北部高原の冷涼な風がメトーデの黒い法衣をなぞるように吹き抜けていた。一級魔法使いとしての任務を終え、束の間の静寂の中を歩む彼女の足取りは、常に通り凛としてかつ優雅にもみえる。しかしその静寂を破るように木々の隙間から数人の男達が這い出してくる。
「おっと、こんなところに上等な獲物が一人で歩いてるじゃねえか」
現れたのは野盗の集団だった。彼らは隠そうともせず、メトーデの豊満な胸元や歩くたびに強調される腰の曲線に粘つくような下卑た視線を這わせる。
「……野盗、ですか。お生憎様ですが、私はあなたたちが相手にできるような女ではありません。命を惜しむなら道を開けていただけますか?」
メトーデは冷徹な眼差しで彼らを見据える。その態度はどこまでも冷静で、一級魔法使いとしての矜持に満ちていた。しかし、男たちは下品な笑い声を上げるばかりだ。
その集団の中には一人、異彩を放つ男がいた。スキンヘッドに奇怪な刺青が彫り込まれ、魔法使いというよりは、その鍛え上げられた肉体で人を殺すすることに慣れた賊、戦闘員のような風貌の男だ。
「ハッ、威勢がいいなあ。その顔がいつまで持つか見ものだぜ」
「俺たちが求めてるのは金じゃねえ。お前さんのその体だよ。震えて待ってろ、極上の熱を味合わせてやるからよ」
男たちが一斉に距離を詰める。メトーデは即座に杖を構え、迎撃の術式を編み上げた。多種多様な魔法を操る彼女にとって、この程度の数、本来であれば造作もないはずだった。
「──『
しかしその瞬間。刺青の男が低い声で呪文を紡いだ。
「『
メトーデの展開した防御結界を見えない揺らぎが容易く透過した。精神防御の術式は確かに機能していた。だがこの魔法が狙ったのは、彼女の理性や精神ではない。
肉体に刻まれた、抗いようのない「生殖の本能」そのものだった。
「……ッ!? あ、あぁ……っ!」
突如、下腹部を突き上げるような暴力的なまでの熱がメトーデを襲った。
血管を流れる血が沸騰し、内側から肌を焼き焦がすような感覚。膝の力が抜け、構えていた杖が地面に音を立てて転がる。
「おやおや、どうした? さっきまでの威勢はどうしたんだよ」
野盗の一人が、動けなくなったメトーデの顔を覗き込む。彼女の瞳は潤み、頬は朱を差したように上気していた。呼吸は荒く、吐き出される息は熱い。一級魔法使いとして培った精神力でさえ、生物としての根源を揺さぶるこの熱の前では無力に等しかった。
「な、に……これ……。からだ、が……勝手に……っ」
指先が震え、無意識のうちに自分の柔らかな太腿を強く掴んでいた。薄い生地越しに伝わる己の体温がさらなる渇望を呼び覚ます。精神防御は完璧だった。しかし、本能が「雄」を求めて叫びを上げ、彼女の理性をズタズタに引き裂いていく。
「この魔法はな、欲を持つ生き物には逆らえねえんだよ。アンタみたいな綺麗な魔法使い様も、結局はただの『雌』なんだ」
男たちがメトーデを取り囲む。彼女は地面に這いつくばりながら、あられもなく腰を揺らした。首筋には汗が浮き、その滴が肉感的な胸の谷間へと滑り落ちていく。その淫靡な様子に野盗達は舌なめずりした。
肉欲のみを求める己の本能を直視させられて、メトーデは恥じ入ったように目を伏せる。自らが一級魔法使いであるという立場と自負が彼女を縛り付け、恥辱という感情を沸き立たせた。それと同時に性欲のままに腰をくねらせる自分自身を否定するほど強い自己認識が今は仇となり、今まで感じたことのないほどの甘美な悦楽として彼女の脳髄を犯していく。
肋骨服に守られた細い腰つきは雌としての魅力を存分に備え、男を誘うかのように前後に小刻みに震えていた。湧き上がる情欲とそれに反する理性の間で苦しむ葛藤がさらに男たちの欲望を煽り立てていた。
そんな彼女は肉体のみならず、精神さえもこの呪いに蝕まれつつあった。声に出して男達の精を求めたい、濃厚で粘つくような子種を注がれたいと渇望する感情が頭の中を支配する。一度でもその沼に沈み込んでしまえば、二度と這い上がって来ることは出来ないだろうと理性は訴えていたが、それでも構わないと思わせるほどの女としての本能にメトーデの心は侵食されつつあった。
(男男男男男男男雄雄雄雄牡牡牡牡──…っ、思考がっ…まとまらないっ……)
口を開けば淫猥な言葉が飛び出すのではないかと危惧しながらも、閉じた唇からは荒い呼吸と共に白濁した唾液が垂れ落ちる。地面に置かれた掌は土塊を握り締め、爪先は堪らず伸び切っていく。体裁を繕うことさえできずに無様を晒しているという事実に憤怒と屈辱を感じていると同時に淫猥な妄想が次々と沸き起こり、気を抜けば男達の股間に視線を奪われそうになり、耐えるように顔を背ける。
呪いに近しい理性と本能に板挟みにされ、行動不能になっていた彼女は男達の接近を許していた。肉欲でぎらついた眼光が上から覆いかぶさるように彼女を見下ろす。取り囲む視線の熱に彼女の肢体は晒されていた。
「身体は正直になってきたが、だんまりはいけねぇなぁ…おい、アレやれ」
「おう、──『
『
単に相手の足を滑らせることでの妨害工作にも役に立つが、相手の口を滑らせる効果もある。しかしこの魔法にかけられてしまうことが分かってしまえば強く自制しただけで無効化はできてしまう。結果、戦闘か暗殺、ちょっとした悪戯にしか使えない魔法。
しかしそれは『
「チンポしゃぶらせてください……────っ!!?」
聞こえてきた淫猥な言葉が自分の声であると気づくのにメトーデは数秒の時間を要した。それは彼女が今まで口にしたことも想像したこともない淫語だった。
自身の口から発されたとは思えないほど下品で卑猥で、媚びるような声音。理解した瞬間に顔から血の気が引く。そして理解してしまったことでその猥雑な言葉を生み出すことに歯止めが効かなくなっていった。
「チンポチンポチンポっ!!! 私のホカホカお口マンコで咥えさせてくださいッ!! そして喉奥まで無遠慮に突いて孕ませてくださ──……いっ!!……や、やめ」
「おいおい、とんだ変態女じゃねえか。ほらもっと言ってみろよ」
「は…いっ!! 私はあなた達の垂れ流しな…っ……あ…ぐっ……お、チンポの臭いで発情してしまいまし…たっ……」
(口が止まらない…っ、言葉を口にするごとに理性が…)
凛とした声色のまま、淫猥な言葉を紡ぎ続ける口を止めることだけに彼女は集中していた。魔法の解析もままならず、精神防御の術式構築も覚束ない。
舌を噛み切ろうとしても肉体そのものに意思が宿ったかのように強く拒み、少し口を閉ざしただけで首を締め付けられたかのような苦しさが襲い掛かる。その行為は呼吸を止めるも同義であるとでも言わんばかりに淫らな詠唱を重ねる動作ばかりを強制させ続ける。
懸命に男達の思惑通りにならないと抵抗している彼女であったが、その面差しは既に一級魔法使いとしての威厳や理性など欠片も見いだせぬ、発情した雌の顔へと変わりつつあった。食いしばった口の端から涎を垂れ流し、時折腰をひくつかせては口端から吐息を漏らす。
紡ぎ出される言葉はさらに淫猥さを増していた。それはもはや彼女が口にするはずの無い言葉だったり下卑た男を誘うようなものだったりと聞くに耐えないものばかり。目を瞑れば自身が肉棒を頬張り、精に塗れていく姿が瞼の裏に映し出される。それをかき消すように彼女は強く瞼を閉じた。しかし一度浮かんでしまった淫靡な情景はいくら否定しても消えてくれない。それどころかより鮮明に細部まで描写してしまう始末。
視線がゆらゆらと彷徨い、視界も水飴に包まれたかのように揺らぎを帯びていく。途切れる様子がない自身の猥言も何を言っているのかさえ、理解できなくなっていく。そんな理性が溶け落ちていく感覚を味わっていると後頭部に鈍い痛みが走り、そのまま彼女は地に倒れ伏す。
「お、もう運ぶのか?」
「ああ、誰か通りかかるかもしれねぇからな」
彼女を気絶させたのは野盗の1人だった。一級魔法使いとはいえ『熱を求める魔法』と『滑らせる魔法』による極度の混乱状態では魔力探知による察知はおろか、防ぐこともできなかったのは無理もなかった。
男が『熱を求める魔法』を放った際に彼女がするべき行動は防御ではなく、回避だった。とはいえ、この魔法について知見がなかった彼女にそれを求めるのは済んだ話。
魔法の性能、魔法使いの才に限らず、相性の良さでこのような番狂わせが起きるのもまたこの世界における魔法戦の常であった。
◆◆◆
「……っ……ここ、は…」
目が覚めると先程の荒涼とした風景はなく、自身の身体が寝台に沈み込んでいることを認識する。その寝台は上質な木材で作られており肌触りも滑らか。恐らく気絶させられたあとに運び込まれたのだろうがとても野盗の根城とは思えないほど立派なものだった。
「…………」
頭はひどくぼやけ、身体は火照ったように熱っぽいが不快なものではなくむしろ心地よさすら感じるがその誘惑に負けている暇はない。部屋の外に魔力は感じられない。出入口となる扉は斜向かいに一つ。拘束を警戒したが四肢は自由に動いた。
服は魔法によって弄ばれた時と変わらぬままで、脱がされた形跡も見当たらなかった。彼らの真意は不明だが逃げ出せる好機であることに変わりはない。
周囲を警戒しながら寝台から降りる──その瞬間、目の端に何かが映った。視線を向けると床に男性器を模した物体……張型が転がっている。
罠が仕掛けられている様子はない。そういった魔法も魔力探知で無いことが分かっている。しかし彼女は雁首の彫りが際立つそれから目を離せず、足が止まってしまっていた。
(身体が…視線が固定されて…なぜあんなものに──…あれは私が求めていたもの──違う、ここから出なくては──…満たされたい、しゃぶりたい──影響がまだ……)
張型を視認したことをスイッチとするように『熱』を求める欲求が再燃し彼女の心をかき乱す。理性が警鐘を鳴らすが身体が言うことを聞かず自慰の動作を繰り返す。下着の上からでもわかるほど陰核は勃起し秘裂からは愛液が溢れ出し内股を濡らしていく。
身体が這いつくばり、張形を掴もうとするのを必死で押し留めるがその行為は悪手となった。伸びていく腕を力づくで戻した際に指先が張型に引っかかり、顔の近くまで転がす結果となってしまったのだ。
「っ…あ…」
より強くその淫猥な形を感じ取り、その生々しい造形に生唾を飲み込みながら思考を巡らせる。これ以上、発情し続けると身動きが取れなくなる。ならばこの張型を使って一度発散してしまえば良いのではないかと甘い囁きにも似た思考がメトーデの脳裏に浮かんだ。
──本来であれば彼女はこのような結論に至ることはなかった。張型なぞ目もくれず、部屋の外へと迅速且つ静かに脱出していた。しかしそれはメトーデの精神が正常であった場合の話。
眠っている間に『熱を求める魔法』の効果は身体を蝕み尽くし、次に彼女の心を蝕んでいた。理性を削り取り、箍を緩ませる。この魔法の悪辣さはその点にあるといってもいい。最後の最後、ほんの一欠片残された理性を捨て去るのかは対象者に委ねられる。
疼く身体を収まらせたい、だがその行動を起こすには理性が邪魔を働き、その理性が煩わしいとまで対象者は感じて、手放してしまえば後はもう転がり落ちていくだけ。仮に耐え抜いたとしても魔法は解けず、熱を求める身体を持て余し続けることとなる。
肉体が魔法に順応していき今ほど苦痛ではなくなるとはいえ、常に倦怠感や欲求不満が付き纏うのは戦闘時のコンディションを著しく低下させ、その状態が続けば死へと直結する恐れもあるだろう。
(………っ、…やむを得ませんね)
なけなしの理性で思考し続けた結果、彼女はゆっくりと張型に唇を近づけ始めた。一回だけでいい。一回で発散してしまえば良いのだ。言い聞かせるように彼女は自慰の為の慣らす行為を始める。
張型を手で持ち、その先端に軽く口づけをするとそのまま舌を突き出し張型の亀頭部分を舐める。唾液と先走り液が混ざり合い淫猥な水音を立てた。舌先で鈴口を刺激するように舐め回しながら右手で竿部分を握るようにして上下に擦る。
まるで愛しい人への奉仕行為のようなその動作は彼女が今まで行ったことのないものだったが、身体はそれが正しいことだと知っているかのように自然と動いていた。
次に亀頭部分を口に含むと舌全体で包み込むようにして舐め回し、一気に喉奥へと押し込んだ。息苦しさを感じるもののそれが心地よい刺激となって彼女の身体は小さく跳ね上がり口からはくぐもった喘ぎ声が漏れ出た。
張型に必死に舌を絡ませながら頭を動かし口全体で奉仕を行うその姿はとても浅ましいものだったが彼女自身、そのあられもない姿に気づいている様子はなかった。
張型を一旦口から離すと彼女は自身の胸へと手を伸ばし服の上から揉み始める。最初は優しくゆっくりとした動作だったが次第にその動きが激しくなり、やがては自ら乳首を摘まみ上げたり引っ張ったりと強い刺激を与えるようになった。その快感によって彼女の秘裂からは愛液が溢れ、下着のみならず下衣にまで染み込んで滴らせていく。
(熱い……)
服越しに揉んだ摩擦熱からか、それとも乳房から生じた疼きによってか。メトーデの口からはより熱の籠った吐息が漏れ出て、視線は自身の肋骨服へと向けられると緩やかに指をフックへとかけて外す。そしてそのまま肋骨服の紐へとその指先は伸びていき、解き始めた。
上から硬く留められた紐が解けていき、隙間より見えるのは白の肌着とそれに覆われた豊満な乳房が二つ。特にその先端部分は興奮で張り詰めているようで、肌着の下にある下着の上からも浮き出ており、興奮していることが見て取れた。
襟元を左右に大きく開いて肋骨服を脱ぐとその勢いのまま、肌着を脱ぎ捨てる。はらりと衣服が地へと落ちるとそこには成熟した女性の魅力を余すことなく詰め込んだ裸体があった。程よく鍛えられた肉体美の上に乗っかる二つの果実は重力に負けることもなくその形を崩すことなく張りを保っている。桜色に色づいた先端部分は興奮から硬く立ち上がりまるで触ってほしいと言わんばかりであった。
上半身だけではまだ放熱が足りぬというように彼女はそのまま下衣にも手をかけた。ベルトを緩ませ、下穿きごと一気に下ろすとむわりとした熱気と雌の臭気が広がる。秘裂からは糸を引きながら垂れた愛液が床へと落ちていった。
脚はしなやかに細く、しかししっかりと肉付きがあり柔らかさを感じさせる妖艶な雰囲気を醸し出している。秘所は茂みが薄く、整えられておりその全容までは見通せないが幾度と男の侵入を許した風ではないことが伺えた。
一糸まとわぬ姿となった彼女はベッドの縁に座り、張型をまじまじと見つめはじめる。理性の蒸発した彼女の顔は無表情なれど熱に浮かされた瞳は艶やかさを感じさせるものであった。淫猥な張型を目の前に彼女は再び喉を鳴らすと自身の淫穴に照準を定めるように持ち手を変え、
ゆっくりと淫窟に押し込む──その時だった。
「よぉ、元気にヤッてるようだな? ええ?」
「───っ!!」
目の前にあの、刺青の男が立っていた。先の戦闘で見た野盗達の姿は見えない。どうやらこの男一人だけで部屋に入ってきたらしい。
メトーデは咄嗟に張型を手放して寝台から飛び起き男から距離を取る。
「魔力探知もできないほどヨガってよぉ…そんなに美味いのか? その張型」
「………」
「おー怖い怖い、だがそんな汁垂らして裸で睨まれても怖かねぇよ。溜まってんなら相手になってやろうか?」
「何が目的ですか」
「目的、ね…」
男は余裕綽々に無警戒であることを隠しもせず、にやけ面で佇んでいた。実際発情しきった今の身体では上手く魔力が集まらず、杖を取り出すのはできそうもない。徒手格闘においても足運びが覚束なく戦えるとは思えなかった。
勝機があるとすれば彼との距離が近いこと。組み伏せるだけなら魔力で強化していない素の膂力、淫熱に茹だる頭でも可能。幸い彼は剣も携えておらず、杖を取り出そうとする魔力の動きも感じられない。
無防備であるのは何か策があってのことか?
その答えが出る前に彼女は目を見張った。突然男が服を脱ぎ始めたのだ。交戦の意思がないことをこちらに示すための行動か、あるいはこちらを馬鹿にしているのか。
鋭い目つきで睨みつけるも、視線を彼の肉体へと向けてしまっていることは否定できなかった。既に自身の肉体は目の前の雄を品定めするようにして淫らな視線を注いでしまっていて、淫水が太腿を伝う感覚がした。
胸板は大きく厚く丸太を思わせる太さでありながらも腰回りは引き締まり、腿や足にも無駄な脂肪など一切なく全身からしなやかな獣のような雰囲気を感じさせる。この体格で魔法使いであるとは彼女も一戦交えてなければ信じられなかったかもしれない。
下半身に目線が移りそうになるのを堪えるが男には見抜かれていたようで釘付けとなったメトーデの様子を一瞥すると満足げに鼻を鳴らし下卑た笑みをその口元に浮かべながら下穿きに手をかけ、
一気にずり下ろすとその反動で彼の剛直が勢いよく跳ね上がりながら露となる。
腕ほどはありそうな長さ、その太さたるや両手で握っても指が回らぬほどだろうか。浮き出た血管が脈打ち、赤黒く色づく先端からは先走り液が漏れて汗と精の臭いがむわりと拡がると鼻腔を擽る。雁首が張り出したその形状は槍の如き鋭さを感じさせ、黒ずんだ穂は幾人もの女達を屈服させてきた証左としてこれ以上ない説得力を持っていた。
それを目にした瞬間身体の芯から湧き上がる熱を感じた。心臓の鼓動が早鐘のように鳴り響き、呼吸も荒くなり始める。視点はその一点に注がれていたまま動かない。
この雄に組み伏せられれば獣のような交尾を強要されるだろう。その未来が容易に想像できてしまい、より強く疼いてしまう。
「なんだ?もう我慢できねぇのか?」
男が一歩前に踏み出すと同時にメトーデの足は一歩後ろに引いてしまった。 脳内では彼を床に組み敷いて拘束、尋問する為の作戦を組み立てていたはずなのに。既に自分はただ目前の雄に屈服する雌と成り下がってしまったのか。図星を突かれたことで咄嗟に反論しようと口を開いたが上手く言葉が出てこない。それでも何か言おうと息を吸い込もうとして指先が壁に擦れ、自ら逃げ場をなくしたことに気づいた。
そのままゆっくりと男は彼女の元まで歩み寄る。肉壺を抉る雁首が下腹部を圧迫するようにして押し当てて涎のような汁で
彼女の肌を穢していく。受け入れれば最後、今の理性は破壊されて性を貪る、新たな自分が芽生え
てしまうだろう。
「おっ、いいねぇ、身体は正直ってか?」
「何を、言って…──っ!?」
無意識のうちにその剛直に手を伸ばしていたことに気がつき慌てて手を引くと男はその様子を見てくつくつと笑いながら彼女の顎を掴み上を向かせる。しかし接吻をする気はなく無骨な指を添えたまま、舐め回すように上から下まで彼女の裸体を視姦し始めた。
鎖骨の窪みから腰のくびれ、胸はもちろんのこと尻のラインから太腿に至るまでその全てを品定めするかのようなねっとりとした視線を感じると悦ぶように乳首は硬くなり淫穴からは愛液が太股を伝った。そしてその様子を見て男は更に目を
いやらしく細める。その反応は男にとって満足のいくものだったらしい。
やがて視るだけに収まらず、彼は腰に手を回し抱き寄せた。清潔にしているのか汗臭さも鼻につくような香水臭さもない。無臭というわけではないが嫌悪感は湧かない、なんとも言えない臭いだった。
「っ…離しなさい」
「俺は別にそれでもいいんだがなぁ…アンタがさっきから密着してんだよ。気づいてるか?こんなに濡らして…なぁ?」
男は腰を一際強く押し当てる。陰茎から漏れる先走り液が腹部にまで垂れてくるほどの密着具合であり当然それがわからないわけがない。怒張の熱さと大きさを更に意識してしまい思考に靄がかかっていくような錯覚さえ覚える。突き飛ばしてしまえばいいだけなのに実行できない。
勝手に動く肉体が男の身体を愛撫するように脚を絡ませると亀頭から溢れる先走り液を掬い取っては指先で伸ばして肉棒全体に刷り込むように広げていった。びくびくと跳ねる逞しい雄の象徴に魅入られ無意識のうちに熱の篭った吐息を漏らす。
もっと触れたい、触れてほしいという欲望が強くなっていくのを感じると同時にその思考回路はより深い快楽を求め始めていたのだ。張型では届かない箇所への刺激が欲しい。子宮口を突かれたい。熱い子種で満たしてほしい。そんな淫らな考えばかりが浮かんでくる始末だ。
男はメトーデの瞳を見つめ返しながらゆっくりと口を開くと静かに語りかけるかのように話し始めた。それはまるで子供に言い聞かせるような口調でもあった。
「俺は無理矢理おっぱじめようとは思ってねぇよ、アンタが嫌ならそれでいい。だがアンタも辛そうだ。なら1回、1回だけだ。キスだけでもしてやらねぇか? なぁ?」
何が1回だけだ。そんな言葉はただの建前にすぎないだろうに。きっと彼は自分が拒むことは無いと分かっているのだろう。そうでなければこんな提案などするはずも無いのだから。しかし業腹なことに彼女はそんな彼の提案を一理あると感じてしまっていた。
平然と彼との会話に応じているように見せているが彼女の内面は相当に切羽詰まっていた。淫熱は発散されず燻り続け、思考能力を削っていく。
気を抜けば即座にでも目の前の雄に傅き子種を乞い求めてしまうだろう。
このまま醜態を晒さぬ為にも。彼女は黙考し──判断して、発言した。
「……わかりました、1回だけですね?」
「あぁ。二言はねぇ」
結局、このままでは埒があかないと判断して彼女は提案を飲むこととした。淫欲を発散したいという欲求から了承の意を示してしまった部分もあることは否定できない。けれどこれ以上の精神的負荷を減らす為にも、野卑た男との接吻を行うことなぞ
造作もないことだ。そう自身に言い聞かせる。
男との接吻はあっさりと終わってしまった。唇同士が触れ合う程度の軽いもの。それは挨拶のような軽いものでありそこに熱情を感じ取ることは難しかったがそれでも確かに高揚感があった。だが疼きは収まる感覚はなかった。
「で、どうだ。収まったか?」
「いえ、全く」
「おいおい、アンタが1回だけっていうからしたんだぜ?どうすんだ?」
彼女は思案する。拉致されただけなら貫手で相手の喉仏を突くなり金的をするなりしてその場を脱することができた。だが彼の放った魔法で蝕まれ、気絶させたとしても必ずしもこの魔法が解除されるとは限らない。
きっと野盗もとい男はこの魔法を旅人や村の女性に放ち弄んでいたのだろう。理性が吹き飛び、男の性を貪る無様を肴とし、今の彼女のように耐えたとしてもまぐわうことは避けられない状況に陥らせる。意地が悪い魔法だと他人事のように彼女は思った。
「──そうですね」
分の悪い賭けであることは承知していた。視野外からの貫手、止められたとしても蹴りで相手の体勢を崩し、隙を作る。
体調は魔法の影響で最悪の一歩手前まで陥り意識も散漫。それでもその賭けに乗っかる価値はあった。
疲労感を振り切って相手の懐へ貫手を放つ。そのまま喉元目掛けて一直線に指を伸ばし肉を掻き切るように鋭い一撃を放った。が、しかし彼はそれを最初から知っていたかのように回避行動すらせず右手で掴まれた。引き抜くなんてことは考えず、脇腹めがけて蹴りを繰り出す──
前に男はその脚を受け止めた。そしてそのままそのまま突き飛ばされる形で壁へ叩きつけられた。肺から空気が漏れ一瞬目の前が白む程の衝撃が彼女を襲い、思考が吹き飛びそう
になって力無く床に崩れ落ちる。
「っ、ぁ…!!」
(ここまでとは。ですが…)
突き飛ばされて彼との距離が開いた。その隙をつき、メトーデは男の股下を潜るように身を屈めて脱ぎ捨てた衣服を素早く回収して扉まで
駆ける。迅速かつ的確な遁走を男の目は捉えていたがその肉体は反応しきれておらず、一拍遅れて動き始める。
見事なまでの逃走だったが彼女はある可能性を見落としてしまっていた。普段の彼女ならば忘れることなく、その可能性を考慮した上で動いていただろう。
対峙していた男が戦士であると同時に。
「『
魔法使いであることに。
「…っ…ぅ…」
男の指先から放たれた魔法は彼女の自由を奪い、床に倒れさせた。それはまるで糸で縛り付けられたかのように──否それよりも遥かに強固にその身の自由を奪っていた。
抵抗しようと試みるが指先一つ動かすことも、唇を動かすこともできない。呼吸は続いていることから死に至らしめる魔法ではないとメトーデは結論付ける。
徐々に迫ってくる男の足音を彼女はただ背中越しに聞いているだけしかできなかった。やがて足音が止まると抱きかかえられる。見上げても分かる男のにやけ面を見つめることしかできず、扉は遠ざかり寝台へと近づいていく。
「惜しかったなぁ、あとちょっとだったのに」
「………」
「おー怖い怖い、そう睨むなよ…まぁそんな顔してられるのも今のうちだけどな」
仰向けに寝転ぶように寝かされるとベッドを軋ませながら彼が跨がり、
見下ろしてくる。
それは恋人同士が愛を語り合いそして閨を共にする前の甘い睦みに耽る男女を彷彿とさせる光景のようにも見えた。だがこれから始まるのは愛情の欠片もない落花狼藉であり、彼女の理性を殺す為の凌辱でしかなかった。
◆◆◆
「…っ、う゛ぉ、……――ッ!…っはー…ぁ゛っ!」
「黙りでもなかなか愉しめるな」
メトーデの両腕を掴み、その背中に覆い被さる形で男は肉壺を堪能し始めた。催淫効果で既に陰裂は熱く蕩け、肉襞は柔らかく解れており容易く男根を受け入れた。ねっとりと絡みつくように吸いつき歓迎するように今の彼に奉仕している。
膣内に埋め込まれた肉棒が擦れるたびに快楽と共に嫌悪感が生じるメトーデに対して男は無遠慮に腰を打ち付け彼女の奥へ奥へと侵入していく。その度に腰が浮き上がって大きく痙攣し、その反応を楽しむかのように何度も繰り返し行われるピストン運動によってただ喘ぐことしか許されなかった。
子宮口を突かれる度に刺激が全身を駆け抜け、脳髄にまで響くような強い快楽となって襲いかかる。波打つような心地良さに口の端から唾液を零しながら男根を咥え込んだ膣内は甘えるように締め付け、一突きする度にきゅうっと吸い付く様は彼女が肉欲に塗れた妄想の中で見た貪欲に精を欲しがる己そのものだった。
実の所、最初に抽挿された時点で彼女は絶頂に達し、快楽の奔流に飲まれてしまっていた。欲望を抑えつけて自制し続けていたことが裏目に出てしまい、たった一回の挿入で怒濤に押し寄せた快感の波に対抗することができなくなってしまったのだ。
魔法の効果による消えては浮かぶ淫猥な妄想と時間が経つごとに増していく肉欲、そして身体全体に染み渡るような疼き。その全てを理性の蓋で押さえ込んでいたがそこに男の肉棒を穿たれたことで蓋がはじけ飛んでしまった。『動かなくなる魔法』で獣の咆哮が如き嬌声を男が耳にすることがないのが彼女にとっての救いであった。もし仮に男の耳に入っていたら彼はその声量を愉しむために更に激しく責め立てていたことだろう。
意識を刈り取られそうになる度に子宮口に鈴口がめり込み、強烈な衝撃で引き戻される。頭の中は靄がかかったかのように白く染まり思考さえも奪われつつあった。はしたなく蕩けきった表情は枕に顔を押し付けているが為に男は見ることは叶わないが、唇の隙間から漏れ出る吐息が彼女が如何に快楽に溺れているかを物語っていた。
今までの気概は見る影もなく身も心も快楽を享受するだけの肉人形に成り果て、喘ぐこともなく肉穴を締め付け精を搾り取る姿は淫具に等しき
ものだった。しかし男はその有様に不満を漏らすことなくむしろ喜悦の笑みを浮かべていた。
『熱を求める魔法』によって発情した女性の反応は様々だ。直ぐに股を開いて男根を迎え入れてくる女、快楽を拒絶し理性を保って耐えようとする女、逆に襲いかかってくる女。どれも男の性欲を奮い立たせるものばかりであり、そしてその全員を本能のままに蠢く肉穴へと変じさせてきた。
女を雌へ堕とす天賦の才能が自分には備わっているのだと男は自負していた。ただ魔法を使って女を堕として肉人形にするだけではなく雄に屈服した雌の姿を、そして何よりそうなった女が本能に身を任せる姿が好きなのだ。そして今まさに新たな女が牝へと己の手で堕ちていく。
その事実に昂ぶりつつも男は抽挿が鈍くなってきたと感じ、肉茎を引き抜いてみるとすぐに合点がいった。蜜壺は肉竿の蓋を外したにも関わらず溢れず、白濁の塊で満たされていたからだ。肉棒の鰓によって掻き出していたはずだったがそれを凌ぐ量の白濁液を流し込んでいたらしい。よくもまぁここまで出したものだと男は感心して笑みを零し、太腿を伝って落ちていく生暖かい性液を感じながら男は自身の下腹部を見つめた。
愛液と我慢汁でてらついている陰毛、未だ硬さを失っておらず天に向かって反り返ったままの陰茎。久方ぶりの女に彼の愚息はまだ飢えを満たしてはいないと不満を訴えている。まだ終わりではない。むしろこれからが本番だ。
絶頂に上り詰めたまま降りてこられずにいる彼女を仰向けに転がすと唇に指を添え、差し入れる。口内は熱く柔らかな舌で迎えられると唾液を塗り込むように舌を這わせてきた。その瞳は男を見ておらず虚ろにどこかを見つめているがこうして無意識的にでも奉仕をしてくれる辺り、彼女は既に淫婦に身を窶すことへ抵抗を示す気はないのだろう。
花肉は十分に味わい尽くした。だが女体というものはそこだけではなく、まだ他にも素晴らしい箇所がある。花芯にたわわに実る2つの果実はもちろんのこと、太ももの柔らかさに引き締まったお腹や尻肉そして何より秘裂を守るかのように生える茂みなど挙げ始めればキリがない。意識する度に男の獣欲は昂ぶり、鈴口からは夜露の如き淫水が溢れ陰茎の硬度を増していく。
とりあえず手始めに、とでもいうように男は指を差し入れた唇へと熱を帯びた肉槍を挿入した。
◆◆◆
3時間後。メトーデの姿はより淫猥なものへと変わっていた。だらしなく緩んだ口元からは白濁液が垂れ落ち、胸の谷間や太腿の内側にもべっとりと垂れ落ちることなく付着している。
両手の指の間にすらそれは糸のように絡み付いて尻穴からは溢れ、シーツの染みは広がり切って大海を形作っていた。余すことなく精に塗れ、溺れた姿は最早女性の形をした肉の塊でしかなかった。
「ふぅー……──って、まだ寝てんのか」
一風呂浴びに退室していた男は未だ快楽の波に呑まれて意識を混濁させている彼女の頬を軽く叩くと視線だけ男に向けられる。犯す前までの冷たい眼光はいまや見る影もなく蕩けきって物欲しげに男を誘うような熱視線に変わっていた。
「ん? そういやまだ解除してなかったな」
男は『
まで近寄りゆっくりとその口を男の唇に重ねた。
舌と舌を絡ませ合う濃厚な接吻。互いの唾液を交換し合い、そして飲み干していく様は男が犯す前に『熱を求める魔法
ものだった。犯されるがままにいて溜まり続けた情欲を晴らすように一方的に舌を絡めていき吸い付く。普段は蹂躙する側だったがされる側に回るのも悪くないと男は彼女の行為を受け入れ、堪能した。
唇を離すとねっとりとした銀糸が橋を作りやがて途切れる。メトーデは熱に浮かされたように潤んだ瞳で見つめ、口を開く。
「あなたに私の全てを差し上げます。好きに使ってください。便所として扱って下さっても犬のように扱って下さっても構いません」
あくまで凛然とした雰囲気を崩さない言葉遣い、今までと変わらぬ冷徹な眼差し。だがその口ぶりからは最初の頃に抱いた殺意に近い感情が消え失せており代わりに隠しきれない愛情、尊敬、好意そして服従心が滲み出ていた。堕落を自ら望む言葉が紡ぎながらメトーデは男の手を掴むと自身の乳房へと押し当てて呟く。
「どうぞ、ご自由にお使いください」
淡々と臆面もなくそう告げられた言葉に対して男は口元を微かに歪ませ、その手を取り寝台へ押し倒すと交合い始める。先程までと違うのはその交尾に淫売の嬌声が混じり始めていたことだった。
◆◆◆
メトーデは男によって完全に堕とされて野盗達の肉人形兼女中、その一人として加えられた。どうやらリーダー的存在である男以外の野盗が部屋に現れる気配すらなかったのは彼等がその女性達で性欲発散していたかららしいと後日彼女は知ることとなった。
最初の日はまず、彼女達とメトーデの顔合わせがされた。全員が見目麗しく貧乳や巨乳、母乳が出る者や刺青を彫っている者など一辺倒ではない様々な女体がそこには集まっていた。全員が男達に拉致され、調教されたことで牡の精を糧とする
魔性が如き存在、屈服し飼い慣らされた牝犬と化した共通性からその輪に馴染むまで半日もかからなかった。
また彼女達からはこの謎めいた空間についても説明を受けた。
愚者ゲリッセン。賢者エーヴィヒと引き合いに出される狡猾な魔術師であり、引き合いに出されること以外の情報は皆無な、実在したかも定かではない神話の存在。どうやらこの広大な空間はそんな人物の残した魔術によって構築された空間らしく、確かに壁の隅や床の端に判読不可能な古語が名前の走り書きのように刻まれていた。
男達一人一人が寝る部屋の他には大浴場、数人が共寝できる大きめの寝所、食堂に調理室。そして大部屋が2つありその内1つは女性用でもう1つは男性用として使っているが男達と交尾し続ける個室と大浴場の場所だけ覚えておけばいいと説明された。
そしてメトーデの新たな日常が始まった。
朝は決まった時間に起き身支度を整えたら朝食の準備そして給仕を行い、男達が食事中は口淫で奉仕する。時々興が乗ったのか尻穴に肉棒を突っ込まれ後ろから突かれることもあったが一番多いのはそれであった。
昼食後の休憩時間には大浴場で他の女性達と入浴したり、野盗の男達と混浴し奉仕したり。そして夕食後は肉布団として男達に抱かれて精液で満たされながら眠りにつくのが日課。時には乱交や
輪姦で他の女達ともまぐわうこともしばしばあったがその度彼女は新たな快楽の虜になっていった。
時折食料品や物資の調達に男達だけでこの空間の外──つまり今まで生きていた世界に赴くことがあった。女性達は外出することは許されていなかったが不服になることは一度もなかった。外に出ようとさえ思わなかった。戻ってきた彼等が煮詰まった性欲をどのようにして自分達にぶつけてくれるのか、そればかりを考えては己を慰め、他の女性と慰め合う日々。そして戻ってきた男達と欲望を思う存分ぶつけ合う。そんな日々に満足しており、新しく入った彼女もまたその充足感に
身を委ねていた。
やがて一級魔法使いとしての肩書きも、メトーデという名前すら忘却し、外の歴史からも彼女の存在は完全に消え去った。今も淫獄にて女は男達の慰み物となり心も体も堕落した。そしていつの日かまた新たな牝肉がこの空間に足を踏み入れるだろう。