サロン・セルパンタンの五百日の調教記録──亡国の花と蛇の館 作:ドン・ドナシアン
「両性具有って、知ってるよね、カイ」
エリナが、愛らしさの奥に企みを忍ばせたような笑みを浮かべた。
また、おかしなことを考えついたのだろう。
「もちろん知っているよ。男と女、両方の性器を備えた者のことだろう」
「そう、それ。いまの実験で快感を極めるのに合わせて母乳を噴き出す改良には成功したでしょう?」
エリナは嬉しそうに頷きながら、座椅子へ固定された令嬢たちを振り返る。
二人とも力なく背もたれへ身体を預け、肩を大きく上下させていた。
周囲の令嬢たちは、唯一両手を拘束されていない令嬢を中心に採取した容器を試験台へ並べたり、散らばった母乳を掃除したりしている。両手を後手に拘束されている二人は、舌で舐めとっている。そう躾けられたのだろう。
「ああ、見事なものだったね」
「だから、次はもっと別のものを作れると思うの」
「別のものって、いまあなたが口走った両性具有のことですか?」
オクタヴィアが少し警戒するような口調で訊ねた。
「今度は、ペニスで射精するように改良するわ」
エリナは何気ない口調で答えた。
「はあ」
オクタヴィアが黙り込む。
「だが、女にペニスはねえだろ。少なくとも、そんなおかしな一般囚は、ここにはいねえぞ」
ダンが言った。
「だから、作るのよ」
「簡単に言うなあ……」
ダンは呆れている。
「別に、大人の男と同じものを作る必要はないわ。魔核で身体の形を少しずつ変えて、魔道具で成長を補助すれば、子供のものくらいの大きさにはできると思う」
エリナは、実験台側に集まっている五人の令嬢に視線を向けながら言った。
五人とも、顔に怯えの色がある。
「具体的には、どうするのかしら?」
ローランが口を挟んできた。
明らかに面白がっている様子だ。
「クリトリスを使うわ。媚薬と刺激で勃起させてから、魔針と糸吊りを併用しながら肥大化させる。肥大化の促進には魔核を使いながら、射精のための射精管と射精口も整形してしまうわ。陰核の根元にもそのための魔核を埋めようと思うの」
「随分と本格的だね。もしかして、前から考えていた?」
カイネウスは、生き生きと施術法を語り始めたエリナに微笑を向けながら訊ねた。
「当然よ。思いつきじゃないわよ。乳腺改良だって、そのための準備段階のようなものよ。乳腺を人工的に活性化させられるなら、それを応用すれば、女の股間に射精管を作るのは難しくはないわ。ちゃんと実現する見込みがあるのよ」
エリナは目を輝かせる。
「それで、その人工ペニスは、見た目が似ていて射精できるだけ?」
カイネウスはさらに訊ねた。
「まさか。それだけなら、疑似男根化の魔道具を取りつければ済むでしょう」
エリナは即座に答えた。
「……疑似男根化の魔道具って、そんなのがあるの……?」
ローランが独り言のように呟く。
しかし、エリナは聞こえていなかったのか、それには反応しない。眼を輝かせてカイネウスを見つめるだけだ。
「身体の一部として動かせて刺激にも反応して勃起する。刺激がないときには、少し大きめのクリトリスってところかしら。それで、最後には男と同じように大きくなって、射精まで起こせるようにするのよ。さっきの実験が成功したんだから、仕組みを組み替えればできるわ。難しくないの」
「あら、愉しそうね」
ローランが声を弾ませた。
「なるほど。完成したら、隷奴同士で交尾ができるな」
ダンが考え込むように腕を組む。
「交尾? 性行為させるの?」
エリナがダンに顔を向けた。
「させないのか? なら、なんのために、そんな改造するんだよ」
「面白いからよ。まあ、でも、それならもう少し考えないとね」
エリナが腕組みをした。
「面白いからって……。結局、それが動機かよ」
ダンが呆れたように、わざとらしく両手を軽く上にあげる。
「……だったら、陰核と同じ感度のままではだめね。触れただけで反応していたら、まともに使えないもの……。男性器が実際にどの程度の刺激で反応するのか、調べる必要があるわ……。ああ、でも、男性のデータがないのよね。どのくらいの感度にすればいいんだろう。鈍感にしすぎると、感じなくなるし勃起すらしないかも……」
エリナがぶつぶつと呟き始めた。
カイネウスはくすりと笑った。
思念に入ると、周りが見えなくなる。エリナの悪い癖だった。
「ちょうどいい被検体があるよ。このローランに数日預けるつもりだけど、データ取りだけなら利用するといい。少ししたら、二階の特別囚区域にあげると思うけど、おかしな改造をしないなら、使ってもいいよ」
カイネウスは言った。
「ああ、あの坊やね──。そういえば、いたわね。あんたが担当するの?」
エリナがローランに視線を向ける。
「やっと、あたしも一般囚の世話の補佐じゃなくて、専属任務よ」
ローランが嬉しそうに言った。
「こっちがひと段落したら行く。数字をとらせて」
「いいけど、肉体改造はだめよ。魔核もしばらくは打ち込まなくていいわ。しばらくは、素のままで矯正を進めてみたいから」
「もう、魔核は打ち込んでるわよ。魔核は逃亡防止も兼ねてるんだから」
「なら、余計な機能はさせないままにしておいて。矯正計画は本人を見極めてから出すわ。あんたが手を出すのはそれからにして」
「了解よ。男性器の感度を調べるためのデータ収集にも協力してね」
エリナがローランに向かって大きく頷いた。
「結局、許可なさるのですね」
オクタヴィアは深く嘆息しながら、カイネウスに視線を向けた。
「まあ、こうなったら、エリナは許可しなくても勝手にやってしまうよ。だったら、許可して統制した方がいい」
カイネウスは笑いながら応じる。
「さすが、カイ。あたしのことがわかっている」
エリナが満面の笑みを浮かべた。
「ただし、今回は先に計画を提出すること。許可はするけど、計画を出してからだ。勝手に始めてはいけないよ」
「ええ……」
「返事は?」
「わかったわよ。先に計画を出せばいいんでしょう。でも、陰核刺激は先に始めていい? 時間もかかるし、通常矯正の一環の範囲でしょ」
「じゃあ、そこまでは許す。でも、魔核を使い始めるのは計画提出以降だ。形式が整っていれば却下しないから」
「はーい」
エリナが渋々という雰囲気で頷く。
「ええ、形式が整っていれば矯正室も了承しますわ。書類の形式が整っていればね」
オクタヴィアが釘を差すように口を挟んだ。
「ふええ、あたし、実際、書類って苦手なのよね……。あっ、そうだ。フローラ、あんた、元は子爵令嬢だったわね。王宮の女文官だったはずじゃない。両性具有の被検体はあんたにするから、あんたが書きなさい。あたしの名前を使ってね」
名を呼ばれたフローラの顔から、さっと血の気が引いた。
両手が反射的に下腹部へ伸び、自分の身体を庇うように強く押さえている。
「わ、わたしが……ですか……」
震える声が漏れた。
「そうよ。元女文官なら、計画書くらい書けるでしょう」
エリナは当然のように答えた。
「でも、わたしは……その……」
「心配しなくても、書式はあたしが教えるわ。あんたは、それを矯正室へ提出できる形にまとめればいいの」
エリナはにこやかに言った。
「で、でも……」
フローラの顔色は、ますます青ざめていく。
「ただし、甘っちょろい計画書を書いたら駄目よ」
「……え……」
「自分が嫌だからって、刺激を弱くしたり、期間を短くしたりしてごらん。罰を受けるのは、あんたじゃなくて、そこの四人にするから」
エリナが座椅子の二人と、その傍らにいる二人へ順番に視線を向けた。
四人が一斉に息を呑んだ。
疲れ切っていた顔に、新たな怯えが浮かぶ。
フローラも振り返り、仲間たちの表情を見て言葉を失った。
「そうねえ。魔針を使って、百回連続絶頂なんてどう? 気絶もできないわよ。おしっこどころか、大便まで垂れ流して大変なことになるでしょうね」
「そ、そんな……」
フローラの唇が震えた。
「だから、きちんと書きなさい。あんたの陰核への徹底的な苛め方を考え抜きなさい。あたしが納得できるようなのをね」
エリナは愛らしく笑った。
その笑みを向けられたフローラは、両手で身体を庇ったまま動けなくなっている。
「本人の改造計画を、本人に書かせるのかよ──。俺より冷酷じゃねえか」
ダンが堪え切れなくなったように吹き出した。
ローランも口元を押さえながら笑っている。
カイネウスは、顔を蒼くして震えているフローラに視線を向けた。
「……その代わりに、エリナの肉体改造が終わったら、フローラを含めた五人は、準特別囚として二階にあがってもらおうかな。特別囚たちの世話をする者が必要なんだけど、五人もいればまかなえるだろう」
カイネウスは言った。
フローラたちもそうだけど、周りの者たちも驚いている。
「彼女たちを準特別囚ですか?」
オクタヴィアがカイネウスを見る。
カイネウスは大きく頷く。
「うん、愉快な肉体改造だし、一般囚には勿体ない。二階へあげて、特別囚の世話や高官たちの接待をさせよう。侍女の扱いだけど、入浴設備のある個室も与えるし、食事もいい。ここよりは待遇が跳ねあがる」
「へえ、よかったじゃない。だったら、二階にあがる前に、ほかの者も改造しようかな」
エリナが小さく笑う。
「事前に計画を出すのですよ──。それと、計画書はあなたの名義で提出なさいませ。内容についても、最終的な責任はあなたに取っていただきますわ」
オクタヴィアだけは深い嘆息を漏らし、額へ手を当てた。
「わかってるわよ」
エリナは面倒そうに手を振った。
「それじゃあ、僕たちは行こうか」
カイネウスが言った。
「もうよろしいのですか?」
「ああ。エリナの成果も見られたし、次の構想も聞いた。もう十分だ」
「だったら、ちょうど寮母様が、新入りの処置をしているんですが、そっちも見ていきます?」
「マルティナが?」
カイネウスの顔に、僅かに興味の色が浮かんだ。
「ああ。ぜひ行こう」
「決まりだな。行きましょう」
ダンが部屋の出入口に向かっていき、鉄扉を開く。
カイネウスたちは、エリナと五人の令嬢を残して特別矯正室を出る。
広間では、先ほどと変わらず一般囚たちへの連帯矯正が続けられている。重なり合う呻き声や、男兵たちの罵声を背に、ダンは大広間の奥へ向かって歩き始めた。
「新入りの受入区画は、こっちです」
新入囚受入区画へ通じる回廊は、大広間を挟んで二階へ上がる階段の反対側にあった。
大広間を突き抜けた先に、別の回廊が口を開けていた。
入口には頑丈な鉄格子の扉が設けられていた。
その脇には小さな操作盤が埋め込まれ、魔石が淡い光を放っている。
ダンが操作盤へ手を触れると、低い作動音とともに魔道錠が外れた。
鉄格子を押し開き、カイネウスたちを回廊の奥へ案内する。
「この区画が一般囚の搬入にも使われているの?」
オクタヴィアが、鉄格子をくぐりながら訊ねた。
「ああ。そうだ。新入りは全員、本館の裏口にある搬入用の魔道室から、ここの収容準備室へ魔道転送される」
ダンが答えた。
「魔道転送?」
「一階の業務区域や、地下の勤務員区域は通らせねえ。どこから地下へ入ったのかもわからないようにするためだ。見えている階段は、二階の特別囚区域に辿り着くだけ。そこに出口はねえ」
「つまり、一般囚は館外へ続く出入口そのものを知らないということね」
「そういうことだ、主任矯正官殿」
ダンは肩越しに振り返って笑った。
「なるほど」
オクタヴィアが小さく頷いた。
着任してまだ日が浅い彼女には、この地下階で実際に行われている細かな運用までは、把握し切れていなかったようだ。
回廊を進むにつれて、大広間の騒がしさが遠ざかっていく。
左右には幾つもの扉が並んでいた。収容準備室、一時収容室、登録室、洗浄室と、それぞれ用途を記した小さな札が掲げられている。
何人かの男兵が、洗浄用の布や拘束具を抱えて廊下を行き来していた。
カイネウスたちの姿に気づくと、すぐに壁際へ寄り、深く頭を下げる。
「転送された新入りは、ここで洗浄と登録を済ませます。それから身体の状態を調べて、魔核を打ち込み、収容先と最初の矯正内容を決める。寮母様がいるのは、その先の初期処置室ですよ」
ダンが回廊の突き当たりを指した。
そこには、ほかよりも幅の広い木製の扉があった。
扉の上には、黒い札へ白字で『初期処置室』と記されている。
近づくと、室内から穏やかな女の声が聞こえてきた。
幼い子供へ言い聞かせるような、柔らかな口調だった。
その合間に、別の女の掠れた声が混じっている。
なにを答えているのかまでは聞き取れなかったが、ひどく怯えていることだけはわかった。
「よかった。寮母様は、まだ処置の途中みたいですよ」
ダンが扉の前で足を止めた。
「ここでマルティナが直接、初期処置を担当しているのかい?」
カイネウスが訊ねる。
「ええ。最近はずっとそうです。見ていきますよね」
「ああ。ぜひ」
カイネウスの言葉にダンが頷き、初期処置室の扉を開いた。
しかし、その先にあったのは、処置を行う部屋そのものではなかった。
石壁に囲まれた細長い観察場所のような空間であり、正面が一枚の大きな透明壁になっている。
壁際には簡素な長椅子が置かれ、見張り役らしい三人の男兵が思い思いの姿勢で腰を下ろしていた。
ひとりは背もたれへ深く身体を預け、ひとりは脚を伸ばし、残るひとりは椅子ではなく、床に寝そべって完全に居眠りをしている。三人とも上衣を脱いでいた。
扉が開いたことに気づき、ふたりが一斉に顔を向けた。
先頭のダンに続いてカイネウスが入ってきた途端、男兵たちが慌てて立ちあがる。横になっていたひとりも蹴り起こされている。
「閣下──」
「お館様──」
三人は姿勢を正し、揃って敬礼した。
「そう慌てなくていいよ」
カイネウスは苦笑しながら、その敬礼を受ける。
正面の透明壁の向こうには、さらに広い部屋があった。
こちら側の声や姿には気づいていないらしく、室内にいる者たちは誰ひとりとして振り返らない。
部屋の中央には、大きな処置椅子が三脚並んでいた。
背もたれは斜めに倒され、座面の左右から脚を支えるための脚台が伸びている。
それぞれの椅子には、若い娘がひとりずつ固定されている。
両腕は左右の手摺りへ括りつけられ、両脚は膝を曲げたまま脚台へ載せられていた。
三人とも、平民の娘が着るような簡素な服をまとっているが、衣服は胸元から裾まで縦に切り開かれ、下着も取り除かれていた。
露わになった肌は白く、長い髪もしっかりと手入れされている。平民の娘たちには見えなかった。市井へ身を隠していた貴族の娘たちなのかもしれない。
王都周辺では近頃、逃亡した旧王国の貴族や、その家族を探し出す動きが強まっている。サロンへ送る娘を確保するため、若い貴族令嬢を積極的に捜索している部隊もあった。
三人の処置椅子を囲むように、五人の若い女たちがいた。この五人全員が衣服を身につけておらず、そのうち三人は腰に革紐によって固定式の張形を装着していた。
一番右端の椅子では、娘が小さく泣き続けている。娘の開かされた脚の間には、僅かな血が残っていた。その隣に座る令嬢が肩を抱き、髪を撫でながら、耳元へ穏やかに語りかけている。
慰めている令嬢も、腰に固定式の張形をつけていて、そこにはねらねらと光る分泌液とともに、細い赤い痕が残っている。
「もう終わったからね。怖いことは済んだわ。ゆっくり息をして。すぐに痛みも落ち着くから」
泣いている娘は答えず、何度も小さく頷いていた。
残る二脚のそばにも、それぞれ装具をつけた女が立っている。
「大丈夫よ。わたしたちも同じだったの。媚薬を塗るから、効いてきたら始めましょうね」
「痛いのは最初だけだから……。力を入れると苦しくなるわ。わたしの声だけを聞いてね」
優しく諭すような声が、透明壁を越えて観察室まで届いていた。
中央の娘には、装具をつけていない二人も寄り添っていた。
ひとりは娘の手を握り、怯えを和らげるように肩や胸元へ口づけを重ねている。もうひとりは小さな容器から香油を指先へ取り、陰部にそれを塗布する準備を進めていた。
「怖がらないでね……。みんな同じだったのよ」
「大変だけど、ここには仲間もいるわ。一緒に頑張りましょう」
言葉だけを聞けば、傷ついた者を慰めているようだった。
だが、二人に身体を刺激されるにつれ、中央の娘のすすり泣きには次第に甘い声が混じり始める。呼吸も荒くなり、身体は意思に反して小さく震えていた。
どんなに優しい言葉をかけられても、羞恥の体勢で身動きできなくされていることには変わりない。
「なんなのよ、この壁?」
ローランが驚いたように正面へ近づいた。
手のひらを透明な面へ触れさせる。こちらには向こうの姿も見え、声も聞こえている。それなのに、向こう側の者たちは誰一人としてこちらへ気づいてなかった。
「魔道壁だそうです」
三人の男兵のひとりが答えた。
「魔道壁って、なによ?」
ローランがその男兵に顔を向けた。
「寮母様が作ったものでしてね。俺たちは、気が散るからここで見張っていろと言われています。こっちからは姿も見えるし、声も聞こえる。けど、向こうから見れば、ただの石壁なんだそうです。それで十分だろうって……」
「……まあ、仕組みはいいとして、勤務中にぶったるんでいたのは駄目だ。お前ら、今日は全員夕食抜きな」
ダンが男兵たちへ眼を向けた。
「うへえ……」
「すんません、兵長」
「申し訳ありません」
三人が顔をしかめながらも、姿勢を正した。
そのとき、透明壁の向こうで、少し離れた場所に座っていた年配の女が片手を上げた。
長い黒髪をひとつにまとめ、ゆったりと椅子へ腰掛けている。
マルティナだった。
市井の魔道遣いであり、かつて瀕死だった少年時代のカイネウスを救い、その後も長く世話をしてくれた恩人だった。
カイネウスがサロンを開くと、弟子のエリナとともに移り住み、いまでは勤務員と囚人の生活全般を取り仕切る寮母を務めている。
その彼女が、こちら側のカイネウスへ向かって、小さく手を振った。
「向こうからは、見えないし聞こえないんじゃなかったのかい?」
カイネウスは笑った。
「寮母様は、なんでもありですからな」
ダンが肩を竦める。
その直後だ──。
向こう側から、ひと際大きな嬌声が響いた。
真ん中の娘についていた令嬢のひとりが、処置椅子に拘束されている娘の股間に顔を密着するようにして、陰部を舐め始めたようだ。
処置椅子に拘束されている娘が身体を弓なりにさせて、全身を強張らせている。
周囲の残りの令嬢たちもまた、指や舌で娘に愛撫をしながら、それでも穏やかな声をかけ続けていた。
「ねえ、さっきから、向こうで、なにをしているの?」
オクタヴィアが眉を寄せて訊ねる。
「ああ、初期処置だ」
ダンは、なんでもないことのように答えた。
「初期処置って?」
オクタヴィアがダンを見る。
「初めてここへ送られてきた娘のうち、まだ生娘の者を、ここで破瓜させてるんだ」
ダンが事も無げに言った。