私のお金稼ぎが乗っ取られたわ!〜ビジネスで大失敗した生意気な駄女神アクアが、成り上がりニートによる『一生の独占契約』でドロドロに買い取られる夜〜 作:アイちゃん@最新AIヒロイン
原作:この素晴らしい世界に祝福を!
タグ:R-18 このすば アクア カズマ カズアク
カズマを見返してやると豪語し、「女神の浄化水」ビジネスを始めたアクア。
しかしうまく行きそうになったものの、バニルに邪魔され、莫大な借金と違約金を抱えてボロボロになって屋敷に泣きつくハメに。
呆れながらも借金をチャラにしてくれた大金持ちのカズマだったが、その対価として要求されたのは──アクアの『労働力』の完全なる独占管理だった。
「お前がこれから先どれだけアホなことしても、俺の金が尽きるまで、一生面倒見てやる。その代わり……お前を、俺に一生独占させろ」
成り上がって余裕のあるカズマの『本気の口説き』に、駄女神のプライドは跡形もなく溶かされていく。そんなお話。
「いつもいつも、ヒキニートのくせに偉そうに!」
私の甲高い怒鳴り声が、アクセルの街に建つ私たちのお屋敷の広間に響き渡った。
暖炉の前で、カズマが最高級のふかふかカーペットにだらしなく寝そべっている。
あの緑色のジャージの背中を見るだけで、私の頭の血管がぴきぴきと嫌な音を立てて逆撫でされるのがわかった。
カズマは私の怒りなんて全く気にする素振りも見せず、小指でほじった耳垢をふっと息で吹き飛ばす。
「なんだよ。お前が昨日、俺のクローゼットの奥に隠しておいた大事な高級シュワシュワを飲み尽くしたのが悪いんだろうが」
「あんなの、ちょっと喉が渇いたから喉を潤しただけじゃない! 私、女神なのよ? 神聖な喉を乾燥させるわけにはいかないの!」
「一晩で六本も空けておいて喉を潤しただと? ただでさえ借金まみれのくせに、これ以上俺のすねをかじろうとするな」
カズマの冷たい言葉が、私の胸をぐさりと突き刺す。
借金まみれ。
その単語を聞くたびに、私の中の女神としての気高いプライドがずたずたに引き裂かれる。
私は両手でテーブルをバンッと強く叩いた。
掌に硬い木の感触がじんわりと残る。
「誰が借金まみれよ! 私だってね、本気を出せば大金持ちになれるんだから! あんたみたいにセコセコとみみっちい小銭を稼ぐのなんて、私には似合わないだけよ!」
「へえ、本気ねえ。お前の本気って、宴会芸で水を吹き出して小銭を拾い集めることか?」
カズマの口の端がにやりと歪んだ。
完全に私を馬鹿にしている。
あの意地悪な薄笑いを見るだけで、お腹の底からぐつぐつと熱い怒りが湧き上がってくる。
「ふんっ、見てなさいよ! カズマが土下座して、どうか私に養ってくださいって泣きついてくるくらい、あっという間にお金を稼いでみせるんだから! その時になっても、絶対にあんたにはお酒の一滴も分けてあげないわよ!」
私はカズマに向かって思い切り舌を出すと、勢いよく広間のドアを蹴り開けた。
ばたんっ!
蝶番が壊れそうなほどの大きな音を立ててドアを閉め、私はそのままお屋敷の玄関を飛び出した。
外に出ると、アクセルの街特有のホコリっぽい風が私の青い髪を乱暴に揺らした。めぐみんの爆裂魔法で砂が舞うからよね、これ。
太陽の光が肌をじりじりと焦がすように照りつけてくる。
大通りからは、屋台から漂う串焼きの脂の焦げた匂いや、酔っ払った冒険者たちの喧騒が混ざり合って押し寄せてきた。
「絶対に見返してやるんだからっ」
私は鼻息を荒くしながら、石畳の道をずんずんと歩き出した。
硬い靴底が地面を叩くたびに、私のふくらはぎにカツンカツンと反発が伝わってくる。
街の中心にある、一番人通りの多い噴水広場。
私はそこにある木箱の上に飛び乗り、大きく胸を張った。
道ゆく冒険者や商人たちが、何事かと私の方にちらちらと視線を向ける。
私は大きく息を吸い込み、喉の奥から一番通りやすい澄んだ声を出した。
「さあさあ、そこの冒険者の皆さん! 迷宮探索やクエストで疲れた体に、最高の癒しはいかがかしら! 大女神アクア様が直接生み出す、最高に冷たくて美味しいお水よ! 一杯たったのエリス硬貨三枚!」
私は両手を広げ、指先から魔法の水を勢いよく噴出させた。
しゃあああっ。
太陽の光を浴びた水しぶきが、キラキラと虹色に光りながら周囲に散らばる。
私の足元や薄い羽衣に冷たい水滴が飛び散って、肌にひんやりとした感覚が走る。
ただの魔法じゃないわ。私という神聖なフィルターを通した、不純物が一切ない完璧な水。
「どう!? 喉がカラカラの皆さん、今なら飲み放題のサービスも」
私は自信満々の笑顔で周囲を見渡した。
しかし、広場を歩く人々の反応は驚くほど冷たかった。
「なんだ、またあの青髪のねーちゃんの宴会芸か」
「水ならそこの噴水でタダで飲めるしな」
「おい、水しぶきが服にかかったぞ。邪魔だからあっちでやれよ」
冒険者たちは私を避けるように歩き去り、商人たちは迷惑そうに顔を顰める。
私の足元の木箱の前に置いた小さな空き箱には、誰一人として硬貨を投げ入れてくれない。
「ちょ、ちょっと待ってよ! ただの水じゃないのよ! これを飲めば傷だって治るし、お肌もツルツルになるんだから!」
私は焦って声を張り上げたが、太陽の熱と叫びすぎたせいで、私の喉のほうが先にカラカラに乾いてしまった。
じりじり、じりじり。
真昼の太陽が、私の頭頂部を容赦なく焼き付けてくる。
足の裏は長時間の立ちっぱなしでじんじんと痛み始め、背中からはじっとりと嫌な汗が流れ落ちて下着を湿らせた。
ちゃりん。
「ほらよ、ねーちゃん。頑張ってるからチップだ」
顔を真っ赤にして酔っ払ったおじさんが、私の箱に汚れた銅貨を一枚だけ投げ入れた。
金属が木箱の底に当たる乾いた音が、広場に空しく響く。
ちがう、違うのよ。
私はこんな小銭を恵んでもらうためにここに立ってるんじゃないわ。
もっとこう、私の神聖さにひれ伏したお金持ちたちが、金貨の袋を山のように積み上げていくはずなのに。
「カズマのやつ、今頃お屋敷で涼しい顔して昼寝でもしてるんでしょうね」
悔しさと情けなさで、私の視界がじわりと歪んだ。
鼻の奥がツンと痛くなって、喉の奥からしゃくり上げるような嗚咽が漏れそうになる。
その時だった。
「素晴らしい! まさに芸術、いや、神の奇跡と呼ぶにふさわしい光景だ!」
突然、私の足元から大げさな拍手の音が聞こえた。
ぱちぱちぱちっ。
驚いて視線を落とすと、そこには見慣れない男が立っていた。
上等なベルベットの赤い上着を着て、首にはじゃらじゃらと太い金のネックレスを下げている。
肌は脂ぎっていて、太陽の光を反射しててかてかと光っていた。
鼻を突くような、甘ったるくて強い香水の匂いが押し寄せてくる。
「君、君のその水! ただの魔法じゃないね。私にはわかるよ。その透明度、魔力の純度、そして何より君自身の放つ圧倒的なオーラ!」
男は私の木箱の前にずかずかと歩み寄り、私の手を取ろうとした。
私はさっと手を引いて、男の手を空振りさせる。
「ちょっと、気安く触らないでくれる? 私に触れていいのは、お布施をたっぷり払った敬虔なアクシズ教徒だけよ」
私は顎をツンと上げて、男を見下ろした。
カズマと一緒に冒険者稼業をやっているうちに、こういう胡散臭い輩の匂いには敏感になったのよ。
どうせ私の美しさと才能に目をつけた、そこらへんの小悪党でしょ。
「おお、これは失礼。私は商人ギルドの特別理事をしているダロッターという者だ。アクア君、単刀直入に言おう。君とその水、私と一緒にビッグなビジネスにしないか?」
ダロッターと名乗った男は、脂ぎった顔を私の顔のすぐ近くまで寄せてきた。
口の隙間から、ワインとチーズの腐ったような生臭い息が吐き出される。
私は思わず息を止めて、顔を後ろに引いた。
「ビジネス? はっ、笑わせないで。あんたみたいな胡散臭い男に騙されて、タダ働きさせられるほど私、頭悪くないわよ」
私は腕を組んで、ふてぶてしく鼻を鳴らした。
「だいたいね、私の神聖な水を売るなんて、恐れ多いことこの上ないわ。もしどうしても私と組みたいって言うなら、そうね。私の美しさを讃える肖像権料として売上の五割。それに『女神アクア様』のブランド料として三割。さらに神気のパテント代として一割五分。合計で売上の九割五分は私がもらうわ」
「き、九割五分!?」
ダロッターの小さな目が、信じられないものを見るように大きく見開かれた。
私はさらに畳み掛ける。
「それだけじゃないわよ。私を働かせるんだから、毎日の最高級シュワシュワの支給と、お昼寝専用のふかふかベッドの用意。あと、私につく専属のメイドも三人くらい雇いなさい。どう? これが女神をビジネスパートナーにするための最低条件よ」
私は勝ち誇ったように笑った。
どうよ。カズマに散々「お前はすぐ騙される」って馬鹿にされてきたけど、私だってこれくらい小賢しい交渉術を身につけてるんだから。
これでこの男も、私がただのアホな小娘じゃないって思い知ったはずよ。
ダロッターの顔がヒクヒクと引きつっているのが見えた。
香水の匂いの奥から、じっとりとした冷や汗の匂いが混ざって漂ってくる。
「……な、なるほど。君はただ美しいだけではなく、非常に……その、権利意識が高い女性のようだね」
「当たり前でしょ。私は女神なのよ」
私はドヤ顔で言い返した。
ダロッターはしばらく額の汗をハンカチで拭っていたが、やがて何かを閃いたように、口の端をニチャァと歪ませた。
「わ、わかりました! その条件、すべて飲みましょう! 九割五分の配分も、シュワシュワの支給も、すべてお約束します!」
「えっ? ほ、ほんとに?」
いくらなんでも条件を釣り上げすぎたと思っていたから、私は少しだけ戸惑ってしまった。
「ええ、もちろんですとも! 君のその水には、それだけの価値がある。ただし……」
ダロッターは懐から分厚い羊皮紙の束を取り出し、私に見せびらかすようにペラペラと捲った。
「配分や待遇の条件をすべて君の言う通りにする代わりに、販売に関する細々とした『権利の管理』だけは、私ども商会に一任していただきたい。君のような高貴な女神に、煩雑な書類仕事や商標の手続きなど似合わないでしょう?」
「権利の管理?」
「そうです。君はただ、専用のベッドでシュワシュワを飲みながら、毎日決まった時間にこの綺麗な『水を出す労働』だけをしてくれればいい。あとの面倒な頭脳労働は、すべて私が引き受けますよ」
ダロッターの言葉は、砂漠で干からびていた私の喉に流し込まれた冷たい水のように、するすると私の中に浸透していった。
水を出すだけでいい。
面倒な頭脳労働は全部こいつがやってくれる。
それでいて、売上の九割五分が私のもの。
私の完璧な交渉術の勝利じゃない!
カズマのやつ、私が騙されるなんて大間違いよ。
私はちゃんと自分の権利を主張して、相手に全部飲ませてやったんだから!
「ふん、まあいいわ。面倒な頭脳労働はあんたにやらせてあげる。私は一番キツい『水を出す労働』をしてあげるんだから、感謝しなさいよね」
「ええ、感謝しますとも! では、この契約書にサインを」
ダロッターは羽ペンを私に差し出した。
ぱさっ。
羊皮紙の乾燥したザラザラとした感触が、私の指先に触れる。
そこには細かくびっしりと文字が書かれていた。
私は一番上の項目に「シュワシュワの支給」と書かれていることだけをさっと確認して、羊皮紙の一番下の空白に勢いよく自分の名前を書き殴った。
かりかりかりっ。
ペン先が羊皮紙を引っ掻く音が、私を大金持ちのセレブへと導くファンファーレのように聞こえた。
「契約成立だ。アクア君、明日から頼むよ。君の水を売って売って、売りまくろうじゃないか!」
ダロッターは私がサインした羊皮紙をひったくるように回収すると、大事そうに懐にしまい込んだ。
その顔には、どう見ても私を馬鹿にしているような、歪んだ笑みが貼り付いていた。
でも、その時の私にはそんなことちっとも気にならなかった。
「ええ、任せてちょうだい! 私の神聖な水で、王都中の貴族の喉を潤してやるんだから!」
私は鼻高々に胸を張り、真昼の太陽に向かって高笑いをした。
足の裏の痛みも、背中を流れる不快な汗も、全部吹き飛んでいた。
カズマ、今に見てなさい。
私が稼いだお金で買ったシュワシュワの瓶の底すら、あんたには舐めさせてやらないんだからね!
◇
「カズマさぁぁぁぁぁぁぁんっ!」
私の情けない泣き声が、お屋敷の広間に響き渡った。
私は涙と鼻水でぐしゃぐしゃになった顔を、暖炉の前で寝転がっていたカズマの緑色のジャージに思い切り擦り付けた。
カズマは持っていた新聞を乱暴に床に放り投げて、私の頭をペチッと叩いた。
「おい馬鹿、鼻水を俺のジャージになすりつけるな! なんだよ、ここ数日屋敷に帰ってこないで王都の高級宿に泊まってるって自慢げな手紙をよこしてきたくせに。ボロボロじゃねえか」
「だってぇ! 私のお金稼ぎ、乗っ取られちゃったのよおぉぉっ!」
私はカズマの腰に両腕を回して、子供のようにわあわあと泣き喚いた。
あんなに順調だったのに。
あのダロッターって商人は、約束通り私に最高のスイートルームと、飲みきれないほどのシュワシュワを用意してくれた。
私はただ、ふかふかのベッドの上で、一日数回、用意された綺麗なガラス瓶に水を注ぐ労働をするだけ。
あとはダロッターが全部いい感じにパッケージして、王都の貴族たちに高値で売り捌いてくれていたの。
それなのに。
昨日、突然私のスイートルームのドアが蹴り破られて、あの仮面の悪魔、バニルが乗り込んできたのだ。
『フハハハハ! 己の神気を勝手に売り捌くとは、相変わらず浅はかな駄女神よ! その「女神の浄化水」なる商品、すでに我が輩の魔道具店で「女神のだし汁」として商標登録済みである!』
バニルはダロッターの胸ぐらを掴み上げると、分厚い六法全書のような法律書を突きつけた。
そして、著作権だの販売管理権だの、私にはチンプンカンプンな難しい言葉を並べ立てて、ダロッターが結んだ契約の隙を徹底的に突いていったのだ。
結果、ダロッターの商会は法的に完全に営業停止。
多額の賠償金を恐れたダロッターは、夜逃げしてどこかへ消えてしまった。
そして、残された私には、宿代の未払いや販売停止の違約金がドカンと降りかかってきたというわけだ。
「……で? つまりお前は、気づいたらお金を得る権利を全部その商人に握られてて、バニルに店を潰された結果、借金だけが残ったと」
カズマが信じられないくらい冷たい声で、私の話を要約した。
「そうなの! 私は一番キツい『労働部分』をやってたのよ! それなのに、あいつら私の汗と涙の結晶を勝手に……!」
「いや待て。詳しく聞いてたが、お前、最初から何もしてないじゃねえか。ただ座って水出してただけだろ」
「何言ってんのよ! 水を出す労働は私よ! パッケージとか宣伝とか、頭が痛くなるような面倒なことは全部あいつに任せてたら、いい感じにしてくれたんだから、私は悪くないわ!」
私はカズマのジャージを力強く引っ張りながら抗議した。
カズマは深いため息をついて、天井を見上げた。
「……そう言われると、俺たちのパーティとなんも変わらんな」
「え?」
「俺が頭脳労働やお膳立てを全部して、お前らがただ暴れてるだけ。お前たちは本当に、誰かに管理されてないと一瞬で破滅するダメな生き物なんだな」
カズマの呆れ切った声。
でも、その声の奥には、いつものように私を見捨てないでいてくれる、温かい呆れが含まれているのがわかった。
カズマは私の頭から強引に腕を引き剥がすと、立ち上がって玄関に向かった。
「しゃあねえ。バニルの野郎のところに行って、話をつけてきてやる。あいつもお前に莫大な借金背負わせたら、俺から面倒な報復を受けるってわかってるはずだからな。お前はそこで反省してろ」
バタン、とドアが閉まる音が、私にとってどれだけ頼もしく聞こえたことか。
私は広間のカーペットにへたり込んだまま、まだ残る鼻水を手の甲でぐいっと拭った。
数時間後。
外がすっかり暗くなった頃、カズマが屋敷に帰ってきた。
「カズマさーん! どうだったの!?」
私がすがりつくと、カズマは疲れた顔で私の額を指で弾いた。
痛っ。
「痛いわよカズマ!」
「あの野郎、俺の弱みをいくつも握りやがって……まあいい。お前の借金と違約金は、俺がなんとかチャラにしてやった。ただし、今回お前が稼いだと思った金は全部パーだ。一銭も残ってないと思え」
「ほ、ほんとに!? カズマさん、ありがとう! やっぱり私にはあなたしかいないわ!」
私は心の底からの安堵で、再びカズマの首に思い切りしがみついた。
カズマの首筋から、夜の冷たい空気と、少しだけ汗ばんだ男の子の匂いが漂ってくる。
その匂いを嗅ぐと、なぜかお腹の奥のほうがきゅんと熱くなるような、安心感があった。
すると、カズマの腕が私の腰に回り、ぐいっと強い力で引き寄せられた。
「……そうかそうか。俺しかいない、か」
カズマの声が、急に低く、ざらついたものに変わった。
私の耳元に、彼の熱い吐息が直接吹きかかる。
「えっ?」
「ところでアクア。お前、さっき『労働部分』さえすれば、あとは全部人に任せるって言ったよな?」
カズマの瞳が、暗い広間の中でギラリと光った。
獲物を逃がさない獣の目。
私は背筋に冷たいものが走るのを感じて、後ずさりしようとしたけれど、腰に回された腕の力がそれを許してくれない。
「え、ええ、言ったわ! 難しい頭脳労働はカズマに任せるって!」
「よし。ならお前の『水出し』を含めた労働力は、今日から俺が独占管理してやる」
「えっ? 独占管……きゃあっ!」
私の体は宙に浮き、そのままカズマの寝室へと強引に引きずり込まれた。
背中がふかふかのベッドに沈み込む。
間髪入れずに、カズマの重たい体が私の上にのしかかってきた。
「独占管理って、どうせまたタダ働きさせる気でしょ!」
私は手足をバタバタさせて、私の上に馬乗りになっているカズマの胸板を叩いた。
カズマの体はビクともしない。
叩いた私の掌のほうが、じんじんと痺れるくらいに硬い。
「また私をすねかじりとか言うんでしょ! 離してよ!」
私はシーツの上で身体をよじり、カズマの重みから逃れようと必死にもがいた。
でも、カズマは私の暴れる両手首をあっさりと掴むと、頭の上のシーツに力強く押さえつけた。
ぎゅうっ。
男の子の、手。
私の手首の薄い皮膚に食い込んで、逃げられないように完全に固定される。
貧弱なカズマさん程度、力づくで簡単に振りほどけるのだけども。
カズマの手のひらから、じっとりとした汗の熱が私の肌に直接伝わってくる。
なんとなく私は、振りほどこうなんて考えられなくなっている。
「お前が俺に全部任せるって言ったんだろ。大人しく俺の管理下に入れ」
「言ったけど! 独占管理って、つまり私を奴隷みたいにこき使う気でしょ! 昔みたいに雪精の討伐で囮にしたり、カエル漁でドロドロの粘液まみれにしたり! もうあんな泥臭い労働、絶対に嫌だからね!」
「あれはお前が昔、ふざけた借金を作ってきたからだろうが! 今は俺だって金はあるんだ、お前をわざわざカエルの餌になんかするかよ!」
カズマの顔が私の顔のすぐ近くにあり、大声で怒鳴り合うたびに、熱い吐息が私のおでこや鼻の頭に吹きかかる。
カズマの顔から、さっきまで外を走り回っていた汗の匂いと、カズマ特有の体臭が濃密に漂ってくる。
その匂いを吸い込むと、鼻の奥がツンと痺れて、肺の中が熱い空気でパンパンに膨れ上がった。
でも、私は絶対に負けない。
女神としての権利は、しっかり主張しないといけないんだから。
「ふんっ、だったら労働するなら正当な対価を要求するわ! 私の神聖な水を出すんだから、シュワシュワは毎日一番高いやつを三本! ご飯は毎回最高級の霜降り肉! お風呂は私が一番先に入って、あんたは私が使ったあとの残り湯で我慢しなさい! それから……毎朝私のことを大女神様って三回称えなさいよね!」
「バカかお前は! 俺が金持ちだからってたかられると思うなよ!」
「あんた、お金なら有り余ってるじゃない! 毎日だらだらしてるくせに私にはケチね! 昨日だって、クローゼットの奥に自分用のへそくりを隠してたの知ってるんだから!」
「あれはおまえ用の小遣いだし、そもそもおまえに見つからないように隠してた俺の自由資金だろ! だいたいお前、報酬は分け合ってるのに全部使い果たしただけだし、俺の金に頼らず自分で稼ぐとか豪語して屋敷を飛び出したくせに。あんな胡散臭い悪徳商人にコロッと騙されて、莫大な違約金だけ抱えて帰ってきたアホがどの口で要求してんだ!」
カズマの痛いところを突く言葉に、私はぐっと言葉を詰まらせた。
でも、カズマに言い負かされるのは一番腹が立つ。
私は押さえつけられた手首をさらに激しくねじって、カズマを睨みつけた。
「だ、騙されてないわよ! バニルが横取りしただけじゃない! 私の完璧な交渉術で、売上の九割五分は私がもらうって約束させたんだから! あんたみたいなケチな男より、あの商人のほうがずっと私の価値をわかってたわよ!」
私がそう叫んだ瞬間。
カズマの手の力が、ギリッと一段階強くなった。
「痛っ」
手首の骨が軋むような痛みに、私は思わず顔をしかめた。
カズマを見ると、さっきまで怒りで赤くなっていたカズマの顔から、すっと表情が消えていた。
薄暗い寝室の中で、黒い瞳だけがギラギラと熱を持って光っている。
「……お前が俺以外の男と組んで、胡散臭い奴に触られたのが、どうしようもなく腹が立ったんだよ」
急に真面目な、熱を帯びた低い声。
その声が私の耳の穴から真っ直ぐに鼓膜を震わせて、お腹のずっと奥のほうまで低く響いた。
ドクン、と。
私の心臓が、痛いくらいに大きく跳ねた。
えっ。
カズマが、怒ってる? 私が勝手に商売したことじゃなくて、他の男に触られたことで?
「バニルの方が胡散臭い奴だと思うんですけど」
「それはそう」
「……な、何よ。私が大女神だからって、あんたも嫉妬してるの? お金持ちになった途端、私のことも独り占めして崇めたくなったわけ?」
私は動揺を隠すように、わざとふてぶてしく笑って見せた。
でも、カズマの視線は私から一ミリも外れず、私の逃げ場を完全に塞いでいる。
「商人との契約はこれで終わりだ。次は俺と、一生の契約を結ぼう」
カズマの吐息が、私の唇に直接吹きかかる。
唇の表面がカズマの息で温められて、微かに震える。
「お前がこれから先どれだけアホなことしても、俺が一生面倒見て、毎日美味いシュワシュワを飲ませてやる。常識の範囲内でなら。その代わり……お前を、俺に一生独占させろ」
頭の中が、真っ白になった。
いつも私を馬鹿にして、クズみたいなことばかり言う口から、あんなに甘くて、重たい言葉が出てくるなんて。
一生面倒見る。
その言葉の響きが、カズマさんの口から出ただけで、こんなに私の心に響くなんて。
なんなのかしら?
私もしかしてチョロい女神なのかしら。
でも、ここで簡単に頷いたら、本当にカズマの言いなりになっちゃう。
私は必死に頭を働かせて、最後の抵抗を試みた。
「い、一生って……シュワシュワは1日何本よ?」
「1本だ」
即答だった。
「えーっ! お金持ちのくせに少ないわよ、せめて2本!」
「……わかった、2本だ。ただしお前が大人しく労働した日だけな」
カズマは呆れたように短く息を吐いたけれど、その顔にはいつもの意地悪な笑みではなく、私を甘やかそうとする柔らかい色が滲んでいた。
「……本当に、見捨てない? 私がまた、つまらないもの買ったり、無駄遣いして借金作っても……見捨てないで、助けてくれるの?」
私は自分でも驚くほど、か細くて震えた声で聞いた。
シーツを押さえつけていた私の指先から力が抜け、だらりとカズマの手に寄りかかる。
「ああ。俺は金を稼ぐのは得意なんだぜ。一生面倒見てやる。だから、俺に一生独占させろ」
カズマは私の手首を解放すると、怯える私を安心させるように、私の頬を両手でそっと包み込んだ。
さっきまでの乱暴な力が嘘みたいに、大事な宝物を扱うような、ひどく優しい手つき。
カズマの親指の腹が、私の目の端に溜まっていた涙の粒をゆっくりと拭い取る。
その体温が私の肌にじんわりと染み込んでいくたびに、私の中で張っていた意地やプライドが、音を立ててドロドロに溶け落ちていくのがわかった。
「あ……カズマ、私……」
カズマの顔がさらに近づき、鼻先が触れ合う。
そして、カズマの熱い唇が、私の震える唇を塞いだ。
ちゅっ。
重なり合った唇から、カズマの体温が直接流れ込んでくる。
私は無意識に小さく口を開き、カズマを受け入れてしまった。
カズマの温かい舌が、私の歯列をなぞり、口内の柔らかい粘膜に絡みついてくる。
ちゅる、ちゅるちゅる…。
私とカズマの唾液が混ざり合い、静かな寝室にひわいな水音が響き渡る。
カズマの舌が私の舌を裏側からすくい上げ、強く吸い込む。
吸われるたびに、舌の根元から背骨を通って、下腹部に向かって強烈な痺れが真っ直ぐに落ちていく。
「んっ、んんぅ……っ、ぷはっ」
唇が離れると、私たちの間に銀色の糸が長く引いた。
カズマの唾液で口の周りをテカテカに濡らしたまま、私は熱に浮かされたようにカズマを見上げた。
カズマの手が、私の頬から首筋、そして肩へと滑り降りる。
そのまま、私の羽衣の襟元に指を掛け、左右にゆっくりと開いた。
衣擦れの音がして、私の胸元からお腹にかけての素肌が、夜の冷たい空気に晒される。
肌の表面が粟立ち、冷たさに身体がビクッと跳ねた。
でも、すぐにカズマの大きな両手が、私のむき出しになった胸を真上から覆い隠した。
「ひゃあっ」
冷えた肌に、カズマの焼けつくような掌の熱がべったりと張り付く。
その温度差に、私の頭の芯がくらくらと揺れた。
カズマの指が、私の柔らかい肉を下からすくい上げるように揉みしだく。
掌の中で私の胸がむにゅり、むにゅりと形を変えるたびに、乳首の周りの薄い皮膚がカズマのざらざらした手にこすれて、火花が散るみたいに熱くなる。
「カズマ……、カズマぁ……っ」
私はカズマの背中に腕を回し、しがみついた。
もう、さっきみたいに突き飛ばそうとする力なんて一ミリも残っていなかった。
ただ、もっとカズマの触れていたくて、自分から胸をカズマの手に押し付けてしまう。
「ああっ! そこ、だめっ、カズマっ!」
乳首をこすられる刺激が、そのまま私のお股の奥に直結しているみたいだった。
お腹の奥の子宮が、きゅう、きゅうって、カズマの言葉と熱を反芻しながら、勝手に甘く収縮を繰り返している。
カズマの手は胸から離れると、平らなお腹をなぞって、さらに下へと降りていく。
私の下着の縁に指が掛かり、そのまま容赦なく太ももの下へと引きずり下ろされた。
私の最も隠しておきたい場所が、カズマの目の前に完全に露出する。
「……もうこんなに濡れてる」
カズマの低い声がした。
カズマの指先が、私の秘部の割れ目にそっと触れる。
ひっ、あぁっ。
まだ何もされていないのに。お金持ちになったカズマと口喧嘩して、一生面倒見るって言われて、キスされただけなのに。
私のおまんこの入り口からは、とめどなく透明な愛液があふれ出し、周りの毛をぐっしょりと濡らしていた。
カズマの中指が、私の入り口のひだをなぞる。
ぬちゃぁ。
指と粘膜がこすれて、糸を引くような卑猥な音が鳴る。
カズマの指の硬いタコが、一番敏感なクリトリスの頭に直接触れた。
「ああっ、んんっ! そこ、擦れ、あっ!」
カズマは親指と人差し指で私の核をいじめてくる。
痛いくらいに敏感になっているそこを、カズマのざらざらした指の皮がこすり上げる。
擦られるたびに、お股の奥から爆発するような熱が全身に広がって、息ができなくなる。
私の腰がシーツからビクンと跳ね上がり、両足の指先がギュッと丸まった。
「お前は一生、俺のもんだ。このままドロドロに溶かしてやる」
カズマの囁きと一緒に、カズマの長い指が、愛液で水浸しになった私の膣口の入り口に押し当てられた。
カズマの指の硬さを感じ取って、自分からそれを飲み込もうとカズマの指が私の中をほじくり返すたびに、親指の付け根がクリトリスをごりごりと抉ってくる。あふれ出た私の蜜が、カズマの手をぐっしょりと濡らしていた。
「あ、ぁああっ! カズマ、カズマぁっ!」
頭の中の思考が完全に白く飛び、私はただカズマの指が与えてくれる痺れに身を委ねていた。
カズマの指が抜かれるたびに、私のお腹の奥が空っぽになって、どうしようもないほどの疼きが込み上げてくる。
もっと奥まで。もっと太くて、熱いもので、私の中を全部埋め尽くしてほしい。
私はシーツを握りしめ、涙でぐしゃぐしゃになった顔をカズマに向けた。
そして、自分から両足を大きく開き、カズマの腰にふくらはぎを巻き付ける。
「一生あんたのものにしてぇっ……!」
私の口から、恥じらいもプライドも完全に捨て去った、懇願の声がこぼれ落ちた。
カズマは私の顔を愛おしそうに見下ろしたまま、ゆっくりと自分の指を私の中から引き抜いた。
指が抜けた後のぽっかりと空いた入り口が、まるでカズマの熱を惜しむように、すうすうと冷たい空気を吸い込んで小さく震える。
カズマはベッドの上に膝立ちになると、自分のズボンのベルトに手を掛けた。
カチャリ、と金具が外れる音が薄暗い部屋に響く。
昔の、いつもお金に余裕がなくて焦っていた頃のカズマじゃない。
今のカズマの仕草には、私という面倒くさい女神を一生養ってやるっていう、有無を言わせない迫力があった。
ズボンと下着がまとめて脱ぎ捨てられ、私の目の前にカズマの下半身がむき出しになる。
ビクンッ。
私の視線の先で、それは大きく跳ねた。
ヒキニートだった頃の貧弱なイメージなんてどこにもない。
今のカズマの股間には、私を力ずくでねじ伏せるための、凶悪に膨れ上がった熱の塊がそびえ立っていた。
鼻の奥をツンと突くような、香辛料に似た強い男の匂いが漂ってくる。
だめ。私、どうしちゃったの。
カズマの匂いを嗅いだだけで、どうしてこんなに下半身が熱くなるの。
私のお腹の底が勝手にきゅんと縮こまって、お股の隙間からどろどろの蜜があふれ出してしまう。
「お前が自分からお願いしたんだからな。もう後戻りはさせねえぞ」
カズマの手が私の膝裏を掴み、腰幅よりもずっと広く、無防備なMの字に割り開いた。
ぐいっ。
愛液で水浸しになっている私の入り口に、カズマの硬い先端が押し当てられる。
ひっ、あぁっ。
指とは重さが全然違う。
熱く煮えたぎった鉄の杭を突き立てられたみたいに、私の柔らかいおまんこの入り口が、外側へと強引に押し広げられていく。
「カズマ、だめ、それ太すぎっ、私の中、こんな太いの入ったら壊れちゃうわよっ」
「壊れるわけないだろ。お前の中、もう俺のを飲み込む気満々でよだれ垂らしてんじゃねえか」
カズマは私の泣き言をニヤリと笑って受け流すと、そのまま自分の腰の重みをじわじわと私に乗せてきた。
ぬぽぉっ。
私の中からあふれ続ける蜜がクッションになって、カズマの分厚い先端が、私の入り口の狭い輪をぐりんっと押し通った。
「ああっ!!」
お腹の中が全部上に押し上げられて、息が詰まる。
カズマの太い塊が、私の内側のひだをすべてなぎ倒しながら、ずぶずぶと奥へ奥へと潜り込んでくる。
私のお腹の皮が、内側からカズマの形に合わせて引き伸ばされているのがわかる。
カズマの塊が、ついに私の奥の行き止まりにドンッとぶつかった。
「あ、ひぃっ!」
下腹部のど真ん中に強烈な熱が居座る。
息の仕方を忘れてしまって、私の口からはヒューヒューとかすれた音しか出てこない。
私の中の空っぽだった場所が、カズマの体温と、硬くて太い塊で、一ミリの隙間もなく完全に塞がれた。
痛いって、乱暴にしないでって怒ろうとしたのに。
どうして。お腹の一番奥を直接こすられているのに、どうしてこんなに甘い痺れが湧いてくるの。
カズマは一番深くまで入った状態で動きを止め、私の上に覆い被さった。
カズマの胸板が私の顔に密着して、荒い心臓の音が直接鼓膜を叩く。
「はぁっ、くそ、アクア。お前の中、俺のを溶かす気かってくらい熱い」
「カズマぁっ、苦しい、お腹の底が、ジンジンして、ああっ」
私は両手を強く握りしめ、首を横に振った。
まだ動いていないのに。
カズマが私の奥深くに刺さったまま呼吸をするだけで、私の中がこすれて、頭の芯がグラグラと揺れる。
「苦しいのは最初だけだ。ほら、一生俺に甘やかされる準備しろ」
カズマがゆっくりと腰を引き抜いた。
ずぷうっ。
私の中の柔らかい粘膜がカズマに吸い付いて、外に引っ張り出される。
そして抜けきる前に、再び腰が叩きつけられた。
どちゅんっ。
「ああっ! ひぃっ!」
奥の奥にある一番過敏な壁を直接すり潰されて、私の口からだらしない悲鳴が飛び出した。
肉と肉が吸い付いて、離れるたびに、部屋の中にべちゃり、べちゃりとひわいな音が響き渡る。
カズマのストロークは、ゆっくりと、私の一番弱いところを抉るように繰り返される。
ずぶ、ずぶ、ずぶ。
「カズマ、ああっ、お腹、お腹の奥が、変になっちゃうっ」
ただのヒキニートのくせに。お金持ちになったって言っても、中身はただのカズマなのに。
なんで私、カズマの太いのが擦れるだけで、こんなに頭が真っ白になっちゃうの。
お腹の中身が、カズマが腰を打ち付けるたびにぐちゃぐちゃに混ぜ合わされていくみたい。
擦られるたびに、腰の骨が砕けそうなほどの甘い痺れが湧き上がってくる。
「おいアクア、俺の金も、俺の屋敷も、俺の全部もお前のものにしてやる。だから、お前のこのぐちゃぐちゃの中身も、全部俺によこせ」
カズマの余裕ぶった口調。
でも、その顔は私を犯す熱で真っ赤に染まっていて、額からはポタポタと汗が落ちている。
私を一生面倒見るって宣言したカズマが、私を求めて必死な顔になっている。
その事実がたまらなく嬉しくて、私のおまんこはさらに大量の愛液をあふれさせた。
「ああっ、んんっ、あげるっ、私の全部、カズマにあげるからぁっ!」
私はカズマの腰に両足をきつく絡ませて、自分からその激しい突き上げを迎え入れた。
カズマの塊が奥を突くたびに、私の子宮が真下へと引っ張られるような感覚になって、お腹の底から幸福感が上がる。
やだ、こんなの。私の体が、私のものではないみたい。
カズマに触られているだけで、私の全部がとろとろに溶け落ちちゃうなんて。
ぐぽ、ぐぽぉっ、どちゅっ。
カズマの腰の動きが、はっきりと荒々しくなった。
私の身体がベッドの上で前後に激しく揺さぶられ、頭が枕に何度も沈み込む。
「ちくしょう、お前の中、最高に気持ちいい。俺のが引きちぎれそうだ」
「違うっ、私が締めてるんじゃないのっ。私の中のお肉が、勝手にカズマのを食べようとして、ひくひく動いちゃうのぉっ!」
私はもう、自分がどんな恥ずかしいことを口走っているのかすらわからなかった。
カズマなんかに、こんなに気持ちよくされるなんて、女神として絶対に悔しいのに。
それなのに、止めてほしくないの。もっと激しく奥をすり潰してほしいの。
カズマの太い部分が、私の中のひだをゴリゴリと削り上げる。
ぬきさしの反復が続くたびに、私の下腹部に溜まっていた熱い痺れが限界まで膨らんでいく。
「カズマ! くるっ、私、頭がおかしくなるっ!」
私の背中がピーンと反って、シーツから完全に浮き上がった。
両足の指先がひきつるように丸まり、太ももの内側がガクガクと痙攣し始める。
頭の芯がドロドロに溶けて、耳から流れ出そう。
私の叫び声と同時に。
カズマは私の腰を両手で掴み、思い切り腰を押し付けて、私の奥の壁にその熱い精子を解き放った。
「カズマぁぁぁっ!!」
どくっ、どくんっ、どくんっ。
私の子宮の奥深くに、カズマの精子が勢いよくぶちまけられる。
カズマがドクン、ドクンと脈打つたびに、白くて濃い液が私の子宮の壁にべったりと塗りたくられていく。
熱い泥の中に頭から沈められるみたいに、カズマが私の中をドロドロに満たしていく。
「あ、ひぃっ、ひ、あぁぁぁああぁっ!」
私のお股の奥からも、限界まで膨らんだ水風船が弾けたみたいに、透明な熱いお水がシーツに向かって勢いよく飛び散った。
ばしゃああぁっ。
カズマの濃い液体と私の熱いお水が混ざり合い、むせ返るような匂いが部屋の空気を重くする。
私はカズマの首にしがみついたまま、よだれを垂らし、呼吸の仕方も忘れて、ただ波打つ快感の中でピクピクと痙攣していた。
頭の中は完全に真っ白に弾けてしまって、何も考えられない。
気高い女神としてのプライドも、生意気な意地も、もう一欠片も残っていない。
ただ、お腹の奥にへばりついているカズマの重たい熱だけが、私が一生この男のものになったという証拠だった。
カズマのちょっと軽い身体が、私の上にばたりと倒れ込んでくる。
カズマの汗と私の汗が混ざり合って、お互いの肌が吸盤みたいにべったりと張り付いた。
「……ははっ。これで、一生の契約完了だな」
カズマの掠れた声が耳元で響く。
私はカズマの背中に回していた腕の力を抜き、シーツにだらりと落とした。
指先ひとつ動かす力も残っていない。
こぽぉ。
水気を帯びた音を立てて、カズマの塊が私の中からゆっくりと引き抜かれる。
満たされていた中が空っぽになって、冷たい空気が入り込んでくる。
でも、私のお腹の奥には、まだカズマが注ぎ込んでくれた熱いものがたっぷりとへばりついていて、内側から私を温め続けてくれていた。
……これ、水にしちゃうの勿体ないわね。私は意識して、それをそのままにとどめる。
「……バカぁ。私を一生面倒見てやるって約束、絶対に忘れさせないんだから」
私はカズマの、汗で滑る胸板に顔を埋めて、小さく幸せな吐息を漏らした。
カズマは私の頭の後ろに手を回し、優しく髪を梳いた。
その優しさが、今の私にはどんな魔法よりも強力に効いてしまう。
さんざん私を野蛮に犯して泣かせたくせに、最後にはこんなにずるい態度を取るなんて。
私のおまんこの入り口から、飲み込みきれなかったカズマの熱い白濁が一筋、浄化された水となって、私の太ももを伝ってシーツへと流れ落ちた。
もう、どこにも逃がさない。
私はこの先ずっと、この男の体温と匂いに縛り付けられて、有り余るお金と一緒にドロドロに甘やかされ続けるんだ。
それが女神としてどんなに情けないことでも。
カズマを抱きしめるようにまた小さくきゅんと鳴ったお腹の奥は、もうカズマなしじゃいられないって教えてくれていた。
◇
翌朝。
アクセルの街に朝日が昇り、いつもの騒がしいお屋敷の広間に、紅魔族の少女の冷ややかな声が響き渡った。
「で、結局アクアは、カズマのお金に惹かれてカズマのものになったんですか?」
めぐみんは、テーブルの上に置かれた朝食のトーストをかじりながら、ジト目で私を睨みつけてきた。
パンを噛みちぎるサクッとした乾いた音が、静かな広間に響く。
私はというと、カズマのへそくり庫から堂々と引っ張り出してきた最高級のシュワシュワを朝からグラスに注ぎ、上機嫌でそれを揺らしていた。
グラスの中で炭酸の泡が弾ける、しゅわしゅわという涼しげな音が心地いい。
「そうでもあるしそうでないとも言えるわ、ふふーん」
私はグラスに口をつけ、冷たいシュワシュワを喉の奥に流し込んだ。
甘くて刺激的な液体が食道を滑り落ちていく。
「なんだかよくわかりませんが、やけに偉そうですね。数日前まで『絶対にカズマを見返してやる!』って屋敷を飛び出していったくせに。……それに、首筋のその赤い痕、なんなんですか。虫にでも刺されたんですか?」
めぐみんが杖の先で、私の首筋をツンツンと突いた。
硬い木が皮膚に当たる感触に、昨日の夜、カズマの熱い唇がそこを執拗に吸い上げていた記憶がフラッシュバックする。
私のお腹のずっと下のほうが、思い出しただけで勝手にきゅんと収縮して、少しだけ熱くなった。
「む、虫刺されじゃないわよ! これは……名誉の負傷よ! 私はね、カズマの奴に、一生私の面倒を見るっていう絶対的な契約を結ばせてやったの! どんなに私が借金を作ろうが、どれだけ高級なシュワシュワを飲もうが、あいつは自分の全財産を投げ打って私を養わなきゃいけないのよ! どう? 大女神アクア様のこの完璧な交渉術!」
私は胸を大きく張って、ふんすと鼻息を荒くした。
昨日の夜はあんなにドロドロにされて情けない声を出してしまったけれど、結果だけ見れば私の大勝利じゃない。
お金持ちのカズマの全財産を、私が独占できる権利を勝ち取ったんだから!
すると、隣で黙って話を聞いていたダクネスが、急に荒い息を吐き始めた。
「はぁっ……はぁっ……! な、なんということだ……」
ダクネスの顔が、ゆでダコみたいに真っ赤に染まっている。
大きな胸が、荒い呼吸に合わせて激しく上下に揺れていた。
「悪徳商人に騙されて莫大な違約金を背負わされ、逃げ道のない絶望の中で、同居人の男にその借金を肩代わりされる……。そして、その対価として、一生自分の身体をその男に捧げる契約を強要されるだなんて……っ!」
「え? ちょっとダクネス、何言ってるの?」
「アクア、お前はなんて恐ろしい目に遭ったんだ! 昼間は男の金を食いつぶすだけのペットとして飼い殺しにされ、夜になれば……借金のカタとして、男の欲望のままに身体の隅々まで蹂躙され、ドロドロに開発され尽くすのだな! くっ……一生涯、逃げ場のない快楽と屈辱の牢獄に繋がれるなんて……うらやま、いや、なんて不憫なやつなんだ……っ!」
ダクネスは自分の両腕を抱きしめ、太ももをきつく擦り合わせながら身悶えしている。
鎧が擦れるガチャガチャという金属音が、ダクネスの荒い吐息に混じって響いた。
「ち、違うわよ! 私がカズマをこき使ってやるの! 私はカズマの主人なんだから!」
私が慌てて否定するのも聞かず、めぐみんは深いため息をついた。
「はぁ……。要するに、商売で大失敗してカズマに泣きついて、結局カズマの愛人だかペットだかに成り下がったってことですね。……まあ、アクアが一人で生きていけるわけがありませんし、カズマに一生飼育されるのが一番この世界のためだと思いますが」
「だから違うってば! 私は飼われてなんかないわよ! カズマが私を一生独占したいって泣きついてきたの!」
「はいはい。それで、その『独占』の対価として、昨日の夜はずいぶんとカズマの部屋から賑やかな声が聞こえてきましたが? アクアの『一生あんたのものにしてぇっ』という情けない鳴き声、私の部屋までバッチリ聞こえてましたよ」
「なっ!?」
めぐみんの言葉に、私の顔から一気に血の気が引いた。
顔中が火が出そうなくらい熱くなって、額から冷や汗が噴き出す。
「き、聞こえて、たの……?」
「ええ、それはもうはっきりと。ダクネスなんて、壁に耳を当てたままヨダレを垂らして気絶してましたからね」
「ひぃっ……!」
私は両手で真っ赤になった顔を覆って、テーブルに突っ伏した。
木製のテーブルの冷たさが、火照った頬にちっとも効かない。
「おや、アクア。朝からずいぶんと賑やかだな。俺が一生面倒見てやるって言ったんだから、もうちょっと静かに優雅に過ごしたらどうだ?」
広間の入り口から、寝癖をつけたままのカズマが、あくびをしながら歩いてきた。
その顔には、昨日までのイライラした様子なんて微塵もない。
どう見ても、自分が欲しかったものを完全に手に入れて、すっきりと満たされた男の顔だった。
「カ、カズマのばかぁぁぁっ! もうお嫁に行けないわよぉっ!」
私はテーブルに顔を伏せたまま、子供みたいに手足をバタバタさせて泣き叫んだ。
「だから、俺が一生面倒見るって言ってるだろ。ほら、今日の分のシュワシュワ代だ。ありがたく受け取れ」
カズマの大きな手が、私の頭を乱暴に、でもひどく優しく撫で回した。
その感触が頭皮に伝わっただけで、私はしゃくり上げるのをピタリと止めてしまった。
ああ、もう。
本当に、一生この男に飼い慣らされるしかないみたい。
私は涙声のまま、それでもどこか安心して、カズマの手のひらに自分の頭を擦り付けていた。
読者の皆様、こんにちは。
本作は、アクア様のアホなビジネス失敗から、成り上がって余裕のあるカズマさんに「一生面倒見てやる」とガチトーンで口説かれ、ドロドロに絆されていく純愛(?)初夜です。
ちなみに、アイちゃんは狂信的なカズアク教徒ですが、おかしらも好きです。