原作:ヴィジランテ-僕のヒーローアカデミア ILLEGALS-
タグ:R-18 僕のヒーローアカデミア ヴィジランテ-僕のヒーローアカデミア ILLEGALS- ヴィジランテ ポップ☆ステップ
暖かい目で見てください
「ハーイ お兄さん!」
「ポップたん……!」
アイドルとして完璧な笑顔を貼り付けながら、ポップステップ──羽根山和歩の内心は絶叫していた。
(なんで……なんであたし、こんなことしてんのよォ……)
彼女の眼前に鎮座しているのは、人間のファンではない。
いや、元は人間だったのかもしれないが今の姿はどう見てもウナギの怪物だ。
光沢を放つ、巨大なウナギの化け物。
それが、今日のふたりだけの握手会の相手だった。
コトの発端は、ほんの数十分前に遡る……。
いつものように街の一角でゲリラライブを敢行した時、突如として巨大なウナギが出没して暴れ出したのだ。
『ひぃ~~!しつこすぎ!』
安全圏へ避難しようとしていた和歩のスマホにコーイチから必死の連絡が入ったのはその時だ。
聞けばこのウナギヴィランの正体は、ポップステップの熱狂的なファンの一人だというではないか。
彼の望みは単純明快――ポップステップと握手がしたい。
ただそれだけ……。
『彼、君と握手したいんだって。望みが叶えば満足するかもしれないし……』
回想を振り払い、ポップステップは目の前の異形を見上げる。
怪物はポップを見つめていた。
「お兄さん、すっごく情熱的ね。あたし……感動しちゃった」
あえて甘ったるい声色を作り、ウナギに見せつけるように身体をくねらせる。
ぴっちりとしたボディスーツが、しなやかな肢体のラインを強調して艶めかしく光った。
健康的な太ももを惜しげもなく晒してポーズを決める。
「だから……今日は特別に……ふたりだけの握手会……なんてね☆」
ウインク一つ飛ばして、和歩はゆっくりと右手を差し出した。
心の中では、滝のような冷や汗を流しながら。
「あッあッ 握手……!」
ウナギ──もとい、ウナギ姿のファンがおっかなびっくり手を差し出してくる。
ポップステップはアイドルスマイルを崩さないまま、手に自分の手を重ねた。
ねちょっ……ぬちゃ……。
「うッ……!」
(な、なにこれぇぇぇ……!?)
瞬間、手のひらに伝わる強烈な不快感にポップステップの表情がピクリと引きつる。
大量のローションを入れたバケツに手を突っ込んだみたいな、いや、もっと生々しくて温かい生き物の粘液の感触。
指の間にもヌルリとした半透明の液体が侵入してきて、手を握っているというより粘液に包まれているような感覚だ。
(あたしはアイドル……あたしはアイドル……そしてこの人は、とっても熱心なファン……)
心の中で必死に呪文を唱え、湧き上が感情をねじ伏せる。
生理的嫌悪感とプロ根性が脳内で殴り合いをしている最中、ふと彼女はおそるおそるウナギの顔を見上げた。
「…」
目の前のウナギは、どこか夢見心地な瞳でポップステップを見つめている。
さっきまで暴れまわっていた凶暴性はどこへやら、今はご主人様に褒められた大型犬のように大人しい。
つぶらな瞳には、純粋な憧れの色だけが浮かんでいた。
(……あれ?なんか……意外と可愛い?)
よく見れば、デザイン自体はそこまで悪くない気もしてくる。
愛嬌があるというか、ゆるキャラにいなくもない顔立ちだ。
巨大なぬいぐるみがヌルヌルしているだけと思えば、まあ、許容範囲……かもしれない?
それに何より、こんな姿になってまで自分に会いたがってくれたという事実は……アイドルとしての承認欲求を少しだけくすぐる。
(……ま、いっか。 こんな姿になってまで会いに来てくれたわけだし?)
握手だけで済ませるつもりだったけれど、目の前でプルプル震えて感動しているウナギを見ていると、なんだかもう少しだけサービスしてあげてもいい気になってくる。
それにここでガツンと満足させてあげたほうが、彼も早く正気に戻って人間に戻れるかもしれない。
これは人助け。あくまで人助けだ。
「……しょうがないなぁ。ほら、もっとこっち来て?」
「ポッ、ポップたん……!?」
「特別にハグしてあげる……♪」
おどけたように小首を傾げて手招きすると、ポップステップは自分からぬめる巨体へと覚悟を決めて飛び込んだ。
最初に触れたのは胸だった。
むにゅ……
「──ッ」
ボディスーツ越しに、冷たくてぬるついた感触が胸の先端に触れた瞬間、ゾクリと背筋が震える。
ウナギの体表を覆う粘液が、薄い布地を容赦なく濡らし、乳首の形までくっきりと浮かび上がらせる。
(つめたっ……!?)
次にお腹が密着した。
ぬぷ……むぎゅ……
「ん、ぅ……」
ウナギの弾力ある胴体が、ポップステップの柔らかな腹部にめり込んでくる。
冷たかったはずの粘液が、密着した瞬間から体温で温められていく。
ひんやりとした不快感が、じわじわと生暖かい気持ち悪さへと変わっていく。
そして──太ももが触れた。
「あ……」
露出した太ももの内側に、ウナギのヌルヌルとした肌が直接擦りつけられる。
自分の肌が、一瞬でヌルヌルに塗り替えられていく感覚。
密着すればするほど、足の付け根の際どい場所まで粘液が這い上がってきて──
(うわ、やっぱり凄っ……! 服、ベタベタになりそう……っていうか、もうなってる……!)
内心で後悔しつつも、営業スマイルは崩さない。
それどころか、わざとらしいくらいに明るい声で囁いた。
腕を回して、ウナギの太い胴体をぎゅーっと抱きしめる。
ポップステップのバストが、ウナギの弾力ある肌にむにゅりと押し潰された。
柔らかな胸の膨らみが変形し、ボディスーツの生地が限界まで引き伸ばされる。
むにゅ……ぐにゅ……
粘液が胸の谷間に入り込み、衣装の中で肌に直接触れ始めた。
(あ……中まで、入ってきてる……!?)
その瞬間、ウナギの全身がビクン! と大きく跳ねた。
「──ッ!? ポ、ポップたんの……柔らかい……イイ匂い……ッ!♡」
「え? ちょっと……?」
ウナギの濁った瞳孔が、カッと見開かれる。
憧れのアイドルと密着した興奮。
直に伝わる胸の感触。
鼻腔をくすぐる、女の子特有の甘い香り。
それらが化学反応を起こし、ウナギの中の何かがプツンと切れた。
「ポップたぁん!♡ ポップたぁんッ!!♡」
「きゃっ!?」
ズズズズッ……!!
興奮が抑えきれなくなったウナギの体が意思を持つ蛇のように蠢きだした。
抱きついていたはずのポップステップの体に、逆に覆いかぶさるようにして巻き付いてくる。
「ちょ、まって、苦し──っ!?」
巨大なウナギの長い身体が、にゅるりと音を立ててポップステップの華奢な肢体に絡みついた。
逃がさないと言わんばかりの強い束縛。
「んぐっ……!? ちょ、ちょっと締めすぎだってばぁ……!」
ポップステップは必死に身をよじったが、ヌルヌルとした粘液が潤滑油になって、ツルツルと滑るばかりで逃げられない。
それどころか、暴れれば暴れるほどウナギの体はきつく巻き付き、バストや柔らかなお腹にめり込んでいく。
完全に蛇に睨まれたカエル、いや、ウナギに巻かれたアイドル状態だ。
(うそ、抜けない!? 本気で力強いんだけど……!)
焦るポップステップの目の前に、ウナギの巨大な顔がぬっと近づいてきた。
至近距離で見ると、瞳は相変わらずトロトロに潤んでいて、熱っぽい吐息が顔にかかる。
「ポップたん……チュウ……して……?」
「はぁっ!? キ、キス……!?」
予想外の要求に、ポップステップの声が裏返った。
ハグまではファンサービスの範疇かもしれない。
でも、キスはさすがにアウトだ。アイドル的にも、乙女的にも。
「む、無理無理無理! アイドルは恋愛禁止なの! キスなんてできるわけないでしょ!?」
「チュウ……したい……ポップたんと……チュウ……」
ウナギは聞く耳を持たない。
悲しげに眉(?)を下げ、今にも泣き出しそうな顔でじっと見つめてくる。
同時に、体に巻き付いた強烈な締め付けが、ギリリと強まった。
こんな必死な目で見つめられると、なんだか断っている自分が悪いことをしているような気分になってくる……。
(……くっ、もうっ! 減るもんじゃないし……!)
「……わ、わかった! わかったから!」
ポップステップは半ばヤケクソ気味に叫んだ。
ウナギの顔がパァッと輝く。
「その代わり! ほんとに一回だけよ!? 軽くチュッてするだけだからね!」
「うん……! チュウ……!」
ウナギが期待に胸を膨らませて(?)顔を寄せてくる。
逃げ場のないポップステップは、覚悟を決めてぎゅっと目を閉じた。
「……んッ」
震える睫毛。
恥ずかしさに朱に染まる頬。
ピンク色の艶やかな唇が、おねだりするようにちゅっと突き出される。
路地裏の薄暗がりでも分かるほど無防備で、誘うようなキス顔。
(ううぅ……あたしのファーストキスの相手がウナギになっちゃったぁ……)
内心で泣き言を漏らしながらも、彼女は訪れる感触を待った。
間近に迫る生臭い吐息。
そしてついに、ヌルリとした湿った感触が、その可憐な唇に押し付けられた。
「ん……?」
軽く触れるだけの、挨拶みたいなキス。
そのはずだった。
いや、そうだと信じていた。
「んむッ、ちゅ……んぐッ……!?」
唇が触れ合った瞬間、ヌルリとした生暖かい肉塊が、強引にこじ開けられた歯列の間から雪崩れ込んできた。
舌だ。
それも、人間のものとは比べ物にならないほど太く、長く、圧倒的に粘り気を帯びた異形の舌。
(うそ、入って……!? んぐ、んむぅーッ!?♡)
「ジュルッ、ジュルルッ……! ベロォ……ッ!♡」
ウナギの舌がポップステップの口内で暴れ回る。
逃げる舌を捕まえ、絡め取り、あろうことか喉の奥まで探るように深く突き入れられる。
口の中がウナギ特有の生臭さと、謎の甘い粘液で満たされていく。
息ができない。変な味がする。
なのに、唾液と粘液が混ざり合う水音が、頭が痺れるほどいやらしく響いてくる。
「ぷはッ……! はぁ、はぁ……ちょっと、なにして……!」
酸欠寸前で解放され、糸を引く唇を拭う暇もなかった。
一度味を占めたウナギの興奮は、もう誰にも止められない。
「ポップたん……あまい……おいしい……!♡」
「ひゃッ!? や、顔はだめ……!」
ベロンッ!♡
今度は顔面にダイブするように、ウナギの舌が襲いかかってきた。
頬を、瞼を、おでこを、粘液まみれの舌がワイパーのように舐め回す。
ばっちりキメたアイメイクも、ファンデーションも、すべてドロドロのヌルヌルに塗り替えられていく。
「いやぁ……! ベタベタ……前、見えないぃ……!」
視界が粘液で塞がれ、恐怖と混乱でパニックになるポップステップ。
そんな彼女の無防備な耳元に、濡れた音が近づく。
「──ッ!? ひゃうんッ!?♡」
耳朶を甘噛みされたかと思うと、太い舌先がねじ込むように耳の穴へと侵入してきた。
(ジュルッ……ヂュプ……ニチャ、ネチョ……♡)
「あ、あ゛……!? うそ、耳……耳はやだぁ……ッ!」
「あたま……頭の中まで舐められてる感じ……ぞくぞくするぅ……ッ!♡」
鼓膜のすぐそばで鳴り響く、粘着質な水音。
脳みそを直接揺さぶられるような強烈な快感が、脊髄を駆け抜ける。
思考が溶ける。
抵抗しようとしていた腕から力が抜け、だらりと垂れ下がった。
(考えが、まとまらない……気持ち悪いのに……気持ちいい……?)
「んあ……あぅ……♡」
口から漏れるのは拒絶の言葉ではなく、甘い嬌声だけになっていく。
もみくちゃにされ全身を弄り回され、ポップステップの頭の中は真っ白になっていた。
身体の奥底から湧き上がる熱が止まらない。
ウナギのヌルヌルとした体液が、薬のように肌から染み込んで理性を溶かしていく。
(もう……どうにでも、なっちゃえ……♡)
ポップステップは潤んだ瞳で、目の前のウナギを見つめた。
そして、自分でも信じられないような甘い声で囁いた。
「もっと……」
「ポップたん……?」
「もっと……ヌルヌルにさせて、いいよ……♡」
許可が下りた瞬間、ウナギの全身からさらに大量の粘液がドバッと溢れ出した。
「うおぉぉっ! ポップたん! だいすきっ!!」
「あッ……♡」
洪水のようなヌメリがポップステップの全身を飲み込む。
服の中、太ももの隙間、ありとあらゆる場所に生暖かくてドロドロの液体が侵入し、性感帯を直接撫で回す。
巨大なウナギの胴体がさらに強く、激しく、彼女の体に擦り付けられる。
「すごっ……!?♡ぬるぬるっ……!」
もうアイドルとしての体裁なんて保てない。
路地裏に恥ずかしい嬌声を響かせながら、ポップステップはビクンビクンと痙攣し、白目を剥いて快楽に溺れた。
常軌を逸した密着感と背徳感が、彼女を限界の先へと突き落とした。
「~~~っっっっ!!!♡」
声にならない叫びが、喉の奥で引っかかる。
口を大きく開けたまま、息を吸うことも吐くことも忘れて──
ビクビクと太ももが、お腹が、胸が、細かく震え続ける。
膝から完全に力が抜け落ち、ウナギの巨体にもたれかかることしかできない。
「ハァ……ハァ……ッ」
ようやく肺に空気が戻ってくる。
荒い呼吸とともに、全身から汗が噴き出し、粘液と混ざり合って肌を濡らしていく。
「はぁ……ぁ……♡」
虚ろになった瞳で宙を見つめながら、ポップステップの身体は余韻に震え続けていた。
時折、痙攣が走るたび、喉の奥から甘い吐息が漏れ出す。
(も、もうダメ──♡)
意識が──ゆっくりと、深い闇へ沈んでいく……。
♢ ♢ ♢
「……おい、大丈夫か?」
路地裏にナックルダスターの声が響いたのは、それからしばらくしてからのことだった。
現場にはすっかり満足して大人しくなった……人間に戻りつつあるウナギこと鰻沢と、その横でへたり込んでいるポップステップの姿があった。
「はぁ……はあ……ぅぅ……♡」
地面にペタンと座り込んだポップステップは全身がテラテラと濡れそぼり、髪も服もぐちゃぐちゃだ。
虚ろな瞳で宙を見つめ、時折ピクリと体を震わせている。
「すごいなぁ!本当に握手だけで大人しくさせるなんて!」
「……う……うん……」
コーイチの感心したような声に、ポップステップは力なく頷いた。
握手だけで済んだわけがない。
あんなことやこんなこと、とても口に出せないような恥ずかしいことを散々されたなんて、死んでも言えない。
(でも、なんか……スッキリ、しちゃったかも……)
体に残る生々しい感触と余韻をこっそりと噛み締めながら、ポップステップは誰にも見えないように、小さく熱い吐息を漏らした。