最強ベーゼのやりなおし〜わたしは闇堕ちを許さない!〜 作:蒼依スピカ
キーン、コーン、カーン、コーーーン——。
一時間目の授業が終わる。
「うてなちゃ〜ん、一緒にトイレ行こ〜」
「うん、いいよ」
二人は手を繋いで仲良くトイレに向かう。
***
キーン、コーン、カーン、コーーーン——。
二時間目の授業が終わる。
「うてなちゃん、トイレ行こ〜」
「うん」
***
キーン、コーン、カーン、コーーーン——。
三時間目の授業が終わる。
「うてなちゃん、トイ——」
「行こうか」
***
キーン、コーン、カーン、コーーーン——。
四時間目の授業が終わり、お昼休みになる。
「うてなちゃ〜ん、一緒にお昼食べよう〜」
「うん、いいよ」
二人はお弁当箱を持って教室から出て行く。
それを見送っていたはるか達三人は複雑な表情を浮かべ、机をくっつけてそれぞれのお弁当を広げる。
「うてなちゃんとキウィちゃんって、すっごく仲が良いよねー」
「ええ、そうね」
「良すぎやろ。なんや、見ていてイライラするわ」
「えー、どうしてー」
「あのお団子頭、露骨すぎなんや。はるかは前の席やから見えてへんやろうけど、あの女、痴女やで」
「んー? ちじょぉ―?」
「ちょっと薫子、言い過ぎよ」
「小夜の方が席近いんやから、ちょっとは怒ったらどうや。横でオナニーなんかされたら迷惑やろ」
薫子の卑猥な爆弾発言に、教室中の視線が集中する。
「ちょっと薫子! そんなこと!」
「オナニーぐらいで照れてどうすんねん。みんな家ではやっとるやろ」
「そ、そうだけど……いや、そう言うことじゃないわよ! 場所を弁えてって言ってるの!」
「あの色狂いの団子頭みたくここでやってるわけやないんや、別にええやろ」
「そういう問題じゃないのよ! みんな困ってるし、はるかだって困ってるでしょ!」
はるかの顔は湯気が出るほど真っ赤になり、目が泳いで顔が引きつっていた。
「あー、ゴメンなー、はるか。うちが無神経やったわ。はぁ……気分変えて、お昼、食べよか」
「う、うん」
「まったく、薫子ったら……」
三人が話題を変えてお弁当を食べ始めたため、周囲もあえて話題をずらし、明るくもぎこちなくなった昼食タイムが再開する。
「あ、えっと……あっ、薫子ちゃん、マイ箸を持ってきたんだね」
まだ顔が真っ赤なはるかだったが、なんとか場をなごませようと、目新しい物の話題を振る。
薫子は、コンビニで買ってきたうどんを新品のマイ箸で啜っていた。
「毎回無言でフォーク付けられてムカついとったからなー。始めから自分で用意しとった方がええと思ったんや」
今回も無言で付けられたフォークをヒラヒラさせ、袋にしまう。
「あははは、あの店員さん、薫子ちゃんのこと、絶対に外国人さんだと思ってるよね」
「たぶん、そうやろなー。ホンマにムカつくわー」
「薫子ちゃんって外国のモデルさんみたいに可愛くて美人だからつい誤解しちゃうんだよ」
「な、なに言うとるんや。うちはそないに可愛く——」
「もしも恋人を作るなら、私、薫子ちゃんみたいな子が良いなー」
「ッ——!?」
はるかの純粋すぎる笑顔に動揺し、掬っていたうどんが箸から滑り落ちる。
「う、うちが恋人って、なに言うとんのや……」
「うてなちゃんやキウィちゃんを見てたらさー、私にも良い人が出来ないかなーと思って」
「……あの二人は参考にせんほうがええで」
「えー、なんでー?」
「なんでやて? あの二人、休み時間のトイレで——」
「薫子、ストップ! また微妙な空気になるわよ!」
小夜が「もうあの気まずい雰囲気は勘弁して!」とばかりに手を突き出し、薫子の言葉を遮る。
「あー……やっぱあのお団子頭、ムカつくわー。一回シバいたろか?」
「やめなさい」
「冗談や。流石にクラスメイトを本気でシバこうとは思わへん。こないな時はそれらしいのを思いっきりボコボコに——ん?」
サンドバッグの相手として魔物が頭に浮かんだ瞬間、エノルミータの気配を学校内に感じる。
三人は箸を置いて顔を見合わせると、テレパシーで確認する。
(エノルミータや。いくで!)
(うん!)
(ええ!)
食べかけのお弁当を適当に片付けると、三人はさりげなくも素早い動きで教室から出て行くのだった。