最強ベーゼのやりなおし〜わたしは闇堕ちを許さない!〜 作:蒼依スピカ
登場人物
柊うてな(ひいらぎ うてな)※マジア・ベーゼ
阿良河キウィ(あらが きうぃ)※レオパルト
「ただいま〜♪」
「おかえり、マジアベーゼ」
スキップするように闇のゲートから出ると、流れるようにスッと変身を解除する。
ヴェナリータは座っていた棚から浮かび上がり、うてなの前まで移動する。
「まさか、この短期間で二人も真化させるとは思ってもみなかったよ」
「早く真化した姿を見たかったので、ちょっと頑張りました♪」
「あとはマジアマゼンタだけだね。すぐに——」
「あ、マゼンタはすぐには無理ですよ」
「何故だい?」
「マゼンタはまだ想いの力が弱すぎますから。ヴェナさんならわかってるんじゃないですか?」
「……そうだね、うてなの言う通りだよ」
うてなはヴェナリータに背を向けると、クローゼットを開け、外出用の服に着替え始める。
「マジアサルファの凜々しい姿もすっごく楽しめましたし、この後はキウィちゃんですかー。今日は大忙しですね〜♪」
鼻歌を歌いながらるんるん気分で着替えを終え、姿見で衣服と髪を整える。
「これから行くのかい? ナハトベースには居るけどもう夜も遅いし、明日にしようかと思っていたんだけど」
窓の外は月がまだしっかり出ており、時計は十時近くを指していた。
「学校は休みたくないですし、キウィちゃんとは一秒でも早く会いたいですから」
「そうかい」
「ふふ、今夜は徹夜も覚悟の上です。それに、キウィちゃんは転校の手続きもあるでしょうから、少しでも早い方が助かると思いますよ」
「未来人というのは忙しないね。じゃあ、行こうか」
「はい」
ヴェナリータの作った闇のゲートを抜けると、すぐにナハトベースが視界に入る。
「懐かしい、ですね……」
「何がだい?」
「わたしが一番長い時間を過ごしたのは、いっぱい改築や増築された後のナハトベースなんです。最初は……こんなに殺風景だったんですね……」
「もうずっと変わってないし、増改築する予定もないんだけど、この先、色々とあるみたいだね」
「そうですね。わたしとしては……ホテルを早く建ててほしいです」
「ホテル?」
「わたしとキウィちゃんが初めて愛し合った思い出の場所です。本当はずっと後、キウィちゃんの要望でヴェナさんが建てるんですけど、今回はわたしからお願いします。真珠ちゃんやネモちゃんも使うんですから、今すぐに建てても問題ありませんよね?」
ヴェナリータはうてなが「あそこに」と指を差した方向を見つめ、軽く頷く。
「みんなが気持ちよく戦えるために福利厚生を整えるのはボクの役目だからね。この後すぐに取りかかるよ」
「お願いします。さあ、キウィちゃんに会いに行きましょう♪」
「ああ」
うてなはまるで自分の家のように軽い足取りでナハトベースに入る。
そして迷路のような通路をどんどん進んでいくと、すぐに休憩所のようなスペースに辿り着く。
「本当に懐かしいです。ちょっとゆっくりしていきましょうか」
「うてながそれでいいなら——」
「そうだよ〜〜〜、ゆっくりしてけって〜〜〜」
通路の奥から声が聞こえ、柱の影からラフな格好をした小柄な少女が現れる。
「こんばんは、キウィちゃん」
「ん〜? なんでアタシのこと知ってんの〜……ああ、ヴェナちゃんから聞いたんだ〜」
「はい。わたしは——」
「柊うてなちゃんでしょ。ヴェナちゃんから聞いてるし、サルファとの戦いも一緒に見てたからよぉ〜く知ってるよ〜〜〜。はい、握手」
キウィはうてなの手をにこやかに取ると、そこに手榴弾を握らせてバッと後ずさる。
「ふふ——」
うてながそれを見て笑った瞬間、手榴弾は大爆発を起こし、床に大きなクレーターができあがる。
徐々に晴れてきた爆煙の中心地に立っていたのは、無傷で笑顔を浮かべるマジアベーゼだった。
「やっぱバケモノだね〜。サルファの言ってたとおりじゃ〜ん」
「挨拶の手榴弾、素晴らしい威力ですねぇ♪」
「そんなに強いのに、どうしてトドメ刺さなかったのかな〜? 楽勝だったっしょ?」
「わたしは魔法少女を倒したいわけじゃありませんから」
「……ムカつく」
キウィの手に握られている変身アイテムが光を放ってその身体を包む。
「ふふふふ……初々しくて……可愛いですねぇ……」
光が収まると、そこに立っていたのはビキニパンツ丸出しの軍服を纏った少女——レオパルドだった。
「アタシはさ〜、トレスマジアをぶっ倒したいんだよね〜。いちゃいちゃするだけのベーゼちゃんなんて反吐が出るんよ〜」
レオパルドがマジアベーゼに銃を構えると、その背後に大きな銃口が幾つも現れる。
「その甘ったれた考え、このレオパルド様が矯正してやんよ」
全ての銃口が一斉に火を噴き、常識外の大きさの弾丸がマジアベーゼに襲いかかる。
「ふふ、甘いですよ、レオちゃん」
全ての弾丸にパンッと鞭を振ると、弾丸の向きが百八十度反転し、レオパルドの方に向く。
「……へ?」
「これ、お返ししますね♪」
全ての弾丸が放たれたとき以上のスピードでレオパルドに命中し、大爆発を起こす。
「ガハッ!?」
レオパルドの装備の九割以上が吹き飛び、煙を噴きながらガクッと膝を突く。
「ふふ……」
マジアベーゼは呆然とするレオパルドに近づくと、その顎を指でくいっと持ち上げる。
「レオパルド。あなたは何のためにトレスマジアを消したいのですか?」
「ア、アタシが、世界で一番可愛いいのに……あいつらが、世間でちやほやされてるから……。だから……消す……」
「トレスマジアを消すことはわたしが許しません」
「うっ……ううぅ〜〜〜……」
レオパルドの目から大粒の涙が溢れ出る。
「でも——」
マジアベーゼは、舌でその涙を掬うように舐め取ると、おでこにキスをし、満面の笑みを浮かべる。
すると、レオパルドの変身がふっと解け、乙女のような表情になっていく。
「今のキウィちゃんは、世界で一番可愛いですよ」
「……ホント、に?」
「本当に、です。凜々しくて、強くて、泣き虫で、とっても素直な可愛い女の子です。私服も可愛いですし、軍服姿も可愛いです。世界の誰がなんと言おうと、今のキウィちゃんは世界で一番可愛いですよ」
「う、うてなちゃん……」
自然と唇が重なり、舌が絡み合う。
「ん——可愛くて凜々しいから、こんな風にめちゃくちゃにしたいんです。トレスマジアも、キウィちゃんも、もっと穢して、もっと可愛い顔を見たいんです」
「うてなちゃん……ヤバすぎ……」
「だから、トレスマジアを消すのは諦めてくださいね」
「……諦めたら、うてなちゃんはずっと一緒にいてくれる?」
「はい。わたしと一緒に、魔法少女を永遠に虐め続けましょう」
「うん……。うてなちゃんと一緒に、ずっと魔法少女を虐めるぅぅぅ〜……んん——」
再び唇が重なると、二人は時間を忘れて舌を絡め合う。
そして、その様子を遠くから伺っていたのは一つの黒い影。
「……柊うてな。君はどこまでその欲望を高め、どんな未来を経験したのかな?」
ヴェナリータの声は二人には届かない。
うてなもキウィも、その三日月のような口が更に鋭利さを増したことに、最後まで気が付くことはなかった。
このシリーズは本編になります。
閑話などはpixivの【FANBOX】で公開中!
閑話例:「サルファの恋心 一日目」
本編4話の後日譚であり本編連動の連載企画。マゼンタを意識し始め、徐々に距離が近づくR18のお話です。
FANBOXでは他のifルートも公開予定ですのでご期待下さい!
計画中:ベゼ×アズ×キウィの結婚生活(仮題)、ロコルベの日常(仮題)など、原作キャラを尊重します。