他サイトの小説投稿掲示板で公開していましたが、諸事情により移転しました。
ごとん、ごとん……という規則的な振動に、いつの間にか眠気を催していた。
ふと意識が浮上し、残業疲れと崩れたアイメイクで凝り固まった瞼を押し開く。
白い電灯に照らされた終電の車内は、わたしを除いて無人だった。
ゆらゆらと揺れる吊り革。ドアの上のモニターでは、見る人もいないのに無音声のCM動画が繰り返し流れていく。
静まり返った車内には、ごとん、ごとんと、レールが軋む音だけが響いていた。
ぼんやりと視線を彷徨わせ、動画の横に表示された次の停車駅名に瞠目する。
「ひらさか?」
見間違いかと思い目を擦ってみるが、確かに『次はひらさか』と表示されている。
おかしい。この路線に『ひらさか駅』なんて存在しない。
発車ぎりぎりに駆け込み乗車をしたせいで、間違えて別の路線に乗ってしまったのだろうか。
呆然と青ざめていると、ぱっとモニターの画像が切り替わった。
停車する各駅名がずらりと並んで表示される。次は『ひらさか』、その次は『やみ』、その次は『きさらぎ』、その次は『かたす』……。
ぞわぞわと鳥肌が立った。
『きさらぎ駅』だなんて、有名な都市伝説そのものではないか。いつものように電車に乗り、ふと居眠りから目覚めたらこの世ではない駅に着いてしまった……という怪談の。
通勤用のバッグを抱え、座席にへたり込む。
おそるおそる車窓を振り返る。普段なら建物や街灯の光がぽつぽつ浮かんでいるはずなのに、永遠のような暗闇が車内の光景を白々と浮かび上がらせていた。
「……嘘でしょ?」
この電車は、一体どこを走っているの?
バッグを抱き寄せた拍子に硬い感触が指先に当たる。スマホを外側のポケットに放り込んだままだった。
慌てて取り出して画面を確認する。
電波は圏外、時刻は二十七時九十三分。寒気がして、スマホを取り落としそうになった。
引っ掻くようにLINEのアプリをタップしても、反応が全くない。他のSNSも、電話もメールも起動しない。
かちかちと奥歯が鳴っている。絶叫したいのに喉の奥が引き攣って声が出ない。
どうしようどうしようどうしようどうすればいいの!?
現実にはありえない時刻を表示し続ける画面を見ていられず、スマホをバッグに押し込んだ。
わたし、このままあの世に連れて行かれてしまうの? 残業で汚れた雑巾みたいになって家に帰るだけの毎日を必死に生きて、その結果がこれ?
恐怖よりも悲しみが勝って涙が溢れた。口元を覆って嗚咽していると、がたんと、レールの軋みではない音がした。
「え……」
顔を上げると、前の車両に繋がるスライドドアが中途半端に開いていた。す――と、ひとりでに閉まっていく。
血の気が下がる。ぎゅうぎゅうバッグを抱き締めて縮こまっていると、ぺたりと何かが足に触れた。
「ひっ!?」
目の前には誰もいない。
だが、紺色のタイトスカートから伸びた太腿に手が置かれている感覚がある。冷たく湿った、わたしよりも大きい男性的な手が。
幽霊という単語が頭を過ぎった。凍りつくわたしに構わず、不可視の手はストッキング越しにすりすりと太腿を撫でさする。
それは身に覚えのある感触だった。満員電車の中で何度も味わった恥辱が蘇る。
どうして幽霊にまで痴漢されなくちゃいけないの!?
「いやぁ! 触らないで!」
バッグを振り回して追い払おうとすると、強い力で両手を掴まれた。バッグが床に落ちる。
「やだやだやだっ、放してよ!」
両手を頭の上で固定され、ばたつかせていた両足も掴まれて大きく開かされた。
ハイヒールの踵が浮き、タイトスカートが盛大に捲れ上がる。まるでカメラに向かってM字開脚を披露するAV女優のようなポーズだ。
かぁ――っと顔が熱くなる。
がっちりとわたしを拘束した幽霊は、再び太腿を撫で回し始めた。太腿だけではなく、ふくらはぎ、お腹、胸元、二の腕、首筋、頬――全身のあちこちを愛撫されている。
何体の幽霊が自分に群がっているのか、考える事すら恐ろしい。
どれもひんやりとした男の手だ。長く骨張った指が、厚みのある掌が、体のラインをなぞり、時折引っ掻いたりくすぐったりする。
さわさわ、すりすり、こちょこちょ、かりかり……どこか焦れったいほど優しい愛撫に、段々と嫌悪感とは別の感覚が込み上げてくる。
「んっ、ふぅ……っ」
下腹部に熱が溜まっていく。身を捩った拍子に座席から尻が浮き上がり、すかさず隙間に幽霊の手が差し込まれた。
「あっ!?」
タイトスカートの裾が腰までずり上がり、完全に内側が丸見えになった。
手がぴたりと動きを止めた。
まるで衆目に晒されているような圧迫感に羞恥心を煽られ、思わず目を瞑る。
濃いベージュのストッキングはパンティ部レスタイプで、腰回りから前後の紐で靴下部分を吊り下げている。ガーターベルトとガーターストッキングが一体化しているような形状だ。
パンティ部レスタイプのストッキングはガータータイプと同様に、ストッキングの上から下着を穿く。今のわたしは、黒いレースのショーツを丸出しにした痴女そのものだ。
汗っかきのわたしは、暖かい季節になるとスカートの内側が蒸れやすい。対策としてパンティ部レスタイプのストッキングや、布地面積の狭い下着を愛用していた。
今日のショーツもVIOゾーンは隠れているものの、それ以外の部分はシースルーのレース生地なので素肌が透けてしまう。つまり、恥丘や尻たぶはほぼ丸見えだ。
この世のものではない存在にねっとりと視姦されるという異常事態に、理性が思考を放棄し始める。ひくひくと尻たぶが震え、下腹部の熱がクロッチ部分の奥からじゅわ……っと滲み出す。
いつ冷たい手が伸びるのかと息を詰めていると、むにゅりと両胸を鷲掴まれた。
「ひゃん!?」
予想外の動きに両目を見開く。
他の手は静止したまま、胸元に張りついた二つの手が膨らみの大きさを確かめるように乳房を揉みしだく。
「やっ、ちょっ、はぅんっ……!」
水色の七分袖シャツの上からぐにぐにと両胸を捏ね回され、堪えがたい快感に背骨が仰け反った。
元々窮屈だった胸元はボタンが弾け飛びそうだ。更に、なんとか乳房を押し込んでいたブラのカップがずるんとずり下がった。
「あ――駄目、駄目駄目ぇ!」
乳房を揉みしだく手とは別の手が器用に釦を外していく。何故か一番上は留めたまま、鎖骨から下を剥いていくようにぷつりぷつりと一つずつ。
体温が跳ね上がる。
スカートのウエストまで釦が外され、シャツの前身頃が容赦なく引ん剥かれた。
顔を背ける事もできないわたしの眼前で、ブラから溢れそうな
サバを読んでIの75サイズを使っているが、わたしの希望とは裏腹にコンプレックスでしかない巨乳(同僚には立派な爆乳だと散々揶揄される)は常にはちきれそうだ。ショーツと上下セットのブラはカップこそ大きいものの、バストを覆う布地の半分以上黒のレースという際どいデザインをしている。カップがずり落ちているせいで、ぷっくりと膨れ上がった乳輪と乳首がレースから見え隠れしていた。
「ぁ、う、あ」
ごとん、ごとん、と振動の響きに合わせ、ぷるっ、ぷるっ、と乳房が揺れる。丸々とした膨らみは薄く汗ばみ、苺ミルクのような色に上気していた。
「はあっ、うぅ、はあっ」
息が上がる。
乳首は痛いほどに凝り、僅かな身動ぎでさりさりとレースが擦れるだけて視界に火花が飛んだ。両脇に追いやられたシャツの息苦しさが下腹部から這い上がってきた熱を煽り、胸の先まで火照らせる。
内腿がひくひくと打ち震え、ショーツのクロッチ部分はしっとり湿り気を帯びていた。気付けば自分から腰を浮かせ、両足はすっかり脱力して限界まで押し開かれている。
するりと、ストッキングの吊り紐部分を透明な指がなぞった。
「ひ、ぃ」
それが合図だったように、全身に絡みつく手が再び動き出した。
さっきと同じようで、さっきよりもねちっこく乱暴にまさぐられる。
ハイヒールを脱がされた爪先から、僅かな素肌がはみ出す太腿。
頼りないレースだけを纏った尻たぶと、淡い陰毛を覗かせる恥丘。
クロッチの布地がぴったり張りついて浮かび上がった秘裂。
シャツの割れ目から覗く臍。
今にもブラのカップから弾け飛びそうな双乳の盛り上がりと、薄桃色に染まってむわりと女の匂いを漂わせる深い谷間。
曝け出された生白い喉笛。
尻たぶを撫で回され、ショーツが食い込む割れ目から恥丘の麓まで指の腹が幾度となく往復する。
「あっ、あっあっ、あっ、ひぃんっ!」
秘裂の凹凸を丁寧になぞっていた指先がすっかり勃起した陰核を目敏く見つけ、くりくりと捏ねくり回される。痺れるような衝撃が下腹部で燻る熱を暴発させ、わたしは爪先まで突っ張ってびくびくと痙攣した。
飴玉を舐るように陰核を転がされ、恥骨を上からぐっ、ぐっ、と押され、秘裂の襞をすりすりと優しくなぞられ、わたしの女の孔はとぷとぷと甘い涎を垂らして口をひくつかせた。時折内腿をくすぐられると、子犬じみた嬌声が馬鹿みたいに迸る。
「はっ、あ、ああっ、ひっ、ん、あぁッ!」
ブラのカップごと両方の膨らみを持ち上げられ、掌から余る乳肉をやわやわと揉み潰される。上からは別の指がレースの縁取り越しにかりかりと乳輪を引っ掻き、意地の悪いタイミングで乳首を弾いてわたしに濡れそぼった悲鳴を上げさせた。
「ふ、ふ、うぅ、んぅ――っ!」
きゅうっと乳頭を強く摘まれ、わたしは背中をしならせて甘美で残酷な絶頂に追いやられた。
学生時代の恋人と別れて以来の男日照り、仕事に追われて自慰すら半年近くまともにしていなかった。久しぶりの法悦は鮮烈過ぎて、抗おうとする意志を奪われて溺れるしかない。
ぷつ、と、胸元で小さな音がした。
突然解き放たれた乳房が本来の重みと弾力を取り戻し、ぶるんっぶるんっと飛び跳ねる。
ブラのフロントホックを外されたのだ。用無しになったカップは外側へ払い落とされ、リアルロケットおっぱいと同僚に馬鹿にされた豊満過ぎる双乳がたぷたぷと波打っている。
「あっ……ひ、ぅ、あっ」
仄かに赤らんだ乳房に比べ、ぷくぷくと浮き立つ乳輪や乳首はいやらしい小豆色に充血していた。ふるふると無防備に震える乳頭を絞り出すように膨らみを握り込まれ、びくんっと腰が跳ねた。
ねろりと、明らかに手とは違う感触が乳頭を呑み込む。
「ひっ、あぁぁ!?」
舌――だ。
冷たくて、けれどもぬるぬると濡れている舌が両方の乳首を搦め捕り、固い歯列で甘噛みされ、肉厚の口唇でぢゅうっと吸いつかれる。
ぢゅっぢゅっ、れろれろと、まるで赤ちゃん返りした幼児が母親に甘えておっぱいを強請るような執拗さで、乳房全体を絶妙な力加減で揉みくちゃにされながら貪られる。その間も下半身への愛撫は止む事はなく、わたしはがくがくと全身を戦慄かせて泣き叫んだ。
「あっあっあっ、やっ、ひぃ、いゃあ、まっ、まって、や、あっ、あぁぁッ!」
汗と涙と涎でメイクはどろどろだ。シャツもタイトスカートもすっかり濡れそぼってぺったりと張りつき、快楽に溺れているのか水に溺れているのか分からない有り様だった。
幽霊の舌先は胸だけでなく、口腔、耳の中、首筋から鎖骨のライン、腋窩、ふっくらと張り詰めた乳房の尾根、臍の窪み、陰部、両足の付け根から内腿、足の指まで弄んだ。
特に口腔は、まるでわたしという人間の骨までしゃぶり尽くさんというような激しさで、舌を絡め合う深い
じゅぷじゅぷと耳の孔を犯されながら、喉の奥まで舌で撫で回されて唾液を流し込まれる。幽霊の唾液は無味無臭で、胃の腑が灼けるように凍てついていた。
「はっ、んむっ、んぅ――ッ!」
口づけられながら、乳輪ごと乳首を、陰核を痛いほど吸われて噛み潰された。
思考が真っ白に焼き尽くされる。
びぃんッと両足が突っ張り、体が反り返ってたわむ双乳が高々と突き出される。ぷしっとクロッチの奥から潮が噴き零れ、両目がぐるんと裏返った。
「は、ひゃひ、ひぃ、あ……は、あぁ」
座席に弛緩した体を投げ出したわたしは、びくびくと痙攣しながら細波のような絶頂に苛まれ続けた。ショーツはびしょびしょに濡れてとっくに用を成さず、ストッキングには垂れ流される愛液が染み込んで茶色の斑模様が浮かんでいる。
ごとん、ごとん……と、電車は走り続ける。一体いつになったら次の駅に停まるのだろう?
犬のような呼吸を繰り返していると、ふわりと体が浮き上がった。
「ぁ……え?」
緩慢に瞬くと、睫毛に溜まっていた涙と汗の玉が転がり落ちていく。
万歳の状態で吊り革を掴まされ、尻を後方に突き出すような姿勢で固定される。がっちりと腰を支えられているので苦しくはないが、ストッキングの爪先が浮き上がり気味で不安定だ。
重力の法則に従って下向いた双乳が慣性の法則に導かれてゆっさゆっさ、たっぷたっぷと揺れては弾み、弾んでは揺れる。小粒の木苺みたいに実った乳頭が躍る様はなんとも淫靡で、恥ずかしさのあまり唇を噛んだ。
まるでわたしの気を引くように、尻たぶに食い込むショーツのラインを撫でられる。クロッチ部分の布地をくいくいと指先で引っ張られ、ふるりと背筋が震えた。
にゅるんと男の指がパンティの内側に滑り込んだ。
それは迷わず陰部を覆う布地を横にずらすと、愛液を涎のように垂らしながらひくんひくんと震える女の孔を明かりに晒した。
「ひ、あ……」
ひやりと外気が恥部を舐める。不可視の指が次々と剥き出しの女の部分に群がっていく。
太くて固くて長い指が一本、二本、三本と、蜜が溢れる膣の中へじゅぷじゅぷと潜り込んでくる。てんでばらばらの動きで、掻き混ぜ、踏み躙り、わたしの弱点を暴き立てていく。
「あッ、いひっ、あ、ああ、ぉ、んぁッ!」
快楽の生じる箇所を刺激され、膝がかくかくと笑う。特に恥骨付近をくるくる撫で回されたり、とんとんと叩かれたりすると、熱が迸って霧雨のような潮を噴いた。
両手で吊り革を握り締め、上体を弓形に反らして打ち震える。激しく揺さぶられる度に乳房の重量感が増すようで、悩ましい苦しさに涙を浮かべて喘いだ。
膣内ばかりではなく、陰核も皮を剥かれてころころと捏ね回されたりきつく摘まれたり責め苛まれる。不意打ちでねろりと厚い舌に吸いつかれ、とうとう小水をしょろろ……と漏らしてしまった。
「ふぅ……っ、ひ、も、も、やらぁ……」
情けなさと終わりの知れない快楽への恐ろしさに泣いていると、もにゅもにゅと乳房を揉み込まれた。あやすような、じわじわと熱を高めるような手つきがくすぐったくて、無意識に太腿を擦り合わせる。
「ん、んっ、ふぁ……ひゃあん!」
持ち上げた乳房の、ツンと張り詰めた乳首をかぷりと食まれた。歯先が乳輪に当たり、内側から這い出た舌がぬろぬろと乳首を舐め回す。
「はっ! あ、あ、おっ、んあぁ!」
きゅうきゅうと乳房の根元から絞るように揉みしだかれ、一際強く乳首を吸われる。
ぴぃんと胸の奥から先端まで突き抜けるような感覚が走った直後、わたしは幽霊の口腔に母乳を飛沫かせていた。
「へ……は……あぇ?」
呆然としたのも束の間、より熱烈にむしゃぶりついてきた男の口唇に責め立てられ、髪を振り乱して泣きじゃくった。
「あっ、あっ、ぃあ、や、まって、も、やめ、あんっ、ひぃ、んっ、おっ、うぉ、あぁッ!!」
甘ったるい乳臭さが鼻腔をくすぐる。
確かにわたしは母乳を分泌しているらしい。妊娠している訳でもないのにどうしてなどという疑問は、おそらく考えるだけ無駄だ。
母乳を噴き出しながら揉まれ続け、双乳は明らかにむっちりとサイズを増した。一回りとはいかなくとも、今までのブラは使い物にならなくなったに違いない。
ようやく解放された乳房は、てらてらと滑りながら桜色に染まって湯気を立てていた。真っ赤に腫れ上がった乳頭は白い雫を涙のように滴らせている。
ほぼ同時に下半身への呵責も止まり、わたしはぐったりと脱力した。
凄絶な快感の余韻に必死に耐えていると、スカートのホックが外された。
「え」
すとんと足元に滑り落ちる。
続いてブラの肩紐が解け、シャツの背中側からブラだけ引き抜かれた。
輪の形にわだかまったスカートの上にブラが放り投げられ、更に一気にずり下ろされたショーツがぱさりと落ちる。
わたしはぽかんと呆けた。
前方の車窓に、シャツの胸元をはだけて肉感的な乳房から母乳を垂れ流し、愛欲にひくつく秘部が丸出しのストッキングだけを穿いた女が映り込んでいた。
結んでいたはずの髪は乱れて黒々と濡れ光り、誰かの接吻を待ち焦がれているかのように勃ち上がった乳頭とぽってりと腫れた唇が赤々として艶めかしい。自分とは思えない痴態に眩暈がした。
濡れたシャツが纏わりつく背中をそっと撫でられる。腰のくびれを辿り、熱を孕んだ子宮の真上をさすられた。
腰を持ち上げられ、爪先が宙に浮く。
「あ――」
直後、露を帯びて開き切った小陰唇にぴとりと何かが押し当てられた。
指――ではない。
もっと太くて、長くて、冷たいのに焼けた鉄のように先端まで欲望を漲らせている、男の象徴。
性交の経験は、片手で数える程しかない。初体験に失敗し、その後も何度かトライしたものの、結局当時の恋人とは破局に至った。
人並みより経験は浅いが、これが何かは理解できる。わたしが何を望まれているのかも。
はくりと息を吐く。
腰を落とされ、ずどんと一気に突き立てられた。
「は――ひぐっ」
両足が跳ね上がる。どぷんっと乳房が弾んで母乳を撒き散らした。
ほとんど処女に等しい隘路を押し開かれ、逞しい切っ先は子宮口まで貫いている。
落雷に打たれたような快感(そう、快感なのだ。凄まじい衝撃なのに、間違いなく快感なのだ!)に、舌を突き出して口をぱくぱくさせるしかない。
ずんっ、ずんっ、と、激しく突き上げる律動が始まった。
吊り革に掴まっていられず両腕を投げ出しても落下せず、わたしは中空に留まっている。見えない男の無数の手に抱かれ、肢体を海老反りにしならせて媚乳を躍らせる。
「ひっ、ふぉ、あっ、んぐっ、あっ、ぉ、あ、あっあっ、あぁっ」
どちゅん、どちゅんと
荒々しい乳房の揺れすら快感の呼び水となり、陰茎を子宮口に叩きつけられば母乳が噴き上がり、潮の雨が散った。気が狂いそうな悦楽の波間で、ふと、このまま死ぬのだろうかと思った。
「はっ、あっ、あ――ぉ」
ずぷぷ、と陰茎が下がり……ずぽんっと子宮口を突き破った。
両目を見開いて息を詰める。膣がきゅうきゅうと咥え込む男根が膨れ上がり、刹那、胎内にびゅるるるッと大量の精液が溢れ返った。
「あ、あ、ひ、ぁっ――……」
凄絶を極めた快感に耐え切れず、意識がブラックアウトした。
……ごとん、ごとん……。
暗闇の向こうからレールの軋みが聞こえてくる。
――どれぐらい気を失っていたのだろうか。
「ん、ぅく」
泥のように重い瞼を抉じ開ける。ぼやけた視界に眉根を寄せると、ごつんと額が何かにぶつかった。
「え、ぁ、何?」
ぺたぺたと両手で探ると、それは車窓の窓ガラスだった。
いつの間にかストッキングの足の裏が床に着いている。わたしは乗降車用のドアに両手を突く姿勢で立っていた。
上手く膝に力が入らず、電車の揺れによろめいてしまう。シャツから飛び出した乳房がむにゅうっと窓ガラスに押し潰され、柔肉に沈み込んだ乳首からじゅわ……と白い露が滲み出した。
「あっ、んひっ」
ひんやりと固い窓ガラスに熱く熟れた乳頭部が擦れると、言い様のない痺れが腰から背骨を這い上がってくる。ぷるぷると内腿が震えて、孕んだ精液がたぷたぷと重く揺れる下腹部がいやらしく疼いた。
快感の細波に屈して膝をつきそうになった時、ぐりゅんと円を描くような動きで胎内を突き上げられた。
「おっふぉ!?」
仰け反って飛び上がる。
意識外だっただけで、ずっと挿入状態だったのだ。下腹部はみっちりと幽霊の陰茎で埋まり、そそり立つ切っ先がちゅぷちゅぷと子宮口を小突く。
「は、ひぃ、う、んっ、ひぁ」
体勢を崩さないよう腰に腕を回され、更に胸の下に潜り込んだ手が乳房を掬い上げるように揉みしだく。迫り出した双乳がぎゅむぎゅむと窓ガラスで押し潰される形になり、わたしは激しく喘いだ。
最初の猛攻が嘘のように、陰茎は小刻みに胎を突いてくる。
ゆるやかな抽送はわたしの全身を劣情で炙り、汗みずくの肌は水蜜桃のように赤らんでいた。
窓ガラスの向こうで、ずぶ濡れの女が腰をくねらせてよがり狂っている。恍惚と蕩けた顔はだらしなく舌を出し、窓の外へ媚乳を見せつけるように上半身を押しつけていた。
もしも外から車内を見たら、煌々と明かりに照らされたわたしの痴態が丸分かりだ。光一つない闇に誰かが潜んでいるような錯覚に陥り、両膝をかくかくと震わせて潮を迸らせた。
「はぁ、は、ふぁ………ひゃんっ!?」
緩慢な律動が催す生温い絶頂に揺蕩っていると、すっかり皮が捲れて膨らんだ陰核にぢゅうぅぅぅッと吸いつかれた。
陰核だけでなく、尻たぶを割り開かれて蟻の門渡りから肛門までねっとりと舌が這う。
更にヒップラインから太腿の裏側を通って膝裏の窪みまで。浮いた踵の下、足裏の土踏まずをねろねろと舐め回される。
陰毛の生え際をつつかれ、混ざり合った体液まみれの内腿をねちっこく舐られる。
「あ、ぃや、あ、あぁ」
固く閉じた肛門の蕾をほじくるように刺激されては堪らず、わたしはぶんぶん頭を振った。
結果、叱るようにぢゅうぢゅう陰核を吸い上げられただけで、両足から力が抜けて深々と剛直を咥え込む羽目になる。
「ひぎぃッ」
ここぞとばかりに重い一撃がごちゅんっと胎に突き立てられた。
背筋が外側に弧を描く。窓ガラスで圧迫され続けて真っ赤になった双乳がぶるんっと身震いし、甘い乳白色の雨を降らせた。
律動が激しさを取り戻し、陰茎が最奥を容赦なく連打する。糸が切れた操り人形のように四肢を揺すられながら、意味を成さない嬌音を発し続けた。
がくんと前方に倒れ込む。
ほとんどドアに上半身を預けるような姿勢になり、窓ガラスに置いた両腕の間で豊乳がひしゃげて息が苦しい。
たわんだ膨らみをぎゅむぎゅむと揉捻される。指の間から零れ落ちた乳輪がガラス面に擦りつけられ、薄い皮膚が引き伸ばされる痛みに気絶しそうになった。
「はっ、あひっ、はぁ――あ、んはぁッ!!」
突然ガラス面に開いた口が両方の乳頭部に食らいついた。
全く幽霊は便利な存在だ。乳輪ごとぬるつく口腔に押し込まれ、乳首を舌で包みながら一気に吸引される。
「いやぁぁぁ、ひっ、あひ、ぅあああ!」
舌や歯や粘膜を駆使して愛撫されながら、ぢゅッぢゅッと母乳を吸われ続ける感覚は発狂しそうなくらい強烈だった。
同時に下半身を舐め尽くされ、胎の奥底まで刺し貫かれるのだから逃げ場なんてない。ひたすら絶頂を駆け上がる。
「や、やら、もぃや、ゆるひ、お、おっぱ、おっぱぃこわれちゃ、あぁぁぁ!」
なんとかドアから離れようと両手を突っ張ると、乳首を噛んでぎゅっと引っ張られた。
車両の振動に合わせてぱつぱつに弾けそうな乳房がたわんで伸びて、下からずんっずんっと子宮口を突き上げられる。
乳房が伸び切る瞬間にぢゅるるっと母乳を吸い上げられ、より深く重い衝撃が胎を貫く。
「あひんっ! ぁめぇ、も、やめへっ、いぐ、いく、いっちゃうからあぁぁぁぁ!!」
体中が熱い。脳髄が沸騰する。絶え間ない快感の怒濤に呑まれ、何も考えられない。
陰茎を締めつける肉壁がきゅううううっと収縮する。
ずっぽんっ! と男の肉欲が再び胎内まで突き刺さった。
「ぁ」
ぴんっと両足が硬直し、首が落ちそうな勢いで上半身が反り返る。
乳房がぎゅうぎゅうと引っ張られ、乳輪を噛み潰し乳首を喉の奥まで咥えるように吸い込まれる。
「いぎ、ひぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
陰核にもむしゃぶりつかれ、わたしは鉄砲水のような勢いで母乳と潮を噴き上げた。
止めとばかりに、ずっどん! と剛直が深々と子宮を穿つ。
陰茎が凶悪なサイズまで肥大し、びゅくびゅくと音が聞こえてくるような勢いで吐精する。
滾るように凍みる精液が胎を満たしていく感覚に、母乳と潮が噴き零れ続けた。
ようやく射精が終わる頃には、わたしの腹部は身重のようにぽっこりと膨れ上がっていた。
ちゅぽんと乳首が解放された。
下半身から舌の感触は消えたが、陰茎が子宮の中へ捻じ込まれたままだ。ずるずると崩れ落ちた所を後ろから抱き上げられた。
「ん――ふぐっ」
自重で陰茎が深みを抉り、小刻みに体が跳ねる。
抱えられて移動する間、亀頭部でぐりぐりと子宮口を躙られた。剛直は萎むどころかますます固く膨らんでいく。
下ろされたのはドア近くの座席だった。視認できないが、座席に座ったらしい幽霊の上に尻が着地する。
目の前には金属製のポール。
座席に等間隔で設置された手すりだ。開いた両足の間にポールを挟み、両手が頭の上に来る位置で握るよう促される。
「え……?」
快感でふやけた頭に疑問符を浮かべていると、シャツの一番上の釦がぷつんと外れた。
ぐっしょり濡れたシャツを二の腕まで剥かれ、肩から乳房まですっかり顕になる。胸の下の釦は留まったままなので自然と双乳が上向き、ぬるつく谷間にすっぽりポールを挟み込んだ。
蕩けた膨らみとひんやりとした金属がこすれ合うだけで背筋が痺れる。思わず顎を反らした拍子にぶるっと乳房が跳ね、恥丘をポールに押しつける格好になった。
「ひぁんっ!」
陰茎と精液に押し上げられる下腹部からじゅくじゅくに熟れた陰核までポールが滑る。とっさに手を放そうとするが上からがっちり抑えこまれ、更には待ってましたとばかりにピストンが再開した。
「あっ、いゃ、まって、ふぁあっ!」
がつんと突き上げられてはポールで陰核を磨り潰されながら落下する。落ちた分だけより深く貫かれ、わたしは双乳を振り乱して泣き叫んだ。
ずっしりと母乳を漲らせた乳房が縦横無尽に跳ね回る衝撃も凄まじい快感となって襲いかかってきた。弾んでは母乳が飛沫き、ポールに当たってまた飛散する。
「ひ、ぅ……あひっ!?」
不意に左右の乳首を摘まれた。完全に両側から膨らみでポールを包み込む形で、きゅうッとまとめて握り込まれてしまう。
「いやッ、そんな、ぁ、あ、だめ、らめ、らめなのぉ!」
律動に合わせてきゅっきゅっとポールをパイズリする状態だ。ポールに押しつけるようにずんずん内側から突かれ、剥き出しの陰核を激しく摩擦される。
ポールに顔をぶつけそうになると、横向きに顎を掴まれて唇を貪られた。滑る舌が粘膜を撫で回し、愛しげにわたしの舌に絡みつく。
「んぐっ、ふ、ぉ、おひっ!?」
シャツが脱げて無防備な両腋をねろりと舐められた。
汗で蒸れた窪みを味わうように、くちゅくちゅ、ぬろぬろと舐め回される。あまりのくすぐったさに口を塞がれたまま悲鳴を上げる。
遠距離恋愛中の恋人に再会したような激しさで口腔を犯される。勢いを増す抽送に子宮が戦慄する。
冷えたポールが双乳に擦れ、陰核を躙られ、腋窩をしゃぶられ、わたしは短い失神を繰り返していた。ポールとの摩擦面は汗や母乳、愛液や潮や小水でしとどに潤み、滑りが良くなって律動を加速させる。
失神の狭間に対面の車窓が横目に見えた。
窓ガラスには、裸よりも淫乱な姿で腰を振り、みっともないポールダンスのような自慰に耽る女だけが映っている。
嗚呼――見られている。
わたしの痴態が余す所なく
びくッびくんッ! と体が大きく痙攣した。
絶頂の天辺まで引きずり上げられて意識が消失する。わたしを追いかけ、膣に食いつかれた陰茎が射精した。
どっぷどっぷと精液を注ぎ込まれる感覚に意識を揺り起こされる。びくっ、びくっ、と震えながら、わたしはポールに縋りついて女悦を浴び続けた。
とろりと糸を引いて幽霊の唇が離れていく。
両手の拘束が無くなり、不可視の男の腕の中に墜落する。
責め抜かれた乳首と陰核は空気に触れるだけで火傷したように疼き、甘ったるい女の蜜液をこぷこぷと溢している。
でっぷりと熟した双乳は呼吸に合わせて浮き沈みしながら、自重だけでふるふると揺れ動く。それに誘われたように冷たい掌が膨らみを下から包み込み、マッサージのようにゆるゆると媚肉を揉みしだいた。
「んっ、ひ……あふっ」
切ない快感が沸き起こり、わたしはきゅっと爪先を丸めた。
シャツの釦が全て外される。元のサイズよりとてつもなく豊かに実った乳房が転び出た。
「あっ、ぅ、おっぱ、やぁ……っ」
膨らみを捏ねながら幽霊の指先が乳輪を引っ掻く。乳首をくりくりと転がされ、同じリズムで陰茎が胎内を攪拌する。
わたしは両手で顔を覆い、いやいやと頭を振った。のたうつ体は自然と反り返り、愛撫を強請るように乳房を突き出す姿勢になってしまう。
乳輪と一緒くたに乳首を摘み上げられ、甲高く啼いて母乳を迸らせた。
「あ、あぁぁぁ――………」
子宮が煮えているみたいに熱い。決定打が訪れない律動は狂おしく女の本能を焼き焦がす。
不意に体勢が変わった。
ゆっくりと座面に押し倒される。片足が窓側の背凭れに乗り上げ、もう片足は床に落ちて、あられもないポーズになった。
斜め上の角度から、陰茎がぐぷぷ……と押し込まれた。
「あ―――っ、ひっ」
緩慢な動きで引き上がり、速度と力加減を保ったまま沈み込む。
正常位によるスローのピストンは、過激な快楽をすっかり教え込まれた体には狂おしいほど焦れったい。
抽送に合わせてやわやわと乳房を愛撫され、バードキスのような優しさでちゅくちゅくと母乳を吸われる。言葉にならない焦燥感が募り、切ない熱を燻らせて身悶える。
ちかちかと視界が白く明滅する。違う、違うの。もっと、もっと……。
「は、あ、ぁああ……ひんっ、ふ、うぅぅ……!」
高まるばかりで訪れない絶頂に、わたしは声を上げて泣きじゃくった。
「ちが、ちぁうのっ! もっと、つよく、乱暴でもいいからっ、もっともっと抱いてぇ!」
亀頭部まで引き抜かれ、一息に子宮口の奥まで穿つ。
「ひ――ぁ、はっ」
ごちゅんっ! と子宮の内壁に肉欲の先端が叩きつけられる。ごちゅっごちゅっごちゅっと切れ間ない刺突を打ち込まれ、わたしは双乳を弾ませて嬌声を響かせた。
「おっほ、あっ、いぃ、きもひ、気持ちいぃのぉ!」
指を絡めるように両手を押さえ込まれ、反射的にぎゅっと握り返す。
顎を掴まれて唇に噛みつかれた。両足を担ぎ上げられ、胎内を滅多刺しされる。
「んぷっ、ぁ、んぅ、くぅぅ!」
母乳を撒き散らしながら跳ね回る双乳を鷲掴まれた。痛みを覚える強さで乳首をしゃぶられ、濡れた裸身がのたうつ。
陰核をくりくりっと捏ねくり回されると、立て続けにカメラのフラッシュを浴びたように意識が飛んだり戻ったりする。愛液と潮と小水が混じり合った体液が生温く臀部を濡らし、床まで流れ落ちていく。
耳殻の窪みを、首筋を、赤らんで滑る谷間を、腋の下を、欲望を孕んで膨れた腹を、しなる背筋を、くねる腰を、打ち震える尻たぶの割れ目の奥を、内腿の筋を、ふくらはぎから足首を、足の指の一本一本を、土踏まずを、徹底的に舐られる。体の内側も外側も蹂躙され、侵略され、奪い尽くされる。
マラソンのラストスパートのように抽送が忙しなくなった。
じゅぷじゅぷと聴覚を犯されながら、わたしのものではない誰かの息遣いが聞こえた。
低い、男の、掠れ声が。
下腹部がひくっひくっと震える。
どずんッ! と、子宮口の深奥まで陰茎を突き立てられた。一拍空けて精液が胎内に溢れ返り、凄まじい量に接合部から漏れ出した。
吐精は暫くの間続いた。熱に浮かされたまま呆けていると、わたしにのしかかった幽霊が身震いするように腰を揺さぶった。
「あ、ぃひっ」
桜桃色にのぼせ上がった乳房がたぷたぷと波打つ。
淫らに揺れる乳房の動きをじっくりと観賞されながら、精液を出し切るまで穏やかな律動に苛まれた。
「や、あっ、も、ぃあっ、ふあぁぁ……っ」
ようやく止まった――と安堵したのも束の間、ぐるんと体を引っ繰り返された。もちろん挿入されたまま。
「ひぐっ!?」
長い座席の一番端、ドア脇の仕切りを兼ねた手すりを掴まされて座面に膝を立てる。
仕切りの上半分は支柱のポールがあるだけで、腰を後ろに引かれると、壁とポールの間から身を乗り出す前傾姿勢になる。Iカップに到底納まり切らない豊乳は、当然の如く外側へ飛び出した。
両手で手すりを掴んでいるせいで胸を強調する羽目になり、まるで色情魔のようなポーズに発狂しそうだ。はひはひと呼吸が逸れば逸るほど乳房は健気に上向いて紅潮し、尖った乳嘴から母乳がしとどに流れ落ちる。
つぅ……と、はちきれそうな膨らみを下から上へと舐められた。
「は、ぁ、んぁぁッ」
汗が溜まった麓から乳輪の縁まで舌が何往復もする。伝い落ちる母乳をちゅっちゅっと吸いながら、こそばゆい強さでひたすら愛撫される。
「ひぃ、ひっ! そんなぁ、んっ、んんんぅ!」
わたしは太腿をきつくこすり合わせ、くねくねと身を捩って悶絶した。
結果的に陰茎をいっそう咥え込み、ゆったりとしたピストンで煽られて両目を剥く。
「あ、ゃ、やら、やらやらぁ! め、んなぁ、らめひえぇ……っ」
呂律が回らない口で必死に慈悲を乞うても、許される筈もなく。
弓のようにしなった背筋をなぞられ、突っ張った尻たぶを柔々と揉み込まれる。割れ目を開かれて肛門の窄まりをくるくると撫で回さると、ひゃんひゃんと子犬みたいに啼くしかない。
すっかり伸びたストッキングの吊り紐をくいくいと引っ張られ、薄い布地と太腿の隙間に長い指がわざとらしく潜り込む。ささやかな悪戯すらもどかしい快感を生み、堪え切れなくなったわたしは泣いて懇願した。
「ぅお、おっぱいっ、おっぱぃちゅうちゅうしてよぉ! やさしくしなふていぃかりゃ、おなか、おく、いっぱいずんずんってひてぇ!」
つ――と這い上がってきた舌先が乳首に巻きついた。
「ふみゃ!?」
じゅるじゅると舌の上で乳首が転がる。唇が乳輪まですっぽりと押し包み、舌と口腔を使ってしゃぶられる。
「あっ、ぁ、あっ、んぃあぁぁぁぁッ」
待ち侘びた悦楽に感度は最高潮に達し、絶頂まで押し上げられた勢いで母乳が爆ぜた。
どずっ! と陰茎の切っ先が子宮の天井を貫いた。
「ひぎぁッ」
どずんっどずんっと獰猛な抽送が双乳を跳ね上がる。先っちょをしゃぶられながら重力と遠心力で乳房を揉みくちゃにされ、わたしは体をくねらせて咽び泣いた。
「はひっ、ぃく、いきゅ、いってるのにも、ぁ、いっちゃ……ぁぁあああっ!!」
媚肉の花弁が満開に咲いた秘裂から、ぷしゅあっ! と潮が噴き出した。
絶頂に砕けそうな腰に逞しい腕が巻きつき、逃げ出す隙も与えず剛直を胎の底まで叩き込む。
全身が瘧のように戦慄いた。
血管の筋を感じるほどいきり立った陰茎が内臓を押し上げ、ぶるるっと震えて爆発したように射精する。びゅ――っびゅっびゅっと精液が胎内に溢れ返る感覚に、わたしは声を詰まらせて気絶した。
ずるずるとへたり込むと、後ろから抱えるように体を支えられる。
耳元で男が荒い呼吸を繰り返している。抱擁に身を委ねて放心しながら、わたしは幽霊は最初から一体だけなのではないかと考えた。
手も口も無限に現れるが、よくよく思い返すとどれも同一人物のものだ。聞こえる声は一つ、胎内に埋まったままの陰茎も一つ。
ふと、ぼぉぉ……んと、くぐもったノイズが車内に流れた。
『……ァ……次ハ、ヒラサカァ……次ハァァ、ヒラサカ――……ォ、オォリノォ、方ハ、オ忘レ物ノナイヨォニィ、ゴ注意下サァイ――』
ぶつ、ぶつ、と途切れがちに、不気味なアナウンスがのったりと繰り返される。
『ゲ、現世ヘェ、オ戻リノオ客様ハァ……次ノヒラサカ駅ニテ、乗リ換エトナリマァス……降リタホォムノ反対側、一番ホームノデ、電車二オ乗リ下サイィィ……』
現世へ戻ると、確かに言った。
はっと我に返る。次の駅で電車を乗り換えれば、生きて帰れる!
胸の下に巻き付く腕に力が籠もる。
存在を主張するようにぐりぐりと陰茎を捩じ込まれ、両足がぴんっと突っ張った。
「ふ、んぁ!」
子宮を穿るように腰を揺さぶられる。放さないとばかりに抱き竦められると、快楽よりも絶望感と悲しみが打ち勝って涙が溢れた。
「ひ――うっ、うぅ……ひ、ん、あぁ……」
こんな時ですら悦びを覚えてしまう女體が恨めしい。
幽霊の腕に押し上げられた双乳はゆさゆさと縦に横によがりながら母乳を滴らせ、従順に陰茎を呑み込む胎はだらだらと涎を垂らして座面を濡らしている。自分の体の浅ましさに打ちのめされて、わたしは子供みたいに両手を顔に押し当てて嗚咽した。
……はぁ――っと、氷のように冷たい溜め息が首筋に落とされた。
びくっと震えると、項垂れた頭を優しく撫でられた。これまでにない仕草に戸惑い、おそるおそる肩越しに振り返ると接吻された。
透明な舌がちろりと唇を舐め、すぐに離れていく。ますます訳が分からず困惑するわたしに構わず、幽霊は肘の辺りにたぐまっていたシャツを伸ばして肩に掛けた。
見えない男の指が一番下から釦を一つずつ留めていく。元の大きさからサイズアップした乳房の下で引っ掛かり、何とか膨らみを押し込めようと試行錯誤したものの(その間、名残り惜しそうな手つきで揉まれたり乳首を弄り回されたりして身悶えた)、ほぼ丸出しの状態で諦めた。
腰を下から押されて立つように急かされる。慌てて近くのポールを掴んで踏ん張るが、立ち上がった拍子に挿入されっ放しの陰茎に子宮をつつかれて短い絶頂に何度も見舞われた。
「はっ、んぁ、あひっ」
ひくんひくんとわななく足を片方ずつ持ち上げられ、タイトスカートを穿かされる。
精液をたっぷり孕んだ腹が邪魔をして本来より高い位置でウエストのホックを留めるしかなく、ノーパンの尻たぶがギリギリ隠れる程のミニ丈になってしまった。
きちんとハイヒールを履かされたのにミルクを垂れ流す爆乳を曝け出し、ぴっちりとしたミニのタイトスカートの下にはストッキングの隙間からはみ出た生足がちらちらと覗いている。更に頭から爪先までねっとりと体液にまみれ、いやらしい事この上ない。
丸めたブラとショーツを押し込んだバッグを渡される。両手で手提げ紐を持つと、ぐんと体が浮いた。
「は――んぅ!」
横向きに抱き上げられても、相変わらず剛直は胎内に居座っている。電車の振動やわたし自身の身動ぎのせいで甘々と小突かれてしまい、男にしがみついて気を遣り続けた。
「あっ、やぁっ……やら、らめ、おにゃか、ちゅんちゅ、しちゃ、あ、あひぃんッ!」
時折ゆるゆると腰を揺すられ、陰茎に絡みつく膣の収縮につられて体が丸まる。引き寄せた腕の間で乳房がひしゃげ、磨り潰された乳首からぴゅくぴゅくと母乳が零れた。
ごとん……ごとん……と、レールの軋みが緩やかになっていく。電車が徐々に減速し始めたのだ――次の駅で停車する為に。
小刻みな抽送の間、鈴口からはこぷこぷと精液が零れ続けていた。断続的な絶頂をわたしのみならず男も味わっている最中らしく、呼吸が乱れている。
気持ち良いんだ、『彼』も。
下腹部が疼いて男根を思い切り締めつける。男が低く呻き、ぶるるっと腰を戦慄かせて吐精した。
「は、あぁ、ぁぁぁ………」
ひゅう、と、視界の端を白い光が走った。
暗闇だけが広がっていた車窓の外がぼんやりと明るい。
吊り革が電車の進行方向に振り切り、車両が揺れて停止した。
『ア、ァ、ヒラサカァ……ヒラサカァ……』
駅名を告げるアナウンスが流れると、目の前のドアがゆっくり開いた。
薄ら寒い夜風が吹き込んでくる。
ドアの向こうは無人のプラットホームだった。
鉄骨の柱に支えられた屋根に覆われてはいるものの、風に吹き曝しだ。『ひらさか』と書かれた駅名の看板の下に、古ぼけたベンチがぽつんと置かれている。
わたしは息を呑み、ホームを挟んだ反対側を凝視した。
電車が停まっている。いつも乗っている路線の車両に違いない。
「……あ」
早くしないとドアが閉まってしまう。呆然としていると、わたしを抱えたまま幽霊が動き出した。
ホームに降りた。そのまま反対側の電車へ真っ直ぐ向かっていく。
「ふ、ん、ぅんっ」
幽霊にも足があるのか、歩いているような腰の動きが接合部から伝わってくる。絶頂から脱し切らない体がぴくぴくと跳ねた。
ぴたりと男が止まった。
微かな吐息が耳朶を掠める。すっかり胎内に馴染んだ陰茎がずるる……と後退する。
「は、ぉ、ひぅ、あ、あぁ……」
膣の内壁をのったりと削られ、頭がくらくらした。陰茎が完全に引き抜かれると、栓を失った胎内からどぷどぷと精液が流れ出した。
太腿が冷たく濡れる。男の形にぽっかりと開いたままの秘裂から空っぽになった胎まで、喪失感に切なく疼く。
ハイヒールの爪先がゆっくり下ろされた。
現世行きの電車の、ドアの内側に。
「あ――」
ふらつく足でなんとか立つと、幽霊の手がするりと離れていく。
目の前には『彼』がいるはずなのに、誰もいない。がらんとしたホームを風が吹き抜けていく。
「ま、待って!」
声を上擦らせて引き留めると、指先でそっと頬に触られた。
「あ……あの……あ、ありがと、う」
上手く回らない舌でなんとか感謝を伝えると、くすりと笑う気配を感じた。
唇を塞がれる。
咄嗟に目を閉じると、舌を差し込まれて口腔を愛撫された。ひたすら愛おしむような、優しい触れ方だった。
ぷるるる――と、発車ベルが鳴り響く。
幽霊の唇が離れ、再び頬を撫でられた。
「こちらこそ」
腰に響くような、低い、男の人の声が囁いた。
「俺の我儘に付き合ってくれて、ありがとう」
「さようなら」
『ドアガァ、閉マリマァス……ドアガ、閉マリマァァス……ゴ注意下サァ、イ……』
ぷしゅう、とドアが閉まった。
わたしは窓ガラスに飛びついた。
窓の向こうに青白く揺らめく人影が立っていた。水面に映った影のように不安定で、背の高い男の人という事ぐらいしか分からない。
窓ガラスに置いた手に、ぼんやりとした手が重なった。見上げると、男の人が薄く微笑んでいる。
電車が滑り出した。
ホームに佇む人影が遠ざかる。『彼』の姿をよく見ようと窓ガラスに顔を寄せたわたしは、ぎょっとした。
反対側の電車は最後尾の車両だけ明かりが点り、前の車両から先は真っ暗だ。わたしが『彼』と乗り合わせたのは最後尾の車両だったのだ。
電車は前方へ行けば行くほど闇に呑まれ、先頭車両近くは車体すら視認できない。
でも――乗客がいた。
「ひっ」
最後尾より一つ前の車両、車内の様子がぼんやりと浮かび上がる。
蠢く影がひしめき合い、青白い手形や人面が幾つも窓ガラスに張りついていた。あの世へ行く亡者の満員電車だ。
無数の影の奥に一人だけ、女性がいた。
明らかに生きた人間だと分かった。わたしと同じ年頃の女性は衣服を剥かれ、乳房や局部を丸出しにして亡者達に犯されていた。
群がる影に埋もれ、仰向けの姿勢で乱暴に揺さぶられている。
限界まで開かれた両足の間、亡者の剛直を突き立てられた陰裂と肛門。四方から伸びる手にいたぶられ、痛々しく腫れ上がった乳房。
泣き叫ぶ口にまで男根を突っ込まれると、白目を剥いて女體をしならせた。
現世行きの電車がひらさか駅のホームを抜け、女性を乗せた異界行きの電車が暗闇に消える。わたしはへなへなと座り込んだ。
「あの人……連れて行かれちゃった?」
疑問を口にしながらも、恐ろしい確信があった。
もしかしたら、他の車両にも同じように亡者達の道連れにされた女性が乗っていたのかもしれない。
前方の車両が闇に呑まれていたのは、後方よりもあの世に近づいてしまったからだろうか。先頭車両から段々と異界に引き摺り込まれ、乗客の女性は亡者達の餌食に――。
たまたま最後尾の車両に乗っていたわたしは、亡者達に見つかる前に『彼』に助けられたのだ。『彼』に与えられた快楽を忘れられず涎のように母乳を垂らす乳房を抱き締め、わたしは身を震わせた。
ごとん、ごとん……と車両の振動に揺られていると、強烈な眠気に襲われた。
「う……」
瞼が開けていられず、視界が暗く狭まっていく。ドアに凭れかかって、ずるずると倒れ込んだ。
――そういえば、散々中出しされてしまったけれど、幽霊が相手なら避妊の必要はない?
そんな事を考えながら、わたしの意識は眠りの淵に沈んでいった。
どうやら、幽霊が相手でも避妊は徹底しなければならなかったらしい。
陽性という結果を示す妊娠検査薬を手に、わたしは溜め息を吐いた。
あの後、わたしはいつも乗っている路線の終着駅で早朝のホームに倒れている所を発見された。
一週間以上行方不明になっていたらしく、家族から捜索願が出されていた。発見時に精液まみれのあられもない姿だった為に暴行目的の連れ去りに遭ったのだろうと判断され、警察で事情聴取を受けた。
母親に付き添われて女性警察官からあれこれ質問されたが、まさか身に起きた出来事をありのまま伝える訳にもいかない。とても怖い思いをしたが細部はよく憶えていない、助けてくれた人がいて帰ってこられた……と口ごもりながら説明すると、母親は泣きながらわたしを抱き締め、女性警察官は痛ましそうに「無事に戻ってこられて良かったですね」と言って調書を閉じた。
事情聴取の際、わたし以外にも同じ路線を使っていた女性が何人も消息を絶っていると聞かされた。心当たりはないかと尋ねられたが、迷った末に何も分からないと首を横に振った。
たぶん……彼女達は永遠に見つからない。
結局、わたしが希望しなかったので被害届は出さずに終わった。
心配した家族からは実家に戻ってくるように言われたが、のらりくらりと躱して独り住まいのマンションへ帰った。
いつ仕事に復帰できるのかと上司から再三連絡が来たが、医師の診断書を提出すると渋々休職を認めた。休職ついでに溜まりに溜まった有給を消化しながら、転職の準備を進める算段だった。
現世に戻ってきてから、憑き物が落ちたみたいに今の仕事への未練が無くなった。せっかく命拾いをしたのに、セクハラ同然で人を馬鹿にしてくる同僚や上司の顔色を伺いながら残業で摩耗し続ける生活に戻る必要がどこにあるの?
転職活動を始めようとした矢先、体調に違和感を覚えた。
生理も来ていない。もしやと思って調べてみたら……案の定、妊娠していた。
間違いなく『彼』の子供だ。
幽霊が父親なんて理屈が謎だが、とんでもない置き土産を貰ってしまった。
まだ膨らみらしい膨らみも見当たらない腹を撫でる。
この子の存在が知った周囲の反応は考えるまでもない。ましてや、産みたいなんて言ったら――。
「よし、引っ越そう」
この街からも実家からも離れた、シングルマザーでも子育てしやすい土地を見つけて移り住もう。
有給を消化し切ったら退職して、当面は貯金と失業手当でなんとか乗り切ればいい。
生きている限り『彼』に会える事は二度と無いだろうけれど、この子がいれば寂しくない。
「お父さんの分まで、お母さん頑張るからね」
実は、わたしは『彼』と再会する事になるのだが――それはまた別の話。