私が自分が思うよりずっと自分の欲望を制御し切れない人間だと気づいたのは実はかなり最近のことだったりします。
もともと食い意地が張っていたというのは自覚してましたが、食欲以外に制御出来ない欲望があることに気づいたのは、最近voiceroidとして活動をはじめてからです。より正確に言うなら、そう、
「はぁ…、ぴちゃ、ちゅ…」
「ふっ…、ぅ…!あ、あかりちゃ…、んっ!」
私の先輩である、結月ゆかりさんとこういう関係になってからです。
人と肌を重ねるなんて経験事態が初めてだったので分かりませんが、ゆかりさんの身体を前にすると理性が全く働かなくなるのは、ゆかりさんが魅力的だからだと思うのです。
ゆかりさんの身体は、細身なのに何処も柔らかくてミルクみたいないい匂いがして舐めてみると流れる汗でさえも甘く感じてしまいます。ふわふわのケーキかもちもちのお饅頭みたいで、それにただ美味しいだけじゃなくて、とっても綺麗なんです。画像検索で出てくるような派手派手しくて目に優しくない海外のお菓子なんかとは違う、均整の取れたスラリとした身体に今は赤みの増してる色素の薄い肌。大体肩のあたりで切りそろえられた薄紫の髪は外の明かりに反射して砂糖菓子のようで。端正な顔立ちの奥、髪より少し濃いめの紫をした瞳も涙で潤んでいて、その眼球ごと舐めてしまいたいくらい。極めつけに、普段の落ち着いた少し低めの声が、今は上擦った高い声混じりの嬌声に変わっていて、その小さな悲鳴が聞こえる度に私の身体の奥がじん、と熱くなります。
私の五感は、自分の手によって淫らに喘ぐ先輩の全てに魅了されていて、それを求めてただ身体を重ねることに夢中になっていました。
ゆかりさんが喘ぎ声混じりに懇願するのに申し訳なさでいっぱいになる。あぁ、だけど、ごめんなさい。ようやっと自分の意思で待てを出来るようになったばかりの私では、こんなに美味しそうで綺麗なご馳走を前に我慢することなんて到底無理なんです。貴方がこんなにも美味しそうなのがいけないんです、そういうことで許してください。と、心の中でだけ。実際に口に出そうにも、秘唇から溢れる蜜が余りに芳醇で私は中毒患者みたいに舌から喉まで使って必死にかき集めていたから。
引き攣ってどうにも動かせなさそうな脚の付け根に顔を埋めて蜜を味わえば、ゆかりさんはシーツを握りしめながら悩ましげに眉を寄せて身をよじらせました。あんまりに動くから太ももを抱きかかえるように腕を回せば、耐えきれなくなったのか逃げ場を失くした快感が少しずつ口から漏れ出てきたのが嬉しくて、私はもっと聞こうと右手を秘芯へと伸ばします。そのまま顔を出した蕾を指先でくりくりと転がして、所在なさげにしていた左手で胸からお腹にかけてのなだらかな丘を撫でました。
「んあぁ…!それ…吸うの、強すぎです…!んっ!」
「んふぅ、ほほがふぃひんでふか?ちゅ、ちゅる…」
「やっ、喋ら、ないでぇ…っ!」
そうすれば、明らかに快楽に融けた声が溢れてきて。どうしましょう、にやけるのが止まりません。
右手の指を小刻みに動かせばそれに合わせて短い悲鳴が零れます。声の間隔が短くなったのを見計らって、自己主張を始めた親指と人差し指で摘んでみれば背を反らしながら身体を跳ねさせまたベッドに身体を預けて深く息を吐いて吸ってを繰り返し、しました。その様子を見ていると、飢えが満たされていく感覚、それ以上に焦りと飢餓感を覚えてしまいゆかりさんの制止も振り切ってより一層強く望んでしまいます。
左手の中指をお臍に潜らせると、感じてるのとは違う驚いたような悲鳴が漏れてとても可愛い。そのまま左手を北上させ、本人曰くコンプレックスらしい形の整った胸へと手を伸ばします。大きい方がよいと度々愚痴ってはマキさんにセクハラしてるけど、ゆかりさんのスレンダーな身体付きには今の方が合ってると思います。それに、華奢でスラリとしたゆかりさんのような体型の方があちこちの余計なお肉が少し心配な私からすれば羨ましい。中々分かってもらえないですが。それに、小さいといってもちゃんと柔らかくてふにふにと揉めば弾力として指に返ってくるし、何より胸の天辺に触れなくても声を漏らしてしまうくらいの感度のよさを失ってしまうなんて勿体ない。なんて、それは私の都合でしかないのですが。
「んっ!あっ…あかりちゃ、んぅう!!」
もうやめてください、げんかいです。
喘ぎと切れ切れになった呼吸でそう訴えるのも聞こえないふりをして、私は欲望のままに指と舌を動かし続けました。そうすれば、制止を求める懇願は抑えきれない喘ぎの中へと消えていきました。私はそれを行為を続けてもよいという余りに都合よく解釈しました。
***
「…やめてって、もう限界って、私何度も言いましたよね?」
「はい」
目が虚ろになって話すことも出来ない位に息を切らしたゆかりさんに気付いたのは、あれから何十分も責め立てた後でした。どうにか介抱して、腰痛を訴えながらもどうにか話せるくらいにまで回復したゆかりさんの前で私は絶賛正座の最中です。
「ホント、腰ならともかく喉も枯れ気味なんですけど…。あーしんどい…」
「ごめんなさい、ゆかりさんが可愛すぎて我慢できませんでした」
「反省してます…?」
少し呆れたようにぼやくゆかりさん。ベッドの上でシーツを被っただけの姿でそんなことを言われても、正直頭に入ってきません。相変わらず生唾を飲んでしまう位においしそうな身体が丁度視線の先にあるのですから。その上、まだ快楽の余韻が抜けきらないのか腰の辺りにさっきまで付いていなかったはずの染みができているのが見えて、きっと私の目はギラギラとしたままなんでしょう。
「…もう、あかりちゃんは暫くお預けです!」
「え…。そ、そんなぁ!酷いです!ゆかりさんの鬼!鬼畜!」
鬼も鬼畜も一緒じゃないですかね、なんて言いながらゆかりさんはまだちょっと不満げ。それは確かに十分反省してなかったかもしれないですが、それとこれとは話が違うでしょう、そんな私の訴えもゆかりさんは意に介さずです。
「ホントに少しは反省してください。茜ちゃんでも、もっと優しいですよ…」
「いや、茜さんは…って。ゆかりさん?」
聞き捨てならないことを言われた気がしました。ゆかりさんも自分の発言に気付いたのか、ぎくりとした様子になりました。でも、慌てたところで今更聞かなかったことにはできません。
「あの、ゆかりさん。マキさんとずん子さんは知ってましたけど、茜さんともそういうことしてるんですか?」
「いや、あの、ごめんなさい。なんか言うタイミングが掴めなくて」
「言い訳はいいです!」
私はそう叫んでベッドに迫りました。ゆかりさんは逃げようとしたのか身動ぎしましたが、先程までの腰の痛みがあるのか碌に動けていませんでした。
「もう知りません!今日は朝までヤらせてもらいます!」
「ちょっと、私明日仕事なんですけど、ん」
言い訳なんか知りません、と唇を塞いで言葉を遮る。なんて、ドラマか小説のようなことをしてそのままゆかりさんの身体をひっくり返しました。明日、もっと怒られるんだろうなぁなんて思いながら、私は自分の欲求のままに腕を舌を指を動かします。お腹一杯食べることは我慢したくありませんから。