※この作品はR-18です。

サロン・セルパンタンの五百日の調教記録──亡国の花と蛇の館   作:ドン・ドナシアン

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019 寸止め地獄【第15日】

「ひっ……ぁっ……あっ……」

 

 掠れ切った喘ぎが、地下室へ細く漏れ続けていた。

 リネアは、両手を頭上へ吊られたまま、荒い呼吸を繰り返している。

 左脚は天井近くまで開かれたまま固定され、剥き出しの股間には汗が糸を引いていた。

 

 どれくらい続いているのか、もうわからなかった。

 絶頂寸前まで追い込まれ──。

 申告させられ──。

 寸前で止められる。

 それを、何度も、何度も繰り返されている。

 

「あっ……ぅっ……」

 

 いまは刺激は止まっている。

 なのに、身体の震えだけが止まらない。

 

 股間の奥が熱い。

 腰が勝手に痙攣する。

 絶頂へ届かなかった熱が、身体の内側へ溜まり続けていた。

 

「ほら、また身体が震えてるよ。寸止めした後の方が、よっぽどいやらしい身体してるじゃないかい」

 

 アルジェが面白そうに笑った。

 

「股は正直だぜ。物欲しそうに糸を引いて、ぱくぱくしてるぜ」

 

 ヤンは淫具と絵筆を持ったまま、リネアに自分の口を開いたり閉じたりして見せつける。

 

「ああ……」

 

 項垂れているリネアの肩がびくりと跳ねる。

 止まっているのに……。

 もう触れられていないのに……。

 身体だけが、まだ続きを欲しがっていた。

 

 そのときだった。

 ぶぅん、と低い振動音が地下室へ響く。

 

「ひいっ──」

 

 リネアの顔から血の気が引いた。

 ヤンが、あの振動具を再び手にしていたのだ。

 

「や、やだっ……またっ……」

 

「何回目だったっけな?」

 

「さあね。二十回を超えたところで、もう数えてないよ」

 

 アルジェが肩を竦める。

 

「いやあっ……もう、お願い……」

 

 リネアは涙を浮かべながら首を振った。

 だが、ヤンは笑いながら振動具を股間へ押し当てる。

 

「ひあああっ──」

 

 細かな振動が、敏感になりきった突起を容赦なく震わせた。

 さらに同時に、柔らかな絵筆が尻の割れ目を這いあがる。

 

「ぁっ、あっ──だめっ──」

 

 リネアの背が大きく反り返った。

 身体が、最初から限界に近い。

 幾度も寸止めされている身体は、少し刺激されただけで、腰の奥が痺れ始める。

 熱が一気に膨れあがる。

 

「あっ、ぁっ──」

 

 呼吸が壊れる。

 腰が勝手に震える。

 

 もう駄目だ。

 また、すぐに来る。

 

「ほら、ちゃんと申告しな」

 

 アルジェが笑った。

 

「勝手に達したら、電撃だぞ」

 

 ヤンが淫具と筆で刺激を送り込みながら言う。

 

「あっ、ぅっ……ひっ……」

 

 リネアは涙を零しながら首を振る。

 だが、振動は止まらない。

 絵筆も、絶えず後ろを撫で回し続ける。

 

 熱い──。

 苦しい──。

 頭が真っ白になる。

 

「あっ──いっ……いきますっ──い、いきそうですっ──」

 

 リネアは身体を震わせながら叫んだ。

 その瞬間──。

 ぶつり、と振動が止まる。

 

「あっ……」

 

 快楽だけが途切れた。

 身体の奥へ膨れあがっていた熱だけが、行き場を失って残される。

 

「あっ……あぁっ……」

 

 リネアは呆然と喘いだ。

 腰だけが、続きを求めるように震えている。

 

「ははっ、また止められたな」

 

 ヤンがげらげらと笑う。

 

「あっ……ぅっ……」

 

 リネアは涙を零した。

 もう嫌だった。

 絶頂寸前まで追い込まれ……。

 叫ばされ……。

 止められる。

 それを延々と繰り返される。

 身体の奥が、熱でおかしくなりそうだった。

 

「ぁっ……も、もうっ……」

 

 掠れた声が漏れる。

 

「ん?」

 

 アルジェが愉快そうに目を細めた。

 

「も、もう許してくださいっ……」

 

 涙を零しながら、リネアは懇願した。

 

「ん? なにを許すんだ?」

 

 ヤンが笑う。

 

「犯さずに、身体を弄るだけで許してやってるじゃねえか」

 

「ああ……」

 

 リネアの肩がびくりと震えた。

 

「それとも、恋人を裏切って犯してもらいたくなったかい?」

 

 アルジェが面白そうに口角を吊りあげる。

 

「ち、ちがっ……」

 

 反射的に否定しかけた瞬間だった。

 ぶぅん、と低い振動音が響く。

 

「ひああっ──」

 

 股間へ押し当てられた振動具が、敏感になりきった突起を一気に震わせた。

 さらに同時に、アルジェの指が乳首を摘み上げる。

 もう片方の手が、内腿を撫で上げた。

 そして、そのまま湿った舌が脇へ這う。

 

「ぁっ、あっ──」

 

 リネアの背が大きく反り返る。

 もう身体が耐えられない。

 幾度も寸止めされた身体は、刺激を受けた瞬間から勝手に快楽へ引きずり込まれていく。

 

「犯して欲しくなったら、ちゃんと言いな」

 

 ヤンが笑った。

 

「それまでは、ずっとおあずけだ」

 

 アルジェも乳首を指で転がしながら、リネアを追い詰める。

 

「やっ……いやっ……」

 

 リネアは涙を零しながら首を振る。

 だが、振動は止まらない。

 絵筆が尻の割れ目を這う。

 アルジェの指先が乳首を転がし続け、さらに舌が脇を舐め回す。

 

「あっ、ぁっ──ひっ──」

 

 呼吸が壊れる。

 もう駄目だ。

 熱が一気に膨れあがっていく。

 腰の奥が痺れ、身体の芯が勝手に震える。

 また来る──。

 

「ほら、申告しな」

 

 アルジェが嗤った。

 

「勝手に達したら、電撃だぞ」

 

「あっ……ぅっ……」

 

 リネアは唇を噛み締めた。

 もう嫌だった。

 いきそうです、と叫ばされ──寸前で止められる。

 それを延々と繰り返される。

 

 身体の奥に溜まり続ける熱で、頭がおかしくなりそうだった。

 電撃は怖い。

 怖いのに──。

 もう、この焦燥感から逃れられるなら、どうでもよかった。

 

「あっ……ぁっ……」

 

 リネアは必死に口を閉ざした。

 言わない──。

 もう、言わない。

 

 片脚立ちのまま、全身を突っ張らせる。

 快楽は止まらない。

 振動が股間を溶かし崩す。

 尻を這う筆が、背筋を痺れさせる。

 脇を舐める舌が、全身の熱を煽り立てる。

 

「あっ──ぁっ──」

 

 腰が勝手に跳ねた。

 

 ついに、来る──。

 もう止まらない。

 リネアは涙を零しながら、必死に声を堪え込んだ。

 

 そして──限界が弾ける。

 

「あっ──」

 

 絶頂が込みあがりかけた、その瞬間だった。

 ばちんっ──。

 

「ひぎゃああああっ──」

 

 凄まじい電撃が、頭を貫いた。

 リネアは絶叫した。

 吊られた身体が激しく痙攣する。

 片脚立ちだった身体から力が抜け、宙吊りのまま暴れ回る。

 

「いやあああっ──ああああっ──」

 

 電撃は止まらない。

 頭の奥を焼き回されるような衝撃が、何度も脳髄を叩きつける。

 

 視界が白く弾ける。

 喉が潰れるほど叫んでも、苦痛は終わらない。

 

「ぁっ──がっ──ああっ──」

 

 やがて、身体が完全に脱力した。

 両手を吊られたまま、ぐったりと宙へぶら下がる。

 そこで、ようやく電撃が止まった。

 

「はっ……ぁっ……はっ……」

 

 リネアは痙攣を繰り返しながら、涎を垂らして喘いだ。

 

「はははっ。だから、いきそうだと告げろって言っただろう?」

 

 ヤンが愉快そうに笑う。

 

「お前の頭に嵌まってるのは、ただの電撃具じゃないのさ。絶頂を封じる魔道具だ。絶頂しようとすれば、感知して電撃で潰す仕掛けになってるのさ」

 

 アルジェもまた嘲笑う。

 

「あっ……」

 

 リネアは眼を見開かせた。

 

「だから、さっきからずっと寸止めしてやってたんだよ。電撃を食らいたくなけりゃ、絶頂しねえことだな」

 

 ヤンがげらげらと笑い続ける。

 

「そん……な……」

 

 リネアは唖然となった。

 

「満足したけりゃ、頭の制御具を外してもらうしかねえって、わかったか?」

 

「恋人を裏切って、犯して欲しいと言いな。そうすりゃ、外してやるさ」

 

 ヤンとアルジェも愉快そうに口角を吊りあげる。

 

「い、いやあっ──それだけはいやあっ──」

 

 リネアは泣きじゃくりながら、必死に首を横へ振った。

 嫌だった。

 そんなことを口にした瞬間、自分が壊れてしまう気がした。

 

 アルトを裏切りたくない。

 こんな連中に抱かれたくない。

 

 なのに──。

 身体だけは、まだ続きを求めている。

 寸止めで残された熱が、腰の奥で疼き続けていた。

 

「まだ頑張るつもりかい。しぶといねえ」

 

 ヤンが足元の箱へ道具を戻した。

 代わりに取り出したのは、小さな硝子瓶だった。

 

「あっ……な、なにを……?」

 

 訊ねるリネアの声は震えていた。

 ヤンは答えず、瓶の蓋を開けた。

 甘ったるい匂いが地下室へ広がる。

 中に入っていたのは琥珀色の粘液だ。

 ヤンは、そのまま指へ粘液をたっぷりと垂らして、剥き出しになった乳房へ塗りつけた。

 

「ひっ……」

 

 ひやり、とした感触が肌を撫でる。

 さらにヤンの指は、開かれた股間へ伸びた。

 

「あっ、いやっ──」

 

 ぬるりとした指先が、無防備な裂け目をなぞる。

 

「や、やめてくださいっ──」

 

 リネアは涙声で叫んだ。

 だが、ヤンは笑いながら、指で粘液を塗り広げていく。

 

「処女だって言ったからな。生娘でも痛くねえようにしてやるんだよ。どうせ、そのうち犯して欲しいって言うだろうしな」

 

「ひっ、ひいっ──そ、そんなこと言いませんっ──」

 

 リネアは必死に叫んだ。

 

「その調子だよ。しっかり抵抗しておくれ。あの女騎士の妹が、簡単に堕ちたら面白くないしね」

 

 正面で腕を組んだアルジェが嗤う。

 ヤンが後ろへ回り込む。

 次の瞬間、尻の割れ目へ冷たい感触が走る。

 

「そ、そこはいやですっ──」

 

 ヤンの指が、粘液を塗り込みながら尻の穴をなぞった。

 さらに、ぬるり、と指先が中へ侵入してくる。

 

「ひああっ──」

 

 リネアは腰を大きく震わせた。

 尻の奥を指で掻き回される。

 経験したことのない感触に、背筋が痺れた。

 

「恋人は犯してくれなかったみたいだが、触りっこもしてねえのか? 尻の愛撫も未経験か?」

 

「あ、当たり前っ──あっ、ああっ──もうやめてえっ──」

 

 リネアは悲鳴をあげながら身体を捩る。

 

「さて、こんなもんだろ」

 

 ヤンがようやく指を引き抜いた。

 

「まあね。あの慎み深そうな王太子妃も、この媚薬で堕ちたんだ。この小娘なら十分さ」

 

 アルジェが愉快そうに笑う。

 

「ああ……」

 

 リネアは息を呑んだ。

 王太子妃──。

 それは、セリア妃のことなのか。

 あの高潔だったセリア妃まで──。

 だが、思考はそこまでだった。

 

「あっ──ぁっ──」

 

 次の瞬間、凄まじい疼きが身体を貫いた。

 乳房が熱い──。

 股間が疼く──。

 尻の奥まで、ずきずきと熱を持って脈打ち始める。

 

「ひあっ──な、なにこれっ──」

 

 塗り込まれた場所すべてが、狂ったように疼き出した。

 

 熱い──。

 疼く──。

 身体の奥が、勝手に快楽を求め始めている。

 

「ああっ──いやっ──ぁっ──」

 

 リネアは理性も忘れ、狂ったように腰を振った。

 片脚を吊られたままなのに、腰だけが勝手に快楽を求めて動く。

 

「おやおや、自分から腰を振り出したよ」

 

 アルジェが笑う。

 

「じゃあ、寸止め責めの再開といこうか」

 

 アルジェの手が、再び胸へ伸びた。

 

「自分で申告して寸止めされるか、電撃を浴びて寸止めされるか、好きな方を選びな」

 

 ヤンも、あの振動する棒を股間へ押し当てる。

 

「ひあああっ──」

 

 リネアは絶叫した。

 媚薬を塗られる前とは、まるで違う。

 少し触れられただけで、快楽が一気に頭まで突き抜ける。

 

「あっ、ぁっ──ああっ──」

 

 頭が真っ白になる。

 もう、自分がなにを叫んでいるのかすら、わからなかった。

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