※この作品はR-18です。

エロスの極み   作:村上しんご

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第19話 抗えない女

 数日が経った頃、あの医者”シンスケ”からナツコの元に連絡があった。

 彼女はもう、二度と会いたくないと思っていた。

 電話口で名前を呼ばれただけで、身体が強張った。

 それでも、弱みを握られた彼女には、断ることなどできなかった。

 

 平日の昼間に、近くの公園に呼び出され、彼女は青ざめた顔でそこに向かった。

 逃げる理由はいくらでも思いつくのに、足だけは勝手に前へ進んでいた。

 

 頭の中に、あの日の出来事が鮮明に蘇る。

 診察と言いながら、身体中のいろんな所を弄ばれた。

 そして検診台の上で、訳のわからぬまま、生のペニスをハメられた。

 

 あの時の、生々しい感触が今も頭から離れない。

 そして、中に出された熱い精子の感触も──。

 

 どんなに否定しようと、ナツコはあの男とセックスし、イカされてしまったのだ。

 合意した訳ではない。だが、人妻でありながら、夫以外の男性と関係を結んだことが、心に重くのしかかる。

 このことが、旦那に知れたら、ただでは済まないだろう。

 

 何としてでも、この秘密は隠し通すしかない。

 

 待ち合わせ場所に到着すると、シンスケは少し離れたベンチに腰を掛けていた。

 

 まるで面接にでも行くような、リクルートスーツに身を包んだ、きっちりとした身なり。

 眼鏡の奥の感情のない目が、遠くをぼんやりと眺めている。

 

 ──やはり、あの時に感じた違和感は間違いじゃない。

 その感情の乏しさが、人として何かが欠けていることを、はっきりと示していた。

 

 表情を曇らせたまま近付いていくと、彼は不意に顔を向けた。

 

「来ましたね。……待っていました」

 

 そして、そう言いながらニヤリと笑った。

 ナツコはバックから金の入った封筒を取り出し、シンスケに渡す。

 

 彼は封筒の中から札束を取り出し、その金額を確認した。

 

 ──十万。

 それは、ナツコにとって少ない額ではない。

 学生時代から、コツコツと貯めてきた自分のお金だ。

 

「……もう、これっきりにして下さい」

 

 ナツコがそう言って立ち去ろうとした瞬間、手首を強く掴まれた。

 

「そんな訳にはいかない。……貴女のことは、これから利用させて頂きますよ。いろんな意味でね」

 

 彼のその言葉と、悪魔のような微笑みに、背筋を冷たいものが這い上がった。

 ナツコは着ている服の中で、ダラダラと冷や汗を流していた。

 

 彼女の服装は、他人から見れば、決して目を引くものではない。

 白の無地のTシャツに、肩ひもの付いた紺のマタニティワンピース。

 しかし、シンスケはその格好を、舐めるように見つめると、ニヤリと笑った。

 

「まあ、座って下さい。少し、楽しんでいきましょう」

 

 その言葉が、何を意味しているのか、ナツコには何となく予想がついていた。

 それでも、逃げ出すことはできない。

 生気を失った顔つきのまま、言われるがままに、彼の隣へ腰を下ろした。

 

「じゃあ、ここで胸を出してください。吸ってあげます……」

 

 ナツコはその言葉に呆然と目を見開いた。

 信じられないと言った顔つきで、彼を黙って見つめる。

 だが、シンスケは落ち着き払ったまま、動じる素振りも見せない。

 

(狂っている……)

 

 そう思い、この男に関わったことを後悔する。

 

 青空の広がる昼間の公園には、幼い子供たちのはしゃぐ声が、高らかに響き渡っている。

 小鳥の囀りが聞こえる木陰の向こうでは、母親とその子らが元気に駆けまわっている。

 いくら人目に付かないといっても、健全を絵に描いたようなこの場所で、そんな醜態を晒すなんてできる訳がない。

 

 ナツコは頭が混乱し、呼吸すら上手くできなかった。

 

「やらないんですか……? ご家族が、私とセックスしたことを知ったら、どう思いますかね?」

 

 しかし、彼が放ったその言葉は、明らかに脅しとしか思えないものだった。

 頭の中で思考が錯綜する。

 だが、今の自分には、この男の言葉を拒むことはできないと、改めて自覚する。

 

(この男は本気だ。自分自身が破滅する危険性があっても、断れば、あのことを公にする……)

 

 ナツコは観念するかのような顔で、言われた通りに、ワンピースの肩ひもを下げていった。

 そして、Tシャツを捲り、隠されていた色白の素肌を赤裸々に晒す。

 Cカップにも満たない小さな胸は、白いレースのブラジャーに包まれたまま、いまだに姿を隠し通している。

 

「僕が出してあげましょう……」

 

 シンスケはそう言いって、ブラと素肌の間に人差し指を突っ込んだ。

 そして、ゆっくりとブラを引き下げ、片側の胸だけを剥き出しにさせていく。

 

 それを見たナツコは、悔しそうに顔を歪ませ、思わずそこから顔を背ける。

 白日の下に晒されたその部分は、鳥肌が立っていて、天辺の色の変わった部分も、キュッと縮こまっている。

 乳首は微かに膨らんではいる。だが、あの時のようにピンとは立ってはいない。

 

 シンスケはジッとその部分を見つめると、表情も変えずに呟いた。

 

「寒いですか? ……少し、身体を火照らせてあげましょう」

 

 そう言って、色の変わった部分を人差し指で、さりげなくなぞる。

 そして、僅かに突起した部分を、少し曲げた指でピンピンと弾き始めていった。

 指の腹が行ったり来たりするたびに、淡いピンクの突起物が微かに揺れる。

 

 その瞬間、歪んでいた彼女の顔から、一気に力が抜けた。

 噛んでいた唇がポッカリと開き、瞳は急に虚ろになる。

 遥か遠くへ向けられた視線は、ぼんやりと宙を彷徨っている。

 頬が真っ赤に染まり、心ここにあらずの切なげな表情──。

 

 シンスケはその様子をジッと見ながら、彼女の胸にゆっくりと唇を近付けていった。

 

 認めたくはない。だが、彼の一つひとつの行為は旦那より遥かに上手かった。

 産婦人科という職業柄、ナツコが考えるより、女性の身体を知り尽しているのだ。

 それは単に「モテたい」とか「女を堕としたい」という、下劣な考えからきてるのではない。

 

 自分の利益を得る為に、医学を追求した結果──。

 正常ではないシンスケだからこそ、女性の身体を冷静に分析し、この境地まで辿り着くことができたのだ。

 

 小さく膨らんでいた乳首が、指の腹で甚振られるたびに、少しずつ面積が広がりだしている。

 

 そして──

 大きく膨らみピンと立ったその部分。彼の大きく開いた唇に、スッポリと咥え込まれていった。

 

 ナツコはその瞬間、歯を食いしばりながらも、すすり泣くような声を上げた。

 視線の先には、無邪気な子供とその母親が楽しそうに戯れている。

 それを見ながら、こんな淫らなことをされてるナツコは、何を思っているのだろうか。

 

 口の中の乳首は、唾液の滴る舌に乗せられ、ゆっくりと転がされている。

「チュパ、チュパ……」という音を聞きながら、ナツコは朦朧とした眼差しで、その光景をぼんやりと眺めていた。

 

 シンスケが彼女を標的にしたのは、嫌なこともキッパリと断れない控え目な性格が、利用できると確信したからだ。

 抑圧されて過ごしてきた人生が、彼女の見た目にまざまざと現れていた。

 

 診察中も、どこまで我慢できるのかと値踏みするように様子を伺っていた。

 だが、彼女は最後まで怒りも見せず、ただ黙って耐え続けた。

 

 ──思った通り、彼女は耐え忍ぶことに慣れている。

 幼い頃から自分の感情を押し殺し、今の家庭でもそうやって生きている女だ。

 

 こういう女は、身体だけではなく、心まで奪ってしまえばいい。

 自分に寝返ってしまえば、とことん尽すし、絶対に裏切らない。

 

 シンスケは、彼女のスカートを少しだけ捲り、その中に手を忍ばせていった。

 そして、太股を撫でながら、閉じていた脚を強引に開かせる。

 

 いまだに、口の中の乳首は、ヌルヌルと蠢く舌に甚振られ続けている。

 その動きと共に、彼女の身体の至るところがピクピクと痙攣し、汗ばんだ股の間も、閉じたり開いたりを忙しなく繰り返していた。

 

 彼の指がパンティの上から大切な部分に触れて、ナツコの身体がビクッと揺れ動く。

 その指は開いた割れ目をなぞるように、行ったり来たりを繰り返していた。

 

 まるで、その個所を労わっているかのような優しい動き──。

 頭の中では「嫌だ……」と拒否をしているのに、身も心もじんわりと温まり、胸がキュンキュンと締め付けられていく。

 それは、旦那とのセックスでは、味わったことのない感情まで呼び覚ましている。

 

 性的行為に何の希望も見いだせなかった、彼女の冷え切った心までジワジワと溶かしていた。

 

 そして、彼の指がクロッチを捲って、パンティの中をまさぐり始めていく。

 そこは既にビショビショで、他の部分より遥かに熱くなっていた。

 パヤパヤと生えた陰毛が、デリケートゾーンにベッタリと張り付き、割れ目はパックリと口を広げている。

 

 シンスケは彼女の乳首を舌で転がしたまま、しっぽりと濡れた穴の中に、指を埋め込んでいった。

 

「うぅっ……あぐっ!」

 

 その瞬間、彼女の口から少し大きな声が漏れた。

 咄嗟に彼女の手が、スカートのモゾモゾと動く所を押さえ込む。だが、まったく力が込められていない。

 まるで、それを受け入れてしまったかのように、彼の蠢く手を無意識に撫でている。

 こんな場所で、醜態を晒しているというのに、彼女はもう何も見えてはいなかった。

 

 一定のリズムで転がされる乳首と、中を掻き回す指の動きに、切ない思いと快感がじわじわと込み上げる。

 

 膣に入った指は、「チャプ、チャプ」と音を立てながら、中をゆっくりと掻き回し続けていた。

 次第に彼女の膝がガクガクと震え出し、中途半端に閉じていた太股が大きく開かれていく。

 

「いっ……いぐぅ──────────ーっ!」

 

 ナツコは絶叫と共に、「ビュッビュ、ビュッビュ」と潮を吹いていった。

 その勢いはパンティすらも突き抜けて、マタニティワンピースまでビショビショに濡らしていく。

 息を荒げながら呆然と天を見上げ、胸元にある彼の頭をギュッと抱き締めている。

 心ここにあらずの、何もかも終わってしまったかのような状態──。

 

 それを見たシンスケはニヤリと笑った。

 

「さあ、ホテルに行きましょうか。……たっぷり、可愛がってあげますよ」

 

 人間味の無い薄気味悪い笑み。

 いまだに呆然とするナツコは、その声を聞いて咄嗟に彼に顔を向けた。

 絶頂を迎えたばかりのその顔は、瞳が潤んで焦点も定まらない。

 

 濡れた唇を半開きにしたまま、何も言わずにコクリと頷く。

 シンスケに腰を抱かれて、彼女は引きずられるように街の中に消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

             ~to be continued~

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