サロン・セルパンタンの五百日の調教記録──亡国の花と蛇の館 作:ドン・ドナシアン
「ちょっと姿勢を変えようか」
お尻の穴にはいっていた指が一度抜かれて、女兵たちが、左右の金属柱の上部に一本の横棒を渡して固定した。
がちゃん、と重い金属音が響く。
なにをするつもりなのかと顔を上げると、別の女兵がレイシアのクリトリスに繋がっている鎖を持ちあげ、その横棒に取り付けられた金具へ繋いだ。
じゃらじゃらと鎖が引かれていく。
「なにを……」
レイシアは思わず声を漏らした。
また、クリトリスを引っ張られてなぶられる──。背中にどっと冷たいものが流れたが、ある程度の緩みがある状態で固定された。
とりあえず、ほっとする。
しかし、それだけでは終わらなかった。
左右から別の女兵が近づき、金属柱に取り付けられている手首の枷を操作する。
かちりと、レイシアの手首に嵌まっている枷はそのままに、ポール側についている留め具だけが緩んだ。
両手首を固定していた枷が、柱に沿ってゆっくりと下げられていく。
「待て。いったい、なにをするつもりだ」
答えはなかった。
腕が引かれて、肩がさがっていく。
レイシアは両膝を曲げながら、床に向かって身体を落としていくしかなかった。
だが、さっき上部の横棒に繋げられた股間の鎖が張り、それ以上腰がさげられなくなる。
「こんなものだね。どうぞお尻をなぶってくださいって格好だ」
両手首の枷が膝に近い位置で固定された。
レイシアは中腰のまま、上体を起こした格好になった。しかし、しゃがみ込むこともできない。股間の鎖はもうしっかりと張っている。
しかし、上体を伸ばすこともできない。今度は低い位置に固定された両腕がそれを許さない。
脚を開いた中腰で腰を後ろへ突き出し、上体は股間から上へ張られた鎖に阻まれて、大きく前へ倒れることもできない格好だ。
すると、横からリネアの泣き声が聞こえた。リネアもまたレイシアと同じ格好にさせられていた。さすがに、股間に鎖は繋げられていないが、その代わりに首環に新しい鎖を頭上から繋げて、頭を落とせないようにされている。
「前からだけでは寂しいのう。尻穴もよく映るように映録球を設置せよ」
元帥の命令が部屋に響く。
アルジェがすぐに女兵たちへ指示を出した。
運び込まれた三脚がレイシアとリネアの後方にそれぞれ置かれ、その上に新たな映録球が据えられていく。
「しっかりと泣きな」
女兵が改めて、レイシアの尻穴に指を挿入してきた。
掻痒剤が潤滑油となり、抵抗なく指が喰い込んでくる。左右へ押し拡げるように指が動き、粘膜をまさぐりながら、粘り気のあるものが塗り広げられていくのがわかる。
「あっ……いや……あ、あ……」
喰いしばった口から呻きが漏れ出てくる。
油剤を塗り足しながら、尻穴を丁寧に揉みあげてくる手管は、貴重なものに触れるような優しさと念入りさが感じられた。
早くも全身に汗がにじみ出てきて、妖しい疼きが広がっていくのがわかる。
口惜しいが、レイシアの身体は女兵による肛門のいたぶりを快感として受け入れてしまっている。
「魔核による制御もあるけど、いつの間にか、しっかりとアナルも感じる穴になっているじゃないかい。これなら、初めてのアナルセックスも苦痛ばかりじゃないさ」
女兵は揶揄するように、指を動かしながらせせら笑う。
「あ、ああ……」
必死にすぼめている肛門が解され、次第に緩んでいく。その感覚が、自分の身体が淫らなものへと置き換わっていく証拠のように思えてしまう。苦痛のようなものはほとんどない。それよりも、淫らな反応をしてしまわないようにするのに必死だった。
いつの間に、こんなに浅ましい身体になってしまったのだろう。
それが口惜しい──。
横からリネアの喘ぐ声が聞こえてくる。
姉妹揃って尻穴をなぶられているのだと思うと、その汚辱感と屈辱感に心臓が締めつけられるようだった。しかし、それとは別に、はっきりとした快美感が込みあがり、反撥の力がすっとレイシアから抜けていくようだった。
いつの間にか、嫌悪感を押し退けるように、五体が崩れていくような感覚がレイシアを支配している。
「うくっ……うう……あ、ああ……」
「ふふ、さすが姉妹だねえ。悶え方も似てるよ。妹の準備はどうだい?」
「いい感じなんじゃないかい。そろそろ、浣腸といこうか」
女兵ふたりが声を掛け合うのが聞こえた。
そして、やっと執拗に尻穴をまさぐっていた指が抜けていく。
「ああ……」
もうすでに、レイシアは精根尽きたような心地だった。
全身に脱力感が襲いかかる。
しかし、それも束の間だ。指でまさぐられる刺激が消失したと同時に、塗り薬の効果が堪らない痒みとなって襲いかかってきたのだ。
「あ、ああ、痒い──」
横のリネアが悲痛な声をあげた。
「あ、ああ──」
レイシアも悲鳴をあげてしまった。
耐えきれない痒みが一気に込みあがる。
「ああ、畜生──」
レイシアは悶え泣いた。
だが、クリトリスに繋がれている鎖を身体の前で張られている。それが身動きを許さず、余計に痒みがレイシアを苛む。
「ああ、痒いよ、お姉ちゃん──ああっ」
「リ、リネア、しっかりして──」
声を掛けるが、レイシアも追い詰められている。もうどうしていいかわからない。
「そんなに尻を振るんじゃないよ……」
「まあ、このまま放って置けば、なんでも受け入れそうだけど、今日は浣腸責めだ。準備ができたぞ」
女兵たちが後ろで笑った。
そして、レイシアたちの前に、いつの間にか準備していたものを見せる。
レイシアは眉をひそめた。
大きな注射器を思わせる奇妙な器具だった。
胴は透明な筒になっていて、両端を鈍い金色の金属枠が囲んでいる。筒の側面には細かな目盛りが刻まれ、その中央には獅子を象った紋章まで飾られていた。後端からは長い押し棒が伸び、先端には銀色に光る細い管が取り付けられている。
すでに、透明の液剤が注入されていた。
「……な、なんだよ、それは……」
レイシアは器具から目を離せないまま、警戒するように訊いた。
リネアも「痒い、痒い」と呻きながら顔の前に持ってこられた道具を怪訝そうに見ている。
「これが浣腸具だ。いま注入してやるよ」
女兵たちが再び後ろに回っていく。
少し前まで、女兵の指が入っていた場所に、ひんやりとした細長い感触のものが突き刺さる。
ちゅるる──ちゅるると音を立てるように薬液がレイシアのお尻の中に注がれていく。
「あっ、ああっ、くっ……」
「いやあ、ああ、お姉ちゃん──」
思わず迸った悲鳴に、リネアの声が重なる。
「大袈裟に騒ぐんじゃないよ、リネア。お姉ちゃんは、あんたの倍も排泄液を入れられるんだ。まあ、その代わり、ゆっくりと入れて、お姉さんと同じくらいに入れ終わるようにしてやるからね」
リネアについている女兵がそう言っているのが聞こえた。
かっと頭に血が昇る。
「くっ、くそお──。リネアをいたぶるのはやめろ──。わたしに全部すればいいだろう──」
レイシアは叫んだ。
「ははは、お前は自分のことだけ心配してな」
レイシアについている女兵が浣腸具を操作しながら笑う。
そのあいだにも、猛烈な勢いで薬液が荒々しいまでに体内に入ってくる。尻の奥から腸の中が薬液の水流でかき混ぜられるかのようだった。
「ああ、お姉ちゃん……入ってくるよ……どうしよう……どうしよう……ああっ」
リネアは号泣している。
「リネア──。ああ、もうリネアは許してやってくれ──。頼む。その分をわたしにしてくれ──」
レイシアは絶叫した。
「なんだい。やっぱり一回じゃ足りないのかよ。じゃあ、遠慮することはないさ。レイシアが満足するまで、排泄液を追加してやりな」
横で腕組みをして見守っていたアルジェが笑った。
「わかった。いくらでもしていい。その代わりに、リネアにはもうやめてくれ」
レイシアは夢中で哀願した。
いくらでも、浣腸液を受け入れる──。それがどんなに怖ろしいことかはわかっている。しかし、いまは泣きじゃくっているリネアのことしか頭にない。
「いい根性ではないか。では、いまの排泄液を全部入れたら、さらに倍を入れてやるがよい。その代わり、妹はそれで勘弁してやれ。残っているものもレイシアに注げ」
すると元帥が声を掛けた。
「ふふ、そうね……。でもその代わりに、終わる前にレイシアが音をあげたら、妹にも再注入よ」
イレーヌがすかさず付け加える。
「じゃあ、これで一本目は終わりね」
レイシアについている女兵が一気に押し切るように、排泄液を注ぎ込んだ。
「ひいっ」
レイシアは身体を仰け反らせた。
だが、尻穴から嘴管が抜けていくと、すぐさまリネアに注がれている途中だった浣腸具がレイシアの尻穴に挿され、残っていた薬液を注入されてしまう。
「さて、じゃあ、レイシアの二本目が終わるまで、リネアは休憩だよ。それまで遊んでやりな」
アルジェが声を掛けた。
男たちの歓声があがり、リネアがけたたましい悲鳴をあげた。
驚いてリネアに視線を向けると、さっきまでリネアに排泄液を注いでいた女兵が、今度は絵筆に持ち替えて、リネアの尻たぶのあいだをゆっくりと上下に動かしている。
「あっ、あああっ、やめてええっ──」
リネアは必死に腰を動かして泣き喚いている。
「な、なにをしている──。やめてやってくれ──」
レイシアは叫んだ。
「やかましい──。このサロンでは、ただの排泄でも食事でも、常に快感と組み合わせなんだよ。ただ待つだけで終わるわけないだろう。妹を助けたければ、早く二本目を終わらせるんだね」
アルジェが吐き捨てた。
「ああ、だったら、早く二本目を注入してくれ──。頼む──」
レイシアは声をあげる。
「待ちなって。いま準備してるから」
しかし、後ろからはのんびりとした女兵の言葉が戻ってくるだけだ。浣腸具に改めて液剤を注入している気配はしているが、急いでいる雰囲気はない。
そのあいだも、リネアの尻穴への筆責めは続いている。
「ひいっ、ひっ、ひいっ、ああっ、お、お姉ちゃん──どうしよう──どうしたらいいの──ああっ」
「リネア──」
名前を必死に叫ぶが、レイシアもまた、すでに凄まじいほどの便意に襲われていた。
下腹部に襲いかかる強い便意に吐き気さえ覚える。
「お姉ちゃんが終わるまで、漏らすんじゃないよ……。漏らせば、お姉ちゃんと一緒にアナルセックスだ。ほら、我慢、我慢……」
横では、絵筆を執拗に動かす女兵がリネアを嘲笑っている。
「ああ、無理いいいっ──。厠に──厠に行かせて──、ああああっ」
リネアが悲痛な声をあげた。
横を見ると、リネアの身体が激しく痙攣している。
悲痛な呻きが轟いた。
「は、早く、わたしに、続きをしてくれ。急いで──」
レイシアは叫んだ。
「待ちなよ。まだ準備中だ」
女兵が後ろでのんびりと応じる。もう動いている気配はない。
「うるさい。お前ら、ただ待っているだけじゃないか。ささっとやれ──」
横ではリネアが苦悶の喘ぎ声を続けている。すでに便意も限界に違いない。
「なら、しばらくレイシアも筆でくすぐってやるよ。それで頭を冷やしな」
アルジェが笑った。
すると、レイシアのお尻にも絵筆の刺激が襲い掛かる。
「ひいいっ」
便意はレイシアにも襲い掛かっている。
いまにも暴発しそうな肛門をくすぐられて、レイシアは頭がおかしくなりそうだった。
「やめろお──」
「いやああっ」
しばらくのあいだ、レイシアとリネアの筆なぶりが続いた。
レイシアの全身は汗まみれになり、身体の震えは止まらなくなっていた。
とにかく、ひたすら肛門を締め続ける。
それしか考えられない。
すると、リネアの悲鳴がいよいよ切羽詰まったものになる。
「ああ、リネア」
レイシアは、必死で名前を呼ぶ。
「……リネアに木桶をあてがってやりな」
アルジェの冷淡な指示が跳ぶ。
絵筆が取り除かれて、リネアの足のあいだにあった木桶が彼女のお尻に添えられるのがわかった。
リネアの号泣と排泄音が部屋に響き渡り、男たちの歓声があがる。
ああ、リネア……。
もう、レイシアには、リネアにどう言葉をかけていいかもわからない。
「やっと、二本目の準備ができたよ。始めようか」
すると、レイシアの後ろの女兵が声をかけてきた。
嘴管が差し込まれて、再び排泄液が注がれていく。
「ううう……は、早く……」
レイシアは呻いた。
もう限界だった。
腹部がぐるぐると鳴る。もう少しも腰をじっとしていられない。
いまにも迸りそうな便意をレイシアは必死に耐える。
「ま、まだなの……かい……」
「あと少しだ……。頑張りな」
「う、うう……も、もう……無理よ……」
「だが、大した尻だよ。本当に二本目も終わるとは思えなかったよ……。さあ、終わりだ……」
浣腸具が抜かれる。
だが、それが限界だった。
もう耐えられない。
「へへ、まだだよ。二度目の絵筆の洗礼が終わってない。終わるまで出すんじゃないよ」
女兵が笑う。
すっと、筆が肛門を襲った。
「ひいいいっ、だめえええ」
レイシアは身体を弓なりにして絶叫した。
二度目の浣腸を受けた後での、絵筆責めに、耐えるのは不可能だった。
必死にすぼめていた肛門の力が抜け、勢いよく内側から外に向かって激流が迸る。
「おっ、始めたね」
女兵がさっと遠ざかるとともに、足のあいだの王国旗に汚物が注がれていくのがわかった。
【作者より】
「浣腸」のリクエストにより構成しました。
責め苦のリクエストがあれば、感想欄からお寄せください。必ず採用できるとはお約束できませんが、検討いたします。