※この作品はR-18です。

サロン・セルパンタンの五百日の調教記録──亡国の花と蛇の館   作:ドン・ドナシアン

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090 〈拡張栓〉と〈探針棒〉【第31日】

 女兵たちの手によって、後始末が終わった。

 汚れていた身体も念入りに拭われ、床もすっかり片付けられている。

 

 しかし、それで解放されたわけではない。

 レイシアとリネアは、頭のない鞍馬の上へ上半身を倒すような格好にさせられていた。

 胴を鞍馬へ預け、四肢を鞍馬の脚に伸ばされ、それぞれ鞍馬の四本の脚に革帯で固定されている。身体を起こそうとしてみても、四肢を引かれているため、ほとんど身動きはできなかった。

 上半身には、朝から着せられている騎士の白い礼服がそのまま残されている。だが、腰にはなにも身につけていない。ただ膝から下には白い礼装用の革靴を履かせられている。

 

「ああ、痒い……痒い……」

 

 横ではリネアがしくしくと泣いている。

 レイシアは顔だけをわずかに横へ向けた。

 少し離れた正面側には、同じように体勢を変えられたリネアがいる。浣腸の前に大量に塗られた掻痒剤は、排便でかなりうすれたとはいえ、いまだにかなりの猛威をレイシアに与え続けている。

 リネアも同じなのだろう。

 すすり泣きとともに「痒い、痒い」と呻きながら、拘束されている裸身を震わせている。

 

「リネア、しっかりして──」

 

 レイシアも尻穴の痒みに狂乱しそうになりながらも、リネアに声を掛ける。しかし、それ以上の言葉は思い浮かばない。

 そして、自分たちの背後では、バルザック元帥をはじめとする一行が、いまはレイシアたちの尻側を見るようにソファに腰を下ろしている。さらに、その後ろには男兵たちまで集まり、これから始まるものを見物しようとするように人垣を作っていた。

 

「ふふ、妹は、潤滑油代わりに使った掻痒剤がまだ効いているようだね。お姉ちゃんはどうなんだい?」

 

 アルジェたち女兵は、レイシアたちの顔側に集まっている。目の前には台車があり、そこに責め具らしきものがたくさん載せられているのも見える。

 

「うるさいよ──。リネアはもういいだろう。わたしが全員の相手をするといっているじゃないかい──。さっさと解放してやっておくれよ──」

 

「なに言ってんだよ。結局、リネアは呆気なく排便しちまったし、お前も最後までもたなかっただろう。約束通りだ。二人で五人ずつのアナルセックスをしてもらうさ」

 

 アルジェがせせら笑う。

 

「あ、あんなの我慢できるわけないだろう──。卑怯だぞ、お前ら」

 

 レイシアは声を張りあげた。

 気丈に振る舞っているのは、リネアを守りたいという思いからだけではない。尻の奥に残る狂おしい痒みに耐えるためにも、声を張りあげていなければならなかった。怒鳴っていなければ、この痒みに負けて、いっそのこと尻を犯して痒みを癒やして欲しいと哀願しそうだった。

 

「それよりも、さっきの質問に答えな。まだ痒いかと訊ねてるだろうが」

 

 アルジェが台車から絵筆を手に取ると、レイシアの後ろに回って、尻穴を筆先でくすぐり始める。

 

「ひいいっ──」

 

 レイシアは脂汗を滲ませたうなじを大きくのけ反らせて、堪らない焦れったさに昂ぶった声を張りあげた。

 

「痒いのかって、訊いているだろう。ほら、ほら、答えるんだよ」

 

 アルジェが笑いながら、尻穴の表面を筆で撫で続ける。

 

「あっ、ああ──やめておくれよ──。痒い──痒いに決まっているだろう──」

 

 レイシアは思わず上ずった声で張り上げてしまった。

 

「ははは、最初から素直に言いな」

 

 アルジェが筆を離す。

 レイシアは、それだけで全身が脱力したような疲労感を覚えた。

 

「さて、じゃあ、レイシアたちの肛姦といきましょうか。元帥閣下はどちらから始めるんです?」

 

 背後からイレーヌの淡々とした声が響いた。

 

「若い者ほど性急でもないからのう。わしはゆっくりでよいぞ。まずは誰ぞ、犯してやれ。何人が終わって解れたところで、わしは味わわせてもらおう」

 

 元帥が静かに言った。

 周りの男衆がわっと歓声をあげた。

 リネアの悲鳴がそれに混ざる。

 

「お待ちください、閣下」

 

 すると、これまで見守っている感じだったカイネウスが声を掛けたのが聞こえた。それだけでなく、立ちあがってこっちに近づいてくる気配もした。

 

「どうかしたか、将軍?」

 

 元帥が声を掛ける。

 

「アナルの快感は、少しずつ教え込んでいますが、いきなり犯しては毀してしまいかねません。解すということであれば、サロン流でやりましょう。彼女たちも、サロンの大切な商品ですから」

 

「サロン流か?」

 

「その通りです……。アルジェ、ちょっとこっちへ」

 

 カイネウスがアルジェたちに歩み寄りながら呼ぶ。

 アルジェがそばに寄ると、カイネウスは、レイシアの前で、アルジェの耳元へ顔を寄せて、なにかを小声で囁いた。

 

「……わかりました……」

 

 アルジェはにやりと笑い、すぐに女兵たちを呼んで小さくなにかを指示した。

 

「……ほら、準備するよ。急ぎな」

 

 それまでレイシアたちの周囲にいた女兵たちが、慌ただしく動き始める。

 何人かは台車へ駆け寄り、積まれている器具を次々と手に取っていく。別の者たちは、レイシアとリネアが固定されている鞍馬の周囲へ回り込み、金具を取り付け始めた。

 がちゃり、がちゃり、と金属音が続く。

 ひとりの女兵は、そのまま部屋の外へ駆けていった。

 

「な、なんだよ……」

 

 レイシアは眉を寄せた。

 なにを始めるつもりなのか。

 腕も脚も固定されたままでは、自分の周囲でなにが行われているのか確認することもできない。

 

 そのうち、一度外に出ていった女兵も戻ってきた。新たに加わった女兵数名と一緒だ。木箱を抱えていて、台車の横に置かれた。その箱から取り出したものを、顔のすぐ前に金具で取り付けられていく。

 取り付けられたのは、鞍馬に固定された細い支柱と、その先端の握りこぶしほどの小さな球体だった。

 黒っぽい、光沢のある球である。

 真正面に据えられたそれは、まるでレイシアの顔を覗き込んでいるように見える。

 

「なんだい、これ……?」

 

 答える者はいない。

 背後でも同じような作業が続いているらしく、金具を締めつける音が聞こえてくる。

 さらに別の女兵が、レイシアの額へ細い帯を巻きつけた。

 

「ちょっと、なにするんだよ」

 

 額の中央には、小さな金属片のようなものが当たっている。

 帯は頭の後ろで締められ、ずれないようにきつく固定された。

 横を見ると、リネアにも同じものが取り付けられている。

 

「お姉ちゃん……」

 

「大丈夫だよ。わたしがいるから」

 

 そう答えながらも、レイシア自身にはまったく大丈夫という気はしない。今度は、どんな得体の知れないことを考えているのか……。

 準備を終えたのか、女兵たちが離れていく。

 その直後だった。

 レイシアたちが向いている正面に、突然、白い煙が湧きあがった。

 

「なっ……」

 

 床から立ち昇った煙は、その場に留まりながら横へ広がっていく。

 風もないのに散ることもなく、やがて巨大な白い壁のような形になった。

 

「あっ」

 

 レイシアは声を漏らした。

 背後でも、男たちのどよめきが起きる。

 白い煙の壁に、突然、映像が浮かびあがった。

 レイシアとリネアの顔だった。

 二人の顔が、本人よりもはるかに大きく映し出されている。

 

「うわっ、これって……」

 

 レイシアは目の前の球体を見る。

 おそらく、これだ。

 この小さな球が自分たちの顔を映し、それを正面の煙へ投影しているらしい。

 

 それはともかく、なんという表情をしているのだろう。

 額に黒い帯を巻かれて、汗に濡れた額──。

 赤く火照った頬──。

 必死に耐えようとしているようで、それだけでは説明できないほどに、淫らなものが浮かんでいる表情──。

 

「や、やめろっ」

 

 あまりにも無防備な自分の表情を見せつけられ、レイシアは思わず顔を横へ背けた。

 

「あがああっ──」

 

 その瞬間、リネアが悲鳴をあげた。

 

「えっ、リネア──?」

 

 レイシアは驚いて横を見る。

 しかし、その直後だった。

 額に巻かれた帯の金属部分から、鋭い衝撃が走った。

 

「んぐうっ──」

 

 頭を内側から締めつけられるような痛みに、レイシアは歯を食いしばった。

 身体を捩ろうとしても、四肢は鞍馬へ固定されたままだ。

 

「顔を背けたり、目を閉じたままにしたりすると、隣に電撃が流れるようにしてある。自分ではなく、隣にね……」

 

 カイネウスの声が聞こえた。

 楽しそうというよりも、仕掛けを説明しているだけの落ち着いた声だった。

 

「……相手を苦しめたくなければ、しっかり前を見ていることだ」

 

「そ、そんな……」

 

 レイシアは慌てて正面へ顔を戻した。

 横では、リネアも泣きながら顔をあげた気配がする。

 すると、額を締めつけていた痛みが消えた。

 

「そうそう。そのままでいい」

 

 カイネウスが言った。

 すると、白い煙の壁に映っている二人の顔が、ゆっくりと小さくなっていく。

 

「……今度はなんだよ……」

 

 レイシアは嫌な予感を覚えた。

 縮小した二人の顔は、それぞれ煙の壁の左右へ移動していく。

 そして、その横に、それぞれ新しい映像が浮かびあがった。

 

 肌色の面が大きく映っている。

 その中央に、花の蕾のようにも見えるものがある。

 

「あっ……なんだ?」

 

 最初の一瞬、レイシアにはそれがなんなのか分からなかった。

 しかし、すぐに気づいた。

 

「ひっ……」

 

 隣から、リネアの引きつった声が聞こえた。

 レイシアも息を呑む。

 そこに映っていたのは、自分たちの肛門を映録球が捉えた拡大映像だった。

 

「うわっ」

 

 巨大な自分の尻の穴の映像を見せられ、レイシアは思わず悲鳴交じりの声をあげてしまった。

 しかし、目を逸らすことは許されない。

 背後から男たちの大歓声が起こった。

 

「これは面白いのう。ここまで拡大して見るのは初めてだぞ」

 

「確かに。こうして見ると、ずいぶん印象が違いますね」

 

 男たちの歓声のなかに、バルザック元帥とイレーヌの声が混じって聞こえた。

 

「くっ……」

 

 レイシアは恥ずかしさのあまり、反射的に顔を伏せそうになった。

 しかし、寸前で思いとどまる。

 自分が目を逸らせば、その苦痛を受けるのはリネアだ。

 さっきの悲鳴が耳に蘇る。

 レイシアは奥歯を噛みしめ、正面の白い煙の壁を睨みつけるしかなかった。

 見たくない。

 それでも見るしかない。

 そんなレイシアの前へ、カイネウスが歩いてきた。

 

「では、始めましょうか」

 

 その手には、見慣れない小さな器具が握られていた。

 掌に収まるほどの長さしかない。

 先端は丸く、そこから中央に向かって緩やかに太くなり、根元には円形の張り出しが設けられている。金属とも陶器とも違う黒灰色の材質でできていて、その表面には髪の毛ほどに細い魔法紋が幾筋も刻まれていた。

 魔法紋は呼吸でもしているように、淡い光をゆっくりと明滅させている。

 

「な、なんだよ、それ……」

 

 形を見ただけで、おおよその用途は想像できた。おそらく、それを尻穴に挿入されるのだろう。

 だが、普通の器具ではないことも分かる。

 

「まずは、皆さんを受け入れられるよう、少しずつ整えていきましょう」

 

 カイネウスは器具を指先で回しながら、その表面をレイシアや元帥たちに見せた。

 

「これは、〈拡張栓〉です。魔核と連動して制御されています。普通なら時間をかけて整えるところですが、これを魔核と併用して使えば、短時間で段階を踏むことができます」

 

「段階って……」

 

 イレーヌの声だ。

 

「そのままの意味ですよ。最初から無理をする必要はありません」

 

 カイネウスが平然とした口調で応じている。

 

「アルジェは、リネアを頼むよ」

 

「わかりました」

 

 アルジェがすぐに返事をして、リネア側に移動していく。

 

「潤滑剤を……」

 

 レイシアの背後でカイネウスが別の女兵に要求した。女兵のひとりがレイシアの前でカイネウスに小瓶を差し出す。

 カイネウスがそれを受け取り、器具の表面へ透明な液体を垂らした。

 黒灰色だった表面が、照明を反射してぬらりと光る。

 横では、リネアの前でアルジェが同じことをしている。

 

「……や、やめろよ」

 

 レイシアは思わず呟いた。

 カイネウスはなにも答えない。その器具を手にしたままレイシアの横を通り過ぎた。

 視界から姿が消える。

 背後へ回ったのだ。

 すぐに、正面の白い煙の壁に変化が起きた。

 

「あっ……」

 

 大きく映し出されている映像の端から、先ほど見せられた器具が現れた。

 実物では掌に収まるほどしかなかったはずなのに、煙の壁では人の腕ほどもある大きさに見える。

 表面の細い魔法紋まで、はっきり確認できた。

 ねらねらと光っているのは、塗られた潤滑剤のためだろう。

 

「……息を吐け。逆らっても苦しいだけだ……」

 

 カイネウスが背後からささやく。

 巨大な映像のなかで、器具の丸い先端がゆっくりと近づいていく。

 レイシアは慌てて、大きく息を吐く。

 

「いまの〈拡張栓〉の形状は、挿入するための最初の段階です。挿入が終われば、形状が変化しますのでご注目ください」

 

 背後からカイネウスの声がした。

 目の前の白い壁には、〈拡張栓〉の先端が当たっているレイシアの肛門の拡大された像が表示されている。よく見えるように、わざわざ映録球の角度も計算されているのだろう。

 先端の細いところが当たり、肛門を押し広げるように、ゆっくりと押し進んでいる。

 

「あっ、ああ……」

 

 思わず声が漏れた。

 得体の知れない感覚がお尻から下腹部に──下腹部から全身に徐々に拡がってくる。

 恥骨も背骨も痺れるような疼きに、レイシアはいつの間にか背中を弓なりにしていた。横ではリネアも声をあげているが、もうレイシアにはそれを省みる余裕もない。

 やがて、〈拡張栓〉の進入が止まった。

 目の前には、根元まで押し込まれて、〈拡張栓〉の径の幅だけ広がっているレイシアの肛門が大写しになっている。

 

「痛いかい? 魔核制御でかなり柔らかくなっている……。痛みは小さいはずだけど……」

 

 カイネウスが優しい口調で訊ねてくる。

 レイシアは歯を喰いしばっていた。

 確かに痛みは小さい。それよりも油断をすると甘い声が漏れ出そうで、それで懸命に口を閉じていたのだ。

 痛い方がよかった──。苦しいだけなら、まだ耐えられた。しかし、肛門を弄られて快感を覚える。それをこうやって大勢に見物され、余すことなく映像として映し出されるのは、耐えられない恥辱だった。

 だが、その恥辱がレイシアの中の被虐心を刺激し、酔わせるような夢心地に引き込みそうになる。

 

「第二段階の形状に変えます」

 

 カイネウスが静かに告げた。

 その直後、正面の白い煙の壁に映っている〈拡張栓〉の魔法紋が、ひときわ強く光った。

 

「えっ……」

 

 レイシアは目を凝らした。

 変化がゆっくりと始まった。

 眼を逸らすことは許されないので、レイシアの視線は、映っている〈拡張栓〉の変化をしっかりと捉えている。

 〈拡張栓〉の中央部分に、細い黒い筋が生まれ、その筋が円を描くように広がり、やがて器具の中心そのものが少しずつ薄くなっていった。

 

「な、なんだよ……。これ……」

 

 消えている。

 レイシアには、そう見えた。

 先ほどまで中央を占めていた部分が、魔道によってどこかへ吸い込まれていくように薄い外縁部分を除いてなくなっている。さっき挿入されたときには、先端が丸く尖っていたはずなのに。それも完全になくなっていた。

 外側の輪っかのみが残っているだけだ。

 円形の外縁部だけを残し、中央にはぽっかりと空洞が開いている。

 それだけでなく、円盤の下端側から薄らと魔道光が灯っており、レイシアの桃色の粘膜部分がねらねらとした分泌液とともにしっかりと映っている。

 

「これが第二形状です。輪っかの大きさは、魔核と連動して被体の尻穴の緊張の低下に応じて徐々に開いてきます。負担は最小限です。この先の工程では、内部の状態を確認しながら進めますので、映録球にも細部まで拾えるようにしました」

 

 カイネウスが説明した。

 レイシアは、唖然として白い煙の壁を見つめた。

 

「人の尻穴の奥をこんなにハッキリと見るのは初めてよ。きれいなものね、レイシア」

 

 イレーヌが笑った。

 かっと羞恥が走る。

 白い煙の壁に映る環状の〈拡張栓〉を確認しながら、カイネウスが次の器具へ手を伸ばした。

 カイネウスがその器具を手に取る。

 

 非常に細い金属棒だった。

 銀灰色の金属でできた一本の棒であり、長さは指の倍ほどだろう。太さは針金より少し太い程度だ。

 ただし、先端は尖っておらず、小さな丸い球になっていた。

 実物をそのまま見せられただけなら、そこまで細かな形までは分からなかっただろうが、正面の白い煙の壁に、それが何十倍にも拡大されて映し出されているので、先端の形状までわかるのだ。

 丸く磨かれた先端と傷ひとつない金属の表面であり、柄の部分には、〈拡張栓〉と同じように、髪の毛ほどに細い魔法紋が刻まれている。

 

 レイシアは思わず息を呑んだ。

 カイネウスは、その細い金属棒を指先でつまみ、光へかざした。

 まるで医官が手術器具の状態を確認しているようだった。

 

「これはなんじゃ?」

 

 元帥が訊ねる。

 

「〈探針棒〉と呼んでます。非常に繊細な魔道具です」

 

 カイネウスは短く答えた。

 それから、先端の小さな球体を白い煙の壁へ向けるように持ち直す。

 大写しの映像に、その棒がゆっくりと輪っかが嵌まっているレイシアの尻穴の中に近づいてくる。

 

「な、なにをするんだ──。やめてくれ──」

 

 レイシアの背筋に冷たいものが走った。

 正面の映像から目を逸らせないまま、巨大に映し出された金属棒の先端を見つめている。

 棒が輪っかの中に沈む。

 映像が切り替わり、光の中に浮かぶ、ねらねらとした粘膜の壁になった。あの〈探針棒〉の先端が映している映像だろうか。

 カイネウスの声が、背後から静かに届く。

 

「では、探していきましょうか……。多くの女性は、肛門の中にしっかりとした性感帯を持っています。しかし、その内容は千差万別……。まずは入口部の膣側の肉壁にしましょう」

 

 〈探針棒〉の先が粘膜の壁に当たり、すっと横に動く。

 

「ひあっ、あっ」

 

 ただの球体ではない──。微少な振動とともに、わずかな電撃のようなものが走っていた。

 しかも、横に動いた棒がある一点に触れたとき、鈍い痺れのようなものが背中にまで貫き、レイシアは小さく声をあげてしまった。

 

「ひぎいっ」

 

 そのときだった。

 突然に隣からリネアの悲鳴が轟いた。

 はっとなる。思わず映像から眼を離してしまったのだ。

 慌てて、視線を大写しの映像に戻す。

 

「ははは、レイシア、しっかりと見ないと、妹が泣くよ……。さて、こっちの準備もできたから、リネアの探針簿といくかい。眼を離すとお姉ちゃんに電撃だよ」

 

 アルジェだ。

 すぐに、リネアが小さな声をあげ始める。

 

「隣は気にしなくていい。集中するんだ」

 

 カイネウスがすっと金属棒を動かす。

 

「あんっ、あっ」

 

 またしても、さっきと同じ場所でレイシアは激しく反応をしてしまった。

 

「どうやら、反応があったのはここだね」

 

 カイネウスが再び同じ場所を棒の先でなぞる。

 

「ひんっ」

 

 我慢しようと思ったが、またしても急激に沸き起こる疼きに反応してしまう。

 レイシアは、どうやら棒の先から与えられる微少な刺激に、自分の身体が反応してしまっているのだと自覚して、必死にそれを追い払おうとした。

 だが、びくびくと一気に沸き起こる強い疼きがそれを許さない。

 

「〈探針棒〉には、魔核と連動して、性反応を増幅する効果があるんだ。性感を隠すことは不可能だよ。まずはこの部分だね」

 

 カイネウスの操る棒先が、ぐいと一箇所の粘膜を押した。

 

「ああっ」

 

 レイシアはまたしても、拘束された身体を限界まで跳ねさせてしまう。

 

「では、ここに印をつけて、次の場所を探そう」

 

 金属棒が離れる。

 ふと見ると、さっきまで棒の先端が触れていた場所に、赤い丸が薄らとついていた。

 

「ひんっ、や、やめろ──。ああっ、なんだ──」

 

 しかし、金属棒の先が今度は、肛門の入口に近い外側付近を探り出した。沸き起こる刺激に、レイシアは思わず声をあげた。

 それだけでなく、肛門に嵌まっている輪がほんの僅かに拡がり、外側に向かって圧迫したような感覚が襲ったのだ。

 

「肛門への刺激に反応すれば、尻穴が緩む。そうすれば、その分穴を拡大してくれる。便利なものだろう?」

 

 カイネウスが棒を動かしながら,くすくすと笑った。

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