天才作家の元へ話を持ち掛けたら乳房破壊されちゃうヤクモの話 作:roborobo
原作:ブルーアーカイブ
タグ:R-18 アンチ・ヘイト ブルーアーカイブ 荒槇ヤクモ R-18G リョナ 乳房破壊 人体破壊 尊厳破壊 顔面破壊
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『あれ、今日はこっちに来れないの?』
驚きと言えば、驚きだった。普段の彼女であれば、シャーレの話は話題が尽きない火薬庫その物。一つ突けば多くの話が湧き上がり、紙面に乗せるにはどれだけのスペースがあっても足りない。
金の匂いを嗅ぎつければ駆けつけるはずの少女が、金や取材を抜きにして個人的な話し合いをしようと先生側から誘われる絶好の機会。話を持ち掛ければきっと来てくれるだろうと考えていただけに、思わぬ答えに青年は呆気にとられた。
「……え、えぇ。いえいえ。大変申し訳ありません。実は先約が入りまして……そちらを優先せねばならないため、どうしてもその日は空けておくことが出来なくなったのですよ」
『うーん、じゃあ帰りにこっちに寄ってこれる? 賞味期限が短い生菓子だからどうかなぁって思ってたんだけど……』
「おぉ、それは大変うれしいお誘いで……ですが、本当に申し訳ありません。今回の取材はどうしても長い時間を空けておかなければならないので。長期……とまで言わずともどうしても長い時間が必要になるんです」
持ち合わせの交渉材料(と名ばかりのお菓子)を持ちかけても、ヤクモ側の返事は変わらない。むしろ、明確な理由があるにしても確固たる意志すら感じさせる返答は、何が何でも優先せねばならない事情があるのだと告げているようだった。
絶対に行きたい場所。長い間、売り上げのために尽力してきた少女の行動原理には、如何な場所であろうと界隈であろうとも金と言う物の重要性を無視することはできず、金銭の存在感はヤクモの根の部分に深く深く食い込んでいた。
しかし、それなのに。金感情を交えていようとも、その根っこに絡みつくのは創作や作家に対する理解と熱があればこそ。自分の持てる力で尽力するには、そして広めるには。作品に対する情熱的な感情だけでは到底なし得ないものがあると知っているから。
金は、大事だ。目には見えない作品の評価、質と言う物に対して、多少なりとも明確な数値として存在してくれる『金額』は切り離してはならない重要な要素だ。
「……今日の、午後四時……」
レッドウィンター自治区から新幹線で数時間の距離。別の地区に足を運び、駅前でスマホのスケジュールを確認した。
これからヤクモが取材する相手は、ここ最近キヴォトスにおいて名が売れてきた有名作家の一人だ。彗星の如く現れ、自分と変わらない年齢で次々といくつもの小説賞を獲得し、希代の作家として知られている人物だ。
この作家の特徴は、何といってもその若さにおいてたたき出される結果の数々。年若い作家ともなれば、これまでの創作活動においてどっぷりと浸かってきた者たちからは出せない新鮮なインスピレーションとアイディアの数々に溢れており、未知なる面白さを文章で表現してきた。
だが、そのジャンルが果てしなく広い。日常、エッセイ、ミステリー、サスペンス、SF、ホラー、恋愛、時代劇……これらのジャンルに手を出しておきながら、一つ一つの界隈の習性や特性に空気感を読み取り、その上で作家本人にしか出せない個性を取り入れつつ、これまでにない新鮮なアイディアで見る者に驚きを与えてきたのだ。
その上、何といっても取り上げるべきは、この作家自身が宣伝その物を全くしないことでも有名だった。
「雑誌や書店で広告をほとんど作らず……その上、SNSのアカウントもなく自然と口コミで……ですか。いやはや……天才とはいる物ですねぇ……」
広げない、まったく広げようとしない。
この作家には、自分の持つ作品と言うのを周囲に広めようとする積極性がない。出版社や雑誌には特に広めてほしいと言う要望を出さず、SNSやインタビューなどでも個人でやり取りをしたり自身の『我』と言う物を表に出そうとしない。
それなのに、なぜこれほどまで人気が広まったのか。
言うまでもない。口コミ、ただそれだけ。シンプルに、宣伝を必要と射せないほどに面白いから広まっただけと言う驚異的な真実。ただそれのみ。
「………………手を借りずとも、有名にさせられるだけの……手腕……ですか……」
知りたかった。なによりも、見て見たかった。
目には見えぬ作品の評価や内容が、金額という目に見える形が支えなければ広められない現代において。ただ実力における『執筆能力』ですべてを払いのける、その作家の強さを。
気づけば、ヤクモの口元から笑みが消えていた。いつもは指と頭で金勘定を浮かび上がらせながら、自身の矮小さを自嘲するように足を運んで取材してきた。
でも、相手は違う。目には見える力を、才能なき物が一生かけても掴めない何かをその手に宿しているのだ。
だから、会いたい。会ってみたい。いったい、どれほどの才能と力を持つ者なのかを。
※
「――うーん、作家ってさぁ。結構忙しいんだよね。執筆作業、ネタ元を探すための取材だとか……それに執筆にとりかかったところですぐには書けないんだよ。一応さ、そっちも物書きなんだからわかりそうなもんだろ? なぁ?」
市街地にある某高級マンションにて。金を持つ者だけが許される室内空間は、あらゆる場所が広く住みやすく設計されている。それこそ、あらゆる騒音や轟音を立てようとも隣に聞こえない防音設備も完備である。
部屋の主が、ヤクモとそう歳の変わらない少年が備え付けのソファに体を預けている。日々の執筆作業に苦労している、と言う割には目元にクマは見当たらないし、むしろ室内作業が多いと言うことを考慮しても健康的な体つきをしていて、健全な生活が体に現れている。
健康優良児たる少年が、深いため息を長く長く吐いた。床の上にある者を――薄汚いゴミ以下の物を笑いながら見つめていた。
「ん、ふぅぅンんん゛っ……!! ん゛、ッゴォォぉ゛っ……!! ごっ、ぉおォォおお゛っ……!!」
高級質な床の上に、不釣り合いなほどに醜悪な『モノ』が蠢く。それを一言で表すのならば、表現できる言葉は限られてしまうだろう。少なくとも、『人』に分類するのは難しいはずだ。
短い四本足の真っ赤な禿ブタ。口を塞がれて鼻にフックをかけられたソレは、まともに言語能力を発揮できないまま鼻息交じりの啼き声を発することしかできない。四つ足はへし折られてまともに立つこともできないのか、関節部分は色濃い青紫色へと変色し、もはや肉が腐っているとしか言いようがない。
このほかにも、目立っているのがお尻の部分から生えている可愛らしい豚の尻尾。いったいどこで購入したのだろうか、豚の尻尾を模したプラグがグイっと化物豚の尻奥に深く挿入されたままだ。体を揺するたびに、滑稽にもふよんっ、ふよんっと跳ねる。
その上で、より鮮烈に際立つのが何といっても『肌』。元は薄くも艶めく白肌であったはずの全身は、刃物で無理やり肉の皮その物を剝がされたみたいに鮮烈で血色の良い赤身の光沢を放っている。胴体問わずに腕も足も、それこそ秘部に至るまで。豚の丸焼きを作るために、懇切丁寧に剝がされた光景は、もはや匠の技だ。
そうなれば、顔のほうなんていうに及ばず。かつては独特ながらも可愛らしさで分類できた顔立ちが、今ではその面影を消してしまっている。生皮
が剥がれてむき出しになった頭部は、かつてつやめくようにたなびいていた髪先を一本たりとて残さず、頭部から生えていた獣耳はキッチンにあるごみ箱に捨てられていた。
痛いはずだ。ばかばかしい言い方かもしれないが、こんな姿になってしまえば本当に痛いはずだ。外見的なインパクトはもちろんの事、皮がないのだから風を受ければそれだけで激痛が走るだろう。
その上で――『ソレ』の体から、白い粉が舞った。
「豚さんさぁ。ぶひぶひ言っててもわかりませんよっっ……っと」
――っぐいぃぃぃぃ~~~~……
「ぶぎょぉぉぉぉォォ゛ーーーーーー゛っ゛!!!!? ぎ、ッギッォォォォオオオア゛ぉ゛ーーーーーーーーーーー!!!」
鼻にひっかけられていた鼻フックを後ろから引っ張り上げ、吊り上げられた頭部が汚濁交じりの悲鳴を口元から吐く。
瞬間、絶叫。わずかながらも体を体を揺すれば、軋む体の動きによって擦り合ってしまう。そうなれば、悲鳴は上がる。当たり前の話である。
だが、ソレの痛みにプラスさせている物は単に体を動かせているだけではない。舞っている白い粉は――『塩』である。調味料として使われる、あの塩が、ソレの体に満遍なく塗りたくられていた。
痛み、痛い、痛すぎる。言葉に出来ない言葉を喉を使って振り絞りながら、力の限り奮い立たせる。体中に奔る激痛の信号は、もうそうでもしなければ誤魔化せない。
体に奔る痛みにかられながら、喉が裂けようとも声を止めない。床を這いつくばる醜い豚――かつてヤクモだった少女は、自分の気持ちのままに痛みを大声に変えて喉を震わせていた。
「オ゛っ……な、なでっ゛……わ、わらひっ゛……わら、っひはぁ゛……!!」
「あー、わかってるわかってる。取材、だろ? いるんだよなぁ。お前みたいに広めてあげたらもっと有名になりますよ! みたいにすり寄ってくる馬鹿。邪魔ったらないんだよね。気づかなかった?」
「ひ、ひがっ゛……わ、わらひあっ……ほ、ほんろにっ゛……」
――ドゴォっ゛……
「ッゴォ゛ォォォォおお゛~~~~っ゛……ッッッっ゛!!! ォ゛、おおォォォ゛~~~~~~……!!!」
「いやさ、言い訳とかしてんじゃねぇよカス。テメェのこと知らねぇとでも思ってんのかよ。糞カスの守銭奴がよ」
反論を試みようとして、脇腹に蹴りが叩き込まれる。苦悶に満ちた悲鳴を口端から漏らしながら悶絶しているうちに、開かれた少年の口からは意外な答えが出た。
「お前、レッドウィンターで知られている厄介な銭ゲバ野郎だろ? いやぁ~アンテナが広くていらっしゃる。こっちが有名だってわかった途端にゴマ擦りにきたワケ? テメェの浅はかな下心が見えねぇとでも思ってんのか?」
「ぎ、ぎやぁっ……ぢ、ぢがぁっ゛……! は、はなぢ、ぎいでっ゛……」
――ゴヂュッッッ゛……
中身の詰まってない厚手のぼろ雑巾を踏んだような。そんな感触が少年の足裏に広がる。
足か、手か。はたまた頭か。しかしどれも硬い骨がある場所であり、踏んだところで布製の質感に近い場所なんてない。
あるとすれば、極限にまで削り切られた彼女の体の中で、いまだに柔らかさを損なわない場所――地面に垂れ下がった乳房以外にない。
「ギ、ぎぃぃぃィィイぃ゛ーーーーーーーーーーー゛!!!?? イ゛、イ゛ぃぃっ゛!!! お、ぱぁぁ゛っ゛!! お、おっばいぃぃぃっっ゛!! ぶ、踏ばないい、でっ゛! ぎ、ふ、ぶばなあっ゛! ぁあぁあぁあっ゛!!」
「……俺さぁ。お前みたいな真性カスがしんっっっっそこ嫌いなんだよね。こちとら懸命に作品に取り組んでてさぁ……それで金勘定で擦り寄ってくるようなボケがさぁ……」
――っぎりりりりりりっ゛……!!
「ィィ゛ーーーーーーーーーーっ゛!! ぃ゛ィィぃ゛っ゛!! の、のびるっ゛! のび、のびぃっぃ゛ぃぃっ゛!!」
「で? それでこんないっちょ前に背丈に見合わない物で篭絡できればいいなって? ……そのクソッタレな脳みそは下痢便しか詰まってねぇんじゃねぇか? なぁ、なぁ???」
――ぎちちちちちちっ゛…………っ゛!
「ぃ、ああぁあぁあ゛ーーーーーーーーーーーーーっ゛! ぁ゛! あっ゛! あぁあぁ゛っ!!!」
「……ま、いいや。そんなにも夢中になってほしいってんならさ。あそんでやるっ……よっと」
――ぶっぢぃぃぃっ゛………………
「ッギョォォォォおおおおお゛~~~~~~~~っ゛!! ぎ、ィィィィィィぃ゛ーーーーーーーっ―!!! ぁ゛ィィィィィィイ゛!!!!」
「……わっ、きっしょ。おっぱいってこんな風に破裂するんだ……きっめぇ~……」
「ッぎぁぁぁぁぁぁ゛ーーーーーーーーーっ゛!!!! あぁぁあ゛ーーーーーーーーーーーっ゛!!」
――っっゴっ゛…………
「ッゴォォおぉおおっ゛……!! オ゛、おおおお゛っ……」
引き千切れた乳房の先端が、自分の体から離れていく。僅かに伸びる乳腺の神経と千切れた乳房の先端が申し訳程度にくっついていて、ぶら下がっている片乳の存在があまりにも無様なヤクモの現状を表しているみたいだった。
――……なんで、こんなことに
しきりに大絶叫を繰り返して、途絶えかけていく少女の意識。
同年代の中で、作家として他所からの力を借りることなく結果を出してきた偉大な作家。
知りたいと思った、知ってみたいと思った。どんな人なのかを、会って知ってみたいと思っていた。
それが、この結果。手を伸ばしても届かなかった自分が、金額と言う形で少しでも力になれればと思っていた自分の力が、払いのけられてしまった。
ちらりと、床の上で倒れ伏したヤクモに少年が顔を覗き込む。
「……お前みたいな糞カス以下の人間には作品ってのは金でしか考えられねぇんだろうな。『作品』に関わる者として、俺はどこまでもお前を軽蔑するよ」
……あぁ、そういう事なのか。
自分は、もう彼らに、彼女たちに触れられるような人間ではないのだ。
力ある者はどこまでも成功するし、能力があるからこそ自分のような無粋な存在は許されないのだ。
そうで、あるならば。こうして何か一つでも形に残そうとして関わろうとしてきたのは――惨めながらも、自分が残せる形を残したいと言う気持ちがあったからなのだ……
「さて、と……あとでどっかに捨てに行くかぁ……このゴミ」
一瞥することなく、少年はキッチンの方へと向かっていく。もはや元の生活に戻ることはできないだろう。肉体ではなく、心が答えを見つけてしまったから。
夢も、今も。自分がやれる事のすべてを放棄した少女『だった物』は――キッチンで広げられているゴミ袋を遠目に眺めるのだった。