全てを諦めて求められることだけを生きがいにしていたエイリークの前に新たな客が訪れるーー。
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エイリークは器用で順応性も高いので、何をやっても一流になれる。そんな気がしました。
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◆マシュマロ
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◆Pixiv
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俺がこの娼館に通うようになって、もう2年になる。
元はルネス王都で職人をしていたが、戦争で国が滅んだあとグラドの圧政から逃れてカルチノへ辿り着いた。新しく始めた商売が幸運にも軌道にのり、この街ではルネスで暮らしていた頃とはまるで違う、裕福な暮らしができている。
だが、心は満たされなかった。
故郷を失った痛み。家族を失った喪失感。そして何より、式典で見た若き王子、王女から感じた輝かしい未来の予感。彼らが率いる次のルネスをこの目で見たかった。
そんな心の隙間を埋めるため俺は娼館に通う。日常からかけ離れた、別世界とも呼べる場所で束の間の休息をとることが僅かな愉しみだった。
「今日は特別な子を紹介させていただきますよ」
女将がそう言って俺を三階へと案内する。上級会員向けの階、その最も奥にある特別な部屋を紹介されるほどの信用をいつのまにやら勝ち得たようだ。普段よりも高い金額を提示されたが迷うことなく支払った。
階段を上る間、女将はやわらかな口調で語り掛けてくる。
「知り合いの紹介で来た子なんですけどね。なかなかに品が良くて、接客もしっかりできる、育ちの良さそうな子です。ちょうどよいタイミングでいらっしゃいました」
貴族の娘が売られたか、落ち延びたか。そのタイプは高慢な本性が見え隠れしがちだが、女将の言い方から察するに素直な子なのだろう。あまりこういう場所にはいないタイプだ。
毎度のことだが女将は初めての女の子を宛がうとき、うまく俺の心を弄ぶ。これで期待するなと言う方が無理な話だろう。やがて、カーテンで区切られた廊下の先にある豪奢な扉までやってきた。
「きっと、気に入っていただけると思いますよ」
そう言って、扉をノックする。
「エイリス、お客様よ」
なめらかに音もなく扉が開くと、俺は息を呑んだ。
踊り子の衣装を纏った女性が、部屋の奥で立ち上がった。薄絹が身体の線を隠しきれず、豊かな胸の膨らみと細い腰のくびれが透けて見える。長い青緑の髪が背中に流れ、エキゾチックな飾りが揺れていた。
だが、その類まれな容姿以上に俺はその顔立ちに驚いていた。
「いらっしゃいませ、お客様」
その凛々しくも可憐な美貌を俺は知っていた。ただ似ているだけではない。柔らかく微笑み、優雅に一礼する姿。その所作の一つ一つがかつての姿と重なる。
今は亡きルネス王国、その王女だったエイリーク様だと俺は確信した。
「お、おう……」
動揺を隠しきれず、俺は曖昧な返事をした。
なぜ、王女がこんな場所に。なぜ、こんなことを。思わず口が開いたが、言葉はぐっと飲み込んだ。軽々に聞いていいはずがない。少なくとも女将もいる今ではないだろう。
女将には俺が娘をいたく気に入ったように映ったのだろう。やんわりとした笑みを浮かべて静かに退出していった。
「どうぞ、お座りください」
エイリス——いや、やはり間違いなくエイリーク様だ。エイリーク様は俺の手をふんわり包むようにとると俺を寝台の縁へゆっくりと導いた。
その手つきは驚くほど慣れたもので、俺の胸に複雑な感情が渦巻く。細い指が俺の手首に触れ、優しく導く。その動きには、何度も繰り返されてきた所作の滑らかさがあった。
王女が娼婦の所作を身につけている。その事実が胸を締め付けた。あの純真無垢にしか見えなかったエイリーク様がどれほどの時をこうして過ごしたのか。どれほどの男たちを相手にしてきたのか。
「緊張なさっているのですか……?」
「いや、あまりにも綺麗だから驚きまして。いや、想像以上ですよ」
「ふふ……。お上手ですね。でも、もっと楽にしてください。ね?」
エイリーク様は優しく微笑み、ゆっくりと俺の頬に手を添えた。
その指先は柔らかく、ほのかに甘い香りが漂う。主張することなくエイリーク様を引き立てる、上品な何かの花の香り。
「そうはいっても、あなたほどの……」
そう言いかけたところで指先で唇を抑えられ、俺はまったく身動きが取れなくなってしまった。
「私に、そんなあらたまった言葉遣いをする必要はありません。私の名前、呼んでくれますか?」
「え……エ……。エイリス、ちゃん」
「覚えていてくれたんですね。嬉しいです。そう、エイリスです」
「あぁ……。そうで……、そうだな。わかったよ、エイリスちゃん」
「はい。それでは、失礼します」
首を軽く傾げて微笑むと指先で俺の身体をなぞりながら、エイリーク様が俺の前に膝をつき、帯に手をかけた。その動きはまるで舞を踊るかのように滑らかで淀みない。
手慣れた動きで俺の衣服を解いていく。帯を解き、上着を脱がせ、下着に手をかける。すべての動きが、完璧に計算されていた。
「これからなのに、もうこんなに。すごく立派です……」
下着越しに既に硬くなっていた俺の肉棒をエイリーク様は躊躇なく撫でた。
絶妙な力加減で俺を焦らす様は職人芸そのものだった。指先が布越しに形をなぞり、根元から先端へとゆっくりと這い上がる。その動きには、男を悦ばせる技術が凝縮されていた。
「んっ……」
思わず声が漏れた。
エイリーク様は満足そうに微笑むと、ゆっくりと下着を引き下ろした。剥き出しになった肉棒がエイリーク様の顔前で跳ねると、吐息を感じてさらに硬さが増していった。
「素敵……。見ているだけで、身体が熱くなってしまいます……」
そう囁くと、自らの上衣を脱ぎ捨てた。
何もかもが上品なエイリーク様だからこそ余計に目立つ豊満な乳房がゆさゆさと揺れる。ピンク色の乳首が、既に硬く尖り、うっすら滲む汗が白く滑らかな肌の上で、灯火に照らされて淡く輝いている。
思わず喉がなる。王女の裸体、俺も含めて多くの民が敬愛した、高貴なる存在のあられもない姿。それが今、俺の目の前にある。
式典で遠目に拝見した頃よりも遥かに豊かに成長した乳房は、エイリーク様が少女から熟れた女へと変貌を遂げた象徴に思えた。
「触れたいですか? いいですよ。今日の私は、あなたのものなのですから……」
エイリーク様が身体を寄せ俺の手を取る。それだけで漂うフェロモンにくらくらしているのに、自らの胸へと導くと手のひらを重ねてぎゅっと胸を握り込んだ。
柔らかく、温かい。ぎゅっぎゅっと数回繰り返してからエイリーク様が手を放すが俺の指は動き続ける。指が沈み込むような感触に俺の理性が溶けていく。手の中で形を変える柔肉、その中心で硬くなった乳首。触れれば触れるほど、これが王女の身体だという事実が信じられなくなる。
「あ、んんっ……! 声が、出てしまいます」
鼻にかかった声。それが客を悦ばせる演技なのか、もう俺にはわからない。潤んだ瞳で俺を見上げる様子はどんな娼婦よりも真に迫っていた。
夢中で乳房を揉みしだいていると、ふいにエイリーク様が腰骨のあたりに触れてくる。それだけで高まる期待を裏切ることなく、ゆっくりと鼠径部に沿って降りていき片手で玉袋を、もう一方で竿を包みこんだ。
熱く滾った肉棒に感じるエイリーク様の指はひんやりとしている。それだけでも気持ちよかったが、指がそれぞれ別々に、それでいて調和のとれた動きをし始めた。表面を撫でるようで力が入っている感じはないのに一気に果ててしまいそうなほどに気持ちがいい。
「あぁ……エイリス、ちゃん……それ、いい……」
「さきっぽからぬるぬる、いっぱい溢れてきましたね……。悦んで頂けて嬉しいです」
「くぅ、ぬめった手がまた……。うっく……。出しちまいそう、なのに……絶妙すぎるぜ」
「まだ、大丈夫ですよね。それよりも、私のおっぱい、揉むのは飽きてしまいましたか?」
言われて手が止まっていたことに気付く。だが、手を動かそうという気持ちが湧いてこない。それほどにエイリーク様の手つきは気持ちが良かった。
「飽きたわけじゃない……。だが、うっ……。それ、されてると……なにもする気にならないんだ」
「では、もう少し……。サービスさせて頂きますね」
エイリーク様はゆっくりと中腰へと姿勢を変えた。その間も溢れる我慢汁を掬い取っては肉棒全体にまんべんなく塗りたくり、指の腹で竿に走る青筋を辿り、亀頭の裏を親指で擦ってと手の動きが止まることはない。
なぜ姿勢を変えたのかとぼやけた意識のなかで僅かなひっかかりを覚えたころ。
「気持ち良いですか……?」
耳元で囁かれ、ゾクリと身体が震えた。
エイリーク様は俺の首筋に唇を這わせ、舌先で肌をゆっくりと舐め上げる。熱く、柔らかい舌が、肌の上を這う感触。それだけで、背筋に電流が走るような快感が広がっていく。
「う、あぁ……エイリスちゃん……。それは、それは、がまんが……」
「んっ、ちゅっ……」
湿った音を立てながら、エイリーク様は俺の首から耳朶へと這い上がり、柔らかく噛んだ。
エイリーク様の手に包まれた肉棒がビクビク跳ねて暴れる。それを宥めるような手つきが、暴発寸前で踏みとどまらせている。
「ちゅぱ……じゅる……。はむ、はむ……。ぴちゃ……。んふぅ……まだ、我慢できそうですよ」
我慢なんてまったく出来ていない。ただコントロールされているだけだった。
娼館にそれなりに通ってきたが、こんなにも主導権を握られたことなど一度もなかった。悔しい気持ちも多少はありつつ、それを多幸感が遥かに上回っていた。
このままでは気がおかしくなると、俺は無理やりに雑談を振ろうとする。だが、うまく思考がまとまらずに口から出てきた言葉はとても際どい話題になってしまった。
「そういえば、俺さ……生まれはルネスなんだ」
「……それは、さぞ辛い経験をされたのでしょう」
ほんのわずかにエイリーク様の動きに不協和音が混じる。失敗したと、そう思っても話題を変えるほどの余裕もなかった。
「いや、今の暮らしも悪くはないんだ。だが、ときどき、思い出す。あの、綺麗だった街並みを……」
「ルネスがお好きだったんですね」
「今になって、そうだったと、気付いた。あんなことに、なるなんてーー」
そんな俺の言葉を遮るようにエイリーク様が体重を預けてくる。突然のことに驚く暇もなく、気付けばベッドへと倒れ込んでいた。そして、肉棒の先に熱く湿った息が吐きかけられた。
「あなたは今も、傷付いているんですね……。少しでも、今日ここで癒されていってください」
エイリーク様が俺の股の間で微笑み、鈴口へ口づけをする。柔らかな唇の感触、そしてすぐに唇を割って伸びる舌先が我慢汁を滴らせる穴を突いてきた。
声も出ない。全身に痺れるような刺激が走り、嫌じゃないはずなのに腰が逃げようとしてしまう。肉棒から唇が離れるが、すぐにエイリーク様はまた口づけした。
今度は逃げない。するとゆっくりとエイリーク様の口が大きく開いて肉棒を口腔へと収めていく。カリに舌を這わせ、竿の裏側を擦るように動かし、その感触に酔いしれているうちに根元までずっぽりと呑まれていた。
「っ! 喉……そんな締め……。くっ……ここまで、する、なんて」
エイリーク様が喉奥を収縮させて亀頭を締め上げていた。
下腹部からむずむずと、抗いがたい衝動が湧き上がってくる。だめだと、僅かに残った理性が声を上げるが、俺の腕はエイリーク様の頭をがっちり掴んで引き寄せ、腰も突き出してしまう。
もともと深かった挿入が僅かだがさらに奥へ。それだけで締まる感触が全然違った。
「エイ、リス……ちゃん……。だす、よ……」
口の塞がったエイリーク様が目の形で『どうぞ』と促し、舌を竿に絡める。
もう、我慢などできるはずがなかった。
ドクン、ドクンーー。
見えなくとも、かつてないほどの量が吐き出されているのがわかった。
深い罪悪感を覚えながらもエイリーク様の頭を掴む力はまるで緩まない。最後の一滴まで注ぎたいという暴力的な欲求が勝っていた。
それでもエイリーク様は嫌がるそぶりも見せず、最後に舌を尿道に這わせ、まさしく残っていた一滴を吸い上げた。それをきっかけに、滾っていた俺のペニスも身体も力を失った。
「いっぱい、出ましたね」
エイリーク様は萎えた肉棒をゆっくり口から引き抜き、やさしく微笑んだ。
俺はこんな子に酷いことをしてしまった。募る罪悪感と、それ以上に湧き上がる嗜虐心。手玉に取られているとわかっていても下半身がまた滾る兆候を見せ始めていた。
だがすぐに元通りとはいかない。萎えた肉棒をエイリーク様はふんわりと手のひらで包み、荒く呼吸を繰り返す俺の上に覆いかぶさってきた。
柔らかく火照った身体。漂う花のような香りにうっすらと混じる汗の匂い。耳元に吐きかけられる熱のこもった吐息。肉棒にまた血流が巡り始めていた。
俺のペースに合わせ、半立ち程度まで回復するのを待ってからエイリーク様は膝立ちになり、俺に跨ると自身の臍の下に両手を添えた。
「あついの、頂いてしまいました。ですが、これで終わり……では、ありませんよね?」
「っ……!」
腹に注いだはずの精液のことを言っているはずなのに、その仕草は中出しを想起させる。そこへ注ぎ込みたいという俺の欲望をこれでもかと刺激する。
「出したばかりなのに、もうこんなに……。男らしくて、素敵です。私も、もう、こんなになってしまってるんです。……よろしいでしょうか?」
エイリーク様が割れ目を両手で慎ましくも淫靡な動きで左右に開く。幾重にも重なる襞は濡れそぼって部屋の明かりに照らされてテラテラと光っていた。その奥から溢れる濃い愛液が力を取り戻しつつある肉棒へとろりと滴っていく。
「すごい濡れ方だな。俺のに期待してるってか?」
「見た目も、硬さも、大きさも。すべて素敵で、ご奉仕していて昂ってしまいました。それに……」
「どうした? 気になるじゃないか」
「じつは、私もルネスの生まれなんです。同郷と聞いてから、ドキドキしてしまって」
エイリーク様の際どい告白に心臓が跳ねる。それは伝えていいことなのだろうか。のぼせたような表情のエイリーク様の様子は、心の底から興奮しているようにも見える。
「あ、あぁ……。そうか。じゃあ、失ったもの同士、愉しもうぜ」
「はい……。せめて、私で……」
エイリーク様の表情に一瞬だけ影が差した。『私』が指すのは娼婦か、ルネス王女か。
それでもすぐに微笑み、腰を落として肉棒を割れ目に食い込ませる。亀頭が甘噛みされているような感覚に肉棒がぐんぐん勢いづいていく。
やがて完全に元の大きさを取り戻した肉棒にエイリーク様が愛液をなすりつけ始める。俺の視線は腰をグラインドさせる姿に縫い付けられ、クチョクチョと鳴る水音とエイリーク様の切なそうな喘ぎ声が頭の中で反響していた。
「はぁ……はぁ……。もう、入れて、いいでしょうか?」
「まだだ……。あと、少しだから」
俺の答えが意外だったのだろう。お預けを食らってエイリーク様の腰がヒクつく。
もちろん俺もすぐに入れたい。だが好き放題されっぱなしというのも男としてのプライドが許さなかった。腰の動きを読み、二度三度とタイミングを計り、そして一気に腰を突き上げた。
「ああああんっ!」
肉棒でひと息にエイリーク様の子宮口を穿った。
とろとろの膣内は驚いたようにきゅっと締まった後、すぐに俺の竿に絡みついてくる。男への媚び方を知り尽くした反応に胸がもやもやする。
それでも、あのエイリーク様とセックスをしている。その事実だけで果てそうだった。
衝動を堪え、幾度も腰を突き上げ、蠱惑的な淫らさと無垢な清らかさが入り混じった声で喘ぐエイリーク様を責め立てた。
「くっ……。奥までぐっしょりじゃないか」
「酷いです。いきなり……。でも、それがまた……。腰使いも、すご、いぃ……!」
「もう娼館通いも長いからな。エイリスちゃんのまんこも、いいぜ」
「もう……。そんなはしたない言い方、しないでください。私の、まんこ……疼いちゃいます」
淫語を口にして恥じらうそぶりを見せるエイリーク様。滑らかな口ぶりゆえに演技だとすぐにわかるが、そんなことは俺の背徳的な欲望を刺激するのに関係なかった。
「どんな感じで疼く? 言ってみな」
「酷いです……。ですが、頼まれたら、娼婦の、私は、断れません……」
「そうだ。嫌だとしても、ちゃんと言いな」
「くぅ……。その、おチンポ……。おチンポでぐりぐり苛められて疼くんです。私の赤ちゃん袋の入り口、ずっとキスされてて、その奥で感じたいって、それで疼いてたまりません」
淫らな言葉遣いのエイリーク様に脳が焼き切れそうになる。その上に俺に合わせてエイリーク様は腰を振り、肉壁をねっとりと肉棒に絡みつかせて締め上げてくる。
もういいと思った。出したい。思う存分に。
「いくらだ? オプションだろ。生で出したい」
「あ、あの……。私、すごく高くて……」
「いいから言え」
躊躇うエイリーク様の子宮を圧し潰すように突き上げる。
「んあぁっ……! は、八百万です……」
喘ぎながら告げた金額は十分に払える範疇だったが、通常ではありえないほどの高額。それはオプション提供を暗に拒否する意思表示でもあった。これは金を払えばいいという問題ではない。店との信頼関係にひびが入る。
「なぁ、その金額でいいんだな?」
諦めずに聞いてみる。払えるぞ、金額を吊り上げて拒否するなら今だぞという意味を込めて。
「払って頂ける……。そう、思っていいんですね」
エイリーク様の微笑みは安堵したようにしか見えない。裏などなく、純粋にそれが店の設定したエイリーク様の値段だったのかと驚くが、亡国とはいえ王女の値段としては破格だろう。
提示額で萎えかけた反動で俺の心はよりいっそう沸き立ち、グンと肉棒が硬さを増した。
「あんっ! おチンポ、もっと逞しく……。こんなので、出されたら……孕んでしまいます」
「あぁ、そうだ。今から孕ますつもりで、たっぷり注ぎ込むぜ」
半分は自分に言い聞かせるように口にする。いまからエイリーク様に中出しする。あとで避妊される、なんて野暮なことは頭から追い出し、ボテ腹の姿を妄想して腰を深く、深く打ち付ける。
「来てください……。子袋に、いっぱい。ぜんぶ、受け取りますから……」
エイリーク様も身体を上下に揺らし始める。互いの腰が激しくぶつかり合ってパンパンと鳴る。加えて響くペチペチという音に見上げると、エイリーク様の揺れる乳房がぶつかり合っていた。
「そろそろ、出るぜ」
「私も……もう、すぐ……。出されたら、熱いの受け取ったら、イキそうです」
呼吸のリズムが徐々にひとつになっていく。そして腰を打ち付けるたびに重なっていく気持ちが、出したい、出されたい、お互いの欲求がひとつになったとき、俺は果てた。
「ぐっ、うぅぅぅ……っ!」
「あっ! でて……るぅ……イク、イク……イっくぅぅぅぅぅ!」
俺の全てが下腹部に集中し、精液となってエイリーク様へと注がれていく。視界が明滅するほどの快楽に包まれ、同じく果てたエイリーク様を見上げた。
激しく主張する乳房で顔が少し隠れているのがもどかしい。だが、瞼を降ろして余韻に浸っている姿はやはり上品だった。どれだけ商業で成功しても得られなかった達成感がそこにはあった。
◇◇◇
結局それから休憩を挟んで3回、出なくなってからもエイリーク様の身体を朝まで味わい続けた。
「そろそろ、時間ですね……。なんだか、とても残念です」
仰向けの俺に覆いかぶさった姿勢でエイリーク様が呟く。俺の胸板に指を這わせ、何かを期待している様子で、おそらく次の予約の話をしたいのだろう。だが、俺はそれ以上が欲しくなっていた。
「俺もだ。……なぁ、会っていきなりで、なんだが。俺はエイリスちゃんを身請けしたい」
「……っ!」
エイリーク様が目を見開いて俺を凝視している。その吸い込まれそうな瞳が欲しくてたまらない。
「困るよな、こんな話。でも、何度も通うからさ、考えてみてくれよ」
「い、いえ……。その……。ですが、これも運命……なのかもしれませんね」
エイリーク様の視線がすっと俺を素通りしてどこか遠くへと向かう。哀愁を感じさせる表情に目を奪われていると、ふいにエイリーク様がまた俺に向き直った。
「私……。あなたさえ、よろしければ、すぐにでもお受けしたいです」
「……えぇ?」
提案しておいて俺の方が動揺してしまう。でも、エイリーク様はふっきれたように朗らかで、一夜過ごすなかで幾度も感じた演技の部分がまるでない。驚きに俺がまじまじと見つめると、恥ずかしそうに頬を染め、視線をそらしてチラチラと様子を伺ってくる。
「そんな、いいのか? いくらか知らないが、オプションの八百万から考えれば、たぶん出せるぞ」
「ぜひ身請け、お願いいたします。あなたのような素敵な方なら……」
「素敵って……。いや、俺なんてたいした奴じゃないぜ。なんでそんなに前のめりなんだ?」
熱心な奉仕に好意のようなものを感じ取ってはいたが、それは営業的なものだと思っていた。それに、理由も思い当たるものがない。
「今もそうですが、私を抱いているときでさえ、あなたはずっと紳士的で素敵でした……」
「おいおい、なんだか照れるな……。自分じゃけっこうケダモノじみてたと思うんだが」
「そんなことはありません。なんだか、身体を重ねているとき心が温かくなったんです。それに、こうして申し出て頂けたこと、それもルネスの方というのは女神の導きに違いないと思います」
「……わかった。女将と話をつけてくる」
それから急な話にあれこれと揉めはしたが女将の了承と契約を済ませて俺たちは娼館を後にした。
旧ルネス領の街に投資していくのも悪くない、なんて考えながら橋を渡っていると、今まで俺の一歩後ろにつき従っていたエイリスが俺の前に飛び出して振り向く。
「ふふ……。避妊薬、要らなくなりましたね」
エイリーク様ーーいや、エイリスはそう言ってポケットから錠剤を取り出す。「女将さんに持たされたんです」と付け足すと川へ投げ捨てた。