思うがままに書いた結果花梨先輩が暴走しました、ごめんなさい。
「いちち…。ありがとうございます」
「はい、お疲れ様です。擦り傷とはいえ、あんまり無茶しちゃダメですからね。残りの部活時間は見学でもしててください」
「はーい」
「先生、こいつのことあんまり甘やかさないでくださいよ」
談笑する二人のバスケ部の生徒と一緒に笑いながら、ゆかりは慣れた手つきで救急箱を片付ける。この学校に赴任してはや半年。問題ある生徒もほとんど居らず、精々がサボり目的でベッドを借りに来る程度で(少なくともゆかりからすれば)良い子達ばかりだ。教員間の軋轢もなく、概ね満足いく養護教諭生活を送ることが出来ている。…ある一点さえ除けば、だが。
ピコンというスマートフォンの通知音に気付いて机の上のそれに目を向ければ、画面に表示されたのはSNSのメッセージ通知。その内容に表情を曇らせるが、幸いお喋りに夢中になっている二人はそれに気付いていない。
「はい。それじゃあ、用事が終わったらそろそろ帰ってくださいね」
「えー…もうちょいいいじゃないですか」
「私が顧問の先生に怒られちゃうのでダメです。それに保健室もそろそろ閉めるので、早く部活に戻ってください」
平静を装いながらいつもの和やかな調子で部活に戻るように促せば、渋々ながらもそれに従って部屋を後にする二人。その背中を見送って、ゆかりは校庭を広く見渡せる窓を覆い隠すようにしてカーテンを閉じた。挿し込んでいた夕日が遮られて僅かに暗くなる部屋にノックの音が響く。びくり、と跳ねた肩を抑えつけて努めて冷静な声で「…どうぞ」と入室を促す。
「失礼しまーす」
そう言ってスマホ片手に軽い調子でドアを開けて入ってきたのは、二年生はおろか全校生徒を見渡しても指折りの保健室利用者である小春六花だった。別段、何かしらの病気持ちや病弱、あるいは怪我する機会が多いなどではなく、主にサボり目的で使用するちょっとした問題児である。
「もー…。そんなに警戒しなくてもいいじゃないですか、傷つくなー」
しかし、今のゆかりにとってはそれ以上に警戒すべき相手であった。着任当初は構ってほしがりな子犬のようでそれなりに可愛がっていたが、流石に利用状況やそれに対する他の教員からの苦言を受けていると、立場上そう言った可愛がりもできない。そこで少々厳しく注意するのだが、ゆかりが弱いのか六花が図太いのか効果らしい効果はなく、すっかり手に持て余していた。だが、本題はそこではない。彼女を警戒している理由はそこではない。
「じゃあ、今日もよろしくお願いしますね、センセ?」
そう言いながら自分に歩み寄ってくる六花に気圧されるようにして後ろに下がる。それでも微妙に詰められる距離に焦ったゆかりが距離を離そうと大きく一歩後ろに下がると、
「うわっ…!?」
「っ、危ない!」
がたん、と机にぶつかりバランスを崩す。そのまま倒れそうになるゆかりの手を引いて六花は彼女の軽い身体を自らの方へと引き寄せた。白衣に包まれた身体がぽふんと自分よりほんの少しだけ大きな身体に受け止められる。
「あ、ありがとうございます」
「どういたしまして。はー…、セーフ…」
センセのファンに殺されるところだった、冗談めかしてそう言う六花の腕の中で、安心しかけたゆかりはしかしあることに気付く。今自分が置かれている状況はとても恥ずかしいもの、それ以上に危険なものではないのかと。
「あ、す、すみません!助けてもらって!だから、その、離して…!」
「えー?嫌ですよ、折角こんな都合いいことになったのに」
少しはキュンとしたでしょ?なんて言いながら、余裕気な笑顔を見せる六花はしかしてゆかりの腕を握る力にギュッと力を込めてゆかりが逃れようとするのを許さない。楽器を扱う人間は自然と力も強くなるのか。それは定かではないが、少し痛いくらいに自分を離してくれない六花に危機感を覚え身を捩る力を強める。しかし、もうそれは手遅れで。
「はーい、結月センセ、ちゅー」
「んむぅ!?」
抵抗空しくゆかりは唇を奪われる。動揺している隙をついて侵入してきた舌はゆかりの口腔をぐるりと一舐めし、逃げる隙も与えずゆかりのそれを絡め取る。十まではいかないまでも片手では足りないくらいには年の離れた少女にされるがままの自分に悔しさを覚えるも、幾度となく慣らされた身体は快感に促されるままに力を失っていく。最早抵抗もできずに、六花の制服を弱弱しく握り快感に耐えることしかできない。
その時だった。
「え、っと、六花?結月先生?何して…」
ガラリ、と扉が開けられた後に聞こえた困惑に満たされた声は、六花の先輩でありバンド仲間でもある夏色花梨のものであった。そんな彼女とは対照的に、六花は落ち着き払った様子でとろんとした様子のゆかりから口を離す。
「もう、遅いですよ先輩。先に頂きますしちゃいましたよ」
「い、いや。そもそもなんであんたが先生とき、キスしてんのよ!?教師と生徒でやっちゃいけないのよ、そういうのは!」
もっともな疑問でもって六花に怒る花梨であったが、怒られた当人は何ら気にする様子もなく言葉を続ける。
「もう、怒らないでくださいよー。先輩が結月先生のこと好きなのは知ってますし、別に盗る気もないですよ」
「べ、別に好きってわけじゃなくて、ただ憧れてるだけっていうか、尊敬してるっていうか…。って、てか、私が好きだとして、なんでそれを知ってて先生とキスしてんのよ!?」
「いやぁ、先輩が美味しく頂けるようにちょっと下拵えといいますか…。ついでに味見してみてもいいかなって…」
「何してんのよ、バカ六花!」
流石に飛んだ怒号も相変わらずの態度で聞き流し、六花はもう一人で立つことすら難しくなったゆかりを椅子に座らせると、外に声を漏らすまいと保健室の扉を閉める。開けっ放しだった扉に気付き、恥ずかしさを覚えつつもわなわなと怒りに震える花梨に歩み寄った六花は耳元で囁く。
「でもー…、いいんですか?ここでチャンス逃しちゃってもー…」
「…はあ?」
「ほらー、見てくださいよ先輩。結月先生、おいしそうでしょ?ここまで調教するの大変だったんですから」
「ちょ、調教って…あんた…」
「まぁまぁ。…食べてみたいと思いませんか?ほら、あんなにとろとろになっちゃって…。知ってます?先生ってどこも柔らかくて温かいんですよ?」
「…っ」
促された視線の先に広がる光景に、花梨は思わず息を呑む。紅潮した肌に潤んだ瞳。少し乱れた白衣とそこから覗く首筋。だらしなく伝う涎でさえ今の花梨には興奮材料にしかならない。
「いや、でも…。ていうか、合意なしに襲うなんて、犯罪でしょ…!」
そんな誘惑をなけなしの理性で拒もうとする。しかし、花梨の視線はゆかりの元へと釘付けとなっており呼吸も荒い。興奮しているのは一目瞭然であり、寸前で耐えているに過ぎない。それを察して、六花は意地悪に言葉を紡ぐ。
「そうですか。じゃあ、花梨先輩はそこで見ててくださいよ」
「え…」
「あー、勿体ないなあ。折角こんなに準備したのに、大好きな結月先生とえっちできないなんてなあ」
「…っ、なに、勝手なこと言ってんのよ、この馬鹿!今から他の先生呼んできて「いいんですか?先生のこんな姿、他の人に見せちゃって?」…!?」
平然とした様子で言う六花に、花梨は言い知れぬ恐怖を覚える。元々変なところで肝の据わった奴ではあったが、ここまで恐れ知らずであっただろうか。
「それでもいいですよ、私は。退学とかも怖くないですし。でも、いいんですか?ここでそんなことしても、私がいなくなってはい終わりなだけですよ?」
そのかわり。妖しい笑みを浮かべて、六花は更に言葉を紡ぐ。
「ここで一緒に結月先生とエッチなことしてくれたら、先輩も仲間に入れてあげますよ?」
「…は?ちょ、ちょっと、何言って…」
「だから、これからエッチするときに花梨先輩も混ぜてあげるって言ってるんです。こんなチャンスそうそうないですよ?自分の好きな人と好きな時にセックスできる権利がもらえるなんて」
「…っ」
こんなこと馬鹿げている。拒絶して誰かしら先生に報告するのが一番だ。そんなこと分かっている。しかし、花梨は動けなかった。理性と欲望がまさしく自分の中で釣り合っているのを感じている。端的に言えば、六花の言う通りゆかりを抱きたい。犯したい。そんな欲望が理性を蝕んでいた。そんな、あと一押しで崩れ落ちる理性を最後に突き崩したのは、
「なつき、さん…。わたしは、だいじょうぶ、ですから…来て…」
「…っ!」
ゆかりのその言葉に、半ば弾かれたようにして花梨は彼女の元へ歩み寄る。そうして、椅子に身体を投げ出すように預けるゆかりに覆い被さり、
「誘ったのは、先生ですからね…」
「はい…」
そのまま唇を奪おうとして、
「あのー先輩、と先生?ベッドでやったらどうです?その姿勢辛いでしょ?」
「っ、六花、あんたいいところだったんだから、邪魔するんじゃないわよ、馬鹿!」
煽るように笑う生意気な後輩に遮られた。
***
「じゃ、下ろしますよ」
「すみません…わざわざ」
「いいんですよ、うちの馬鹿のせいなんですから」
「えー、花梨先輩ひどーい」
「もういい加減に黙ってなさい、あんたは」
ぽすん、と身体から力の抜けたゆかりを支えるようにして運び、他の生徒や教員に気付かれないよう保健室の一番奥のベッドに横たわらせると、花梨は熱っぽい表情を浮かべるゆかりへと覆い被さる。相変わらずにやにやと笑いながら六花はその様子を隣のベッドから眺めていた。
「それじゃあ、改めて、失礼しますね…」
「はい…」
切なげに吐息を漏らすゆかりの薄い唇に、渇きを誤魔化すように何度か舌を這わせたことで湿り気を帯びた自身のそれを重ねる。
(わ…、やわらか…)
そのふに、とした柔らかい初めての初めての感触に花梨は感動さえ覚えた。その柔らかさを堪能しようと、僅かに口元を離しては角度を変えて唇を重ねる。は、ふ、と時折息を切らしては触れて離してを繰り返し興奮と共に昂る熱をその身に溜めていく。それを端から見ていてじれったさを覚えたのか、口付けに夢中になる花梨に六花は言う。
「せんぱーい、そろそろ舌使ってもいいんじゃないですか」
茶々入れともアドバイスとも言えない後輩の言葉に、『煩いわね。分かってるわよ』と、視線だけで軽く反応してから、花梨はおっかなびっくりといった様子で舌先をゆかりの唇へと伸ばす。ちょん、と触れてから思わず引っ込めそうになるのを堪えてゆかりの反応を待てば、六花とのそれで実際慣れているゆかりは唇を薄く開けておずおずと迫る花梨の舌を迎え入れる。それに嬉しさと僅かな自信を得ると、花梨は段々と舌の動きを大胆なものへとしていく。唇と同じく初めて触れる他人の舌の柔らかく熱い感触に驚きつつも、思わず見開いた視線の先で自分に向けられたゆかりの微笑みに安心感を覚えた花梨は同時にもっと気持ちよくなってほしいと少々ぎこちなくはありつつもぬたり、と舌を絡める。二人の舌の温度はそのまま体温へと還元され首元や頬を赤く染める。
「ん、ちゅ…、れぅ…、せんせ…」
「んぅ、ちゅ…、むぅ…」
互いの熱が分かるくらいに舌を絡め合い二人は抱き締めあう。その温かさと快感に夢中になる花梨とゆかりに僅かばかりの申し訳なさを抱きながら、しかし六花はその口づけに待ったをかけた。
「花梨先輩。夢中になるのは分かりますけど、そろそろ肝心のセックスの方に移ったほうがいいですよ?保健室もずっと開けておけるわけじゃないですし」
後輩の行為を中断させながらの助言に、しかし花梨の反応はなかった。夢中になっていた口付けを止めたのだから文句の一つくらい出るかもと思ったのだがそれもない。
「…あの、先輩?」
「あ、そ、そうね!ありがと、六花!」
はっとしたように花梨はやや動揺した様子で六花に感謝を告げるとゆかりに「失礼します」と言って着ていた白衣をはだけさせる。更にその下、きっちりとした印象を与える襟元まで閉じられたワイシャツにまで手を伸ばしボタンを外そうとするのだが、どういうわけか伸ばした手は震えていて上手くボタンを外せない。その不安定な姿にゆかりもまた不安に駆られる。同時に心配を覚え、そのふるふると震える背に腕を伸ばしぎゅ、と抱き締めた。
「せ、せんせい?」
抱き締められた途端にびくりと身体を跳ねさせ、その後も小刻みに震えるのを隠せない花梨を安心させるようにゆかりは震える背中を撫でる。
「大丈夫ですよ、変にかっこつけなくても大丈夫です。どんな夏色さんでも私は受け止めますから、落ち着いて」
「…っ」
親が子にするように小さなその背を手が往復するにつれて花梨の身震いは治まっていく。落ち着きを取り戻していく花梨の様子に自らも安心感を覚えつつゆかりはなおも手を背を撫でる。その手の動きが止まるのと、花梨の唇がゆかりの頬に触れるのはほぼ同時だった。
「っ、ありがとうございます、先生。その、落ち着きました」
「よかった、です」
そう、ふにゃりと笑うゆかりを愛おしく思いながら、今度こそ花梨はワイシャツのボタンをひとつひとつ丁寧に手際よく外していく。そうして開かれた下着のみがその身を守るゆかりの上半身は息を呑むほどに美しかった。
「…綺麗、です」
その言葉にゆかりは恥ずかし気に視線を逸らす。そんな先生の姿に興奮を煽られつつ花梨は下着に包まれた胸を撫でる様な強さで揉みしだく。経験値もない、しいて言えば自分を慰めるときにいくらか豊満な己のそれに手を這わしたことしかない稚拙な愛撫であったが、そんな動きでもゆかりはいくらか快楽を得ているようでふ、と熱い吐息を漏らした。相変わらずチョロいなぁ、と六花はゆかりの快楽に対する閾値の低さに半ば呆れるが、花梨にすれば見様見真似の愛撫でも感じてくれると自信へと繋がる。次第にただ揉むだけだった行為もその動きに工夫を加えていく。自分でやる時はこうすれば気持ちいいと記憶を思い返しながら下着の中心を押し込むようにすると反応もよく漏れる声も僅かに大きくなるので堪らない。もっと、とベッドとゆかりの背中の間に手を差し込んで下着のホックを外して上にずり上げる。押し込んだ胸の中心はぷっくりと膨らみ快感を享受していたことを思わせ、それが花梨の興奮を更に煽る。衝動に任せて花梨はゆかりの少々薄くも確かに膨らんだ胸元へと顔を埋めた。そのまま舌を胸の中心に咲いた蕾へと這わせる。
「ふぁあっ!?」
「っ…!ちゅ、れぅ、ちゅる…」
「ぅ、ふ、はぁ…あっ!」
隔てていた布一枚が取り払われて訪れた熱く湿った刺激に跳ね上がった嬌声は花梨の理性を焼き切り、舌の動きもより激しいものとなる。もう一方の丘陵も寄せ集めの知識で揉みしだきその頂を指先でくりくりと弄ぶ。その快感にゆかりの口から漏れる声も自然と大きくなる。それが恥ずかしくもあり、声が漏れるのを抑える目的もあるのだろう、どうにか声を押し殺そうとしているがそれでもゆかりの口から零れる声は途切れそうにない。
「ちゅぱ、ちゅ…、はむ…」
「ん、ぅう…、あ…っ!」
「ふぅ…っ、そろそろ…いいかな…?」
そうしてゆかりの喘ぎに耳を傾けていた花梨であったが、先程キスに夢中になったのを反省したのだろう、胸を愛撫しながらその先にも意識を向けていた。
「ふぇ…、なつき、さん…?」
「結月先生…。そろそろ、下の方を失礼しても、いいですか?」
尋ねてはいるが花梨の左手は既にゆかりのスカートの留め具に触れている。もう下の着衣を脱がすつもりであるらしいと察したゆかりは、了承の言葉を告げる代わりに快楽が積もり動きの鈍った身体を捩らせて脱がしやすくすることで応えた。
「…ありがとうございます」
「ん…」
そう短く言葉を交わして花梨はゆかりのスカートを下ろす。そうして露わになった肉付きの薄い太腿のその奥、飾り気のない下着は既に濡れそぼっているのが分かって花梨はその事実に胸の高鳴りを覚えた。そうして、十分に水気を含んだそこに手を伸ばそうとして、
「…あの、花梨先輩」
「ん?」
「邪魔はしないので、結月センセにキスしたりしていいですか?…声とか漏れると、アレなんで」
手持ち無沙汰か興奮を煽られて耐えられなくなったか、幾分か余裕を失った後輩に阻まれた。
「…ん、いいわよ。なんなら、先生を気持ちよくさせちゃいなさいよ。そっちの方が先生にもいいだろうし」
「…そう、ですか。分かりました」
今まさにメインに手を伸ばそうとしてそれを阻まれる形になった花梨であったが、それを邪険にせずむしろその提案を受け入れて賛同した。それに僅かに驚きを覚えた六花であったが申し出を受け入れてくれたのなら拒む道理などない。夜光に誘われる羽虫の様にゆかりの元へと歩み寄っていく。
「それじゃあ、先輩…」
「ええ。…じゃあ、結月先生」
「「いただきます」」
自分のすぐ傍に陣取って頬を上気させながら熱い視線を送る二人の様子に、ゆかりは自分はどうなってしまうのかという僅かばかりの不安とそれ以上の与えられる快感への期待にごくり、と口内に溜まった唾を飲み込んだ。
「センセ、ちゅー…」
「ん、んむぅ…」
先ず六花がゆかりの口を塞いだ。先程までの花梨のそれとは違う慣れた手際で口づけをする。花梨の必死さとの違いに戸惑いながらも自然な様子で差し込まれる六花の舌の柔らかさに思考と身体が麻痺していく。経験ゆえの舌の動きの巧みさもゆかりの思考を快楽に染めていく一助となっていた。
一方の花梨も、六花の手際の良さに気後れしながらもベッドの上に投げ出されたゆかりの両足の間、快楽の蜜で濡れそぼった身体の中心へと身を寄せる。愛液で塗れその役割を最早失ってしまった下着をずらし、その奥でしとどに濡れて鈍く光る秘裂にくらりと眩暈さえ覚えそうになりながらそこへと指を伸ばす。
「…わ、あつ…!?」
「っ、んぅ、~~~~っ!?」
「ん、センセ、ちゅ…」
花梨は自身のそこを弄った時以上に感じるその熱い湿り気に驚きと感動を覚え、ゆかりは六花で遮られた視界の外からの突然の強い刺激に身体を跳ねさせ重ねられた唇の端から喘ぎを漏らす。その嬌声を自分達以外の誰にも聞かせまいと六花は離れた唇の隙間を自身のそれで塞いでしまう。一方で、自分も快感を与えたいと僅かに欲を覗かせた六花はゆかりの華奢な身体を抱き締めるように自らに引き寄せて、口付けをしながら身体を引き寄せていない右手をゆかりの薄い胸へと這わせ撫でるように揉みしだく。そんな六花の所作に関心と僅かな悔しさを覚えた花梨は、先程指先が触れただけで身体が跳ねた膣内の敏感なところを刺激しながらより感じるところはないかを目ざとく観察する。指先を丁寧に震わせて慎重に快感を与えてよりよいところを責める。そうして、
「ん、っ、!?」
「…あは」
一際ゆかりの身体が跳ね上がった。その反応で刺激を与えた花梨ももう一方の責めを任されていた六花も、花梨の指先がゆかりのとりわけ弱いところを捉えたのだと気付いた。そこからは早い。その一点に狙いを定め花梨は指を走らせる。六花も負けじと舌を絡ませる動きも胸に這わせた掌の動きもより大胆なものに変えていく。そんな刺激を与えられたゆかりは耐えられたものではない。快感に身を震わせて、眦から涙を流しながら迫りくる絶頂へと押し上げられる。
「イきますよね、先生?いいですよ、イってください…!」
「んぅ、~~~~~~~~~!」
花梨がそう言葉を零して、それとタイミングを合わせる様に一際強く六花が自分の身体を抱き締めたのとほぼ同時、ゆかりの意識は白く染められた。
***
二人にその身を委ね絶頂まで押し上げられるという教師としてあるまじき行為に及んで数日、件の二人からの音沙汰はない。あの行為をだしにしてまた性交渉をせがまれるのは当然困るが、かといって何一つ反応らしい反応がないのも不安になる。自分が何かあの二人に悪いことをしたかもしれないと思うと、彼女らの未来に対しての責任を感じずにはいられない。そんな不安を抱えて職務にも余り身の入らない日々をゆかりは過ごしていた。
「ゆかり先生、最近悩みでもあるんか?」
「…え?ど、どうしてです?」
「なんか、最近ぼーっとしてること多い気がするだけやけど…。今だって微妙に反遅れたやん。悩み事は早めに解決させた方がええよ?」
「あ、そう、ですね。でも、私の問題というか、そんな大きなものでもないので…」
同期で古文を担当している琴葉茜に気取らずしかし心配そうに言われ、思わず誤魔化してしまう。その対応に少々不満そうにしつつも「まぁ、なんかあったらいつでも相談乗ったるから。あんまり悩みすぎんなや」と昼ご飯休憩の時間を冷房の効いて快適な保健室で過ごした同僚は帰っていった。そんな茜に申し訳なく思いつつもゆかりはどうしたものかと思案に耽る。そうして、午後一番の始業のチャイムを聞きながら暫くぼんやりとしていたときだった。ガラリ、とノックなくいきなり保健室の扉が開かれたのは。
「え、な、夏色さん!?」
前触れなく突如として開かれたのもそうだが、他の教員から聞く限りは優等生として過ごし保健室での振舞いだって何一つ問題ないものだった花梨がそのように扉を乱暴に扱ったことに対して驚かずにはいられない。そうしている間にも、花梨は後ろ手にぴしゃりと扉を閉じ器用に鍵まで掛けてみせた。そのまま、とすとすと足早に椅子から立ち上がったゆかりの元まで歩いていく。そして、その肩に腕を回して、
「!?、ぢゅ、ちゅ…ふむぅ…!?」
困惑しているゆかりの身体を自らの方へぐっと引き寄せてその唇を奪う。それに驚愕するゆかりは抵抗の暇すら与えられず、花梨は唇の隙間から舌を挿し入れてゆかりのそれを奪う。一拍遅れて逃げようとするゆかりの舌を執拗に追いながら熱く絡ませる。その荒々しい口辱に生理的な涙を流しながら、ゆかりはその身から力を失わせていった。
「は…はぁ…、結月せんせぇ…」
ゆかりの身体から抵抗力が削がれていったのを花梨も分かったのだろう、もうゆかりが自分に支えられないと立てないまでに脱力したと判断した花梨は唇を離すと、ゆかりの身体を支えながら保健室の一番奥にあるベッドへと先生を運び半ば放る様に寝かせ、その上に馬乗りになった。
「な…、なつきさん…!おちついて…、どうして…!?」
動揺し殆どなすがままになりながら、どうにかゆかりは花梨に対して行為の意味を問おうとする。しかし、優等生の装束を脱ぎ捨て暴漢と成り果てた少女は苛立ったように鋭い視線を目を潤ませた先生へと向けた。
「はぁ…、先生が悪いんですよ…!?私に、あんなこと教えたから…!あれから、どんなに自分で慰めても、我慢が利かないんですよ…!?もう、結月先生を抱きたくて、しょうがないんです…!いいですよね、どんな私でも受け入れてくれるんですもんね!?」
「な、なつきさん…」
目をぎらぎらとさせながら息を荒くして自らに覆い被さる花梨の姿に、後悔の念をゆかりは抱いただろう。しかし、それは最早手遅れで。
「せんせい…!」
「な、んぅう…!?」
寝台の上に横たえさせられた愚かな保険医は、枷を外された、或いは自らが外してしまった少女に唇を奪われる。そうして二人が禁断の行為に及ぶ保健室の外、その扉に掛けられた「入室中」の札を裏返し「退室中」にした六花は溜息を付きながら視線を手にしたスマートフォンに移して保健室を後にして一人呟いた。
「ちょっと、やり過ぎたかもしれないなぁ…」