モカちゃんとお父さんがちょっとヤバい気がしますが、イギリスが悪いんです(風評被害)。
『あはは、ばれちゃったかー…。うん、そうだよ。私はゆかりんのことが、好き』
そう、探偵みたいにマキちゃんの秘密を暴き立てた時の私の感想は『あぁ、やっぱり』でした。だって、そう。一年生の頃から、マキちゃんがゆかりちゃんを見ている目は私や他の友達に向けるものとは違う、それよりもずっときらきらしたものでしたから。
16歳の秋頃、私はイギリスから小学校低学年まで暮らしていた日本へ戻ってきました。元々暮らしていた街はあの頃と大分変っていて、でも変わっていないところもあって寂しさも懐かしさも覚えたものでした。そして、どうにか不慣れな日本語の編入試験にも合格して私は無事高校へと編入しました。そうして、そこで再会したのです。
『モカちゃん、だよね?私のこと、覚えてるかな?マキだよ、弦巻マキ』
『…マキちゃん?あの、喫茶店のマキちゃん?』
『そうだよ!本当に久しぶりだね、モカちゃん!』
そう嬉しそうに笑う金髪の美人さんは、幼い頃に保育園と、小学校が一緒であった数少ない友人のマキちゃんでした。喫茶店の娘さんで、いつも元気で優しい娘。お母さんが亡くなって落ち込んでいた時期もあったけど、それでも『お母さんの分まで、お父さんのこと支えてあげるんだ!』なんて言ってたのを思い出します。そのくらい、暗くて落ち込んでばっかりの私には眩しくて強い娘でした。もう友達も覚えてないだろうな、なんてネガティブになっていた私にとって、とても嬉しい再会だったのです。
『あ、その娘が転校生ですか、マキさん?』
『あ、ゆかりん!うん、何とね、昔友達だった宮舞モカちゃんって言うの!紹介するね、モカちゃん!この娘はゆかりん!私の友達だよ!』
『へぇ、そうなんですか。凄い偶然ですね。それじゃあ、こほん。私は結月ゆかりって言います。宮舞さん…、いいえ、モカさん、でいいですかね?』
『あ、は、はい…。よろしくお願いします、結月さん』
『ゆかり、でいいですよ。むしろ、そっちの方がいいです。こちらこそよろしくお願いしますね』
そうして嬉しい再会を迎えた私に、もう一つの新たな嬉しい出会いが待っていたのです。名前の通りに綺麗な紫色の髪の彼女、ゆかりちゃんは中学校入学に合わせてこの街に越してきたらしい、現在のマキちゃんの親友でした。元より私が心配するような娘ではないのですが、友人であったマキちゃんが今も元気にやっているようで安心しました。ここで初めて知ったゆかりちゃんも、大人しめなようでいてとても面白い無邪気な娘で一緒にいて楽しい娘で、初対面な私にも優しく接してくれる懐の深さもある私の友達になんて勿体ないくらいの娘でした。そうして、私は友達もできずに高校生活を沈んだまま送るのでは、という入学前の不安とは打って変わって、入学初日にそれ以後の親友を二人も得るという幸運に恵まれたのです。
それからはマキちゃんやゆかりちゃん、それと二人の共通の友達と一緒に遊んだり、勉強に苦しんだりと私が送れないだろうな、なんて諦めていた青春を謳歌していました。暗くて英語も不慣れな日本人ということでイギリスでは碌に送ることの出来なかった日々に感動を覚えながら過ごしていたものです。
そんな日々の中、私は余計なことに気付いてしまいました。マキちゃんがゆかりちゃんを見る視線に違和感を覚えたのです。マキちゃんは殆どない怒る時の視線を除いて、とても綺麗な視線を他の人に向ける、という印象がありました。それは、小さな子供が綺麗な星や貝殻に向ける様な無垢なものでしたが、ゆかりちゃんに対してだけは違う、とこういうときだけ余計に働く私の直感が告げていました。マキちゃんがゆかりちゃんに向けるそれは、綺麗な傍ら無垢さから一つ育った憧憬ともどかしさを同時にはらんだ、例えば星に手が届かないと分かっていながらもその手を伸ばさずにはいられないといった様子だ、と私は感じたのです。そして、それが恋愛感情ではないかという考えに思い至るまでにそう時間はかかりませんでした。
そうして、私はマキちゃんに聞いてみたのです。音楽趣味が高じてたまにお邪魔させていただく様になった軽音楽部の部室掃除の途中、新入生の為にと張り切っていたマキちゃんと二人きりになったタイミングを見て、何となく尋ねてみたのです。
『マキちゃんってゆかりちゃんのことよく見てるけど、もしかしてゆかりちゃんのことが好きなのかな?』
本当に、何となく、といった風を装って。でも、揶揄うことはしたくなかったので、ちょっと真剣な感じを含んで尋ねました。
『あはは、ばれちゃったかー…。うん、そうだよ。私はゆかりんのことが、好き』
そうマキちゃんが苦笑した様子で、でもある程度の覚悟を含んだ様子で言ったのを私は感じたのです。日本ではイギリスよりも同性愛に対して偏見が強いのは知ってたから、マキちゃんがそれを分かったうえで私が受け入れるか否かを待っているのは、少しの不安が混じった強い視線からよく分かって。
『うん、何となく分かった。…協力する、マキちゃんの恋を応援するよ。私はマキちゃんの友達だからね』
だから、私は大好きな二人が幸せになれるように、二人の間を取り持てれば、と思って精一杯上手く微笑みながらそう告げたのです。
***
そんなやり取りがあった四月から、私はゆかりちゃんにさりげなく、でも精一杯マキちゃんのことをアピールしました。
『いやぁ、新入生歓迎会の部活紹介の軽音部すごかったねぇ』
『本当に。マキさんお疲れさまでした』
『ははは。ちょっと恥ずかしいけれど、でもありがとう。あぁ、楽しかった』
『マキちゃんかっこよかったよ。後輩の娘とか、好きになった娘もいたりしてね』
『えぇ!?ちょっとやめてよぉ、モカちゃん。私はそんなにかっこよくなんか…』
『そんなことないですよ、とってもかっこよかったです、惚れちゃうくらい。ねぇ、モカさん?』
『ねぇ、ゆかりちゃん?そう思うよね?』
『も、もう…、揶揄わないでよぉ…』
さりげなく、マキちゃんがかっこいいなんてアピールをしたり。
『ねぇ、ゆかりちゃん。ゆかりちゃんの好きな人ってどんな人なの?』
『んっ!?…突然ですね。なんですか?ゆかりさんに恋バナなんて無縁もいいところですよ?』
『たまにはいいでしょう?…私は、女の子が好きなこともあったなぁ、って思って、ね』
『ほう、流石イギリス住まい…、進んでますねぇ』
『もう、言い出したのは私だけどあんまり揶揄わないでよ…。ゆかりちゃんはどう思う?』
『いいと思いますよ?ゆかりさんは好きになったんなら性別なんて関係ない派ですから』
たまに恋バナをひっかけて、ゆかりちゃんが同性愛に比較的寛容なことを探ったり。
『そういえば、ゆかりちゃん知ってるかな?マキちゃん、後輩の女の子から告白されたらしいね』
『あー…、そうらしいですね。全く、私達というものがありながら。ゆかりさんおこですよ』
『まぁ、マキちゃんは断ると思うけど…。やっぱり人気あるんだね、マキちゃんって』
『…まぁ、マキさんがかっこいいのは事実ですからね。それでいて誰にでも分け隔てなく優しいんですから、男女問わず人気者ですよ。それこそ中学生の頃からです』
『へぇ、流石だねぇ。幼馴染?としては鼻が高いやら、ちょっと嫉妬しちゃうやら』
『…ところで、なんでマキさんが断ると思ったんですかねぇ?幼馴染としての勘ってやつですか?』
『へ?い、いやいや、そんなことはないよ!何となくそう思っただけで!』
『いやぁ、ゆかりさん羨ましいなぁ。モカさんには私の知らないマキさんの一面があるなんて』
『(やった…、かな?)』
後輩の娘達と、何故か私にもやきもちを焼いてもらったり。
そんなやり取りが楽しくて、マキちゃんとゆかりちゃんの幸せが近くなっていってると思ったら嬉しくもありました。…だけれど、それが苦しいと感じ始めたのはいつからだったでしょうか。
『テストも終わりましたし、久しぶりにゲーム三昧といきませんか?いいレトロゲームが手に入りましてね』
『あー、いいね。ゆかりんち一人だもんね。たまには徹夜でゲームでもいいかも』
『…あー、ごめんね二人とも。私、今日は帰らないとなんだ。お父さんが久しぶりに帰ってくるって言ってて…』
『えー?モカちゃんのお父さんが帰ってくるのって来月って言ってませんでしたっけ?』
『それが、家に忘れ物したから取りに帰るついでに泊まっていくんだって。もう、急に言うから私も困っちゃう。…それだから、たまには二人っきりで、デート?なんかしてみれば?』
『デートって…。そんな甘酸っぱいもんじゃないと思いますけど』
『ま、まぁまぁ。それなら仕方ないな、じゃあ私だけでお邪魔しようかな?』
『むぅ…。それじゃあ今度、モカさんが一緒でも楽しめそうなゲーム見繕っておきますね』
『うん、ありがとうね。じゃあ、また来週学校で』
『あ、うん…。ありがとうね』
そう小声で言ったマキちゃんに親指を立てて送り出して、一人誰もいない自宅へと帰ります。誰もいない家の暗い廊下を歩いて、音のない自室のベッドに身体を沈めて。お父さんは来月まで帰ってこないのだから、夕食を取らないところで咎める人もいないのだから、なんて怠惰な考えに身を任せます。それでも、二人の為を思えば、こうして身を引いて二人きりの時間を作るのも大切だと分かるのですが、それでもやはりこのまま二人が私を置いて行ってしまうのではないかと思うと物悲しさを感じます。二人とも優しくて、私なんかと違って気遣い上手だから私を置いて行く筈ないと分かっているのに、もしも二人だけの世界が作られてしまったら、今の関係が変わってしまったらと思うと、それが怖くて堪らないのです。たまに、イギリスで手に入れたクスリに手を出す日も出てきて、いよいよ私はダメになってるな、なんて自嘲してしまう夜も日本に帰ってきてしまう前のように増えてきてしまっていました。
***
そうして、二人の背中を押しながら孤独感を誤魔化す日々が幾らか続いた秋。丁度、私が学校に通うようになって一年経ったくらいでしょうか。文化祭最終日の前日、だから三日前。マキちゃんから一通のメッセージが届きました。
『決めたの。後夜祭のステージやったあとにゆかりちゃんに告白しようって。どう思う?』
文面から分かる、マキちゃんの不安な表情。私の答えなんて一択でした。
『いいと思う。頑張って!応援してるよ!』
そう、文面を作っている手が震えてるのに気付かないふりをしながら私はメッセージを送ります。ありがとう、と返ってきたスマホの画面に雫がぽたりと落ちたのを見て、私は漸く自分が泣いているのに気付きました。そのまま、翌日の文化祭。私は上手く笑えていたでしょうか?一昨日のことなのに、もう分かりません。後夜祭を見て回ろうと言ったゆかりちゃんの返事を上手く断れていたでしょうか?もう、何を言ったかすら覚えていません。もう、帰りは走って、クスリに逃げる余裕もなく、ただ暗い部屋で眠りについたことしか覚えてません。
そうして枕を濡らした翌日、起きて充電が切れかけのスマートフォンを見て、マキちゃんからメッセージが来てないのを見て。あぁ、私は安心したのです。恐らくマキちゃんの告白が失敗したそのことに仄暗い悦びを覚えることもなく、心の底から悲しんでいるマキちゃんを想って同じように悲しくなる自分は、まだ性根は腐っていないということに。
ただ、マキちゃんになんと声を掛ければいいか分からず、ゆかりちゃんを責めることなんてできるわけもなく。ただ、機械的に登校日を待つだけの昨日を過ごして、もう一日待たないといけないのか、とベッドの上で体育座りをしながら時間が経つのを待つだけの今日。おひるごはん、食べてないななんてぼんやりと考えていたところに、ピンポーンとチャイムが鳴ったのです。誰だろう、マキちゃんかな?私に泣きつきにでも来てくれたのかな、いっそそれならどんなにいいかな、なんて思いながら重い脚を引き摺って玄関を開くと、
「どうもこんにちは、です。…お邪魔しても大丈夫、ですか?」
そこにいたのは、最も意外な人物、ゆかりちゃんだったのです。
***
「紅茶でいい、よね?私の家に珈琲はないから…」
「それでいい、ですよ。すみません、連絡もなく押しかけて…」
「気にしないで?それに、ゆかりちゃんが前触れなく来るのはいつものことだし」
「むぅ…、それは、そうだったかもですけど…」
そう頬を膨らませるゆかりちゃんですが、どこかぎこちない雰囲気を纏っているのを、こういうときだけ無駄に勘のある私は気付いてしまうのです。お土産もそう。普段ならマキちゃんがいないときでもマキちゃんの喫茶店で買ってくるクッキーが、今日は確か駅前のケーキ屋さんのお菓子の詰め合わせでした。多分、顔を合わせられなかったのでしょう。
「…それで、ですね。マキさんに、告白されたんです」
「…そう、だよね」
「…モカさんも協力してましたよね、きっと。後夜祭回るのを断った時、雰囲気が違ったのも、きっとそうだったんでしょう?」
「…うん」
その話題だけで、空気がひとつ重くなりました。
「…ゆかりちゃんはさ、マキちゃんのこと、嫌いだった?」
「いえ、全然。…じゃあ、なんで断るのかって話ですよね」
「うん。ゆかりちゃんは同性愛なんて関係ないって言ってたよね。あれは、嘘だったの?」
ああ、駄目です。つい、責めるような口調になってしまう。私は、やっぱり二人みたいに優しくなれないみたいです。
「…いえ。私は、マキさんのことは、好きです。きっと、恋愛的な意味もあるかもしれません」
「…!じゃあ、なんで」
「でも、モカさんも同じくらい大事だって思ったんです」
ぴしり。私の中で、何かヒビが入った心地になりました。
「…一昨日、告白された時に思ったんです。ここでマキさんの告白を受けることは簡単で、でもこれを受け取ってしまったらモカさんはどうなるんだろうな、って。」
「きっと、これまで頑張ってくれたモカさんにとって、裏切りになるのではないか、って考えもよぎったのですが私には納得できませんでした。私達三人でずっといて、それでモカさんだけ置いて、私とマキさんだけ幸せになるのって間違ってるって」
「だから、マキさんには少し待ってほしい、モカさんとも一緒に幸せになる方法がもっとあるはずだからって。本当のベストな方法を見つけられるか分からないけど、やってみたいなんてお願いしたんです」
「…だって、私にはモカさんも大切な仲間、なんですから」
ぱりん。私の中で、きっと、これまで堪えていた何かが完全に割れてしまいました。
そっか、私も我慢しなくていいんだ。幸せを願っていいんだ。…もう、止めないよ。
「…ありがとう、ゆかりちゃん。…まぁ、これまで頑張ったんだけどなー、なんて思いはしなくもないけど」
「ぐ…。そう、ですよね…」
「でも、私のことを、私達のことを想って、だもんね。きっと、マキちゃんも分かってくれるよ。私も、頑張るね。…あ、そうだ。紅茶のティーパック、昨日買ってきて部屋に置いたままだった。ちょっと、取って来るね」
「あ、ありがとうございます」
そう言って私は、紅茶とは関係ないいつものクスリを手に隠して。キッチンに戻ってきた私は、いつもの様に紅茶を淹れて、両方にそれを入れたのです。さらさらり、からころり。白い粉末は琥珀色の液体に綺麗に溶けて見えなくなりました。
「はい、お待たせしました。どうぞ」
「あ、ありがとうございます。すみません、お手伝いもせずに…」
「いいのいいの、気にしないで」
私は満足して、リビングで待つゆかりちゃんに持っていきます。そうしてゆかりちゃんが一口飲むのを待って、私も紅茶に口を付けました。ある程度慣れている私とは違って、ゆかりちゃんはきっと。
「…ね、ぇ。モカさん…。気のせいですかね…、暑くないですか?」
「うーん、そうかなぁ?私はまだ、そうでもないけど」
「いや、きっと気付いてないだけです…。って、モカさん?まだって…」
「うぅん、そうだね。じゃあ、熱くなりすぎる前に一緒に行こうか」
「ど、どこに…?」
「うん、こっちだよ」
そうして、少しの熱を感じつつ椅子から立ち上がった私はゆかりちゃんの手を引いて同じように椅子から立ち上がらせます。その身体は私よりずっと熱く、やっぱりクスリの力はすごいな、なんて思いました。ゆかりちゃんも漸く何かされたことに勘づいたのか、危機感を覚えて抵抗しようとするのですけれど、私のしたことを差し引いても同じくらい、何なら少しだけ小柄な私に全然抗えてないのを見ると優越感を通り越して心配すら覚えます。そうして、最早私に促されるようにしてゆかりちゃんは私の部屋へと通されてベッドの上に横たえられました。
「も、モカさん…、なにを…」
「ゆかりちゃん、私ね、ずっと我慢してたんだ。マキちゃんとゆかりちゃんとずっと一緒にいれたらどんなにいいかって…。でも、ゆかりちゃんも同じ考えだったら話は早いや。一緒に、マキちゃんも一緒にずっと三人で仲良く生きようよ」
「そ、それと、これはなんの関係が…」
「うん?私、思うんだ。マキちゃんはああ見えて結構頑固だから、二人で説得するようにしないと中々首を振ってくれないんじゃないかって。だから、それまでにゆかりちゃんにはとりあえず一晩だけど少しでも慣れてもらった方がいいかなって。…大丈夫だよ?気持ちよくなって、少しの間それしか考えられなくなるくらいなだけだから」
「…っ!ま、まって…、そんなのらめですって…!」
「はは、もう呂律回ってないじゃない。…大丈夫、怖いのは最初だけ。私に、任せてほしいな?」
「ひぁあっ…!?」
そう言いながらゆかりちゃんのゆったりとした服を脱がせれば、細身で綺麗な裸体が晒されて、クスリで火照った体温が更に高まるように感じました。その熱に浮かされたまま薄く汗が滲む鎖骨に舌を這わせれば、舐められたゆかりちゃんは高い悲鳴を上げながら身体を震わせました。やっぱり、お父さんから渡されたクスリは凄い効果があります。
「うーん…、私の方が少しおっぱいは大きいかな?まぁ、マキちゃんのあれと比べるとどっちも小さいんだけれどね」
「あ…っ、あぁっ、や、やぁ…」
「や、じゃないでしょ、ゆかりちゃん?気持ちいい、でしょ?ちゅ、あむ…っ」
「はぁあんっ!?」
小さくて薄い、けれど確かな柔らかさも感じる胸を揉んで、舐めて、咥えて。優しく、でも気持ちいいくらいに強さは残して。その度に悲鳴じみた嬌声を上げるゆかりちゃんに、こういう器用さはお父さんから習った甲斐があったなぁなんて思いました。そうしてゆかりちゃんを気持ちよくしているうちに、まだ着せていたズボン、その留め具を緩めた隙間から覗く下着が湿っていたことに気付いたのです。
「ゆかりちゃん、気持ちいい?」
「…っ、き、きもちいぃ、です…っ、うんぅっ!」
「下の方…、触ってほしくない?」
「ぃ、ほしい、です…」
「うん?ちゃんと言ってくれないと分からないよ?」
「やぁ…っ!さわって、さわってくださいぃ…!」
「あはは。いいよ、一緒に気持ちよくなろうね、ゆかりちゃん」
そう言って、私はゆかりちゃんを全身丸裸にするとすっかり濡れそぼったゆかりちゃんの秘唇に手を這わせます。
「ひゃあっ!」
可愛らしい喘ぎが飛び出るのを微笑ましく思いながら、深いところには触れないように、まだある筈の乙女の証は守るように浅いところの良いところだけに触れるようにして、ゆかりちゃんを頂まで導きます。
「あっ、あっ、あぁっ、あぁあ…っ!」
「…っ、ゆかりちゃんっ、ちゅ、れる、んっ…」
段々と高く短く高まっていく嬌声が漏れ出る薄く綺麗な唇に自分のそれを重ねそうになるのをぐっと堪えて、慎ましくも柔らかい丘陵の頂点に立つ色素の薄い蕾ともう洪水と言って差し支えない程に濡れに濡れた秘孔を堪能しながら、最後にゆかりちゃんの入り口近くのざらりとしたところを少しだけ強く押しました。
「は、ぁ、あああぁああああっ!!」
そんな、耳心地いい高い声を上げながら、ゆかりちゃんはその身体を弓なりに反らせながらベッドに身体を沈めました。まだ、快楽でぴくぴくと身体を震わせるゆかりちゃんの可愛らしい横顔を眺めながら、指に絡みついた愛液を舐め取ります。甘い、と感じるのは錯覚なのでしょうか。私のは少し酸っぱいと感じるのに。マキちゃんの味も気になるな、なんて思いながら、ティッシュを取ろうかと立ち上がってすぐにぎゅ、と裾を握る弱弱しい力に阻まれます。
「…っ」
「どうしたの、ゆかりちゃん?気持ちよくなかった?」
「…っと」
「…うん?」
「もっと…、もっとくらさい…。きもちよくして、ください…」
「…ふふっ、いいよ。気持ちよくなろうね。明日はマキちゃんを気持ちよくする番だから、目一杯慣れないとね?」
「は、い…」
そう言って縋るようにこちらを抱き締めてくる軽い身体を愛おしく思いながら、それでもあまり触れ過ぎないように、特に唇は奪わないように自制しながら、私はゆかりちゃんを浅く、されど出来る限り深く快楽の海に沈めるのでした。
***
「やっほー、大丈夫?どこか具合悪かったんじゃないの?来てって言ったから来たけどさ」
「まあ、少し風邪っぽかっただけだよ。今は落ち着いたから、よかったら上がってって」
「いいの?じゃあ、お邪魔しますよー、っと」
翌日、私は学校を休みました。そうして、心配してメッセージを送ってきたマキちゃんに『今は大丈夫だから来てよ』なんて白々しいメッセージを送ってマキちゃんを私の家まで誘いました。何の気なくいつもの様に振舞うマキちゃんですが、その笑顔の下に出来た隈を私は見逃しません。やっぱり、ゆかりちゃんの返事が大分堪えたのでしょう。
「もー、びっくりしたよ。文化祭明けて学校行ったらゆかりんもモカちゃんも休んでるんだもん」
「へぇ、ゆかりちゃんも学校休んだんだ」
そんな話をしながら、昨日のように私はお湯を沸かしました。やかんが鳴るより少し前に火から下ろして、昨日と同じように紅茶とクスリを混ぜていきます。からころり、とティースプーンを回します。マキちゃんの分は1.5倍だからよりしっかりと。
「…まぁ、きっと私の告白が原因だろうけど、ね?やっぱり、ちょっと早かったかな?」
「…そんなことないと思うよ、多分。これでも飲んで、ね?」
「うん、ありがとう、モカちゃん…」
きっと断られた原因の私も恨んでないマキちゃんは、私の考えも露知らず無警戒にカップを受け取って口を付けました。それで浮かんだ仄暗い笑みを隠すように、私もカップに口づけます。これで、もう引き返せません。いや、引き返す気もありません。
「…ゆかりちゃんね、私の気持ちは嬉しいって言ってくれたんだ」
「うん…」
「でも、モカちゃんとも一緒に幸せになりたいって…」
「…うん」
「だから、さ。今まで応援してもらってばっかりだったけど、私もモカちゃんの為に何か幸せにできることを考えないとって思ったんだ。…まぁ、私の為でもあるんだけれども。卑怯でごめん、ね?」
「そんな、卑怯なんかじゃないよ。…私の方が、よっぽど卑怯だもん、ね」
「?モカちゃん、それってどうい、ぅ…?」
そう言って顔を上げたマキちゃんの身体が椅子から滑り落ちて、そのままカーペットの上へと崩れ落ちました。それに疑問を覚えるよりも早く、乱れていく呼吸にマキちゃんも漸く違和感、いいえ危機感を覚えたのでしょう。私の方に疑惑と警戒の視線を向けました。初めて向けられたその視線は、しかし呼吸も荒れて力も幾分か抜けた今の様子だとあまり怖くありません。
「モカ、ちゃ…。なに、これ…!」
「ふぅん、やっぱり1.5倍だと効き目が全然違うね」
「き、効き目って…!」
「ごめんね、マキちゃん。私、悪い娘なの。こんな感じでクスリ混ぜちゃうんだもん。…でも、私の為を思うんなら許してほしいな」
「なん…、クスリって…」
「気持ちよくなるクスリ。お父さんがイギリスにいる頃に買ってくれたやつで、これを飲むと不安だったり落ち込んだりしてる気持ちも全部忘れられるの。もう、頭が幸せな気持ちでいっぱいになるの。今は全然ないけど、これを使ってお父さんとえっちするの気持ちよかったなぁ」
「な、なにそれ…」
マキちゃんは信じられないものを見るように私に驚愕の視線を向けました。私も自分がおかしいことは自覚しているので、殆ど気になりませんがやっぱりこれを教えるのは全然慣れません。まぁ、今は関係のないことですが。
「これで、一緒に幸せになろうってことだよ、マキちゃん?気持ちよく、幸せになって一緒にいればいいんだよ?ね、いいでしょ?」
「い、いや…、そんなの、おかしいよ…」
「えぇ?…でも、ゆかりちゃんはいいって言ってくれたよ?」
「ぇ…?」
「ね、ほぉら…」
「ま、マキさん…!」
「ゆ、ゆかりん…!?」
何度目か分からない困惑の視線を受け止めながら、私は自分の部屋の扉を開けました。それが完全に開ききる前に、『私が扉開けたら我慢しなくていいよ』と少し待ってもらっていたゆかりちゃんは扉を押し開けてマキちゃんに飛び付く様に迫ります。昨日の半分の量でも、体が軽いゆかりちゃんには十分興奮剤として機能しているようで、この様子なら上手くいきそうです。
「モカちゃん…、これ、どういうこと…!?」
「実は昨日ね、ゆかりちゃんが家に来てくれて、同じことを言ってくれたんだ。『三人で幸せになろう』って。だから、一緒にマキちゃんを説得して気持ちよく一緒にいようってお願いしたんだ。…御覧の通り、ゆかりちゃんは受け入れてくれたよ?」
「そんな…、クスリつかって、無理矢理したんじゃ…」
「クスリは使ったけど…。それってそんなに悪いことかな?みんな、幸せになれるんだよ?」
「マキさん…、マキさんもいっしょに、きもちよくなりましょ…?」
「ゆかりん、落ち着いて…!クスリで言ったって、そんなの…!」
「ごめんね、マキちゃん…。でもね、私、マキちゃんみたいに強くないの。多分、ゆかりちゃんも。三人の関係が変わってくのが怖くて、だから、私達はずっと一緒っていう証が欲しいの。それがクスリと快楽っていう不確かなものでも、何か縋れるものが欲しいんだ…、ごめんね?」
「そんな…!」
「マキさん、ちゅー…、ちゅーしましょう?モカさん、してくれなくて…。初めてはマキさんにとっといて、って。きのうからしたくて、したくてたまらなかったんです…。ほら、ちゅー…」
「んぅ…っ!?」
私とマキちゃんの問答を遮って、ゆかりちゃんは長い間されたお預けを解かれたワンちゃんみたいに、噛みつく勢いでマキちゃんの唇を奪いました。昨日のゆかりちゃんよりずっと理性的に見えて口でも抗議していたマキちゃんですが、身体の方はもう気持ちよさに屈したくなっていたのでしょう。抵抗する力は碌になくて、ゆかりちゃんを引きはがせないようでした。そのまま、マキちゃんの唇を舌で舐めて深い口づけをしようとするゆかりちゃんを横目に、私はテーブルにひっそりと置かれたアロマキャンドルに火を付けます。あまりにぽつんと置かれていたからマキちゃんも触れなかったそれは、クスリと同じところで売られていた興奮とか媚薬の作用のある特別製。数えるほどしか使ったことはないけれど、クスリと一緒だととっても気持ちよくなれるものです。
「ぺろ、ちゅ…。マキしゃん…。んぅ…、ちゅ、れる…!」
「んむ…っ!ちゅ、れる、ちゅる…」
「あは…。気持ちいいよね。大好きだったゆかりちゃんとのディープキスだもんね?」
キャンドルの火が揺らめき始めた頃、マキちゃんの防壁はゆかりちゃんに突破されて二人の舌は絡み合っていました。恍惚の表情でマキちゃんの口内を蹂躙するゆかりちゃんの舌に、マキちゃんは抵抗も忘れてすっかり溺れているようでした。その邪魔をなるべくしないように、私はマキちゃんの制服を剥ぎ取っていきます。少しの間も気持ちよさを享受していたいゆかりちゃんに何度か不満げに睨まれるのを申し訳なく思いながら、でも、これよりもっと気持ちよくなるために必要なことですから、どうにか苦戦しながらもショーツと靴下以外を脱がせることが出来ました。どこかフェチズムを感じそうな服装に仕上がったなんて少し笑いながら、私も服を脱いで裸になりました。ゆかりちゃんも裸だったので、もう服装は準備万全といった様子です。
「ほら、ゆかりちゃん。マキちゃんのおっぱい、とっても大きいよ?ふかふかで気持ちいいよ?」
「マキさん、おっぱいの、ふくらんでますよ…?きもちよくしますね…?ちゅ、ぺろ…、ちゅ、ちゅ…」
「や、やぁ…!だ、だめだよぉ…!こういうのは、ちゃんと、恋人どーしで…」
「こんなとろけた顔で言っても、説得力ないよ、マキちゃん…?もう、あきらめて、きもちよくなろーよぉ…?ちゅ、ちゅる…」
「ひゃぁ…!?み、みみ、だめぇ…!」
リビングにあったソファに寄りかからせるようにして荒くなった呼吸を整えようとするマキちゃんの大きくて柔らかいおっぱいをたぷたぷと揺らしてゆかりちゃんを誘ってみると、それに応じたゆかりちゃんはマキちゃんの胸元に顔を埋めてその柔らかさに恍惚としながらその白肌に舌を這わせました。ふんふんと鼻を鳴らしてその匂いを堪能しながら、舌をふっくらと起ち上がった乳首に伸ばしてそのまま唇で挟みます。赤ちゃんがおしゃぶりを咥えるみたいにちゅぷちゅぷと音を立てて吸い上げると、その度にマキちゃんの口から跳ねる様な嬌声が響きます。そこまで気持ちよくなっても抵抗するマキちゃんを説得するために、私は空いている耳へと舌を伸ばしました。そのまま融かすように舐め上げると、マキちゃんは思ったよりずっと敏感だったようで、喘ぎが一層高くなったように感じます。これならきっとうまくいくだろう、とアロマの匂いで興奮を煽られてぼんやりし始めた思考で考えます。じわり、と愛撫されていない自分の秘所が熱く湿り始めたのを感じて、そろそろかな、とマキちゃんに残っていた数少ない衣類であるショーツを見てみればじっとりとお漏らしでもしたように濡れそぼっていて、とても下着の役割は果たしていませんでした。思わず零れる笑みを隠すこともせずに、私はマキちゃんのショーツをずり下げて、しとどに濡れた秘孔を晒します。ゆかりちゃんもそれに気付いたようで、マキちゃんのぐしょ濡れの大事な箇所に興奮した視線を向けました。
「マキさん、ぐちょぐちょですよ…?きもちよかったんですね…?」
「ゆかりちゃん、やったね。ほら、マキちゃんも、もう我慢しなくていいんだよ?」
「やぁ…」
「…強情だなぁ、もう。でも、そういうとこもマキちゃんらしいね」
羞恥と快楽で顔を真っ赤にして瞳をこれでもかと潤ませて、それでも最後の一線は超えないように踏ん張っているマキちゃんは、きっと私と違って正しく、私達のことを想ってくれているのだという確信があって、そんなマキちゃんも好きだなと火照った頭で考えました。でも、弱い私はそれでは満足とか我慢が出来ないんです。だから、私はゆかりちゃんと視線を合わせて、最後の秘策に出ます。
「マキちゃん?マキちゃんは、やっぱり強いね。私、こんなことしてるけど、そんなマキちゃんも大好きだよ。…だから、選んでほしいな?」
「んぇ…?えらぶ…?」
「そう。…ね、ゆかりちゃん?」
そう言ってゆかりちゃんを見た私の視線につられて、マキちゃんもゆかりちゃんを見ました。そうしてすぐに、信じられないものを見る表情を浮かべたのです。そこにいたのは、マキちゃんに負けないくらいに濡れそぼった秘唇に指を這わせて、ちゅこちゅこと不器用な私よりもへたっぴな愛撫でマキちゃんを誘うゆかりちゃんだったのです。
「ここで私達とえっちしないって言うなら、それでもいいよ?でも、そうしたら気持ちいいのはお預けしちゃう…。でも、えっちするっていうならゆかりちゃんと一緒に気持ちよくなっていいよ?マキちゃんって、貝合わせって知ってるかな?マキちゃんとゆかりちゃんの、濡れてる気持ちいいとこ同士をくっつけてぐちゅぐちゅ擦り合ってとってもきもちよくなっちゃうえっちだよ?したいよね?大好きなゆかりちゃんと、ぐちゅぐちゅになりたいよね?」
「ぅ、う~~~~っ!」
ゆかりちゃんの艶姿に視線を奪われてすっかり興奮した様子のマキちゃんは、快楽と理性の葛藤に苛まれて涙を流しながら普段のマキちゃんはまず上げない唸り声を上げて苦悩していました。そのどちらにも行けない苦悩のシーソーを傾けたのは、やはりというかマキちゃんの大好きなゆかりちゃんでした。
「…マキさん、もう、がまんしなくていいですよ?いっしょにぐちゅぐちゅしましょ?そのあとで、さんにんで、いっしょになかよく、きもちいいことして、しあわせになりましょ…?」
「ゆ、ゆかりん…」
「…それとも、わたしたちじゃ、だめ、ですか?」
ずるいなぁ、なんて思わず苦笑しちゃいます。大好きな女の子にこう言われて、断れる人がどれだけいるでしょう。そのまま、数度視線を彷徨わせて少しの間俯いたマキちゃんは、ぽつりと呟きました。
「…くなりたい…」
「…うん?どうしたの、マキちゃん?」
「ごめんなさい…!私も、きもちよくなりたい…!ゆかりんと、モカちゃんと…、さんにんで、きもちよく、しあわせになりたい…!だから、ぐちゅぐちゅ、して!いっしょに、きもちよくしてぇ!」
「っ、マキさぁん!」
その言葉に弾かれた様にして、ゆかりちゃんがマキちゃんに覆い被さりました。そうして、私が教えたとおりに脚を交わらせて二人の鼠径部が重なるように腰と腰を重ね合わせると、殆ど本能のままに腰をぶつけ合います。
「あ、あぁっ!きもちいぃ、きもちぃよ、ゆかりん!」
「マキ、さんっ!マキさぁんっ!」
「ふたりとも、いいよ…!幸せそうで…!ん、ちゅ…!」
「ひゃあっ!モカちゃん、いきなりは、らめぇっ!」
そう外聞もなく、汗も涙も愛液も、何もかもを乱して快楽に溺れる二人の姿は、私がずっと願っていたもので。それが嬉しくて、二人に恩返し出来たらと、マキちゃんのふくよかな胸に顔を埋めて、漸く折れてくれた数年来の親友に快楽をプレゼントします。ゆかりちゃんの与える刺激以外でも気持ちよくなってくれて、私のリソースの少なくなった脳みそが更に幸福で満たされて、もうどうにかなりそうでした。もしくは、既にどうにもならないところまで辿り着いてしまったのでしょう。
「もう、ゆかりん!いく、イッちゃう!イこ?いっしょにイこう?ゆかりん!」
「は、い!イきましょう!マキさん!」
「んちゅ、いいよ!イッちゃえ、二人とも…!マキちゃん…、ちゅうぅっ!」
「「あ、あああああああぁっ!!!」」
そうして、感極まったように互いの名前を叫んだ二人は、私がマキちゃんの胸の蕾を一際強く吸ったのに合わせるようにして、今日一番の喘ぎ声を上げて身体を震わせて絶頂へと辿り着きました。そのまま、身体をがくがくと小刻みに揺らしながら緩み切った表情を浮かべて絶頂の余韻に浸る二人は、幸せ以外の何物でもないでしょう。そんな二人を眺めて幸せに浸っていた私でしたが、ぐっと身動ぎした途端にぐちゅり、と意識の外で着々と積み上げられていた快楽に気付かされました。急に自覚してしまった身を焦がす堪えようもない情欲をどうにか治めようと、私は、とっくに洪水の様相を呈していた自らの秘所へ手を伸ばして、触れるはずだったのです。
「…ちょっと、まってください」
それをぱしり、と止めたのは、快楽に蕩けていた筈のゆかりちゃんの手でした。驚いて顔を上げると、私の視界には微笑みとは少し違う、不敵な笑みを浮かべたゆかりちゃんとマキちゃんがいました。二人とも少し疲れた様子でしたが、そんなことは気にはしていないようでした。
「なに、ひとりで気持ちよくなろうとしてるのかな、モカちゃん?」
「そう、ですよ。…私たちをきもちよくしてくれちゃって、それなのに、じぶんはひとりでなぐさめる、なんてみずくさいまね、わたしたちはゆるしませんよ?」
「…え」
「わたしたち、モカちゃんよりへたかもしれないけどさ、モカちゃんをきもちよくさせられるように、がんばるから…!」
「そうです…、さんにんでしあわせに、ですよ…!」
そうして、私は気持ちよさに脳を灼かれた、灼いてしまった二人に迫られて覆い被さられて、そのまま薄暗く甘い香りに満ちた部屋の真ん中で大好きな誰かが与えてくれる快楽の幸せを味わわせられてしまったのです。
***
「ゆかりん、モカちゃん、今日は部活ないから三人で帰ろう?」
あの夜の後、私とゆかりちゃんは二日続けて、マキちゃんもその日は学校を休みました。その二日間で、残っていたクスリも半分使ってしまうくらいに快楽に溺れた私達はすっかり変わってしまいました。周りにはそう思われないようになるべく隠していますが、それでも三人一緒にいる時間は以前よりずっと多くなったように感じます。それに、スキンシップも多くなりました。時に、周りから引かれるくらいに、マキちゃんもゆかりちゃんも手や腕を絡めたり、抱き着き合ったり。それで、以前より距離を置かれるようになったこともありますが、それでむしろ私達は強く結ばれた様に感じられました。
「…二人とも、明日とか予定ある、かな?」
そう言ったマキちゃんの熱の籠った視線を、私とゆかりちゃんは同じくらいの熱情を抱きながらしっかりと受け止めます。
「私は、ないですよ。モカちゃんは?」
「私も。…じゃあ、今日も私の家でいいかな?」
「うん。…今日は、誰が最初に気持ちよくなる?」
そう、熱っぽい笑みを浮かべて呟くマキちゃんに、自然とお腹の奥が熱くなるのを感じました。ふぅ、と熱い吐息を漏らしたゆかりちゃんもきっと似た想いでしょう。あの時のクスリは勿論、あれからお父さんに相談して仲介してもらった新しいモノもまだまだ試したい私からも、これからも誘うことはあるのでしょう。ゆかりちゃんも、ひとり暮らしの身を利用して私達の快楽の場を作ってくれたりするので、三人が三人ともこの関係に依存してしまっているのでしょう。
そんな、端から見れば歪なこの関係は、しかし私達を絡め取って離しません。それでいいのです、これが私達の理想郷なのですから。