初めて挑戦してみたけど、Hな話って難しい。きちんとHにかけてるといいけど、あと本番行為はありません。
ガタンゴトンと、足元が揺れている。一定のリズムを刻むようなその揺れが一瞬、一際強く揺れた感覚に「はっ」と目が覚めるように藤丸立香は顔を上げた。
「えっと、ここは……私、電車に乗ってる?」
気がついた彼女は瞠目しながら目線だけを動かし周りを注意深く見回す。自身の立ち位置、現在の状況、そしてその原因を探るように。
通勤中のサラリーマンや学生でひしめく電車内は渋滞しており、中々に狭苦しい、そして、テロップの流れる電子掲示板に流れる駅名はそこが東京都内である事を示していた。
(東京……私の故郷。でも、どうして電車に、特異点? まさかカルデアから帰って! ……ううん、違う。そんなわけない。でも、どうして私がここにいるのか。その理由が思い出せない。マシュは……サーヴァントのみんなはっ!?)
いくつもの特異点。歴史の狭間に生まれた存在ししないシナリオを修復してきた彼女は自身の現在に戸惑いながらもサッと仲間たちがそばにいないかを確認する。
(いない……カルデアとの通信も……ダメか。これはまあよくある事だけど、この訳のわからない状況で一人は……)
右手が掴んでいる吊り革をギュッと握る。滲み出てきた不安の影を追い払うような仕草だ。
(ともかく、次の駅で一旦降りよう。それからゆっくりと考えて……ん?)
自身の置かれている状況が緊急で危険がよってくるようなものではないと判断した彼女はサワサワとした感覚に気がついた。
それはスカートの上から何かを探るように、撫でるような動きだった。
(ちょっ! 嘘でしょ。痴漢!?)
何かを探るような、表面をなぞるような動き。それは間違いなく自身のスカートの上を這っており、時折その上からお尻に触れてきていた。
不快なその感覚に眉を顰め、パチンと手の空いている左手で弾く。
(ちょっと勘弁してよね。こんな訳のわからない状況で痴漢とか。そんなことに付き合ってられる状況じゃないんだから)
はあ、とため息をつき窓の外へと視線を移す。流れは景色はかつて見慣れていた光景で、その先にあるのが自身が住んでいた場所へと向かっているのが見えた。
「!」
不快感。先ほど弾いたはずの手の感触が返ってきていた。それは懲りることなくまたスカートに触れ、わたしの反応を探るように指先だけ触れるようにお尻に触れてきていた。
またと、再びの感覚に不快感を超えて怒りが湧いてくる。
相手が気づいている事を教えてもやめてこない。こういう手合いは半端に対応してもやめてこないだろう。
そう判断し、面倒だが警察のお縄についてもらおうと恐る恐ると触れてきているその手を掴もうとし、
(どうして──?)
自分の身体が動かないことに気がついた。
戸惑う彼女を他所に、触れてくる手は少しずつその感覚を強めてきていた。
彼女が抵抗してこないことに気がついたのだろう。1度目よりも大胆に、その手はスカートの上から彼女の臀部に触れその形を確かめるように撫でてきている。
まるで虫に這われているような不快感だと、どうしてか体の自由が効かなくなっていると確認した彼女は口を開こうとする。声を出し、周りに助けてもらうために。
「あっ……」
しかしできなかった。
喉をついてでたのはかすかに漏れるような淡い声。痴漢を責め立てるような非難はまるで喉に栓でも閉められたように声が出てこない。
その不可解な事態に焦り、周囲に助けを求めようとまだ自由の効く目線を動かすが、誰一人としてこちらを気にかけている人はいなかった。
その間も手の動きはより深いところを求めるように大胆になっていく。相手が手を振り払わないことに抵抗しないと認識したのか、その手はスカートの内側へと侵入しようとしていた。
(うそっ、入ってくる。いやっ!)
無骨さを感じる男の手。スカートの内側に入り、彼女の腰下に触れられたことで感じたリアルな手の感触。それがいっそう、痴漢されているという事実を認識させ、抵抗できないことへの焦りに拍車をかけた。
(早く、なんとかしないと! う〜〜〜っ、触ってくる手が気持ち悪いっ!)
手は藤丸が抵抗しない事をいいことに腰下から太ももへ、そして柔らかな尻たぶへと味わうようにゆっくりと動いていく。
そして男の手が尻たぶに触れた瞬間、まるで緩急をつけるようにギュッと指先から手のひら全体で掴むように勢いよく彼女たちの白いショーツの上から藤丸のそれが握られた。
「んぅっ!」
そっとこちらの様子を伺うような触れ方から急転換するような強い触れ方に、思わず声が漏れ出てしまう。
それは甘い声というにはあまりにも驚きの成分が強いものではあったが、まるで自身が不本意なその手に性的に感じてしまったかのように感じ、恥じらいのあまり藤丸の顔は赤くなった。
(こ、こわい……。今まで、死にかけるって意味で怖い思いをしたことはいっぱいあるけど、こんな経験で怖く感じるのは──!)
多くの旅を経験してきた藤丸。その中で体験した無数の命の危機よりも、女性の尊厳という意味で奪われるという恐怖がある意味死よりも重たい恐怖として彼女の心を蝕んでいた。
早く駅につけと、身体が自由になってくれと祈る間も触れてくる手の動きは止まらない。
男の手はこちらの反応に気を良くしたように、より大胆に、動きが活発になっていく。
腰下、太もも、尻たぶとフルコースのメニューを前菜から味わうように動いていた手は彼女の体の前の方へ、下から回り込むように鼠蹊部へと触れた。
「いっ……や!」
悲鳴とささやかな、小さな呻き声。
なんとか絞り出した声はしかし誰にも届かずガタンゴトンと鳴り響く電車の後に消えていく。
鼠蹊部へと辿り着いた手はその形をなぞるように指先で上下する。彼女の肌とショーツの間を行き来するような手に唇を噛み締め、なんとか意識を逸らそうと頑張るが無駄な努力と嗤うように男の手は止まることがない。
むしろ、こちらの反応を楽しむような動きさえ見せてくる。
下着の内側に入るか入らないかの境目をチョロチョロと探るように、時折下着の端を浮かしてパチンと弾かせて。
抵抗できない私を弄ぶような仕草だった。
(──え、離れた?)
下着の内側まで触れられる。そう覚悟した矢先のこと。唐突に自身に触れていた手が離れたのだ。
それは彼女をして予想外であり、絶対に触れられると思っていたので一瞬呆けてしまうほどであった。
もしかしてと、電車内に流れるアナウンスに耳を傾ける。
駅に着いたのかもと、だから離れたのかもしれないと駅員が流すアナウンスを必死の思いで聞きとる。
早くこの悪夢よ終わってくれという願いからくる行動であったが、その淡い希望は儚くもすぐに破られることになった。
駅に到着する直前、トラブルにより電車が止まっていたのだ。
それによりいつ痴漢してくるかわからない男のいる密閉空間で、いつ再開するともしれない電車を待たなければいけないのだとより深い絶望をすることになった。
(大丈夫……体の自由はまだ効かないけど、こんな止まった電車の中じゃ、流石に相手も及び腰になるはず。だからきっと……っ!?)
スッと、背後にいた人が動く気配がした。
「!?」
電車内に人が混雑しているからではない。その明らかに意志を持ち自分の真後ろに立ったのだと看破し、藤丸立香は戦慄する。まだ、悪夢は終わっていないと。
(近い……いくら混雑してるからってこんなに近くに立つなんて。明らかに痴漢目的……っ!)
男は自分とそう身長の差異はないのか、首筋に顔を近づけスーッと息を吸うような動作をしていた。
(きッッッつい! 気持ち悪いッ!!)
体の感触だけでなく、体臭まで味わおうとするその行動にブワッと鳥肌が立つ。吸い込んだ後に心地よさげな吐息もその気持ち悪さを助長していた。
そして当然と言わんばかりに、背後に立つ男の手が先ほどの続きをしようと動き出す。
こちらの反応がない事を知っているからか、男の手は躊躇う事なく太ももに直接触れ、全体で揉むように動かしながら這ってくる。
その徐々に上部の、隠された部分へと伸ばされる手の速度は先ほどより早く、滑らかである。
「っ!」
藤丸は始まったと羞恥と絶望に暗くなる心に諦めるなと喝を入れ、必死に背後に立つ男を睨む。背後にまで動かせない顔で、どういった男が自身の体を弄んでいるのかを把握することはできない。しかし、せめてもの抵抗はしてやるという意思の表れであった。
しかし、その意思が男へと届くことはなく霞のようにないものとして扱われていく。
気がつけば電車が止まる直前、鼠蹊部まで触れられていた状況と同じとなっていた。
パチンと、つい先ほど行われた男の指先で伸ばされた下着が肌に戻る音が鳴る。あまりに小さな音で周囲に聞こえない音だが、当事者である藤丸にだけは聞こえていた。
「──ここまで抵抗しないとは、君も望んでいたのかい?」
突然、背後から耳元へ向けて男から囁かれる。それは明らかな挑発の意味も含まれており、抵抗しないならこのままやるよいう意味であった。
(そんなわけないでしょ!!)
囁かれた藤丸の内心で、男への罵倒が迸る。羞恥心と怒りが頬をこれまでにないほどに熱くし、体さえ自由であればとっくにぶん殴っていると言いたかった。
そんな様子の藤丸を見た男は、彼女の耳元まで赤くなっている様子に合意していると勘違いし、その手を彼女の大切な、誰にも触れさせたことのない箇所に白い布地の上から触れた。
「〜〜ッ!?」
藤丸の喉から声にならない声が漏れる。
絶対に他人には触れさせたいはいけない場所に、布の上からとはいえ見ず知らずの男に触れられたために。
男の指は、パクパクと何かを言いたげな彼女をさらに追い詰めるように優しく掻くように上下させる。藤丸の秘所の形に沿うような、恥じらいをさらに引き立たせるような動きだ。
少し、濡れているね。
そんな言葉が、後ろから聞こえてくる。
その指摘に彼女はいよいよ限界だと言わんばかりに目を閉じる。目の端からは小さな雫が漏れ出てこようとしていた。
「──あっ」
申し訳程度の声。とうとう、男の指が自身の履く布地の内側に入り込んできたのを感じたのだ。
触れられたのは自身の秘所。ピタっと貼り付けるように男の指先が触れた。
そして何かを探るように何度か縦の下にと行き来した指が離れ、藤丸の顔の前に差し出される。
見ると、指先には微かに濡れて光る、少しの粘つきが見える液体が男の指に付着していた。
「ッッッ!!」
遊ばれている。
わかっていたことだが、後ろの男はこちらの反応を楽しんでいるとその指先に見えるものをわざわざ見せてきたとこで察した。
煽るように見せてきたそれが、私がさらに恥辱に染めるだろうと考えての行動。
様々な大冒険を繰り広げてきた藤丸でもそっち方面では初心であるために、まさしく効果覿面な行動だった。
これまで以上の羞恥が襲いかかる。
もはや顔どころか身体全体が燃えるように熱かった。
「さて、そろそろ私のものも鎮めていきたいな」
ゾワリと、羞恥心に耐えていた藤丸の背筋が凍る。
背後からお尻に触れているナニカ。棒状の、熱を帯びたものが自身のお尻の間で挟み込むように当てられたからだ。
(う……嘘でしょ!? これって絶対……男の人の……! こんな人がたくさんにいる中で、正気なの!?)
痴漢している人に問う言葉ではないことが、心の内で叫び声を上げる。
慌てて周囲に視線を送るが、後ろで行われていることに注意を向ける人はいない様子だった。
(誰も気づいていないの……!? このままじゃ初めてがこの人に、そんな……そんなのいやッ!!)
初めてが奪われる。
そんな予感が確信になりつつあるのを感じ、藤丸は必死に体を動かそうとする。身を捩り、なんとかこの状況を打開しようとする。
旅の結果死ぬかもしれない覚悟はあっても、辱めを受ける覚悟はできてないと言わんばかりに。
自由のない体を動かそうとする彼女を見ながら男の片手が藤丸の下着に触れ僅かにずらされる。
そして、ピタリと男のモノが自身の秘所に当てられ、クチャと湿っぽい音を立てながら輪を裂いて侵入してこようとして──。
「い……イヤ──ッッッ!!」
藤丸は喉が焼けるほどの勢いで叫びながら飛び起きた。
「ハァ………ハァ……えっと、ここは…私の部屋?」
男のモノが入り込もうとしたその瞬間に飛び起きた藤丸は荒げた息のまま、周囲を見渡す。
真っ白な壁面に生活感を足すように置かれた観葉植物のある部屋は、南極にあるカルデアに当てられた自身の部屋であった。
「じゃあ今のって、夢……だったの?」
自分自身に確かめるような質問だった。
だんだんと落ち着いていく息を大きく吐く。身体を見ても、服は寝巻きを着ており、学校指定の制服ではない。
リアルな夢であったと。
悪魔だったわとどんよりと心を落とし項垂れ、次いで悪夢でよかったと安堵し、なんで夢を見てるんだと自分で自分を叱りつける。
そうして一連の感情の変化をしたあと、
「でも………夢でよかったあ〜〜!」
と、背中から倒れ込むようにベットに横になった。
時計を見ると、深夜2時。
まだ、カルデアにいる人の多くが就寝している時間だった。
「なんっっって夢見てるのよ。あんな夢見るなんて、もしかして溜まってたのかな……」
余人がいては決して口にできない事を呟きながら布団を被り直しもう一度眠ろうとする。
そして足を動かしたそのとき、奇妙な湿り気を感じ目覚めた時同様に飛び起きた。
「うっわ! やらかしてる……あの夢のせいだわ。はあ、しゃーない! シャワー浴びるかあ」
下着どころかズボンまで侵食し濡れている事を確認し、ベットから出て上着を羽織り、シャールームへと向かう。
どうか誰にも会いませんようにと、そっと部屋を出ていきながら万が一誰かに見つかった時の言い訳を考えながら憂鬱気味にシャワールームへと足を急ぐのだった。
一応短編として書きましたが、もしかしたら続きとか書くかもしれません。題材的にいくらでも書けそうですし、思いの外書いてて楽しかったので本番シーンとかも、いつか挑戦してみたいですしね。