※この作品はR-18です。

サロン・セルパンタンの五百日の調教記録──亡国の花と蛇の館   作:ドン・ドナシアン

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06 聖女クラウディア──王国の残り香
042 サロン主の呼び出し【第16日】


 ヤンはひとり、サロン・セルパンタンの廊下を歩いていた。

 ついさっき、レイシアの妹である薬師見習いのリネアを捕らえる任務に成功したばかりだ。

 捕縛そのものは難しくなかった。秘密裏にすでにサロンに連行をして収容を完了している。

 報告は、女兵隊長アルジェが行ったはずだ。

 

 そのアルジェから、先ほど伝言を受けたのだ。

 

 ──カイネウス様がお呼びだ。

 

 その一言だけだった。

 すでに、かなり夜は更けている。

 

 ヤンは、夜のサロンを歩きながら無意識に背筋を伸ばす。

 カイネウスに直接呼ばれることは滅多にない。

 ヤンは元々、王国出身の傭兵だ。

 共和国軍に雇われ、いくつもの戦場を渡り歩いてきた。この王都では反抗勢力に潜り込み、情報を売ってきた。レイシアの捕獲にも協力したが、所詮は平民上がりの一介の傭兵に過ぎない。

 

 対してカイネウスは、王国を滅ぼした共和国軍の将軍であり、王都を占領した英雄であり、いまやこの地を支配する側の人間だ。

 そして、このサロンの責任者でもある。

 身分も立場も違う。

 

 褒賞なのか。

 新たな任務なのか。

 あるいは叱責なのか。

 呼び出された理由もわからないまま、ヤンはカイネウスの私室の前で立ち止まった。

 

 軽く息を吐く。

 そして扉を二度叩いた。

 

「ヤンです。お呼びと伺いました」

 

 返事はすぐに返ってきた。

 

「入っていいよ」

 

 聞き慣れた若い男──カイネウスの声だった。

 だが次の瞬間、向こうから扉が開き、ヤンは思わず目を見開いた。

 

「カ、カイネウス様……」

 

 出てきたのは本人だった。

 裸身の上から薄いガウンを羽織っただけの姿である。帯さえも締めておらず、ヤンは唖然となった。黒髪は汗で乱れ、肌にも薄く汗が浮いていた。

 明らかに情事の途中という気配だ──。

 

 いや、それどころではない。

 部屋の奥からは女の声が聞こえていた。

 ひとりではない。

 二人だ。

 衝立の向こうにいるらしく姿は見えないが、喘ぎ声や懇願が断続的に漏れ聞こえてくる。

 

「あのう……。呼び出していただいて伺いましたが、お取り込み中でしたら出直します」

 

 ヤンは思わず視線を逸らした。

 

「遠慮しなくていいよ。僕が呼んだんだ。おいで」

 

 カイネウスは気にした様子もなく笑って身を引く。

 ヤンは一瞬ためらった後、部屋の中へ足を踏み入れた。

 

「あっ」

 

 そして、衝立の向こうへ足を踏み入れた瞬間、ヤンは思わず息を呑んだ。

 二部屋が繋がった奥側の空間だった。

 中央に大きな寝台が置かれている。

 寝具はひどく乱れており、白いシーツは皺だらけになっていて、枕も床へ落ちていた。

 

 その寝台の上に、裸の女がふたりいた。

 どちらも両腕を後ろで拘束されている。

 身体を寄せ合い、互いにもたれかかるような格好だった。

 

「まさか……」

 

 ヤンは目を見開いた。

 片方は金髪の女──。

 もう片方は銀髪の女──。

 見間違えるはずがない。

 

 王太子妃セリア。

 そして、元近衛女騎士レイシアだった。

 ヤンは言葉を失った。

 

 セリアについては噂程度しか知らない。

 だが、レイシアは違う。

 共和国軍相手に最後まで抵抗を続けた女騎士であり、占領軍への抵抗勢力にやつしていたヤンは、数箇月ものあいだ、一緒に行動をともにした。

 誇り高く、頑固で、決して頭を下げない美剣士──。

 凛として、どれほど苦しい状況に追い込まれても弱音ひとつ吐かず、仲間たちの前では常に先頭に立っていた女だ。

 王都に潜伏し、隠れ家を転々とする生活のなかでも、その背筋が曲がることはなかった。

 

 そのレイシアが、淫らに女を相手によがり狂って目の前にいる。

 共和国軍へ牙を剥いていたあの女騎士と、目の前の姿がうまく結びつかなかった。

 拘束されたまま、セリアと重なり合って、汗みどろで喘ぎ声を漏らしている。ふたりはヤンたちに対して横を向いているので、ふたりが繋がっている場所に、ディルドのようなものがあるのがわかった。

 

 おそらく、女同士で繋がるための双頭ディルドだろう。

 しかし、レイシアにとって、セリアは剣の誓いを捧げた主君のはずだ。

 レイシアの妹を捕らえるために、このサロンを離れたのは、たった三日前だ。

 その三日間でなにがあったのか……。

 

 ヤンは思わずカイネウスへ視線を向けた。

 将軍は平然としていた。

 まるで珍しくもない光景を見るようだった。

 その様子に、ヤンは背筋に底知れぬ寒気が走るのを感じた。

 カイネウスが寝台の方へ視線を向けながら微笑む。

 

「ふたりを愛し合う仲に仕上げてみたんだ。でも、それはいいけど、男の相手も覚えさせないとならない。セリアの相手は僕がしているけど、レイシアの相手を君がしてくれるかい?」

 

「えっ、俺が……ですか?」

 

 ヤンは驚いて言った。

 

「うん。手が足りないんだ」

 

「ええっと、でも、レイシアの専属は、ヴェルデン閣下では?」

 

 このサロンの特別囚には、専属矯正官が決まっている。セリアはカイネウス自身であり、レイシアはヴェルデンだ。ヴェルデンのいない状況で、レイシアに手を出していいのだろうか。

 

「ヴェルデン殿は一時的に王都に戻ってるよ。サロンに重要な客人が来るんだけど、少し予定が伸びてね。戻るのは半月ほど先だと思う。その客人と一緒に戻る予定なんだ」

 

「そう……なんですね」

 

「ああ、僕も明日からしばらくいないしね。矯正そのものは、アルジェたちがいるけど、どうしても棹役はいる。だから、レイシアについては、しばらく君に任せようかと」

 

「あっ、わかりました。光栄です。でも、カイネウス様も、王都に戻られるんですか?」

 

 ヤンは訊ねた。

 客人というのが誰なのかは知らない。ただ、余程の重要人物という感じではある。

 

「いや、僕は少し狩りにね」

 

「狩り?」

 

 ヤンは意外な言葉に戸惑った。

 

「そうなんだ。聖女様を一匹ほど調達しようかと」

 

 カイネウスが笑う。

 

「聖女?」

 

 ヤンは面食らった。

 

「とにかく、レイシアについては、どんな男が相手でも拒絶しないように仕上げないとならない。運よく、ヤンは知らない仲じゃない。丁度いいと思ってね。……ところで、じゃあ、大丈夫だね?」

 

 カイネウスは事も無げに言った。

 

「願ってもない役目です。だけど、俺はレイシアを裏切って、サロンに引き渡した仇のようなものですよ。レイシアが激怒するでしょう」

 

「それがいいんだよ。そういう感情は捨てさせないと。それがレイシアのためなんだ。協力してくれるかい?」

 

「よろこんで」

 

「よかった……。ああ、ただひとつだけ言っておくね。アルジェがいるからわきまえていると思うけど、君に頼むのは、レイシアだけだから。セリアについては手を出さないようにね」

 

 カイネウスがヤンを見る。

 ヤンははっとなる。

 ずっと薄く浮かんでいたカイネウスの笑みが全くなくなっていたのだ。

 それどころか、凄みのある表情でヤンを見る。

 ヤンは背中に冷たいものがどっと流れるのを感じた。

 

「も、もちろんです」

 

 慌てて頷く。

 

「ああ、よかった……。でも、気をつけてね。君がセリアに手を出したら殺すから。見るのはいい。でも触るのもだめ。いいね」

 

「肝に銘じます」

 

 ヤンは口に溜まった唾を呑み込みながら大きく頷く。

 

「……じゃあ、そこで着替えるといい」

 

 カイネウスが部屋の片隅を示した。その顔には再び、いつもの笑みが浮かんでいた。

 部屋の隅には小さなテーブルがあり、酒を愉しむ支度が整えられている。

 脱衣用の籠と、カイネウスが羽織っているような薄いガウンも壁に掛けられていた。

 さらにその横の壁には、得体の知れない調教具が並んでいる。

 

 ヤンは服を脱ぐために籠へ向かう。

 カイネウスはその横のテーブルへ歩いていき、椅子に腰を下ろし、自分でグラスへ琥珀色の蒸留酒を注いでいる。

 ヤンの分と合わせて二人分だ。

 

 服を脱ぎながら、ヤンは違和感を覚えた。

 大きく開放された奥側の部屋にいるセリアもレイシアも、まったくこちらへ関心を示さないのだ。

 ふたりが互いに夢中になっているのは確かだ。

 だが、横を向けばこちらも見える。

 いまの会話が聞こえないはずもない。

 それなのに、ふたりはまるでこちらの存在などないかのようだった。

 

「……もしかして、向こうからはこっちが見えないんですか?」

 

 最後の下着を脱ぎながらヤンは訊ねた。

 裸身になったところで、壁に掛けられたガウンを羽織る。

 

「見えないし、聞こえない。魔道がかかっていて、向こうからは壁に見えるんだ」

 

「へえ、そうなんですね」

 

 ヤンは感心した。

 なにもないようにしか見えない。

 

「……二人には教えてないけど、魔道で映像も記録している。いい記念になると思うよ」

 

 カイネウスは微笑みながらグラスを口へ運んだ。

 

「そりゃあ、いいですね」

 

 ヤンは追従するように笑う。

 

「うん。手を抜けば折檻だと言い渡して、こっちから見張っているんだけど、ふたりとも真面目だねえ。手を抜かないんだ……。多分、もうすぐ、また気をやると思う。そうしたら、向こうに行こう」

 

 カイネウスは愉しそうに言った。

 ガウンだけの格好になったヤンは向かいの椅子へ腰を下ろした。

 目の前のグラスを手に取り、蒸留酒をひと口含む。

 

 意識は自然と奥の部屋へ向いてしまう。

 魔道によって隔てられた向こう側では、レイシアとセリアのふたりだけの世界が続いていた。

 奇妙な気分だった。

 まるで見世物でも見ているようだ。

 しかも、見世物になっているのは王国でも指折りの高貴な女たちなのである。

 カイネウスもまた酒を飲みながら、その様子を静かに眺めていた。

 

 そのときだった。

 奥側のふたりが向かい合ったまま、大きな喘ぎ声をあげてがくがくと身体を痙攣させた。ふたりが同時に快感を極めさせたのは明らかだ。

 

「すごいよね。あの双頭の張形には、同時に達しやすくなる魔道が刻んであることは確かだけど、ほとんど、ああやって、一緒に達するんだ。余程に気が合うんだと思うよ」

 

 カイネウスがグラスをテーブルに戻す。

 

「いえ、あそこまで躾けたカイネウス様がすごいと思います」

 

 ヤンは媚びを売るように追従笑いを向けた。

 しかし、カイネウスの表情は変わらない。ヤンを一瞥はしたが、すぐに視線をレイシアたちに戻す。

 

「さて、じゃあ行こうか」

 

 カイネウスが立ちあがり、奥に向かっていく。

 ヤンも慌てて、その後を追った。

 

「ふたりとも頑張っているね……。じゃあ、次は男の相手をする練習だ。セリアは僕、レイシアはこのヤンがやる。接待のつもりで愉しませるんだ。いいね」

 

 カイネウスが対面座位のかたちで座り合ったまま向き合っているふたりの横に立って声を掛けた。

 レイシアもセリアも肩で息をして、お互いの肩に顎を預け合っていたが、レイシアがぴくりと反応して、はっとしたようにヤンを睨みつけてきた。

 一方で、セリアはすべてを諦めたように、こちらに虚ろな視線を向ける。

 

「あっ、ヤン──。どこに行っていた。この恥知らず──」

 

 レイシアが堰を切ったように、悪態をつく。

 

「まあ色々だ。俺も忙しいのよ」

 

 ヤンはうそぶく。

 レイシアの妹のリネアをサロンに連れてきたのは、まだレイシアには内緒だ。アルジェによれば、処女だったので、破瓜の処置だけは玩具を使って終わらせると言っていたが、本格的な矯正は、姉のレイシアとの再会後と聞いている。

 そのときには、ヤンも立会させてもらうことになっているので、いまから愉しみだ。

 

「さあ、じゃあ、さっきも言ったけど、それぞれ、僕たちの相手をしてもらうよ」

 

 カイネウスがふたりに手を伸ばして、引き剥がした。

 ヤンも手伝って、ふたりを左右に分ける。

 

「あっ」

 

「あん」

 

 離れたとき、ふたりの股間から白い張形が抜け出て、お互いによがり声をあげる。ふたりが股間を密着させていた場所には、まるでおしっこでももらしたかのようにマットが濡れており、張形の抜け出た股間からは、大量の愛液が一気に零れ出てくる。

 その凄まじさに、ヤンも唖然となる。

 

「手を抜かずに愛し合ったことは認めるよ。折檻はなしでいい。よかったね」

 

 カイネウスが白い張形を寝台の横の台に置く。やはり双頭のディルドだ。だが、全面に女の蜜が絡みつき、あちこちで糸を引いている。無機質のはずの表面からは、湯気まで立ち込めていた。

 ふたりが本当に長いあいだ、これを使わされていたのだと思った。

 

 また、セリアについたカイネウスが、彼女を膝を曲げた上体でうつ伏せに倒した。ガウンの前を拡げて、後背位で犯す体勢だ。ヤンもまた、レイシアを同じ格好にして、寝台の中央で、セリアと向かい合う格好にする。

 

「ま、待て──。待ってくれ。ヤンだけはいやだ──。こいつは、わたしを裏切った男だ。この男だけは断る──」

 

 レイシアがはっとしたように、抵抗の素振りを見せる。

 だが、抵抗は少ない。

 後手縛りではあっても、足蹴りくらいはありそうだが、その気配もない。とりあえず、ヤンはほっとした。

 

「大丈夫だよ、ヤン……。レイシアには魔核を打ち込んでいる。命令には逆らえない」

 

 カイネウスが声を掛ける。

 

「ああ、そういうことですか」

 

 ヤンはほっとした。

 レイシアを捕らえてすぐに、このサロンで魔核が打たれたのは承知していたが、そんな風に調整をされていたとは知らなかった。

 

「じゃあ、遠慮なく、犯してやるよ、レイシア」

 

 ヤンもガウンの前をくつろげる。

 股間はすでに怒張になっていた。

 

「さて、次の課題だ。これから、向かい合って犯す。だけど、今度も一緒に気をやるんだ。ちゃんと声を掛け合わないと、さすがに難しいと思うから頑張るんだよ。失敗すれば、折檻だ。わかっていると思うけどね」

 

 カイネウスがいよいよ、後背位でセリアを貫く格好になる。

 ヤンもそれに倣う。

 

「……ま、待ってください……。お願いです。これ以上、続けるのは……。少しだけ休ませてもらうわけには……」

 

 そのとき、セリアが顔を寝台のマットに押しつけるようにしながら、弱々しい声で言う。

 

「だめだよ。早く終わりたければ、仲良く気をやるんだね。そのうえで、僕たちが三回、セリアとレイシアに注いだら、今夜は休ませてあげる」

 

「ああ、無理です……。こ、これ以上、やると……息が止まってしまいます……」

 

 セリアがうわごとのように言う。

 

「ああ、可哀想だね、セリア。でも心配ないんだ。このサロンには息が止まっても、すぐなら蘇生できる。試しに、限界まで試すといいよ」

 

 カイネウスが酷薄に告げた。

 すると、ヤンの前でお尻をこっちに向けて蹲っていたレイシアががばりと顔だけをあげた。

 

「なにを言う──。それなら、わたしが六回相手をする──。それならいいだろう──。セリア様は今夜は開放してくれ──」

 

 レイシアが叫んだ。

 

「ひぎいいいっ──」

 

 しかし、次の瞬間だった。

 突然に、向こう側のセリアがけたたましい悲鳴をあげて、うつ伏せの身体を突っ張らせた。なにが起きているのかわからなかったが、どうやら、カイネウスがセリアの股間に繋がっている細い糸のようなものを思い切り引っ張っているようだ。

 ヤンは驚いた。

 そして、ふと、レイシアの脚のあいだに顔を入れて覗き込んだ。

 気がつかなかったが、レイシアの股間──おそらく、クリトリスに金属の輪があり、それに糸が繋がっている。多分、セリアも同じようになっていて、カイネウスはそれを引っ張っているのではないかと思った。

 

「んぐううう」

 

 セリアが悶絶するような悲鳴をあげ続けている。

 

「や、やめてくれ──セリア様には手を出さないで──」

 

 レイシアが泣くような声で叫んだ。

 すると、カイネウスが糸から手を離す。

 セリアががっくりと脱力する。

 

「君には失望するしかないね、レイシア。君が逆らえば、セリアが苦しむ。何度繰り返しても、同じ失敗をするのは、君がセリアを苦しめたいとしか思えないよ」

 

「ああ、申し訳……。セリア様、申し訳ありません……」

 

 レイシアが悲痛そうな口調で言う。

 なるほど、そうやって、レイシアを素直に従わせているのだと納得できた。

 

「……そういうことなんですね……。だったら、レイシア、目の前のセリア様とぴたりと絶頂を一致させるんだぜ。お前が失敗すれば、セリア様が折檻だ」

 

 ヤンは笑った。

 

「そういうことだね。じゃあ、セリアもいくよ、君が失敗すれば、レイシアを酷い目に合わせる。折檻の方法はいくらでもあるんだ」

 

 カイネウスがセリアの腰を両手で支えると、ぐいと腰を突き出した。セリアが「ああっ」と背中を反らせて、喘ぎ声をあげる。

 

「よし、俺たちも行くか」

 

 ヤンもまた、姿勢を整えながら腰を前に出すと、レイシアのお尻の下に怒張を滑らせ、勃起した男根をレイシアの中に貫かせた。

 律動を開始する。

 

「あっ、あぁ……ああっ」

「くっ、んんっ、んああ……」

 

 レイシアもセリアも、苦しそうではあるが、たちまちに甘い声を口から迸らせ始めた。

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