「あった♡」
手に取った本の表紙には、私ほどの小さな女の子がアヘ顔を晒してマンコから精液を溢れ出させている絵が描いてあった。開いて少し読んでみれば、導入はさておき、年上のおじさんが女の子を調教して快楽に堕とすというものだった。
内容もなかなかハードで読みごたえはありそうだった。
お目当てのモノを見つけた私はダンボールをそのままにして、ベッドへと飛び込む。ここから長くなるのかは、お兄ちゃん次第。ベッドに寝転び本を読みながら、その時が来るのを待つとしよう。
お兄ちゃんがこっちを振り向いて、隠してあったはずのエロ本が幼い少女に発見されて読まれていることに気づく、その時まで。
本を読み始めて五分——十分——と時間は流れていく。その間にエロ本を読み進めていくのだが、その内容に感慨深い感情が湧き上がってくる。大きな男が小さな女の子の無知を利用して調教を施し、自分好みの女の子へと堕とす。まるでそれが前世での私とお兄ちゃんとの関係性の一部を描いているようで心動かされてしまう。
どれだけ時が経過しようとも私は自分の経験した全てのセックスを覚えている。
あの時もこの本に描写されている女の子のようにお兄ちゃんの手によって調教されていた。そのページでは性感帯を開発しているようだった。
全裸にさせられた上で胸にローションを塗りたくられ、胸で絶頂出来るようになるまで愛撫されるというもの。劇中の描写はそれで絶頂した女の子が、また一つ堕落の道を下るというものだったが、私の場合はもう少し過激だった。
三つの突起が乳首を挟み込み高速回転するローターが取り付けられ、絶え間ない快楽に晒され続けながら、お兄ちゃんの手は休むことなく私の胸を撫でてスペンス乳腺の開発に勤しむ。一度や二度くらい絶頂してもローターとお兄ちゃんの手が止まることは無い。何度も、何度も絶頂しては酸素と共に喘ぎ声を撒き散らして、無くなった酸素を取り込むためにお兄ちゃんのチンポというフィルターを通して酸素を取り込んでいく。絶頂による酸欠はより多くの酸素を求めさせ、喘ぐその行為がチン嗅ぎをより深く下品なものへと変貌させる。新鮮な空気の悉くはお兄ちゃんのチンポによって汚染され、汚染された香ばしい酸素は赤血球によって全身に運ばれ、細胞の一片に至るまでお兄ちゃんという存在に染まっていく。
臭いを嗅ぎながら絶頂する、ニオイと絶頂が結びつき快楽による調教とチン嗅ぎによる条件付けが、私を細胞レベルで堕落させていく。
この快楽を与えてくれる存在、お兄ちゃんこそが全てでご主人さまなのだと、幾度目かも分からない潮吹き絶頂の最中、焼き切れるような快楽によって脳髄へ刻み込まれる。
こうして本を開き読んでいると、思い出のアルバムが開いてその時の情景が思い起こされるのだ。どんなプレイをしたのか、どれだけ気持ち良くなって絶頂したか、その時に何を思ったのか、追体験するように鮮明に思い出せる。
思い出を回想しながらオナニーしているだけで、私は何時間でも時間を潰せてしまう。
いっそのことお兄ちゃんがこっちに気づくまでオナニーでもして待っていようかと思い始めた頃、ようやくお兄ちゃんに動きがあった。
「んー……あ~~、つかれたー……ゲームでもするかなぁ~」
露骨な棒読みで背筋を伸ばしながら振り返るお兄ちゃん。
その様子を眺めていた私とは当たり前のように視線が合い、ぴたっとその動きを止める。最初は状況が理解できず惚けている様子のお兄ちゃんだったが、徐々にその顔は赤らみ、わなわなと指をさして震えはじめた。
「お、おま! それ……」
「ん? この本のこと?」
何ともなしにといった風に手に持った本を掲げ私に、お兄ちゃんは羞恥心を多分に含んだ様子で椅子から立ち上がった。
「いつの間に出したんだ⁉」
「いつの間にって、さっきだよ?」
「ええ……全然気づかなかった、ともかくそれを返しなさい」
「やーだ♡」
「嫌だじゃない、それはね読んじゃいけないものなの!」
「え~それじゃ読んじゃいけない物を持ってるんだ~。いけないんだ~お兄ちゃん」
「そうじゃなくて、おまえ! お前が読んじゃいけないってこと!」
「悪いことをしてる人の言う事はききませーん」
「このメスガキぃ……そっちがその気ならこっちにも考えがあるからな!」
煽り耐性ゼロのお兄ちゃんは青筋を浮かべながらこっちに近づいてくる。
予想通り、予想の範囲内の動きを見せるお兄ちゃんの動きにほくそ笑みながら、私は読んでいたエロ本を抱えてうつ伏せになることで、没収されないようにする。
「おらぁ! その本を返せ!」
「いや~、変態に襲われるぅ!」
「人聞きの悪いこと言うな⁉ それと変態なのはお前のほうだっ!」
組んず解れつというには一方的で可愛いじゃれ合いだ。小さくか弱い存在の私が、より大きく力のあるお兄ちゃんという存在にベッドの上で転がされ続けるというもの。
お兄ちゃんは傷つけないように擽りなどを駆使して、私から本を取り返そうとする。それに悶えて転がり、少しでもお兄ちゃんの手から逃れようとする。その繰り返し。
お兄ちゃんの攻め手が一瞬弱まった所で、私は本を真上へと伸ばす。本に意識が集中しているお兄ちゃんは、もちろんその本へと手を伸ばす。その時に出来た決定的な隙、私は本を手放し首元に手をまわしながらその耳元で囁く——。
「——私で勃起したくせに♡」
隠していた事実を突きつけられたお兄ちゃんは、完全にその身体と精神を制止させた。驚愕、動揺、羞恥、未だ残る興奮、そして恐怖、様々な感情の色を出す顔を私へ恐る恐る向ける。
首に手をまわしている今、お兄ちゃんと私の距離は目と鼻の先。瞳の奥に隠した感情すら見通せる距離で、私とお兄ちゃんは向き合った。
「何言ってるんだ……お前みたいなちんちくりんに勃起なんてするわけないだろ? ほら、いい加減この手を離せよ……!」
もはや本の事なんてすっかり頭の中から抜け落ちているようで、私の見つめる視線から逃れようともがき始める。その機先を制すかのように私は囁きかけた。
「こんなに硬くしておいて、嘘は良くないな~♡」
おぉっ、とお兄ちゃんはひとつ大きなうめき声をあげた。
ズボン越しにでもわかるくらいに両の足から伝わってくる熱量と硬さは、お兄ちゃんが勃起しているのだと伝えてくる。別に悪い事じゃないのにお兄ちゃんの中の良識がその事実から目を逸らさせようとしている。
それじゃいけない。その事実から目を逸らそうとするお兄ちゃんへ自覚を促すように、私は自らの両足で勃起しているお兄ちゃんのチンポを撫でつけていく。片足で竿をさすり、時折両の足で挟んでは扱くように上から下へと動かしていく。
「くぅおおっ、ばかっおまえ! やめ、おぅおっ!」
組んず解れつの立場が変わってしまった。
今度は私がお兄ちゃんのチンポを撫でつけて、お兄ちゃんは私から与えられる快楽に身悶えて腰をビクつかせる。
認めたくないお兄ちゃんは必死に我慢するようだが、そんなことをしても意味はない。だってチンポを勃起させて扱かれているのは事実なんだから。
快楽に晒されているお兄ちゃんは色んな感情が渦巻いていたが、徐々にその声色に怒りといった感情が滲み始めてくる。
「お前正気か⁉ くぅっ、見ず知らずの相手にするような事じゃないぞ!」
まだまだ心の内をさらけ出してくれないようなので、私はさらに情動を煽る。
「じゃあ誰とするの? 友達? お父さん? それとも知らないおじさん? それこそ変わらないよお兄ちゃん。今どきの女の子はね、毎日のようにオナニーするよ? 勃起の事もチンポのことだって知ってるし、いつも頭の中じゃセックスの事を考えているんだよ?」
「そんなに襲われたいのか⁉」
怒りは心の枷を解き放ち、その奥に隠れる願望を覗かせた。
そうそう、私はその本音が聞きたかったの。
「いいよお兄ちゃんになら——」
お兄ちゃんにとっては何気なく口にした言葉なのかもしれない。だけど前世からお兄ちゃんを知っている私からすれば、お兄ちゃんが何を考えていて望んでいるかなんて、当たり前のように知っている。
あの漫画本で女の子がされていたこと、前世で私にしたこと、それがお兄ちゃんの願望なのだ。女の子を自分の都合の良い様に調教して、自分色に染め上げて、自分のモノにする。
購入するエロ本のジャンルは決まって調教もの。オカズが無い時に妄想するシチュエーションも自分の自慢の竿で快楽堕ちして屈服している様を使う。自分のようなみじめで底辺の存在が、自分より弱く無垢な存在を調教して快楽堕ちさせることにたまらなく興奮する、それがお兄ちゃんの性癖だった。
ただ、お兄ちゃんは分別を弁えていた。それがいけない事なんだって分かっていたし、それはあくまでもエロ本の好きなシチュエーションであり、オナる時の妄想というだけの話でしかなかった。
私がこの家に来るまでは。
既に一浪していて、毎日のように必死に勉強しながら家主の兄にいびられる環境にあったお兄ちゃんは、急速にその心が荒んでいっている状態だった。荒んだ心を癒すためにオナニーをするが、日々荒んでいく心にただのカタルシスでは物足りず、より過激なモノを使って満たしていく内に、今の性癖へと繋がることはある意味では余談ではある。
そんな中、前世での私はこの家に引き取られてお兄ちゃんと出会うこととなる。この頃の私は記憶喪失で、孤独と不安に苛まれながら自分の居場所というものを見失っていた。そんな家の中で唯一良くしてくれたのが、お兄ちゃんだった。
家の中で同じく除け者同士の私とお兄ちゃん。お兄ちゃんはそんな私へ親近感を抱くと共に、直接血が繋がっていなくとも兄としての責務を果たそうとしてくれた。お兄ちゃんの中で芽生えた責任感、もしくは兄妹愛とされる感情は荒んでいく心に芯を持たせて、そうしたお兄ちゃん然とした振る舞いは、不安定になりつつあった情緒を安定させていった。
私も自然とお兄ちゃんと呼び慕うようになっていた。
可愛かったのだろう。自分が愛を与えれば与えるだけ純粋で素直な反応が返ってくる。こんな自分に、自分を卑下する感情が強いだけに私が返す無償の愛は、お兄ちゃんにとって代え難い癒しにもなっていたようだった。
だがお兄ちゃんにとっての問題が解決したわけではない。日々のストレスは相変わらずはけ口を要求し、 いつしかそのはけ口の対象は、私へと移っていった。
兄弟愛を以て接していたはずが、いつからかそれが歪み情欲を抱いて接するようになってしまう。
心に秘めていた願望が反映された妄想が、私という存在によって現実味を増すことで、お兄ちゃんは自らが抱く欲望を自覚する。
良識と性欲との間で揺れ動きながら癒しを求めて私と関わり合い、その内心で私を消費し絶大なカタルシスを得る妄想を繰り広げては、自己嫌悪する日々。
そこに安らぎなど無く、あるのは無駄撃ちした後の虚脱感のみが残る。
それでも最後の一線だけは越えなかった。あの日までは。
二度目の受験失敗。
絶望に打ちひしがれて、明日からまた続くこれまでと同じ毎日がお兄ちゃんの心を押しつぶした。
そしてついにその日がやってくる。
お兄ちゃんが自らの願望を叶えた日。喜ばしいことだ。だって最後の一線を越えたその日から私とお兄ちゃんは、淫欲で繋がりあった本当の家族に成れたんだから。
だから今世において私がこの家に来ていない以上、お兄ちゃんに何か変化が起こっていないということは、ある意味では正しいことになる。
勉強を頑張っていて、ぶっきらぼうだけど、やさしくて、生真面目なのに面倒臭がりやな一面があって、そしてエッチである。その趣味と性癖を含めて、きっと前世から何も変わってなどいない。
けどそれはある意味ではおかしい、間違っているはずなのだ。
微かな予感を抱いて愛護の家に行き、結果として疑問を抱いて。その疑問を解消するためにココに来た。 今私が抱いている大きな疑問。その答えは、お兄ちゃんの真意を知れば自ずと出ることになる。
見つめている瞳が動揺で揺れているのが分かる。
自分が心の奥底で抱く欲望を肯定されて、まさか自分にそんな願望があっただなんて、と思う動揺と同時に、胸の内に秘めていた強大な性欲が頭をもたげ始めていた。
「——お兄ちゃんになら犯されてもいいよ——」
やさしく、諭すように囁きかける。
「——ずっとそうしたかったんでしょ、目の前にいるよ、ずっと妄想の中だけで済ませてきた存在が、目の前で手に届くんだよ。住んでいる場所をきいたのだってそのためだもんね——」
行き場を見失っていたナニカに指向性を与えるように、お兄ちゃんの内に抱える性欲にはけ口を与えてあげる。
「——勉強をずっと頑張って。でもそんな境遇を家族は良く思っていない、お兄ちゃんの様子を見ていれば分かるよ。こんなに努力だってしているのに、ストレスが溜まるよね。神様はね、お兄ちゃんみたいな人を良く見ているんだよ——」
私というはけ口を。それで足りなければ大義名分を。
「——だから、これはご褒美。ずっと見守っていた神様が与える、お兄ちゃんへのご褒美なの。だから何も心配せず心の赴くままに私を犯して良いの。もし犯されたことがバレても大丈夫、見知らぬおじさんにレイプされたって言ってあげる、それで安心でしょ。お兄ちゃんには何一つ悪いことは起きない——」
心の不安を見透かして、それを晴らしてあげる。
「——ほら、あの漫画のように——」
不安が取り除かれた心の天秤は、後は容易く欲望の乗る方へと傾いていく。
「——チンポでぐっちゃぐちゃにしてさ——」
頬を撫で、瞳のその奥を見つめ、心の奥底で眠る情欲を煽るように言葉を紡いでいく。
「——色んな道具を使って私をイジめるの、きっと楽しいよ。だから——」
互いの吐息が混じり合うその距離で、私は最後のきっかけを口にする。
「——私を犯して」
撫でつける足先がチンポの膨張を伝えてくる。気持ちの先走りを表すかのようにビクビクと跳ねるチンポは、触り始めた頃よりも硬く、火傷しそうなくらい熱くて、お兄ちゃんの気持ちを代弁していた。