サロン・セルパンタンの五百日の調教記録──亡国の花と蛇の館 作:ドン・ドナシアン
レイシアの腰の前掛けが跳ねあげられた。
首と両脚に屈強な男たちが三人でしがみついているのだ。普通の状態でも、さすがに、男たちをはね除けるなど無理だ。
やっと、股間の〈クリリング〉が振動を止めたが、すぐには腰にも脚にも力が入らない。
レイシアは、歯を喰いしばった。
「ははは、いい顔だな、レイシア。俺たちを相手に暴れ回ったあの戦乙女が、俺の一物で女の顔になるなんて、男冥利に尽きるぜ」
脚のあいだに身体を入り込ませてきた男が好色な笑みを浮かべた。
すでに、その男は下帯を脱いでいる。
引き締まった下腹部にある剛毛の中から伸びた怒張が、ゆらりと揺れた。
「ひっ」
思わず声が出る。
このサロンで、すでに大勢の男に犯されてきた。
しかし、慣れるということはない。
「脚をあげさせてくれ」
男の指示で、レイシアの両脚が赤ん坊がおしめを取り替えるときのような格好に引きあげられた。
「うわっ、すげえな。真っ赤だぜ」
「前戯はいらねえな」
「でも、なんで、こんなに濡れてやがんだ?」
周りの男たちが笑い声とともに、不思議そうな口調で言う。
屈辱で血が沸騰しそうになった。
だが、もう身体はびくとも動かない。
「……おい、なんだ、この細いリングみたいなの?」
そのとき、右側の脚を押さえていた男が〈クリリング〉に気がついて、こするように指で突いた。
「ああっ、そ、それだめえ──」
レイシアは顎を突きあげるようにしてのけ反った。
「おっ、なんだ、こりゃ?」
「もしかして、このサロンとやらの道具か?」
反対側の男も面白がって、クリトリスを指で刺激してくる。
そのたびに、脳天を貫くような衝撃が全身を走る。
「く、くそう──。もう、さっさと犯しなよ──。ち、ちまちまと、遊ぶんじゃないよ──」
堪らず、レイシアは怒鳴った。
泣き喚いたところで、犯されるのは間違いない。
ならば、せめて抵抗も拒絶も示さずに犯されてやろう。どうせ、こいつらは、レイシアが情けなく反応をするのを愉しみたいだけだ。
ならば、哀訴もしなければ、赦しも乞わない。石のような無反応で耐え抜いて、こいつらを悦ばせない。
もはや、それだけがレイシアに残された矜恃だった。
「はっ、お強請りか? じゃあ、望み通りにしてやるよ」
すぶずぶと脚のあいだの男の怒張が股間にめり込んでくる。
あっという間に、肉棒がレイシアの股間の最奥まで縫いあげた。
「んんんっ、んんっ、んっ、あっ……」
必死に声をこらえる。
情けないことに、このサロンで受けた淫靡な矯正の日々により、レイシアの性感は徹底的に開発されている。口惜しいが、男に股間を貫かれることで、どうしても溶けるような愉悦を我慢できない。
それでも必死に唇を引き結んで、声を我慢する。
「おっ? 思ったよりも、女なんだな。締めつけやがるぜ」
男が律動を開始する。
レイシアは、首を左右に振って、せめて快感を逃そうとした。
「おっと、暴れるなよ、レイシア」
しかし、背後から首を締めつけている男がそれを許さない。
それどころか、上体を被せるようにしてきて、レイシアの片側の脇に舌を這わせてきた。脇の下が唾液にまみれて、滑るように舌が動く。
「ひっ、いや、あっ」
ただでさえ、レイシアの身体は平常の十倍くらいには敏感にされている。両脇を晒すように拘束されているため、その舌を防ぐことができない。身体も押さえつけられている。
くすぐったさの混じったその刺激は堪らなかった。
レイシアは、少しでも舌の動きから逃れようと身体を懸命に捩る。
「ああ、だめえっ、あひい、あっ、ああ……」
しかし、その動きが律動を受けている股間に、新たな刺激を生んだ。
淫らな疼きが全身を走り、レイシアは顔をのけ反らせて、淫らな声をあげてしまった。動くと、続いている律動により、情けないほどの淫らな衝撃が股間に走る。
しかし、身じろぎしなければ、刺激を逃せない。
レイシアは、追い詰められてしまった。
「こっちも空いてるな」
「じゃあ、俺はここを受け持つぜ」
両側から脚を押さえている男たちが、片手を離して、クリトリスに指を這わせ、お尻の穴に指を挿入していた。それだけでなく、顔を胸に密着させて、すでに布が剥がれている乳首を吸ってくる。
貫かれている股間に加えて、脇の下、左右の乳首、クリトリスとアナル──。六箇所責めだ──。
さすがに、もう耐えるのは不可能だった。
しかも、図太い怒張が水音を立てながら、最奥まで繰り返し貫いてくる。
一気に膨れあがった喜悦が腰の芯から、レイシアの総身を一斉に貫き、脳天を突き抜けていった。
「んあああっ、んぐううっ」
がくんと大きく身体をのけ反らせたレイシアは、悲鳴のような声とともに、絶頂を極めていた。
それに合わせるように、男がレイシアの中に精を放ったのがわかった。
レイシアは、男の精を受けながら、しばらくのあいだ、絶頂の余韻による痙攣をしながら、男から精を搾り取るように繰り返し股間を締めつけてしまっていた。
そんな女としての反応が口惜しかった。
「大したいきっぷりだったな、レイシア。だが、俺ばかりが稽古を付けてもらっちゃ申し訳ねえ。ほかの男にも稽古をつけてやってくれよ」
男が精を放ったばかりの男根を抜いた。
しかし、すぐに男たちが入れ替わり、今度は右脚を押さえていた男が下帯を外して、レイシアの脚のあいだに入ってきた。
「脚は離していいぜ。こいつをもっと追い詰めてやらあ」
すると、今度の男は引きあげていたレイシアの二肢をさらに持ちあげて、自分の両肩に載せ、ほとんど上から貫くように、レイシアに股間を怒張で貫いてきた。
レイシアの腰の上で上下に飛び跳ねさせるようにして、男が身体を動かしてくる。
「うわっ、あっ、ひああっ、あっ、ああ──」
レイシアは、折りたたまれた身体をがくがくと揺すりたてて、股間を貫かれている怒張の激しさに、ただただ声を噴きこぼして悶えた。
達したばかりの身体には、力が入らない。
快感に抵抗したくてもどうしていいかもわからない。
あっという間に、二度目の絶頂に追い詰められた。
「ああっ、いやあ、だめえ──。く、くそおおっ──」
レイシアが身体をがくがくと震わせて、ついに達してしまった。
しかし、今度の男はそれに合わせて、精を放ってくれなかった。
男が精を放ったのは、レイシアがさらに快感の頂点に達したときだった。
「情けないわね、レイシア。それでも、お前は、あのレイシアなの?」
そのときだった──。
見物の輪から、イレーヌの声が聞こえた。
レイシアは荒い息をつきながら、そちらへ眼を向けた。
イレーヌが、例の魔道操作具を手にしている。
「ちょうどいい機会だわ。首環の魔核の設定を、もう少し引き上げてあげましょう」
「……なにをする気だい……」
「身体の感度を上げるのよ。これまでの設定でも、普通の人間よりずっと敏感になっているでしょう? でも、まだ調整できる余地があるの」
「……冗談じゃないよ……」
レイシアは思わず声を荒らげた。
さらに、感度をあげられるのか──。
信じられなかった……。
しかし、イレーヌは平然と操作具に指を触れた。
首環の魔核が、かすかに熱を帯びる。
「くっ……」
レイシアは息を呑んだ。
魔核の設定が変更されたのがわかる。
凄まじく身体が燃え上がっている。
口惜しさが込みあがる。
「……この、性悪女……」
「あら、褒め言葉として受け取っておくわ」
イレーヌはにっこりと笑った。
レイシアは横になったまま、イレーヌを睨みつける。
そのあいだも、引きあがった感度により、レイシアの肌から大量の脂汗が噴き出す。
「その布切れは、もう要らないでしょう。脱がせなさい」
イレーヌの指示により、ぐしょぐしょになって、丸まって肌に密着していただけだった、赤い布が胸と腰から剥ぎ取られた。
奥歯を噛み締める。
だが、自分の意志とは無関係に、身体の設定を変えられてしまったという事実だけは消えなかった。
「次は俺だ──」
男が交代した。
周りの男たちから身体を押さえられたまま、膝を立ててうつ伏せにされる。
後背位で男から股間を貫かれた。
「ひあああっ、ああっ、あっ──」
すでに三度も絶頂している。
官能の堰を切ってしまったレイシアの肉体は、もうレイシア自身にも制御できない。背後から力任せに律動され、レイシアは四度目の絶頂に昇りつめてしまった。
「次だ──」
やがて、男がレイシアに精を放ったことで入れ替わる。
レイシアには、この集団輪姦の苛酷さがわかってきた。
男たちは入れ替わるが、レイシアはひとりだ。しかも、敏感にされている身体は、愛撫や律動で簡単に絶頂を極めてしまう。
しかし、男たちが入れ替わることで、ただでさえ快感に弱いレイシアが絶頂感に浸る余裕を与えることなく、男が交代して責めたてる。
絶頂しても絶頂しても、すぐに次の絶頂に追いたてられるのだ。
繰り返される責めは、快感でありながら、途轍もない苦悶でもあった。
「ああっ、だめえっ」
レイシアは、男に犯されながらいき狂った。
限界まで鋭敏にされた身体は、数回律動されただけで簡単に達してしまう。
しかも、周りを押さえている男たちがあらゆる場所を愛撫してくる。
レイシアは、何度も何度も絶頂を繰り返した。
「ああ、いい気持ちだぜ──」
そして、やっと四人目の男が精を放つ。
その四人の相手が終わるまでに、レイシアはすでに十回以上果てたと思う。
最後の男が離れたとき、すでに押さえている男はいなくなっていたが、レイシアはもう立てないでいた。
「さあ、あと十三人残っているわ。もちろん、一巡で終わると思ってないわよね。わざわざ、王都から集まってもらったんだから、少なくとも三巡はやってもらわないと」
イレーヌが酷薄に笑った。
「いや、五巡だ。明日の朝までだぜ」
すると、男たちのひとりが叫んだ。
どっと笑い声が起きる。
五巡──?
ふざけるなよ……。
レイシアは奥歯を噛み締めた。
冗談じゃない。そんなことを続けられるはずがない。
怒鳴り返してやりたかった。だが、声を出すことさえ億劫だった。
立たなければ──。
そう思って身体を起こそうとしたが、腰に力が入らない。膝を床につこうとしても、脚が思うように動かない。
「どうしたの、レイシア。もう立てないの?」
イレーヌが冷ややかに見下ろしていた。
「……うるさいねえ……」
「そう。立たないつもりなら、代わりを連れてくるまでね」
「……代わり……?」
「お前の妹よ。リネアだったかしら」
レイシアは眼を見開いた。
「……なんだって……?」
「連れてきなさい」
イレーヌが、まだ道場に残っていた女兵たちへ視線を向けた。
「待ちなよ──。ふざけるなよ──。妹は関係ないじゃないかっ」
レイシアは叫んだ。
「あら、関係ないことはないでしょう。お前が立てないなら、代わりが必要だもの。さっきも言ったように、ただ寝そべって、犯されるなら、彼らの相手は誰でもいいの。妹でもね」
イレーヌが冷酷に微笑んだ。
「……この、性悪女……」
レイシアは歯を食いしばり、床に膝をついた。
立て。
立つんだよ、レイシア──。
何度も身体が傾いた。それでも、どうにか脚を踏ん張って立ち上がった。
「……ほら……立った……」
声は掠れていた。
腰がふらつく。膝も震えている。
それでも、レイシアはイレーヌを睨みつけた。
男たちの精と自分の股間から垂れる愛液が膝どころか、あっという間に足首まで届いて気持ち悪い。
「……妹には……手を出すんじゃないよ……」
「ふふ、そうこなくっちゃね。でも、立つだけじゃ駄目よ。戦えなくなったと判断したら、その時点で妹と交代だからね。気絶しても同じことよ」
「……くそっ……」
「それから、妹の恋人もいたわね。アルトだったかしら。あの子も連れてこられるわよ。彼らなら衆道の相手もしてくれるでしょう」
イレーヌの言葉に、男たちがどっと歓声をあげた。
「おいおい、妹だけじゃなく、恋人まで来るのかよ」
「そいつは面白え。ずいぶん賑やかな一日になりそうだな」
「聞いたか、みんな──。レイシアを屈服させたら、姉妹姦だ──。頑張ろうぜ」
下卑た笑い声が道場に響いた。レイシアは怒りに顔を歪めた。
「イレーヌ、いい加減にしろ──。リネアたちを巻き込むな──」
レイシアは怒鳴った。
「だったら、最後まで頑張ればいいだけでしょう?」
イレーヌは、なんでもないことのように言った。
レイシアは唇を噛んだ。
リネアを守らなければならない。
アルトまで巻き込ませるわけにはいかない。
その一心で、震える脚を踏ん張った。
「さあ、続けましょうか。でも、その前に……。ふふ、最後まで頑張れるか、あなたの矜恃を見せてもらうわ」
イレーヌが操作具を掲げた。
はっとなる。
「……ま、まだ、なにかする気かい?」
レイシアは思わず怒鳴った。
だが、容赦なく、イレーヌは操作具に指を触れさせた。
その瞬間、熱かった身体がさらにかっと熱を帯びた。
全身に凄まじいほどの疼きが走った。
「くっ……」
レイシアの膝が折れかけた。
だが、倒れなかった。
床を踏み締め、歯を食いしばって、どうにか身体を支える。
「身体の感度をもっとあげてあげたわ。妹を連れてこられたくなければ、その身体で戦いなさい」
イレーヌが笑っていた。
周囲の男たちも、面白がるように声をあげている。
レイシアは、その誰にも眼を向けなかった。
倒れるものか──。
妹を連れてこさせるものか──。
震える脚で、レイシアは立ち続けていた。
その脚のあいだに、まだ刺激もないのに、股間から溢れる蜜がぽたぽたと滴り続けていた。
しかし、わずかに開いている脚の間──。猛りきった乳首──。全身のあらゆる場所が、道場の僅かな風だけで強烈な愛撫となって襲ってくる。
どれだけ、感度をあげたんだよ……。
その身体を男たちに襲われて、いつまで正気を保てるのか……。
レイシアは絶望を感じていた。
だが、耐える……。
レイシアにあるのは、女戦士としての意地と矜持だけだ。
「よーし、いくぜ」
そのとき、すでにひとりの男が飛びかかってきていた。
慌てて、身体を捻って避ける。
「うわっ」
しかし、別の方向から男が襲ってきていて、簡単にレイシアはまたもや床に引き倒されてしまった。
わっという歓声とともに、数名の男たちがレイシアに群がってきた。