間違いないだろう。それは正しく、そしてあまりに残酷なのだから。
あの娘は天使だと誰かが言った。
美しく、強く、正しい。成績優秀で風紀委員長としても活躍する彼女を、礼儀正しくそれでいて自分にも他人にも厳しい彼女を、誰かが羨望と畏敬の念を込めて天使と言った。
天使というのは悪魔より人を多く殺しているという。神の命に従って、残酷かつ忠実に。必要とあれば、人間を罠にかけるようにして殺すこともある。狡猾で、残忍。天使のその側面を知る者は存外少ない。だが、確かに彼女はその側面を持ち合わせていた。
「ほら、早く濡らしてください。誤って、自分で破ることのないように」
結月ゆかりは、風紀委員室の中央で自慰を強いられていた。その部屋にいるのはゆかりを除いて一人だけ。彼女の目の前、風紀委員長にして天使と畏れられる東北ずん子の言葉に従って、ゆかりは秘唇に指を這わす。
結月ゆかりは決して素行がいいとは言えない生徒であった。授業はよくサボるし、遅刻も多い。授業に出ても居眠りしている時間の方が長いこともしばしばだ。テストの成績は最低限取ってはいるが、教師陣からすればそれが面白くない。教師が何度注意しても碌に話を聞きやしない。そんな彼女を唯一制御できるのが、学園の天使たる東北ずん子だった。
「ん、くふ…、ぁ、あ…」
「ふふ、そうそう。よぉく濡らすんですよ、私が触ってもいいくらいに」
「ぅ、こ、の…、鬼畜…!」
「へぇ、そんなこと言ってもいいんですか?あの事、学校や教育委員会に言ってもいいんですよ?」
「…っ、くそぉ…」
悔しそうに歯噛みするゆかりの手綱となるのは、校内で煙草を吸っていた際の写真。ゆかり自身も魔が差したとしか言えないその光景を収めたそれを持っているのはずん子ただ一人。何故か彼女は、その写真を教師や教育委員会にも見せずにゆかりと彼女だけの共有の秘密にしている。
はじめは、その真意を測れずにいたが、今となれば彼女の考えも理解できた。自分を飼い慣らし、自分で遊ぶという目的の為。今だって『夜の街中で男と一緒に歩いていた』などというありもしない噂を武器に、自分が援助交際を行っていない、即ち処女であることを証明しろなどという無茶苦茶な理論武装でゆかりを追い込んでいる。
「ふ、ふぁあ…っ、くぅ…っ」
いよいよゆかりの膣口からくちゅり、という水音が聞こえ始めて、そろそろいいだろうと顔を上げようとして、
「そろそろいいですねぇ」
「んあぁ!?」
いつの間にか目の前まで近づいていたずん子が、膣口に容赦なく人差し指を突き入れる。ゆかりは突然の刺激に思わず声を漏らし、縋るようにずん子の制服を掴んでしまう。そんな様子の彼女に対しても容赦などなく、膣内を指でかき回す。
「んっ、ん、ふっ、ぅ…、うぅんっ!?」
ゆかりはどうにか声を抑えようと口元を手で覆う。それでも声は漏れるし、脚もがくがくと震わせてしまう。そこにずん子が立っていて、彼女の身体を支えに出来ていなければその場にへたり込んでしまうところだった。だが、彼女の存在は微塵も有難いものではない。膣口の上の辺り、ゆかりの弱点であるそこをずん子は容赦なく擦る。
「っ、ひ、ぅう、んぅ~~~~~~っ!」
声にならない悲鳴を上げて、ついにゆかりはその場にへたり込む。その足元にはゆかりの秘芯から漏れ出た雫が零れ落ちていて。それを視界の端で捉えて、ずん子はうっとりとした笑みを浮かべた。そして、ゆかりの膣内からぬるりと引き抜いた指を息を整えようとする彼女の口元へと運ぶ。
「大丈夫ですね。処女膜は破れていないようです。それでは、これ、綺麗にしてくれませんか。自分から出たものでしょう」
それは問いかけではなく命令だと直感で分かった。ゆかりは悔しさで今にも泣きだしそうになるのを堪えて、伸ばされたずん子の指を口内に含み舌を這わせる。そのまま、ちゅぱちゅぱと自らの愛液を舐め取った。ずん子がその光景にぞくりとした快感を得ていることをゆかりはまだ知らない。
「そう、いい子です。そのまま私の言うことを聞いていただけたならちゃんと卒業させてあげますから…」
そう愉悦に満ちた笑みを浮かべる天使の姿に、ゆかりは怒りとそれ以上の畏怖を覚えた。そして思う。彼女は天使などという高潔な存在ではなく、狡猾で残忍で独善的な化け物である、と。