだけで、
心臓が跳ねるほど“満たされた”。
「……すごい……
今のだけで……すっごく、キュンとした……♡」
「そっか。じゃあ、今日のご褒美は“キス未満の唾液”ってとこだな」
美桜は、うっとりしたまま、
自分の胸にそっと手を当てていた。
まるで、“心そのもの”に触れられたような顔で。
唾液を受け取った美桜は、
その余韻にひたりながらも、
どこかソワソワと、身体を揺らし始めていた。
「……あのね、透くん」
「ん?」
「……まだ、ちゃんと入れてるよ。朝から」
「何を?」
「おもちゃ……♡ 普通のより、ちょっと大きいの」
恥ずかしそうに言いながら、
彼女は机の下で、スカートをゆっくり捲り上げる。
透の視線が脚に落ちた瞬間、
美桜の膣が、びくんと震えたのが分かった。
「ほら……中に、ね……すごくちゃんと収まってて、
今も、……ぎゅってしてるの。奥のほう……きゅって」
自分で、下着の隙間から指を入れて──
ぬちゅ……♡と、湿った音を立てる。
「ね、聞こえる……? 透くんのこと考えてるだけで、
こんなになっちゃってるの……♡」
「そっか。じゃあ……どうして欲しい?」
「……おちんちんを……挿れて……欲しいの」
真剣だった。
願いのこもった声。
「透くんのが、ほしい。……入れてくれるなら、
“好き”って、何回でも言うから……♡」
その言葉を聞いた透は、しばらく黙っていた。
そして──
「スカート、めくれ。太ももを開け」
「……っ、うん……♡」
美桜は、言われたとおりにスカートを持ち上げ、
机の上に手をついて、腰を突き出す。
パンツはすでに濡れていて、クロッチがぐっしょりと透けている。
「……いつでも、入れて……いいよ……♡」
机の上に両手をつき、
スカートをたくし上げて腰を突き出した美桜は、
パンツをずらされるのを、静かに待っていた。
太ももは震え、背中は汗ばんでいる。
透は無言で立ち上がり、
ズボンの前をゆるめる。
美桜の目は見えないけれど、
後ろから感じる気配だけで、“来る”と確信していた。
「……お願い……透くんの、欲しいの……」
パンツの端が、透の指で軽くずらされる。
その一瞬、熱がふわりと広がる。
そして──
肉棒の先端が、
美桜の“入口”に、ほんの一瞬、ちょんっと触れた。
ぬちっ♡
「──っ♡♡♡♡♡」
美桜の身体が跳ね上がった。
「やっ♡♡♡ あっ♡ ちょ、ちょっとしか当たってないのにっ……♡
だ、だめっ、イくっ……イくぅ♡♡♡♡」
脚が震え、膝が崩れ、
絶頂が、一気に全身を突き抜ける。
果てるというより、爆発した。
「すご……そんな、の、やだ……♡
入ってないのに、こんな……♡ うう、やば……♡♡」
机にしがみつきながら果て続ける美桜を見下ろして、
透はゆっくりとズボンを整えた。
そして、静かに言う。
「……イッたんだろ?
じゃあ、入れる必要、ないよな」
「……え……?」
涙とよだれを混ぜたまま、
美桜が顔だけこちらを振り返る。
「ま、また……? なんで……そんな……」
「お前が“欲しい”って言ったから。
でも、“愛されたい”とは、一度も言ってないもんな」
その一言で、美桜の表情が止まる。
何も言えず、
ただ、果てたまま床に崩れ落ちていく。
透は、教室の扉を開けながら、
ふっと笑って振り返らずに言い捨てる。
「……また明日な、“犬”」
バタン、と閉まるドア。
残された美桜は、
机に額を押しつけたまま、声にならない声でつぶやく。
「……好きだよ……透くん……
ほんとに、ほんとに……好きなのに……♡」
◆
放課後。
夕暮れの校舎裏は、風もなく静かだった。
カーテンの揺れる音すら届かない場所。
ただ、コンクリートに靴音が響くだけ。
「おい、白石」
背後から声をかけられた瞬間、
すでに“囲まれていた”ことに気づく。
4人。いや、5人か。
見覚えのある顔ばかりだった。
教室でいつも笑っていた連中。
昼休みに、美桜の机の前で群れていた奴ら。
「最近さ──調子、乗ってね?」
先頭の男が笑っている。
でも、目は笑ってなかった。
「結城さんとさ、なんか仲良いよなぁ?
何あれ、デキてんの? お前が?」
「キモくね? 正直、吐きそうなんだけど」
「つかさぁ、あの子にだけは手ぇ出さないのが“暗黙”だったの、知らないわけ?」
透は、なにも言わなかった。
逃げようともしなかった。
ただ──
彼女の名前を、ここで“汚されたくない”と思っただけだった。
「……なぁに無言決めてんだよ。虫が」
──ドスッ!
腹に一発、入る。
反射的に膝が落ちる。
「……っぐ……」
そのまま地面に転がされた。
靴が、肋に入る。
頬を小突かれる。
口の中に、鉄の味がにじむ。
「もう来んなよ? あの子の半径10mにさ」
最後に、誰かの声が頭の奥で鳴った。
◆
コンクリートの冷たさが、
透の背中を貫いていた。
「透くん!!」
その声を聞いた瞬間、
背中に走るのは安心じゃなかった。
緊張と、苛立ちと、そして……恐怖だった。
美桜が駆けてくる音。
「何が……何があったの……!? 誰にやられたの……っ!?」
しゃがみ込んで、顔を覗き込んでくる。
透の頬には擦り傷。
唇の端には薄く血がにじんでいた。
美桜は、涙ぐみながら、彼の肩に触れた。
「透くん、しっかりして……ねぇ……」
その手が、透には耐えられなかった。
「……っ、やめろよ」
「えっ……?」
「いちいち、触ってくんな。……お前のせいだろ」
「──え……?」
「調子乗って、ベタベタ近づいてきてさ、
“犬”だの“好き”だの、“舐めたい”だの……」
「お前が、勝手にそういうことしてきたせいで──
俺がどう見られてんのか、考えたことあんのかよ」
美桜の瞳が、大きく揺れる。
「……そんな……わたし、透くんのこと、ほんとに……」
「知らねぇよ。
勝手に好きになって、勝手に首輪つけて、勝手にイって。
お前、結局、俺に抱かれたくて媚び売ってただけじゃねえの?」
「……っ」
美桜が、言葉を詰まらせる。
「全部、俺の命令だったよな?
“ワン”も、“待て”も、“イッて”も──
命令されたから、してただけなんだろ?」
「……じゃあ、俺がいなくなったら、
今度は他の奴に、“命令して”って尻尾振るわけ?」
「──クズだなお前。ほんとにさ」
透のその言葉は、自分自身に跳ね返り、
傷の痛みよりも、
もっと深く、心の底を刺していた。
美桜は、何も言えずに、
ただ、顔を伏せて──静かに、涙をこぼした。
俺は頬に残る打撲の熱を、
袖で乱暴に拭った。
痛みはある。
でも、それ以上に、
目の前で泣いている彼女の顔が……鬱陶しくてたまらなかった。
「……じゃあさ」
俺は、低く呟いた。
「“好きな人が踏みつけられて嬉しい”って……言ってみろよ」
美桜が、ピタリと涙を止めた。
顔を上げた彼女の目は、赤く濡れていて、
意味を理解できていないまま、少しだけ震えていた。
「……え……?」
「言えよ。おまえの本性は、そういう女なんだろ?」
「……好きな人が……」
美桜は、喉を鳴らしながら──言った。
「……踏みつけられて……うれしい………………」
「──そうだよな?」
透の声には優しさのかけらもなかった。
命令でもない。ただ、突き刺すような確認だった。
「だったら、もっとハッキリ言えよ」
「命令されるのが好きなんだろ?
愛されてないかもしれない男に、
飼われたいんだろ? 命令されたいんだろ?」
美桜の目から、また涙がこぼれた。
それでも──首を縦に振ってしまう。
「……うん……命令、してほしい……
透くんじゃなきゃ……いやなの……」
「……だから……命令でも……そんなこと言えない……」
「──じゃあ、“服の上から、自分の胸揉んでみろ”」
「……っ」
抵抗の色はなかった。
美桜は震える指で、自分の制服の胸元をなぞる。
ぎゅっ、とシャツ越しに掴んで、
揉むように上下に動かした。
「……ん……んんっ……っ」
涙を我慢しながら、
恥ずかしさも、痛みも、ぜんぶ噛みしめて。
それでも、透の命令に従っていた。
「……ごめんね……
こんなことしか、できなくて……
でも……私、どうすればいいか分かんなくて……っ」
その姿を見ながら、透は無言で立ち上がった。
教室の出口に向かって歩き出す。
美桜は、命令された姿勢のまま、
制服の上から胸を揉み続けながら、
透の背中を見つめていた。
「……捨てないで……透くん……」
「私……どこが変でもいいから……
そばにいさせて……♡」
扉の向こう側へと、透の姿が消えたとき、
彼女の頬には、涙と微笑みの混ざったものが浮かんでいた。
傷ついた顔じゃなく、縋る顔でもなく──
“まだ命令を待ってる顔”だった。
◆
放課後の廊下。
透が下駄箱へ向かう途中──
案の定、あいつらはそこにいた。
「おーい白石、帰んのか?」
軽い声。だけど、目は笑ってない。
「その顔、まだ腫れてんじゃん。だっせぇな」
「なあ、あれ以来……結城さんとはどう? 冷められたろ?」
「そろそろ現実見ようぜ、“虫”くん」
聞き飽きた。
その単語、その口ぶり。
でも──
「透くん、待って〜」
後ろから、美桜の声が響いた。
手にはスクバ、制服のリボンもきちんと結ばれている。
笑顔ではない。でも、まっすぐな目だった。
そして、何も言わず──
透の手を、ぎゅっと握った。
男たちがざわつく。
「……え?」
「なに、ガチなの?」
「うわ、まじかよ……あいつ、正気か?」
それでも、透は美桜の手を強く握り返す。
そして、ゆっくりと振り返りながら言った。
「なあ、美桜。今日って──何の日だったっけ?」
一瞬だけ、彼女の目が驚きに揺れる。
でもすぐに、唇を柔らかくほころばせる。
「……うん。
付き合って、“1ヶ月記念日”でしょ?」
その言葉が出た瞬間、男たちの顔が引きつった。
「……は?」
「おまっ、それ、いつから……?」
「内緒だよ♡」
美桜が小さく笑う。
透はそのまま、美桜の腰に手を回し──
自然な仕草で、引き寄せた。
「な、なにして……っ」
彼女が小さく声を上げたときには、
もう透の顔が、彼女の唇に、ほんの一瞬だけ重なっていた。
それは演技だった。
フリだった。
見せつけるためだった。
──でも、どちらの心にも、
ほんの少しだけ、本当が混ざっていた。
「──付き合って、1ヶ月記念日って言っただろ?」
そう言って、透が腰に腕を回し、
軽く──ほんの一瞬だけ、美桜の唇を奪った。
それだけのはずだった。
それだけで終わるはず、だったのに──
「……んっ♡」
美桜の声が、
予想よりも甘くて、熱を含んでいて。
その一音だけで──
透の頭が、真っ白になった。
(……やばい)
もう、止まらなかった。
もう一度、唇を重ねる。
今度は、しっかりと、押しつけるように。
彼女の唇が柔らかく開き──
「ん、ちゅっ♡……んんっ♡」
舌が、触れ合う。
ちゅぷ……ちゅるっ……♡
いやらしい水音が、廊下に響く。
彼女の舌が、恐る恐る絡んでくるのを、
透は強く吸い寄せて、ねっとりと吸い上げた。
「っちゅ……♡ん、くぅっ♡ んっ♡……っ♡」
美桜の指が透のシャツを握りしめ、
肩を抱くように寄りかかる。
彼女の脚が、ほんのわずかに内股に寄っていくのが見えた。
その姿は、キスだけで“抱かれている”ようだった。
「……ちゅ、ちゅっ♡……ぬる、んっ♡……」
唾液が糸を引きながら、
口の端から、とろりとこぼれる。
透の手が、美桜のうなじをやさしく撫で、
逃がさないように、頭を固定する。
「ん、ちゅ……♡ は、ぁ……♡ 透くん……♡
す、き……♡ しゅき……♡」
もう、誰が見ているとか、どうでもよかった。
でも──
「おい……やばくね?」
「マジで……本気……?」
後ろの男たちは、顔を赤らめて硬直していた。
さっきまで馬鹿にしていた連中が、
今は目を逸らし、言葉を失っている。
あまりに熱く、あまりに淫らで、
“恋人のフリ”にしては、
濃すぎるキスだったから。
ちゅぷっ♡……ちゅ、るるっ……♡♡
吐息すらも甘く、
触れ合った唇と舌が、
お互いの心まで舐め合っているみたいだった。
「……っぷ……はぁ……♡」
美桜の唇が離れた瞬間、
とろりと伸びた唾液の糸が、ふたりの口のあいだに残った。
目の前で──
美桜が、ぐしゃぐしゃにとろけた顔で、透を見上げている。
瞳の端には涙の粒が光っていて、
それでも微笑んで、こう言った。
「……ありがと……透くん……♡」
「え?」
「記念日……“ご褒美”……すごく、嬉しかった」
あのキスを、
“ご褒美”と呼んだのは──彼女の優しさだった。
透が、傷つかないように。
恥ずかしくならないように。
──でも。
唇がまだ、熱い。
舌の奥に、彼女の味が残ってる。
喉が渇いてるはずなのに、口内だけが濡れている感覚。
(抱きたかった。今すぐ)
(でも、あれは見せつけるための嘘だった)
(……でも)
「なぁ……美桜」
「……なに?」
透は一歩、彼女に近づいた。
その足音で、美桜の睫毛が小さく揺れる。
「お前が“嬉しい”って言ったこのキス……
もし、俺が“本気で”してたら──どうする?」
その問いに、彼女は一瞬だけ目を見開いて、
すぐに笑った。
すごく、やさしい顔だった。
「……嬉しいに決まってるじゃん。
私も“本気”だったのは……同じだから」
「でも、透くんとキスしてたら、
途中から……エッチしたくなっちゃった」
「……私、ずっと待ってたんだよ?──」
「……透くんの“好き”が、わたしの中に落ちてくるの、
ずっと……待ってたんだよ……♡」
──その声に、もう“演技”なんて残っていなかった。
美桜は、ただ、
本気で人を好きになってしまった、ひとりの女の子だった。
「……透くん」
キスのあと、
静まり返った廊下で、美桜がぽつりと呟いた。
息は浅くて、唇は濡れていて、
でも、その目だけはまっすぐだった。
「いまの……演技じゃなかったんだよね?」
言葉が重くて、優しかった。
だからこそ──透は、それをすぐには受け取れなかった。
「……は?」
「勘違いすんなよ。
誰が、お前のことなんか“本気で”好きになるかよ」
「……っ」
「ただの見せつけ。そういう空気だったから、
合わせただけ。俺が演技上手すぎたってだけだろ」
美桜の唇が、かすかに震えた。
ほんの数分前まで、
彼女の中には“希望”があったはずなのに。
「でも……さっき、透くん……」
「……キスくらい、誰でもできんだよ」
その言葉は、
自分の心臓に一番刺さっていた。
けれど、それを“口に出すことでしか自分を守れない”
そういう男だった。透は。
「……そっか」
美桜は、目を伏せた。
でも──その唇は、やさしく笑っていた。
「……ごめんね。
好きになったの、勝手だから。
止めろって言われても、きっともう止まんないや」
「透くんのそういうとこも、ぜんぶ知ってて……
それでも好きって言える自分が、
たぶん、もうちょっと壊れかけてるんだと思う」
「でも、もうそれでいいや……♡」
透は、それ以上何も言えなかった。
言葉が喉に詰まって、
それを出すことが──敗北のように感じていた。
だから、
ただひとこと、背中を向けて吐いた。
「……バカ」
その言葉に、美桜は微笑んだ。
言い返さなかった。
責めなかった。
泣かなかった。
ただ、自分の中の“好き”を、抱きしめていた。
◆
部屋でくたばっていた透のスマホに、通知が一件。
送り主は“結城 美桜”。本文はたったひとこと。
【今夜、会いにいってもいい? わたし、首輪、つけていくから。】
時計は22:48。
部屋の外は、もう寝静まった街の気配だった。
──ピンポン。
インターホンが鳴る。
玄関を開けると、そこにいたのは──
濃紺のロングコートに包まれた美桜だった。
「……透くん。来ちゃった」
コートの襟をきゅっと掴んで、
頬を赤らめて、目を伏せる。
その襟元には、
見慣れた赤いスカーフ──
首輪を隠すための“擬態”が巻かれていた。
「……また、犬になっていい?」
「おさんぽ……したくて。
透くんに、連れてってほしいの……♡」
声は震えていた。
でもその奥には、確かな熱があった。
美桜は、自分からバッグを開き、
そこから“赤いリード”を取り出して差し出した。
「……繋いで。……ね?」
その姿は、
あまりにも淫靡で、健気だった。
透は何も言わず、それを受け取り──
カチッと、金具を首輪のDリングに繋ぐ。
リードが張る音が、夜に響いた。
「……わんっ♡」
透は、美桜のリードを静かに引いた。
住宅街の明かりはまばらで、
街灯の切れた場所を選んで歩けば、ふたりの姿はほとんど見えない。
コートの裾が揺れるたび、
その中でスカートの端が揺れているのが、ちらちらと覗く。
歩幅を半歩分遅らせて、
美桜は透の後ろを、2メートルほどの距離でついてくる。
「……ねえ、透くん」
その声は、風の音に紛れて、ほとんど囁きだった。
「今夜は……抱かれたい、かも」
リードを握る手が、
わずかに反応する。
でも、透は立ち止まらずに、足音だけを響かせた。
「だって……ずっと、頭ん中そればっかりで……
“挿れて”もらうことばっかり想像して……
わたし、ずっと……ぐちゅってしてるの……♡」
その言葉に合わせるように、
美桜はコートの内側に指を滑り込ませる。
足を閉じたまま、
太ももの付け根に手を這わせ──
「ねぇ、聞こえる……? 音……っ」
ぬちゅっ♡……くちゅ……♡
夜の静寂に、
湿った音がふたりのあいだに生まれた。
「“まだ挿れない”って言われるの……
分かってるのに……
言われるたび、もっと濡れちゃう……♡」
街灯が切れた路地で、
透はついに足を止めた。
「……じゃあ、“脱げ”」
それだけ言って、
リードを軽く引く。
美桜の喉がかすかに鳴り──
次の瞬間、彼女はコートの前を開きはじめた。
小さく、でも確かに鳴いたその声に、
透の理性が、微かに揺れた。
美桜の指が、
コートのボタンを一つずつ外していくたびに──
夜の空気が、その肌に触れていく。
風は冷たいのに、
美桜の体は、うっすらと汗ばんでいた。
最後のボタンが外れると、
ロングコートが、しゅる……と肩から落ちる。
その下から現れたのは──
透けるほど薄いブラと、
ピンクのレースのショーツだけ。
制服の下に、
最初からこれを仕込んでいたのだと思うと──
透は思わず喉を鳴らした。
「……見て、透くん……
わたし、こんな格好で外にいるんだよ……?」
「恥ずかしいよ……でも、気持ちよくて……♡
透くんに、見てもらえるって思うと……全部、うれしくなっちゃうの……♡」
彼女は自分の体を抱きしめるようにして、
寒さと羞恥と快感を、すべて混ぜながら震えていた。
「ねえ……今日こそ、挿れてほしい……
“わん”でも、“おすわり”でも、なんでもするから……♡」
その言葉に、
透の指が、ゆっくりとベルトにかかる。
下着だけの美桜に、
その膣♡のすぐ近くに──
彼の竿が、布越しに近づいていく。
「……言ったな。なんでもするって」
「……うん♡ わたし……透くんのためなら、なんでも♡」
「じゃあ、“そこにだけ”当ててみろ。入れないけどな」
「……っ♡♡」
透の指が、ゆっくりとズボンの前を緩める。
それを見た美桜は、
わずかに口を開けて、息を呑んだ。
そして──
彼の竿が、夜気のなかに、ぬるりと現れる。
光の届かない闇に、
勃ち上がったその存在だけが、熱を持って浮かんでいた。
「……しゃがめ。脚、開いて」
「っ♡……はい……♡」
美桜は、言われるままにしゃがみこむ。
夜のアスファルトの冷たさが、膝を伝う。
スカートはとっくにめくれていて、
ショーツの奥はすでに、ぐちゅぐちゅと湿っている。
「……ほら。ここに、当ててみろよ」
透が竿を、
彼女のショーツ越しの膣口に、そっと押し当てる。
直接、挿れたりはしない。
でも──その熱と質感が、ぴったりと“そこ”に、重なった。
「っ♡♡♡」
びくっ……!
美桜の太ももが跳ねた。
「や、やだ……っ♡
そこ……当てられるだけで、
イきそうになっちゃうの……♡♡」
透は何も言わず、
ただ竿をゆっくり、膣♡に沿って擦る。
ぬちっ、ぬちゅ……♡♡
下着越しに、彼女の柔らかい部分が歪んでいく。
その感触を味わうように、
先端がじゅるり……と擦れるたび、
「やっ……あっ♡ だめっ、だめなのに……♡
挿れてもらってないのに……こんな……♡♡」
美桜は、耐えきれず、
口を押さえながら──
「イっ、イっちゃうっ……♡♡♡」
びくんっ、びくんっ……!
腰が跳ねて、脚が痙攣して、
“当てられた”だけで、美桜は果てていった。
唾液と涙と愛液とが混ざって、
夜の道に、かすかな喘ぎだけが残された。
「……ねぇ、透くん……お願い……」
絶頂の余韻のなかで、
美桜はかすれる声で呟いた。
スカートはすでに腰までめくれ、
ショーツの奥はとろとろに溢れて、
股間を締めつけるように震えている。
「お願い……透くんの……ほしいの……♡」
その言葉に、
透は黙ってバッグの中を探った。
取り出したのは──黒のシリコン製ディルド。
サイズは中くらい。
少し硬めで、リアルな造形。
「……な、に……それ……?」
美桜が、涙で濡れた目で問う。
透は、冷たく微笑んだ。
「お前、気持ちよくなれればなんでもいいんだろ?」
「……ちがっ……私は……透くんに……っ」
「じゃあ──試してみようぜ。
“俺のじゃなくても”イケるのか。」
「……っ♡」
透は、ゆっくりとディルドを持った手で、
美桜の太ももを開かせる。
リードを引かれてよろけながら、
彼女は素直に脚を開いた。
「自分で、入れろよ」
「……う、ん……っ」
美桜は、震える指でディルドを受け取る。
その先端を、びしょ濡れになった自分の膣口に、そっと当て──
「んっ♡……入る……♡
透くんじゃ……ないのに……♡
それでも……入ってきちゃう……♡♡」
ずぷっ……♡
音が、夜に溶けた。
膣内に、異物が埋まっていく。
「や、ばい……
わたし……入れてるだけなのに……
頭、ぐらぐらする……♡♡」
「透くんのじゃ、ないのに……
あたし、こんなの、で……イきそう……♡♡♡」
ぬちゅっ……ぬるっ……ぬちゅ♡♡
自分の手で、
透じゃないモノを、何度も奥まで入れながら──
「っく、くぅっ♡ イッ……イク……っ♡♡♡」
果てる。
自分で、自分の奥に“他のモノ”を埋め込みながら──
それでも、「透くんのせい」で果てていた。
「ねぇ……透くん……♡
わたし、これでも、好きって言えるかな……♡?」
ぬちゅ、ぬちゅっ……♡
美桜の中に埋まった異物が、まだ震えている。
けれどそれを握る手は、もう動かしていなかった。
「はぁ……っ、ん……♡
イっちゃった……っ♡
透くんのじゃ……ないのに……♡」
しゃがみこんだ姿勢のまま、
彼女はぽたぽたと涙をこぼしていた。
身体は熱を残し、快楽の痺れに浸ったまま。
でも心だけが、
満たされずに冷えていくのを知っていた。
透は、無言で近づく。
そして──美桜の手からディルドを抜き取った。
ずるっ……♡
中から抜け出たソレには、
愛液が濃く絡みついていた。
透はそれを見下ろして、
近くの植え込みに無造作に投げ捨てた。
美桜の肩が、小さく震える。
それが寒さか、虚しさか、悦びか──
透にも分からなかった。
「……歩けるか」
「……うん……」
「じゃあ、帰るぞ。立て。ほら」
リードを引こうとしたとき──
美桜が、ふらりと身体を起こして、
そっと、透の手を握ってきた。
「……繋いで。ね……?」
彼女の手は、小さくて、まだ温かかった。
さっきまで、自分の中で“他人の形”を受け入れていた手なのに。
その指先だけが、まるで**“恋人ごっこ”のような願い**を持っていた。
「……馬鹿だろ、お前」
「うん。ばかだよ」
「俺のじゃなくてもイッたくせに」
「でも……“透くんの手”は、好きなんだもん……♡」
ふたりはそのまま、
リードではなく──手を繋いで歩き出した。
夜の帰り道。
誰も見ていない場所で。
催眠で身体を支配できても、
心はまだ“本物”を欲しがっていた。
◆
チャイムが鳴ったのは、夜の21時を少し過ぎた頃だった。
ドアを開けると、美桜がいた。
制服のまま、髪を結い直して、少しだけ息を弾ませて。
「……こんばんは、透くん」
カバンは持っていない。
けれど、リップを引き直した跡があった。
つまり、準備して来たということだった。
「入っていい?」
透は無言でドアを開け、
彼女がするりと部屋に滑り込む。
リビングの灯りは落とされていて、
ベッド脇の小さな間接照明だけが空間を照らしていた。
「今日は……ちゃんと、
“好き”って伝えられたらいいなって、思ってたの」
少しだけ、笑うような、
少しだけ泣きそうな声。
「……ううん、違うな。
“抱いてほしいな”って思っちゃってたんだ」
彼女はそう言って、
自分からベッドに腰を下ろした。
そして──
シャツのボタンを、上から一つずつ、外し始める。
「でも、抱いてって命令じゃないから。
言ってみるだけ、だよ?」
視線を透から逸らさずに、
彼女はブラの肩紐をずらしながら、少しだけ微笑んだ。
透は無言のまま、その前に膝をつく。
そして──
そっと唇を近づけた。
美桜はベッドに仰向けになっていた。
ブラのホックは外され、左右に広げた下着の内側、乳首が硬く立っていた。
透は、無言でその先端に舌を這わせる。
ちゅ……ぺろっ、ぬちゅ……♡
「っん、くぅ♡ あっ、そ……そこ、もっと……♡」
甘く喘ぐ声と、ベッドの軋む音だけが、部屋に満ちていた。
透の舌は乳首の輪郭をなぞるたび、
美桜の脚が勝手に動く。擦れる太もも、熱い吐息。
「ダメ……そこ、ダメなの……♡ 感じすぎて……♡」
今度は下。
透がゆっくりと下着を指でずらすと、
そこはもう、光を反射するほどとろとろに濡れていた。
「恥ずかしいよ……♡ 見ないで……♡」
ぬちゅ……ぺろっ……じゅるる……♡
クリトリスに舌を絡ませた瞬間、
美桜はびくんと背中を浮かせた。
「っ♡♡ あっ、透くんっ、イくっ♡ イっちゃうっ……♡♡♡」
びくびくと震えながら、
美桜は果てる。
その後も透は、指を中に入れずに、
舌と唇だけで、何度も彼女を絶頂へ誘う。
二度目の果てのあと、
美桜は汗で濡れた髪をかきあげながら、潤んだ目で透を見た。
「透くん……もう、いいでしょ……?
……わたし、準備できてるよ……」
震える声で、そう言って──
自分の脚を、ゆっくりと開いてみせた。
「……だから、挿れて……♡」
透は、その身体を、顔を、見つめたまま──
手を、止めた。
美桜の身体は、汗と愛液に濡れていた。
脚を開き、腕で胸を隠しながら、
それでもその目だけはまっすぐ、透を見ていた。
「……透くん……
わたし、こんなに……感じて……好きになって……
“抱いて”って、言ってるのに……」
声は甘く、でも不安に揺れていた。
震える唇が、もう一度繰り返す。
「なんで……抱いてくれないの……?」
──その言葉に、透はわずかに眉を動かす。
そして、静かに──
言い捨てるように、呟いた。
「……だって、催眠だもん」
美桜の目が、大きく開く。
透は俯いたまま、拳をぎゅっと握った。
「お前が俺のこと好きなの、
“催眠アプリ”のせいなんだよっ!」
「そんなの、ただの偽物だろ。
気持ちよくしてもらえて、好きになった“暗示”にかかって──
それで、“抱いて”って言ってるだけじゃねぇか」
「これは……復讐なんだよ、俺にとっては……」
「好きでもない女が、“好きって言って”って命令されて……
そのとおり喘いで、絶頂して、俺に媚びる──
そういう絵が見たくて、やってたんだよ、最初は」
「それを、今さら……“好きだ”なんて言われても──
どうせ、催眠なんだろ?
“本当は俺のことなんか好きじゃねえくせに”」
「そんな女、俺は──」
「──抱けねぇよ」
声が、震えていた。
それはまるで、
自分に向けた呪いのようだった。
透の手が、美桜から離れていく。
その温度が、彼女の肌から消えていく。
「……透くん……」
美桜は、唇を噛みながら、
濡れた太ももを閉じ、そっと息を吸い込んだ。
「透くん……
催眠なんて、かかってないよ」
その声が、あまりにも静かだったから、
透は、すぐに聞き返せなかった。
「……は?」
美桜は小さく、でもはっきりと笑った。
「だから……私が透くんのことを好きなのは、
最初から、私の気持ちなんだよ」
透の手が、ぴくりと震えた。
だけど、それ以上動けなかった。
「……でも、俺は、アプリ使って──それで……」
「それ、私が置いたの。
透くんの前に、わざと。」
「えっ……?」
「透くんが、どう思ってるのか……
何か、ひとつでも……
“私を見てくれてた”って証拠がほしくて」
透の心臓が跳ねる。
そんなの──知らなかった。
知るはずもなかった。
「昔さ、仲良かったよね。
小学校のとき、一緒に帰ってた。
コンビニの前で、いつも駄菓子を一緒にたべてたくさん喋った」
「でも、学年が上がるにつれて……
話すグループが変わっていって──
私、“学校のアイドル”とか呼ばれるようになって……」
「ある日、勇気出して話しかけたらさ、
友達に言われたんだよ。“あんなオタクと話すのやめなよ”って」
「……透くんに話しかけたかったのに、
怖くて、それでも声をかけたくて──
だから、“虫”って言った
そう話しかけるしかできなかったから……」
声が震え始める。
でも彼女は止めなかった。
「話しかけたかったのに……
“話すために、罵る”ことしかできなかったの……」
「それからはもう、
“話すために傷つける”ことしか、できなくなっちゃったんだ」
透は、それでも黙っていた。
動けなかった。
何も返せなかった。
彼女の声が、苦しげに、でもまっすぐ続く。
「だから、催眠のフリをして、スマホを置いた。
透くんが私のことをどう思ってるか知れるなら、
透くんが私に何かしてくれたなら、
きっと私は……自分を許せる気がしたから」
「わたし、最初は……えっちなこと、すごく恥ずかしかったの」
「命令されて、脱ぐのも。舐めるのも。
“わん”って鳴くのも……もう、死にたくなるくらい恥ずかしかった」
「罰だったんだよ、全部。
透くんに抱かれたいって思ったのも、
“虫”って言ったこと、忘れたくなくて──」
「でも、でもね……」
その目から、涙がこぼれる。
「キスされたとき……本当に、うれしかったの。
嬉しすぎて、
罰とか、どうでもよくなっちゃって──
“あ、好きだ”って、心が勝手に動いてた」
「わたし、本当に、透くんのことが……」
その言葉を飲み込むようにして、
透が突然立ち上がった。
「──もういい」
美桜の目が見開かれる。
透は、表情を見せず、背を向けて──
「抱かねーよ」
そのまま、ドアを開けて、
夜の廊下へと姿を消した。
──残された美桜は、
シーツの上で、涙と呼吸だけを震わせていた。
◆
「──抱かねーよ」
そう言い残して部屋を出た透は、
勢いよくドアを閉めるつもりだった。
でも、なぜか手のひらが最後にブレーキをかけて、
ドアは音を立てずに、静かに閉まった。
廊下の薄明かりの中。
壁に背を預ける。
そこから動けなかった。
美桜の声が、脳内に残っていた。
──キスされたとき、嬉しかった。
──“虫”って言ったのは、話したかったから。
その一言一言が、
透の中で、何年も凝り固まっていた痛みを掘り起こしていく。
(嘘だろ……今さら……)
(“話しかけたくて”って──)
(俺は、何年も“拒絶”だと思ってたのに)
(虫って言われたことを、“軽蔑”だと思ってたのに)
「……あのとき、お前が泣いてくれたら、
俺、全部違う人間になれたのかもな……」
呟いた言葉は、壁に吸い込まれて消えた。
美桜のことが、好きだった。
昔から。
変わってしまったのは、美桜じゃなかった。
透のほうだった。
“罵倒されるたびに、感情を切り捨ててきた。”
“好き”なんて思わないように、
心を殺して、平気なフリして。
命令すれば、従う女になる。
催眠で、手に入れた形だけの愛。
(それで満足だった。
……はずだったのに)
扉の向こうに、美桜がいる。
まだ、泣いてるかもしれない。
透は、その場にしゃがみ込んだ。
唇を、噛んだ。
拳を、握った。
誰もいない廊下の片隅で、
透はスマホを取り出した。
画面には、催眠アプリ。
──いまは見たくない現実。
「……はぁ」
深く息を吐いて、一度“削除”のアイコンに指をかけた。
だけど、そのまま──そこに一行だけ、入力する。
中に入ると──
美桜はまだベッドの上にいた。
シーツを胸元に引き寄せ、
まるで泣き疲れたように、ぼんやりと灯りを見ていた。
透は、何も言わずに近づいて──
スマホの画面を、美桜の前に突き出した。
「……え?」
美桜がゆっくりと起き上がり、
画面を覗き込む。
そこには、ひとこと。
『白石透 は、 結城美桜 のことが世界で一番好きで、抱きたくてたまらない』
「……なに、これ……?」
透は、うつむいたまま、静かに言った。
「……俺、催眠にかかった」
「だからもう──
お前のこと、抱きたくてたまらない」
◆
「……俺、催眠にかかった」
その言葉のあと、
透は視線を落としたまま、美桜に背を向けた。
ベッドに腰かけていた美桜は、
数秒だけ、何も言わなかった。
でも──そっと笑った。
「……ふふ。
それなら──しょうがないね」
“催眠のせいなら、抱かれてもしかたない”──
そうやって口にした彼女の声は、
明らかに、すべてをわかっていた。
わかってて、受け入れてくれた。
透は、もう何も言わず、ベッドの端に腰を下ろす。
ほんの少し、空気が震えた。
その振動だけで、美桜の心拍が上がるのがわかった。
「……本当に、抱くからな」
「うん」
美桜は、小さく頷く。
頬は赤く、でも目はまっすぐに透を見ていた。
「うん……“催眠の透くん”に、
ぜんぶ、されたいの……♡」
透の手が、彼女の肩にそっと添えられた。
ゆっくりと、ベッドに押し倒す。
シーツに沈んだその身体が、
わずかに震えていた。
でもその震えは、恐怖じゃなかった。
“やっと繋がれる”と知ったときの、
期待と、決意の震えだった。
美桜が、ベッドに横たわる。
透はその上に膝をかけ、ゆっくりと身体をかぶせていく。
熱が肌を通じて伝わり、
唇が触れあう直前の、その数秒──
ふたりとも呼吸が止まっていた。
「……透くん、お願い……」
囁くような声に、
透は答えず、そのまま首筋へ唇を落とした。
くちゅっ……ちゅ、ぬる……♡
最初に吸い上げたのは、鎖骨のすぐ上。
美桜の喉が小さく震え、
「……ん♡」と控えめな吐息が漏れる。
指先が、ブラウスのボタンに触れる。
ひとつ、ふたつ──ゆっくりと外していく。
美桜はそのたびに、背中をそっとそらせて受け入れた。
ボタンの隙間から覗いた下着のレースに、
透は歯を立てるようにしてストラップをずらす。
「やぁ……♡ そんな……恥ずかしいよ……♡」
でも、その声とは裏腹に、
美桜の身体は、触れられるたびに熱を増していく。
背中へ回した透の指が、スカートのジッパーにかかる。
カチ……
ゆっくりと滑り落ちていくファスナーの音に、
美桜が身体をすくませた。
「っ……脱がされるの、ゆっくりすぎて……♡
変な気持ちになる……♡」
「……おまえの催眠は消したけどな」
透が冗談のように返すと、
美桜は小さく笑って「……バカ♡」と答えた。
その笑顔のまま、スカートがベッドに滑り落ちる。
ふたりの肌と下着だけが重なる距離。
焦らしながら、でももう引き返さない。
透の指が、ブラのホックへ伸びていく。
ブラのホックが、ぱちん、と外された。
ストラップが肩をすべり落ち、
透の目の前に、美桜の白くて柔らかな胸があらわになる。
そのまま、唇を重ねた。
最初は静かに──
でも、すぐに、ねっとりと、深く。
ちゅっ……ぬる、ちゅぷ……♡
美桜の唇が、透の舌を受け入れて、
それに答えるように、自分から絡めてくる。
「ん、ふぅっ……♡ ちゅ、ん、んっ♡♡」
舌と舌が、柔らかく、でも必死に溶け合う。
キスだけで、空気が濡れていくようだった。
透が少し顔を引くと、
二人の唇のあいだに、とろりと唾液の糸がのびる。
「やっ……すご……ぬるぬる……♡
透くんのキス、やだ……すっごく、えっち……♡」
顔を真っ赤にしながら、
それでも美桜は自分から、また唇を探してくる。
ちゅぷ……♡ ぬちゅっ……ちゅ、んっ♡♡
唇の形が歪むほどに吸いついて、
舌の根元まで、互いに味わう。
透の手は、背中を撫でながら、
ゆっくりと乳房へ──
硬くなりかけた先端に、指がふれる。
「ひゃ……っ♡ そこ、だめ……キスだけでイきそうなのに……♡」
透は笑わない。
ただキスを続ける。
それが、“催眠”という言い訳を使った本音のぶつけ方だった。
ちゅ、ちゅるっ……♡
キスの名残を舌に残したまま、
透の口が美桜の唇から離れ、顎、首筋へと下っていく。
ぴと、と張りつくような唇の感触。
熱を引きずるように、乳房のすぐ上で止まった。
「んっ……♡ あ……そこ、来る……♡」
美桜の声が震える。
透は片手で乳房の下を持ち上げながら、
もう一方の指先で、乳輪の輪郭をなぞった。
なぞる。押さえる。すくう。ひねる。
すべてが、じっくり、ゆっくり。
「や、あっ……♡ やぁ……そんなの……っ♡」
先端をぷくりと膨らませた乳首を、
舌でそっと撫でる。
ぺろ……ちゅっ、ぬるっ……♡
「っ♡ っく、ふぅっ……♡♡ やば……なにこれ……っ♡」
そのまま、しっかりと口に含み、
じゅぷっ、ちゅぅ……と吸い上げると、
美桜の腰がびくんと跳ねた。
「んあっ♡ あっ、だめぇ……♡
それ、感じすぎて……♡ そこばっかりは……やぁっ♡♡」
透の舌が、左右の乳首を交互に攻めるあいだ、
手はさらに下へ──
スカートを脱いだ太ももへ指を滑らせ、
内腿の柔らかさを味わうように撫でていく。
「透くん……だめ、そこ……触れないで……♡
でも……もっと……♡」
パンツの脇まで指を運んで、
そのまま触れずにまた太腿に戻す。
その“すれすれ”の焦らしに、
美桜は何度も脚をすり合わせながら、
言葉にならない声を漏らす。
「お願い、焦らさないで……透くん……♡」
透は、答えなかった。
ただ、キスよりも、愛撫よりも、ゆっくりと──
言葉の代わりに指先で“好き”を伝え続けていた。
透が腰を浮かせて、ゆっくりとボクサーを下ろすと──
熱を帯びた竿が、息を吸うように立ち上がる。
美桜の視線が、そこに吸い寄せられる。
「……透くんの……」
少しだけ間を置いて、
美桜は、自分からベッドの上に膝をつき、身体を前へと這わせていった。
「お願い、していい……?」
その言葉に、透は何も言わずに頷いた。
それだけで、美桜はそっと手を伸ばす。
指先で包み込むように竿を握ると、
その熱と硬さに、わずかに頬を染めて──
ちゅっ……♡
先端に、口づけを落とす。
「……ずっと、したかったの……
“ひと舐めだけ”じゃなくて……
ちゃんと、全部……舐めたかったの……♡」
そのまま、美桜は先端に舌を這わせた。
ぺろっ……ちゅっ、ぬる……♡
唾液を絡ませながら、ゆっくり、丁寧に。
竿の裏筋を、舌先でなぞって、
根元までじっくりと。
じゅる、くちゅっ……♡
透が喉奥まで入れてきたわけじゃない。
でも、美桜の口は“自分の意思”で咥えていく。
「ん、んんっ……♡ ん……ちゅ、ぷっ……♡」
唇で包み込んで、吸い上げるように咥えるたび、
口の端から、粘り気を帯びた唾液が垂れた。
美桜は、顔を赤く染めながらも──
「……透くんの味、する……♡
……嬉しい……♡ これ、ずっと……欲しかったの……♡」
ちゅっ……じゅぷっ……くちゅ♡
唇の奥で舌を絡めて、
愛おしそうに、なめ尽くす。
まるで、
“愛してる”を、口と舌で伝えているみたいに。
透がその顔を見下ろすと──
涙が浮かんだ瞳が、しっかりと彼を見ていた。
「おい……そんなに嬉しそうにすんなよ」
「……だって……
透くんに、“舐めさせてもらえてる”んじゃなくて──
いま、私が、“したくてしてる”んだもん……♡」
透の腰が、ほんの少しだけ、前に動いた。
唇の奥まで入った竿を、美桜が受け止める。
じゅぷっ……ちゅぅ……♡♡
愛撫の最高潮。
挿入の直前、ふたりの身体がようやく、ひとつの方向に傾きはじめる。
フェラのあと、美桜はゆっくりと顔を上げた。
唇の端に、まだ透の味が残っている。
それでもその目は、ただ優しく、
「次は──あなたの番だよ」と語っていた。
透は何も言わずに、美桜の肩を押し、
再びベッドに仰向けにさせる。
胸元は汗で濡れて、
スカートはもうずっと前から脱ぎ捨てられていた。
彼女の下着に手をかけ、
ゆっくり、慎重に──まるで触れるのが怖い宝物みたいに、
パンツをずらしていく。
ぬち……♡
布地が膣♡に張りついていたのか、
粘り気を引く音がした。
下着の奥。
そこは、完全に濡れきっていた。
色気すらもにじんで見えるほど、愛液で輝いていた。
「透くん……舐めて、くれるの……?」
透は答えず、
ベッドに膝をついて顔を近づける。
鼻先が、そっと内腿に触れた瞬間──
美桜の脚が小さく震えた。
ぺろっ……♡
クリトリスの上に、
舌を、ほんの一撫で。
「っひ♡ ふぅっ……♡♡」
ぴと……ちゅっ、ぬちゅっ……
そのまま、舌先が小刻みに震える。
ぬるっ、くちゅ……じゅるっ……♡
愛液を絡めとるように、吸い上げる。
「やぁ……そこ、そんなに吸われたら……♡♡
また、イっちゃいそう……♡」
美桜の太ももが、透の頭を挟むように震えながら閉じる。
けど──透はそれを両手で押し広げ、
さらに奥へと舌を差し込む。
ぬちゅ……ぴちゃ……ちゅるるっ♡
クリを軽く吸いながら、
上下に、左右に、舌で転がす。
ちゅっ、じゅっ……ちゅぅ……♡
美桜の声が裏返るたびに、舌が“もっと”を伝えるように蠢く。
「んっ♡ すご……すごいの……♡
透くんの舌、気持ちよすぎて……♡
だめ……イっちゃ……♡ イく……っ♡♡♡」
ぬちゅっ、じゅるっ、ちゅっ♡♡
脚が跳ねて、膣♡がきゅんと震え──
美桜は、透の舌の中で果てた。
「……ふぁ……すき……♡ 透くん……♡」
舌先で描いた「愛してる」を、
美桜の奥が、受け止めてくれた。
「透くん……」
果てたあとの余韻に、
美桜の目元にはまだ涙が滲んでいた。
けれど、その表情はどこか満ちていて、
透のほうを見つめるその瞳には、
もう何も怖がっていない、真っ直ぐな光が宿っていた。
透は、美桜の太ももに手を添えて、
腰の間にゆっくりと身体を沈めていく。
ふたりの体温が、ふたたび触れ合う。
さっきとは違う──
もう、逃げないと決めた密着だった。
透は、美桜の目を見つめながら、
自分の硬くなった竿を手に取る。
そして、美桜の膣♡口へと──そっと先端を押し当てる。
ぬちゅ……♡
愛液でとろけた入口に、静かに沈んでいく圧。
「……美桜」
透が言う。
その声は震えていた。
けれど、それでも逃げずに、絞り出すように。
喉から出た声は、
まるで自分に言い聞かせるようだった。
「……それでいいのか?」
数秒、空気が止まる。
だけど──
「ふふ」と、くすりと笑う声が返ってきた。
透が顔を上げると、
そこには、いつか見たあの笑顔──
少しだけ小悪魔みたいな、いたずらな顔の美桜がいた。
「……透くん」
「“私がキスしたら、催眠解ける”って言ったら、どうする?」
「……えっ?」
「“催眠のせいにして抱こうとしてる”透くんに──
わたしが、本物のキスしちゃったら、どうなるかなぁ?♡」
そのまま、美桜が透の首に腕を回し──
顔を引き寄せる。
そして──
ちゅっ……♡
軽く、でも確かに唇を合わせた。
唇が離れるとき、
透の唇には、美桜の吐息が熱く残っていた。
「はい、催眠解けました♡」
にこっと笑って言うその顔は、
どこまでも優しくて、どこまでもずるいくらい、かわいかった。
「……バカ」
透はそれだけ言って──
ずぷっ……♡
そのまま、腰を進めた。
「んっ♡ くぅぅっ……♡♡」
愛液でとろけた膣♡に、
透の熱が、ずっしりと、根元まで沈み込んでいく。
拒めなかった。
催眠という言い訳を壊されたのに、もう止まれなかった。
ぐっ、ぬちゅ……♡
「んっ……♡ は、入って……♡
透くんの、全部……入ってくる……♡♡」
透が、根元まで押し込んだとき──
美桜の目尻に、ぽろっと涙が浮かんだ。
「嬉しい……やっと、透くんが……
“わたしを”抱いてくれたのが、嬉しい……♡」
透は、何も言わず、
そのまま彼女の身体に頬を寄せる。
息が、肌に触れた。
「動くぞ」
「うん……来て……♡ 透くん……♡」
ぐちゅっ……ずぷっ……♡
透の腰が、美桜の奥まで沈み込む。
「んあっ♡ 入ってきてる……♡ いっぱい……♡♡」
ちゅっ、ちゅぷっ……♡
唇を吸って、舌をねじ込むように絡める。
舌がねっとり擦れあい、唾液がとろりと垂れた。
「っふ♡ ん、ちゅ♡ んんっ……ちゅぅ……♡♡」
透の腰がぐっ、ぐっ、と一定のリズムで打ち込まれる。
ぬちゅっ、ぬちゅっ、ぐちゅっ……♡
布団にこぼれる愛液の音が、快感を煽るように響いた。
「やば……♡ 奥、当たって……♡ 好き、こういうの……♡♡」
美桜が腰を揺らして、自分から締めつける。
透が思わず声を噛み殺しながら、さらに深く突き上げた。
「っは、ん♡ っんんんっ♡♡ 好き、もっと……♡」
ちゅ、じゅっ、くちゅ、ぴちゅ……♡
音と声と、肌の叩き合う感触。
リズムが早くなるごとに、美桜の脚がぴんと伸びて、指先が震えた。
「イクっ♡ イっちゃう♡♡ 透くんっ、だめ、イくっ♡♡♡」
透の腰がさらに深く──
ぬちゅっ♡ ずちゅっ♡ ぐちゅぐちゅぐちゅっ♡
「イッ……イッてるっ♡♡♡ 中でイってるのぉっ♡♡」
びくっ、びくびくっ……!
美桜の膣♡がきゅぅっと締まり、
中で果てながらも、透の腰を止めようとはしなかった。
透は唇を重ねながら、まだ抜かない。
ぐっ……ずぷっ……♡
「んっ♡♡ またっ……来ちゃうっ♡♡♡」
美桜の脚がふるふると震える中、
透はその身体をゆっくりと裏返した。
四つん這いになった美桜の腰を支え、
背後から、再び挿し込む。
ずぷっ……ぬちゅっ……♡
「んっ♡ ふっ……あぁ……♡♡ 後ろから……やだ、すご……♡♡」
ぬちゅっ、ずちゅっ、ぐちゅっ……♡
腰がぶつかるたび、柔らかい尻が波打つように揺れ、
下腹から愛液がぴちゅぴちゅと弾ける。
「っは、やだ……透くんのが、奥……♡♡」
透は腰を引いて、叩きつけるように突き上げる。
パンッ、パンッ、パンッ……!
ぬちゅっ、ぐちゅっ♡ じゅぷっ……ぬるっ♡
「っあ♡ んっ、んあっ♡♡ イくっ♡ またイくぅっ♡♡♡」
膣♡が締まり、美桜の手がシーツを握り潰す。
汗のにじむ背中に、透が手を添えて支えたまま、
さらに深く──
ごちゅっ♡ ぬちゅっ♡ ぬりゅっ♡
「ひぁ♡ っやっ……止まんないの♡♡ ずっと奥に当たって……♡♡」
音も、声も、形も、全部が“好き”と叫んでいるようだった。
背中越しのセックス。
でも心は、もう、完全に重なっている。
「とおる、くんっ……♡ 中でイかせて……♡♡」
後背位で突き上げられていた美桜が、
がくがくに震えながら、
「……今度は、わたしが……♡」と、透の肩を押し倒す。
仰向けになった透の上に、
美桜がそっと跨がる。
脚を開いて、腰を沈めていくと──
ずぷっ……♡
「んっ……♡ また……入ったぁ……♡♡」
愛液で濡れた膣♡が、透の竿をゆっくり包み込む。
最奥まで沈めきると、
美桜は腰をぐり、と回して、竿をこすりつけるように動かし始める。
「はぁ、ふっ……♡ すご……っ♡
透くんのが、中で……暴れてるみたい……♡♡」
ぬちゅっ、くちゅっ……♡ ぬる、ぬるん……♡
最初は小さく揺れる程度だった腰が、
だんだん大きく、速く、激しく。
「ねぇ……見て……♡ わたし、こんなに……動いてるよ……♡
好きな人の上で……♡ いっぱい動いてるの……♡♡」
ちゅぷっ、ぐちゅっ、ぬちゅっ……!
お尻が叩きつけられるたび、ベッドが軋み、
汗と愛液が混ざって音を立てた。
「透くんの中で、いっぱい感じて……♡
これが、好きってことでしょ……♡♡」
透の胸に手をついて、
美桜は目を潤ませながら、突き上げるように腰を落とし続ける。
「イっちゃう……♡ わたし、自分で動いて……透くんの中で……♡♡」
「イク♡ 透くん……好きっ、好きなのぉ♡♡♡」
びくっ、びくびくっ……!
膣♡が強くうねって、
透の竿を奥から絞り上げるように締めつける。
果てるたびに、美桜の動きが乱れて、
でも、それでも止めなかった。
「もっと……透くんで、気持ちよくなりたいの……♡♡」
透が仰向けに倒れ、
美桜がその上に、ぐったりと覆いかぶさる。
まだ繋がったまま。
お互いの鼓動が、張りついた肌越しに伝わっている。
「……もう一回、して」
美桜が囁いて、
腰をゆっくり揺らしはじめる。
ちゅぷっ……ぬちゅ、ぬるっ……♡
愛液の音がふたたび広がって、
透の竿がゆっくりと熱を取り戻していく。
「今度は、ちゃんと……“最後”まで一緒がいい……♡」
透が両手で彼女の背中を抱きしめた瞬間──
美桜の脚が、
腰の後ろからぎゅっと回り込んで、しっかり絡みついた。
「……っ、ま、待て、それ──」
「“もう離さない”♡」
「っ……バカかお前……」
笑いながら、でもその脚は緩めない。
透の奥に、根元までぴったり包み込まれて、
そのまま身体ごと繋がるように──
美桜が透の首に、腕までまわしてきた。
「もう……離したくないの……♡
このまま、透くんと、くっついたままで……♡」
「わたしの中で、いっぱい気持ちよくなって……♡
ちゃんと、好きって伝えて……♡♡」
ぬちゅ、ぬるっ、ぐちゅっ……♡
絡めとられた腰の奥に、
透が何度も突き上げていく。
パンッ、パンッ……!
「んっ♡ すご……っ♡ 好きっ……♡
好き、好きぃっ♡♡♡ イッて、透くん……♡♡」
透が最後まで突き上げた瞬間──
「っ……美桜っ……!」
ぐちゅっ、ずぷっ……ぬるぅっ……♡
美桜の膣♡がびくびく震えながら締めつけ、
ふたりは、そのまま身体ごと重なって──
果てた。
「透くん……♡
わたし、いま──
ぜんぶ、透くんで、いっぱい……♡」
「“催眠”でも“命令”でもないよ……
ちゃんと、これが“愛してる”なんだよ……♡」
──静かに、シーツの上で絡みあったまま、
ふたりはようやく、心と身体を結んだ。
静かだった。
セックスのあとの部屋には、
冷たい空気と、熱の余韻だけが残っていた。
シーツに絡まりながら、
透と美桜は、まだ身体を重ねたまま、動かずにいた。
汗ばんだ額に、美桜がそっと透の前髪を寄せてくる。
「……透くん」
「……なに」
「いま、“催眠とけてる”けど、まだ抱きしめてくれる?」
透は苦笑して、
ゆっくりと片腕をまわした。
「しょうがねぇな」
「……じゃあ、“しょうがない”ってことにしといて」
腕の中、美桜がふわっと笑う。
キスも言葉も、何もいらないくらい、
その笑顔だけで全部伝わってしまった気がした。
しばらくして──
美桜がぽつりと呟く。
「透くん……私のこと、いつから好きだった?」
「……知らねぇ。昔すぎて。思い出したくもねぇ」
「うそ。ちゃんと思い出してる声してるよ」
「……うるせぇよ」
ほんの少しだけ、照れ隠し。
でもそれは、
もう命令も催眠もいらない、“ふつうの男の子”としての返事だった。
やがて、透が小さく言う。
「お前は?」
「ん?」
「いつから、俺のこと……」
「さっき」
「……は?」
美桜は笑う。
「さっき、中にいる透くんの顔見てたら──
“あ、もうこれは本物だ”って、思ったの」
「催眠でもなんでもなくて、
ちゃんと“透くん”だったから」
透は何も言わず、
そのまま彼女の額に口づけを落とした。
優しい音がした。
──もう、命令なんかいらない。
ただ名前を呼んで、手を繋いで。
そんなふたりが、
ようやく“恋人”になった夜だった。
◆
翌朝。
制服のまま、並んで歩くふたり。
まだ春先の朝で、
風は少し冷たいけど──
透と美桜の間には、どこか柔らかい熱があった。
「……なぁ、美桜」
「ん?」
「今日も……したいんだけど」
そう言った透の顔は、
どこか照れていて、
でも嘘はひとつもなかった。
美桜は一瞬、立ち止まって、
ふふっと笑う。
「え? なにを?」
「……お前、それ絶対わかってて言ってるだろ」
「さぁ、どうかなー」
そして──にこっと笑って、
透の手をそっと握る。
「透くんがそう言うの、
嫌いじゃないよ?」
「でも、するかどうかは──
わたしが決める♡」
そう言って、足早に先を歩いていく美桜。
透は小さくため息をついて、
でもその後ろ姿を見ながら、ほんの少しだけ笑った。
──命令なんか、もういらない。
“今日はするかもしれないし、しないかもしれない”
その曖昧ささえ、心地よくて。
なにより、“彼女の自由”であってくれるのが、今の透にとって一番幸せだった。
【完】