※この作品はR-18です。

サロン・セルパンタンの五百日の調教記録──亡国の花と蛇の館   作:ドン・ドナシアン

20 / 100
020 サロン行きの懇願【第15日】

「ああっ──」

 

 リネアは身震いとともにあられもない声をあげた。

 繰り返されている寸止め責めによって、リネアの快感はすでに限界近くまで膨れあがっている。

 そこへ媚薬まで塗り込まれたことで、感覚は完全に狂わされていた。

 

「ほら、これが欲しいだろ?」

 

 ヤンの操る振動する魔道淫具が股間を震わせる。

 

「でも、絶頂はできないよ。電撃地獄だからね」

 

 同時に、アルジェの指が乳首を執拗に摘み転がし、さらに湿った舌が脇を舐めあげ、そのまま脇腹までゆっくりと滑り降りていく。

 

「だ、だめえっ──いくっ、いきますっ──」

 

 リネアは頭上へ吊られた鎖を必死に握り締めながら絶叫した。

 

「ふふふ、まだまだだよ。我慢しな。いこうとしたら電撃が走るよ」

 

 アルジェは嗤いながら、さらに舌先で脇腹を舐め回した。

 

「それが嫌なら、ちゃんと耐えるんだ」

 

 ヤンもまた笑いながら淫具を押し当て続ける。

 振動が敏感になり切った突起を震わせるたび、リネアの身体が大きく跳ねた。

 

「あっ、あっ──ああっ──」

 

 快楽が一気に膨れあがる。

 媚薬で熱を持った身体が、勝手に絶頂へ向かってしまう。

 怖い──。

 また電撃が来る。

 そう思っているのに、身体は止まらない。

 

「いやああっ」

 

 汗みどろになった手が、ぬるぬると鎖を滑る。

 片脚を吊られた身体が震え、腰が勝手に前へ突き出される。

 

「あはぁっ──」

 

 アルジェの舌が脇腹から胸の横へ這いあがった。

 その瞬間、ヤンが振動する魔道淫具を陰核へぎゅっと押しつける。

 

「んぐうううっ──」

 

 リネアは全身を弓なりに反らせた。

 視界が白く弾ける。

 腰の奥が痙攣する。

 絶頂が、勝手に込みあがってくる。

 もういきたい──でもいけないのだ──電撃が襲いかかるはず──怖い──嫌だ──。

 だけど、止まらない──。

 

「あっ──ああっ──」

 

 リネアの腰が大きく跳ねる。

 身体がついに絶頂へ到達しかけた。

 

 まさに、昇天寸前だった──。

 ばちんっ──。

 

「ひぎゃああああっ──」

 

 凄まじい電撃が頭を貫いた。快感が一瞬にして電撃の激痛に変わる──。

 リネアは絶叫した。

 吊られた身体が激しく痙攣し、宙吊りのまま暴れ回る。

 

「あがああああっ──あああっ──」

 

 凄まじい電撃が頭蓋の内側を暴れ回り、リネアは獣のような雄叫びを上げて宙吊りの身体をのた打つ。

 身体が激しく痙攣し、片脚立ちだった腰が制御を失って暴れ回る。

 

「がっ──ぁっ──あああっ──」

 

 歯が勝手に噛み鳴る。

 視界が白く明滅する。

 絶頂しかけていた快感が、無理矢理引き裂かれていく。

 

 快楽の頂点へ届く寸前で、脳髄へ直接苦痛を叩き込まれたのだ。

 頭の奥が焼き回されるようだった。

 両手で握っていた鎖が汗で滑る。

 全身の筋肉が勝手に引き攣り、腹筋が痙攣し続ける。

 

「ひ、ぎっ──ぁああっ──」

 

 喉が潰れそうになる。

 それでも電撃は止まらない。

 そして、ようやく電撃が止まった。

 ぐったりと脱力してしまう。

 

「はははっ。だから、勝手に絶頂しようとするなって言っただろう?」

 

 ヤンが愉快そうに笑う。

 

「これを繰り返せば、簡単に絶頂できない身体へ仕上がっていくのさ。身体で覚えな」

 

 アルジェもまた嘲笑った。

 

「まさに家畜だな」

 

 ヤンとアルジェが、苦悶するリネアを見下ろしながら笑う。

 

「はっ……ぁっ……」

 

 リネアは涎を垂らしながら荒い呼吸を繰り返した。

 絶頂できなかった熱だけが、身体の奥へ取り残されている。

 それでも、媚薬で膨れあがった疼きは消えない。

 快楽を求めれば、また電撃が来る。

 なのに身体だけが、続きを欲しがっていた。

 

「ああ……」

 

 リネアはあまりもの辛さに項垂れる。

 

「さあ、じゃあもう一回だ。しっかり我慢しな」

 

 アルジェは笑いながら再びリネアの胸へ手を伸ばした。

 

「寸止めも地獄──達しても地獄──いつまでも続けてやるぜ。お前に逃げ道はねえ」

 

 ヤンが再び淫具を股間へ押し当てる。

 ぶぅん、と低い振動音が地下室へ響いた。

 

「いやあああっ──」

 

 リネアは号泣した。

 だが、振動は止まらない。

 媚薬で敏感になり切った身体が、ほんのわずかな刺激だけで大きく跳ねる。

 陰核へ押し当てられた淫具の震えが、直接脳髄まで突き抜けてくるようだった。

 

「あっ、ぁっ──ひぅっ──」

 

 リネアの腰が勝手に震える。

 片脚を吊られているせいで踏ん張ることもできない。

 熱に浮かされたように、腰だけが快楽から逃れようともがき続ける。

 

「ほら、また腰が逃げてるよ」

 

 アルジェが嗤った。

 指先が乳首を摘み、ゆっくりと捏ね回す。

 さらに舌が首筋を這い、耳の裏を湿らせながら降りていく。

 

「やっ──そこっ──ぁあっ──」

 

 リネアは鎖を握り締めたまま身体を捩った。

 止まらない。

 媚薬で熱を持った身体が、勝手に快楽を欲し始めている。

 

 股間を震わせる振動──。

 乳房を弄ぶ指──。

 脇腹を這う舌──。

 それらが重なるたび、身体の奥に溜まり続けていた熱がさらに膨れあがっていく。

 

「いっ……いやっ……また、いっちゃ──」

 

 リネアは涙を零しながら首を振った。

 

「ちゃんと耐えるんだな。勝手に達したら、また電撃だぜ。お前にできるのは我慢することだけだ」

 

 ヤンが愉快そうに笑う。

 

「ほら、どうする? 寸止めして欲しかったら、ちゃんと申告しな」

 

 アルジェもまた、わざとゆっくり乳首を転がした。

 

「あっ──あぁっ──」

 

 リネアの呼吸が完全に乱れる。

 絶頂できない。

 なのに快楽だけは際限なく積み重なっていく。

 

 腰の奥が痺れる。

 下腹が熱い。

 頭の奥まで痺れて、思考が崩れていく。

 

「だ、だめっ──もうっ──」

 

 それでも責めは止まらない。

 

「このまま続ければ、また電撃だよ?」

 

 アルジェは耳元で囁きながら、わざとゆっくり乳首を摘み上げた。

 

「あっ──ぁっ──」

 

 リネアの身体がびくりと跳ねる。

 ヤンの押し当てる振動具も止まらない。

 ぶぅん、と低い音を響かせながら、陰核を執拗に震わせ続ける。

 

「ほら、もう限界が近いんじゃないのか?」

 

 ヤンが嗤った。

 

「やっ……あっ──いやあっ──」

 

 リネアは涙を零しながら首を振る。

 だが、身体は誤魔化せない。

 媚薬で熱を持った腰が、小刻みに震え続けている。

 あと少し刺激されれば、また絶頂してしまう。

 そして、その瞬間に電撃が来るのだ。

 恐怖で頭が真っ白になる。

 

「いくうっ、もういきますうっ」

 

 リネアは叫んだ。

 しかし、ふたりは今度も愛撫を緩めてくれない。

 

「どうするんだい? このままだと、まあ電撃だねえ」

 

 アルジェの舌が耳の裏を這った。

 

「いやああ──それはいやああ──」

 

 リネアは必死に快感に耐えながら叫んだ。

 

「だったら、サロンへ連れて行って欲しいって頼むんだ。そこで矯正してくれってね。そしたら、サロンに着くまでは開放される」

 

 アルジェが愛撫をしながら、リネアの耳元でささやいた。

 サロン──。それがどういうところなのかはわからない。しかし、この苦しみから逃れるのは、もうそれしかないのだというのはわかる。

 

「い、いやああっ……」

 

 リネアは必死に拒絶した。

 だが、アルジェの指先が乳首を捏ね回すたび、腰が勝手に跳ねる。

 振動が陰核を擦るたび、身体の奥が痺れていく。

 

「あっ──ああっ──」

 

 快楽が止まらない。

 寸止めされ続けた熱が、身体の内側で膨れあがり続けている。

 

「ほら、もうすぐだろ?」

 

 ヤンが愉快そうに笑った。

 

「また勝手に達したら、頭の中を焼かれるぜ」

 

「いやあっ──」

 

 リネアは鎖へ縋りつくように身体を震わせた。

 

「どうするんだい? 答えな。地獄を彷徨い続けるのか……。それとも、サロン行きを選ぶのか……」

 

 アルジェがまたささやく。

 

「いやあっ──もうっ──」

 

 リネアは涙を撒き散らしながら首を振った。

 だが、身体は限界だった。

 陰核を震わせる振動が、もう何度目かわからない絶頂寸前へ引きずりあげてくる。

 

「ほら、もう無理だろ?」

 

 ヤンが嗤う。

 

「また電撃を浴びるかい?」

 

 アルジェの囁きが耳元へ落ちた。

 

「いやっ……いやあっ……」

 

 リネアは必死に涙を零しながら叫ぶ。

 

「だったら、言いな」

 

「わ、わかりましたっ──あたしをサロンに連れて行ってくださいっ──」

 

 リネアはついに叫んだ。

 

「ほら、自分からお願いするんだよ……サロンで矯正してくださいってね」

 

 アルジェが畳みかける。

 

「サ、サロンで矯正してください──お願いします──」

 

 リネアは叫び続けた。

 そのあいだも、胸を揉まれ、敏感な股間の上側の突起を振動で刺激されている。

 

「なら、ご褒美だ……」

 

 ヤンが嗤いながら顔を寄せる。

 

「……自分から口づけしな。ちゃんと従うって証明するんだ」

 

 ヤンがリネアの顔に顔を寄せてきた。

 わけがわからないまま、リネアは首を捻って、自らヤンに唇を押し当てていた。

 絡み合って舌を吸いあげる──。

 

 アルト以外の男へ、自分から唇を重ねている──。本来なら、あり得ないことだった。

 だが、もうリネアの思考は、快楽と恐怖でぐちゃぐちゃに崩れ始めていた。

 

「ほら、ちゃんと従えたじゃないかい」

 

 アルジェが嗤った直後だった。

 がらがら、と天井の滑車が鳴る。

 吊り上げられていたリネアの身体が、ゆっくりと降ろされ始めた。

 

「あっ……ぁっ……」

 

 リネアは荒い呼吸を繰り返した。

 いつの間にか、重りで引きあげられていた左足首の枷も外されている。

 だが、もう脚に力は入らなかった。

 

 媚薬で熱を持った身体は、なおも疼き続けている。

 絶頂できなかった快楽だけが、身体の奥へ溜まり切っていた。

 やがて、両足が床へ触れる。

 

「ぅっ……」

 

 しかし、立てない。

 膝が崩れ落ち、そのままリネアは床へ倒れ込んだ。

 両手首には、なお手枷が嵌まったままだ。

 荒い呼吸を繰り返しながら、リネアは仰向けに転がった。

 その脚のあいだへ、ヤンが立つ。

 

「さて……我慢できたご褒美をやろうか」

 

 ヤンは嗤いながら自分のズボンに手をかけた。

 ずるり、とズボンの腰帯が緩む。

 ズボンと下着が少しずつ下げられていく。

 

「ああ……」

 

 リネアは呆然とそれを見つめた。

 ついに犯されるのだ──。

 熱に浮かされた頭で、ぼんやりとそう理解する。

 もう抵抗する力も残っていない。

 その瞬間だった。

 

「ぎゃあああっ──」

 

 突然、ヤンが絶叫した。

 身体を大きく跳ねさせ、その場へ崩れ落ちる。

 

「っ──」

 

 リネアは眼を見開いた。

 ヤンの背後に、険しい表情のアルジェが立っていた。

 右手には、白い棒杖状の魔道具が握られている。

 先端から、ばちばち、と小さな火花が散っていた。

 

「な、なにすんだよっ──」

 

 ヤンは尻を押さえながら振り返った。

 下半身は半ば露出したままだ。膝まで下がったズボンと下着が引っ掛かった無様な格好だった。

 

「なにすんだ、じゃないよ──」

 

 アルジェが怒鳴る。

 

「あたしたちの任務を忘れたのかい?」

 

「へっ……任務?」

 

「こいつに自分からサロン行きを願わせる。それがお館様のご命令だったろうが」

 

 アルジェは冷たい目でヤンを睨みつけている。

 

「お、お館様って……。ちょ、ちょっとくらい味見したっていいだろ。ここまでやって、お預けとかひでえぜ……」

 

 ヤンは不満そうに呻く。

 

「やかましいっ──」

 

 アルジェが一喝した。

 

「やかましいって、お前……」

 

「サロン行きが決まった以上、こいつの生殺与奪は全部お館様のものだ。勝手に手を出すんじゃない──」

 

「ちぇっ……」

 

 ヤンが舌打ちする。

 

「犯したきゃ、お館様の許可を取ってからにしな」

 

 アルジェは吐き捨てるように言った。

 

「あっ……ぁっ……」

 

 リネアは床へ転がったまま、そのやり取りを呆然と見上げていた。

 助かったのかどうかも、わからない。

 身体はまだ狂いそうなほど疼き続けている。

 絶頂できないまま溜まり切った快楽が、逃げ場を失って腹の奥で暴れ回っていた。

 

 熱い──。

 苦しい──。

 なのに、まだ身体は続きを欲しがっている。

 

「あぁっ……」

 

 サロンという場所に連れて行かれる……。

 そこに行くと、自分で口にしたのだ……。

 その事実だけが、ぼんやりと頭の奥へ沈み続けていた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。