最強ベーゼのやりなおし〜わたしは闇堕ちを許さない!〜 作:蒼依スピカ
「いってきまーす」
「いってらっしゃい」
うてなは早朝の爽やかな空気の中、学校への通学路を歩く。
(やっぱりキウィちゃんは可愛かったなぁ~)
ナハトベースでの出来事を思い出したうてなの顔に笑みが浮かぶ。
(前のビリビリキウィちゃんも良かったけど、あんな風にボロボロになったキウィちゃんもすっごく良かった……)
自身の武器でボロボロになり、ディープキスで蕩けていく表情を思い出す。
「ん……♡」
胸がキュンとし、子宮がきゅっと疼く。
(はぁ、朝からちょっと濡れちゃった。学校に着いたら、すぐにトイレでスッキリしないと――)
時間を遡ってからの一番の困りごとは性欲だった。
うてなの体感では、ちょっと前までトレスマジアをメス豚として扱い、陵辱の限りを尽くしていたのだ。
不本意な魔法少女の闇堕ち展開だったとはいえ、その肉体的快楽は本物。
マゼンタ、サルファ、アズール、そして他の魔法少女たちの身体の感触と喘ぎ声は昨日のことのように思い出されるのだ。
トレスマジアを拉致監禁するまでは、キウィと毎日のようにセックスをしていた。
恋人じゃないけど恋人以上の関係。
ちゃんとした告白はしてないけど愛は通じている。
キウィと純情すぎる濃厚なセックスをした後は、トレスマジアに対しての遠慮のない調教の時間が延々と続く。
股が乾く暇がないほどの濃厚な日々からすれば、今の状態は禁欲に近い状態だった。
「はぁ……」
疼く子宮をそっと撫でながら歩いていると、学校が見えてくる。
「うてなちゃ~ん!」
「あっ、はるかちゃん、おはよう……」
「おはよー! どうしたの、なにかあった?」
「うん、ちょっと、色々と……」
「体調が悪い——ようには見えないね。なんかつやつやしてるし」
「うん、体調はいいよ」
凜々しい姿のアズールとサルファの真化、そしてキウィのお陰で、体調そのものは凄く良いうてなだった。
「私に出来ることがあったらなんでも言ってね」
「う、うん……」
うてなは満面の笑みを浮かべる「花菱はるか」を「マジアマゼンタ」に脳内変換し、妄想する。
(その顔をめちゃくちゃにしたいんです……。泣いて、叫んで、それでも向かってくる……そんな、健気だけど誰よりも眩しいマゼンタを見たい……なんて、言えないよね……)
未来でトレスマジアを拉致監禁して調教した結果、トレスマジアは変身が強制解除され、その正体を現していたのだ。
その時のうてなの表情は、世界の終わりのような沈痛なものだった。
『はるかちゃん……小夜ちゃん……薫子ちゃん……』
絶望した。
トレスマジアの正体がわかってしまったことに——。
『トレスマジアの正体バレなんて……誰も喜ばないよ……』
それからは性欲に身を任せた。
トレスマジアの正体バレというタブーを忘れるために。
闇堕ち、正体バレ――うてなの理性が宇宙の彼方に飛んで行ったのだ。
(——考えちゃダメ! トレスマジアは正体不明の魔法少女なんだから!)
悪夢を振り払うように、頭がもげる勢いでぶんぶん振る。
「ど、どうしたの、うてなちゃん!?」
「はぁ、はぁ、はぁ……な、なんでもないよ、マ——はるかちゃん……」
「そ、そう……?」
なんとか理性を取り戻したうてなは、はるかと並んで歩き始める。
「そういえば、そろそろテストだねー」
「あ、そっか、今はそんな時期なんだ……」
「私はね——」
「うてなちゃーーーん!!」
「ぐっ——!?」
みぞおちにタックルされ、声が漏れる。
「来ったよ~~~、うてなちゃん!!」
相手の頭が胸の辺りでぐりぐりされたところで、飛び込んできた人物の正体がわかった。
「き、キウィちゃん……」
「えへへへ、転校してきたよ! 嬉しい?」
「うん、すっごく嬉しいよ」
「今日からよろよろ~~~——んっ!」
キウィが抱き付きながら目を閉じ、にゅーっとその口を伸ばしてくる。
「これからもよろしくね、キウィちゃん。ん——」
うてなとキウィの開いた唇がピッタリと重なり、「んっ、ん♡」という、朝の校門前に相応しくない淫靡な音が響く。
「え、え、なに、なに? 朝からそんな? え? ええ~~~ッ!?」
はるかの戸惑いの絶叫が登校中の生徒の間を駆け抜ける。
大勢の生徒が集まる朝の校門前。
濃厚なディープキスを披露する二人は当然ながら大注目される。
赤面する女子。腰をモジモジさせる女子。隣の友人の手をぎゅっと握る女子。そして、裏庭にかけ込む女子カップル——反応は千差万別、十人十色。
うてなの二度目の青春は、キウィとの出会いによって学校の伝説として刻まれた。
しかしそれは、数多の人生を変えていく序章にすぎない。
闇堕ちは許さない。
正体バレも許さない。
そして徹底的に虐めて、徹底的に辱めて、徹底的に可愛がる。
柊うてな——マジアベーゼの二週目は、そんな決意の塊なのだ。