※この作品はR-18です。

エロスの極み   作:村上しんご

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第5話 対ゴブリン戦

 エルザは街へ繰り出すと、さっそく男を物色し始めた。

 すれ違う男たちは、エルザの美貌に思わず振り返り、容姿に自信のある者が爽やかに声を掛けてくる。

 だが、その中にはエルザのお眼鏡にかなう者はひとりもいない。

 

 アイドルのように整った顔の男に、エルザはまったく興味を示さなかった。

 

 むしろ逆だ。

 醜くさに人生をこじらせ、世の中を恨んで生きてきたような──そんな影を抱えた男こそが、エルザの胸をときめかせる。

 そして、そういう醜い人間が悶え苦しむ姿にこそ、彼女は最高の喜びを覚えるのだった。

 

 私の望む者はここには居ない──

 そう悟ったエルザは、華やかな繁華街を抜けて、ゆっくりと裏路地へ足を運ぶ。

 

 薄暗い雑居ビルの隙間には、スーツ姿の酔っ払いが転がり、その隣では、ブツブツと文句を垂れ流す男が、苛立ち紛れに看板を蹴りつけている。

 

 ──ここになら、私の望む男がいるだろうか。

 

 そう思いながら裏路地を進んでいると、ふいに背後から人の気配が迫った。

 次の瞬間、冷たい金属がエルザの喉元に押し当てられる。

 

「動くな……大人しくしてれば殺しはしない……」

 

 男はひどく興奮していた。

 エルザの身体をねっとりとした視線で舐め回し、更にその髪に鼻を埋めてクンクン匂いを嗅いでいる。

 横目で姿をうかがうと、吹き出物だらけの大きな鼻に、ギョロリとした目──まるで醜いゴブリンのような風貌。

 

 エルザの好みではある。だが、どう見ても、女にモテる顔ではない。

 男は胸の内に溜め込んできた鬱憤を、エルザの身体で晴らそうとしているようだった。震える手で彼女の喉元へナイフを押しつけ、人気の無いところに引きずり込もうとしている。

 

 そう、男は今まさに、エルザを犯そうとしていたのだ。

 しかし、これが初めてなのか、男の動きは手際も悪く、どこかぎこちない。

 エルザはその様子にニヤリと笑うと、ナイフをかわすように身を翻し──次の瞬間、男の顔面へ鋭いハイキックを叩き込んだ。

 

「犯すのは好きだけど、犯されるのは御免よ!」

 

 エルザは、自分が圧倒的な優位に立ち、逆らう気力すら失った相手を弄ぶのが好きだ。

 力に屈して黙って従う──そんな女々しい生き方は、彼女にとっては論外だ。

 

 自分の身を守る力なら十分にあるし、魔法を使えば国ひとつ滅ぼすことだってできる。

 こんな男の言いなりになど、最初からなるつもりはなかった。

 

 頭がひしゃげるような鈍い音が響き、男の身体は後ろへ吹っ飛んだ。

 そのまま大の字で地面に叩きつけられ、完全に意識を失ったのか、ぴくりとも動かない。

 

 その姿を見て、エルザは得意げに「ケラケラ……」と笑った。

 

 もちろん、魔法を使えばもっと簡単に片づけられた。

 だが、エルザの魔力は強大すぎる。ここで使えば目立つどころか──その場で相手を灰にしてしまいかねない。

 

「よ〜し、お仕置きターイム♪」

 

 上機嫌のエルザは、気絶している男の首根っこを、片手でひょいと掴んだ。

 そして、まるで壊れた人形でも扱うように男をずるずると引きずり、公園へと向かった。

 靴先が地面を擦る音だけが、静かな夜の公園に虚しく響いていた。

 

 しばらく歩き、人気のない草むらを見つけると、エルザは片手で男を放り投げた。

 鈍い音がして、男の身体が草むらに沈む。

 

「へへへ……お前がしようとしたことだ。存分に味わえ」

 

 白目を剥いたまま気絶している男を見下ろし、エルザは冷めた声で言い放つ。

 醜い顔そのものは嫌いではない。だが──力づくで女をものにしようとする、その根性が気に入らない。

 放っておけば、こいつは諦めずに、別の女性に同じことを何度も仕掛けるだろう。

 そして、一度でも成功して味をしめれば、女を犯すことに抵抗はなくなる。死ぬまでそれを繰り返し、罪の意識すら無くなってしまうのだ。

 

 こういう輩は、いつだって自分を正当化する。

「こんな犯罪を犯すのは、自分を見下してきた社会や女が悪い」──そんな都合のいい言い訳を振りかざし、その裏で、被害に遭う女の痛みも恐怖も、これっぽっちも想像しようとしない。

「努力が足りなかっただろうか」と自分を振り返り、見つめ直そうとする発想すらない。

 

 ──ならば、犯される人間がどんなに屈辱的かを、私が教えてやろう。

 

 エルザは、いまだに意識のない男を見下ろしながら、ブラウスのボタンを一つずつ外していった。

 そして、それを脱ぎ捨てるとブラジャーのホックまで外し、肉付きの良い美しい胸を、プルンと揺らしながら惜しげもなく晒す。

 さらに、ジーンズとパンティまで脱いで素っ裸になる。その格好のまま、男の前で仁王立ちになり、顔面目掛けて躊躇うことなく、小便を撒き散らしていった。

 

『ジョンジョロジョロジョロ、ジョンジョロジョロジョロ……』

 

「うっ、ぷっ……な、なに? う、うわぁ~!」

 

 意識を取り戻した男の目には、信じられない光景が映っていた。欲望の捌け口にしようと襲った女が、気が付くと全裸になり、自分の顔を目掛けて小便を掛けている。

 

 彼がエルザに狙いを定めたのは、見た目の良さからだ。裸になった姿は更に美しく、隠れていた部分まで露わになり、よりいっそう欲望を掻き立てる。

 しかし、これは予想していたものと明らかに違った。か弱い女を力でねじ伏せ、欲望の限りを尽くそうと考えていたのに、いつのまにか自分が侮辱を受けていたのだ。

 

 男の名前はマサル。

 特に特徴のない父と母から生まれたはずなのに──なぜか醜い部分だけを凝縮したような顔立ちで生まれてしまった。

 

 そのせいで、幼い頃からまるで“病原菌”のような扱いを受けた。

 理由もなく避けられ、必要もないのに嫌われ、笑われ、遠ざけられた。

 

 成長すれば多少は見た目が整うかもしれない──そんな淡い期待も裏切られた。

 年を重ねるほどに、醜さは逆に際立ってしまったのだ。

 

 二十八年間生きてきて、女性と親しくなれたことは一度もないし、近付かれたことすらない。

 いや、それどころか、友達という存在すら一度もできなかった。

 

 そして、彼はゆっくりと世の中を呪い始めた。

 同じ年頃の男たちが自然と彼女を作り、やがて結婚し、家庭を築いていく──そんな当たり前の光景を、マサルは遠巻きに眺めるしかなかった。

 

 欲望は募る一方なのに、妙なプライドだけは高く、夜の店に行くことすら “負け” だと思ってできない。

 逃げ場も発散もなく、鬱屈は少しずつ溜まり、腐り始めていった。

 

 やがてその塊は、ある歪んだ結論へと変わる。

 

 ──自分の良さがわからないなら、理解させてやればいい。

 愚かな女どもに“力づくで、わからせてやればいいのだ” と。

 

 そして、それを決行しようと街を彷徨っていた時、目に止まったのがエルザだった。

 

(襲おうと思って近づいたのに、何でこんなことになっているんだ……?)

 

 マサルは何故、自分がこんな状況になっているのか理解できなかった。どうして、こんな所に居るのかもわからない。

 羽交い絞めにしていたはずの女が、急に目の前から消えた瞬間、強い衝撃を受けた。

 気が付くと、こんな人気のない草むらで人生最大の侮辱を受けていた。

 

 しかも、この女は全裸なのに恥じらう様子もない。うら若き女性が放尿する姿など、人には見られたくないはずなのに、堂々としていて気にする素振りもない。

 ニヤニヤ笑って小便を撒き散らす様子は、まるで楽しんでいるようにしか見えない。

 

 ギラギラと目を輝かせ、マサルの様子を伺う姿は、まるでレイプする側の人間。

 マサルは急に背筋に冷たいものを感じ、思わず叫んだ。

 

「や、止めてー! そんなことしないでぇ~!」

 

 その悲痛な叫びを聞いて、エルザは鼻で笑った。

 

「なに言ってんの? 私はお前がしようとしていた事を、そのままお返ししようとしてるだけ」

 

 エルザの落ち着いた口調は逆に狂気を感じさせた。顔面への放尿は次第に勢いが無くなり、ゆっくりと止まっていく。

 マサルは小便で汚れた顔面を、手で拭いながら慌てて身を起す。

 

 ──こんな気の狂った女の相手などしてられない。

 そう思い、立ち上がろうとすると、エルザの手が軽く肩を押さえる。

 

「へぇ~、逃げるんだ? まあ、いいけど……逃げられるならね」

 

 穏やかで、まるで世間話でもしているような声。

 その音色とは裏腹に、肩に置かれた手は“質量”そのものが違っていた。

 

 軽く触れられているだけにしか見えないのに、まったく動けない。

 足に力が入らないどころか、肩にかかる重圧が全身を再び地面に押し戻す。

 

 マサルは後悔していた。

 ──この女からは逃げられない。最初から関わるべきでは無かったのだと。

 

「心配すんな。 気持ち良くさせてやっからさぁ~」

 

 しかし、どんなに後悔しようが後の祭り。そう言ってニヤニヤ笑うエルザの手が、マサルの大切な所をズボンの上から撫でていく。

 それは人生で初めての体験。だが、マサルが望んでいたのは、こういうことではない。

 これは圧倒的に力の優位な者が、弱者を弄んでいるのと同じ。それは、男としては屈辱でしかなかった。

 

 しかも、肩に掛かる重圧とは対照的に、そこを撫でる手の力加減は妙に優しい。

「あっ……ダメっ!」と言いながら両手で隠しても、強引に引き離され、敏感な所がまた撫でられていく。

 気持ちでは、こんな事は望んでないと否定してるのに、意志とは関係なくその部分が熱くなる。しかも、ムクムクと大きくなっていく。

 

「なんだぁ~、立って来てんじゃん」

 

 エルザは耳元でそう言いながらクスッと笑う。だが、嘲笑われてるような気がして、マサルは思わず顔を背けた。

 やられっぱなしの自分にも無性に腹が立つ。しかし、どんなに足掻いても、この狂った女からは逃げられる気がしない。

 

 ──この女と自分には大人と子供以上の力の差がある。

 そう結論付けても、悔しさで胸がいっぱいになった。いつの間にか、瞳から溢れた涙が頬を伝って流れていった。

 

「泣いてんのか? しょうがねぇなぁ~。 もっと、いいことしてやんよ」

 

 エルザはマサルの様子を事細かに伺っていた。そんな言葉で辱めながら、ズボンのジッパーをゆっくりと下ろす。

 

「やっ、止めてぇ~」

 

 するとマサルは、女の子のような声を出して思わず拒む。だが、エルザの手は既に固くなったものを探り当て、ズボンの中から引っ張り出していた。

 剥き出しになったそれは、光沢を見せるくらいに膨張し、天に向かって力強く伸びている。

 その様子とは対照的に、マサルは青ざめた顔で悔しそうに唇を噛んだ。

 

 エルザはそんな彼の様子を真上からマジマジと覗き込む。そして、固くなったものをゆっくりとシコり始めた。

 

「お前かわいいなぁ~。 気持ち良いでしょ?」

 

 マサルからしてみれば、それは馬鹿にされてるとしか思えない言葉だった。自分を見つめるエルザの瞳はキラキラ輝き、侮辱するのを楽しんでいるようにしか見えなかった。

 しかし、棒に沿って上下に動き続ける指が、カリ首を刺激するたびに思わず「あぁっ!」と声が漏れてしまう。

 密着する身体の温かさを感じながら、マサルはいつの間にか快感に身を委ね始めていた。

 

 そして、現実から目を逸らように瞳を閉じていると、目の前からエルザの顔がいきなり消える。

 それと同時に”刺激されていた所”が、今まで感じたことのない温かさに包まれる。

 先端をすっぽりと包む”とろける”ような感触。ニュルニュルと何かが蠢き、裏スジの所を刺激し続けている。

 

 マサルは思わず自分の下半身に顔を向けた。すると、信じられない光景が目に飛び込む。

 

 AVでしか見たことのないフェラチオ。それが、今、目の前で繰り返されている。

「ジュポジュポ……」と音を立てて、上下に動く頭。プルンとした唇が自分のものを、パクっと咥えてスライドしている。

 

 その感触は、今まで使ったどんな”大人のオモチャ”よりも断然気持ちいい。

 吹き付けられる呼吸。とろりと滴る唾液。上下に首が動くたびに細い髪が太股を撫でる。

 まさに、人にされてるという満足感が、切ない思いを込み上げさせる。

 

 マサルは、あっという間に限界を向かえようとしていた。だが、その時、嫌な予感が頭を過る。

 ──美人とはいえ相手は狂人。このままイッて、本当にいいのだろうか?

 

 マサルは必死に耐えた。小便を掛けていた時のエルザの姿を思い出し、早く終わってくれと懸命に祈る。

 

「お前、意外にイカねぇんだな。 気に入ったよ!」

 

 しかし、何故かご機嫌なエルザは、そう言ってマサルの上に跨る。そして、咥えていたものを指先で軽く摘まみ、自分の大切な所に擦り付けていった。

 ブロンドの茂みに覆われたその部分は、大股開きでしゃがんでいるからか、パックリ開き中の様子を覗かせている。

 淡いピンクのその部分は、しっとりと濡れていて、まるで誘っているかのように、妖しく”うねり”続けていた。

 

 亀頭の先がそこに少しだけ埋もれている。

 ヌチヌチと音を立てながら、行ったり来たりを繰り返している。マサルは虚ろな目でそれを見つめながら、身体をビクビクと震わせていた。

 

 ──ねっとりとした感触が、思った以上に気持ちいい。

 なにより温かくて、ヌルヌルしていて、擦られているだけなのに、身体中の力が抜けていく。

 

「へへへっ……童貞卒業だね。……おめでとう」

 

 その時、マサルの様子を見ていたエルザが、そう言ってニヤリと笑う。次の瞬間、一気に腰が沈み、マサルのものはエルザの中に、ニュルっと吸い込まれていった。

 

 ──全体を程よく締め付ける圧迫感。中で何かが蠢いているかのように、様々な所が締め付けられたり、解放されたりを繰り返している。

 しかも、中は奥に行くほど温かく、その滑りが想像を絶するほどの心地好さを感じさせる。

 

 マサルは遠い目をして宙を見つめ、涙を流していた。

 今まで悲観的な考えばかりで人生を送り、これほど感動できるものが、この世にあるとは思ってもいなかった。

 

 だが、エルザの腰が動き始めると、更なる衝撃がマサルを襲う。

 

「ああ────ーっ! だ、だめぇ──ーっ!」

 

 マサルは白目を剥いていた。「ニュチュッ、グチュッ……」という、卑猥な音が定期的に聞こえてくる。だが、それすらも耳に届いていない。

 エルザはそんなマサルの様子を楽しそうに見つめながら、ゆっくりと腰を動かし続けている。

 しかし、彼の股間に淡々とお尻を打ち付けてはいるが、まだ始まったばかり。それは、ペニスの具合を確認してるだけだった。

 

「わぁ──────っ! し、締まるぅ────っ!」

 

 それなのにマサルは、もう限界とでも言わんばかりに悶え続けていた。

 

 エルザは、こんな風に醜い男が藻掻き苦しむ姿が好きだ。意図的でもないのに、こんな反応を示すから、更に意地悪心が増す。

 複雑に腰を動かし始める。すると、マサルは口から泡まで吹く。まるで、カニのようなその姿に、エルザはケラケラと笑い出した。

 

「す、吸い込まれるぅ──────っ! な、なんだぁ、これはぁ──────ー!」

 

 マサルは絶叫しながらも、エルザの異様さに気付き始めていた。

 

 ──自分がこんなに喘いでいるのに、エルザはまったく無反応。

 微かな喘ぎは漏れてるものの、とても感じているようには見えない。

 AVの世界では、女性など挿れるだけで「あん、あっーん」と善がり狂っていたのに。これでは全く立場が逆だ。

 自分から腰を突いて、この女を感じさせたい。だが、そんなことをしたら、あっという間に限界を向かえてしまうだろう。

 

 最初に女を犯そうとしていたマサルは、この現実を知って、今されている立場なのだと、改めて気付く。

 そして、それに気付いても、この快感に抗えずに限界を向かえる。

 込み上げてくる射精感。マサルは挿入してから、僅か数分で泣きながら絶叫した。

 

「でっ、出るぅ──────────ーっ!」

 

 そう叫びながら放出するものの、吸い込む力がそれ以上に強くて半端ない。

 急速に吸い上げる衝撃で、意識が飛び、再び口から泡を吹く。

 薄れゆく意識の中で、お花畑が見えた。

 

 幸せそうな顔をしてグッタリとするマサルを見て、エルザはサッと立ち上がる。

「チュポン……」、そんな音を立てて抜かれたペニスが、役目を終えて沈んでいく。

 

 そんな彼を見つめながら、脱いだ服を1枚ずつ着ていくエルザ。

 ブラウスとジーンズ姿になった彼女は、再び夜の街へと足を運んでいった。

 

 

 

 

 

              ~to be continued~

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