サロン・セルパンタンの五百日の調教記録──亡国の花と蛇の館 作:ドン・ドナシアン
「ひぁっ──」
鎖が引かれるたび、セリアの喉から潰れた悲鳴が漏れる。
裸の身体が、薄暗い石廊下をよろめくように進んでいく。
鼻輪と股間の牽引環を繋ぐ短鎖は、まともに姿勢を伸ばすことすら許さない長さだった。
少しでも顔を上げれば、股間の環が陰核を内側から抉り上げる。
逆に腰を浮かせれば、鼻輪が鼻孔を裂くように引き攣れた。
先頭を歩くアルジェが、股間から伸びる鎖を握ったまま振り返る。
「遅いんだよ、家畜」
次の瞬間、鎖がぐいと前へ引かれた。
「ぎぃいいっ──」
セリアの裸身がびくんと跳ねる。
鼻輪が上へ引きつれ、同時に股間の牽引環が陰核を内側から吊り上げたのだ。
熱い鉄鉤を肉へ捩じ込まれたような激痛が、腹の奥まで一気に突き抜けた。
「あぁあっ──や、やめ──っ」
涙がぼろぼろと噴き出す。
太腿ががくがくと痙攣した。
鼻の痛みで、鼻水が垂れて口の中に塩辛いものが混じる。
脂汗が一気に全身へ滲み出る。
背中を汗が流れ、乳房の下へ溜まり、腹を伝って滴り落ちた。
「ほらほら、お館様の特別囚ともあろうものが、その程度かい?」
右側を歩いていた女兵が嗤う。
同時に、左側の女兵が、セリアの脇腹へ指を這わせた。
「ひぁっ」
身体がびくりと跳ねる。
その瞬間、また鎖が張った。
「ぎぃああっ──」
鼻輪と股間へ激痛が走る。
「やだ、可愛い声だこと」
女兵が笑った。
「や、やめ……なさいっ」
セリアは涙声で訴える。
だが、次は別の女兵が乳房を下から掴み、乳首を指先で軽く弾いた。
「ひゃあっ──」
身体が反射的に仰け反りかける。
当然、その動きは許されない。
「んぎぃいいっ──」
短鎖が張り詰め、鼻輪と股間に同時に激痛が襲う。
その激痛に、踵が勝手に浮いた。つま先だけで立たされるような姿勢になる。
セリアの膝が大きく揺れて、裸足が石床を滑り、危うく転びかけた。
慌てて、足を踏ん張って身体を支える。
「おう、危ない危ない」
「ちゃんと歩かないと、股が千切れちゃうよぉ?」
「鼻もね」
左右の女兵たちが楽しそうに笑う。
「あぁ……っ、ぁ……」
セリアは荒い呼吸を繰り返した。
苦しい。
痛い。
恥ずかしい。
なのに……。
股間の奥では、説明し難い熱が広がり続けている。
牽引環が揺れるたび、激痛と一緒に身体の芯が震える。
乳首を触れられた瞬間には、下腹の奥が勝手にきゅっと縮んだ。
そんな自分が恐ろしかった。
「まあ、この家畜、こんな状態でも、しっかり感じてるわ──」
後ろを歩いていた女兵が、わざと声をあげる。
「え?」
数名の女兵が後ろ側に回って、セリアの股間を覗き込む。窮屈な前屈姿勢を強いられてるセリアには、その無遠慮な視線を阻止する方法はない。
女兵たちの不躾な視線を感じて、セリアの肩がびくりと震えた。
「わっ、本当」
「これ、おしっこの残りじゃないわよねぇ?」
「愛液よねえ、これ?」
背後の女兵たちが嘲笑した。
「や、やめ……見ないでてください……っ」
セリアは涙声で懇願した。
だが、女兵たちは止まらない。
「ほんとだ。ちゃんと濡れてる」
「お館様の矯正で、身体だけは素直になってきたんじゃない?」
「違っ──ぁ、違いま……っ」
否定しようとした瞬間、アルジェがまた鎖を引いた。
「お前は、余計なこと考えずに、ただ歩くんだよ──」
「んぎぃいいいいっ──」
鼻輪が強く吊り上げられる。
同時に股間の牽引環が陰核を内側から抉った。
セリアの裸身が大きく跳ねた。
太腿が痙攣する。
尻が震える。
腹筋が勝手に縮み上がった。
「あぁあっ──」
涙がぼろぼろと零れる。
羞恥で頭がおかしくなりそうだった。
違う。
こんなのは違う。
痛いだけだ……。苦しいだけだ……。
なのに、身体の奥は熱い。
股間は、牽引環が揺れるたびに、強い疼きのようなものが全身を席巻する。
「罰を受けて欲情するのは当たり前だ──。そうなるように、こっちは躾けてんだ──」
鎖を牽引しているアルジェが嗤う。
「そういうこと。だけど、この王国の貴族って、みんな被虐の癖が強いわよね」
「みんな、あっという間に従順になるし」
「そこの元王族だから、壊れ始めると早いさ。自分を特別だと思ってた分、依存も深くなるからねぇ」
女兵たちが笑いながら、またセリアの乳房や脇腹を弄る。
「ひぁっ──や、ぁあっ──」
身体が跳ねる。
鎖が張る。
足がもつれ、鼻輪と股間へ激痛が走る。
セリアは涙と脂汗に濡れながら、前屈姿勢のまま必死によろめき続けた。
そして、やっと地下へ続く長い石階段の前へ辿り着いた。
下層から、湿った臭気が流れ込んでくる。
汗──。汚物──。湿気──。人が密集している熱気──。
なによりも、男女の交わり特有の淫らな匂い──。
特別囚区画とは明らかに違う空気だった。
女の嬌声──男たちの嗤い声──。
「……っ」
セリアの肩が震える。
この先が王国の一般貴族令嬢たちが管理されている一般囚層……。
セリアが連れてこられるのは初めてだ。
「家畜らしく、涎を垂れ流しながら、歩いてもらうか」
アルジェが足を止めて合図をした。
女兵のひとりが前へ進み出てきて、吊っていた鞄から奇妙な口枷を取り出した。
鈍い銀色の金具だった。
口へ咥えさせるための太い横棒──。
その中央には、子供の握り拳ほどもある大きな輪がひとつだけ取り付けられている。
輪の部分だけが大きく前へ突き出しており、その内側は完全に空洞だった。
つまりは、口を大きく開かせた状態で固定するためだけの器具だった。
「……っ」
セリアの顔から血の気が引いた。
「や、やめ──」
言い終わるより早かった。
「あぁっ、あおっ──」
背後から髪を掴まれ、無理矢理に口を開かされる。
次の瞬間、横棒が一気に口内へ捩じ込まれた。
巨大な輪が唇を押し広げ、口が閉じなくなる。
そのまま後頭部で革帯が締め上げられた。
ぎちり──。
「あおあっ……」
唾液が一気に溢れ、顎から糸を引いて垂れ落ちる。
「ははっ、もう涎まみれだよ」
「本当に家畜みたいな顔だねぇ」
女兵たちが笑った。
「もうひとつだ」
さらに、アルジェが言った。
「共和国万歳を叫ばせたいところだけどねぇ。口を塞いじまったから、代わりに旗でも振ってもらおうか」
女兵のひとりが、別の鞄から奇妙な器具を取り出した。
細い金属製の棹だった。
先端には、小さな共和国旗が取り付けられている。
だが、その形状は普通ではない。
棹の先端部分は、半円を描くように大きく湾曲していた。先端も丸められており、棹全体が滑らかに太く加工されていた。
「……っ」
セリアの肩がびくりと震えた。
「お前の大好きな掻痒剤を、たっぷり塗ってやるよ」
アルジェが嗤う。
別の女兵から受け取った小瓶の蓋を開けると、粘性の強い油剤を湾曲した棹部分へ大量に塗り広げ始めた。
ぬらり、と粘ついた液体が金属表面を覆っていく。
「あっ……ぁ……」
セリアの顔から血の気が引いた。
もちろん、その油剤の恐ろしさは知っている。
幾度も矯正に使われている掻痒剤だ。
塗られれば終わる。
肌の奥から焼けるような痒みが広がり、理性など簡単に崩壊する。
泣き喚き──痒みに吠え──どんな命令にも縋りつくように従ってしまう牝になりさがる。セリアの意思など木っ端微塵にしてしまう悪魔のような責め剤なのだ。
まさに、女を家畜以下へ落とす薬だ。
「おぁっ、あっ、あおああっ──」
セリアは必死に首を横へ振った。
だが、その動きで短鎖が張る。
「がっ──はがあっ──」
鼻輪へ激痛が走った。
同時に股間の牽引環が陰核を吊り上げ、セリアの裸身が大きく痙攣する。
「あぁっ──ぁあっ──」
開口されている口から大量の涎が迸るとともに、涙がぼろぼろと零れた。
しかし、そのあいだにも、アルジェは油剤を塗る手を止めない。
やがて、ぬらぬらと光る旗付きの棹を持ったまま、セリアの背後へ回り込んできた。
「……っ」
その瞬間、セリアは理解した。
どこへ、それを挿し込むつもりなのかを──。
「おぉっ──あおっ、ああっ──」
セリアは必死に拒絶しようとした。
だが、左右の女兵が腕を押さえ込み、後ろの女兵が腰を固定する。
さらに別の女兵が太腿を押さえつけ、脚を無理矢理に開かせた。
尻たぶをぐいと左右に引っ張られた。
「尻を振るのは早いよ。これを挿してからだ──」
アルジェが後ろで嗤う。
「ぁあっ──」
次の瞬間、尻の奥へ強烈な異物感が襲いかかった。
掻痒剤を潤滑油代わりに塗りたくられた湾曲棹が、尻肉を押し分けながら深く捩じ込まれてくる。
「ああぁぁっ──」
セリアの身体が大きく跳ねた。
ぬるりぬるりと熱い感触が奥を貫いていく。
さらに、大量に塗り込まれた掻痒剤が、尻の内部へ一気に擦り広げられた。
「ぁっ、ぁああっ──」
痒みとも熱ともつかない異様な刺激が、瞬く間に尻の奥から広がり始める。
「おう、思ったよりも、いい旗立てだ。王太子妃の尻にはよく似合うよ。下層の連中も、王太子妃のお前が共和国の旗を振るのを見れば、いやでも、新しい世になったと思い知るさ」
後ろでアルジェが手を叩いて爆笑した。
女兵たちも下卑た笑い声をあげる。
「あおっ、ぁあっ……」
セリアは前屈姿勢のまま震えた。
尻の奥へ深く捩じ込まれた旗付き棹が、脈打つような異物感を放っている。
しかも、掻痒剤を大量に塗り込まれたせいで、尻の内部がじわじわと熱を持ち始めていた。
背後では、尻穴に挿入された共和国の小旗がかすかに揺れているのだろう。
その姿を想像するだけでも羞恥で気が狂いそうだった。
アルジェがゆっくりとセリアの前へ回り込んできた。
鎖を握り直して、前屈したセリアの顔を見下ろす。
「ほら、旗を立てたんだ。ちゃんと歩いて見せな」
「あぉっ……ぁ……」
セリアは涙を零した。
次の瞬間、アルジェがまた鎖を容赦なく牽引した。
「がぁああっ──」
鼻輪が強く吊り上げられる。
同時に、股間の牽引環が陰核を内側から抉りあげた。
セリアの裸身が大きく痙攣した。
涙と涎を飛び散らせながら、前屈したまま悲鳴を漏らす。
「ほら、降りな」
アルジェが嗤う。
「あおっ……ぁっ……」
セリアは震える脚で、地下へ続く石階段へ足を下ろした。
だが、平坦な廊下とは違う。
階段では、前屈姿勢のまま身体を支えることがさらに難しくなる。
一段降りるたび、身体が前へ傾く。
反射的に顔を上げそうになるたび、短鎖が張った。
「がっ──ああっ──」
股間へ激痛が走る。
逆に、腰を引けば、今度は鼻輪が強く引き攣れた。
「あぉっ、ぁあっ──」
口枷の輪から大量の涎が糸を引いて垂れ落ちる。
しかも、尻の奥へ深く挿し込まれた旗付き棹が、階段を降りるたびに内部をぐりぐりと擦り上げた。
「あっ、ぁあっ──」
異物感が強い。
掻痒剤を塗り込まれた尻の奥が、じわじわと熱を帯び始めていた。
そして……。
「おごぉおおっ──」
突然、尻の奥で痒みが爆ぜた。
焼けるような痒みだった。
熱い虫が内側を這い回っているような、狂いそうな刺激が一気に広がる。
「おぁっ、あぁっ──」
耐えきれなかった。
セリアは、ほとんど無意識に腰を左右へ揺らした。
尻へ挿し込まれた棹が内部を擦る。
すると、その動きで、ほんの一瞬だけ痒みが和らいだ。
「ぁっ──」
セリアの身体が震える。
次の瞬間には、もう自制できなかった。
「あおっ、あおおっ──」
前屈姿勢のまま、腰が勝手に左右へ振られる。
尻の奥で棹が動き、痒みを掻き回しながらも、わずかに和らげていく。
「ははっ、早速始めたわ。さすがは、即効性の魔道薬ね」
「もっと振るといいわよぉ」
背後の女兵たちが爆笑した。
さらに、後ろを歩いていた女兵が、棹の根元へ指を伸ばす。
「あっ──」
新しい油剤が塗り足されているのだと気付く。
この油剤の怖ろしい効果は、痒みが発生した後の重ね塗りにより、痒みが数倍に跳ねあがることだ。いままさに、大量の掻痒剤の追加されている。
「おごぉおっ──」
すぐに、痒みが一気に跳ね上がる。
セリアは涙と涎と脂汗を垂れ流しながら吠えた。
腰が勝手に左右へ揺れる。
尻が棹へ擦りつけられる。
そのたび、背後の共和国旗がぴらぴらと揺れる音がする。
「ちゃんと共和国旗を振ってるじゃないか」
アルジェが階段の下で嗤う。
「あおっ、ぁあっ──」
セリアは、あまりもの恥辱に、もう返事すらできない。
なのに身体は勝手に尻を振り続ける。
やがて、長い石階段の踊り場へ辿り着いた。
顔を俯かせていたセリアの視界にも、ついに下層の光景が入り込んできた。