転生したら術式が『無為転変』だったので禪院直哉をメスオナホにする 作:禪院直哉虐待委員会
◎
ベッドの上に、体を転がす。胎の膨らんだ、歪な体。一つの体に、二つの魂。子を孕む、ということは、そういうこと。一つの魂のあり方を無理やり歪めて、空いた空白に二つ目を招く。
「なんや、えらい優しい手つきやん」
切れ長の目が、煽るように視線を向けてくる。もっと乱暴に扱うことだって、できる。今まではずっとそうしてきた。そう、直哉は、壊れないおもちゃだった。どれだけ痛ぶっても、吐き捨てても、ゴミ箱にしても、直哉は壊れない頑丈だった。でも、今は。今は?
「お前でも、流石に気になるか。——自分の子ぉとなったら」
禪院直哉。彼女の腹の中には——僕の子がいる。僕が、僕が作り出した——子供が。
そう、そこにいる子供は……関係がない。
ただ、巻き込まれただけ。
僕と、彼女。
禪院真十と、禪院直哉。
二人の関係性の間に、巻き込まれただけ。
だから。
だから——
「関係ないよ」
言って——直哉の体に覆い被さる。
その大きなお腹にそっと触れて——無為転変。術式によって、赤子の魂を保護する。これで——このあと、僕がその母体をどう扱おうと——中身に影響は出ない。
だから——
「濡らせよ」
言いながら——直哉の乳首をつねり上げる。
元の、ハリのある若々しいそれから打って変わって、妊娠を気に、彼女のおっぱいはだらしなく膨らんだ。
形は崩れ、乳首は肥大し——だらしなく、無様に。
変わったそれを、僕は手で弄ぶ。
「——っづぁ」
直哉は小さく悲鳴を漏らす。少し、力を入れすぎたらしい。だが——知ってるよ。お前はそれくらいが好きなんだろう?
手を、下に伸ばす。まるまると膨らんだ腹を超えて、その下の秘所に。指先が触れれば——ぐしょりと、濡れている。
「お腹に赤ちゃんがいるくせに、随分とまあ、欲しがるじゃん」
言いながら、彼女の勃起したクリトリスをこねてやれば、彼女は「——〜〜〜〜っ♡」と声にならない声を上げる。悪くない反応。ご無沙汰にしては、よすぎるくらい。なるほど、そうか。
「——自分でいじってたんだ」
耳元で囁いてやれば——直哉は目を背ける。
「いいよ、恥ずかしがらないで。ごめんね。悪かった。いくら君が妊娠したからと言って、長いことほったらかしたりしてさ。寂しかったよね——いじめてもらえない日々は」
言いながら——充血したクリトリスを思いっきりつねり上げる。
「————〜〜〜〜っ、ぁぁぁぁああああっ♡♡♡」
ぶしゅ、ぶしゅ——汚い音と共に、直哉はまんこから潮を吹く。あーあ、手が汚れた。
「掃除しろよ」
言いながら、濡れた手を直哉の口に突っ込む。直哉は「んぉ♡」と驚いたように声を上げた。そのまま、口の中に突っ込んだ手で直哉の舌をいじくりまわし——同時、その乳首にしゃぶりつく。
「んっ♡ んんぅ♡」
直哉が艶かしく声を上げる。関係ない。僕はそのままじゅぱじゅぱと、あえて汚い音を出しながら直哉の乳首を舐り尽くす。
一頻り乳首の感触を口の中で楽しんで——僕はべしりと直哉の腹を叩く。普通、こんなことをすれば中の赤ん坊にどんな影響があるか分かったものではないが——僕の術式があれば何の問題もない。
「足、開いて」
命ずれば——直哉は静々と股を開く。
さっき散々いじめてやったからだろう。クリトリスは赤く膨れたまま、まんこはぐっしょりと濡れそぼっていて——たらたらとこぼれ落ちた愛液がベッドのシーツに染みを作っている。
「どうして欲しい?」
濡れそぼった穴に指を浅く突っ込んで、入り口の周りをぐちゃぐちゃといじめながら、問う。
「ね、直哉。寂しかったんだろう? 自分でいじって慰めるくらいに。欲しくて仕方なかったんだろ? じゃあさ——ねだれよ」
言えば——けれど直哉は紅潮した顔で「はっ」と強がるように笑う。
「我慢できんようになったんはそっちやろ。ねだれっちゅうならそっちがねだらんかい。直哉様挿れさせてください、てな」
「へぇ、そういうこと言っちゃうんだ」
言いながら——僕は袴と下着を脱ぎ捨てて陰茎を露出させる。勃起したそれは、長さにして二十五センチを超える巨大さ。充血したカリ首は反り返り、それが女をいじめるために存在していることがよくわかる。
グロテスクなそれを——直哉の膨らんだ腹の上に乗せて、僕は見せつける。
「いらないの、これ」
「は、いらんわそんなもん。使わんねやったらしもたらどうや。そないな粗末なもん」
「粗末、ねぇ。それに散々鳴かされてきたのに?」
「知らんなぁ。どうせ術式で作った偽もんやろ? 男やったら自前のほんまもんで勝負せんかい」
言われ——僕は「それもそうだ」と納得する。無為転変。それによって変形させていた陰茎の形を解いて——年相応のそれへと戻す。長さにして十三センチ。小さい……とは言わないけれど、平均的でしかないそれへと。
「ああ? なんのつもりや、っあ♡」
元の大きさに戻した陰茎を——直哉のまんこに挿入する。うん、ゆるい。妊娠してるというのもあるし、僕が大きくしていたちんぽに合わせて拡張されているというのもある。緩いが——全く気持ちよくないってほどでもない。ちょうどいいふわとろ具合とでも言おうか。
僕は膨らんだ大きなお腹に抱きついて、直哉のまんこにちんぽを浅く出し入れする。
ぱちゅ、ぱちゅと普段に比べれば可愛らしい水音が立って——直哉は。
「っ♡ なんやねん、この程度——♡」
気持ちよさそうではあるけれど——あと一歩、物足りない。そんな感じのもどかしい喘ぎ。それを一切気にせず、僕は久々のオリジナルちんぽでまんこを楽しむ。うん、これはこれで気持ちいい。
大きなお腹の温かな感触に身を任せながら腰を振る。繰り返し、浅瀬ばかりを突くように。クリトリスの裏側を擦り上げるように。
「ぐ♡ んっ♡ ——〜〜っ!♡」
わかるよ。物足りないんだろう? そりゃあそうだろうさ。普段あれだけ大きなちんぽに、子宮の入り口まで奥深く突かれまくってたんだ。この程度の浅瀬を掻き回すだけじゃ、気持ちよくても——イけない。フラストレーションばかりが溜まっていって、もう我慢できないんだろう。
ほら、言えよ。
言え。
ねだれ。
僕に——屈しろ。
思いながら、僕は腰を振って——
「お前の姉貴は——俺が■した」
直哉は。
その一言を——呟く。
「俺をいじめて、組み敷いて、おんなじことして、復讐のつもりかなんか知らんけど……一緒や。変わらん。俺をどないしたって、殺したって、過去は消えん。どれだけ身ぃを綺麗にしても、魂を雪いでも、過去は変わらん、お前の姉貴は■■■■や。俺がそうしたったんや。お前が——弱かったさけに」
お前の姉貴は——俺に■されたんや。
ご、と。
音が響く。
それは——僕の拳が、直哉の頬を殴った音。
口の中が切れたのだろう。べ、と血を吐き出しながら、直哉は笑った。
「は、可哀想にな。お前も……出来損ないの姉貴に人生縛られて。元男の、偽モンの女抱いて、偽モンの女孕まして……ええ人生やね。ほんでどうするん? 生まれた子供。殺すん?」
もう一度——殴りつける。今度は顔面。鼻っ柱を、へし折るように。
「くく……ははははは……。結局、お前はそやねん。それだけ強がっとっても……力があっても、『あっち側』の人間とはちゃう。身に染みてんねや、自分は、踏みつけられる側やって」
お前も——お前の姉貴も。
鼻血を吹き出しながらも——直哉は楽しげに言う。
無為転変。僕は陰茎を巨大化させた。
二十五センチ……なんて加減した大きさじゃない。三十五センチ。もはや陰茎というより、小さな腕と言った方がいい巨大さの肉棒を——直哉のまんこに無理やりねじ込む。ぶし、と水音。吹き出すイキ潮も気にせず、無理やり奥へとねじ込んでいく。
「づ——っ、ぁあ——♡ ……くっ、は♡ 響くなぁ、偽モンのチンポは。くくく……ほんで? どうするん。はよ動けよ。挿れただけか? むかついたんやろ? 腹立ったんやろ? ほならどうすんねん。俺のこと泣かせたいんちゃうん。苦しめたいんちゃうん! 姉貴が泣いて死のうとしたあの日ぃみたいに、俺のこと追い詰めたいんやろが!」
動く。腰を、動かす。動かして——同時に、術式を発動。快楽を——流し込む。肉体ではなく、魂を絶頂させる。突く陰茎が直哉の奥を突くたびに——同時に魂を突くように。
「ぐっ♡ はっ♡ あっ♡ ぁああっ♡ あっ、はははははははは♡ 気持ちようしてくれて、どうも、おおきに……♡ くくく……いやいや、無理やり犯されるっちゅうのも、んっ♡ 気持ちええもんやね……っ♡ あははっ♡ あの日ぃ真依ちゃんもおんなじ気持ちやったんやろかなぁ!?」
うるさい口を——黙らせるように。
顔面に拳を、叩き込む。
「黙らしたいんやったら、殺せよ。んっ♡ はぁっ♡ できるやろ? 首に手そえて、締めるだけや。中の子ぉ共々それでお陀仏や。ええ? やってみたらどやねん、ほら、早よしぃや」
言いながら、血まみれの顔で笑う直哉が、僕の手を取って自らの首へと導く。細い、痩せた首。きっと、簡単にへし折れる。
「出来へんのか? なぁ、早よしろや。姉貴の仇やぞ。討てや。おい。出来へんのか!」
僕はその首を——締められない。
「そないに心配か? 子ぉのことが。なぁ。どうせよう考えんと作らせたんやろ? 俺の心を折るために。あるいは……なんぞ、母になったら情でも湧くと思うたか。せやから、そんなやからお前はアホなんや。姉貴も守れん。俺のことも殺せん。お前が行動起こしたんは全てが遅ぉなってからや。あの出来損ないのカスも、俺のことも、もっと早よに殺しといたらよかったのになぁ! そしたら姉貴が■されんでも済んだのになぁ!」
あははははは——笑いながら、直哉は僕を責め立てる。
「一緒や、一緒。なぁんも変わらん。俺のことどれだけ犯しても、姉貴より酷い目に遭わしても、かわらんねや。過去は変わらん。お前らは……お前ら姉弟は、踏みつけられる側や。『あっち側』には、一生かかったっていかれへん」
直哉は笑う。嗤う。破顔う。咲う。
楽しそうに——
「なぁ、子供、はよ産ませてや。そしたら俺が殺したるさけ。なぁ、ええやろ? ぶっちゃけ邪魔やろ? 世界で一番憎い、元男の偽モンの女と自分の子ぉなんて。せやし、俺が代わりに殺したるわ。お礼はいらんで、なぁ、女の体も気持ちええて教えてくれただけで満足や」
哄笑、哄笑、哄笑、哄笑。
狂ったように——直哉は笑う。
「俺は、呪いや。一生お前に取り憑いて、お前のこと、苦しめたる。どれだけ強なっても、身綺麗になっても、過去を隠しても——消えはせん。俺っちゅう呪いは、お前に一生取り憑き続ける」
くくく——ははは——笑う直哉を、黙らせるために。
僕は腰を振る。
「うっ♡ ぁぁぁあっ♡♡♡ あっ♡ はぁっ♡ ええよ、犯したいんやろ? なあ、気持ちええもんな。抵抗できへん相手を一方的になぶるんは、気持ちええもんなぁああああああ♡♡♡」
ぶし、ぶし。潮を繰り返し吹き散らしながらも——直哉はその両手両足で僕に抱きつく。
淫らな表情で、艶かしく声を上げて、僕の脳を——蕩かすように。
「お前は俺や、禪院真十……♡ どんだけ綺麗になっても、強なっても、ええ子ぶっても——変わらん。お前は——俺と同じなんや」
——わかってるさ、そんなことは。
もうずっと、そんなことは知っている。知っているんだよ。
それでも——ばちゅん。音を立てて、僕は直哉の腰を叩きつける。
僕はもう、何をどうしていいのかもわからない。
その日、僕は直哉を数え切れないほど絶頂させ、最終的には気絶するまで犯し抜いたけれど——それでも。
僕は一度も、射精することができなかった。
◎
数ヶ月後——直哉は子供を産んだ。
男の子だった。
僕は彼に名前を付けて、そして分家に養子にやった。
僕も……直哉も。子供を育てるにはあまりにも向かない。
分家の中でも、比較的マシ……つまりまあ、禪院思想にかぶれていない、一般術師に近いところに渡したから、多分大丈夫、だと思う。
何が大丈夫なのかはわからなかったけれど。
「——疲れて見えるぞ」
大丈夫か? と問いかけるのは、九相図兄弟の長男——今は長女の脹相。ちょっとした用事があって、僕は彼女を自宅に呼び戻していた。
長い髪に——長ラン、ボンタン。思いっきり男性用の制服なのは、多分本人の希望だろう。不良みたいな格好だが、本人のスタイルがいいから似合っている。女番長って感じだ。イカしてる。
「……疲れてるって、僕が?」
問いかける。肉体的な不調など一切ないはずだ。無為転変と反転術式。その双方を定期的に回すことで、僕の肉体は傷や病、疲労など一切の不調とおさらばしている。
「肉体の話じゃない。
あるいは——魂の。
彼は言う。
「……目がいいね、どうも」
「お前の作ってくれた目だからな」
少しは——魂の何たるかもわかる。
彼は言った。それは僕の術式の影響というより、彼が呪物として長い時を魂だけで生き続けてきたからだろうけれど。
「ま、気にしないでいい。ちょっとした……寝不足みたいなものだよ」
「寝不足?」
「夢見が悪くてね」
言いながらも、僕は視線を動かす。
縁側。流れる風は冷たく——秋。庭木に羽根で膨れた小鳥が止まっている。
「高専は……楽しい?」
僕が問えば脹相は「ああ」と頷く。
高専——呪術高専。僕が受肉を手伝った三人の呪胎九相図たち——脹相、壊相、血塗。彼らには、呪術師たちの教育機関、呪術高専に通ってもらっている。脹相には東京校へ、壊相と血塗には京都校へ、それぞれ。今年から、一年生として。
脹相は思いを馳せるように遠くを見て語る。
「悪くない。産まれてからの年齢でいえば老人もいいところの俺が今更学校などと——とも思ったが……思いの外、楽しいよ」
「そっか」
そりゃあ、よかった。
純粋に、よかった。そう思う。
「お前の姉……真希にも、世話になってる」
「意外と乱暴でしょ、あの人」
「意外でもないが……いやまあ、そこも含めて、世話になってる」
「そっか。それじゃあ——」
僕は問う。
「
風が吹く。冷たい、秋の風が。
今は——二〇一七年、十月。
もうすでに——『原作』は、始まりつつある。
「乙骨
「うん、どんな感じ?」
聞けば、彼女は顎に手を当てる。
「……そうだな。実力でいうならば、お前や五条悟には遠く及ばないと思う」
「はは、そりゃあね。呪術を知って半年にも満たない子に及ばれちゃあ困る」
「だが——光るものはあると思う」
彼女は言った。
「……それは、力に?」
「それもある。最近、やつもメキメキと技術を身に付けているしな。だがそれ以上に——精神面で、だ」
やつは——呪術師に向いていると思う。
「へぇ、高評価だ」
「高評価……まではいかん。呪術師自身が呪われていたのでは世話もない。今はまだ、芽がある、程度だ。だが将来的には……あれは大きく化ける。そのように思う」
否定しつつもまるっきりのベタ褒めに、僕は思わず苦笑する。どうも、相当気に入ったらしい。
「それなら——大丈夫そうかな」
頷いて、僕は隠していた情報を打ち明ける。
「まもなく、呪詛師——夏油傑が高専勢力に対して宣戦布告を仕掛ける」
「な——」
なぜ、それを、とか。
何で、今、とか。
多分そんなことを言いたかったんだろうけれど、無視をして、そのまま続ける。
「予告される日付は十二月二十四日。クリスマスイブに、夏油傑一派は呪術界に対するテロを仕掛ける。表向き、理由は革命とされるが——真の目的は、乙骨憂太に取り憑く特級過呪怨霊、折本里香を夏油傑が手に入れること」
「夏油傑……その術式は呪霊操術、だったか」
「そういうこと。彼は折本里香を手に入れることでほぼ無限に等しい呪力を得て——日本中の非術師を皆殺しにすることで、『呪霊の存在しない世界』を作ろうとする」
「それは——」
驚いたように、脹相は目を見開く。
「そもそも、可能なのか?」
「理論上はね」
最も、殺すのが日本人だけであれば——世界から呪霊は無くならないのだが。
一応、日本から呪霊を根絶することはできなくはない。
「そして理論上可能だからこそ——多分、引くに引けないんだろう」
理論上可能。
実行も——可能である可能性が出てきた。
ならば、やるしかない。
やらなければ——嘘になる。
だから、やる。
きっと、そんな理屈。
「だが……高専には五条悟がいる」
「だからこその宣戦布告だよ」
「釘付けにする、ということか……だが、できるのか? 五条悟だぞ」
「そこはまあ……向こうのお手並み拝見ってところだね」
「何かしら、策があるということか」
策というか、アイテムと人員が、なんだけれど、ともかくとして。
「僕は——それを邪魔する必要がないと考えている」
「…………なぜだ?」
怒りはある。反発もある。だが——それ以上に僕への信用が上回った、というところか。あー、ヤダヤダ。いいやつってのはこれだから。ダメだよ。そんな簡単に人を信頼したらさ。
「理由は二つある」
僕は言った。悪役らしく、薄く笑いながら。
「一つは、乙骨憂太。彼自身の——呪いを解くため」
「折本里香を? だが——博打すぎないか」
「君自身、感じてるんだろう? 乙骨憂太の可能性を。それは——夏油傑を前に折れるようなものかい」
「わかるわけないだろう。俺は夏油傑を知らんのだぞ」
だが——
「お前にはわかる、と?」
「少なくとも、分の悪い賭けじゃない」
原作通りなら——と言いたいところだが、すでに色々、僕は原作をぶっ壊してしまっている。真希ねぇは禪院家の落ちこぼれではなく天与呪縛のフィジカルギフテッドだし、東京校にも京都校にも原作にはいないメンバー……九相図姉妹が増えている。その状況で、どこまでことが上手く進むかは未知数だ。
だがそれでも——僕は分の悪い賭けではないと、そう信じたい。
「彼はきっと、夏油傑を倒してくれる」
僕は言って、話を続ける。
「そしてもう一つが——夏油傑の確実な釣り出しと、始末」
どちらかといえば——これが本命。
呪霊操術。その最大の脅威は数による制圧。僕や五条悟という戦力があってなお、居場所がわかっている彼を迂闊に討伐できないのは、彼がどれだけの手札を持っているかが不明であるから。実際のところ、総数六千以上の呪霊を確保しているのは原作の描写から間違いのないことで——それを一斉に出されれば、いくら僕や五条悟でも全てをどうにかするのは難しい。
ゆえに——夏油傑は放置されている。確実な討伐が不可能であり——また少なくとも今のところは、人の世に重大な害をなすような行動をしていないから。
「この機会を逃すと、おそらく夏油は地下に潜る。地下に潜って、力をつけようとする。時間は万人の味方だけれど、効率で言えば圧倒的に夏油の味方だ。時間をかければかけるほど、彼の手札となる呪霊は増える。呪霊は——無限に湧き続けるのだから」
廻る呪いは——未だ、終わらないのだから。
「……だからこそ今、決着をつける、と?」
「…………実を言うと、それだけじゃあない」
第三の理由。
秘そうかとも思っていたそれを、僕は語る。
彼には少なくとも、聞く権利があるはずだから。
「夏油を殺さなければいけない理由。それに関わるのは——羂索だ」
羂索——その名を出せば、彼の目がす、とほそめられる。
「羂索——奴がこの件に関係している、と」
「いや、違う」
むしろ——その逆だ。
羂索にとってこの騒動は完全な偶然で——だから彼は、その偶然を利用する側なのだ。
「羂索は——呪霊操術を欲している」
言えば、脹相は目を見開き。
「まさか……くれてやる、と?」
正気を疑う、とばかりに——彼は僕を見つめる。
頷けば、彼女は。
「……一応、理由を聞こうか」
それでも冷静に、僕の話を聞こうとする。
……一発くらい、殴られると思ったんだけどな。
「理由は、夏油と同じ。つまり——釣り出しだ」
語る。
「羂索は、ほとんど永遠を生きる不死の術師。千年前から生き続けていて、時間が味方だと言うのなら奴にとってこそ最大の味方。五条悟や僕と言った特級の戦力がいるこの時代に、あえて活動をする必要は全くない。時を待って、僕らの寿命を待てばいい……
この時代——羂索という術師にとって、
「羂索は自らの計画のために天元を欲している。天元については知ってるかな?」
「一応、授業で習った。日本呪術界の基盤……あらゆる結界を支える、千年を生きる術師であると」
「うん、その認識で間違いない。そして——たとえば羂索が千年を生きるために他者の体を乗っ取っているように、天元もまた千年を生きるために代償を必要とする。彼女の場合、術式による不死化を成し遂げてはいるが不老ではない。それがゆえに、彼女は一定以上老いが進むと人間を超え、別次元の存在になってしまう。それを防ぐために、五百年に一度、『星漿体』と呼ばれる彼女の『器』となる人間と同化する事で肉体の老化の初期化する手筈になっているんだ」
そして——
「その五百年の区切りは、今から数年前のことだった。本来、彼女は、星漿体と同化しなければいけなかったのだが——天与呪縛のフィジカルギフテッド。真希ねぇ以前に存在していたそれである禪院……
「まさか」
「そう、今の天元は
羂索は——夏油傑の肉体を狙っている。
「そこまでわかっていて——みすみす見逃すのか? 羂索の描いた絵に乗ると!?」
「そうだ。それ以外で——この時代、やつを盤上に引き摺り出す手段は思いつかない」
言えば——脹相は奥歯を噛み締める。
「夏油傑の死体を餌に、奴に計画を
「…………」
「先も言ったが、時間は羂索の味方だ。たとえば夏油傑が地下に潜ったとして、百年も経てばやつは寿命でくたばるだろう。だけれど、羂索はそうはいかない。肉体を乗り換えて、五百年後を待つ。——多くの被害者を出しながら」
そして——次の五百年後には、僕も五条悟もいないのだ。
「だから今なんだ。
言う。真っ直ぐに目を見て——全てを、正直に。
言えば、彼女は。
「…………わかった」
と、頷く。
「ただし……俺は乙骨が本当に危なくなれば助けに入るぞ」
「ああ。それはもちろん、むしろこっちからお願いしたいところだよ。策を弄するがあまり、味方を殺してたんじゃ本末転倒どころの騒ぎじゃないからね」
「その言葉を聞けて、安心したよ」
脹相は言う。あんまり安心されても困るんだけどね。
「そして——乙骨が夏油を倒した『後』の話だけれど」
僕は脹相に、一つのお願いをする。
「できるだけ秘密裏に——誰にも知られないように、僕を呼んで欲しい」
「……構わないが、理由は?」
「ま、そこは秘密」
上手くいくとも限らないしね……いずれにせよ。
「僕は少なくとも羂索の敵だ。敵に利するようなことだけはしないと言っておくよ」
言えば、かろうじて、という感じで脹相は「わかった」と頷いた。不承不承。そう。そのくらいが、ちょうどいい。
それじゃあ——あとは待とう。
来る百鬼夜行——十二月二十四日を。
遅くなりました。
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