恋人のそんな言葉に従いつつも少し不安を残すCULの元にやってきたIA。
しかし、その装いも振舞いも普段とは大きく違っていて。
私、ある方の影響でカルイアも好きなんですけど、見た感じカルさんが主導権握ってる感じのが多いんでちょっと捻ってみました。捻ったというか、私があまのじゃくなだけかもしれませんが(苦笑)
一答えられるイアはイアで余裕そうな笑みを浮かべながらカルに捕食者の視線を向けて感想を漏らすだけ。それに反論もできず荒い息を整えながらカルは視線を逸らす。イアのシャツから僅かに汗ばんだ白い肌が覗き、目のやり場に困ったから。
「…ねぇ、カルちゃん。この衣装、似合ってないかな?」
しかし、それが不満だったのか、ムッとした様子でイアはカルの顔を覗き込む。
「に、あってるけど、なんで、こんなこと…」
「ふふっ、よかった。これね、まだ調整中のだけれど、今度の曲で着る衣装なんだ。”conqueror”っていう曲のなんだけれどね」
「こん、く、なに…?」
衣装か曲か、或いは両方か。なんにせよ興味を示したようなカルの様子に満足したそうなイアは、今度はカルの耳元に唇を寄せた。耳に触れる吐息がくすぐったいのか身動ぎするカルの耳元でイアは言う。
「“conqueror”。征服者、って意味だよ?」
普段の彼女より幾分か低い声で囁かれぞくりとした感覚が背筋を走る。同時に彼女の意図を何となく察して、カルにしては珍しい弱弱しく縋るような視線をイアに向けた。それが却ってイアの興奮を酷く煽ることを、普段の情事で愛する側のカルは知らない。
「だから、今日の私はカルちゃんのことを侵略する悪い征服者なの。大丈夫、ちゃんと気持ちよくしてあげるから」
いつものイアの様子など微塵も感じさせないその強気で妖艶な言動や態度に、カルは今まで感じたことのない被虐的な衝動に駆られた。
***
「んっ…!」
「ふふ、気持ちいいんだ。ここ、ぷっくりしてるもんね」
寝るときに着ているスウェットの上着に手を差し込まれ胸を撫でるようにして触れられる。普段から寝るときは下着を着けていないカルは、自分以外の誰かの手が直接触れるその感触に思わず声を漏らした。普段とは違う恋人の意地悪な指先に双丘の先端をくりくり、かりかりと引っ掻くように弄られ、その度にぴくんぴくんと快感が電流となって全身に走る。
「さっきからぴく、ぴくってしてるよ?カルちゃんって思ったよりも敏感なんだ」
「い、いうなぁ…、ひゃっ!みみ…っ!」
「ふふ、お仕置き」
イアの舌がカルの耳をなぞる。くちゅり、と聴覚を犯す湿った音と温かい感触に身体が震えてしまう。普段、快感にも弱い彼女を愛するときに自分がしているそれとは違う、意地悪く刺激的なイアの愛撫にカルは身悶えることしかできない。
「は、ぁあ…っ!い、あっ」
「なぁにぃ?」
「どこ、で、こんなの、おぼえたのさ…んっ!」
「んん?あのね、ゆかりちゃんとマキちゃんに色々教えてもらったの。カルちゃんを気持ちよくしてあげたいからって言って。やるのは初めてだけど…うまくできてるかな?」
「できてる、から…、まって、あ…!」
ちゅう、と唇がカルの首筋に触れる。快感と共に軽い痛みが走る。自分もカルがするようにキスマークを付けてみたいとお願いされてイアに何度かやらせたことはあるが、そのどれもがこんなに巧くはなかった。私のイアに何を教えてくれてんだ、と軽い嫉妬と怒りを覚えながら同時にこれは危険だと本能がカルに危険信号を発する。これ以上与えられたら、嵌ってしまう。抜けられなくなってしまう。
「ん、こっちも…」
「ちょ…!?いあ、やめ…!」
「でも、カルちゃんもしてくれるよね?大丈夫だよ、とってもきもちいいから」
自分のイメージを崩したくない、なんて思いに囚われて快感に耐えるカルを尻目にイアは次の段階へ進もうとする。カルの上着の裾を掴み、そのまま上へと引き上げる。引き締まった腹部が露になり、更にその先、形のよい胸がイアの視界に曝される。快感からか微かに赤く染まった双丘とぷっくりと自己を主張する頂、何より快感と羞恥で真っ赤になった涙目の恋人の表情にイアはぞくり、と自分が今まで感じたことのない衝動に駆られるのを感じた。その衝動の赴くまま、イアは露になった胸の先端に唇を近づける。カルは迫る刺激に目を閉じて身構える。そうして、ちゅ、と唇から音が鳴った途端、
「んぁあ!」
カルの口からもまた悲鳴にも似た喘ぎが漏れる。その感触を覚えさせるように唇を鳴らし時には舌先で弾きながら、もう一方の頂も刺激する。普段より温度が高めな胸を掌全体を使って優しく包みながら、人差し指と中指の付け根できゅ、きゅと挟む。カルももう快感に耐えきれないようで、イアに快感を与えられるその度に閉じられた口の端から押し殺したような嬌声が零れ落ちる。その声が聞こえる度にイアもまた興奮を煽られて吐く息が熱くなる。ふ、と自分の頭にいつの間にか手が添えられているのに気づいて顔を上げる。快楽に耐えられなくなったカルが自分の頭を抱きしめるようにして顔を引き寄せていた。それに嬉しさとこそばゆさを覚えて思わず口角が上がるのを感じた。そして、思い出したようにイアは痛いほどに膨らんだ胸の蕾へと唇を寄せる。そろそろ頃合いかと小さく口を開いて、かり、と歯を軽く立ててもう一方の蕾も一際強く指で摘み上げる。
「ぁ、~~~~~~っ!」
そう、声にならない悲鳴を上げながらカルは身体を強張らせた。背筋が反り、イアの頭に回していた腕を自らの胸に押し付けるように引き寄せる。んむ、と白く柔らかい肌に押し付けられたイアの口から声が漏れた。胸のみの刺激で絶頂に押し上げられた身体からふっと何かが切れたように力が抜ける。恋人の薄桃色の髪に手を回したままカルは仰向けのまま荒い息を吐く。呼吸は整えきれず、涙で潤んだ瞳もどこか虚ろだ。
「カルちゃん、大丈夫?」
回された腕を除けてその表情を眺めていたイアは、羽虫が炎に誘われるようにふらふらと唇を近づけそのままカルのそれと重ね合わせた。拒む気力もないのかされるがままのカルの唇の隙間から舌を挿し込み、その舌先で擽るようにしてカルの舌を弄ぶ。その微細な刺激にも反応するようで、スウェットに包まれた身体がぴくぴくと震える。そんな素直な反応につい笑みが零れる。
「ふふっ、気持ちよさそうでよかった」
「い、あ…」
漸く意識が戻ってきたカルに名前を呼ばれる。
「きもちよかった?私、ちゃんとできてたかな?」
「う、ん…。むねだけで、イくとか、ほんとにあるんだね…」
「よかった。聞いただけだったから不安だったんだぁ」
「うん…。じゃあ、もう、ねよっか。その前に、ちょっと、からだとかふきたいけど…」
「え、まだ駄目だよ?」
「え…?」
起き上ろうとスウェットをずり上げられた上半身を起こそうとしたカルは、しかしイアが自らの肩に手を添えて布団へと押し付けてくるその所作に嫌な予感を覚えた。まだ、という単語。先程までは胸の刺激のみだった。つまり、その次があるわけで。
「まだ、こっちは触ってないよね?」
その予感はイアが自分のお腹を撫でるように触れてスウェットの下に手を掛けたことで確信に変わる。くすり、とイアが笑った。
「ま、まって、イア!も、もう、今日はこれ以上は、っあぁ!?」
「らいよーぶ、ひゃんとひもちよくしてあげるから」
イアの興奮しながら同時に据わってもいる熱のこもった瞳を向けられ、ぞくりと期待交じりの危機感を覚えカルは制止を促す。しかし、その制止も意味をなさず、逆にイアに胸元に歯を立てられるその刺激で抑え込まれた。ちくりとした痛み交じりの快感で言葉を失っているその隙を突くようにして、イアの右手がカルの履いていたスウェットに挿し込まれる。そのまま下腹部を撫でる指先は更に奥を目指し下着へと到達した。
「い、あ、おねがい、はずかしい、からぁ!」
その懇願は聞き入れられない。イアは自身の内側に燻る熱に浮かされるようにして、下着の中心へと指を伸ばし力を込める。くちゅり、と音が鳴った。
「ふぁ、あんっ!」
一際高い声が漏れる。その声が着火剤となるように、イアは炎が燃え上がる錯覚を覚えてその熱気に流されるまま指先を動かす。初めてとは思えない器用さで下着の端をずらすと、流れるような所作で蜜壺に指の先を沈める。そのまま浅いところを前後に撫でる。
「あ、い、いあ、やめ、んぅう!」
強い快感に流されるまま、カルは体裁も気にせずに喘ぎ声を漏らす。それでも、なけなしの理性が自分ばかり絶頂へ導かれるのが恥ずかしいと叫ぶ。そうして制止を求める声を上げる。このままでは、またイってしまう。絶頂へ押し上げられてしまう。そう思って、
「あ、ぁ…ふぇ、っ?」
引き抜かれた指先に、カルの声が止んだ。上がった熱量は冷めきらないまま宙ぶらりんにされた。それまで望んでいたはずの静止はもどかしさとなってカルを苛む。
「なん、で…?」
「やめた、よ?カルちゃん?」
イアに耳元で囁かれる。その吐息に熱を煽られるが、快楽の熱は行き場を失ったままカルの内側で燻り続けている。なけなしのプライドが快楽を望む自分を拒んでいるが、もうそれも限界すれすれで。そして、イアはそんな恋人の可愛らしい見栄っ張りを見逃すはずもなかった。
「見て、カルちゃん?ほら、こんなに濡れてる…」
「…っ」
スウェットから引き出された指先はしとどに濡れていて。イアはその指先を見せつけるようにすぐ目の前で遊ばせる。そうして劣情を煽りながら、更に舌先で指に纏わりついた蜜を掬い取ってみせた。
「…って、いあ」
「どうしたの、カルちゃん?」
その光景にいよいよ我慢の利かなくなったカルが、恥ずかしそうに口を開く。ぼそぼそとした声は通りが悪くちゃんとは聞こえなかった。それでも、おおよその見当のついているイアは、しかし、ちゃんと喋らせたいと聞き返す。羞恥に苛まれながらも自分に快楽を強請る恋人の姿に、責められる時とは全く異なるぞくぞくとした快感が背筋を走るのを感じた。
「~~~っ、おねがい、さわって、いあぁ…!」
「…っ!でも、カルちゃん、さっきは嫌って言ってたよね?」
「うそ、だからぁ!おねがい、もうがまんできないの…!」
「そう、なんだ。じゃあ、触ってあげるね。だけど、やめてって言ってもやめてあげないよ?」
「それで、いい…!いあを、ちょうだい!」
先程まで与えられた快感を強請るように、カルはスウェットを膝の辺りまで自分からずり下ろす。見る人が見れば滑稽な光景だろうが、そのある種無様な光景がイアの興奮を大いに煽った。イアは自分の唾液とカルの愛液とでぐしょぐしょになった指先を再びカルの蜜壺へと沈めた。
「~~っ、ぁああ!き、たぁ…!」
「ふふ、今度は最後まで、かき混ぜてあげるね?」
イアはそう笑うと指先をぐちゅぐちゅと音を立てながら蜜壺に呑みこまれた指を不規則に動かしてみせる。浅いところをかき混ぜたかと思えば、少し奥のざらりとした箇所を撫でたり。その一挙一動にカルは身を震わせて、最早我慢を忘れた嬌声を上げる。ふ、と挿し込まれた指先がカルの奥の方で何かに触れた。それの存在にイアは感動すら覚える。
「…また今度、これも貰ってあげるから」
「ぁん、んぅ…、う、んっ!あぁ…!」
快楽に流されてちゃんと聞き取れなかったのか、返事とも喘ぎとも取れない声を漏らすだけのカルに苦笑しながら、イアはその膜から手前に指先を移して別の良いところを探る。
そうしているうちに、お腹側の手前辺りのざらりとした感触のところが特に弱いと気付きそこを重点的に責める。
「あ、い、いあ、もう、イっちゃう…、イかせて、いあぁ…!」
「いいよ、…イって?」
いつの間にやら自らを責める恋人の背中に腕を回したカルの快楽の涙を流しながらの懇願を、イアは今度こそ素直に受け入れた。興奮で熱くなった指先で一際強くカルの弱点を強く擦る。
「いあ、いあぁ!~~~~っ!」
最後の絶頂に零れたのが自分の名前。それだけで、イアはカルが押し上げられたように自らもまた高みへと至る。疼いた下半身が一瞬ぞくりと強張り、脱力する。後を追うようにカルの身体からも力が抜け、ベッドに赤い髪が広がった。
「カルちゃん…、大丈夫?」
「…ぁ、きもちよかった…、いあ…」
紡ぐ言葉は単調なものばかりで、カルの思考はまだ回復していないようだった。流石にやり過ぎたかな、イアが反省し指を秘唇から抜き取ろうとして、
「も、っと…」
それをカルの言葉が遮った。
「…いいの?からだ、大丈夫?」
「からだ、とか、しらないから、もっと、きもちよくして…!」
「…っ、わかった、カルちゃん…!」
ギラリとした捕食者の目に再び熱が入る。その彼女に捕食されるカルは、責められ疲れた表情を、まだぼんやりと焦点の定まっていない瞳をイアへと向けて笑ってみせる。それが何ラウンドになるかも分からない夜伽の合図となった。
***
「いい歌だね、これ。格好いい」
「うぅ…恥ずかしいよ」
件の新曲を聞きながらカルは笑いながら言う。イアは顔を赤く染めて画面に流れるプロモーションビデオから視線を逸らす。本当に、この控え目で恥ずかしがり屋な少女が、PVでセンターを飾る少女だとは思えない。
流れている”conqueror”を聞きながら、カルはしかし内心燻る熱を押さえるのに必死だった。画面に流れるあの衣装で踊る少女と、あの夜のベッドで自らを責め立てた少女が重なり、どうしても快感がフラッシュバックしてしまう。我ながら単純だと情けなく思う。それでもどうにか体の奥で燻る疼きが理性をがりがりと削ってくるのを抑える。
「?ねぇ、カルちゃん、どうしたの?」
「ふぇっ!?」
急な恋人の発言にカルは驚いた声を上げる。
「なんか、難しい顔してたよ?大丈夫?」
「あ、あぁ、だいじょうぶだよ?」
そう雑に誤魔化しながら、不思議そうに見るイアから視線を逸らす。どうにか平静を保とうと珈琲に口をつけて、
「あつっ!?」
「か、カルちゃん、大丈夫!?」
猫舌であることを忘れて零してしまった。零れた珈琲はそのまま上着と太腿にかかり染みを作る。情けなさを感じ布巾を適当に探すが、先にイアが布巾を持っていた。
「イ、 イア…!大丈夫だよ、自分で何とかできるから…」
「そんなこと言っても…、早く拭かないと!」
そう言ってイアはカルの太腿に触れる。その瞬間、じわりとカルの背筋に快感が走る。当然ながら気にした様子もなく身体を熱心に拭いてくれるイアを振りほどけるわけもなく、情けない姿を晒すまいと内側に燻る快感に耐える。しかし、イアの手がカルの内腿、脚の付け根の敏感な箇所に触れた途端、
「ひぅ…っ」
思わず声を漏らす。いかにも嬌声じみた高い声を。ぴくり、とイアがカルの方を見る。イアの方もカルの変化に気付いたのだろう、困惑の中に僅かながら熱が灯ったのを交差する視線の先に見た。
「ご、ごめん…!変な声出して…!」
「う、ううん…。だいじょうぶ、だよ…」
そう言うが、イアの視線に込められた炎はその熱量を上げていく。ソファに座ったままのカルの膝上に、自分の服が汚れるのも構わずにイアが座る。そのままイアがカルの首に手を回し、身体を密着させる。五月蠅くなる心臓の鼓動を抑えようにも、あの日の快感が脳内を駆け巡り身体に残留する。もう、身体はイアの与える快感を求めきってしまっている。
「…カルちゃん、ねぇ?」
「な、なに…イア?」
「あつい、ね…?」
「あ、う、うん…。珈琲ね。早く脱がないと…」
「そうじゃないでしょ?」
ぴしゃり、と窘めるように飛んできたイアの言葉につい口を噤んでしまう。そうしているうちに耳元に添えられたイアの唇が言葉を紡ぐ。
「“征服”、しちゃっていい…?」
ぞくり。
いつもより低い、あの時と同じくらいの声色で囁かれる。熱が身体を駆け巡り抵抗の意志も力も削ぎ落されていく。熱っぽく潤んだ恋人の視線に射抜かれれば、もう諸手を挙げて降参だ。後はもうされるがまま、イアの唇を、服の裾から挿し込まれる掌を受け入れた。