サロン・セルパンタンの五百日の調教記録──亡国の花と蛇の館 作:ドン・ドナシアン
「……ところで、リネア……君はいつ、お尻の処女を失ったの?」
カイネウスがリネアにそう訊ねるのが聞こえた。
しかし、レイシアは自分自身の身体の反応に狼狽えてしまい、意識をリネアに寄せることができない。挿入された〈触手張形〉は、肛門に装着されたままの〈拡張栓〉にがっちりと嵌まってしっかりと根元まで埋まっている。
レイシアのお尻の奥にまで入り込み、形状を連続した球体状に変化させてまるで出し入れされているような刺激を加えてくる。その刺激に、レイシアの中に鋭い痺れが駆け抜ける。
「んはあっ、はっ、はあっ、はっ……」
必死に閉じようとしている口は、どうしてもわずかに開いてしまい喘ぎ声がこぼれ出る。
腸を震わせる刺激がどんどんと強くなり、腰骨を震わせて子宮に達してくる。
魔核の影響もあり、おそらくレイシアには快感を逃す手段がないのだろう。無理やりともいえる力で否応なく、尻穴で快感を昂ぶらされて身悶えながら、レイシアは懸命に正気を保とうと、鞍馬の脚に縛りつけられている手のひらを開いたり握ったりすることを繰り返した。
だが、リネアがカイネウスたちでさえ知らないところで、すでにアナルを犯された経験があるというのは、どういうことなのか。
レイシアは懸命に、リネアのことへ意識を向けた。
「そら、さっさとカイネウス様の質問に答えな」
アルジェの苛ついたような言葉が響いた。
「あぎゃああ──」
次の瞬間、リネアのけたたましい悲鳴が轟いた。
レイシアははっとなる。
「ああ、リネア──なにをされたの──? どうしたのよ──?」
レイシアは必死に叫ぶ。
しかし、答える者はない。いまは、見物の男たちも含めて、全員の関心が一時的にリネアに集まっている気配だ。
「アルトよ──。アルトに捧げたの──」
すると、半分捨て鉢になったかのような口調で、リネアが叫んだ。
「アルト? ああ、つがい隷奴として、あんたらには予習復習に励めって言ったけど、まさか、教えもしないのに、アナルセックスをしてたの? 呆れたわねえ」
アルジェが噴き出し気味に言った。
「あら、アルトというのは、確か、クラウディアの異母弟じゃないの。唯一の男性特別囚よね」
口を挟んだのはイレーヌだ。
「ええ、彼はこのリネアの恋人です。サロンでは、つがい隷奴として飼育を開始したばかりです。いまは、試しに同室に監禁しています」
カイネウスが応じた。
「もしかして、男囚として尻穴矯正をさせられている恋人に、お前の尻を犯させることで慰めようとしたの? でも、一回や二回じゃないわよね。同居させて三日しか経ってないのに、どれだけアナルセックスしたら、ここまで感じる穴になるのよ」
アルジェが爆笑している。
「あ、あたしは、もうお尻の処女はアルトに捧げました。あたしの身体はアルトのものです──」
リネアが挑むかのように声をあげた。
「なんだ。じゃあ、もう準備はいいわね。お館様、こいつについては、ひと足先にアナルセックスをさせてもいいんじゃないですか?」
「そうだね、アルジェ……。じゃあ、元帥、リネア側は予定の五人から始めましょう。ところで、味見をなさいますか?」
カイネウスが元帥に告げた。
「いや、わしはそっちのレイシアを最初にもらおうか」
元帥が笑う。
「かしこまりました。では、そのように」
カイネウスが静かに言った。
そして、アルジェに向かって頷くのが見えた。
「よし、許可が出たよ。決まっていた五人から始めな。それでもまだレイシアの準備ができてなければ、この娘を追加で犯していい。なにせ、経験者だ」
アルジェが叫ぶ。
男たちが歓声をあげた。
何人かがズボンを脱ぎ始める。おそらく、順番が決まっていた連中なのだろう。
だが、レイシアはアルジェの最後の言葉に耳を疑った。
「ま、待って──無茶をするな──。リ、リネアの分もわたしが──わたしが受けるから──」
レイシアは慌てて叫んだ。
しかし、いまだに淫具がレイシアのお尻の中で動き続けている。声は途切れ、思うように言葉を続けることができない。
「レイシア、リネアのことは気にしなくていいよ。ちゃんと管理している……」
すると、カイネウスが戻ってきて、レイシアの耳元で囁いた。
同時に、こん、とアナルの入口にある張形の根元へ触れる。
かん、と小さな音がした。
それまで連続した球体状になっていた張形が、中で形を変えたのがわかった。そのまま、ぬるぬると肛門の外へ抜け出ていく。
「ああ、なんだ──。今度はなんだ──」
そのとき、張形の表面にある触手がたくさんの小枝のようになっていて、次々に肛門の粘膜を引っかくような刺激を与えてきた。
味わったことのない感覚だった。
「あっ、くっ、ああ──」
レイシアは未知の刺激に翻弄され、思わず艶めかしい声を漏らしてしまう。
「……〈拡張栓〉を外した。膨らんだアナルが縮まないうちに、一気に感覚点を定着させてしまおう。また挿入するよ」
カイネウスが、いったん外へ出した張形を再び押し込んできた。
「ひおおっ」
レイシアは強烈な刺激に、大きく口を開いた。
今度はまた別の形状へ変化していたらしい。
挿入されていく張形の表面が短いブラシのような形状になっている。それがごりごりと気持ちのいい場所を刺激しながら奥へ奥へと滑り入っていく。
「また出すよ。なにも考えなくていい。ただ快感を受け入れるんだ。そうすれば、楽になる」
かなり深くまで張形が潜り進んだと思った。すると、また張形が外へ引き出ていく。
「ああっ──あっ、あああ──。た、頼む──。リネアを──リネアではなく、わたしに──あああっ──」
喘ぎながらも、レイシアは必死にカイネウスへ訴えた。
横では、すでにリネアの肛姦が始まっているらしい。リネアの苦しそうな声と息遣いが聞こえてきていた。隣は大騒ぎだ。男たちが、リネアの肛姦をしている男に、野次のような声を掛けて騒いでいる。
「ああ、なら、早く快感を受け入れよう、レイシア……。そうすれば、妹の相手を君が引き受けられるよ」
カイネウスが張形を動かしながら言った。
それから、どれほどの時間が経ったのか、レイシアにはわからなくなった。
カイネウスは休むことなく〈触手張形〉の形状を変え、そのたびにレイシアは新たな感覚に翻弄された。
長く感じるときもあれば、ほんの一瞬だったように思えるときもある。
ただ、時間が確実に過ぎていることだけは、隣から聞こえてくる声でわかった。
二人目──。
誰かがそう叫んでいたのを覚えている。
それから、またしばらく経った。
いつ交代したのかはわからない。
気がついたときには、周囲の男たちが三人目だと騒いでいた。
「リネア……」
レイシアは妹の名を呼んだ。
返事はなかった。
ただ、ときおり聞こえてくるリネアの声だけが、先ほどよりも苦しげになっている。
そして、さらに時間が過ぎた。
五人目──。
その言葉を耳にした瞬間、レイシアははっとした。
もう五人目なのか──。
自分がどれほど長いあいだ、ここで時間を失っていたのか。それすら、もうわからない。
そもそも、もう五人目──?
レイシアは、リネアのことを気にする余裕がなくなっていたことを悟った。
慌てて意識をリネアに戻す。隣から聞こえてくるリネアの声は、はっきりと耳に届いた。
最初よりも大きく、そして苦しげになっている。
「ああ、リネア──。もういい、頼む──。リネアではなく、わたしを犯してくれ──。頼む──」
レイシアは必死に声をあげた。
「ほう、そうか。では望み通りにしてやろう、女騎士」
驚いた。
後ろから声をかけたのが、カイネウスではなく元帥だったのだ。
しかも、ついさっきまでリネアに集まっていた男たちが、気がつくとレイシアにも取り巻いていた。完全に囲まれていて、リネアの姿も正面の映像も見えなくなっている。
カイネウスすら、人の壁に消えている。
いつの間に──?
いや、それほどに、レイシアは追い詰められて、周りが見えなくなっていたのだろう。
だが、思念はそこまでだ。
元帥の手がレイシアの尻たぶを掴み、怒張の先端がレイシアのアナルに押し当てられるのがはっきりとわかった。張形ではなく、本物の男根だ──。
「ああっ、待って──待ってくれ──」
「忙しい女じゃのう。早く犯してくれと言ったり、待ってくれと言ったりか」
元帥が笑いながら肉棒をレイシアのアナルの中に進めてくる。
「あ、ああ──」
肛肉を元帥の怒張に割られる衝撃に、さすがにレイシアは身体を震わせた。
しかし、覚悟していた激痛はなかった。
それよりも快感の津波がレイシアに押し寄せてくる。
「あくっ、うっ、ああ……あはっ、はっ、んぐっ……」
あまりにも強い快感に、レイシアは狼狽するとともに、言葉を発することさえできなくなる。
直腸が擦りあげられ、とんでもない痺れが腰骨を砕き、下腹部の震えがとまらなくなる。
なんだこれは──?
どうして、こんなに……。
これは魔核によって、変えられた身体なのか──。
レイシアは狼狽するしかなかった。
「締めつけよるわい」
元帥が愉しそうに、さらに怒張を進めてくる。
そして、奥まで貫き、また出ていく。
「あああっ、だめだあっ、あああ──」
レイシアは悲鳴のような声をあげた。
堪らなかった──。
あまりの気持ちよさに、気が遠くなるかのようだ。
尻を犯されて、ここまで快感を覚えるというのが信じられない。
そして、亀頭が入口まで戻ったと思ったら、また抉られていく。
一番気持ちのいい場所が強く擦られていく。レイシアは声を迸らせた。
「ああっ、あぐっ、んぐうっ、ふはっ……」
レイシアは声にならない呻きを迸らせながら、元帥の怒張を肛門で受け続けた。
意識さえ遠のく気がした。だんだんと快楽に逆らう気力も失われていくかのようだった。
気がつくと、レイシアは鞍馬に押しつけられている上体を、限界まで弓なりにのけ反らせていた。
これが、魔核によって調整された感覚点の矯正の結果なのか──。
サロンでこれまでに味わった経験を遙かに上回る快感だ。息が詰まって喘ぐことさえままならない。
「おう、これは気持ちよいのう。そろそろ出すぞ。そんなにはもたんわ」
元帥が律動を早くしてきた。
快感は一層激しくなり、レイシアは、もうまともに思考ができなくなる。
汗が顔に流れ、眼も虚ろになっていく。
「あ、ああ、わたしも──わたしも……いくっ、いぐううっ。いかせてくれ──」
自分でもなにを叫んでいるかわからなかった。
ただ、絶頂のときには許可をうけなければならない──。
誰に言われたのかわからない躾が、頭によぎっただけだ。
「おう、いけっ──。わしも出そうだ──」
元帥がレイシアの尻に腰を激しく叩きつける。
奥まで突っ込まれている元帥の怒張がさらに膨らんだのがわかった。
「ああ、あぐううっ」
レイシアの身体に衝撃が突き抜け、頭の芯まで痺れて弾ける。
視界が白くなり、気がつくと、レイシアは太腿が波打つほどに、身体を痙攣させていた。
「おう、おう、おっ」
元帥が後ろで奇声のような声をあげて、腰をレイシアの尻に押しつけて震わせていた。
頭が真っ白になるのを自覚しつつ、レイシアは元帥が尻穴の奥で発した精が直腸に染み込んでいくのを感じていた。
「これは美尻ぞ。お前たちもやれ──。さすがはサロンの調整だ。なんという気持ちよさじゃ」
元帥が男根を抜きながら、感動したように声をあげたのが聞こえた。
周りの男たちが歓声をあげる。
レイシアは朦朧とする意識の中で、争うように割り入ってきた次の男が、レイシアの尻に怒張の先を当てるのを感じた。