※この作品はR-18です。

烏鷺を孕ませないと出られない部屋   作:小説を見るよう

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真希&真衣の姉妹丼を出すと言ったな。あれは嘘だ。
本当にすみません(土下寝。 本当に書くつもりだったんですけど、想像以上に繋ぎが長くなってしまったのでr18は書けませんでした!
次回は!次回こそは姉妹丼r18なのでお楽しみに!



後日談その弐

 

 

 心肺の停止した人を反転術式で傷を治し、蘇生したことは何回かある。だが、ここまで時間が経っていて蘇生されることがあるとは。

 

 

「ぅ…ここは……」

 

「おはよう…でいいのかな? ここは、まぁ遺体安置所みたいなものだと思ってもらえればいいよ」

 

「遺体…安置所…?」

 

 遺体安置所という言葉が飲み込めなかった。遺体…どういうこと? なんでそんなとこにいるのか。わからない…深く眠っていたような感覚で、疲れた日の翌日の寝起きのように頭がまだ回らない、はっきりしない感じだ。

 

「そう。さっきまで君、死んでいたんだよ」

 

「……え?」

 

 死んでいた? さっきまで? なんで………………………あ……思い出した。

 そうだ、私は本家で重傷を負わされて、それで命を賭した縛りで呪力と構築術式の底上げをして特級呪具を作った。それで真希から呪力を取って、天与呪縛を完全なものとして…全部壊すようにお願いをした。

 そこからの記憶はない。死んだからだ。そのはずなのに…まさか上手くいかなかった? いや、できた感覚はあったし、失敗していればあの場にいた呪霊にぐちゃぐちゃにされていたはず。

 それならなんで…?

 

 頭が追い付かない。死んだはずの自分がいま生きていること、あれからどうなったのかと真衣がぐるぐると混乱していると、そのことを察した硝子が話しかけた。

 

 

「まあ混乱してると思うけど落ち着きな。私だって驚いてるんだ」

 

 虎杖の時とはわけが違う。そもそも虎杖の傷を治したのは宿儺の反転術式だ。それに虎杖の身体は生物としての強度が並外れていた上に宿儺が受肉しているのに体の主導権を握っていた超特殊事例だ。

 なのに私のところに運び込まれるまでの経過した時間を考えると蘇生は不可能だったはずだ。命を賭けた縛りの方は、早期に対応したことがなくどうなるかわからない。そういった事例で運び込まれたときには既に時間が経ちすぎていた。

 それにそもそも縛りによる死ならば反転術式だけではどうにもならないだろう。

 

 

「なぜ私は生き返れたんでしょうか…」

 

「さっぱりわからないよ。私は君の傷を治しに来ただけだったんだ、正確には君の遺体をだけどね」

 

「私の…遺体に?」

 

「ああ。真希と京都高の子にお願いされてね。新田新に状態を保存させて、今日までここに保管されてたのさ」

 

「真希とみんなが…」

 

 禅院家本家壊滅の後、真衣の遺体は西宮桃に預けられた。

 当時のごたごた状況によって真衣をしっかり弔ってやれない、ゆっくり葬式を挙げてやることもできない状況であったため、その時が来るまで新田新の術式を真衣の遺体に施してもらい、現在の場所に保管していた。

 

 そのことを禅院家の人間を鏖にした後に聞いた真希は、「それなら硝子さんに頼んで、傷を治してもらって綺麗になった真衣を見届けよう」と提案した。

 そうして本日遺体保管場所にやってきた硝子が反転術式を使い、傷を治したところで真衣が目覚めたのだ。

 

「―ということがあってね」

 

「そうだったんですね…」

 

「だから私がここにいるんだが、どういうわけか君が蘇生された。命を懸けた縛りで死んだのだから、反転術式だけでは説明がつかない」

 

 硝子さんによると縛りによって死んでいるから反転術式だけで生き返るとは考えられない。生き返ったのは確実に何者かが関わっており、術式か何かはわからず動機もわからないとのことだった。

 

「だから―」

 

 硝子が何かを言いかけた時、真衣を大切に想う一人の声が響いた。

 

 

 

「真衣……」

 

 

 

 そこにいたのは今しがた到着した真希とその後ろに憂太だった。

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

少し前の真希と憂太

 

 

「…憂太、今すぐ行くぞ」

 

「えっと…どこに?」

 

「“真衣”のところだ」

 

「真衣さんの…?」

 

 突然真衣のところに行くと言われて憂太は状況が飲み込めなかったが、真希が言うことなのですぐに了承した。

 

「とりあえず補助監督の方に連絡をして迎えに来てもらおう」

 

「そんなん待ってられねーよ! 急を要するんだ憂太が私を抱えろ」

 

「ええぇーー!!僕が真希さんを?!」

 

「事情は後で説明する。車とか公共交通機関を使うよりもお前に移動してもらった方が直線で行ける分早いだろ」

 

 虎杖は壊相たちと戦った時トラックと同等かそれ以上の速度で走っていた。その虎杖に追いつける憂太もまた自動車と同等以上の速度で走れるのだ。

 それであれば道路を通らないといけない車などを使うより建物などを難なく飛び越えて直線で目的地に行ける憂太の方が速いという考えだ。

 

 

「でも抱えるってどうしたら」

 

「好きにしろ! 脇に抱えるでも何でもいい急いでんだ!」

 

 何でもいいと言った結果、お姫様抱っこされて真衣の下へと向かった。気恥ずかしさはあったが、真衣の下へと早く行きたいのと何でもいいと言ったこともあり文句は言わなかった。

 

 そして真希の指示を受けながら、屋根伝いだったり、リカの腕を足場にしたりしながら高速で移動していった。

 そして真衣がいる場所へ到着したのだ。

 

 

「真希さんここは?」

 

「真衣がいる場所だ」

 

 ドアを開け中へ進んでいく。真衣がいる部屋…というより真衣の遺体があるはずの部屋と言った方が正しい。そこに近づいていくにつれて握った手のひらに汗が溜まっていくのが分かった。

 

 憂太は何も聞かなかった。ある程度予測は立てられるが、真希が後で言うと言ったのだから、真希から話をしてくれるまで待つと決めていた。

 

 

「―――」

 

 誰かの声が聞こえた。扉の向こう、部屋の中だから鮮明には聞こえない。話声であるような音が聞こえたのだ。

 

 それが人のものだとわかると、期待感が高まると同時に不安も感じていた。独り言ではなく誰かと話しているのではないか、その誰かとは硝子と真衣ではないかという期待。逆にそうでない可能性、そうでなかった時の落胆の可能性を不安として抱えている。

 

 この真実は目の前まで迫った扉を開ければわかる。わかってしまう。

 

 ドアノブに手をかけ、一度深呼吸をする。そして覚悟を決めてドアノブを捻り扉を開いた。

 

 

「だから―」

 

ガチャ

 

 

 開いた先、真希の目に入ってきた光景は、台に状態を起こしている真衣と立って話していたであろう硝子であった。

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

「真衣…」

 

 その声に室内の2人の視線が声の主に向けられた。

 

「やあ、いいタイミングで来たね」

 

「真希……」

 

 真衣が真希の名を呼んだ時、室内に静寂が訪れた。

 硝子は再開の雰囲気を察して、告げる言葉を止めた。憂太もここに来てから一言も発してはいないが、硝子と同じく察したため喋ろうとはしなかった。

 

 

「久しぶり…でいいのかしら。私としては寝て起きた感じだから、寝てる間に数時間しかたっていない感覚だけど」

 

 特級呪具を作った後の記憶がない。葦を渡した気がする記憶が最後だ。その後はへとへとに疲れた日の夜にぐっすりと寝て、夢を見ずに夜を過ごし朝起きたようにここで目を覚ました感じだ。

 

「本当に、真衣…なのか?」

 

「逆に聞くけど私以外の誰かにでも見えるの?」

 

 いざ目の当たりにすると信じられなかった。交流戦前の虎杖生存ドッキリをされたとき恵達はこんな気持ちだったのか……いや、あいつらは意外と冷静だった気もするが。

 嬉しいはずなのに疑ってしまう。偽物ではないのか、幻覚あるいは夢なんじゃないかと。

 

 

「…幼いころ、低級呪霊が怖くてよくあんたに手を引っ張って助けてもらってたわよね」

 

「っ………ぅ…真衣っ!!」

 

 真衣の言葉を皮切りに真希が真衣に抱き着きボロボロと涙を流し始めていた。真衣の名を何度も呼び力強く真衣の身体を抱きしめる。

 

「まったく…みっともなく泣いてんじゃないわよ、真希…」

 

 真衣もまた真希を抱きしめ返すと涙が溢れてきた。先ほどまでは現実味のない状況でどうにか平静に戻そうとしていたが、真希の体温をじかに感じたことで生き返ったという実感と再会の嬉しさなどの感情が溢れてきたのだ。

 

 

 2人の再開を見届けた硝子と憂太はそっと部屋から退出した。

 

「二人が再会できてよかったです」

 

「そうだね、死んだと思った相手が生きていて嬉しいことはないよ。呪詛師以外はね…」

 

 この時硝子さんが一瞬だけ悲しそうな顔をしているように見えた。呪詛師…もしかしたら硝子さんは夏油さんのことを思い出したのかもしれない…。

 

 

「ところで、ここにはいいタイミングで来たね」

 

「真希さんが真衣さんのところに行こうって言ったんです。おそらくフィジカルギフテッドが不完全なものになっているのに気づいたんだと思います」

 

 流石に僕を殴っていたから気づいたとは言えなかった。それにそんなことをしていなくとも気づいたはずだ。

 

「その割に驚いているようには見えないけどね」

 

「驚いてますよ。全力を出した真希さんの力が明らかに弱まっていたこと、真衣さんのところに向かうと言ったことから予測はしてました」

 

 これだけの情報があって予測できないはずはない。だが予測とは言ったがあくまで憶測にすぎない。

 

「でも予測はしても確信はしていませんでした。虎杖くんの事例があるとはいえあれは特殊ケース。真衣さんの肉体は僕たちと変わりないですから」

 

「そうだね」

 

 それは自分も考えていたことだと硝子は同意する。

 

 

「そろそろ僕は先に帰ります」

 

「ん?帰るのかい?」

 

「はい。真希さんを連れてくる役目は果たしましたし、僕がいると再会の空気を壊しちゃいますから」

 

「そう…。それはあまりお勧めしないけどね」

 

「え?」

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

2人が室外に出た後、室内の真希と真衣

 

「もう二度と…離さねえからな!」

 

 溢れ出していた涙が収まり始めたころ真希はそう宣言した。

 

 思い出されるのは幼いころの記憶。階段下に低級呪霊、それも害がほとんどないタイプの呪霊を怖がって進めなかった私の手を引いてくれた日。その日に交わした守って欲しかった約束、願い。

 それを真希から履行したいと言って来たのだ。そっちから約束を破っておいて今度は約束を守るだなんて…

 

「遅すぎるのよ…ばか…」

 

 真衣を抱きしめ返す力が強まる。涙がまた目尻から流れ頬を伝っていくのが分かった。

 

「次置いていったら承知しないから…!」

 

 次だなんて……。約束を破った側からの願いなのに信じちゃうなんて、私も甘いわね。

 

 

 

……………………

 

 

 

数分後

 2人の涙がようやく収まったころ、抱擁を解き、これまでのことを真希から大まかに聞いた。

 

「約束、守ってくれたのね」

 

「当然だろ」

 

「私を置いていったくせに? それとも幼いころの約束なんて無効って言うタイプかしら?」

 

「ぅ……それは…ごめん」

 

 あの時の約束は守ってくれたようだし、昔の約束を破った分はこれくらいでいいだろう。

 調子を戻すために意地悪をしてみたが、今は真希のしょんぼりした顔を観たい気にはなれなかった。

 

 

「まぁいいわ。全部壊してくれたのよね…」

 

「ああ、全部壊した。本家があった土地は戦闘の影響で荒れているし、何より禅院家の血を引いてて生きてんのはのは私と真衣、それと恵だけだ。」

 

 話を聞く限りちゃんと約束を果たしてくれていたようだ………。全部……私と真希、伏黒くんを除いた禅院家の人間全員がおそらく死んでいる。そう全員だ。

 

「そう……。母さんは?」

 

「…………殺した」

 

「…………そりゃそうよね…。あ、勘違いしないでよ? 別に責めてないし、壊してと願ったのは私だから」

 

 責める気は毛頭ない。壊せとお願いをしたのは私で、真希はそれを成したのだからそれを責めるのはおかしい。そしてお母さんも禅院で禅院家に染まった人間だった、それだけだ。

 ただ………

 

「ただ…あんたの【禅院家の人間でも殺さない人間】の枠組みに入らなかったのが少し残念だっただけ」

 

「………ごめん」

 

「謝んないで、私が悪いみたいでしょ。それに責めてないって言ったわよね?」

 

「でも…」

 

「はぁ、言い方が悪かったわ。あんたの殺さない対象に最後まで入らないような人だったのが残念だったってだけ」

 

 幼いころ母が優しかった時の記憶はある。真希と二人で遊んでいた時、見守るように微笑んだ表情をしていた。

 別に母さんが変わったとは思わない。こちらの見方が変わっただけで、最初から禅院の人間だったとは思う。でも、確かに優しかった思い出があるからこそ、あの人なら違うんじゃないかって思いたかった。

 

 

「暗い話はここまでにしましょ。せっかく生き返ったのにいきなり暗い気分になりたくないわ」

 

「…ああ、そうだな」

 

 そう言うとお互いに微笑み合った。懐かしい…いつ振りだろう、こうやって笑い合うのは。いや笑っているとは言えないが、それでもこんなに和やかな雰囲気になったのは久しぶりだ。

 

 

ガチャ

 

 

「すまないが失礼するよ。ちょうど話が終わってそうだから入らせてもらったよ」

 

 会話がちょうど途切れたタイミングで硝子さんと憂太が入ってきた。

 

「すみません気を遣わせてしまって」

 

「いいよ、姉妹の再開に横で棒立ちしてるほど無粋じゃないからね」

 

 実際二人きりだからこそ話しやすかった。二人きりにしてくれた硝子さんには感謝しかない。

 

「ずっとここで話すのも何だから外に出ようかと思ってね。けどその前に話しておきたくてね」

 

「話…ですか?」

 

「真希にはまだ話してないし、注意喚起も含めてね」

 

「注意喚起ですか?」

 

 そうだ、真衣が生きている事実以外がどうでもよくて気にしていなかった。それに注意喚起とは? 真衣は聞いていそうだが注意喚起の部分は聞いていないようだ。

 

 

「とりあえず、真希にも簡単に説明すると」

 

 真衣と室外に出ていた時に憂太に話したことと同じ説明をした。

 

「関わっているであろう何者かってのは、やっぱり呪詛師なんですか?」

 

「それはわからない。でその可能性は高いだろうね。」

 

 呪術師が関わっているとは考えにくい。関係者にこんな芸当ができる人物は思い当たらない。呪霊の可能性もなくはないが、例え副次的効果であっても死者を生き還らせるような

 術式、あるいは能力を持った呪霊がいるとは考えにくい。こうなると必然的に呪詛師ということになる。

 

「それで乙骨には伝えたんだが―」

 

 

 

……………………

 

 

 

数分前

 

『ん?帰るのかい?』

 

『はい。真希さんを連れてくる役目は果たしましたし、僕がいると再会の空気を壊しちゃいますから』

 

『そうか…。それはあまりお勧めしないけどね』

 

『え?』

 

 真希さんと真衣さんが再会した以上僕はここにいるべきではない。なぜならここに来る前まで僕は真希さんを怒らせ、なんなら殴られていたのだから。

 真希さんの真衣さんとの再会が落ち着くと僕への怒りを思い出させてしまう。つまり真衣さんとの再会に水を差してしまうのだ。

 

 だから乙骨は先に帰ろうとしたのだが、事情を知らないとはいえ、なぜか帰らない方がいいと言われたのだ。

 

『禅院真衣が生き返ったのは反転術式をかけたからじゃない』

 

『…どういうことですか?』

 

 反転術式のおかげで生き返ったわけじゃない、その言葉は穏やかだった雰囲気を変えるのに十分だった。

 

 

『正確には反転術式がきっかけかもしれないが、生き返った直接の要因じゃない。真希によると絶命を縛りとして術式と呪力の底上げをしたみたいだからね。反転術式じゃ縛りで死んだ者を生き返らせることは難しいんじゃないかな』

 

『つまり…』

 

『十中八九、誰かの術式か呪術が絡んでいる。おそらく呪詛師だろうね』

 

 嫌な流れだ。折角真希さんが死別したはずの真衣さんが生き返っての再会だというのに、呪詛師が絡んでいるとなるとそれは不安要素しかない。

 

 

『ちなみに呪詛師だろうは言ったけど、目的も動機も方法も不明。そもそも真希が生き返ったことが本来の効果なのか何かの副次的効果なのかさえ不明だ』

 

 何もわからないというのは一番厄介だ。

 目的が分かれば対策や対処が行えるが、不明なうえ起こったことが真衣が生き返ったという良好な出来事であるぶん、一般人の折本里香が特級呪霊として乙骨に憑いていた時のように秘匿死刑や乙骨自身に解呪させると言った何かしらの方法がとることができない。

 

『だからここからは憶測の域をでない仮定の話になるけど…』

 

『もちろん聞かせてください!』

 

 憶測でも何かの可能性があるなら動けるようにしたい。再会した二人をまた引き離させはしない!

 

 

『なぜきっかけが反転術式だったのか、反転術式以外でもきっかけになりえたかという疑問はあるが調べようがないからこれは棚上げにする』

 

 もう生き返っている以上確かめようはないし、方法が分からない以上試すこともできないためここについては現状棚上げにするしかない。

 

『もし真衣を生き返らせることが目的だった場合、考えられる狙いは2つ。真希の天与呪縛を不完全なものとする弱体化と真衣の構築術式だ』

 

『真希さんの弱体化と真衣さんの術式ですか?』

 

『どちらか、もしくは両方だろうね。完全な天与呪縛になった真希は特級術師に引けを取らない。そして真衣は命を賭けた縛りが必要とはいえ特級呪具のレプリカを作ることができる』

 

『つまり、呪詛師の狙いは真希さんの殺害か戦闘不能、そして特級呪具を手に入れることですか』

 

『最初に言ったけどあくまで憶測の域を出ないけどね』

 

 これは仮定。関わっているであろう呪詛師に真衣を生き返らせる目的があった場合の話だ。

 

『けどこの仮定が合っていた場合、今は最高のチャンスなんだ』

 

『今がですか?』

 

『真希と真衣が再会の喜びを分かち合った今が一番互いを大切に想っているだろう。そして君が帰った場合残されるのは戦闘力のない私と弱体化した真希と真衣。仮に私がいないとしても、真希を人質にとれば真衣にとっては非常に有効な手段となる』

 

『今の真希さんと真衣さんが呪詛師を倒せる可能性は…』

 

『あると思うけど、ここまで何も掴ませない相手だ。弱いとは思えないし、真希より弱かったとしてここまで用意周到な奴が対策していないはずもないだろうね』

 

 死人を生き返らせることのできるのだから弱いはずもなく、仮にその術式の強さが本体にマイナスとして作用していたとしてもここまでなにも情報が得られない以上、何かしら方法は考えてあるだろう。

 

 そう考えると乙骨の表情は緊張が混じり深刻そうになっていく。

 

『深刻そうにしているとこ悪いけど、これは憶測の域を出ていない。あくまでこの仮定が当たっていれば君が帰った後の起こるかもしれない出来事だ』

 

 だが聞けば聞くほど本当に起こるのではないかと不安に駆られてしまう。何もわからないからこそ起こりうる不安要素とそれを取り除くか防ぐかしないといけないと思わされる。

 

『だから不安なら特級の君がしばらく護衛すればいい。まぁ私も不安要素として考えたから君に話したんだが。特級術師に護衛してもらうのが一番いいだろう』

 

『わかりました。期間はどれくらいになると思いますか?』

 

『数日たっても何かしらアクションを起こされなければ大丈夫じゃないかな。特級術師が守ってるとなれば命を狙っていない限り呪具は本物を狙った方が早いし。真衣に作らせるのも確実じゃないからね』

 

 

 

……………………

 

 

 

「―という話をしてね」

 

 話し終えると、さっきまで和やかだった雰囲気が暗く重いものへと変わった。

 

 

「私か真衣が狙われてる…?」

 

「…………」

 

「乙骨にも言ったが、これはあくまで仮定だ。妄想と言ってもいいくらいのね。しかも反証・反論はいくらでも可能なものだし。一抹の不安を覚えたから念をいれてるだけだと思って欲しい」

 

 それを聞くと先ほどまで強張っていた真希と真衣の表情が少し和らいだ。再会して早々敵に狙われているかもしれいないというのは不安になるし相当ストレスだろう。

 

 そうして乙骨は二人を護衛することになり、方法としては

 

1:数日間は真希と真衣で一緒に過ごしてもらう。つまり一定以上二人の距離が離れないように過ごすということだ

 

2:出かけるなどする際は乙君を同行させる。部屋で過ごすなどしている時は近くの部屋で待機し、基本リカに守らせる

 

といったものだ。

 

 

 他の諸々の話も終わり、硝子は補助監督とともに高専へと帰った。

 他三人は外に出ていた。真衣が京都高のメンバーに会いたいと言ったのがきっかけだ。

 行きは急いでいたから憂太が運んだが、帰りは急ぐ必要もないため補助監督も呼ばず徒歩で移動していた。

 

 

「ねえ、そろそろ放して」

 

「言っただろ? 二度と放さねぇって」

 

 真希と真衣は並んで歩いていた。“手を繋いで”歩いていたのだ。

 

「そうだけどこういう事じゃないでしょ! 私たち[[rb: 手を繋ぐ>こういうこと]]する年じゃないのよ」

 

 恥ずかしいのよ! 確信はないけど周囲の人に見られているような気がするし、近くを通りかかった人には暖かい目をされている気がするし!

 

 真衣は真希が言ってくれたのは嬉しかったが、高校生にもなって姉妹で手を繋いで歩くのは流石に気恥ずかしかった。実際、この二人を見た人には仲のいい姉妹か友人同士に見えていた。

 

「…………………やっぱり嫌か…?」

 

 真希らしくないと言える弱弱しい声に悲しそうな表情をしていた。わかりやすく言うとと、捨てられている子犬のようになっていたのだ。

 

 

 らしくない顔しちゃって……いくら道端に捨てられている子犬みたいな雰囲気出したってしないから。いや、高校生にもなって姉と手を繋いで歩くとかないから! 知り合いなんかに見られたら私引きこもりになるわよ?!絶っっ対、手なんか繋がないんだから!!

 

 

「………………今日だけよ」

 

 ………いや、まぁ約束果たしてくれたんだしこれくらいならね。後で何か報酬とか求められても困るだけ、そう仕方なくだから。真希の悲しそうな顔に揺らいだわけじゃないから!!

 

「ああ!」

 

 真衣の了承を聞くといつものように、いやいつも以上に表情を明るくし元気に応えた。ハッキリ言って真希らしいかで言えば真希らしくはない。しかし死んだ妹との再会というのはそれほどのものなのだ。

 

 

 それらのやり取りを憂太は微笑ましく見ていた。真希が喜んでいる、それだけで嬉しい気持ちだったのだ。

 憂太は数歩後ろを歩いていた。会話の邪魔にならないよう見守れる位置で、すぐに守れる距離にいた。

 

 警戒はしているが、気を張りすぎないようにしていた。その圧や警戒心が真希たちの邪魔をしないように。

 薄暗い小道などではなく人々が行きかう広さのある道を歩いていたのだ、二人を狙うものがあればすぐに対処できる。伏黒甚爾のような特級術師レベルかつ異例で無ければ、警戒している特級術師を出し抜くことは不可能である……………………

 

 

 

 

 

 

………………はずだった。

 

 

 

 

 

「領域展開」

 

 

 

 

 

「……? 憂太、何かいった…か…」

 

 何かが聞こえた気がした。だから確認を取るために振り向くと、目に入ってきたのは憂太の姿とその後ろにある扉だった。

 

 

 

 

 これを視ている人たちには真衣がどうやって生き返ったかを説明しよう。

 

 

 まず術師については不明。しかし前に烏鷺と乙骨を部屋に閉じ込めた術師と同一人物である。

 なぜこんなことをしているか、などのWhyはわからないが、どうやってのHowは答えられる。

 

 術師の術式は閉じ込めることに特化した術式。真衣が縛りによって死んだとき、肉体から魂が離れてこの世から離れてしまう前に 魂を肉体に閉じ込めた(・・・・・・・・・・)のだ。なぜそこにいたのか、助けなかったのかなどは前述したとおりわからない。

 

 閉じ込めたと言ったが、正確には魂を結界のようなもので包み封をして、それをさらに肉体に閉じ込めると言った形だ。

 まっさらな水に、蓋をしっかり閉めたインク入りペットボトルを投げ入れても、色は広がらないし水とも混ざらない。だから魂が肉体に馴染むことなく、その場で生き返ることはなかった。

 

 その包んでいるものが解ける条件は反転術式をかけられることに設定されていた。真希が提案しなければ、反転術式をかけられることはなかった可能性が高いのにだ。

 

 次に、なぜ命を賭した縛りで死んでいるにっも関わらず、なぜ生き返ることが可能だったのか。

 それは仮死ではなく本当に死んでいたからだ。※ここでの仮死は肉体に魂がある状態で心肺停止状態等の蘇生可能のことを指す。

 蘇生可能な状態ではなく、魂は肉体から完全に離れていたため、縛りを破った事にはならない。だから手段こそ整えば生き返らせることもできるということだ。

 

 そして生き返ったという表現をしているがこれは【蘇生】ではなく【黄泉返り】である。

 烏鷺や石流と同じように一度死んで生き返る、そう 呪物による受肉(・・・・・・・)である。魂を包んだ結界のような物はある種の呪物となり、真衣の肉体に取り込また。

 真衣は自身の肉体への受肉を果たし黄泉返ったのだ。

 もちろん本来の呪物による受肉とは違う。本来は死体に呪物を取り込ませても受肉はできない。だが、あくまで呪物のようなもので呪物ではない。

 

 解き放たれた魂は本来の肉体であるが故によく馴染んだ。そして魂を肉体に閉じ込めていた力は魂の解放と同時に消えてはいなかった。だから肉体から魂は離れず、生き返ることができた。

 ちなみにこの力は魂の定着と同時になくなっていった。

 

 これにより、真衣の復活が完全に完了したのだ。




復活の方法等考えてみましたがいかがでしょうか? 納得というか、ㇲッと自然と頭に入って来るようであれば嬉しいのですが...

 次回真希と真衣のr18を書くのですが、どうやら真衣ちゃんは非処女説があるみたいですね?
 処女で行く方針で固まっているのですが、読者の方々はどう考えているのかも知りたいのでアンケートを取ります。

真衣は処女→初めてもあげられて幸せルート
真衣は非処女→暗い過去があるルート

になると思います

真衣は処女か非処女で書くか

  • 私が保証する真衣は処女だ
  • 違うなあ、真衣ちゃんは非処女や
  • 悪い もう一回 言ってくれ
  • ざっけんなや!! ドブカス…がぁ!!
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霊子ごと操作できるゲキヤバ体質なオリ主を監視しようとして黒猫化して潜入したヨルイチ=サンが、相手が無類の猫好きだったことで好物のキャットフードと猫用ミルクで餌付けされたあとに腰トンヘヴンを体験し毎晩抱きしめられておやすみし、あえなくオリ主をツガイとして認定してしまう話です。


総合評価:3562/評価:8.9/短編:1話/更新日時:2026年08月30日(日) 18:53 小説情報


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