京都弁が分からなすぎて投げたものの供養
さて。まあ、どうしようもなく暇なこと。
などと申しておりますと、やれ金持ちの嫌味だとか、これだから上級国民は品がないとか。色々言われて方々からお叱りを受けそうではあるけれど。結局のところ、どう言い繕ったところで暇なものは暇なのよ。
そもそも『楽しい』が何かと言えば、結局のところは非日常性なわけ。魔法が使えたらいいなとか、もしも世界がゾンビで溢れたらどうしよう、とか。或いは、私もあんなイケメンに縋りつかれたい袖にしたい、俺も美少女を侍らせて毎晩日替わりでアンアンしたい。そんな感じのものだって。
これらは全て、あり得ないからこそ甘美で愛しい。実のところ、魔法が日常の世界でハリー・ポッターが流行るかしら?ゾンビが日常の世界で、誰がわざわざゾンビアポカリプスを書く?人間誰しもが好きな異性を取っ替え引っ替えできるなら、小説なんかを読む時間は無いわね?
全く総てはそんなもの。だから、誰がなんと言おうと。日本有数の資産家家系に産まれ、何一つ不自由なく生きて来たとて。一度それが日常になってしまえばまことにつまらないものなのよ。ええ、本当にね。人の欲望と言うのは底知れずだから。満ち足りるなんてことはない。結局のところは次を求める。
それに、お金で買える刺激だって有限だもの。特にウチはお父様が厳しいお方だからなおさら。政略結婚なんて時世でも無い今上の御代に、家督を継ぐ未来もない次女へ与えるお金だなんて。たかが知れているものよ。
……まあ、とは言っても。下手に言ったら、コレがイヤミになってしまうくらいには貰っているのだけれど。家格ってやつかしら?娘に貧相な生活をさせたら威厳ってものが無くなるのでしょうね。ただ、長兄様とは桁が幾らか違うと言うだけ。
ふふっ。まあ、だからこそ。ウチから借りたお金で事業に失敗した人のお家より、
その、奉公に出されたという可哀想な娘さんは、寺島日奈子と言うお名前。私の住む屋敷の近場にある大学へ通っておられて、つまり、私より幾らか年上ね。
わざわざこちらに送られてきたのは、何故かしら。それは単純。本家や兄様、姉様方は京都に住んでおられるものだから。都合の良いことに使用人を連れて東京に移っている跳ねっ返りの末っ子へ白羽の矢が立てられた、と言うだけのこと。
もちろん、奉公だなんて言うと世間体が悪いから一応は住み込みの家庭教師って事になっているけれど。まあ、とは言え、教えてもらうと言ったとて。わざわざ大学生に教えて頂かなくても、既にその道のプロが付いて下さっているもの。
その実はまあ言うまでもなく、借金の形。夜逃げしたらどうなるか分かってるわよねって言う脅しみたいな感じ?まあその代わり、日奈子ちゃんの生活費と学費はウチが面倒見てあげるんだから、そう悪い話じゃないと思うけどね。
……って言うのは、強者の理屈かしら。ふふ。
⚪︎⚪︎
「日奈子。」
座椅子に深く座したまま。彼女を呼ぶと、幾らも間を置かずに襖が開いた。上品な足音。育ちの良さの伺える、控えめに井草の擦れる音がして。間もなく彼女は私の前に立つ。
「参りました。」
そう言うと、恐る恐ると肩幅くらいに足を開け、両手を後ろに。彼女はそのまま軽く胸を反らした。
良い景色ですこと。私のお古のスクール水着が実に良く映えている。口煩いお父様の吝嗇趣味に合わせておいて良かったと、これほど思ったことはない。ふふっ。中学の頃に着ていたものだけど、胸のサイズ以外はピッタリ。わざわざ襖の奥から掘り返してきた甲斐があったわ。
上から下までゆっくり眺めると、日奈子は居心地の悪そうに体を揺すり、堪らずといったように顔を背けた。……手で隠さなくなったのは偉いけれども。もう十日ほどになるというのに、まだ慣れないのか、顔は隅まで桜色に染まっておられる。地が雪のように真っ白だから紅潮してもなお白みが取れていないのだろう。その白さがまた、彼女に注がれた親の愛というのをこの上なく物語っていて、何ともそそられた。
「日奈子。もっとこちらへ。」
「……はい。」
「座って。私の膝の上に。……そうそう。ふふふ。こないにすると、まるでお人形さんみたいね。いい子いい子。」
私が女の割に無闇に大きい、と言うのもあるけれど。それにしたって小さい彼女はすっぽりと私の膝上におさまって、ちょうど撫でやすい位置に頭が来る。私の黒髪とは対をなすように色素の薄い髪。茶髪と言うか金髪と言うかは人によるかしら。それを、梳くように撫でてやる。
日奈子は些か戸惑いながらも、強張った体を休め、そのまま私に委ねた。ずっしりと体重が寄りかかる。
「……お人形に、スクール水着を着せる人がありますか。」
「あら。次兄様のお部屋にはそないなお人形さんが沢山おられますわよ?」
「そう言う話ではなくっ、うっ……」
言葉尻が跳ねる。背後より、左手で、今にもはみ出しそうな乳の下側を撫でてやると、彼女はくぐもったような声を漏らした。細い体が膝の上でむず痒そうに悶えている。あらあら、敏感だこと。
「やわこいわ。流石日奈子。」
「……お嬢様の、お陰様ですわ。」
「あら、よそよそしい。私のことは千夏で宜しいと言うに。」
「いいえ。お嬢様。わたくしは貴女の家庭教師ですもの。一線は必要かと心得ます、わ……っ!」
「そうねえ。」
人差し指を下から上になぞらせる。スクール水着の縫い目に沿って上がっていくと、山頂のあたりで私の指は支障物に触り、歩みを止めた。力を込めて無理に押し通ると言うのも野暮だから、手慰みにその周りをくるくると回る。
「あっ……」
目の前で、彼女のうなじを一条の汗が伝った。
「一線。そうやね、何事も境は必要ですもの。先生の仰られることはなんでも正しい。」
「……お分かりいただけたら、よろしいです。」
「ええ。これでも私は優等生で通っておりますゆえに。先生の仰られることならば、何でも喜んでお聞き致しましょう。」
「あら、そうなんですの。聞き分けのよろしい生徒を持てて光栄の限りです。」
それきり言葉は絶え、暖房の音と、水着の布が擦れる音ばかりが聞こえた。ややあって、その無機質極まる音の中に甘くて蕩けるような女の声が混じる。
微かに、日奈子の尻が揺れた。彼女の癖だ。我慢をする時は常に重心が右へ寄る。だから左の尻が徐々に浮かび、身体が右に傾く。
左を捏ねても右をつねっても、偏るのはいつも右。それでいて文字は左だと言うから面白い。何か法則はあるのか、或いはそもそも、右に偏るのではなく左を浮かしているのか。
愚にもつかぬものをつらつらと考えていると、徐に日奈子の手がそっと私の左手に伸びかけ、触れることなく、ふいと膝の上に戻された。
真っ赤に染まる耳元へ口を近づける。私が動いたのに合わせ、彼女は逃げるように頭部を揺らした。
「先生。確かに、私と貴女は所詮ただの生徒と教師。仰られてはるように、何処かで線を引くのは必要なことかと存じますわ。」
「……ええっ。そうですわね。」
「ええ、ええ。ですけれども、ここは我が家の奥座敷。壁に耳あり障子に目ありとは言わはりましても、人払いも済んでおりますし、無粋な人目など一つもございません。」
「そう、なのでしょうね。……ここの使用人がいかほどの方々かは、ここに来てより身をもって知りましたもの。私が泣けど叫べど、人目は何処にも無いのでしょうね。」
「もちろんですとも。……それに、先生。先ほども申し上げましたけれど、私は優等生で通っていますよって。貴女の仰られる事なら、如何様なことでもして見せる所存でございます。」
日奈子が大きく深く、息をする。既に身体は崩れきっており、私が支えていなければこのまま崩れ落ちるような儚い有様。
彼女は上気した顔でこちらを見上げた。正面からそれを見つめ返すと、彼女は幾許かのあいだ瞳を揺らし、終いにはふいっと俯いてしまう。戯れに脇腹を撫でてやるとぞわぞわと体を揺らし、ややあって力なく溢した。
「……好きに、おしなさい。」
その言葉を以て、彼女は全てを私に委ねる。重心の偏りが無くなり、私の指が動くに合わせてむず痒そうに上体を反らす。
私の右手が肩紐に伸びるのを、彼女は黙って見ていた。
紐を下ろせばそれまで無理に押し込められていた乳房が漸くと言わんばかりにまろび出る。汗で湿気た肌をそっと両手で鷲掴むと、今までにないほど小さい体が震えた。ゆっくり、ゆっくりと手を動かすに合わせ、焦ったいとばかりに小さく揺れる彼女の体をいなしながら、私は囁く。
「先生、如何しますか。」
「……い、いかが、というのは?」
「分かるでしょう。何処までなさいます。」
「……っ、そちらこそ、分かるでしょうっ……!」
日奈子は私の胸に頭を預け、もどかしそうに腰を擦りながら叫ぶ。
「好きに……好きにしたら、良いじゃないですの……!」
「いえ、いえ。私も所謂Z世代と呼ばれるものですから。指示がないと動けませんわ。」
「っ、はあっ……嫌味な……。」
目の前でパッと両手を話すと、彼女は恨めしげに私の指先を視線で追い、口を噛みしめた。そして惨めなほど硬く屹立した自らの乳首を見下ろすと、精一杯胸を反らして私の視界に入れてくる。その、いじましい努力を讃え、頭を撫でてやったら、日奈子は怒ったようにこつんと頭をぶつけて来た。
「……ふぅーっ……」
大きく深いため息を吐く。悩んでおられる。可愛らしい。
そのまま。無言のうちに数度彼女の手が胸に伸びそうになり、その度に脇腹を突いてやると日奈子は甲高い声で鳴いた。
いじわる。でも、あるのだけれど。
実のところ、これは私と彼女の間に結ばれたとある締約による、正当な行為でもあるのよね。
それを結んだのは日奈子が私の屋敷に来てより3日目のこと。抱き枕にでもしてやろうかと寝所に呼んでみたら、さっきまでお風呂に入ってたんじゃないかってくらいにホカホカで石鹸の匂いを漂わせた彼女が現れて。そのまま、鼻血を噴いて斃れるのではないかと思うくらいに顔を赤くし、言ったのだ。
「……わ、わわっ、わたくしっ……そ、そのっ……。……い、いわゆる……『おぼこ』、なんです……」
布団に手招きする私の前で両の手をつき、深々と座礼して、蚊の鳴くような声で言った彼女の姿を私は今でも鮮明に覚えている。その後の、爆笑する私を恥ずかしそうに涙を浮かべながらぽこぽこと叩く彼女の姿も。だって、おぼこよ、おぼこ。今日日そんな言い方をなされるのは、ロシアをソビエトって言うお人より少ないんじゃないかしら。
文学部の所属だって言うけれど、それが原因?いやさ、彼女の父君が主因やも。確か日奈子の実家はITバブルで急成長した、典型的なお金持ち。本に嫌なこと。歴史のない人ほどそう言うのを矢鱈に気になさる。
私のお父様だって、そう。応仁以降、戦乱の世に滑り込んだ成り上がりって言われるのが余程嫌みたいで。何でもかんでも古臭くて面倒なことばっかりするのよねえ。
日奈子の家も、そうだったのかしらね。
とかくに。つまり彼女は、「そっちはやめて」と言ったわけ。まあ、そこで無理矢理というのもそれはそれで乙なものだけど。せっかく可愛く強請られたのだし、そう言う縛りを入れても面白そうじゃない?
そう思ったから、私はその場で彼女と一つの約定を交わした。
『私が触れるのは、彼女の胸に限定する。その代わりに、貴女は絶対に自分を慰めない。』
そんな約定。まあ、随分あちらが不利なものだと思うけど。あの日の日奈子は随分と安堵しておられた。ボンボンのガキなんかに何が出来るとたかを括っていたのか、それとも、あんまり自分は性欲が無いと思っていたのか。
後者でしょうねえ、たぶん。典型的な箱入りですもの。ふふっ。それが今や、何日も焦らされ続けてこのありさまだけれど。
などと考えているうちに、ぽこ、と私の手に頭突きが喰らわされ、現実を思い出した。日奈子はそろそろ限界が近いようで、息が興奮した獣のように荒ぶっている。ふふ。妙に律儀なところも愛らしい。トイレの中とか大学でさっさと済ませてしまえば、ここまで無様を晒すことは無かったでしょうに。
「どうしました、先生。」
「……っ、好きにおし、と、言ったでしょう。」
「ええ、はい。」
「ぐっ……も、もう、良いですわ……めちゃくちゃにして、くださいな。」
「はい?要件の定義が明確ではございませんね。」
「……もうやだ。ほんとうに、ほんとうにイヤな人。」
彼女はまた、幾らか荒い息をして。それから間もなくなげっぱちに吐き捨てた。
「果てさせて、くださいまし。」
それを合図に無防備な乳房をわし掴みにすると、日奈子は甲高い嬌声をあげた。
「漸く、素直になられましたね。」
「っはっ……」
「ふふっ、先生がこちらに参られまして、本日で十日。あの約定を結んでより、一週間ですか。ちょうどきりの良い日にちですわね。」
「あっ……」
耳元で囁いても、反応がない。あらあら。与えられる快楽に、じっと集中しておられるらしい。無視されるだなんて悲嘆の極み。私、拗ねてしまいます。ええ、けれども、優等生でございますから。散々焦らしたのですし今ばかりは気持ちよく果てて頂いても宜しいでしょう。
硬く熱い乳首を摘まみ、転がすと、彼女は痙攣するように上体を反らすし、倒れないよう必死に私の両手を掴む。ふふふ。ここで止めてみたらどのようなお顔をなさるのかは酷く興味が引かれますけれど、これ以上は嫌われてしまいそうですので。ここはじっと我慢。
「あっ、やぁっ、お嬢様っ……私っ……」
「千夏、とお呼びしてくれても宜しいのですよ。」
「やぁっ、あ、もう無理、無理です……!」
「頑なですわねぇ。」
もう。そこまで嫌かしら。まぁ宜しいですわ。今日はひとまず素直にさせたことで目的は達した、と致しましょう。
「あっ……づぁっ、ぐぅ……っ!」
トドメに、日奈子の頭を私の胸に抱きながら乳首を弾いてやると、彼女は最後に大きく大きく体を痙攣させて、そのまま私の体へ崩れ落ちました。それを支え、再び膝の上に座らせます。そして頭を撫でてやっていると、今更ながら年下に弄ばれた羞恥を思い出したのか、これより更に顔を赤くして両手で顔を覆ってしまわれる。
「ふふっ。本当に愛らしい人。」
とは言え、頭を撫でるのを辞めてみれば、ねだるように体を揺するのだから可愛らしい。そんな彼女を私はギュッと抱きしめて、そのまま座椅子に体を埋めた。
さてはて。次は何をして差し上げましょうか。