※この作品はR-18です。

エロスの極み   作:村上しんご

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第18話 偽りの夫婦関係

 ナツコは結局、旦那の誘いを断ることができなかった。

 寝室へ向かう前に、もう一度だけシャワーを浴び、汚れた身体を入念に洗い流す。

 ひりつくほど肌を擦りながら、余計なことだけは起こらないようにと、心の中で何度も繰り返す。

 

 正直、愛してはいない。

 それでも、この膨らんだお腹の中にいるのは、旦那の子供なのだ。

 

 ドアを開けると、サイドランプの光だけが、ぼんやりと広がっていた。

 ベッドの上には既に旦那が、布団から腕だけ出して寝そべっている。

 その組んだ腕に頭を乗せ、逃げ場がないとでも言うように、彼女の様子を伺っている。

 

 そんなキヨヒコを前にしながら、ナツコは着ていたバスローブをゆっくり脱いで、裸になっていった。

 

 少し突き出ただけの控えめな胸。

 妊娠前は、ハッキリとくびれていたお腹回りが、今ではポッコリと膨らんでいる。

 そして、デリケートゾーンを覆う薄めのアンダーヘアー。

 その真ん中にはくっきりとした一本の筋が通っている。

 そんな彼女のお腹に宿っているのは、紛れもなく彼の子供だ。

 

 その姿を見てキヨヒコはニヤニヤと笑っていた。

 服を着ていればわからない。だが、男好きする嫌らしい体付き。

 それが、今では自分のもので、絶対に服従を誓う妻なのだ。

 

 意外な掘り出し物を手に入れたことに、キヨヒコは「これは運命だ」とばかりに神に感謝していた。

 

 大学で初めて彼女を見かけた時、どこにでもいる冴えない女だと思っていた。

 しかし、良く見るとその顔は意外に整っていて、身体付きも妙にそそるものを感じた。

 幸薄く、目立ちはしない。だが、隠された魅力があると本能が告げていた。

 

 だから、野球部の仲間を巻きこんで、彼女を手に入れることにしたのだ。

 それが実際に当たりだった。ナツコを手に入れた彼は、少しずつ自分好みに変えていった。

 

 虚ろな眼差しで、ベッドの上をぼんやりと見つめる彼女の前で、彼は布団をはいだ。

 そこから現れたのは、筋肉質の毛むくじゃらな肉体と、股間から天に向かって伸びるもの。

 

「さあ、いつものようにしてくれ」

 

 彼がそう言うと、彼女はベッドに上がり、その股間に躊躇いもせずに顔を埋めていった。

 

 したくてするのではない。彼女は、こうするように躾けられていた。

 少しでも拒否すれば、彼の口から容赦なく罵詈雑言が浴びせられる。

 彼女はそれを回避するために、そうするしかなかったのだ。

 

 彼のものを優しく握り、亀頭の先に唇を付ける。

 そして瞳を閉じながら丁寧にキスを繰り返していく。

 彼はその姿に、満足そうに目を細め、褒めるようにその頭を撫でていった。

 

 ナツコからしてみれば夫との行為は、けして良いものではなかった。

 初めて身体を合わせた時、彼女は処女ではなかった。だが、経験人数が多いわけでもなかった。

 

 その時に豹変するこの男の怖さを初めて知った。

 優しかった彼が、女を意のままにしようと、感情を剥き出しにしたのだ。

 嫌だと思っても、逆らう勇気もないし、その支配からは逃れられない。

 自分の意志など関係なく、彼の思うように事は進められていった。

 

 その時から──、彼女はキヨヒコの従順な女へと躾けられていたのだ。

 

 股間に顔を埋めたままのナツコは、舌を這わせて彼のものを丹念に舐めていた。

 教わった通りに、カリ首から裏筋にかけて、行ったり来たりを何度も繰り返す。

 その度にペニスがピクピクと脈打ち、先端には粘膜が滲む。

 

 それを見た彼女は、口を大きく開いて、亀頭の先端をパクっと咥えていった。

 

「おぉ~し、いいぞ。……そろそろ、ケツ向けろ」

 

 その言葉を聞いた瞬間、ナツコの胸がドキッと跳ねた。

 痕跡は入念に洗い流した。しかし、昼間に精子を出しされた箇所を見せるのは不安が過る。

 

「……今日は、このまま挿れちゃっても、良いですか? ……私も、身体が疼いちゃって……」

 

 その言葉は真っ赤な嘘だった。今日はどうしても、お尻を向けたくなかった。

 夫の機嫌を損ねないように、言葉を選んで言った。そのはずなのに、ボブに切った短い髪を、彼にギュッと引っ張られる。

 

「おい! 俺は舐めたいんだよ!」

 

 夫はまたしても豹変した。それでも、これ以上の暴力が無いのはわかっている。

 だが、その恫喝がナツコは怖くて堪らない。

 

「わ……わかりました……」

 

 彼女は身体を震わせながらも、言われた通りにお尻を向けた。

 そしてまた、彼の股間のものを青ざめた顔で口に含む。

 

 すると、夫の唇があそこに吸い付き、突き出された舌が「ペロペロ」と、穴の周りを舐めていった。

 

「あっ……あんっ!」

 

 正直、声を出すほど感じてはいない。昼間の痕跡がバレないだろうかと、ハラハラしてるし、夫はそれほど上手じゃない。

 だが、彼を喜ばせるには、感じてるフリをするのが一番だ。

 

 身体をビクビクと痙攣させ、大げさに喘ぎ声を漏らす。

 そして、敏感な所に舌が触れると、ヒクつくように身体を捩る。

 しかし、それを続けていると、割れ目から粘膜が溢れ出し、穴が少しずつ開き始めていく。

 

 その時──

 

「おい……今日はなんか匂うなぁ。……ちゃんと洗ったのか?」

 

 バレないようにと祈っていた。だが、夫は僅かな残り香で、他の男の痕跡を見抜いていた。

 だからといって、この体勢を崩す訳にはいかない。そんなことをすれば、また恫喝されるだろう。

 

 ナツコは死に物狂いで、夫のペニスをしゃぶり続けていった。

 口いっぱいに唾液を含ませた音が、「ジュル、ジュル……」と響く。

 

「……うっ! ……今日は激しいな。そんなに”したかった”のか?」

 

 ナツコの奮闘ぶりに、キヨヒコはえらくご機嫌だ。

 お互いの性器を舐めあう卑猥な音が、寝室に甲高く響き渡っていた。

 彼の意識は、もう完全にしゃぶられている所に向けられて、あそこを舐める舌の動きもおぼつかない。

 

 ナツコは少しだけホッとするものの、ここで手を抜く訳にはいかなかった。

 感の鋭いこの男が、医者との行為の痕跡を、またどこで見つけるかわからない。

 

 さっさと精子を搾り出そうと、必死に唇をスライドさせながら、ありとあらゆる所に舌を這わす。

 すると、彼の身体が震え出し、吸い付いていた唇があそこから離れていった。

 

「うっ、うぅっ……そろそろ、ハメるぞ! お腹に負担が掛からないように、お前が上になれ!」

 

 その言葉で、ナツコの表情に安堵が見えた。

 このまま夫がイッてくれれば、もう疑われることはないだろう。

 

「わかりました……」

 

 彼のペニスを握ったまま腰に跨り、硬くなったものに目掛けて腰を沈めていく。

 

 いわゆる、背面騎乗位。

 夫のペニスは、パックリと開いたアワビの中に、ニュルっと飲み込まれていった。

 

 しかし、その時──

 

「ん? ……なんか、挿れた感じが違うなぁ~」

 

 ナツコはその言葉にドキッとした。

 夫より大きなものが入っていたから、膣がそれを覚えて学習していたのだ。

 慌ててペニスをギュッと締め付ける。だが、夫はその違和感に疑いの目を向けている。

 

「に、妊娠して膣の具合が変わったんだと……思います」

 

 苦しまぎれの言い訳だった。そんなことなど、あるかわからない。だが、咄嗟に言っていた。

 

「そんなこともあるのか? ……女の身体は不思議だな」

 

 ナツコは夫の感の鋭さに、脅威を感じていた。このまま肌を合わせ続ければ、きっとまた何かの異変に気付くだろう。

 夫はナツコの言葉に納得してるようだが、これ以上ボロが出たら、隠しきれる自信はない。

 

「あのぉ~、我慢できないので……もう、始めちゃっても良いですか?」

 

「よし! 良いだろう」

 

 演技だとも知らずに、ナツコの言葉に夫はニヤリと笑った。

 自分からは、あまり求めて来なかった女が、欲望を剥き出しにしているのだ。

 密着した結合部からは、愛液がトロトロと溢れ出している。

 

 彼女が前後に腰を動かし始めると、キヨヒコは満足げな顔で、そのお尻をゆっくりと撫で回していった。

 

「あんっ、あんっ、あんっ……」

 

 特に気持ちいいとは感じなかった。それでもナツコは、腰を振りながら声を上げる。

 四方八方に腰を振って、滅茶苦茶に膣の中を掻き回す。

「クチュ、クチュ……」と卑猥な音が響き、結合部分の陰毛はヌルヌルになっていく。

 

「よし、よし、いいぞぉ~。 腰を振りながら金玉をマッサージしろ」

 

 ナツコは彼に言われた通り、腰を動かし続けながら、その部分を優しく撫でていった。

 毛深い陰毛に覆われたその部分は、溜まっていたのか、はち切れそうなくらいに膨らんでいる。

 彼女は、さらに腰を上下に動かし、ペニスの抜き差しを繰り返しながら、そこを軽い力で揉んでいく。

 

 早く射精させようという彼女の思いが、腰の動きをより複雑にさせていた。

 

 膣の中を擦り続けるペニスの感触は、とくに特徴がある訳でもなく、それほど良いとも思えない。

 しかし、彼女は気持ちの良いフリをして、卑猥な声を上げ、乱れた様子を見せる。

 その姿が、旦那を興奮させるとわかっていたし、その方が喜ぶ。

 

 次第に旦那の息遣いが激しくなり、中のペニスがじんわりと火照り始める。

 それは、いつもの絶頂前の旦那の反応──

 

 彼女は腰を動かし続けながら、ペニスをギュッと締め付けていった。

 

「イクっ! ……イッちゃい……ますぅ──ーっ!」

 

 本当に絶頂を迎える訳ではない。彼とやってイクことなど滅多にない。

 だが、その反応を見せないと、しつこいくらいに攻められる。

 ナツコはそう叫びながら、大きく仰け反っていった。

 

「よ~し! 俺も出すぞぉ────!」

 

 そして、彼はそう言って、下から腰を突き上げる。

 その瞬間、膣の中に熱いものが「ビュルビュル、ビュルビュル……」と流れ込んできた。

 

 彼女は、さらにイッた感じを見せようと、崩れるように倒れ込む。

 

 無様なその姿を見て、満足げにお尻を撫で回すキヨヒコ。

 ナツコはその様子を横目で伺いながら、医者とのことがバレなかったことに、ホッと胸を撫でおろしていた。

 

 

 

 

 

 

             ~to be continued~

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