※この作品はR-18です。

エロスの極み   作:村上しんご

28 / 29
第28話 対魔王戦~あっけない幕切れ

 タカコを思い通りにしたことで、タクヤはますます有頂天になっていった。

 迫りくるエルザの影にも気付かず、まるで小国の王にでもなったかのように増長していた。

 

 手中に収めた三人の女は、もはや逆らえない。

 瞳は甘く潤み、彼の言葉一つで表情を変える。

 それは愛ではない。

 魔王だった頃から持つ〈魅了〉のスキルが、心を塗り替えているのだ。

 

 彼は自分が幼子だということも忘れ、朝から三人の女たちを寝室に連れ込み、欲望の限りを尽くしていた。

 

「おばさん……もっと、腰動かして……僕を気持ち良くしてよ~」

 

 タクヤは年相応の子供のように甘えた声を出す。

 だが、女を侍らせ、ベッドの上に裸で寝転ぶ姿は、まったく見た目に合っていない。

 その太々しい態度は、まるで女を知り尽くした熟練の男。

 

 マキコはそんな彼の上で素っ裸になり、M字に脚を大きく広げて、その腰に跨っていた。

「あんっ、あん……」と切なげな出し、少し大きな胸をタップンタップンと上下に揺らしている。

 

 むろんパックリと開かれたあそこには、タクヤの硬くなったものが突き刺さり、出たり入ったりを執拗に繰り返していた。

 

「う、うん……あぁっ! ……わ……わかったぁ……あふっ!」

 

 マキコは、険しい顔付きで呼吸を弾ませながらも、言われた通りに腰を振る。

「ヌッチュ、ヌッチュッ……」と音を立てる結合か所からは、愛液が溢れるように滴り落ち、出たり入ったりするものをテカテカに光らせていた。

 

 そんな二人の繋がった部分を、恨めしげに見つめるキヨミ。

 同じく丸裸になって、彼の小さな乳首を、優しく舐めたり吸ったりしていた。

 丸見えのお尻を突き出して、低く屈んだその格好。

 まだ何もされてないのに、あそこはすでにビッショリと濡れ、陰毛がベッタリと周りに張り付いている。

 

 その反対側では全裸になったタカコが、うっとりとした顔付きで、舌を絡めたキスをタクヤと繰り返していた。

「プチュッ、チャプッ……」と繰り返される音が、日の差し込める寝室に、妖しい雰囲気を作り出している。

 タクヤの小さな手が頭に回り、為すがままに唇を貪られる彼女は、それに酔いしれて他のことにまで気が回らない。

 

 彼の片方の手がその胸に伸びて、色の変わったところを擽っている。

 そのたびに、彼女の身体がビクンビクンと大きく揺れていた。

 

 幼い子供に淫らな奉仕をしているにも関わらず、彼女たちには現実がまるで見えていなかった。

 していることは犯罪で、世間の論理からも大きく外れているというのに、その認識がまったくない。

 だが、それぞれの思いは違うのに、タクヤに気に入られようと必死なのは誰もが一緒。

 

 三人の女たちは幼い子供一人に、持てる力の全てを使って、愛を注ぎ続けていった。

 

「よーし。今日は、おばさんの中に出すよ~」

 

 しばらくすると、タクヤはそう言って下から腰を突き上げ始めた。

 その言葉と共に、キヨミは少し悲しそうな表情を浮かべ、マキコはさらに大きな声を上げて、身体をくねらせる。

 眉間に皺を寄せたやるせない表情を浮かべながら、彼の動きに合わせて一心不乱に腰を振る。

 

 そんな中、タカコは我関せずといった様子でキスに没頭し、その小さな頭を無我夢中で撫で回していた。

 

「……くっ!……い、イグ────────────っ!」

 

 そして、マキコの絶叫が寝室に響く。

 その身体の至るところがピクピクと痙攣し、蛙のような格好のまま、時が止まったように固まっていた。

 虚ろな瞳で呆然と天を見上げ、ポカーンと口を開いたその様子は、まるで魂の抜けた殻のよう。

 

 結合したところからは、白く濁った体液がジワジワと溢れ出している。

 

 タクヤはそんな彼女の姿を見てクスッと笑い、ペニスを抜いて立ち上がる。

 そして、いまだに裸のままの女たちをよそに、脱ぎ捨てられた衣服を一枚いちまい身に付けていく。

 

 キヨミが、もの欲しそうな顔で見つめているが、そんなことなど構いもしない。

 

「さあ、新しい下僕を探しに出かけるよ~」

 

 スッキリとした顔で無邪気に笑うタクヤ。その言葉に、キヨミは不意に顔を曇らせる。

 放心状態のマキコはぐったりとベッドに倒れ込み。タカコは彼に続くように、いそいそと衣服を身に着け始めていった。

 それに続いて、渋々といった感じでキヨミも服を着始める。

 

「……ねぇ、タクヤ~」

 

 キヨミは母親という立場もすっかり忘れ、甘えた声でタクヤを見つめた。

 まるで、おねだりでもしてるようなその潤んだ瞳に、タクヤの顔がフッと綻ぶ。

 

「帰ってきたら、してあげるから……だから、行くよ」

 

 そう言ってニッコリ笑う姿は、純真無垢な子供そのもの。

 キヨミはそれを聞いて、少し嬉しそうに、ほんのりと頬を赤く染めた。

 

「……う、うん。わかった……」

 

 そう言って恥じらう姿は、母親ではなくただの女。

 

 裸のままベッドで気を失っているマキコを残し、三人は意気揚々と街に繰り出していった。

 

 昼前の繁華街は女たちで溢れていた。

 平日のこの時間帯、まともな男たちは皆、仕事に縛られているはずだ。

 

 それでも、ところどころに男の姿はある。

 だが彼らは買い物客にも会社員にも見えない。

 ただ、死んだような目で、あてもなく通りを漂っている。

 

 その中で──

 二人の女に手を引かれて歩くタクヤの姿は、どこか異様だった。

 

 母子連れ自体は珍しくない。

 だが、どう見ても“連れられている”のは女の方だった。

 

 幼い子供が、二人を従えている。

 

 しかも、その女たちには覇気がない。

 抵抗している様子もない。

 だが、楽しげでもない。

 

 虚ろなその表情は、何かに支配されているとしか思えなかった。

 

 ショッピング街を我がもの顔で歩きながら、タクヤは次の“駒”になりそうな女を吟味していた。

 

 本来なら、屈強な男たちを取り込む方が早い。

 だが今の自分は幼い子供の姿。

 しかも魔力は、まだ完全には戻っていない。

 

 正面から対峙すれば返り討ちに遭うのは明白だ。

 

 ──焦る必要はない。

 時間はある。

 

 力が戻るその日までに、盤面を整えておけばいい。

 

 そのためには、男たちを動かすための“餌”となる女が必要だ。

 

 あくまで子供らしい、あどけない顔で道行く女に視線を向けるタクヤ。

 だが、その瞳の奥だけは異様に鋭い。

 まるで獲物の隙を探る野獣の目だった。

 

 そのとき──

 一軒のブティックの店先で、セール品を難しい顔で眺めている金髪の女が目に留まる。

 

 ”男根”と大きく書かれた、少し残念なTシャツを手に取り、ぶつぶつと独り言をこぼしている。

 

「いいんだけどなぁ~。……少し、たけぇなぁ~」

 

 絹糸のように細い金髪が肩に流れ落ちる。

 際立つほどの雪のように白い肌。

 そして、切れ長の瞳に宿る──瑠璃色の光。

 

 それは、どんな人間が見ても、息を呑むほどの絶世の美女。

 

 タクヤは思わず足を止める。

 背筋に、冷たいものが走った。

 

 間違いない。

 あれは紛れもなく──

 エルザ・フォン・エスタービッチだ。

 

 タクヤの脳裏に、魔王として討伐されたあの日の記憶が蘇る。

 

 勇者パーティーで本当に恐ろしかったのは、剣を振るう戦士アナスターでも、光を掲げる勇者マリーシアでもない。

 

 ──神官、エルザ・フォン・エスタービッチだ。

 

 破天荒な性格の彼女は、“アズベール”だった頃のタクヤを完全に出し抜いていた。

 

 配下の魔物を次々と犯し、魔王軍屈指の幹部──四天王すらもその手中に収めた。

 奴隷にした魔物たちで自身の親衛隊を作り、魔界をも乗っ取ろうとしたのは紛れもない事実。

 

 なにより、絶命寸前のアズベールを犯し続け、とどめを刺したのはエルザだった。

 

(なんで奴がここに……!? 関わったら碌なことにならない。──逃げよう!)

 

 珍しく動揺を見せるタクヤ。

 それに呼応するように、キヨミとタカコの足取りも乱れる。

 

 二人はいまだ生気のない顔のまま。

 だが主の異変だけは正確に感じ取っていた。

 

 タクヤは気配を殺し、ゆっくりと背を向ける──

 

 その瞬間。

 

 エルザの瑠璃色の瞳が、まっすぐタクヤを射抜いた。

 

 ギクリと彼の肩が跳ねる。

 

 それを見てエルザは、ニヤリと笑った。

 

 そして、一直線にこちらへ向かって歩き出した。

 

「おい、お前……」

 

 エルザはいったん足を止める。

 わざとらしいほどの間。

 

 そして──悪魔のような笑みを浮かべた。

 

「アズベールだな。……転生したんだ~?」

 

「な、なんの話かなぁ~。僕、そんな人知らないよ……」

 

 タクヤはあどけない子供の顔を作り、首をかしげる。

 だが額からは汗が滴り落ち、エルザの目から逃げるように視線が泳いでいた。

 

 その様子を見て、エルザは肩をすくめる。

 

「動揺すんなよ。……お前との因縁は、あっちの世界で終わったんだ」

 

 そして一歩、距離を詰める。

 

「なにより──今のお前に、あんな魔力はないだろ?」

 

 その一言で、タクヤの顔からさらに血の気が引いた。

 

「お前……私に何をした!」

 

 低く、荒い声。

 それはいつもの子供らしい声音ではなく、完全に“魔王アズベール”の口調だった。

 

 キヨミとマキコは、その変わりように思わず顔を見合わせる。

 

 動揺するタクヤとは対照的に、エルザは余裕綽々だった。

 血相を変える彼を見て、ぷっと吹き出す。

 

「ははは……何したって? 封印したに決まってんじゃん」

 

 タクヤを見下ろすその姿は、まさに王者の風格。

 それを聞いたタクヤは、まるで、全てを奪われたかのように、顔色を失った。

 

「お前が転生するのは、お見通しさ。他の世界で悪さができないようにするのは当たり前だろ?」

 

 その言葉で、タクヤは気づく。

 

 ──確かに、おかしかった。

 

 この世界に生を受けた時から、魔力の修練を欠かしたことはなかった。

 だが、いくら錬成しても戻るのは、せいぜい生活魔法程度。

 かつての魔王の力には、遠く及ばない。

 

「生活魔法くらいは使えるようにしてやったけどな。……けどさ」

 

 呆然と目を見開くタクヤの顔を、エルザが覗き込む。

 そして視線を、キヨミとタカコへ移した。

 

「あんた、魅了スキル使ってるだろ?」

 

 図星を言われてタクヤの顔が引きつる。

 だがその瞬間、エルザの表情も険しくなり、さらに攻めるように言葉を放つ。

 

「また悪さしてたな? ……あんたのスキルは封印させて貰うよ。それに、あんたたちのこれまでの記憶も書きさえさせて貰う」

 

 エルザの話しが本当ならば、残されるのは生活魔法だけ。

 かつての魔王の面影は、完全に消える。

 

 世界征服など、夢のまた夢。

 

 さらに──築き上げてきた支配も、消える。

 

「や、やめろ────!」

 

 タクヤは突然声を荒げた。

 だが今の彼では、この女には到底敵わない。

 小さな身体を震わせ、怯えるように後退る。

 

 その姿を見て、エルザは満足げにニヤリと笑った。

 

「だったらさぁ~、元の世界に帰る方法を教えろよ。あんただったら知ってるよねぇ~?」

 

 それが、彼女の本題だった。

 エルザが街へ繰り出していたのは、ただ遊び歩くためではない。

 この世界に迷い込んでから、ずっと帰還の手掛かりを探していたのだ。

 

 だが、何一つ掴めないまま、半ば諦めかけていた。

 

 その時──タクヤを見かけた。

 

 千年以上を生きた魔王アズベールなら、何か知っているはずだ。

 

「教えてくれたら、魅了以外のスキルと──あんたの記憶だけは、そのままにしてやんよ」

 

 そう言って、エルザは悪魔のように微笑む。

 タクヤの背筋に、冷たいものが走った。

 

 確かに彼は、この世界と異世界を繋ぐ“ゲート”の出現場所を知っている。

 

 この世界を征服した後、元の世界に戻り、復讐を果たす──

 そのために、それだけはひた隠しにしてきた。

 

 だが、エルザが約束を守ったところなど、一度も見たことがない。

 平然と裏切る。

 笑いながら切り捨てる。

 

 その突拍子もない性格こそが、魔王軍を絶滅にまで追い込んだのだ。

 

 タクヤはすぐに答えられなかった。

 呆然とエルザを見つめ、額から汗を伝わせる。

 

「……ここから数十キロ離れた湖の畔だ。満月の夜だけ、この世界と異世界を繋ぐゲートが現れる……」

 

 絞り出すような声だった。

 

 彼に選択肢などない。

 圧倒的な力の差は、今のアズベールには埋めようもなかった。

 

 苦虫を噛み潰したような表情で、視線を逸らす。

 

 それを聞いたエルザは、満足げにニヤリと笑った。

 

「ふふ……じゃあ約束通り、魅了スキルは封じさせてもらうよ」

 

 そう言うと、低く呟くように詠唱を始める。

 

 その瞬間──

 タクヤとキヨミ、タカコの身体が淡く光を帯びた。

 

 何かが剥がれ落ち、天へ吸い上げられていくような、神々しい輝き。

 そして詠唱が終わると、エルザは清々しい顔で言った。

 

「じゃあな~、アズベール。今度は良い子に育つんだよ~」

 

 にこやかに手を振るその姿に、罪悪感の色は一切ない。

 

 咄嗟にタクヤが目を見開く。

 

「き、貴様ぁ────!」

 

 だが、すでに遅い。

 光が霧散すると、キヨミとタカコは不思議そうに顔を見合わせた。

 

「あら……私たち、何をしていたのかしら?」

 

 その瞳には、確かな生気が戻っている。

 もう、誰かに支配されている気配はない。

 

 そして、タクヤは──

 

 あの妖しい雰囲気は跡形もなく消え、あどけない子供の顔でキヨミを見上げていた。

 

「……お母さん、オモチャ……オモチャ買いに来たの……」

 

 その声に、魔王アズベールの残滓は一片もない。

 まるで最初から、ただの子供だったかのように。

 

 エルザはそれを一瞥すると、何事もなかったようにその場を後にした。

 

 だが──

 彼女はまだ知らない。

 

 タクヤの家に、もう一人、魅了の被害者が残されていることを。

 そして、その見逃しが、やがてマキコを“別人”へと変えてしまう。

 

 だが、それは、また別の話。

 

 昼下がりのショッピング街に、エルザの楽しげな笑い声が、高らかに響き渡っていった。

 

 

 

 

 

 

             ~to be continued~

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。